ノーベル経済学賞は制度学派のアセモグル教授らに授与
日本時間の本日夕刻、ノーベル経済学賞が以下の3氏に授与されることが明らかにされています。

name | affiliation | motivation |
Daron Acemoglu Born: 3 September 1967, Istanbul, Turkey | Massachusetts Institute of Technology (MIT), Cambridge, MA, USA | for studies of how institutions are formed and affect prosperity |
Simon Johnson Born: 1963, Sheffield, United Kingdom | Massachusetts Institute of Technology (MIT), Cambridge, MA, USA | |
James A. Robinson Born: 1960 | University of Chicago, Chicago, IL, USA |
ノーベル財団のプレスリリース資料からサマリーとなっている最初のパラを引用すると以下の通りです。
They have helped us understand differences in prosperity between nations
This year's laureates in the economic sciences - Daron Acemoglu, Simon Johnson and James Robinson - have demonstrated the importance of societal institutions for a country's prosperity. Societies with a poor rule of law and institutions that exploit the population do not generate growth or change for the better. The laureates' research helps us understand why.
まあ、妥当なラインだと私は受け止めています。彼らの研究成果は、以下の書籍に取りまとめられています。エコノミストによっては三部作と呼ぶ人もいます。典型的に制度学派エコノミストの理論を歴史的に展開しています。
- アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』(早川書房)
- アセモグル & ロビンソン『自由の命運』(早川書房)
- アセモグル & ジョンソン『技術革新と不平等の1000年史』(早川書房)
受賞理由とかは公式には、繰り返しになりますが、ノーベル財団のプレスリリースがありますし、ほかにも山ほど解説したいエコノミストがいるでしょうから、私の方ではパスします。ただ1点だけ雑談をご紹介しておきたいと思います。すなわち、ノーベル経済学賞にアセモグル教授らが有力という情報に関して、今年は米国大統領選挙の年だから、党派的にトランプ候補を "The Trump Threat to Democracy Has Only Grown" と題する記事で徹底的に批判したアセモグル教授の受賞は先送りされるんではないか、という意見もあったやに聞き及びます。ただ、強力な反論も2点あって、第1に、アセモグル教授の記事は8月30日付けですから、ノーベル経済学賞はもっと早くに決まっていたはず、というのと、第2に、実績として2008年はクルーグマン教授が受賞し、まさにクルーグマン教授が支持するオバマ候補が当選した、という歴史的事実もある、という反論でした。まあ、真っ当には、ノーベル賞はそういった政治動向には左右されずリベラルな立場を貫く、というのもあります。
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