IMF Fiscal Monitor 2024 Oct. に見る財政再建のインパクトやいかに?
とても旧聞に属するトピックながら、10月23日に国際通貨基金(IMF)から Fiscal Monitor, October 2024 が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。私の方で普段からチェックしているリポートではないのですが、グラフをひとつだけ引用しておきたいと思います。以下の通りです。
リポート p.8 Figure 1.21. Impact of Fiscal Adjustment on Aggregate Output and Consumption を引用しています。財政再建を進めるに当たって、どのような財政再建手法が総需要と総消費にダメージが大きいか/小さいか、を定常状態GDPを基準に試算しています。総需要へのダメージを中心に見ると、いわゆる公共投資のマイナスインパクトがもっとも大きく、次いで、政府消費、などとなっています。社会保障などの移転支出については、低所得層などのターゲットを明らかにした移転支出の減少が、ターゲットを特定しないユニバーサルな移転支出減よりダメージが大きいと試算されています。一番右の所得税による財政再建が総需要へのインパクトがもっとも小さいとの結果です。キチンとした累進課税になっていれば、おそらく、高所得層からの税収増が多くなってダメージも小さいんだろうと思います。なぜか、間接税である消費課税のダメージはこのグラフには現れません。
いずれにせよ、財政再建を進めるとしても、総需要へのダメージがあることはあまりにも確かなわけで、日本では、累進構造をきちんと制度設計し直した上で、高所得層への課税強化、すなわち、OxFam いうところの "Tax the Rich" の手法が推奨されている、ように解釈するエコノミストは私だけではないと思います。
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