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2024年12月 3日 (火)

米国スタンフォード大学 Artificial Intelligence Index Report 2024 やいかに?

先週だったと思うのですが、米国スタンフォード大学 Institute for Human-Centered Artificial Intelligence (HAI) から Artificial Intelligence Index Report 2024 が明らかにされています。7回目のインデックスの公表だそうです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。全部で9章から構成されており、以下の通りとなっています。

Chapter 1
Research and Development
Chapter 2
Technical Performance
Chapter 3
Responsible AI
Chapter 4
Economy
Chapter 5
Science and Medicine
Chapter 6
Education
Chapter 7
Policy and Governance
Chapter 8
Diversity
Chapter 9
Public Opinion

第4章以降では、さまざまな観点が示されていますが、何分、500ページに達する英文のリポートですので、私の専門からして第4章の経済について、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.244 から Private investment in generative AI, 2019-23 を引用すると上の通りです。昨年2023年になって、民間部門における汎用人工知能(GAI)の設備投資が急増していることが読み取れます。実際、2023年の民間部門のGAIの設備投資は2523億ドルに上っています。私は、日本における設備投資が、計画レベルでの企業マインドのソフトデータでは盛り上げっているものの、ハードデータに見られるGDPベースの設備投資やその前段階の機械受注の統計にはサッパリ現れないのを懸念していますが、世界では明確にGAIに対する設備投資が大幅に増えていることが明らかです。ただ、引用はしませんが、リポート p.247 に示されている Private investment in AI by geographic area, 2023 によれば、日本の設備投資は米国、中国、英国、ドイツ、スウェーデン、フランス、カナダ、イスラエル、韓国、インド、シンガポールに遅れを取っており、世界で11番目という結果となっています。

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ただし、ページ数はさかのぼりますが、、リポート p.43 から Granted AI patents per 100,000 inhabitants by country, 2022 を引用すると上の通りです。そうなんです。韓国、ルクセンブルク、米国に次いで、人口当たりの特許については、日本は世界でも高ランクにつけています。それなりに研究開発は進んでおり、研究者のレベルは決して低くないものの、企業による実装が進んでいない、というのが日本における汎用人工知能開発の現状をよく現していると思います。

ハッキリいって、日本では企業部門が政治献金に熱心で政治レベルからのレントの獲得に熱心で、本来の経済活動については多くの先進国、さらに中韓をはじめとする有力なアジアの国から遅れを取っている、と考えるべきです。日本経済停滞の原因のひとつは企業部門という見方もできます。

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