成人の日に考える18歳の将来の選択肢
今日はいわずと知れた成人の日です。大学生にとって成人式はとても意義あるイベントです。ですので、祝日は無視して授業をすることの多い私の勤務校の立命館大学でもこの成人の日は授業はありません。ということで、成人の日にちなんで、先週1月6日、日本財団から18歳意識調査「第67回 -価値観・教育(地域間比較調査)-」報告書が明らかにされています。私の知りうる限り、この日本財団による18歳意識調査は1,000人のサンプルがほとんどだったのですが、今回の調査だけは各都道府県で男女50人ずつの合計4,700人とのやや大きなサンプルとなっています。そして、都道府県別のみならず、三大都市圏中心部、三大都市圏周辺部、地方圏中心部、地方圏周辺部のエリアに分けた調査結果が示されています。エリア分けは報告書 p.4 のテーブルの通りです。極めて大雑把にいって、首都圏と関西の京阪神と名古屋圏以外の多くは地方圏周辺部に分類されているように見えます。ただし、繰り返しになりますが、詳細なエリア分けは報告書 p.4 のテーブルをご覧下さい。私の住んでいるところは文句なしに地方圏周辺部です。
まず、大学教員として大学への進学予定が気にかかります。質問2で高校生に対して大学への進学予定を質問しています。見れば明らかなように、大学進学予定については男女の性別格差以上に地域間格差が大きい、との結果が示されています。三大都市圏中心部では男女を問わず85%ほどの高校生が大学進学を予定している一方で、地方圏中心部と地方圏周辺部では男女ともに60%台後半となっていて、20%ポイント近い差が見られます。そして、質問3で大学進学予定がない理由/しなかった理由について、いずれのエリアでも「学費が高い」と「できるだけ早く自分で稼いで生活したい」との回答がトップ3の理由に入っています。学費については文教政策で低減することが可能なだけに残念といわざるを得ません。
私が特に注目したのは、将来の選択肢に関するエリア別の格差が非常に大きい点です。下のグラフの特に上のパネルの質問11の最後の項目の「将来の選択肢が多い」ではエリアにより大きな格差が見られます。三大都市圏中心部では80%を超える一方で、私の住んでいるような地方圏周辺部ではその半分の40%も下回っています。質問12の価値観を問うた結果ではエリア別の差は決して大きくありませんが、価値観を離れてやや客観的ともいえる将来の選択肢については大きな格差があるわけです。
18歳の時点で将来についての選択肢の幅が大きく異なり、自分の将来を見通せないのは国家として大きな損失につながりかねません。現在取り組まれているようなタイプの地方再生だけではなく、文教政策の観点からもさまざまな試みがなされることが必要です。
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