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2025年1月24日 (金)

+3%に達した12月の消費者物価指数(CPI)上昇率を受けた日銀追加利上げのチャレンジの成功を祈念する

本日、総務省統計局から昨年2024年12月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月の+2.7%から拡大して+3.0%を記録しています。コアCPI上昇率が+3%を記録したのは一昨年2023年8月に+3.1%となって以来1年4か月ぶりで、日銀の物価目標である+2%以上の上昇は2022年4月から32か月、すなわち、2年半を超えて3年近くの間続いています。ヘッドライン上昇率も+3.6%に達しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+2.4%と高止まりしています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価3.0%上昇 24年12月、1年4カ月ぶり3%台
総務省が24日発表した2024年12月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が109.6となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。上昇率が3%台の水準となるのは、23年8月に3.1%をつけて以来、1年4カ月ぶり。政府の電気・ガス代補助がいったん終了したことでエネルギー価格が上昇し、全体を押し上げた。
生鮮食品を含む総合指数では3.6%上昇の110.7だった。品目別では生鮮食品が17.3%上昇と最も上昇幅が大きかった。記録的な猛暑などの影響でキャベツが前年同月比で2倍超となったほか、みかんも25.2%上昇した。
光熱・水道が11.4%と生鮮食品に次ぎ上昇した。政府が昨年8~10月に酷暑乗り切り緊急支援として再開した電気・ガス代への補助が終了し、電気代が18.7%、ガス代が7.8%とそれぞれ上昇した。
生鮮以外の食品も4.4%上昇した。なかでもコメ類は64.5%と、比較可能な1971年1月以降で最大の上昇幅となった。コメなどの原材料の値上がりに伴い、おにぎりも8.3%、すしなど外食も4.6%上昇した。このほか、自然災害の増加で火災・地震保険料が7.0%上昇した。
2024年平均では、生鮮を除く総合が2.5%上昇の107.9だった。3年連続で2%超の水準となるのは1989年~1992年に4年連続で2%超をつけて以来、約30年ぶりだ。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やたらと長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+3.0%ということでしたので、実績の+3.0%はジャストミートしました。品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、生鮮食品を除く食料価格の上昇が継続しています。すなわち、先月11月統計では前年同月比+4.2%、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度+1.00%であったのが、12月統計ではそれぞれ+4.4%、+1.06%と、一段と高い伸びと寄与度を示しています。ただし、11月統計の上昇率+2.7%から12月統計の+3.0%へと上昇率で見て+0.3%ポイントの拡大を示した主因はエネルギーです。すなわち、エネルギー価格については、11月統計で+6.0%の上昇率、寄与度+0.45%でしたが、本日公表の12月統計では上昇率+10.1%の高い上昇率となっていて、寄与度も+0.76%を示していますので、寄与度差は+0.31%ポイントに上ります。特に、インフレを押し上げているのは電気代であり、エネルギーの寄与度+0.76%のうち、実に電気代だけで寄与度は+0.62%に達しています。引用した記事で指摘されている通り、政府の「酷暑乗り切り緊急支援」として実施されていた電気・ガス代への補助金が縮小して、電気代は上昇率+11.8%、寄与度+0.62%、都市ガス代も上昇率+11.1%、寄与度+0.11%と、いずれも前月から跳ね上がりました。
家計とともに多くのエコノミストが注目している食料の細かい内訳について、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見ると、繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+4.4%、寄与度+1.06%に上ります。その食料の中で、コシヒカリを除くうるち米が上昇率+65.5%ととてつもないインフレとなっていて、寄与度も+0.24%あります。うるち米を含む穀類全体の寄与度は+0.35%に上ります。さすがに一時のコメの品薄感は解消されているようですが、今でも大きく値上げされたまま値下がりはしていません。チョコレートなどの菓子類の上昇率+6.4%、寄与度+0.17%に続いて、コメ値上がりの余波を受けた外食が上昇率+2.8%、寄与度+0.13%、コメとは別としても、コーヒー豆などの飲料も上昇率+7.4%、寄与度0.13%、豚肉などの肉類が上昇率+4.1%、寄与度も+0.11%、などなどとなっています。コアCPIの外数ながら、キャベツなどの生鮮野菜も上昇率+27.3%、寄与度0.53%に達しています。スーパーなどで1玉500円のキャベツを見かけることもめずらしくなくなった印象です。

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こういった物価情勢を受けて、広く報じられている通り、日銀は金融政策決定会合において25ベーシスの金利引上げを決定しています。すなわち、政策金利である無担保コールオーバーナイト金利の誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げることとしています。日銀から公表された「2025年1月金融政策決定会合での決定内容」は上の通りです。「経済・物価は、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている」として、追加利上げを決定しているわけです。同時に公表された「経済・物価情勢の展望 (展望リポート)」では、2026年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを昨年2024年10月時点から+0.1%ポイント引き上げて前年度比+2.0%としています。日銀の金利引上げは、今世紀に入って3度目のチャレンジです。「3度目の正直」で日本経済が好循環を達成できることを願っています。

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