コメ価格の影響で国内物価の高止まりが続く2024年12月の企業物価指数(PPI)
本日、日銀から昨年2024年12月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+3.8%の上昇となり、10月統計の+3.7%から先月11月統計の+3.8%に上昇率が加速し、12月統計でも上昇率は横ばいでした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業物価指数12月3.8%上昇 コメ高止まりで
日銀が16日に発表した2024年12月の企業物価指数(速報値、20年平均=100)は124.8と前年同月比で3.8%上昇し、プラス幅は前月と同じだった。民間予測の中央値(3.7%上昇)より0.1ポイント高かった。コメを含む農林水産物の価格上昇の影響が出た。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数(CPI)に影響を与える。今回、11月分の前年同月比上昇率は3.7%から3.8%に上方修正になった。
12月分の内訳をみると、農林水産物は前年同月比で31.8%上昇し、11月(29.8%上昇)から2.0ポイント伸び率が拡大した。コメの高騰が引き続き押し上げ要因になったが、上昇ペースは昨秋ごろに比べ鈍化している。
電力・都市ガス・水道は12.9%上昇し、11月(9.3%上昇)から伸び率が3.6ポイント拡大した。再生可能エネルギーの普及のため国が電気代に上乗せしている再エネ賦課金が24年5月から引き上げられたことが前年同月比プラスに寄与した。前月比では、12月検針分から電気・ガス代の補助金が一時停止したことも上昇につながった。
24年の企業物価指数は前年比2.3%上昇と23年(4.4%上昇)から伸び率が2.1ポイント縮小した。銅やアルミニウム価格の上昇により非鉄金属は12.2%上昇し、押し上げに寄与した。飲食料品も原材料や包装資材などの上昇分を価格に転嫁する動きが続き、2.6%上昇した。
価格動向が注目される中で、かなり長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+3.7%、予測レンジの上限で+3.9%と見込まれていましたので、実績の+3.8%はレンジ上限は超えないものの、やや上振れた印象です。国内物価の上昇幅が拡大したした要因は、引用した記事にもある通り、コメなどの農林水産物の価格上昇であり、農林水産物は前年同月比で見て11月の+29.8%をさらに超えて12月は何と+31.8%の上昇を記録しています。ただ、先々月10月は年度始まりの4月に次いで価格改定の多い月で、その流れを直近の12月統計でも引き継がれている点は見逃せません。また、引用した記事にもある通り、2024年5月からの再生可能エネルギー発電促進賦課金が引き上げられ、あるいは、政府による「酷暑乗り切り緊急支援」による電気・ガスの補助金は11月検針分で終了し、などといった政府要因で物価を押し上げている点は見逃せません。ただ、電気・ガスの補助金は2月検針分から再開されます。また、円安の流れは12月には一時的にストップしています。すなわち、前月比で見て、10月には+4.3%、11月にも+2.8%の対ドルで円安が進んだものの、12月はほぼ横ばいで▲0.1%となっています。また、私自身が詳しくないので、エネルギー価格の参考として、日本総研「原油市場展望」(2025年1月)を見ておくと、12月下旬から2025年1月にかけては、一時70ドル台半ばに上昇していたものの、米国やカナダ等のOPECプラス非加盟国が供給を増加させることで下押し圧力が優勢になり、「原油価格は早晩60ドル台半ばに向けて下落する見通し。」ということになっています。ただ、米国のトランプ次期政権の環境・エネルギー政策にも注目すべきであることはいうまでもありません。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず繰り返しになりますが、農林水産物は11月の+29.8%から12月は+31.8%と上昇幅を拡大しています。ただ、飲食料品の上昇率は11月の+2.1%から12月は+1.9%と比較的落ち着いた動きとなっています。他方で、電力・都市ガス・水道が11月の+9.3%から12月は+12.9%と上昇幅を加速させ、2ケタ上昇となっています。ほかに、銅市況の高騰などにより非鉄金属も+12.6%と2ケタ上昇を示しています。
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