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2025年2月18日 (火)

帝国データバンク「初任給に関する企業の動向アンケート」の結果やいかに?

先週金曜日の2月14日、帝国データバンクから「初任給に関する企業の動向アンケート」の結果が明らかにされています。賃金引上げが続く中で、初任給も大きな影響を受けており、若年層の所得が増加するのではないかと私は期待しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果(要旨)を引用すると以下の通りです。

調査結果(要旨)
2025年4月入社の新卒社員に支給する初任給を前年度から引き上げる企業の割合は71.0%と7割に達した。人材確保や物価高騰、最低賃金の上昇にあわせての対応が背景にある。引き上げ額の平均は全体で9,114円。一方で、29.0%の企業が初任給を引き上げないと回答した。
初任給額は「20万~25万円未満」が6割でトップとなった。初任給が『20万円未満』の企業割合は前年度より低下した。

すでに3回生の就活が始まっており、大学生に接する機会も多いところ、いくつかグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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引用した調査結果(要旨)にある通り、初任給を「引き上げる」と回答した企業の割合は71.0%、「引き上げない」は29.0%なのですが、帝国データバンクのサイトから 初任給引き上げ額 の分布を示すグラフを引用すると、上の通りです。やや左側に厚い分布となっていて、平均引上げ額は9,114円です。月額でこれくらい引き上げられれば十分消費増が期待できます。また、グラフは引用しませんが、全体で71.0%の「引き上げる」回答を企業規模別に見ると、大企業69.6%、中小企業71.4%、小規模企業62.2%となっています。中小企業は大企業よりも人手不足の逼迫度が高い、という日銀短観などの調査結果を裏付けています。でも、小規模企業については、帝国データバンクのサイトで「経営が苦しいため引き上げに踏み切れない企業は少なくなかった」と分析しています。

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続いて、帝国データバンクのサイトから 初任給の金額(2024年度と2025年度比較) の分布を示すグラフを引用すると、上の通りです。昨年度2024年から今年度2025年へのわずか1年の変化で、初任給20万円未満が▲10%ポイント近く減少し、その分20万円以上の割合が増加しています。30万円以上もジワリと増加している印象です。

最後に、アンケート調査のバイアスは指摘しておきたいと思います。すなわち、行為った調査の場合、「初任級を引き上げた」と胸を張って回答する企業がある一方で、初任給を引き上げない企業が回答を渋って、ついつい、初任給引上げの企業群にバイアスがかかる可能性は否定できません。ですので、アンケート調査に回答していない企業を含めれば、この調査結果は少し割り引いて考える必要あるかもしれません。

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