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2025年2月 7日 (金)

2か月ぶりに上昇した2024年12月の景気動向指数CI一致指数

本日、内閣府から昨年2024年12月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+1.1ポイント上昇の108.9を示し、CI一致指数も+1.4ポイント上昇の116.8を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数12月は1.4ポイント上昇、2カ月ぶりプラス 輸出改善
内閣府が7日公表した2024年12月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比1.4ポイント上昇し116.8となった。指数の改善は2カ月ぶり。輸出や投資財出荷の改善が寄与した。先行指数も、在庫率指数や新規求人数の改善で前月比1.1ポイント高い108.9と2カ月ぶりに上昇した。
一致指数から一定のルールで機械的に決まる基調判断は「下げ止まりを示している」とした。8カ月連続で同じ表現を維持している。
一致指数を構成する経済指標のうち、「輸出数量指数」が米・欧・アジア向け輸出の増加で押し上げに寄与したほか、「投資財出荷指数」もクレーンや掘削機械の出荷増が押し上げた。「小売販売額」も、ネット通販やドラッグストアの好調が寄与した。
一方、「耐久消費財出荷指数」は自動車の生産減で指数を押し下げた。
先行指数は、投資財出荷の好調により「最終需要財在庫率指数」が改善したほか、「新規求人数」や「マネーストック」なども指数を押し上げた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

2024年12月統計のCI一致指数は2か月ぶりの改善となりました。3か月後方移動平均も4か月連続の上昇で+0.93ポイント上昇、ただ、7か月後方移動平均は▲0.06ポイントの下降となっています。ただ、統計作成官庁である内閣府では基調判断は、今月も「下げ止まり」で据え置いています。5月に変更されてから半年余り同じ基調判断で据置きです。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏み、あるいは、悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。ただ、「局面変化」は当該月に景気の山や谷があったことを示すわけではなく、景気の山や谷が「それ以前の数か月にあった可能性が高い」ことを示している、という点は注意が必要です。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、世間一般と比べるとやや楽観的な見方かもしれません。ただし、日本経済はすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めの経済へ影響は、引き続き、考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、引用したロイターの記事にもあるように、輸出数量指数が+0.74ポイントともっとも大きな寄与を示したほか、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.31ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)+0.12ポイント、などとなっています。他方、マイナスとなったのは耐久消費財出荷指数▲0.06ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.05ポイントだけでした。

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