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2025年2月 9日 (日)

アセモグル教授のFTへの寄稿コラム

昨年のノーベル経済学賞受賞者の1人であるアセモグル教授が Financial TimesThe real threat to American prosperity と題するコラムを寄稿しています。かなり長文で難解な上に、当然ながら日本語ではなく英語ですし、もちろん、全文を引用するのはコピーライトの観点からも好ましくないので、私の感じたキーワードやキーとなるセンテンスをいくつか引用したいと思います。さらにさらにで、強調部分もハイライトしておきます。
まず、イーロン・マスク氏を政府効率化症のトップに据えた点について、"This didn't do much to improve the business environment or competitiveness, but further weakened oversight of corruption." と評価しています。そして、米国の "unexpected decline" は "The most significant was the crumbling of American institutions." であるとの結論です。
そして、米国の分断の起源として、"Economic growth in the US was rapid for most of the post-1980 era, but about half of the country didn't benefit much from this." としています。すなわち、人口の半分を占める大学卒業者は "robust growth" を経験した一方で、大学卒業未満の米国人の実質賃金は下がったとの指摘です。その上、この分断は "The flames of grievance were powerfully fanned by social media, which deepened polarisation." となったということです。
ここでトランプ大統領が登場し、"In this environment, Trump quickly transitioned from being a symptom to being a cause, repeatedly breaking with democratic norms and refusing to abide by the constraints that laws and precedents set on presidential behaviour." となってしまいます。日本の安倍総理の登場についても、こんな感じではなかったか、と評価する向きがあっても不思議ではありません。
最後に、アセモグル教授が2050年の近未来から現時点を振り返ると、ということで、いくつかディストピア的な米国の将来像、ひとまとめにして "America's collapse" を示しています。このあたりは読んでみてのお楽しみです。ただ、最後の方で、"Looking back from 2050, however, one thing is clear. This was all avoidable." と予想していると述べて、まだ間に合う可能性を示唆しています。

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