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2025年3月18日 (火)

経済協力開発機構「中間経済見通し」OECD Economic Outlook, Interim Report March 2025 やいかに?

日本時間の昨日3月17日に、経済協力開発機構「中間経済見通し」OECD Economic Outlook, Interim Report March 2025 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートも利用可能です。まず、OECDのサイトからIntroductionを引用すると以下の通りです。

Introduction
The global economy remained resilient in 2024, expanding at a solid annualised pace of 3.2% through the second half of the year. However, recent activity indicators point to a softening of global growth prospects. Business and consumer sentiment have weakened in some countries. Inflationary pressures continue to linger in many economies. At the same time, policy uncertainty has been high and significant risks remain. Further fragmentation of the global economy is a key concern. Higher-than-expected inflation would prompt more restrictive monetary policy and could give rise to disruptive repricing in financial markets. On the upside, agreements that lower tariffs from current levels could result in stronger growth.

要するに、今年2025年の経済見通しのヘッドラインとなる世界経済の今年2025年の成長率は昨年2024年12月時点での+3.3%という見通しから▲0.2%ポイント引き下げられて+3.1%と下方修正されました。2024年の実績の成長率が+3.2%でしたので、やや成長が減速するという見通しです。加えて、来年2026年の成長率も+3.3%から+3.0%に下方修正されています。そして、引用にあるように、この下方修正の要因は2点あって、インフレ圧力(inflationary pressures)による企業や消費者のセンチメント(business and consumer sentiment)が弱くなっていることと政策の不確実性(policy uncertainty)です。明示的ではありませんが、米国トランプ政権の関税政策などを示唆していると考えるべきです。世界経済のさらなる分断が懸念される(Further fragmentation of the global economy is a key concern.)わけです。

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2025-26年の成長率見通しについて、リポートから Table 1. Global growth is projected to moderate を引用すると上の通りです。当然ながら、米国の関税政策でダメージを受けているメキシコとカナダの成長率見通しが大きく下方修正されているのが目につきます。当然です。日本もメキシコやカナダほどではありませんが、欧州諸国と比較して少しダメージが大きいと見込まれているようです。中国の今年2025年の成長率見通しはなぜか上方修正されています。でも、昨年2024年の実績成長率の+5.0%から今年2025年と来年2026年にかけてじわじわと成長率が減速すると予想されている点は注目です。

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その米国の関税政策によるGDPとインフレへのダメージについて、リポートから Figure 9. Further trade fragmentation would harm global growth prospects を引用すると上の通りです。GDPの減速についてはメキシコが、インフレの加速についてはカナダが、それぞれ、ダメージ大きいと試算されています。日本へのダメージもグラフの通りです。当然ながら、米国経済についても関税政策からの成長率やインフレへのダメージは避けられない、との試算結果です。米国の政策当局でも、決して賢明な政策ではない、と理解しているエコノミストは少なくないような気がします。

最後に、経済見通しに基づいて3点の政策対応が上げられています。OECDのサイトから引用すると以下の通りです。

  • Monetary policy should remain vigilant
  • Fiscal actions are needed to ensure debt sustainability
  • Ambitious structural policy reforms are needed to improve the foundations for growth

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