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2025年3月10日 (月)

小幅な上昇を示す1月の景気動向指数と基調判断が引き下げられた2月の景気ウォッチャーと実質賃金がふたたびマイナスになった1月の毎月勤労統計ほか

本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+0.1ポイント上昇の108.0を示し、CI一致指数も+0.1ポイント上昇の116.2を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数1月は前月比0.1%上昇、2カ月連続プラス=内閣府
内閣府が10日公表した1月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.1ポイント上昇の116.2で、2カ月連続のプラスとなった。先行指数も同0.1ポイント上昇の108.0で、2カ月連続プラスだった。基調判断は9カ月連続で「下げ止まりを示している」とした。
一致指数を押し上げたのは、耐久財消費財出荷や卸売・小売販売額、有効求人倍率など。自動車の生産・販売回復、原油輸入などが寄与した。半導体製造装置の減産により、投資財出荷指数や鉱工業生産は指数を下押しした。
先行指数を押し上げたのは鉱工業用生産財在庫率指数や中小企業売上見通し、新規求人数など。自動車の生産増や、電気・電子関連中小企業の見通し改善などが寄与した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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1月統計のCI一致指数は2か月連続の改善となりました。3か月後方移動平均は横ばいです。ただ、7か月後方移動平均は2か月ぶりの上昇で、0.40ポイント改善しています。統計作成官庁である内閣府では基調判断は、今月も「下げ止まり」で据え置いています。5月に変更されてから9か月連続で同じ基調判断で据置きです。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏み、あるいは、悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。ただ、「局面変化」は当該月に景気の山や谷があったことを示すわけではなく、景気の山や谷が「それ以前の数か月にあった可能性が高い」ことを示している、という点は注意が必要です。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、世間一般と比べるとやや楽観的な見方かもしれません。ただし、第1に、米国経済が今年内に景気後退局面入すると考えるエコノミストは少なくありません。例えば、経済史を専門とするエコノミストですが、カリフォルニア大学の旗艦校であるバークレイ校のアイケングリーン教授はCNBCで "Trump's policies may push US into recession by year end" と明言しています。私も、米国経済が年内にリセッションに入る可能性はかなり高いと考えています。理由は、アイケングリーン教授と同じでトランプ政権が乱発している関税政策です。関税引上げによって、インフレの加速と消費者心理の悪化の両面から消費を大きく押し下げる効果が強いと考えます。第2に、日本経済はすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めの経済へ影響は、引き続き、考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、引用したロイターの記事にもあるように、耐久消費財出荷指数が+0.49ポイントともっとも大きく、次いで、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.33ポイント、有効求人倍率(除学卒)が+0.21ポイント、などとなっています。他方、前月差マイナスとなったのは輸出数量指数▲0.53ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.51ポイントなどでした。

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景気動向指数とは別に、、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、厚生労働省から1月の毎月勤労統計が、さらに、財務省から1月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲3.0ポイント低下の45.6、先行き判断DIも▲1.4ポイント低下の46.6を記録しています。インフレに加えて、気温低下や豪雪といった気象条件も景況感を下押ししたと考えられます。統計作成官庁である内閣府では基調判断は、「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」と、最後の「このところ弱さがみられる」を付け加えて半ノッチ引き下げました。毎月勤労統計の賃金指数について季節調整していない原系列の前年同月比を見ると、名目の現金給与総額は前年同月比+2.8%増と前月2024年12月の+4.4%増から低下し、消費者物価上昇率を下回ったため、実質賃金は前年同月比で△1.8%減と、3か月ぶりに減少を示しています。また、経常収支は、季節調整していない原系列の統計で△2576億円の赤字を計上しています。2023年1月以来2年ぶりの赤字だそうですが、ほぼほぼ中華圏の春節のカレンダー要因であり、何の懸念材料もありません。春節効果を除いて考えても、経常収支にせよ、貿易収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、と私は考えています。

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