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2025年3月14日 (金)

+4%で高止まりする2月の企業物価指数(PPI)上昇率をどう見るか?

ちょっとボケっとしていて見逃したのですが、一昨日3月12日、日銀から2月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+4.0%の上昇となり、1月統計の+4.2%から上昇率は縮小しましたが、依然として高い伸びが続いています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の企業物価指数4.0%上昇 農産物の高騰の影響広がる
日銀が12日に発表した2月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は125.3と前年同月比で4.0%上昇した。1月(4.2%上昇)から伸び率が縮小したが、民間予測の中央値よりも0.1ポイント高かった。コメを含む農林水産物の高騰の影響が飲食料品などに広がり、企業物価は高い伸び率が続いている。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数(CPI)に影響を与える。
内訳をみると農林水産物が39.4%上昇し、1月(37.6%上昇)から伸び率が拡大した。長引くコメの高騰の影響がすしや弁当などの飲食料品にも波及し、2.6%上昇した。
非鉄金属は13.6%上昇した。1月(14.3%上昇)から伸び率が鈍化したが、引き続き高い水準を維持している。アルミニウムでは米国の通商政策の不確実性への懸念から駆け込み需要があり相場が上昇した。米国の通商政策を巡っては、世界経済の景気後退やサプライチェーンへの影響を不安視する企業の声があったという。

インフレ動向が注目される中で、やや長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、引用した記事にあるように、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率について、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+3.9%、予測レンジの上限で+4.3%と見込まれていましたので、実績の+4.0%はレンジ内ながらも、やや上振れた印象です。なお、ロイターの記事では、ロイター調査による民間調査機関の予測中央値は+4.0%であり「予測に一致した」と報じられていました。国内物価の上昇幅が拡大したした要因は、引用した記事にもある通り、コメなどの農林水産物の価格上昇であり、農林水産物は前年同月比で見て1月の+37.6%をさらに超えて2月は何と+39.4%の上昇を記録しています。もちろん、上のグラフにも見られるように、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年中には2ケタ上昇の月がありましたし、今さら+4%上昇で驚くエコノミストは少ないと思うのですが、引用した記事でも指摘しているように、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年のインフレは石油などのエネルギー価格の上昇が主因であった一方で、昨年来の物価上昇はコメをはじめとする食料品の値上がりに起因していますから、企業間取引の価格とはいえ国民生活への影響も深刻度を増している可能性が高いと私は受け止めています。ただし、為替相場では2月には一時的に円高が進んだ点は、金融政策当局の目論見通りかもしれません。すなわち、前月比で見て、1月には+1.8%の円安となったものの、2月には△2.9%の円高が進んでいます。また、私自身が詳しくないので、エネルギー価格の参考として、日本総研「原油市場展望」(2025年3月)を見ておくと、「2月後半は、70ドルを挟んで一進一退」となっており、「当面の原油価格は60ドル台半ばに向けて下落する見通し」ということだそうです。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず繰り返しになりますが、農林水産物は1月の+37.6%から2月は+39.4%と上昇幅を拡大しています。これに伴って、飲食料品の上昇率も+2.6%と高止まりしています。電力・都市ガス・水道も+5.7%上昇と高止まりしています。ほかに、銅市況の高騰などにより非鉄金属も13.6%とと2ケタ上昇が続いています。

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