« 門別投手がプロ初勝利でジャイアンツを3タテ | トップページ | 物価高騰で低下の続く3月の景気ウォッチャーと大きな黒字を計上した2月の経常収支 »

2025年4月 7日 (月)

10か月連続で「下げ止まり」を示す2月の景気動向指数

本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から▲0.3ポイント下降の107.9を示した一方で、CI一致指数は+0.8ポイント上昇の116.9を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数2月は0.8ポイント上昇、生産寄与し3カ月連続プラス
内閣府が7日公表した2月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.8ポイント改善の116.9となり3カ月連続で改善した。一方、先行指数は前月比0.3ポイント低下の107.9と3カ月ぶりに悪化した。
一致指数から機械的に決める基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置いた。この文言を用いるのは10カ月連続。
一致指数を構成する各種経済指標のうち、改善に寄与したのは投資財出荷指数や鉱工業生産指数など。半導体・フラットパネル製造装置の生産・出荷が押し上げ要因。輸出数量指数の改善もプラス材料となった。
先行指数の下押し要因となったのは新規求人数、日経商品指数、中小企業売り上げ見通しなど。建設業界の見通しが影響した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

2月統計のCI一致指数は3か月連続の改善となりました。3か月後方移動平均は昨年2024年10月にプラスに転じてから5か月連続の前月比プラスを続けています。2月統計では+70ポイントの上昇です。7か月後方移動平均はそれより前から上昇を続けており、2月統計では+0.23ポイント改善しています。しかし、統計作成官庁である内閣府では基調判断は、今月も「下げ止まり」で据え置いています。引用した記事にもある通り、5月に変更されてから10か月連続で同じ基調判断で据置きです。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏み、あるいは、悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。ただ、「局面変化」は当該月に景気の山や谷があったことを示すわけではなく、景気の山や谷が「それ以前の数か月にあった可能性が高い」ことを示している、という点は注意が必要です。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、それはそれで正しいと今でも変わりありませんが、前提が崩れつつある印象で、米国経済が年内にリセッションに入る可能性はかなり高まってきていると考えています。理由は、ほかのエコノミストとたぶん同じでトランプ政権が乱発している関税政策です。関税引上げによって、米国経済においてインフレの加速と消費者心理の悪化の両面から消費を大きく押し下げる効果が強いと考えます。加えて、日本経済はすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めの経済へ影響は明らかにネガであり、引き続き、考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、引用したロイターの記事にもあるように、輸出数量指数+0.72ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)+0.63ポイント、生産指数(鉱工業)+0.43ポイントなどであり、他方、前月差マイナスとなったのは、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.51ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)▲0.39ポイント、有効求人倍率(除学卒)▲0.31ポイントなどでした。ついでに、引用した記事にありますので、CI先行指数の下げ要因も数字を上げておくと、新規求人数(除学卒)▲0.64ポイント、日経商品指数(42種総合)▲0.25ポイント、中小企業売上げ見通しDI▲0.14ポイント、などとなっています。

|

« 門別投手がプロ初勝利でジャイアンツを3タテ | トップページ | 物価高騰で低下の続く3月の景気ウォッチャーと大きな黒字を計上した2月の経常収支 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 門別投手がプロ初勝利でジャイアンツを3タテ | トップページ | 物価高騰で低下の続く3月の景気ウォッチャーと大きな黒字を計上した2月の経常収支 »