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2025年4月23日 (水)

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlookやいかに?

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の見通し編が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。すでに、先週の段階で、高齢化や移民・難民に着目した分析編も明らかにされています。

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まず、リポート p.14 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Reference Forecast を引用すると上のテーブルの通りです。世界経済の成長率を中心とした見通しの総括表といえます。米国は今年2025年の成長率は+1.8%、来年2026年は+1.7%と見込まれていますが、1月時点の見通しから2025年△0.9%ポイント、2026年△0.6%、それぞれ下方修正されています。日本は成長率見通しが2025年+0.6%、2026年も+0.6%なのですが、同じように1月時点の見通しから2025年△0.5%ポイント、2026年△0.2%ポイント、それぞれ下方修正されています。世界経済全体では2025年に△0.5%ポイント下方修正されて+2.8%成長、2026年は△0.3%ポイント下方修正されて+3.0%成長と予想されています。他方、図表は引用しませんが、インフレ率は少し上方修正され、世界全体で2025年+4.3%、2026年+3.6%と徐々に低下すると予想されています。

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このように、世界経済の成長率を大きく鈍化させ、インフレ率をわずかとはいえ加速させる大きな要因は米国トランプ政権の関税引上げを主軸とする通商政策にあります。上のグラフは IMF Blog The Global Economy Enters a New Era から米国関税率の歴史的推移と4月2日時点での世界の関税率を示す US tariffs are highest in a century, globaltariffs are also rising sharply を引用しています。米国のトランプ政権による関税引上げにより、米国の関税率は第2次世界大戦直前のスムート・ホーレー法のレベルをとうとう超えてしまいました。世界経済のブロック化を促進した関税引上げ競争が第2次世界大戦の引き金のひとつになった歴史的教訓が思い出されます。

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そして、最後に、 IMF Blog The Global Economy Enters a New Era から Global growth revised down significantly, inflation slightly revised up を引用すると上の通りです。すなわち、こういった米国の関税率の引上げは決して MAGA=Make America Great Again に貢献するものではなく、米国と世界の経済の成長率の減速とインフレの加速につながりかねない、との試算結果が示されています。

最後に、IMFは政策について、Policies: Navigating Uncertainty and Enhancing Preparedness to Ease Macroeconomic Trade-offs の必要があると分析しています。すなわち、国際協力を促進しつつ国内経済の安定を確保し、ひいては世界経済の不均衡の是正に資するよう、政策を調整する必要があるとの結論を示しています。

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