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2025年5月 2日 (金)

4月の米国雇用統計を受けた金融政策の方向やいかに?

日本時間の今夜、米国労働省から4月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、3月統計の+185千人増から4月統計では+177千人増と小幅な減速を見せ、失業率は前月から横ばいの4.2%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事をコンパクトに4パラ引用だけすると以下の通りです。

April jobs report: Employers added robust 177,000 jobs as Trump's tariffs kicked in
U.S. hiring remained sturdy in April as the economy added 177,000 jobs despite jitters over President Donald Trump’s massive import tariffs and widening federal government layoffs.
But payroll gains for February and March were revised down sharply, at least partly offsetting the big jump last month.
The unemployment rate held steady at 4.2%, the Labor Department said Friday.
Ahead of the report, economists forecast 135,000 job gains, according to a Bloomberg survey.

いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

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米国の雇用は非農業部門雇用者の増加が、2月の+102千人増から3月には185千人増に加速したものの、本日公表された4月統計では+177千人増にやや減速しました。加えて、前の2-3月の統計が下方修正されており、2月の伸びは+117千人増から+102千人増に、3月も+228千人増から+185千人増にそれぞれ改定されています。雇用統計の観点からは雇用の増加にはブレーキがかかり、トランプ政権の高関税政策とも相まって、景気後退懸念が大きくなる可能性が出ています。ただし、引用した記事にもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスは+135千人増でしたから、この市場予想からは上振れしていることになります。また、政府雇用は3月統計では+15千人増、4月統計でも+10千人増となっており、連邦政府職員が減少している一方で、州政府職員をはじめとする地方政府職員の増加で目立った影響は出ていません。
すでに、広く報じられている通り、1~3月期米国GDPはマイナス成長を記録しています。基本的には、関税引上げを前にした輸入の急増が主因ですが、もしも、トランプ政権の関税引上げ政策が実行されれば、年内に景気後退局面に貼る可能性が高まる一方で、インフレが加速することから、米国金融政策当局である連邦準備制度理事会(FED)による金融政策の舵取りが難しくなっています。

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