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2025年5月15日 (木)

高い伸びが続く4月の企業物価指数(PPI)

フォローを忘れていたのですが、昨日、日銀から4月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+4.2%の上昇となり、2月統計の+4.1%から上昇率がさらに拡大し、依然として高い伸びが続いています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

国内企業物価4月は前年比+4.0%、伸び率は鈍化=日銀
日銀が14火に発表した4月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比でプラス4.0%となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値も前年比プラス4.0%だった。前月比ではプラス0.2%で、前年比、前月比とも上昇率は前月を下回った。医薬品などの化学製品や亜鉛めっき鋼板などの鉄鋼が伸び率の鈍化に寄与した。
日銀担当者は、企業物価は落ち着いてきたが伸び率は過去と比較しても依然高いレベルにあると指摘。今後も不確実性の高い国際市況や地政学リスクに注意が必要だとしている。
企業物価指数の水準は126.3と8カ月連続で過去最高を更新。50カ月連続で前年比越えとなった。コメ、鶏卵といった農産物の価格高止まりに加え、再エネ賦課金や原材料コスト等の価格転嫁が上昇要因となっている。
輸出物価は契約通貨ベースで前月比0.3%の下落となった。乗用車や駆動・伝導操縦装置部品などで、移転価格調整や既往の為替円安を反映した。
輸入物価は契約通貨ベースで前月比0.6%の下落となった。石油・石炭・天然ガスはいずれも既往の市況下落を反映して大きく値下がりした。
515品目中、上昇は365、下落は130となり、差し引き235品目となった。3月は差し引き280品目だった。
トランプ関税については、日本企業もまだ情報収集をしている段階で、日銀としても、その直接的影響についてはまだ明確に把握しておらず、引き続き注視している、という。

インフレ動向が注目される中で、やや長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にあるように、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率について、ロイターでは市場の事前こセンサスは+4.0%でしたが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも高止まりしている要因は、引用した記事にもある通り、コメなどの農林水産物とエネルギーであり、農林水産物は前年同月比で見て3月+39.1%の後、本日公表の4月統計では+42.2%と、猛烈な上昇を見せています。何分、コメなどは生活必需品の食料であって、企業間取引の価格とはいえ小売価格に波及することは当然ですから、国民生活への影響も深刻度を増している可能性が高いと私は受け止めています。ただし、為替相場では2月から4月まで3か月連続で円高が進んだ点は、金融政策当局の目論見通りかもしれません。すなわち、前月比で見て、1月には+1.8%の円安となったものの、2月には△2.9%、3月は▲1.8%、4月も△3.2%の円高が進んでいます。また、私自身が詳しくないので、エネルギー価格の参考として、日本総研「原油市場展望」(2025年5月)を見ておくと、「当面の原油価格は50ドル台半ばに向けて下落する見通し。」と指摘しています。円ベースの輸入物価指数の前年同月比は、今年に入って1月+2.2%の後、2月▲1.9%、3月▲1.5%、4月△2.6と下落を記録しており、国内物価の上昇は明らかにホームメードインフレの様相を呈してきています。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず繰り返しになりますが、農林水産物は3月の+39.1%から4月は+42.2%とさらに上昇幅を拡大しています。これに伴って、飲食料品の上昇率も3月の+3.4%から4月は+3.6%と加速しています。電力・都市ガス・水道も3月の+6.5%から、政府の補助金削減により4月は+10.1%と2ケタの高い上昇率が続いています。

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