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2025年6月27日 (金)

伸びが鈍化し始めた5月の商業販売統計と改善が鈍化する5月の雇用統計

本日は月末閣議日ということで、経済産業省から商業販売統計が、さらに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.2%増の12兆8040億円を示し、季節調整済み指数は前月から▲0.2%の低下となっています。雇用統計のヘッドラインは、失業率は前月から横ばいで2.5%、有効求人倍率は▲0.02ポイント悪化して1.24倍を、それぞれ記録しています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

小売業販売5月は2.2%増、食品高でドラッグストア好調=経産省
経済産業省が27日に発表した5月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比2.2%増12兆8040億円となった。ロイターの事前予測調査では2.7%増が予想されていた。コメなど食品値上げの継続でドラッグストアやスーパーなどの販売が伸びた。インバウンド関連は販売が減少した百貨店と菓子類が好調なコンビニエンスストアで明暗を分けた
<コメ代替で餅・パスタ好調、コンビニ菓子にインバウンド需要>
業種別の前年比では織物・衣服が7.2%増、機械器具小売業が5.8%増、医薬品・化粧品小売業が4.6%増などだった。
小売業販売額全体の押し上げに大きく寄与したのは医薬品・化粧品や飲食料品小売業で、食品価格の上昇が寄与した。
業態別の前年比ではドラッグストア6.4%増、スーパー5.4%増、コンビニエンスストア4.2%増、家電大型専門店4.7%増、ホームセンター0.6%増。
一方、百貨店は7.3%減となった。
コメなどの価格が高騰するなか、ドラッグストアは相対的に安い値段での販売が好調を維持している。スーパーはコメの値上げに加え「餅やパスタなどコメ代替食品の販売が伸びている」(経産省)という。
インバウンド関連では、百貨店販売は減少しているものの、「コンビニで菓子のインバウンド需要が伸びている」(同)という。
5月の気温が高かったため、家電大型専門店ではエアコンや扇風機の販売が伸びた。ホームセンターではファン付き作業服の販売が好調だった。
完全失業率は2.5%、3カ月連続で同水準 有効求人倍率1.24倍に低下
政府が27日に発表した5月の雇用関連指標は完全失業率が季節調整値で2.5%と、3カ月連続で同水準となった。有効求人倍率は1.24倍で、前月から0.02ポイント低下した。
ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.26倍が見込まれていた。
総務省によると、5月の就業者数は季節調整値で6837万人と、前月に比べて33万人増加。完全失業者数(同)は172万人で、4万人減少した。総務省の担当者は「失業状態だった人が就職したと推察される。雇用情勢は引き続き悪くない」と語った。
原数値の就業者数は6838万人で、比較可能な1953年以降で過去最多。正規の職員・従業員数は3723万人と、比較可能な2013年以降で過去最多だった。
<有効求人数、有効求職数とも増加>
厚生労働省によると、5月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.3%増加した。製造業や建設業、医療・福祉などで人手不足が継続している一方、物価高による各種コスト上昇で収益が圧迫され、採用を控える動きも出ている。
有効求職者数(同)は1.5%増加。物価高騰による先行き不安などから高年齢者層で新たな収益源を求めて求職活動を行う動きがみられるという。

複数の統計から取りましたので、やたらと長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、伸び率はまだプラスを維持しているものの、やや伸びに鈍化が見られる上に、季節調整済みの系列では停滞感が明らかとなっていて、本日公表の5月統計では▲0.2%減のマイナスとなりました。引用した記事にある通り、ロイターでは季節調整していない原系列の小売業販売を前年同月比でみた伸びについて、市場の事前コンセンサスでは+2.7%増でしたので、実績の+2.2%増はこの観点からも下振れた印象です。統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断していて、本日公表の5月統計までの3か月後方移動平均の前月比が▲0.2%の低下となりましたので、2月からの「緩やかな上昇傾向」から明確に1ノッチ下方修正して「一進一退」に変更しています。加えて、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、5月統計ではヘッドライン上昇率が+3.5%となっていますので、小売業販売額の5月統計の前年同月比+2.2%の増加は、インフレ率を下回っており、実質消費はマイナスの可能性が高いといえます。さらに考慮しておくべき点は、国内需要ではなく海外からのインバウンドにより、部分的なりとも小売業販売額の伸びが支えられている可能性です。したがって、小売業販売額の伸びが国内消費の実態よりも過大に評価されている可能性は考慮されるべきです。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.5%有効求人倍率は1.26倍でしたし、引用した記事に見られるようにロイターでも失業率は2.5%、有効求人倍率は1.26倍が見込まれていました。本日公表された実績で、失業率が2.5%、有効求人倍率が1.24倍、というのは、市場の事前コンセンサスに比べると、やや下振れした印象です。ただし、いずれも予想のレンジ内ですから、人口減少局面下の人手不足を背景に、失業率・有効求人倍率ともに雇用の底堅さを示す水準が続いているように見えます。もちろん、そろそろ景気回復局面は後半期に入っている可能性が高いと考えるべきですし、その意味で、いっそうの雇用改善は難しいのかもしれません。雇用の先行指標とされている新規求人については、季節調整済みの系列で見て、5月統計では新規求人数・新規求人倍率ともに大きな減少や低下を示しています。単月での振れの激しい指標ながら、少し懸念されるところです。加えて、米国がソフトランディングに失敗して年内に景気後退局面に入る可能性が高まっており、いつまでも雇用の改善が続くわけではないと考えるべきです。ただ、現在の雇用改善鈍化の状態は、従来のように一気に悪化する景気後退局面とは異なるように見えます。

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