2か月連続で前月比マイナスを記録した5月の機械受注
本日、内閣府から5月の機械受注が公表されています。機械受注のうち民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から0.6%減の9135億円と、2か月連続の前月比マイナスを記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
5月の機械受注0.6%減、2カ月連続マイナス 基調判断は据え置き
内閣府が14日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前月比で0.6%減の9135億円だった。2カ月連続でマイナスとなった。製造業が1.8%減、非製造業が1.8%増だった。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」と据え置いた。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は1.3%減だった。
製造業は1.8%減の4485億円だった。4月に大型案件があった反動で、造船業の内燃機関が落ち込んだ。
自動車・同付属品は7.1%減と2カ月連続でマイナスだった。内閣府の担当者は「米国の関税政策による明確な影響は確認できないが、自動車は4、5月と水準が低下しており、今後の動向を注視する必要がある」と指摘した。
非製造業(船舶・電力を除く)は1.8%増の4793億円だった。電子計算機などが好調で金融業・保険業が押し上げた。
民需(船舶・電力除く)について毎月のぶれをならした3カ月移動平均は0.7%増でプラスを維持した。
包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比▲1%を超える減と見込まれていました。実績の▲0.6%減はやや上振れした印象ながら、前月比マイナスはマイナスですし、大きなサプライズはありませんでした。いずれにせよ、3月統計で前月比+13.0%増を記録した後の4月▲9.1%減、5月▲0.6%減ですから、3月の大幅増の反動の要素もあります。また、この統計では発注が取り消された場合、その取消しが生じた月で調整することになっていますので、あるいは、ひょっとしたら、トランプ関税による発注取消しがここ何か月かで生じている可能性は否定できません。3か月後方移動平均で見ればまだ+0.7%増だということですし、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いています。5月統計を業種別に季節調整済みの前月比で見て、製造業が▲1.8%減であった一方、船舶・電力除く非製造業は+1.8%増となっています。1~3月期のコア機械受注は前期比で+3.9%増の2兆7632億円でしたが、4~6月期見通しでは▲2.1%の減少に転ずると見込まれていますので、4~5月統計は先行きの受注見通しに沿った動きと見ることも出来ますが、トランプ関税次第では下振れする可能性も十分あります。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を示している一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があり、現時点ではまだ解消されているわけではないと私は考えています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが歩く予想されますし、DXあるいはGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまうのでしょうか。でも、設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、繰り返しになりますが、米国のトランプ政権の関税政策や中東の地政学的リスクなどにより先行き不透明さが増していることは設備投資にはマイナス要因です。加えて、国内要因として、日銀が金利の追加引上げにご熱心ですので、すでに実行されている利上げの影響がラグを伴って現れる可能性も含めて、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかですどう考えても、先行きについては、リスクは下方に厚いと考えるべきです。
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