雇用増の減速が続く6月の米国雇用統計
日本時間の今夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、5月統計の+144千人増から6月統計では+147千人増とほぼ横ばいであり、失業率は5月の4.2%から0.1%ポイント低下して4.1%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事をコンパクトに4パラ引用だけすると以下の通りです。
June jobs report reveals U.S. added 147K jobs in June; unemployment dips
U.S. hiring unexpectedly picked up in June as employers added 147,000 jobs despite President Donald Trump's wide-ranging import tariffs, federal layoffs and immigration constraints.
But state and local government hiring sharply boosted the gains. The private sector added just 74,000 jobs, fewest since two Southeast hurricanes dampened payroll growth in October and possibly auguring a broader slowdown.
The unemployment rate fell from 4.2% to 4.1%, the Labor Department said Friday.
Ahead of the report, economists surveyed by Bloomberg had estimated 110,000 jobs were added in June.
いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

米国の雇用は非農業部門雇用者の増加が、1月の+111千人増から、2月+102千人増、3月+120千人増、4月に+158千人増とやや加速した後、5月+144千人増、6月+147千人増を記録しています。加えて、前の4-5月の統計が上方修正されており、4月の伸びは+147千人増から+158千人増に、5月も+139千人増から+144千人増にそれぞれ改定されています。昨年2024年12月には323千人増でしたから、今年2025年に入ってから雇用の増加にはブレーキがかかり、トランプ政権の高関税政策とも相まって、景気後退懸念が大きくなる可能性が出ています。ただし、引用した記事の4パラめにもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスは+110千人増でしたから、この市場予想からは上振れしていることになります。また、これも引用した記事にあるように、民間部門の雇用は6月統計では+74千人増、これは記事にはありませんが、政府部門の雇用は+70千人増ですので、連邦政府職員が減少している一方で、州政府職員をはじめとする地方政府職員の増加で、むしろ、政府職員は増加していたりします。民間部門では、関税政策をはじめとする政策動向が極めて不透明で、こういった不確実性の拡大が雇用の伸びを抑制する可能性が大きくなっています。
すでに、広く報じられている通り、1~3月期米国GDPはマイナス成長を記録しています。基本的には、関税引上げを前にした輸入の急増が主因ですが、もしも、トランプ政権の関税引上げ政策が実行されれば、年内に景気後退局面に入る可能性が高まる一方で、インフレが加速することから、連邦準備制度理事会(FED)の早期利下げ観測が後退して金利が上昇する方向にあります。これも米国景気を下押しする要因になりかねません。
| 固定リンク


コメント