« 基調判断が「悪化」に引下げられた5月の景気動向指数 | トップページ | インテージ「2025年上半期、売れたものランキング」やいかに? »

2025年7月 8日 (火)

2か月連続で改善した6月の景気ウォッチャーと過去最大の黒字となった5月の経常収支

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.6ポイント上昇の45.0、先行き判断DIも+1.1ポイント上昇の45.9を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+3兆4364億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気6月は0.6ポイント上昇、気温上昇や米関税の不透明感緩和で
内閣府が8日に発表した6月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは45.0となり、前月から0.6ポイント上昇した。2カ月連続のプラス。気温上昇で夏物商材の需要が増加。客単価が上昇しているほか、買い上げ点数も増えている。米国の関税に対する不透明感による下押しも和らいできたという。
ウオッチャーの見方は「このところ回復に弱さがみられる」で維持。単月では上昇したものの、トレンドを見極めるうえで重視している3カ月移動平均が若干マイナスだったこともあり、前月から変更しなかった。
指数を構成する3部門では、家計動向関連が前月から0.3ポイント、企業動向関連が1.9ポイントそれぞれ上昇した一方、雇用関連が0.1ポイント低下した。
家計動向関連では「気温の上昇が続いていることで、夏物商材を買い求める客が増加しており、来客数が前年を上回っている。客単価も上昇し、景気は良くなっている」(北海道=衣料品専門店)、企業動向関連では「米国の関税施策で設備投資を様子見している客は多いが、もう待てないという雰囲気もあり、北米中心に半導体関連の受注増加に備えて代理店が在庫を増やす動きがある」(東海=一般機械器具製造業)といったコメントが出ていた。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から1.1ポイント上昇の45.9。2カ月連続で上昇した。内閣府は先行きについて「夏のボーナスおよび賃上げへの期待がある一方、引き続き価格上昇や米国の通商政策の影響への懸念がみられる」とまとめた。
回答者からは「例年より早い梅雨明けによるレジャー需要の増加を期待している」(沖縄=観光型ホテル)、「地域経済はやや回復基調。夏のボーナス支給額などの改善が大きな要因とみられる」(近畿=通信会社)といった指摘があった。
一方、「中東情勢の悪化で原油価格が乱高下しており、今後の見通しが立たない」(東北=ガソリンスタンド)、「海外向け製品を製造している割合が非常に高く、関税等の問題が長い期間影響する」(東海=電気機械器具製造業)など、海外要因を懸念する声も複数出ていた。
大和証券の鈴木雄大郎エコノミストは、当面、物価高を受けた家計の節約志向が高まった状況が続くと指摘。足元では人手不足倒産も増えており「街角景気が上向く可能性は低い」との見方を示している。
調査期間は6月25日から30日。
経常収支5月として過去最大の黒字、原油価格など下落で輸入減
財務省が8日発表した国際収支状況速報によると、5月の経常収支は3兆4364億円の黒字だった。前年同月から4869億円増え、5月として過去最大の黒字額。原油価格などの下落で輸入が減少した。経常収支の黒字は4カ月連続。
ロイターが民間調査機関に行った事前調査で予測中央値は2兆9400億円の黒字だった。
貿易収支は5223億円の赤字で、前年同月から5757億円改善した。輸出の1147億円減を、輸入の減少幅6904億円が上回った。原粗油の輸入が1753億円、石炭が1351億円、非鉄金属が667億円それぞれ減少した。
サービスも含めた貿易・サービス収支は3212億円の赤字と、前年同月から赤字幅が8284億円縮小した。
海外子会社からの配当収入や米国債など海外投資の収益を示す第1次所得収支は4兆2555億円の黒字。黒字幅は1170億円縮小したものの、経常収支全体の黒字を支えた。
農林中金総合研究所理事研究員の南武志氏は「膨大な経常黒字は日本の貯蓄性向を反映している」と指摘。「対米貿易黒字が問題視されているが、そもそも関税で赤字・黒字体質を変えられるわけではないため安易な妥協はすべきではない」との見解を示した。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

景気ウォッチャーの現状判断DIは、4月統計で直近の底である42.6を記録した後、5月には+1.8ポイント改善して44.4、本日公表された6月にも+0.6ポイント上昇の45.0となっています。先行き判断DIも同様の動きを見せており、4月統計で42.7をつけた後、5月には+2.1ポイント上昇の44.8、6月も+1.1ポイント改善して45.9となっています。6月の現状判断DIをより詳しく前月差で見ると、家計動向関連のうちの住宅関連が▲4.0ポイント、サービス関連が▲2.0ポイント、それぞれ低下した一方で、飲食関連が+2.7ポイント、小売関連が+1.5ポイント、それぞれ改善を見せています。これら4コンポーネントから成る家計動向関連としては+0.3ポイント上昇の44.4となりました。また、企業動向関連では、製造業が前月から+1.1ポイント上昇の44.3、非製造業も+2.4ポイント改善の47.2と、ともに上昇しています。基本的には物価上昇、特に食料価格高騰の影響が家計関連のマインドの重しとなっていたのですが、引用した記事にもあるように、気温上昇で夏物商材の需要が増加しているほか、米国の関税政策に対する不透明感も和らいでいることが上げられます。コメ価格の高騰が大きな影響を及ぼしていると私は考えているのですが、その影響も小さくなってきた印象です。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「景気は、緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる。」から「景気は、このところ回復に弱さがみられる。」と、4月から明確に1ノッチ下方修正し、本日の6月統計でも据え置いています。また、景気判断理由集(現状)の中から、家計動向関連に着目すると、小売関連では「天候のプラス要因もあるが、前年と比べて来客数、売上が増加している。食料品では夕方の値下げ品を求める客が増えている。少しでも安価な物を求める傾向が強い(東京都=百貨店)。」といったものが目につきました。

photo

続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。季節調整していない原系列の統計では、引用した記事にもあるように、貿易・サービス収支が▲3212億円の赤字を計上したようです。ただし、私が注目している季節調整済みの系列の貿易・サービス収支に着目すると、2024年11-12月に2か月連続で2023年10月以来の黒字を計上した後、今年に入って、2025年1月から、本日公表された5月まで連続で赤字に戻っています。直近でデータが利用可能な5月は速報段階で▲1745億円の赤字を計上しています。さらに、引用した記事にもある通り、日本の経常収支は第1次所得収支が巨大な黒字を計上していますので、貿易・サービス収支が赤字であっても経常収支が赤字となることはほぼほぼ考えられません。はい。トランプ関税によって貿易収支の赤字が拡大したとしても、第1次所得収支で十分カバーできるでしょうし、引用した記事の最後のパラとは少し趣旨が異なりますが、関税で貯蓄投資バランスが大きく変化するわけでもありませんから、トランプ関税による経常収支への影響はそれほど大きくないと考えるべきです。加えて、経常収支にせよ、貿易収支・サービスにせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても特段めでたいわけでもない、と私は考えています。

|

« 基調判断が「悪化」に引下げられた5月の景気動向指数 | トップページ | インテージ「2025年上半期、売れたものランキング」やいかに? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 基調判断が「悪化」に引下げられた5月の景気動向指数 | トップページ | インテージ「2025年上半期、売れたものランキング」やいかに? »