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2025年11月 6日 (木)

実質賃金がマイナス続く9月の毎月勤労統計

本日、厚生労働省から9月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は29万7145円と前年同月比+1.9%となったものの、消費者物価上昇率を下回ったため実質賃金は前年同月比で△1.4%減と、9か月連続のマイナスを記録していますまず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから報道を引用すると以下の通りです。

9月実質賃金1.4%減、9カ月連続マイナス 物価に賃上げ追いつかず
厚生労働省が6日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で1.4%減った。賃金は伸びているものの物価上昇に届かず、9カ月連続のマイナスとなった。
名目賃金を示す1人あたりの現金給与総額は29万7145円と1.9%増えた。基本給にあたる所定内給与は26万8653円で1.9%伸びた。2025年の春季労使交渉は2年連続で高水準の賃上げにつながった。賃上げの広がりが所定内給与を押し上げたとみられる。
総実労働時間は134.2時間と0.4%減った。就業形態別では一般労働者が0.1%増の159.4時間、パートタイム労働者が1.1%減の78.4時間だった。
実質賃金の計算に使う9月の消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)の上昇率は3.4%だった。8月は3.1%で伸び率は拡大した。
コメ類の上昇率は49.2%で、8月の69.7%より下がった。昨年の秋から今年の春にかけて流行した鳥インフルエンザの影響などで鶏卵は15.2%上昇した。
厚労省は3月分から実質賃金の算出に消費者物価の総合指数を使う新方式を導入した。新方式による9月の実質賃金は1.0%減と、従来方式よりも下げ幅は0.4ポイント縮んだ。

いつもの通り、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上のパネルは名目及び実質の賃金上昇率の前年同月比であり、下は景気に敏感な製造業における所定外労働時間指数の推移です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、賃金については、9か月連続の前年同月比マイナスというのもさることながら、変動の大きな部分を除いて、「きまって支給する給与」を見ると、もっと延々とマイナスが続いている実体があります。すなわち、よくも悪くもボーナス制度が広く普及した日本の賃金システムの中で、現金給与総額の実質の伸びがプラスになったのは直近では昨年2024年11-12月です。要するに、業績見合いのボーナスが伸びて昨年末に前年比プラスになったわけで、「きまって支給する給与」はずっと長く実質マイナスが続いているわけです。しかも、今年8-9月はともに名目の伸びで+1.8%ですので、日銀物価目標を下回っています。すなわち、現在のインフレが一応の収束を見て、日銀物価目標の+2%まで落ち着いたとしても、今くらいの賃上げが続いたとすれば、勤労者の「きまって支給する給与」については前年比マイナスが続くことになりかねません。ですので、足元の物価上昇に見合う賃上げというのは労働者からすれば当然の要求としても、もしも、もしもそれが達成できないとしても、少なくとも+2%程度の賃上げは中小企業も含めて、おしなべて必要である点は理解されなければなりません。日本的な雇用慣行である年功賃金のもとで、ベースアップがなくても定期昇給によって、個別の労働者の昇給は確保されているように見えなくもないのですが、物価上昇に応じて労働者の生活を守るだけでなく、マクロの消費を喚起するために、ベースアップが必要と考えるべきです。なお、製造業の所定害労働時間、いわゆる残業時間についても景気回復局面の後半に入ってジワジワと減少傾向にあり、給与総額の伸び悩みに拍車をかけています。

最後に、本日の毎月勤労統計では夏季賞与についての公表もあり、5人以上規模の事業所で426,337円、前年から+2.9%増、30人以上では496,889円、+3.8%増となっています。

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