下方修正されマイナス幅が大きくなった7-9月期GDP統計速報2次QE
本日、内閣府から7~9月期GDP統計速報2次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比▲0.6%減、年率換算で▲2.3%減のマイナス成長を記録しています。1次QEから下方改定されており、マイナス成長は6四半期連続ぶりです。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.8%に達しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
GDP2.3%減に下方修正 7-9月改定値、設備投資マイナスに
内閣府が8日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.6%減、年率換算で2.3%減だった。11月発表の速報値(前期比0.4%減、年率1.8%減)から下方修正した。最新の経済指標を反映した結果、設備投資などが下振れした。
1次速報時と同様に、実質ベースでは6四半期ぶりにマイナスに転じた。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値(前期比0.5%減、年率2.0%減)を下回った。民間予測の幅は年率1.6%減~2.4%減だった。
設備投資が速報値の前期比1.0%増から0.2%減とマイナスに転じた。減少となるのは3四半期ぶり。12月発表の法人企業統計など各種統計を反映した。ソフトウエア投資の伸びは速報時の想定より低くなった。
GDPの過半を占める個人消費は0.2%増と速報値から0.1ポイント伸びが高まった。外食など飲食サービスがプラスに寄与し、小幅ながら3四半期連続でのプラスを維持した。
1次速報と同様に住宅投資と輸出が全体を下押しした。
住宅投資は8.2%減だった。4月から住宅の省エネルギー基準が厳しくなり、3月に生じた駆け込み需要の反動減があった。速報値の9.4%減からは上方修正となった。
輸出は速報値と変わらず1.2%減となった。米国による一連の関税引き上げの影響が自動車産業などに表れ、2四半期ぶりのマイナスとなった。
民間在庫は成長率に対して0.1ポイントのマイナス寄与だった。速報値からは0.1ポイント上向きに修正した。
政府消費は0.5%増から0.2%増に見直した。公共投資は速報値の0.1%増から1.1%減とマイナスに転じた。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇した。1次速報時の2.8%上昇から上振れした。
5年に1度実施する基準改定の影響でGDPの実額は上方修正となった。7~9月期は年換算で名目値が665兆97億円となった。1次速報の635兆8225億円から上振れした。ソフトウエア開発などについて調査対象となる会社が広がったことなどが影響した。
実質は年換算で590兆1411億円だった。1次速報では561兆7653億円だった。
ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。
| 需要項目 | 2024/7-9 | 2024/10-12 | 2025/1-3 | 2025/4-6 | 2025/7-9 | |
| 1次QE | 2次QE | |||||
| 国内総生産 (GDP) | +0.7 | +0.3 | +0.4 | +0.5 | ▲0.4 | ▲0.6 |
| 民間消費 | +0.5 | ▲0.0 | +0.7 | +0.3 | +0.1 | +0.2 |
| 民間住宅 | +0.8 | +0.4 | ▲0.0 | +0.4 | ▲9.4 | ▲8.2 |
| 民間設備 | +0.6 | ▲0.2 | +0.2 | +1.3 | +1.0 | ▲0.2 |
| 民間在庫 * | (+0.4) | (▲0.4) | (+0.6) | (▲0.0) | (▲0.2) | (▲0.1) |
| 公的需要 | +0.2 | ▲0.2 | ▲0.2 | +0.2 | +1.0 | ▲0.2 |
| 内需寄与度 * | (+0.9) | (▲0.5) | (+0.9) | (+0.4) | (▲0.2) | (▲0.4) |
| 外需寄与度 * | (▲0.2) | (+0.8) | (▲0.6) | (+0.1) | (▲0.2) | (▲0.2) |
| 輸出 | +2.2 | +1.7 | ▲0.1 | +1.9 | ▲0.3 | ▲0.3 |
| 輸入 | +3.0 | ▲1.9 | +2.4 | +1.4 | ▲0.1 | ▲0.4 |
| 国内総所得 (GDI) | +0.7 | +0.4 | +0.1 | +1.1 | ▲0.3 | ▲0.5 |
| 国民総所得 (GNI) | +0.6 | +0.0 | +0.5 | +0.7 | +0.5 | +0.3 |
| 名目GDP | +1.1 | +1.1 | +0.9 | +2.1 | +0.1 | ▲0.1 |
| 雇用者報酬 | +0.3 | +0.2 | ▲0.7 | +0.7 | +0.5 | +0.2 |
| GDPデフレータ | +2.7 | +3.0 | +3.6 | +3.3 | +2.8 | +3.4 |
| 内需デフレータ | +2.4 | +2.5 | +3.1 | +2.6 | +2.2 | +2.8 |
上のテーブルに加えて、需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期のGDP統計速報2次QEの最新データでは、前期比成長率がマイナス成長を示し、赤の民間消費のみがわずかにプラス寄与していますが、緑色の民間住宅や黒の純輸出が大きなマイナスの寄与度を示しているのが見て取れます。なお、今回から最近時点での見やすさを重視したスケールに変更しています。コロナ期の大きな振幅を無視していて、カットされる部分もあります。

先月11月15日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比▲0.4%減、前期比年率で▲1.8%減のマイナスの成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ▲0.6%減、▲2.3%減に下方修正されています。内需のうち、民間消費と民間住宅が上方修正された一方で、民間設備が大きく下方修正されています。加えて、昨年公表された産業連関表に従って、基準年次が2020年に変更されており、これに従って過去にさかのぼって、かなり大きな改定がなされています。いずれにせよ、内需・外需(純輸出)ともマイナス寄与であり、輸出とそれに起因する民間設備の停滞がマイナス成長の大きな要因となっています。ですから、やっぱり、トランプ関税の影響は大きかった、と私は考えています。加えて、先行きに関しても、米国の自動車関税が15%に設定されますので、その影響はジワジワと出てくると考えるべきです。今年上半期においては、メーカーや商社が関税によるコストアップを価格引下げで応じた結果であり、この対応はいかにも日本的といえますが、決してサステイナブルではありません。ですので、この先には自動車輸出の数量が停滞する局面が待っている可能性は否定できません。ただし、米国がこのままソフトランディングに成功して、景気後退にならなければ、日本も早々景気後退に陥ることはない、と私は楽観しています。いずれにせよ、景気後退ともなれば雇用をはじめとして急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性もあるのではないか、と私は考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は低く、加えて、従来タイプの深刻な景気後退ではない可能性もある、といったところです。

また、本日、内閣府から11月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.4ポイント低下の48.7で7か月ぶりの低下となり、先行き判断DIも▲2.8ポイント低下の50.3を記録しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直している」で据え置いています。

さらに、本日、財務省から10月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+2兆8335億円の黒字の黒字を計上しています。7か月連続の黒字です。
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