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2025年12月 4日 (木)

2次QE予想は下方修正だが先行き景気腰折れには至らず

今週12月1日の法人企業統計をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、来週12月8日に、7~9月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である7~9月期ではなく、足元の10~12月期から来年にかけて先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。先行き経済について言及しているシンクタンクはみずほリサーチ&テクノロジーズや第一生命経済研や明治安田総研などであり、特にみずほR&Tは詳細に分析していますので長々と引用してあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、2次QEは法人企業統計のオマケのように扱われている場合も少なくありません。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.4%
(▲1.8%)
n.a.
日本総研▲0.6%
(▲2.4%)
2025年7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が大幅に下方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率▲2.4%(前期比▲0.6%)と、1次QE(前期比年率▲1.8%、前期比▲0.4%)から下振れると予想。
大和総研▲0.5%
(▲1.9%)
2025年7-9月期のGDP2次速報(QE)(12月8日公表予定)では実質 GDP 成長率が前期比年率▲1.9%と、1次速報(同▲1.8%)から小幅に下方修正されると予想する。主因は7-9月期の法人企業統計の結果を受けた設備投資の下方修正だ。
みずほリサーチ&テクノロジーズ▲0.5%
(▲2.2%)
先行きについてみると、米国関税政策が引き続き輸出・生産の重石になり、製造業の業績下押しが設備投資に対し一定の抑制要因になることが見込まれる。他方で、上記の一時的なマイナス要因が剥落することに加え、インフレ率が徐々に減速して個人消費が回復し、10~12月期は実質GDPが再びプラス成長に戻るだろう。
今後、企業による関税コストの価格転嫁は時間をかけて段階的に実施されるとみられる。米国関税政策が輸出のさらなる減少を通じて日本経済を下押しする影響は、長引くものの、各期のインパクトは浅いものにとどまる見込みだ。9月の米国の消費者物価指数は前月比+0.3%と、8月(同+0.4%)から減速した。これまで関税コストの価格転嫁が進んでいなかった衣料品や新車等で物価上昇の動きがみられる一方、既に価格転嫁が進んでいた家具や玩具などは価格上昇が一服している。関税によって米国で急激なインフレが生じるリスクが低下していることに加え、堅調なAI関連投資や株価の上昇による下支えを受けて、米国景気の減速ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。
また、企業業績への影響という点では、円安が関税の悪影響を緩和する要因になろう。輸出企業の採算円レート(輸出企業全体で130.1円/ドル、輸送用機器で124.7円/ドル)に比べ、本稿執筆時点のドル円相場(1ドル=156円程度)は輸出企業全体で約20%、輸送用機器で約25%の円安水準にある。もちろん、円安は内需に依存する非製造業や中小企業などで原材料コストの上昇を通じ業績の下押し要因になる面もあるが、原油安による交易条件の改善も相まって、全体としてみれば企業業績は持ちこたえる可能性が高い。その結果、設備投資は増加基調を維持し、2026年にかけて賃上げ気運も継続するだろう。2026年の春闘賃上げ率は2025年対比でやや鈍化するものの、5%前後の高い水準で着地すると予想する(厚生労働省・主要企業ベース)。
個人消費については、実質賃金の改善が回復をけん引する要因になるとみている。人手不足感の強まりに加えて、米国関税政策の悪影響の中でも企業業績が持ちこたえている状況を受けて、冬のボーナスは増勢を維持する見込みだ。みずほリサーチ&テクノロジーズでは、冬の民間企業の一人当たりボーナス支給額が前年比+2.2%と、昨冬から伸びが鈍化するものの冬としては5年連続で前年比プラスになると予想している。また、物価面では食料インフレが徐々に鈍化することが見込まれ、実質賃金の改善に寄与するだろう。
その他の消費関連指標をみても、10月の消費者態度指数や景気ウォッチャー調査における現状判断DIが改善傾向で推移している。インフレ率の減速に加え、株高による消費者マインドの改善も押し上げ要因になり、個人消費は緩やかながらも回復傾向が継続するだろう。
以上を踏まえ、日本経済は前述したとおり関税影響が重石になるものの、現時点では景気後退入りを回避できる公算が大きいとみている。
ニッセイ基礎研▲0.6%
(▲2.2%)
12/8公表予定の25年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.6%(前期比年率▲2.2%)となり、1次速報の前期比▲0.4%(前期比年率▲ 1.8%)から下方修正されると予想する。
第一生命経済研▲0.5%
(▲2.2%)
住宅投資の落ち込みに歯止めがかかることや設備投資の増加によって10-12月期のGDP成長率はプラスに転じるとみられるが、輸出の下押しが影響することで、7-9月期の落ち込みと比べると小幅な持ち直しにとどまると予想している。牽引役に欠けるなか、年度下期の日本経済は緩やかな持ち直しにとどまる可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.5%
(▲1.9%)
2025年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-0.5%と1次速報値の同-0.4%からやや下方修正される見込みである(前期比年率換算値では-1.8%から-1.9%に下方修正)。修正幅は小さく、「下振れ懸念が強まる中にあっても景気の持ち直しの動きは維持されている」との景気判断を修正する必要はないであろう。
明治安田総研▲0.5%
(▲2.1%)
先行きに関して、個人消費は、12月に実質賃金のプラス転換が予想されるものの、伸び幅は限定的で力強さを欠く可能性が高い。また、米国の関税政策は引き続き自動車を中心に輸出の下押し圧力になるとみられる。一方、7-9月期の住宅投資の落ち込みは、建築基準法改正を前にした3月の着工件数急増の反動がタイムラグをもって顕在化したことが主因であり、一時的である可能性が高い。加えて、継続的な省力化投資が後押しするかたちで設備投資が堅調に推移すると見込まれることから、年度後半の日本景気は緩慢ながらも回復基調を維持すると予想する。
東京財団+0.05%
(+0.20%)
2025年10-12月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、0.05%と予測。※年率換算: 0.20%

一応、ご注意まで、私のテーブルの作成が判りにくくて申し訳ありませんが、最後の東京財団のナウキャスティングは2次QEの対象期間である7~9月期ではなく、足元の10~12月期の予想です。
月曜日の12月1日に法人企業統計を取り上げた際にも指摘しましたが、設備投資をはじめとして小幅に下方修正の可能性が高いと私は考えています。大雑把に、各シンクタンクとも私と同じ趣旨の予想だという気がします。ということで、先行きの日本経済について考えると、私は景気拡大が後半に入ったことを認識しつつも、繰り返し、米国経済が景気後退に陥らずにソフトランディングするとすれば、日本経済もそう簡単には景気後退に入らない、との見方を示してきました。しかし、今春あたりから、前半の米国経済に関する前提が崩れつつあるように感じて、もしも、米国経済が今年後半ないし来年早々に景気後退に入るとすれば、日本もご同様であろう、と考えるように改めましたが、ふたたび、やっぱり、米国経済が景気後退に陥らずにソフトランディングするとすれば、日本経済もそう簡単には景気後退に入らない、との見方に戻りつつあります。少なくとも、日本経済については足元の10~12月期はプラス成長に戻る可能性が十分あり、来年2026年からさ来年2027年にかけてならせば、潜在成長率見合いの+0.5~1.0%のレンジの緩やかな成長が続く、と国際通貨基金(IMF)や経済開発協力機構(OECD)は見込んでいるようです。いつも通り、ケインズ卿の言回しで "When the facts change, I change my mind. What do you do, sir?" というのを上げておきます。
最後に、下のグラフはみずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。消費をはじめとして内需が軒並みマイナス成長で、しかも、純輸出=外需もマイナス成長である中で、公的需要だけがプラス寄与しています。マクロ経済安定化政策のあるべき姿であろうと思います。

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