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2026年1月15日 (木)

上昇率が縮小した12月の企業物価指数(PPI)

本日、日銀から昨年2025年12月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.4%の上昇となり、58か月連続の上昇です。先月11月統計からやや伸びは縮小したとはいえ、日銀物価目標の+2%を上回って高い上昇率が続いています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。


国内企業物価12月は前年比2.4%上昇、24年4月以来の低い伸び
日銀が15日に発表した12月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比2.4%上昇した。農林水産物や非鉄金属などが上昇に寄与した。58カ月連続プラスとなったが、伸び率は縮小して2024年4月(1.2%上昇)以来の低さとなった。前月比では0.1%上昇だった。
指数は2020年水準を100として128.1。指数は比較可能な1980年以降で最高水準となっている。
前年比の上昇で最も指数の押し上げに寄与したのは農林水産物で、前年比26.8%上昇した。集荷業者が農家に支払う概算金が引き上げられたことがコメの値上がりにつながったほか、鳥インフルエンザ発生の影響で鶏卵も上昇した。
非鉄金属は銅、金などの市況上昇の影響で、飲食料品は原材料や包装資材などの諸コスト上昇を転嫁する動きなどでそれぞれ値上がりした。
全515品目中、前年比で上昇したのは364品目、下落は127品目。差し引きは237品目。
日銀の担当者は「今月は銅をはじめとする非鉄金属市況の上昇と、原油市況の下落がおおむね相殺し、全体として小動きとなった」と説明した。
前年比の伸び率は縮小傾向にあるものの、専門家は「高市政権の拡張的な財政政策への懸念などから円安が進行しており、輸入物価の上振れがラグを伴って国内企業物価の上昇圧力となる」(大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏)と指摘する。先行きについては「政策効果の影響を除けば、伸び率は徐々に下げ渋っていく公算が大きい」(同)という。
合わせて公表された2025年(暦年)の企業物価指数は前年比3.2%上昇で、伸び率は前年の2.4%から加速した。農林水産物、飲食料品、非鉄金属などが上昇に寄与した。

インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下のパネルは国内物価指数そのものを、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.4%でした。実績の+2.4%はジャストミートしましたが、引き続き、日銀物価目標の+2%を大きく上回っていることは事実です。国内物価が上昇率が高止まりしている要因は、引用した記事の3パラ目にもあるように、農林水産物とそれに連動した飲食料品の価格上昇です。引き続き、コメなどが高い上昇率を示しています。また、対ドル為替相場は、高市内閣の成立により円安が進んでおり、2025年10月+2.2%、11月+2.6%の円安の後、12月も+0.5%の円安となり、平均で対ドルレートは150円台半ばを記録しています。さらに、私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年1月)を参考として見ておくと、1月のWTI原油先物価格は、米国によるベネズエラ攻撃やイランにおける反政府デモの激化などから、地政学的リスクの増大を通じた供給懸念により一時60ドル台に乗せたものの、先行き見通しについては「原油価格は、年央にかけて50ドル台前半に下落する見通し。」とされています。加えて、「ベネズエラにおける急速な原油増産は困難」と指摘しています。ただ、円ベースの輸入物価指数の前年同月比は、今年2025年2月から11か月に渡ってマイナスを続けてきましたが、12月統計では前年同月から横ばいを示しています。いずれにせよ、国内物価の上昇は原油価格ではなく国内要因による物価上昇であることは明らかです。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず、引用した記事にもある通り、農林水産物は2025年11月の+29.8%からやや減速したとはいえ、12月も+26.8%と高止まりしています。これに伴って、飲食料品の上昇率も12月は+5.0%と、前月11月の+5.1%とほぼ同じ上昇率となっています。電力・都市ガス・水道は11月の▲1.0%から、12月は▲4.5%と政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業により下落幅を拡大しています。ただ、この政策は3月使用分までですので、4月からはどうなるのか不透明です。引用した記事の4パラ目にもある非鉄金属は11月の+14.9%から12月には+22.1%と上昇幅が大きく拡大しています。

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