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2026年1月13日 (火)

2か月連続で悪化した12月の景気ウォッチャーと貿易黒字が拡大した11月の経常収支

本日、内閣府から昨年2025年12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2025年11月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下の48.6、先行き判断DIは+0.2ポイント上昇の50.5を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+3兆6741億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気12月は0.1ポイント低下、2カ月連続悪化 物価高など重荷
内閣府が13日に発表した12月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは48.6となり、前月から0.1ポイント低下した。2カ月連続のマイナスで、回答者からは物価高や中国からの渡航自粛の影響について言及があった。
現状判断DIのトレンドを見極める上で重視している3カ月移動平均は48.8で、前月から0.5ポイント上昇した。内閣府の担当者は「全体として前月から大きく変化はなかった」とし、ウオッチャーの見方も「景気は、持ち直している」で据え置いた。
指数を構成する3部門では、雇用関連が前月から1.4ポイント上昇し49.5となった。一方、家計動向関連が48.2、企業動向関連が49.2と、それぞれ0.3ポイント低下した。家計関連では「物価高の影響により、忘年会シーズンの飲食店への納品が増加せず、お歳暮商品の売り上げも伸びなかった」(四国=一般小売店[酒])、企業関連では「物価高に伴うコストの拡大に対して、価格転嫁が進んでいない」(中国=通信業)といったコメントがみられた。
中国の渡航自粛の影響については「中国からのインバウンドの減少は回復のめどが立たず、長引くことが懸念される」(近畿=旅行代理店)といった指摘があった。
日銀の利上げ実施に関しては「金利上昇で企業の資金繰りや個人ローン返済に与える影響が懸念され、景気回復が勢いづくことは見込めない」(九州=金融業)など、相対的にネガティブな影響を指摘する声が多かった。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から0.2ポイント上昇の50.5。2カ月ぶりに前月を上回った。内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」とまとめた。
調査期間は12月25日から31日。日銀は18-19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に引き上げることを全員一致で決めた。
経常黒字、11月は前年比10%増 貿易黒字拡大で
財務省が13日発表した国際収支状況速報によると、11月の経常収支は前年同月比10%増の3兆6741億円の黒字と、ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測とほぼ同水準だった。黒字は10カ月連続。貿易収支の黒字幅が拡大したことが主因。
海外子会社からの配当収入などを示す第一次所得収支の黒字幅は前年から65億円拡大し、3兆3809億円となった。第二次所得収支は2880億円の赤字と、赤字幅が縮小した。
貿易収支は6253億円の黒字と、黒字幅が前年から5062億円拡大。半導体・電子部品、医薬品、非鉄金属などの輸出がアジア向けを中心に伸びた一方、輸入は3カ月ぶりに減少に転じた。
ドル/円相場は155.12円と前年比0.9%の円安(インターバンク直物相場・東京市場中心値の月中平均レート)だった。
一方、訪日外国人客(インバウンド)は前年比10.4%増の351万人と11月としては過去最高となった。ただ、出国日本人の増加やインバウンドの消費単価の減少などから、旅行収支は黒字が前年比1055億円減り、4524億円となった。旅行収支を含むサービス収支は441億円の赤字に転じた。
農林中金総合研究所の理事研究員、南武志氏は、かつての国際収支のけん引役だった貿易黒字の拡大は、4月以降のトランプ関税による輸出減少の反動増の可能性があると指摘、今後の展開には引き続き注視が必要とした。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では昨年2025年10月統計の49.1まで6か月連続で上昇を記録した後、11月48.7、そして、本日公表の12月48.6と2か月連続で低下しています。先行き判断DIも同様に上昇を見せており、10月統計は前月から+4.6ポイント上昇の53.1となっています。他方、先行き判断DIはやや荒っぽい動きを見せており、昨年2025年10月統計で前月から+2.8ポイントの大きなジャンプを見せて53.1を記録した後、11月50.3、12月50.5と推移しています。本日公表の昨年2025年12月統計の季節調整済みの現状判断DIをより詳しく前月差で見ると、家計動向関連のうちでは、小売関連が▲1.8ポイントの低下のほかは、飲食関連が+6.5ポイント、住宅関連が+3.3ポイント、サービス関連も+0.5ポイント、それぞれ上昇しています。住宅関連については、11月統計で前月から▲3.3ポイント低下した反動が戻っただけであり、ならしてみれば、前々月の10月統計から横ばいにしか過ぎません。したがって、それほど改善したという印象ではありません。企業関連では、製造業が+1.6ポイント上昇したものの、非製造業は逆に▲2.0ポイント低下しています。製造業でも、米国の通商政策の影響が一巡した可能性が十分あります。また、家計関連と企業関連とは別の雇用関連は前月から+1.4ポイント上昇しています。人手不足の影響かもしれません。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を昨年2025年10月統計から「景気は、持ち直している」と上方修正し、12月統計でもこれを据え置いています。ただし、国際面での米国の通商政策とともに、国内では価格上昇の懸念は大いに残っていて、今後の動向が懸念されるところです。景気判断理由の概要について、引用した記事にもいくつかありますが、内閣府の調査結果の中から、近畿地方の家計動向関連に着目すると、「様々な値上げが影響しており、特に米については新米の価格も高く、販売量が伸びない。クリスマスケーキやおせちの予約も、前年を下回っている(スーパー[企画担当])。」といった物価上昇の悪影響を上げた意見を見かけました。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは実績とほぼ同水準の黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、+3.6兆円余りの黒字の見込みでしたので、実績の+3.6兆円兆の黒字はほぼ市場のコンセンサスに一致しています。季節調整していない原系列の統計では、引用した記事にもあるように、貿易収支が+6000億円を上回る大きな黒字を記録したのに加え、第1次所得収支が3兆円を上回る黒字を計上しています。何といっても、日本の経常収支は第1次所得収支が巨大な黒字を計上していますので、貿易・サービス収支が赤字であっても経常収支が赤字となることはほぼほぼ考えられません。はい。トランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支の赤字が拡大したとしても、第1次所得収支で十分カバーできると考えるべきです。ですので、経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても特段めでたいわけでもない、と私は考えています。ただ、米国の関税政策の影響でやたらと変動幅が大きくなるのは避けた方がいいのは事実です。

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