天候要因に左右される1月の景気ウォッチャーと黒字が続く12月の経常収支
本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2025年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下の47.6、先行き判断DIは+0.6ポイント上昇の50.1を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+7288億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。
街角景気1月は0.1ポイント低下、3カ月連続の悪化 大雪など影響
内閣府が9日に発表した1月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは47.6となり、前月から0.1ポイント低下した。3カ月連続のマイナスとなった。調査期間中は大雪などに見舞われた地域が多く、内閣府は基調判断に天候の影響を加えた上で景気は「持ち直している」とした。
指数を構成する3部門では、企業動向関連が前月から0.9ポイント上昇して49.5となった。一方、家計動向関連が0.1ポイント低下して47.1、雇用関連は1.4ポイント低下して47.2となった。
今回は「大雪」や「寒波」に関するコメントが多くみられた。内閣府の担当者は、天候要因は一時的なものであるものの「全国的に景況感に影響を及ぼしたのは否めない」とみている。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から0.6ポイント上昇の50.1。2カ月連続で前月を上回った。内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」とまとめた。
調査期間は1月25日から31日。
経常収支12月は7288億円の黒字、2025年黒字額は過去最高=財務省
財務省が9日発表した国際収支状況速報によると、12月の経常収支は7288億円の黒字となった。ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予測中央値1兆0604億円程度の黒字を下回った。
経常黒字は、11カ月連続。但し黒字幅は大きく減速し、対前年比3430億円黒字幅が縮小した。
サービス収支が赤字転化したため、全体の黒字幅は縮小した。また、6月と12月は季節的な要因として、海外への配当金の支払い増加で証券投資収益の赤字幅が拡大することも挙げられる。
貿易・サービス収支は2052億円の赤字だった。海外からの研究開発サービスの受取額の減少に伴うもの。
悪化する日中関係も、経常収支に影響している。12月の旅行収支は、インバウンド訪日外国人観光客のうち中国人が前年比45%減少したことから、黒字が21.5%の減少を記録した。
経常収支の稼ぎ頭で、海外への直接投資からの収益や海外の子会社からの配当の受け取り等からなる第1次所得収支は1兆1894億円の黒字となり、第2次所得収支は2554億円の赤字だった。
2025年暦年では、経常収支は31兆8799億円の黒字となり、前年比3兆1931億円黒字幅が拡大した。1985年以降過去最大の黒字額となった。貿易収支が赤字幅を縮小したため経常黒字が膨らんだ。また、第一次所得収支が黒字幅を拡大したことが、貿易・サービス収支の赤字を補って余りある経常黒字をもたらした。
長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では昨年2025年10月統計の48.2まで6か月連続で上昇または横ばいを記録した後、11月48.0、12月47.7、そして、本日公表の2026年1月47.6と3か月連続で低下しています。ただし、現状では横ばい圏内の動きであり、それほど大きな低下というようには見えません。逆に、先行き判断DIは1月統計で上昇を見せており、こちらは2025年12月、今年2026年1月と2か月連続の上昇を記録しています。本日公表の昨年1月統計の季節調整済みの現状判断DIをより詳しく前月差で見ると、家計動向関連のうちでは、住宅関連が▲4.6ポイントの低下のほかは、飲食関連が+2.0ポイント、サービス関連も+1.7ポイント、小売関連が+0.6ポイント、それぞれ上昇しています。したがって、それほど悪化したという印象ではありません。企業関連では、製造業が+1.9ポイント上昇し、非製造業も+0.9ポイント上昇しています。製造業でも、米国の通商政策の影響が一巡した可能性が十分あります。ただし、家計関連と企業関連とは別の雇用関連は前月から▲2.5ポイント低下しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を昨年2025年10月統計から「景気は、」と上方修正し、1月統計でも基本的にこれを据え置いています。ただし、「持ち直している」の前に「天候要因の影響がみられるが」をつけて、やや留保気味の姿勢を見せています。私の理解がよく進まないのですが、天候要因よりも、国際面での米国の通商政策とか、国内では物価上昇の方が重要ではないか、という気がするものの、いずれにせよ、今後の動向が懸念されるところです。景気判断理由の概要については、内閣府の調査結果の中から近畿地方の家計動向関連に着目すると、「年明け以降、気温が急激に下がる日が続き、暖房器具の販売が少し伸びた一方、雪が積もる地域では来客数が減り、販売量が減少している(家電量販店)。 」といった天候の影響も確かに見かけました。

続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+1兆円余りの黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、+1兆円余りの黒字の見込みでしたので、実績の+7000億円超の黒字はやや下振れした印象です。季節調整していない原系列の統計では、引用した記事にあるような季節変動がならされて、2.7兆円近い黒字を計上しています。何といっても、日本の経常収支は第1次所得収支が巨大な黒字を計上していますので、貿易・サービス収支が赤字であっても経常収支が赤字となることはほぼほぼ考えられません。はい。トランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支の赤字が拡大したとしても、第1次所得収支で十分カバーできると考えるべきです。ただ、経常黒字幅がかなり大きくなってきており、私の計算では2025年7~9月期にはGDP費で5%を超えています。ですので、その昔の米国に次ぐ世界第2位の経済大国であったころには、何らかの対外摩擦を生じていた可能性すらあります。いずれにせよ、対外不均衡の問題が経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても特段めでたいわけでもない、と私は考えています。ただ、米国の関税政策の影響でやたらと変動幅が大きくなるのは避けた方が望ましいのは事実です。
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