+2.6%の高い上昇が続く1月の企業向けサービス価格指数(SPPI)
本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月2025年12月から変わらず+2.6%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は前月から▲0.1%ポイント鈍化して+2.6%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業向けサービス価格、1月は前年比2.6%上昇 中国人客減少で「宿泊」の伸び鈍化
日銀が25日に公表した1月の企業向けサービス価格指数速報は前年比2.6%上昇で、伸び率は前月から横ばいとなった。インバウンドの増勢鈍化で宿泊サービスなどが押し下げたが、全体として方向感を欠く動きとなった。前月比は0.5%低下で、2025年6月以来のマイナスだった。
「諸サービス」は前年比3.0%上昇で、前月から伸びが鈍化した。中国政府による渡航自粛要請を受けて中国人観光客が減少し「宿泊サービス」の前年比プラス幅が縮小した。
一方、「広告」は前年比3.1%上昇で、プラス幅が前月から拡大した。「インターネット広告」において検索連動型広告や動画広告向けの出稿需要が堅調に推移。「雑誌広告」でも、地方自治体向けなどの高単価案件がけん引した。
調査対象146品目のうち、上昇は117品目、下落は12品目で、その差は105品目。日銀の担当者は「全体として方向感のない動きとなった」と指摘。先行きについて、各種コストの上昇分を価格転嫁する動きの持続性や、宿泊サービスなどサービスの先行き、国際商品市況や海運市況の動向を注視していくと述べた。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では「高人件費率サービス」が前年比3.0%上昇と、伸び率は前月から変わらず。ソフトウエア開発や建物サービス、情報処理提供サービスが小幅に押し上げ寄与した一方、土木建築サービスが押し下げた。「低人件費率サービス」は同2.0%上昇で、前月の同2.4%上昇から縮小した。宿泊サービスが押し下げ方向に影響した。
注目の物価指標だけに、やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、直近のピークは昨年2025年5月統計で+3.1%を記録した後、昨年12月に+2.4%、そして、もっとも最近おデータが利用可能な今年2026年1月統計で+2.3%となるまで、緩やかに減速を続けています。他方、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、昨年2025年9月に+3.1%と直近のピークをつけた後、昨年2025年12月、今年2026年1月ともに+2.6%まで上昇率が縮小してきています。ただし、いずれも、日銀物価目標の+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、減速しつつあるとはいえ+2%台半ばから後半の上昇率はデフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ても、低人件費比率のサービス価格であっても+2%台の上昇率を示しており、高人件費率のサービスでは+3%台の上昇率が続いています。すなわち、人件費をはじめとして幅広くコストアップが価格に転嫁されている印象です。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っているという意味は、企業サイドから見れば人件費以上の過剰な価格転嫁が行われている一方で、家計サイドから見れば国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。ですので、私の従来からの主張ですが、企業サイドの利潤を減少させることにより労働分配率を上昇させ、物価上昇を引き起こすことなく賃上げを実現することが可能です。法人企業統計を見ても、ここまで利益剰余金が積み上がっているんですから、3~5年くらいは物価上昇なしに賃上げが可能ではないか、と私は直感的に試算しています。名だたるエコノミストが誰もこの点を主張しないのは私にはとても不思議です。何か、マズいことがあって忖度が働いているのかもしれません。
最後に、もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された1月統計のヘッドラインSPPI上昇率+2.6%への寄与度で見ると、土木建築サービスや建物サービスや労働者派遣サービスといった諸サービスが+1.16%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率のほぼ半分を占めています。諸サービス以外では、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.50%、さらに、道路貨物輸送や鉄道旅客輸送や道路旅客輸送などの運輸・郵便が+0.34%、ほかに、不動産+0.19%、リース・レンタルが+0.14%、広告が+0.13%、金融・保険が+0.05%などとなっています。引用した記事の2パラ目にあるように、中国からの渡航自粛の影響はあるようで、宿泊サービスの上昇率は2025年12月の10.9%から今年2026年1月には+4.5%に減速したものの、まだまだ高い伸びが続いています。
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