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2026年3月 2日 (月)

高市政権の消費減税と成長戦略やいかに?

先週木曜日の2月26日に大和総研から「高市政権の消費減税と成長戦略を検証する」というタイトルのリポートが明らかにされています。2年間の飲食料品の消費税率を免除する一方で、責任ある積極財政として成長戦略や危機管理強化の方向を目指しています。まず、リポートから要約を3点引用すると次の通りです。

[要約]
  • 高市早苗政権は2年間の飲食料品の消費税ゼロに向けて議論を加速させる方針である。しかし、この消費減税は、年間約5兆円の歳入減が生じる一方でGDP押し上げ効果は0.3兆円にとどまる。基礎控除の引き上げなどの家計支援策がすでに実施され、物価上昇率の低下も見込まれる中、必要性の乏しい政策だ。
  • 消費減税の財源を「成長投資」や「危機管理投資」に充てる方が、供給面に課題を抱える日本経済にとっては有効だ。その際には、政権が掲げる17分野に均等に資源を投入するのではなく、半導体・AIなど経済成長への効果が大きい分野に重点的に投資をするなど、政策目的と効果の大きさに応じたメリハリが重要となろう。
  • 危機管理投資においても、発生頻度の低いリスクを完全に抑制することを目指すと費用対効果の面で効率が悪い。中国からのレアアース等の輸入途絶など、リスクの発生頻度が比較的高く、影響の大きい分野に絞って進めることが肝要である。

まず、飲食料品(軽減税率対象)の消費税ゼロによる日本経済への影響 について、リポートから引用すると次の通りです。

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経済効果については、消費喚起や成長率押上げで考えているようで、財政負担に比較して「経済効果は小さい」という結論のようです。加えて、消費者物価上昇率も日銀目標の+2%にアンカーされつつあるので、物価対策としても必要性低い、ということのようです。評価基準がそうであれば、私もこの結論に賛成します。ただ、逆進的な消費税に関して低所得者家計をはじめとする国民生活の観点からは、別の評価がありそうな気がします。特に、食料品は価格弾性値が低く、消費税を免税にしても実質消費が増加する割合は高くないため、消費喚起や成長率押上げ効果で評価するのは疑問があります。私自身は、食料品だけでなく消費税率の一律引下げが、国民生活の安定や工場に有効だと考えるのですが、取りあえずの政策としては、食料品の消費税軽課の有効性は否定できません。

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続いて、リポートから 高市政権が掲げる17の戦略分野と分野横断的課題 を引用すると上の通りです。成長投資と危機管理投資がグラデーションになっていて、両方にまたがる投資分野もあります。日本経済が供給面で弱点あるというのは事実その通りなのですが、その弱点をどこまで政府と企業とで負担するかは議論のあるところです。例えば、小川英治[編] (2023) 『ポストコロナの世界経済』(東京大学出版会)、特に第2章では、デカップリングという用語を用いて、経済制裁を意味する攻撃的なデカップリングと対比する形で、供給確保などの経済安全保障を防衛的なデカップリングと呼び、その防衛的なデカップリングでは、輸入依存度の高さだけを問題とするのではなく、供給の途絶リスクの蓋然性に加えて、どの程度の期間で代替が可能となるかを分析することが必要とし、こういった対応は、「民間企業による効率性とリスク対応のバランスに関する意思決定の中で、かなりの程度は解決済みである。」と結論しています。私自身は公務員や教員を長らくしていて、企業に勤務した経験は乏しいのですが、基本はこの通りだと理解しています。それほど政府が経済安全保障の観点から手厚く企業を保護する必要については懐疑的です。

1980年代以降、世界的に新自由主義的な経済政策が採用されて、かなり露骨に企業を優遇し国民生活を顧みない経済政策が優先されてきたと私は考えています。しかし、企業や富裕層を優遇して、それが結果的に中間層や低所得層にトリクルダウンするというのは、アベノミクス期の経験から明確に否定されました。しかし、そういった方向性を明らかにした政権選択選挙たる2月の総選挙で、国民はその方向を選択しました。この先、数年に渡って国民生活を犠牲にして企業が優遇される経済政策が続く可能性は否定できません。

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