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2026年4月30日 (木)

ヤクルトに大勝して首位固め

  RHE
阪  神301002310 10160
ヤクルト020000000 281

【神】 西勇、湯浅、工藤、早川、石黒 - 伏見
【ヤ】 高梨、木澤、荘司、田口 - 古賀、鈴木叶

ヤクルトに大勝して首位固め、西勇投手が2年ぶりの勝ち投手でした。
初回に大山選手のタイムリーで先制し、ラッキーセブンには佐藤輝選手のホームランも飛び出しました。昨日と同じ1-2番ながら、今夜も岡城外野手が3安打で躍動ました。佐藤輝選手も3安打で、ひょっとしたら、現時点でセ・リーグの打撃三冠ともトップかもしれません。小幡選手に至っては4安打と打率を稼ぎました。先発の西勇投手が5回を2失点と試合をまとめ、リリーフ陣も大量得点差を背景に無難に抑え切りました。8回表の阪神の攻撃時、頭部付近のボールで森下選手がフォアボールとなった際に、ヤクルト池山監督がベンチを出て脱帽し、謝罪の姿勢を取ったのは、まさに、スポーツマンとしてあるべき姿を見た気がしました。

明日からのジャイアンツ戦も、
がんばれタイガース!

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2か月連続の減産となった3月の鉱工業生産(IIP)と商業販売統計

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。いずれも3月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.5%の減産、2か月連続の減産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額もは、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の14兆3060億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.3%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産3月は0.5%低下、2カ月連続マイナス 化学減産響く
経済産業省が30日公表した3月の鉱工業生産指数速報は前月比0.5%低下で2カ月連続のマイナスとなった。ロイターの事前予測調査では1.1%上昇と予想されており、予想外に低下した。ナフサを原料とするポリエチレンなどを製造する化学工業の減産が響いた。
同省は化学工業の減産について、中東情勢の影響やナフサ分解炉などの定期修理が集中したことが要因と説明。どちらの影響が大きいかは不明としている。
<ポリエチレン約3割減産、化学は先行きも減産見込み>
基調判断は「総じてみれば、生産は一進一退で推移」とした。
企業の生産計画に基づく予測指数は4月が前月比2.1%上昇、5月は2.2%上昇となった。生産計画は上振れ傾向があるため、これを勘案した補正値は4月が前月比0.7%の低下となった。
業種別で押し下げに寄与したのは無機・有機化学(前月比8.6%減)のほか、汎用・業務用機械(4.3%減)、石油・石炭製品(7.7%減)など。ポリエチレンは29.8%の大幅減産となり、合成ゴムも13.8%減だった。ガソリンは7.3%、軽油が14.3%それぞれ減少した。
一方、航空機用発動機部品や半導体製造装置、電子回路基板などは前月比で増産だった。
化学工業の生産予測は4月が前月比1.9%減、5月は2.8%減。減産予測と中東情勢の関係は「分からない」と経産省は説明している。
同省は中東情勢を受けた燃料油の動向について追加資料を発表。3月の生産はジェット燃料が前月比0.7%減、灯油が13.8%減、重油は1.4%増だった。
3月小売業販売額は前年比+1.7%=経産省(ロイター予測: +0.8%)
経済産業省が30日に発表した3月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比1.7%増となった。ロイターの事前予測調査では0.8%増が予想されていた。
業種別の前年比は、自動車9.0%増、その他小売業5.2%増、医薬品・化粧品2.8%増、各種商品1.4%増、機械器具0.7%増、飲食料品0.4%増など。
業態別前年比は 百貨店2.2%増、スーパー1.3%増、コンビニ2.3%増、家電大型専門店4.4%増、ドラッグストア5.8%増、ホームセンター3.4%増。

やや長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。ただ、後の方の商業販売統計の記事は「この記事はこの後更新します。」とされていますが、1時半現在で更新されていません。このご、更新される可能性が十分あります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の最初のパラにもありますが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、ともに、3月の鉱工業生産は+1.1%の増産が予想されていましたので、実績の▲1.1%の減産は下振れしたと考えるべきです。その主要な原因はナフサ由来の化学工業製品にあることが示唆されています。なお、ロイターの別の記事「ポリエチレンなどの国内在庫は1.8カ月分、3月生産8.6%減=経産省」では、「ポリエチレンやポリプロピレンといったナフサ由来の化学製品の在庫は国内需要の1.8カ月程度」という経済産業省の発表を報じています。また、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から1年半余り連続の据置きです。先行きについては記事にもある通り、製造工業生産予測指数を見ると、足下の4月は+2.1%の増産で、翌5月も+2.2%の増産となっていますが、指数の上振れ傾向を補正した試算値では4月は▲0.7%の減産とされています。ただし、私の直感ながら、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の混乱から先行きはまったく不透明としかいいようがありません。引用した記事のタイトルにもありますが、化学工業の減産が大きくなっています。経済産業省の解説サイトによれば、3月統計における生産は、減産方向に寄与したのはポリエチレンや合成ゴムなどの無機・有機化学工業が前月比▲8.6%減、寄与度▲0.35%、コンベヤや水管ボイラなどの汎用・業務用機械工業が前月比▲4.3%減、寄与度▲0.33%、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品工業が前月比▲7.7%減、寄与度▲0.13%、となっており、逆に、増産方向に寄与したのは、航空機用発動機部品や船用ディーゼル機関などの輸送機械工業(除、自動車工業)が前月比+10.5%増で+0.29%の寄与度、などとなっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が縮小し、3月統計では+1.7%増を記録しています。季節調整済み指数の前月比も、+1.3%の上昇を記録しています。統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の3月統計までの3か月後方移動平均の前月比が+0.8%の上昇であることから、先月までの「一進一退」から明確に1ノッチ上方修正して「緩やかな上昇傾向」に改定しています。ただし、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、3月統計ではヘッドライン上昇率は+1.5%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.8%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の3月統計は実質消費がプラスかマイナスかは微妙なところであると私は考えています。

最後に、ニュースなどで散発的に流れているナフサ由来のプラスチックなどの化学工業製品の不足が統計的に裏付けられたと私は受け止めています。もちろん、ナフサを経由せずとも燃料油の不足も報じられており、いずれも、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東情勢に起因するわけです。私なんぞはノホホンと能天気に、二酸化炭素排出の削減やプラごみの減少にもつながる、といった面を考えないでもないのですが、死活問題という企業や関係者も少なくないものと想像しているのも事実です。短期的には、こういった石油や石油製品の供給を確保する一方で、代替品の開発も進める必要を忘れてはなりません。最後の最後に、ゴールデンウィーク休暇が明ければ、政府も本格的に石油や石油製品の節約・消費抑制に乗り出すのではないか、といった見方が一部のSNSなどで現れ始めています。私の方では確認しようがありませんが、どこまでホントなんですかね。

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2026年4月29日 (水)

髙橋遥人投手が3安打完封

  RHE
阪  神001001000 280
ヤクルト000000000 031

【神】 高橋 - 伏見
【ヤ】 山野、拓也、丸山翔、廣澤、星 - 鈴木叶

高橋投手が圧巻の完封でした。
不動のリードオフマン近本選手の骨折に続いて、中野二塁手もスタメンから外れ、実に見慣れない1-2番でしたが、まず、3回ツーアウトから連打で先制します。ちょっとびっくりでした。初スタメンの岡城選手の初安打初打点おめでとうございます。6回は小幡選手が追加点を上げています。佐藤輝選手は4三振でした。

明日は西投手の復帰を祝うべく、
がんばれタイガース!

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社会科学の学術論文の再現性は低いのか?

米国国防高等研究計画局(DARPA)のファンディングにより実施されていた SCORE=Systematizing Confidence in Open Research and Evidence の成果が一気に Nature 誌に明らかにされています。Nature 誌の論文の引用情報は以下の通りです。

判る人には判ると思いますが、最初が再現性=reproducibility、次が頑健性=robustness、最後が再現可能性=replicability、に関する論文です。最初の再現性=reproducibilityでは、同じデータと同じプログラムコードを用いて同じ結果が得られるかどうかを検証します。当然ながら、100%の再現性が求められますが、データやプログラムコードを公開していない論文も多く、再現性すら100%ではない結果が出ています。次の頑健性=robustnessでは、基本的に同じデータ、ただし月次データを四半期データに変換するなどはあるとしても、基本的に同じデータを用いた上で、期間をずらせたり、コントロール変数を代えたりしても、同じパラメータではないとしても、同じ符号のパラメータが得られたり、統計的有意性に大きな差がなかったりするかどうかを検証します。最後の再現可能性=replicabilityでは、2番目の頑健性=robustnessと逆に、データについて別の時点あるいは別の地域、例えば、米国のデータを日本のデータに置き換えたりする一方で、推計手法を同じにして検証するものです。最初の再現性=reproducibilityに関する論文からグラフを1点だけ引用します。Fig. 5: Reproducibility by field であり、社会科学の分野別に再現性=reproducibilityを示しています。

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見れば判ると思いますが、一番上の政治学や次の経済学などでは高い再現性=reproducibilityがある一方で、教育学については完全に再現された論文はなかったりします。ただし、グラフの引用などはしませんが、別の基準からの検証では、経済学が低位で教育学が良好な結果を残しているものもあったりします。そのあたりは私にも完全に理解できているわけではありません。3本の検証論文はすべて公開されているようですので、ご興味ある向きはご自身でお調べください。

再現性、頑健性、再現可能性の問題については、10年ほど前の2015年に、Science誌で "Estimating the reproducibility of psychological science" と題する論文が掲載され、心理学の再現性が低いと指摘していて、心理学だけでなく、多くの社会科学でも同様の問題はあります。同様に、行動科学でも世界的に広く認識されていましたので、今回、心理学や行動科学などに限定せず、社会科学すべての分野で世界的な検証が実施され結果が公表されたのは大きな意義があると私は受け止めています。ただし、日本では、社会科学というよりも、むしろ、例のSTAP細胞の事件(?)で医学や自然科学の分野でも注目されるようになった気がします。私も研究者の端くれですので、心しておきたいと思います。

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2026年4月28日 (火)

緩やかに悪化しつつも底堅い3月の雇用統計と日銀「展望リポート」

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも3月の統計です。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.7%、有効求人倍率も前月から▲0.01ポイント低下して1.18倍と、それぞれ雇用は改善しています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

25年度の有効求人倍率1.20倍、3年連続低下 失業率は2.6%
厚生労働省が28日発表した2025年度平均の有効求人倍率は1.20倍と、前年度から0.05ポイント下がった。低下は3年連続。省人化は進んだものの、賃上げ負担から求人を控える動きもあり、人手不足感は根強い。
総務省が同日発表した25年度平均の完全失業率は2.6%と前年度から0.1ポイント上昇した。上昇は5年ぶりとなる。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。25年度平均の有効求人数は4.1%減った。有効求職者数は0.7%減った。
卸売・小売業で新規求人数の減少幅が最も大きく、宿泊・飲食サービス業が続いた。厚労省の担当者は「人手不足を補うため機械化が目立った」と説明する。
「求人を出しても人が集まらず、採用できない状況は続いている」と人手不足感はなお強いとも指摘する。インフレや最低賃金の引き上げが重荷となり求人を控える動きもあるという。
3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍と、前月から0.01ポイント下がった。有効求人数は1.1%減り、有効求職者数は0.7%減った。
景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月比2.6%減った。主要産業別では情報通信業が15.8%減り、卸売・小売業が6.5%減、宿泊・飲食サービス業が6.4%減だった。
3月の完全失業率(季節調整値)は2.7%で前月から0.1ポイント上がった。2カ月ぶりに上昇した。

3月統計が利用可能になり、年度計数に注目していることもあって、やや長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは次の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの統計であり影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.6%有効求人倍率は1.18倍が予想されていました。本日公表された実績で、失業率2.7%、有効求人倍率1.18倍はともに、市場の事前コンセンサスのジャストミートしました。ですので、統計こそじわじわと悪化を示していますが、雇用情勢は引き続き悪くなく、雇用は底堅いと私は考えています。その最大の要因は人口減少に起因する人手不足です。引用した記事にもあるように、人手不足に対応した機械化が進んでいる一方で、採用できない状況は続いています。総務省統計局による労働力調査の季節調整していない原系列の前年同月との比較を見ても、自発的離職者(自己都合)は2月の+1万人増から3月は+5万人増に増加していますし、加えて、新たに求職して労働市場に参入した人は2月の+7万人から3月は+11万人増となっています。まだまだ、実質所得を増加させるには不十分とはいえ、昨年の最低賃金引上げや今春闘による賃上げによって就業意欲が高まる、という形で、賃金上昇に伴って労働市場への参入が増加し、就業者や雇用者も増加していて、その相対的な増え方の差で失業率が低下あるいは上昇している、と考えるのが伝統的な経済学の見方であろうと思います。
ただ、雇用に関して1点だけ懸念されるのは、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東情勢、さらに、石油価格の上昇や石油供給の制約です。3月統計では女性の被正規雇用が前年同月に比べて▲21万人減少しています。上のグラフを見ても、景気の動きとシンクロする一致系列の有効求人倍率、あるいは、景気の先行指標である新規求人数などはピークアウトして緩やかな悪化局面に入っているように見えますし、遅効系列である失業率も緩やかな悪化局面入りしている可能性があります。ただし、従来の経験からして、景気後退局面での雇用の悪化はもっと急速なスピードで現れます。現在の統計を見る限り、景気後退局面での雇用悪化とは少し違っている可能性も十分あると私は受け止めています。

     
  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
(参考)
消費者物価指数
(除く生鮮食品・エネルギー)
 2025年度+1.0 ~ +1.0
<+1.0>
+2.7+3.0
 1月時点の見通し+0.8 ~ +0.9
<+0.9>
+2.7 ~ +2.8
<+2.7>
+2.9 ~ +3.1
<+3.0>
 2026年度+0.4 ~ +0.7
<+0.5>
+2.8 ~ +3.0
<+2.8>
+2.5 ~ +2.7
<+2.6>
 1月時点の見通し+0.8 ~ +1.0
<+1.0>
+1.9 ~ +2.0
<+1.9>
+2.0 ~ +2.3
<+2.2>
 2027年度+0.6 ~ +0.8
<+0.7>
+2.3 ~ +2.4
<+2.3>
+2.6 ~ +2.7
<+2.6>
 1月時点の見通し+0.8 ~ +1.0
<+0.8>
+1.9 ~ +2.2
<+2.0>
+2.0 ~ +2.3
<+2.1>
 2028年度+0.7 ~ +0.8
<+0.8>
+2.0 ~ +2.2
<+2.0>
+2.1 ~ +2.4
<+2.2>

昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合において、基本的見解部分の「展望リポート」が公表されています。そのp.10にある2025~2028年度の政策委員の大勢見通しは上のテーブルの通りです。1月時点での見通しと比較して、2026-27年度ともに、成長率見通しは引き下げられ、物価見通しは引き上げられています。しかも、生鮮食品を除いた消費者物価指数、いわゆるコアCPIの上昇率は2026-27年度とも日銀物価目標である+2%を上回る見通しとなっています。日銀が利上げに積極的になっている姿が垣間見えます。

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2026年4月27日 (月)

大学生の楽単志向について考える

関西大学から紀要論文「学生の視点からみた学びのリアリティ -楽単志向と履修選択基準の分析-」が明らかにされています。タイトル通りの内容で、私も学生の楽単志向がより深く理解できた気がします。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、論文の要旨を引用すると次の通りです。

要旨
本研究では、学生の視点から「学びのリアリティ」を捉えるため、楽単志向と履修選択基準の分析を行った。楽単志向の学生は、高校時代の学習への興味・関心が低く、大学での成績や資質能力の獲得感も低いことが示された。楽単志向の背景要因を質的に分析したところ、卒業目的の重視、コスパ重視、リスク回避といった<学生側の要因>に加え、シラバスからの情報不足、厳しい教員態度、授業の質の問題といった<教員側の要因>、GPAを単一指標とする制度の弊害といった<制度面の要因>等が複雑に絡み合っていることが判明した。履修選択基準では、「学問的興味・好奇心」が最も多く挙げられる一方、多くの学生はまず「時間割の都合」を考慮し、その条件の中で興味のあるものを選択していることが示された。楽単志向の問題は、学生の意欲の欠如にのみ帰結できるものではなく、教育提供者が教育のあり方を抜本的に見直し、問題解決に向けて臨むことが肝要である。

見ての通りで、いくつかの研究テーマが示されています。大きく分けて、タイトル通りに、楽単志向と履修選択基準です。私は楽単志向の方に興味があります、そして、その楽単志向についても、ベネッセ教育総合研究所「第4回大学生の学習・生活実態調査」(2021年度)の1~4年生4,124名のデータを用いた数量データ分析と関西大学社会科学系学部の3-4年生40人とのディスカッションから得た質的データの分析です。まず、論文から 単位取得(履修)に関する選好 のグラフを引用すると次の通りです。

photo

見れば明らかに楽単志向が傾向的に増加している点が読み取れると思います。いくつかの分析結果を示していますが、まず、。分野系統では、「楽単志向」が最も多いのは医・薬・保健70.4%、次いで社会科学66.7%、逆に、「興味志向」がもっとも多いのは教育43.0%、次いで、人文科学41.8%となっています。医療系は卒業後に国家試験でのチェックを受けるわけですし、やや例外と論文では指摘し、まあ、私の所属する経済学部をはじめとする社会科学系で楽単志向が高くなっているわけです。はい、私も日々実感しています。また、高校時代の学習について分析結果を示しており、「楽単志向」の学生は、授業に対する関心・興味が低く、授業についていけないと感じたことが多い、と指摘しています。また、グループワークやディスカッションへの参加、予習・復習、自主的・計画的な学習、進路や将来に対する積極性についても低くなっているとし、高校時代の学習の及ぼす影響は小さくない、と結論しています。また、大学の学業成績については、当然ながら、「楽単志向」より「興味志向」の学生の方が成績は有意に高い、との分析結果を示しています。したがって、論文では「成績評価が適切になされている結果」と指摘しています。

最後に、私は「楽単志向」にせよ、何にせよ、「ラクをしたい」という人間本来の欲求は正しいと考えています。ラクしたいので技術革新が進み、例えば、産業革命につながった可能性は忘れるべきではありません。宗教的な修行ではないのですから、ひたすら苦痛に耐え忍ぶのは意味がありません。その意味で、楽単志向で授業選択をし、余ったエネルギーや時間で何をするかが重要なのだろうという気はします。まあ、ややこじつけなのは自覚しています。

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2026年4月26日 (日)

投手戦を佐藤輝選手のホームランで制して連敗ストップ

  RHE
広  島000000000 050
阪  神00010000x 121

【広】 栗林、高 - 持丸、石原
【神】 大竹、桐敷、ドリス - 坂本

投手戦を制して勝利でした。
先発は阪神が大竹投手、広島は栗林投手で、引き締まった投手戦でした。両チームの得点は佐藤輝選手のソロホームランだけで、阪神はわずかに2安打、チャンスらしいチャンスもなかった気がしますが、主砲の一振りで勝利をつかみ取りました。これで、まだ4月の段階で気の早いお話しながら、ゲーム差なしの首位に立ちました。藤川監督も100勝です。

次のヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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2026年4月25日 (土)

今週の読書は経済書と新書を中心に計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。新学年が始まって、新入生などにオススメする目的もあって新書を多く読んでいる気がします。
まず、宮川努[編]『日本経済の未来と生産性』(東京大学出版会)は、日本経済研究所の特別研究「社会の未来を考える」の一環として企画された「豊かさの基盤としての生産性を考える」シリーズの研究成果を取りまとめ、生産性を技術革新、グローバル化、非市場経済などの観点から考えています。宇南山卓『経済統計』(新世社)は、国民経済計算=SNA統計を中心に経済統計に焦点を当てて、幅広く各種統計を取り上げており、通して読むのもいいのですが、座右に置いて経済統計の辞書のような活用もあり得るかもしれません。山田祐樹『変な心理学』(ちくま新書)では、ものすごい「上から目線」で、アカデミック心理学ならざる大衆心理学にダメ出ししています。ですので、大衆心理学のうちで、アカデミック心理学でも支持されているようなものは、まったく無視されています。長崎励朗『大大阪という神話』(中公新書)では、戦前期の大阪について、「均質化の欲望」(p.ⅲ)という聞き慣れないキーワードで、大阪放送局の開局や小林一三による職業野球や宝塚歌劇などを題材にして、大阪が中央の東京に対抗する過程で独自性を喪失していく、という歴史を追っています。藤井薫『定年前後のキャリア戦略』(中公新書ラクレ)では、初任給の爆上がりなど新卒をはじめとする若手社員の待遇が上がっている中で、十分な活躍の場を与えられずモチベーションが下がり、ずっと会社員でずっと正社員だった中高年サラリーマンの処遇をデータに基づき明らかにしています。後藤宗明『中高年リスキリング』(朝日新書)では、AIなどの技術革新が大きく進み、グローバル化などの環境変化も激しい中で、労働寿命や雇用寿命を伸ばすリスキリングについて、アンラーニングを進めて言葉遣いを改める、などの実践的な方向を指南しています。瀬尾まいこ『私たちの世代は』(文春文庫)は、小学生のころにコロナ禍が始まった2人の女子を主人公に、大きく異なる境遇を明らかにしつつ、主人公2人を支える人物とともに、その後の2人の人生を大学生も終わりに近づいた就活期までカバーしています。
今年2026年の新刊書読書は、1~3月に合わせて73冊、4月に入ってから今週の7冊を加えて合計97冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。また、学術論文や政府のリポートなどもSNSで適宜取り上げたいと予定しています。

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まず、宮川努[編]『日本経済の未来と生産性』(東京大学出版会)を読みました。編者は、学習院大学経済学部教授です。ご専門はマクロ経済学や日本経済論です。本書は、日本経済研究所の特別研究「社会の未来を考える」の一環として企画された「豊かさの基盤としての生産性を考える」シリーズの研究成果を取りまとめています。3部構成となっており、第1部が技術革新の生産性向上効果は持続可能か、第2部がグローバル化に伴う生産性向上の課題、第3部が非市場経済における生産性を考える、とそれぞれ題されています。フォーマルな定量分析を行っているチャプターも多いんですが、かなり、印象論を展開しているものもあり、精粗まちまちという気もします。第1部では特許や研究開発活動の生産性向上効果を計測しており、第2部ではグローバルな生産性格差がコンバージェンスするかどうかや生産性の国際比較を試みています。第3部では、人的資本や社会資本とともに、終章では市場を離れて豊かさを実現できる生産性向上について考えています。第1部の特許や研究開発については、国内的にも国際的にも研究すでにかなり進んでいる分野ですので、いまさら、という気もします。第2部のグローバル化に伴う生産性向上については、いわゆるサプライチェーンの拡大版であるGVC=Global Value Chainに参加する、それも、より中心性が高い産業分野に参加できると生産性に好影響を及ぼす、というのは当たり前といえばあたりまえなのですが、同時に、経済安全保障も考えているのは、今どきの世界経済情勢によくマッチしている気もします。第3部の最終章のゆたかさと生産性について分析しているのは、生産性向上とは、特に、労働生産性向上とは単位マンパワー当たりのアウトプットを増加させることにほかならず、例えば、労働組合のサイドからすれば「労働強化」という見方も成り立ちうるからです。また、その前の人的資本による生産性貢献については、6つの要因、すなわち、(1) イノベーション、(2) 教育・人材、(3) IT・デジタル化、(4) 環境、(5) 所得分配、(6) サプライチェーン、の中で、(2) の教育・人材のスコアが各国と比較して日本では高い、という点が強調されています。はい、大学教育もがんばっているのかもしれません。ただ、出来れば、さらに、教育や人材といった日本の強みをさらに向上させるためにも大学進学率を引き上げる必要があるのではないか、と私は考えています。

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次に、宇南山卓『経済統計』(新世社)を読みました。著者は、京都大学経済研究所教授であり、京都大学の前の一橋大学ご勤務の折り、だったと思うのですが、私が総務省統計局に勤務していたころ、いろいろとお世話になった記憶があります。したがって、というか、何というか、統計や経済統計の専門家といえます。本書はライブラリ「今日の経済学」のシリーズ7巻目として発刊されています。私の役所の後輩だった堀雅博教授の『読んでわかる推測統計学の考え方』(日本評論社)を取り上げた際に軽く言及しましたが、統計と経済統計は少し色合いが異なります。本書は後者の経済統計に関する解説書なわけです。経済統計の大きな特徴は、時系列データであるという点です。フローデータにせよ、ストックデータにせよ、過去の時点と比較できる時系列データである場合が圧倒的に多くなっています。加えて、本書で取り上げているような経済指標と呼ばれる経済統計は、多くの場合、マクロ経済に関する統計です。本書でいえば、いくぶんなりとも、大学のセメスターを意識した15章構成のうち、第2章から第8章まで、ほぼ半分のボリュームを国民経済計算=SNA統計に当てていて、経済統計の中心的な存在といえます。SNA統計とは、大雑把に、GDP統計とその関連統計と考えればOKです。第9章から11章までがミクロ統計というタイトルが入っていますが、第10章の家計関連のミクロ統計、とはいっても、国勢調査や労働指標などは集計=aggregateされていますから、ほぼほぼマクロ統計の扱いでOKだと思います。第11章の企業関連のミクロ統計も同じです。私が少し「オヤ」と思ったのは、第13章で賃金と金利を同じ章で取り上げている点です。生産要素という意味で、労働への報酬である賃金と資本ストックへの報酬から派生する金利を同じ章で扱っています。それはそれで合理的か、という気もしました。本書の活用については、私のように通して読むのがひとつの方法ですが、本書冒頭で著者が指摘しているように、経済統計の辞書のような活用もあり得るかもしれません。最後に、パネルデータの説明の直前に、時系列データと横断面データのイメージ図が本書p.131にありますが、これだけは、堀雅博『読んでわかる推測統計学の考え方』(日本評論社)のp.22の方が圧倒的に直感的理解に資すると思います。でも逆に、本書p.131のような概念図が書ける、というのは本書のご著者が頭いい、ということなのだろうと私は受け止めています。

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次に、山田祐樹『変な心理学』(ちくま新書)を読みました。著者は、九州大学基幹教育院准教授で、ご専門は心理学のようです。本書のタイトルについては、アカデミック心理学ならざる大衆心理学のことを指しているようです。要するに、医療における民間療法のようなものだと考えればいいかもしれません。第1章では、行動心理学なんてものはアカデミック心理学には存在しないと主張し、第2章以下でその「民間療法」的なアカデミックならざる大衆心理学を取り上げています。第2章ではカラーバス効果、第3章ではウィンザー効果、第4章では逆カラーバス効果、というか、その典型のサブリミナル効果、第5章では蛙化現象、そして、第6章は本書の結論部分であり、このような大衆心理学がバズっている原因について考えています。私はカラーバス効果は知らなかったのですが、色を浴びるという意味で、何らかのキーを指定して街を歩けば、自動的にアイデアが得られる、ということのようです。半分くらいは確証バイアスではないか、と思って読んでいたら、最終第6章p.256でそう出ていました。いずれにせよ、各章で取り上げている心理学的な装いをまとった効果や現象はアカデミックな心理学では研究されておらず、大衆心理学である、と指摘しています。性格診断や自己啓発本などでいっぱい見られるようですが、私はそういった本はそれほど読まないので、蛙化現象のほかはバズっている気がしませんでした。私の専門分野である経済や経済学に引きつけて考えると、典型的な大衆経済学で、為替相場を円高にすれば物価を沈静化することができる、というのがあります。詳細は展開しませんが、私はこの円高による物価抑制というのはかなり怪しくて、専門用語ですが、為替のパススルーはそれほど大きくない、と考えています。おそらく、エコノミストの間で緩やかなコンセンサスがあるのではないか、と思います。そして、経済学の隣接領域である経営学に関しては、特に、投資行動については、もっといっぱい「民間療法」的な経営学、特に、投資行動に対する示唆がありそうな気がします。例えば、株価チャートでこういった形が現れれば、株価が上昇する、あるいは、下落する前兆である、といったものです。最後に、本書における著者のご指摘はすべて正しいものと思いますし、とても面白い本だったのですが、批判をひとくさり指摘しておきたいと思います。とっても「上から目線」の本です。本書の中では何度か否定していますが、あくまでアカデミック心理学が上で、大衆心理学が下、という意識が丸見えです。ですから、本書のタイトルをそのまま借用して「変な心理学」あるいは大衆心理学のうちで、アカデミック心理学でも支持されているようなものは、まったく無視されています。もちろん、専門外の私には知りようがないところで、まったく存在すらしないのかもしれません。でも、例えば、地球物理学だか宇宙物理学だか、「夕焼けは明日晴れる」というのはたぶんアカデミックにも支持されている民間伝承だと思うのですが、そういった大衆心理学であるものの、アカデミックにも支持される、といったものは完全無視されています。そして、査読論文でないとアカデミックな支持を得る根拠にならないかのような「上から目線」記述も満載です。特に、蛙化現象の発端が学会のパネル発表だったとかで、軽んじている姿勢は鮮明です。私はそれほどでもありませんが、学会のパネル発表は大学院生に勧める先生も少なくなく、ご著者が研究者として優秀でも、教育者としてどうなのか、という疑問は感じました。まあ、学問分野や地域によっては、これくらい「エラそう」にする方が効果があるのかもしれません。

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次に、長崎励朗『大大阪という神話』(中公新書)を読みました。著者は、桃山学院大学社会学部准教授であり、生まれの育ちも大阪だということです。本書の中身は、タイトルから受ける印象とは少し違っています。すなわち、広く知られているように、戦前昭和期で日本経済のピークとされる昭和9-11年、西暦でいうと1934-36年ころまで、大阪の経済規模は東京を上回っており、いわば、日本最大の都市でした。本書でも、行政区画の変更で東京市が大阪市を上回ったり、下回ったりというのは軽く言及していますが、少なくとも、21世紀の現時点での大阪の凋落ぶりは微塵もありませんでした。ハッキリいって、徳川期は大坂の方が経済規模は江戸より遥かに大きかったわけですから、そのあたりで逆転したわけです。本書では、経済の視点から大阪が東京を下回るようになった経緯を議論しているのではなく、「均質化の欲望」(p.ⅲ)という聞き慣れないキーワードでもって、大阪が中央の東京に対抗する過程で独自性を喪失していく、という歴史を追っています。序章と終章を除いて4章構成であり、第1章では大阪放送局、NHKに吸収された今もJOBKの愛称が残るラジオ放送開始時の放送局開局の顛末に着目しています。すなわち、当時の大阪の資本家には2種類の人がいて、一方は本書で大阪原人と呼ぶ古くからの大阪商人であり、歴史と伝統がある凡凡、といえます。それに対して、他方で、新興資本家、というよりも、相場で一発当てた成り金の金持ちがいます。この2種類の大阪人が大阪放送局開局に当たってぶつかり合うわけです。前者の大阪原人はなあなあで放送局人事を決めようとする一方で、過去から蓄積した十分な経営スキルを有しています。ラジオ放送の公共性という点も理解しています。他方で、新興資本家たちは資金面では大阪原人に十分に対抗できるだけの余裕があり、多数決で放送局人事を握る一方で、ラジオ放送により儲けを出すことには熱心ですが、放送の公共性を理解せず、経営スキルがそれほどありません。そういった派閥抗争的な大阪放送局、あるいは、ついでながら、その前哨戦となった大阪電燈の買収を歴史的に追って、経営スキルに欠ける新興資本家が資金力や多数決で経営参加するものの、結局、スキル不足で経営に失敗して、最後は官僚の介入を招く、という結論を引き出しています。当然に、官僚が介入すると大阪独自の色彩よりも、全国一律の「均質化の欲望」が働くわけです。さらに、第2章以降では、放送における標準語でのコミュニケーション、吉本興業の漫才はホントに大阪的か、小林一三による職業野球と宝塚歌劇の展開などに着目して、同様の大阪論を展開しています。そのあたりは、読んでみてのお楽しみです。

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次に、藤井薫『定年前後のキャリア戦略』(中公新書ラクレ)を読みました。著者は、パーソル総合研究所シンクタンク本部の上席主任研究員だそうです。本書では、「ずっと正社員だった」あるいは「ずっと会社員だった」60代に対して、その就業やお給料のリアルをパーソル総研などのデータに基づいて解き明かそうと試みています。冒頭から明らかにしている通り、ここ数年、人手不足が声高に叫ばれ、新卒をはじめとする若手社員は引く手あまたで、初任給は爆上がりして30万円もめずらしくない世の中になった一方で、50-60代の中高年社員は十分な活躍の場を与えられているとは考えられていません。本書でも何度も同じいい回しが登場しますが、会社は中高年社員を持て余していて、それほど大きな期待は寄せられていません。そういった観点から、50-60代会社員、ずっと会社員でずっと正社員だったサラリーマンの処遇のリアルを明らかにしようとしています。まず、広く知れ渡っている事実ながら、雇用延長がなされて、60歳定年であっても65歳までは継続雇用、退職後の再雇用という形か、あるいは、定年延長かで、65歳まで働き続けることが普通になっています。しかし、他方で、50歳とか55歳とかで役職定年、あるいは、定年65歳であれば、例えば、60歳で役職定年というものがあります。当然、その段差でお給料は大きく下がるわけです。役職定年がなくても、60歳の定年後再雇用でお給料は半分近くに下がる場合すらあります。働く方からは、モチベーションの維持も難しくなりそうです。そういった事実をデータに基づいて明らかにしています。ただし、建前や制度上のお話ではそうなっていても、ホントのリアルは違っている場合があり、それをアンケート調査などで補っています。雇う方からの見方は、pp.156-7に渡って、60代社員に対する会社のステレオタイプなホンネがいくつか列挙されています。最初のは「企業が望んで雇用しているわけではない。昔ならもう引退している年齢だ」、次が「年功で役職についている人も多い。給料も高い」、そして、「給与もポストも若手に譲ってやってほしい」といったものです。まあ、そうなんでしょうね。ただ、私のキャリアは公務員から大学教員ですから、会社員とは大きく異なる可能性がありますので、何の参考にもなりません。最後に、employabilityという英語がありますが、労働は可能でも、雇用される可能性が低下している人材は少なくない印象です。それでも、平均余命は伸びて時間を持て余す中高年は多いわけで、何らかのスキルアップなしに望ましい形での会社や社会への貢献ができない時代に入りつつあるのかもしれません。

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次に、後藤宗明『中高年リスキリング』(朝日新書)を読みました。著者は、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立した代表理事だそうです。本書では、中高年の労働継続や雇用継続の観点から、タイトル通りにリスキリングについて論じています。ほぼほぼ何の統計にも基づかずに、直感的な、あるいは、著者の体験や経験に基づく分析結果が披露されています。EBPMを重視する政府の政策決定ではまったく無視されるでしょうが、一般国民にはそれなりに支持されそうな要素、それも実践的な要素をいくつか含んでいます。本書は3章構成であり、第1章でAIをはじめとする大きな技術革新の中での労働や雇用について考え、第2章でリスキリングによる労働寿命の長期化を議論し、最後の第3章で実践的なリスキリングについて展開しています。詳細はお読みいただくのがベストですが、私の感想や実感を簡単に取りまとめたいと思います。まず、私の同年代の60代後半の知り合いで、会社を退職した後、スキルを活かして再就職にチャレンジしている、あるいは、まだ確認していませんが、すでに再就職に成功した人がいます。本書では、労働寿命と雇用寿命を判別しています。すなわち、employabilityという英語がありますが、労働寿命=雇用寿命ではなく、起業とまで大げさではないとしても、フリーランスで働くことも中高年のオプションと考えています。私も知り合いの求職活動に対して、雇われたいというのは理解できるものの、雇われるとなると、特に男性の場合は年齢的に、警備や清掃や介護、あるいは、せいぜいが軽作業などに限定される可能性が高いと思っています。そこで、本書ではリスキリング、ということをオススメしているわけです。労働を続けるとしてもスキルアップは必要ですし、雇用されたいと願うとすれば、もっと必要かもしれません。次に、スキルアップの分野としては、グローバル、デジタル、グリーン、宇宙を著者は上げています。私も中高年リスキリングどころか、大学生に対して、グローバル、デジタル、グリーンまでは同じですが、最後はデータサイエンスを上げています。たしかに、デジタルとデータサイエンスは重複する部分もあるとは思いますが、ちょっと宇宙はハードル高そうな気がします。それから、私なんかは大学生を相手にしていますので、まったく考慮にすら入れていないのですが、リスキリングを考える際にはまずアンラーニングして、過去の成功体験を手放す、あるいは、見直す必要を強調しています。ですので、中高年については言葉遣いから気をつけるべき、と本書では指摘しています。私はその昔に「官尊民卑」とまでいわれた日本で60歳の定年までキャリアの国家公務員をし、今は教師ですので、少なくとも挨拶なんかは「上から目線」の言葉遣いになっています。朝の挨拶は「ございます」なしの「おはよう」で済ませます。気をつけねばと再認識させられました。最後に、実に実践的な観点から、リスキリングを進めるとすれば、アルコールとカフェインはNG、というアドバイスもあったりします。アルコールはともかく、カフェインもダメなんでしょうか。

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次に、瀬尾まいこ『私たちの世代は』(文春文庫)を読みました。著者は、私も大好きな人気の小説家です。この作品はいわゆるコロナ文学です。すなわち、かなり長期に渡って、コロナ禍の開始時2020年に小学生だった2人の女子、何の接点もなかった2人が、中学生、高校生、そして、大学生活も卒業に近づいた就活の時期までをカバーしています。ですので、本書の単行本が出版された2023年はもちろん、私が読んだ文庫本が出版された今年2026年から見ても、この作品のラストは2030年より少し先の近未来、ということになります。主人公2人は、まず、シングルマザーながら明るく太っ腹な肝っ玉かあさんに育てられた岸間冴、そして、児童教育に造形深い母親に育てられた江崎心晴、となります。2人は大学生活の最終盤となる就活の場で出会うことになります。それまでは、まったく境遇の異なる主人公2人が別々・独立に描かれます。その叙述の切替えが、いかにも、という感じで、瀬尾作品らしく、とてもさりげないので、私のような表面だけ追うような薄っぺらな読み方では、最初は少し混乱したりしました。ただ、すぐに、2人の主人公の境遇や行動、考え方などが大きく異なりますので、間違えることはなかろうと思います。岸間冴の方は、中学生くらいから、母親が夜の商売であるため、いじめにあいますが、蒼葉という実に力強い味方を得て、というか、母親とともに「発掘」して、明るく強く生きてゆきます。でも、その母親は高校を卒業する前に亡くなったりします。他方、客観的に見て実に恵まれた境遇にあるハズの江崎心晴は、長らく引きこもりになりますが、同じ引きこもり仲間、というか、メッセージだけ交わす相手のカナカナとの交流に支えられて、もちろん、理解のある母親もいて、立派に通信制高校から大学も終えつつある段階で就活に励んでいます。この作者らしい、決して力みかえるわけではなく、ごく自然に人生を送り、決して人から大きな尊敬を集めるわけではないものの、心豊かな生活を送る人々を描き出しています。世間一般は決して平等でもなんでもなく、ひょっとしたら公平ですらなく、親ガチャもあれば、所得の大きさ、学歴や何やの格差が大きいわけですが、しっかり生きて幸せをつかんでいる人がいっぱいいることを実感できるいい小説でした。

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2026年4月24日 (金)

教育予算を削減し防衛費を増額する財政の方向は正しいか?

広く報じられている通り、昨日4月23日、財政制度等審議会財政制度分科会が開催され、その事務局提出資料1「人口減少社会の中での総合的な国力の強化 (財政各論I)」私立大学の数を2040年までに4割削減という方針を盛り込んでいます。私が読んだ毎日新聞の記事とそれをキャリーしているYahoo! ニュースは以下の通りです。まあ、内容は同じなのですが、ポータルサイトもついでにリンクを示しておきます。

記事が取材しているのは、事務局提出資料の p.34 右下の次のテーブルです。

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このテーブルの右側には<私立大学>と対比させる形で、<国公立大学>のテーブルもあり、大学数は▲1校減、学部定員は▲3.6万人減、となっています。もちろん、その根拠は「18歳人口の減少に対応する規模に適正化」ということになっています。明らかに暴論です。大学進学率の上昇をまったく見込んでいない、という前提です。大学進学率をさらに引き上げることにより、日本経済の生産性を向上し、国民の賃金を引き上げるという視点がまったく欠けているとしかいいようがありません。
実は、この事務局提出資料は4部構成から成っていて、上のテーブルは第3部の人材力・経済力の強化の中に置かれています。そして、これに続く第4部は防衛力の強化となっています。私は公務員を60歳で定年退職した後、私立大学に再就職しましたが、戦車を暴発させるような防衛産業に再就職した方がよかったとは思っていません。決して、思っていません。

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2か月連続で物価目標の+2%を下回った3月の消費者物価指数(CPI)と+3%を超えた企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも3月の統計です。CPIでは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月からさらに減速して+1.6%を記録しています。日銀物価目標の+2%を下回ったのは3年11か月ぶりだそうです。生鮮食品を含むヘッドライン上昇率は+1.3%まで減速している一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+2.5%となっています。また、SPPIではヘッドラインの前年同月比上昇率は前月1月からわずかに加速して+2.7%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率も同じくやや加速して+2.7%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

全国コアCPI、3月+1.8%で2%割れ続く ガソリンは下落率急縮小
総務省が24日に発表した3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は、前年比1.8%上昇した。伸び率は前月の1.6%から拡大したが、2カ月連続で2%を下回った。米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃で原油価格が高騰し、ガソリン価格の前年比下落率が大幅に縮小する一方で、生鮮食品を除く食料の伸び率鈍化が続き、コアCPIの伸びを抑えた。
コアCPIは、ロイターが集計した民間調査機関の予測中央値に一致した。
エネルギー価格は5.7%下落と、前月の9.1%下落から下落率が縮小した。ガソリンは5.4%下落とガソリン暫定率廃止の影響でマイナスの推移が続いたものの、下落率は前月の14.9%から大幅に縮小した。ガソリンの調査は3月11-13日に行われたため、同月19日に再開した政府補助金の影響はまだ出ていない。灯油は6.3%上昇で、前月の3.5%下落から上昇に転じた。
生鮮食品を除く食料は5.2%上昇と、伸び率は前月の5.7%を下回った。8カ月連続で伸び率が縮小した。コメ類は6.8%上昇と、前月の17.1%上昇を大きく下回った。
コア対象522品目のうち、上昇は381、下落は106、変わらずが35。上昇品目は前月の382を1つ下回った。
2025年度平均のコア指数は前年度比2.7%上昇。伸び率は24年度と変わらず、4年連続で2%を超えた。コメ類が48.9%上昇して過去最高を更新するなど、生鮮食品を除く食料は7.0%上昇した。
3月の総合指数は前年比1.5%上昇し、伸びは前月の1.3%から拡大。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は2.4%上昇し、伸びは前月の2.5%から縮小した。2024年12月以来の低い伸び。
企業向けサービス価格、3月は前年比3.1%上昇 中東緊迫「外航貨物輸送」伸び拡大
日銀が24日に公表した3月の企業向けサービス価格指数は前年比3.1%上昇となった。中東情勢の緊迫化で「外航貨物輸送」の価格が大きく上昇し、伸び率が前月から0.4%ポイント拡大した。前月比は1.2%上昇だった。
「外航貨物輸送」は前年比42.1%上昇と、伸び率が前月(9.7%)から大幅に拡大した。このうち「外航タンカー」は、米国とイランの軍事衝突でホルムズ海峡の航行が困難となり、供給が絞られたことで価格が上昇した。外航タンカー以外の外航貨物輸送も、中東情勢の影響で燃料油価格が上昇したことが影響した。
「宿泊サービス」は前年比10.5%上昇と、伸びが前月(8.5%)から加速した。中国政府による渡航自粛要請を受けた中国人観光客の減少傾向は続いているものの、それ以外の国からの観光客数が増勢を強めている。
調査対象146品目のうち、上昇は116品目、下落は13品目だった。
日銀の担当者は「外航貨物輸送」が大きく上昇した以外は「おおむね小動きだった」と指摘。引き続き中東情勢緊迫の影響を含めた海運市況や国際商品市況の動向、各種コストの上昇分を価格転嫁する動きの持続性などを注視していくとした。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では「高人件費率サービス」が前年比3.0%上昇と、伸び率は前月から0.1%ポイント上昇した。「低人件費率サービス」は同3.1%上昇で、前月から0.7%ポイント上昇した。

何といっても、消費者物価指数(CPI)は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですし、企業向けサービス価格指数(SPPI)も物価指標ですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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引用した記事の2パラめにもある通り、コアCPI上昇率はロイターによる市場の事前コンセンサスに一致したようですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.7%ということでした。総務省統計局のプレスリリースによれば、ガソリンの暫定税率廃止及び政策による効果の寄与度が試算されており、ガソリンについては当月分で▲0.96%、ただし、前年剥落分が+0.49%あり、合わせて▲0.47%の寄与、同様に、電気代についても当月分で▲0.49%、ただし、前年剥落分が+0.27%あり、合わせて▲0.22%の寄与などの結果が示されています。品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率である+1.5%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、エネルギーの寄与度は3月統計では、まだ、政府の政策効果もあってマイナスであり、前月の2月統計の▲0.71%に対して、2026年1月は▲0.45%となっています。したがって、いわゆる寄与度差は+0.26%に達していて、コアCPI上昇率が2月の+1.6%から3月の+1.8%に+0.2%ポイントへの拡大を超える割合を占めています。逆にいえば、エネルギーを除く物価には大きな変化はない、もしくは、やや物価上昇は減速している、と考えることもできます。例えば、生鮮食品を除く食料価格はコメを含む指標ですが、その上昇は引き続き大きいとはいえ、前年同月比で2月の+5.7%、寄与度で+1.39%から3月は+5.2%、寄与度+1.27%に減速しています。ですので、数字だけを見れば、ヘッドラインCPIの上昇率である+1.3%のほぼすべてが食料価格の上昇に起因するというわけです。引き続き、コメの価格上昇が継続しているものの、コメ以外に価格上昇している食料も少なくない点は見逃すべきではありません。すなわち、生鮮食品を除く食料の寄与度+1.27%のうち、コシヒカリを除くうるち米の寄与度は+0.10%を占めています。引用した記事の「コメ類は6.8%の上昇」とは少し分類が異なりますが、コシヒカリを除くうるち米の上昇率は前年同月比で+6.4%ですから、一時のピークは超えた可能性が大きいものの、まだまだ高い上昇率と考えるべきです。コメが値上げされれば、当然に、おにぎりやすしの価格も上がります。ただ、こういった食料価格の上昇がピークアウトしつつあり、米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴う中東情勢、特にホルムズ海峡の封鎖に起因するエネルギー価格の動向に焦点が移りつつあるのも事実です。
まだ前年同月比でマイナスを続けているエネルギーではなく、食料の細かい内訳に注目すると、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見て、繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+5.2%、寄与度+1.27%に上ります。その食料の中で、これも繰り返しになりますが、コシヒカリを除くうるち米が寄与度+0.10%あります。コメを上回る上昇となっている食料も多く、カカオショックとも呼ばれたチョコレートなどの菓子類は上昇率+8.2%、寄与度+0.22%に上っています。特に、その中でも、チョコレートは上昇率+24.0%、寄与度0.10%とうるち米に並ぶ寄与度を示しています。コメ値上がりの余波を受けた弁当などの調理食品が上昇率+5.2%、寄与度+0.20%に上っています。同様に、すしなどの外食も上昇率+3.9%、寄与度+0.18%を示しています。ほかの食料でもコーヒー豆などの飲料も上昇率+9.6%、寄与度0.17%となっており、コアCPIの外数ながら、ぶりなどの生鮮魚介が上昇率+7.3%、寄与度+0.10%、などなどと書き出せばキリがないほどです。食料とエネルギーはともに国民生活に欠かせない基礎的な財であり、実効ある物価対策とともに、価格上昇を上回る賃上げや最低賃金の大幅な引上げを期待しています。

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、1年余り前の2025年2-3月には前年同月比で+4.3%の上昇を示していましたが、2025年6月に+3%を下回って+2.8%となった後、今年2026年2月に+2.1%を記録した後、もっとも最近のデータが利用可能な今年2026年3月統計で+2.6%にやや加速しています。同様に、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、昨年2025年9月に+3.1%と直近のピークをつけた後、今年2026年2月に+2.7%まで上昇率がトレンドとして縮小してきていましたが、直近でデータが利用可能な3月統計でも+3.1%となっています。どちらも、まだ+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、減速しつつあるとはいえ+2%台半ばから後半の上昇率を見ると、デフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。しかも、3月統計では企業物価指数(PPI)も企業向けサービス価格指数(SPPI)もいずれも、中東情勢によるエネルギー価格の上昇や、その波及を受けた国際運輸の要因から上昇率を加速させています。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された3月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.1%への寄与度で見ると、宿泊サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.26%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の大きな部分を占めています。諸サービス以外では、中東情勢に起因するエネルギー価格上昇の波及を受けたと考えられる外航貨物輸送などをはじめとする運輸・郵便が+0.44%、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.50%、さらに、不動産+0.23%、リース・レンタルが+0.16%、広告が+0.14%、金融・保険が+0.05%などとなっています。
最後に、人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ると、低人件費比率・高人件費比率のサービス価格いずれも+3%以上の上昇率を示しています。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っているという意味は、企業サイドから見れば人件費以上の過剰な価格転嫁が行われている一方で、家計サイドから見れば国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。ですので、私の従来からの主張ですが、企業サイドの利潤を減少させることにより労働分配率を上昇させ、物価上昇を引き起こすことなく賃上げを実現することが可能です。法人企業統計を見ても、ここまで利益剰余金が積み上がっているんですから、3~5年くらいは物価上昇なしに賃上げが可能ではないか、と私は直感的に試算しています。名だたるエコノミストが誰もこの点を主張しないのは私にはとても不思議です。何か、マズいことがあって忖度が働いているのかもしれません。

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2026年4月23日 (木)

石油価格の上昇はどれくらい物価を押し上げるのか?

先週金曜日の4月17日、大和総研から「原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響」と題するリポートが明らかにされています。3月27日に公表された内閣府による「原油価格の変動が国内物価に与える影響」では、さすがにお役所らしく、試算結果の数字がそれほど明らかではありませんでしたが、この大和総研のリポートでは数字が明記されています。ということで、まず、長くなりますが、リポートから要約を2点引用すると次の通りです。

要約
  • 中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格の上昇は、エネルギー価格にとどまらず、「原油関連製品」への依存度が高い産業を通じて幅広い品目へと波及する。産業連関表を用いて投入構造を部門別に確認すると、「原油関連製品」への依存度は、石油関連製品に加えて、化学・鉄鋼・セメントなどの素材部門や、輸送部門・電力部門といった非製造業でも高い。
  • 原油・天然ガス・石炭価格が10%上昇した場合、消費者物価への影響は全面転嫁シナリオで+0.27%、部分転嫁シナリオ(エネルギー関連では全面転嫁、それ以外は50%転嫁)では+0.12%となる。足元のエネルギー価格動向を当てはめると約40%分の上昇に相当するが、この場合、消費者物価への影響は+0.49%~+1.08%となる見込みだ。ただし、政府が実施しているガソリン等への補助金により、物価への影響は+0.32%~+0.90%程度に抑えられるとみられる。

要約の1点目にあるように、石油価格の上昇はエネルギーだけでなく、幅広い品目の価格へ波及します。その上で、+10%の価格上昇がどのように物価に波及するかを、いくつかのシナリオに基づいて試算しています。そのグラフを引用すると次の通りです。

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なお、左右のグラフに共通する「一定程度の価格転嫁」とは、「原油等のコスト上昇による影響を直接受ける部門および料金制度4により転嫁が制度的に担保されている電気部門、ガス・熱供給部門については全面的に転嫁され、それ以外の部門は50%分が転嫁されると想定」しています。足元の価格上昇に近い+40%上昇の想定で試算した右のグラフが現実的な気がします。消費者物価への影響はおおよそ+1%ポイントということになります。これを大きいと考えるか、あるいは、それほどでもないと見るか、いろんな見方が分かれると思います。ただ、私の方から2点だけ指摘しておきたいと思います。第1に、ガソリン補助金のような対象を企業とする補助金ではなく、広く国民を対象にした給付のほうが望ましいと考えます。政府から補助金がもらえるのもいいのかもしれませんが、国民の選択をより重視し企業努力が報われるような制度設計が求められます。第2に、短期的にはエネルギー価格の上昇のショックを和らげるような対策はもちろん重要ですが、長期的には脱炭素やプラごみ削減の視点も必要であり、石油消費を抑制するような仕組みも併せて志向されるべきと考えます。

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2026年4月22日 (水)

連夜の乱打戦でまたまた横浜に打ち負ける

  RHE
阪  神014000100 660
横  浜40100101x 7151

【神】 茨木、石黒、桐敷、ドリス - 坂本、伏見
【横】 竹田、マルセリーノ、中川虎、ルイーズ、レイノルズ、山崎 - 戸柱

乱打戦で前夜に続いて横浜に打ち負けました。
今夜も序盤から乱打戦の様相で、終盤に入るまで互角の試合展開でしたが、最後の最後にドリス投手が8回ウラに決勝打を打たれてしまいました。ただ、投手の方の問題は、序盤で追いついたとはいえ、初回に4失点した先発茨木投手でしょう。ヤクルト戦の好投が今夜は続きませんでした。打つ方の疑問手は8回ワンアウトフルベースの場面での福島外野手の打撃です。外国人のパワーピッチャーですから、1人早く前川選手を代打に送って欲しかった気がします。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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石油輸入額がそれほど増加しなかった3月の貿易統計

本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインを季節調整していない原系列で見ると、輸出額が前年同月比+11.7%増の11兆0033億円に対して、輸入額は+10.9%増の10兆3363億円、差引き貿易収支は+6670億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

中東紛争、3月貿易統計では影響みられず 予想対比では黒字下振れ
財務省が22日発表した貿易統計速報によると、3月の貿易収支は6670億円の黒字となった。原油急騰の影響も懸念されたが、中東紛争に先立つ現地からの調達が進み、黒字を維持した。一方、原油の高止まりが続けば2026年度の赤字額が膨らむことも予想され、先行きは予断を許さない。
黒字は2カ月連続。同省によると、黒字額は20年12月(7083億円の黒字)以来、5年4カ月ぶりの水準だった。ロイターが集計した民間調査機関の調査では、中央値で1兆1063億円の黒字と予測されていた。公表された速報値は、予想対比では下振れした。
貿易収支のうち、輸出は、前年同月比11.7増の11兆0033億円だった。半導体電子部品や非鉄金属などの輸出が増えた。これに対し、輸入は10.9%増の10兆3363億円だった。
3月の原粗油輸入額は前年同月比7.3%減の7474億円と、14カ月続けて減少した。このうち、中東からの輸入額は7065億円と、前年同月から5.6%減った。ホルムズ海峡の封鎖に伴う影響は、3月統計ではみられなかった。
同時に発表された25年度の貿易収支は1兆7145億円と、小幅の赤字にとどまった。ただ、停戦協議の先行きは見通せず、再び市場が動揺する懸念は拭えない。
市場では「原油が1バレル=80ドル程度で高止まりすれば26年度の貿易赤字は5,6兆円程度に膨らみそうだ」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)とみられている。ホルムズ封鎖が長期化し、1バレル=100ドルを超える推移が続けば「赤字額は15兆円程度まで膨らむ可能性がある」(宮前氏)との声がある。
ロシアによるウクライナ侵攻で資源価格が高騰した22年度の貿易赤字は過去最大に膨らみ、赤字額は22兆0859億円だった。赤字が市場で意識されると円安に振れ、輸入物価はさらに膨らみやすい。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事の2パラ目にあるように、ロイターの集計では市場の事前コンセンサスは1兆1063億円の黒字でしたし、同様に、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも1兆円を超える貿易黒字が見込まれていましたので、実績の+6670億円という黒字はやや下振れした印象です。ただ、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは予測レンジの上限が+5300億円ほどでしたので、そのレンジ内ですし、春節を終えたばかりの3月統計ですので、これくらいの誤差は大きくないと見なすエコノミストが多そうな気がします。また、季節調整済みの系列で見ると、貿易収支は1月黒字、2月赤字から3月は黒字を計上しており、季節調整しても中華圏の春節の影響は除去しきれていない印象を私は持っています。引用した記事では、石油価格が1バレル80ドルとか、100ドルとかに上昇すれば、日本の貿易収支が赤字化する、というトーンの論調ですが、いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、逆に、3月の貿易統計のように、黒字となったからめでたいわけでもない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいと考えています。それよりも、米国のトランプ大統領の関税政策による世界貿易のかく乱に加えて、米国とイスラエルによるイラン攻撃により石油価格の動向が大きな問題と考えるべきです。先行きの見通しが不透明であれば、家計の消費というよりも、企業の設備投資活動がある程度抑制される可能性が否定できません。
本日公表された3月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、原油及び粗油がキロリットルの数量ベースで+2.4%増ながら、金額ベースでは▲7.3%減となっています。米国とイスラエルによるイラン攻撃による石油価格上昇の影響はまだ見られません。さらに、エネルギーに次いで注目されている食料品は金額ベースで+11.3%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は重量ベースで▲2.2%減ながら、商品市況の高騰により金額ベースでは+13.9%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数ベースで▲2.4%減、金額ベースでは+0.9%増となっています。ただし、米国向けの自動車輸出について、さらに詳しく見ると、数量ベースでは+2.3%増と伸びている一方で、金額ベースでは▲1.6%減となっており、引き続き、日本のメーカーあるいは輸出商社の方で部分的なりともトランプ関税を相殺するような価格設定により、販売台数の維持を図っている可能性があると考えられます。どこまでこういった関税負担がサステイナブルであるかは私には不明です。自動車を別にすれば、電気機器は金額ベースで+21.5%増、一般機械も+7.1%増となっています。最後に、引用した記事の3パラ目にもか着く言及されている通り、輸出入を通じて、電気機械、特にICをはじめとする半導体等電子部品が大きく増加しています。すなわち、いずれも季節調整していない原系列の前年同月比の金額ベースで見て、輸出では半導体等電子部品が+29.3%増、うちICは+30.7%増、輸入では半導体等電子部品が+1.6%増、うちICは+32.9%増となっています。私はそれほど詳しくないのですが、いわゆるシリコンサイクルが上向きになって、半導体部品取引が活発化している、ということなのだろうと受け止めています。

最後に、石油の品薄、供給不足や価格高騰に打撃を受けている企業も決して少なくないのは事実ですし、短期的にはその対策も重要である一方で、単純に現在の石油消費を維持・継続するのではなく、長期的に脱炭素の観点も含めて石油消費を抑制する方向も考慮されるべきではないか、と私は考えています。

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2026年4月21日 (火)

乱打戦で横浜に打ち負ける

  RHE
阪  神111020130 9142
横  浜00204046x 16140

【神】 才木、工藤、モレッタ、木下、湯浅、岩貞 - 坂本
【横】 深沢、橋本、中川虎、レイノルズ、伊勢、坂本 - 山本

乱打戦で横浜に打ち負けました。
序盤から乱打戦の様相で、中盤まではほぼ互角の打合いだったのですが、7回ウラ同点の場面で登場したモレッタ投手が乱調でフォアボールを連発して押出、木下投手も打ち込まれて4点を献上してしまいます。8回はさらにひどくて6点を取られてしまいます。打つ方は、不動のクリンナップ3人を中心に上位下位ともによく打ったのですが、何よりも、モレッタ投手の乱調に始まって終盤の失点が重かったです。

明日は、
がんばれタイガース!

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日本のプロ野球の指名打者制は勝率にどのような影響があったか?

指名打者=DH制を採用しても日本プロ野球の勝率には大きな変化はないことを実証した "Statistical analysis of winning percentages in Japanese professional baseball using the Wins above Replacement indicator" と題する論文が学術誌に掲載されています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
This study examines a previously unexplored concept in the field of sabermetrics. By employing a novel correction that accounts for player position differences, it investigates the impact of the designated hitter (DH) system on team wins in Japanese professional baseball using the Wins above Replacement metric. We applied this innovative correction to Pacific League data from 2014 to 2023, accounting for positional differences in player contributions. Our results indicate no significant difference in the correlation coefficients between team average wins above replacement (WAR) and winning percentage under conditions including and excluding the DH position, suggesting that the DH system does not substantially impact team performance. These findings offer a nuanced understanding of the DH system's role in baseball strategy and team dynamics.

私もそれほど詳しくありませんが、野球のゲームにおいて、打撃・守備・走塁・投球などの要素を統合し、選手の貢献度を数値化したWAR=Wins Above Replacementを用いて検証しています。WARでは代替可能選手(Replacement Player)と比べて、どれだけ多くの勝利をチームにもたらしたかを示す総合評価指標だそうです。論文から引用した次の Fig 2. Correlation coefficient between WAR and team winning percentage in Pacific League では、DHを含めた場合と含めない場合の両方で、チーム平均WARと勝率の相関係数を比較しています。見れば明らかですが、係数の大きさに有意な差は見られず、DH制度は選手の能力がチームの勝率に与える影響を大きく変化させないことが示唆される、と結論しています。同じように係数の大きさを比較したグラフがいくつかあります。

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来年2027年からは、セ・リーグでもDH制が採用されます。大きな勝率の変化がないとすれば、阪神タイガースに有利でも不利でもない、ということになるのかもしれません。

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2026年4月20日 (月)

夏のボーナス予想

今月4月に入って、例年のシンクタンク各社から2026年夏季ボーナスの予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下のテーブルの通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因で決まりますので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。可能な範囲で支給総額に言及している部分を取っています。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員ベースの予想、と明記してあります。第一ライフ資産運用経済研究所ではそもそも公務員は予想の対象外です。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研43.7万円
(+2.2%)
73.1万円
(+3.5%)
今夏の賞与を展望すると、民間企業の支給総額は前年比+2.4%と、昨年から伸びが低下するものの、夏季賞与としては5年連続で増加する見通し。支給対象者数が小幅に増加するほか、一人当たり支給額も同+2.2%と増勢を維持。賞与増額の背景は以下2点。
(1)第1に、所定内給与の増加。賞与額は基本給(所定内給与)に支給月数を乗じて算出されるケースが多いため、所定内給与の増加が賞与全体の押し上げに寄与する見込み。今年の春闘賃上げ率(連合の第3回回答集計)は、5.09%と高めの伸び。今年度も所定内給与の伸びは堅調に推移する見通し。
第2に、総じて良好な企業収益。米関税の下押し影響を円安・原油安などがカバーしたことで2025年の企業収益は堅調な結果に。米関税の影響が大きい輸送機械産業など、一部企業では減益となったものの、春闘での妥結状況から判断すると、豊富な経営体力に支えられ、賞与額は底割れを回避する見込み。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング43.6万円
(+2.3%)
74.6万円
(+5.6%)
2026年夏の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは、前年比+2.3%と5年連続で増加が見込まれる。好調な企業業績と堅調な雇用情勢が追い風となり、2%台の伸びを維持しよう。
支給労働者割合は 86.3%(前年差+1.7%ポイント)と前年からさらに上昇するだろう。同割合はコロナ前の水準を超えて回復しており、雇用者数の増加が続く中、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数は4,521万人(前年比+3.3%)と、4年連続で過去最多を更新する見込みである。
一人当たり支給額と支給労働者数の増加を受け、ボーナスの支給総額は19.7兆円(前年比+5.7%)と5年連続で増加しよう。依然として足元の物価上昇率は高いが、伸び率が落ち着いてくれば、ボーナスの支給総額の増加が個人消費の回復を下支えすると期待される。
第一ライフ資産運用経済研究所43.7万円
(+2.5%)
n.a.民間企業の2026年夏のボーナス一人当たり支給額を前年比+2.5%(43.7万円)と予想する(厚生労働省「毎月勤労統計」ベース)。夏のボーナスとしては5年連続で+2%台の伸びになるだろう。
(略)
26年冬のボーナスについては、仮に原油価格の高騰が長期化するようであれば、中小企業を中心として抑制圧力が生じる可能性がある。また、26年の企業業績が悪化した場合、賃上げ原資の減少を通じて、ボーナスのみならず27年春闘での賃上げに悪影響を与える可能性もあるだろう。原油価格高騰の長期化はメインシナリオではないが、十分注意しておきたい。

今年前半の経済上の最大の懸念は米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東情勢のリスクです。石油価格の上昇とともに、ナフサをはじめとする石油製品の供給制約が発生するおそれがある、というか、すでに発生しているような気すらします。第一ライフ資産運用経済研究所のヘッドラインの最後のパラにあるように、原油価格高騰のみならず供給制約の長期化は、すでにほぼ決着した今年2026年春闘というよりは、来年2027年春闘の賃上げに影響すると考えるべきです。ただし、人口減少下での人手不足は深刻の度合いを増していますし、加えて、先進国の中でh,我が国はひときわデジタル化やAIの活用が遅れており、人手不足解消にほとんど役立っていません。我が国賃金システムはボーナスという伸縮性に富んだ項目があり、それによって人材を引き付けている部分があります。また、1人当たりボーナスが増加するとともに、ボーナス支給対象労働者数も増加し、支給総額はそのかけ算で増えることになり、消費を下支えする効果が期待されます。

最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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2026年4月19日 (日)

乱戦を制して中日を3タテ

  RHE
中  日221000000 590
阪  神30002110x 7101

【中】 高橋宏、齋藤、藤嶋、根尾、メヒア - 石伊
【神】 伊原、石黒、工藤、湯浅、モレッタ、桐敷、ドリス - 伏見

中日を3タテでした。
序盤から乱打戦の様相で、先発伊原投手はアクシデントもあって早々に降板して、細かな継投に入ります。打つ方は、シーソーゲームを演じたものの、中盤から終盤に中日を突き放しました。終盤はモレッタ投手-桐敷投手-ドリス投手で逃げ切りました。何よりも、ポケモン・コラボで3連勝がうれしかったです。

次の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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2026年4月18日 (土)

今週の読書は新書をよく読んで計5冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、松尾匡『「上」vs.「下」の経済学』(地平社)では、世の中を横に切って上下に分けて、下に味方するのが左翼、縦に切ってウチとソトに分けて、ウチに味方するのが右翼、との見方を示し、政権=権力者の好みで資源動員先を決め、農業や中小企業を切捨てる政策を批判しています。山口未桜『白魔の檻』(東京創元社)では、兵庫市民病院の城崎響介医師が謎解きをするミステリであり、研修医の春田芽衣とともにへき地医療協力で訪れた北海道の更冠病院が、地震による土砂崩れや硫化水素ガスにより孤立してクローズド・サークルと化した中で、殺人が起こります。岡田晃『経済で読み解く昭和史』(PHP新書)は、ジャーナリストである著者が昭和の歴史を経済で振り返っています。昭和2年1927年の金融恐慌から始まった戦前期から始まり、戦争中の歴史、終戦直後の戦後復興期、昭和の高度成長期、高度成長の終焉からバブル経済で締めくくっています。稲田豊史『本を読めなくなった人たち』(中公新書ラクレ)では、コスパやタイパの重視にしたがって長い文章を読まない人の割合が増加している現状が、統計ではなく直感的に確認されています。テキスト媒体が時間がかかるメディアとして敬遠されているのも事実かと私は受け止めました。坂爪真吾『モテない中年』(PHP新書)では、「モテない」とは恋愛が苦手というより、「恋愛や性に関する欲求をうまくマネジメントすることができず、(略)不全感と孤独感を抱えながら生きている状態」と定義し、後半では離婚した中年男性のインタビューから構成しています。
今年2026年の新刊書読書は、1~3月に合わせて73冊、4月に入ってから先週までの12冊と今週の5冊を加えて合計90冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。さらに、世界銀行のリポートや学術論文も少し読んでいますので、適宜取り上げてSNSにポストしたいと予定しています。

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まず、松尾匡『「上」vs.「下」の経済学』(地平社)を読みました。著者は、立命館大学経済学部教授であり、すなわち、私の同僚教員です。したがって、というわけでもないのでしょうが、本書をご寄贈いただいています。ただ、ご著者と違って、私は政治向きのお話は理解がはかどりませんし、第1章の総選挙結果の解説についても、何ともいえません。世の中が中道と左右のポピュリズムの3極に分かれるかどうかについても、そこまで単純化できるのだろうか、と疑問に思わないでもありません。したがって、経済や経済学に限定はしませんが、私が理解できる範囲のレビューになります。まず、タイトルについて、明快に第2章で、世の中を横に切って上下に分けて認識し、下に味方するのが左翼、世の中を縦に切ってウチとソトに分けて認識し、ウチに味方するのが右翼、という見方を示しています。p.57 図2-1で図解しています。はい、これは私もまったくその通りだと思います。私が理解できる範囲で、第4章の現在の高市政権の経済政策についても、その通りで、政権=権力者のお好みにしたがって資源動員先を決めて、農業や中小企業は切捨ての憂き目を見ていることも事実です。ただ、口実としている経済安全保障が、例えば、「通商白書」で見る限り、数年前の「通商白書」2022年版では、第Ⅱ-1-2-25表の重要品目等の依存度、国内代替可能度、あるいは、それに続く第Ⅱ-1-2-26図の輸入相手国・地域などで、国内生産比率がパソコンや携帯電話で低く、中国からの輸入依存度が高い、として、いかにも「中国への輸入依存がリスク」といわんばかりの見方だったのが、本書で指摘する地域帝国主義の観点から明らかにしているように、米国トランプ政権こそが我が国の経済安全保障を脅かす元凶、という現実を見るべきと私は考えています。私の記憶にあるのは、Financial Timesに掲載されたコラム "Trump, Putin, Xi and the new age of empire" にあった世界を3人で分割する風刺画です。ただし、いくつか指摘しておきたい点もあります。まず第1に、ウチとソトに分ける右翼の財政拡張路線と上と下に分ける左翼の反緊縮財政の違いが、たぶん、よく読めば頭のいい人には判るのかもしれませんが、私には判然としませんでした。要するに、歳出については、大企業や軍備につぎ込むのが右翼の財政拡張政策で、社会保障や教育などの国民生活に資源配分を手厚くするのが左翼の反緊縮財政、という結論なのだと思いますが、それだけなのでしょうか。確かに、歳入面での累進課税の強化は重要ですが、先進国で累進課税を取っていない国なんてないわけで、どの程度の累進度が必要なのでしょうか。労働配分の精緻な計算結果に比較すると、やや物足りない気もします。第2に、その労働配分=労働の割当てだけではなく、資本ストックも合わせてみた産出=アウトプットで考えるべきではないか、と私は考えています。例えば、将来的に需要が拡大することが明らかな介護サービスの供給を増やすには、確かに短期には労働配分を増やす必要が高いという点は理解しますが、より長期には資本ストックに体化される技術革新も含めて、労働だけに必要なアウトプットの増加を依存するのではなく、生産要素である労働と資本ストックの両方から手当てすべきではないか、と私は考えます。第3に最後に、私はこういった左派の経済政策を実現するには、それなりの自覚した勢力の行動が必要と考えています。もはや、かつてのソ連や中国のような暴力革命でプロレタリアート独裁、なんてのは絶対に出来っこありませんから、今では選挙による政権交代がもっとも現実的と考える国民が多いかもしれません。しかし、私は選挙に基づく政権交代ですら、日本においては、実現性が怪しいと思っています。ですので、3.5%ルールを提唱したチェノウェス教授の『市民的抵抗』で示されている市民運動が現時点では、ひょっとしたら、選挙よりも可能性が高い政権交代手段であるように私は見ています。ただし、それほど、自信はありません。批判者によっては、自覚した非暴力の3.5%の市民的抵抗が政権交代につながるなんて、1997-98年のインドネシアとか、2010-12年のアラブの春、といった途上国や新興国レベルのお話で、民主主義の進んだ先進国である日本ではありえない、という見方もありますが、日本の民主主義はホントに欧米先進国並みか、という疑問はないのでしょうか?

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次に、山口未桜『白魔の檻』(東京創元社)を読みました。著者は、医師なのですが、前作『禁忌の子』が第34回鮎川哲也賞を受賞してミステリ作家としてデビューしています。本作品は、前作と同じ兵庫市民病院の城崎響介医師が謎解きをするミステリです。とはいうもの、主人公は春田芽衣です。前作の『禁忌の子』でも城崎と同じ病院に勤務する救急医の武田航が主人公でしたから、同じような構成といえます。その救急医の武田は第1章冒頭でチラリと登場します。春田は27歳の研修医なのですが、城崎といっしょにへき地医療協力で1か月北海道の更冠病院に派遣される、という舞台設定です。そこで、3人ほど死ぬわけです。第1に、春田が埼玉に住んで中学生のころまでやっていたバスケットボールのコーチだった病院事務職員の九条環が病院地下の浴室で倒れて、硫化水素中毒で亡くなっているのが発見されます。更冠病院に居合わせた更冠町長の村山幸蔵や病院長の八代大吾は事故であると主張しますが、城崎は殺人と見抜きます。第2に、病院長の八代が殺されます。首を切断されていますので、明らかに殺人です。第3に、更冠病院での分娩の際に娘と孫を亡くした老女の源佳代が拳銃でこめかみを撃ち抜かれて亡くなります。この3つの事故だか、事件だかを城崎が最終第6章冒頭で春田を相手に謎解きを繰り広げる、ということになります。しかも、更冠病院周辺で大きな地震があって外部と連絡が取れなくなった上に、土砂崩れや硫化水素ガスが溜まるなどにより病院が孤立してクローズド・サークルと化してしまいます。もちろん、ミステリですので詳細は読んでみてのお楽しみです。なのですが、謎解きそのものはかなり論理的で、少なくとも頭の回転の鈍い私には瑕疵はないように見受けられた一方で、ミステリとして、また、トリックとしては私の評価は決して高いものではありません。批判したくなるのは少なくとも3点あります。第1に、地震や硫化水素ガスなどの天然自然の外的かつ偶発的な要因が多すぎます。プロバビリティの犯罪というのもありますし、硫化水素ガスはそれなりに必要そうな気もしますが、ムリにクローズド・サークルにしているように感じてしまいました。第2に、医療行為があるのはいいのですが、医療用語が過剰に用いられています。医療関係だけではなく、説明が明らかに過剰です。ですので、読みにくく、かつ、原稿料目当ての文字数稼ぎか、との疑いまで引き起こしかねません。第3に、論理的な謎解きよりも、医療や過疎の問題などが前面に出過ぎで、それが殺人やほかの犯罪行為を免責しかねない読み方を許容するおそれすらあります。悪いやつなら殺してもいいのか、というのもありますし、私がもっとも不適切に感じたのは、主人公の春山の独白部分だと思うのですが、p.84で「人間はどうして、死に方を選べないんだろう。意思さえあやふやなまま横たわっている人たちが幸せだとは、どうしても思えない。」というくだりです。ちょうど10年前の2016年7月に起きた相模原市の津久井やまゆり園事件を思い出してしまいました。そして、作者の本職である医師をひたすら美化している部分も少なくありません。かつて、松本清張が社会派ミステリ作家として活躍していたのとは、この作者は大きく違うと感じるのは私だけなのでしょうか。最後の最後に、あくまでついでながら、病院が陥った客観的状況を患者に隠すというエリート・パニックな行動というのも、今どき現実的かどうか、という疑問もあります。

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次に、岡田晃『経済で読み解く昭和史』(PHP新書)を読みました。著者は、現在、大阪経済大学特別招聘教授なのですが、元来は日経新聞やテレビ東京のジャーナリストです。私は数年前に同じ出版社のPHP新書『徳川幕府の経済政策』を読んだことがあります。賄賂政治で評判の悪い田沼意次が老中をしていた時期の経済政策について、リフレ的な観点からの評価をしていたと記憶しています。本書はタイトル通りに、昭和の歴史を経済で振り返っています。ですから、昭和2年1927年の金融恐慌から始まった戦前期を第1章で、第2章は戦争中の歴史、第3章で終戦直後の戦後復興期、第4章が昭和の高度成長期、第4章でドルショックと石油ショックによる高度成長の終焉から安定成長への移行期、第5章でバブル経済を取り上げています。はい、バブル崩壊は平成に入ってからの出来事になります。私も大学の授業では戦後日本経済の歴史を軽く振り返ることをしています。ただ、本書のスコープとは少しズレがあり、さすがに授業では戦前戦中の経済は省いていますし、逆に、昭和末期のバブルで終わるのではなく、最近時点までの日本経済を追っています。本書では、戦前期に高橋蔵相によるリフレ政策で世界に先駆けて世界恐慌の影響から脱した点を高く評価しています。また、第2次大戦直前のブロック経済化による対立の深刻化なども、昨年以来の米国トランプ関税などと対比する形で、適切に取りまとめられている印象です。ただし、戦後経済の出発点となったGHQによる農地解放、財閥解体、労働民主化などはもう少していねいかつ詳細な歴史的な後付けが欲しかった気がします。これらは、戦後経済発展の基礎となった諸条件を生み出しています。その後の1970年代のドルショックや2度に渡る石油ショックについてはエピソード的によく取りまとめられています。私は、高度成長が1970年代に終わったのはこのドルショックや石油ショックが必ずしも原因ではない、とする学術論文「日本の実質経済成長率は、なぜ1970年代に屈折したのか」をもう20年余りも前に共著論文として書いているのですが、本書でも経済学的な因果関係というよりは、エピソードを幅広く取り上げている印象です。最後に、大昔、大学で日本経済論を講義するには、高度成長期の経験が必要といわれていたと聞き及んだことがあります。それほど大昔でなくても、バブル期の経験が必要、といわれた時期もありましたが、現在では、グッと時代を下がって、リーマン・ショックの時期の経験くらいはあった方がいい、というレベルまでトーンダウンしています。バブル経済期の実体験ある私なんぞもそろそろ退職時期に差しかかっており、昭和の時代の経済を振り返るのは実体験ではなくこういった教養書に頼ることになるのかもしれません。

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次に、稲田豊史『本を読めなくなった人たち』(中公新書ラクレ)を読みました。著者は、ライター・編集者だそうです。出版社は違いますが、私は前著の『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)を読んでいます。本書のレビューに入る前に、一応、読書に関する調査結果としては、最新データとして文部科学省文化庁国語課による「令和5年度 国語に関する世論調査」があり、「1か月に読む本の冊数」という問いに対して、「読まない」という回答が62.6%を占めています。調査対象は16歳以上の個人です。他方、学校図書館協議会による「第70回学校読書調査 (2025年)」でも似たような「5月1か月間の読書数」の問いがあり、ゼロという回答が高校生で55.7%に上ります。ですので、過半数の日本人は読書しないという事実は押さえておきべきと思います。また、単純に考えると、おそらく18歳以上の個人は18歳以下の高校生よりも読書をしない人の割合が高い、ということがうかがえようかと思います。ここまでは私が調べた範囲の読書に関する情報です。本書に入ると、まず、コスパやタイパの重視にしたがって長い文章を読まない人の割合が増加している現状が、統計ではなくいくつかのケーススタディめいた基準で直感的に確認されています。ただ、実利的な観点から、就活への利用のため日経電子版が意識の高い学生から支持されているという事実はある、との指摘もしています。しかし、本書で繰り返されているように、統計的に確認されていないとはいえ、大雑把な傾向として、テキスト媒体が時間がかかるメディアとして敬遠されているのも事実かと私は受け止めています。加えて、「楽だから」という理由で本ではなく映像メディアが支持されているという現実もあるのだろう、とも思います。また、本書で強調しているのは、本を読まないということは、本を読むことができるにもかかわらず読まない、というわけではなく、本を読むことができなくなっている、という意味でタイトル通りに、「本を読めなくなった」のだろうという点です。純文学のオープンエンドが許されず、大衆文学的なオチを必要とするとか、そういった背景もあるのは事実だろうと思います。ですから、その昔の「やればできる子」論は読書に関しては成り立たない、ということなのだろうと私は考えています。そして、本書のもうひとつ注目すべき指摘は、決して、スマホの影響で本を読まなくなったわけではない、ということです。すなわち、スマホの影響などなく、読書する子と、もともと読む能力のない子が決まっていて、その決定要因として親の本棚という文化資本を第2章では上げています。長い文章を読んで理解できるのはすべての人に備わっている能力ではなく特殊能力である、という主張です。ですので、表紙画像から受ける印象はミスリーディングであるといえます。ただ、本書のようなタイトルの本を買って読もうという年配の人を引きつけるにはいいのかもしれません。第3章以下では、ネット上の無料テキストの氾濫、本は富裕層向けの商品となりつつある現実、読者と消費者の違い、などの議論が展開されています。そのあたりは読んでみてのお楽しみです。いずれにせよ、義務教育と高校までの学校教育には大きな教育上の格差がないと仮定すれば、文章を読んで理解できる能力は、いくぶんなりとも、家庭における文化的環境に起因する可能性は否定できません。

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次に、坂爪真吾『モテない中年』(PHP新書)を読みました。著者は、社会起業家/合同会社ヨルミナ代表だそうです。これだけでは何のことだか判りませんが、これだけしか情報がありません。モテる/モテないについての本なのですが、第1章では、なぜ、モテる/モテないを重要と考えて踊らされるのか、を分析し、第2章では、日本の恋愛をめぐる150年史をひも解こうと試みています。ただ、第3章からは、突然、ケーススタディに移って、未婚ではなく結婚して離婚した男性に対するインタビューから、モテる/モテないだけではなく、性生活やインタビュー対象の男性の人生を考えることになってしまっています。はい、ハッキリいって、第3章以降ではモテる/モテないは余り関係ありません。結論として、年齢のせいでモテないという結果が示されていて、年齢はどうしようもなく、カネで解決するしかない、もっといえば、性欲を満たすのはカネを払う風俗である、という私の理解を超えた結論を導いているような気がします。その原因は、本書冒頭で「モテない」とは単に恋愛が苦手という意味ではなく、「恋愛や性に関する欲求をうまくマネジメントすることができず、日々モヤモヤとした不全感と孤独感を抱えながら生きている状態」と定義しているからだという気がします。いや、この定義は違うだろうと思いますが、せめて、離婚した中年代性ばかりではなく、未婚中年男性を対象にしたインタビューでもあれば、それなりの参考になった気もします。年齢が唯一のモテない原因という結論で、しかも、そのモテないことに対する解決方法はカネというのですから、いくぶんなりとも、経済学的な要素は含まれているような気がしますが、社会学や心理学といった学術的要素は微塵もありません。本書を離れて、年齢的な要因を考えると、本書ではまったく無視していますが、ウッダーソンの法則が中年男性がモテないひとつの原因となっている可能性を私は指摘しておきたいと思います。本書のインタビューでは明確ではありませんが、男女で恋愛対象となる年齢層が異なる可能性を指摘しているのがウッダーソンの法則です。すなわち、男性は年齢を経ても恋愛対象となる女性の年齢層がそれほど変化せず、20歳代前半を対象と考える傾向があるのに対して、女性はやや年上の男性を恋愛対象とするものの、自分の年齢とともに対象となる男性の年齢が上昇する傾向がある、さらに、30歳を越えるとやや年下の男性も対象となりやすい、という法則です。経験的に受け入れられているだけでなく、また、実証的にも米国のマッチングアプリの分析などから支持されています。ですので、この男女の恋愛対象と考える年齢がマッチする20代半ばの男性と20代前半の女性が、その昔は、結婚適齢期と考えられていたわけです。ただし、現在の日本ではほぼほぼ結婚適齢期という概念は崩壊しています。

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2026年4月17日 (金)

クリンナップの得点で中日に逆転勝ち

  RHE
中  日100000000 160
阪  神00000110x 290

【中】 柳、根尾、齋藤 - 木下
【神】 村上、モレッタ、ドリス、岩崎 - 坂本

中日に逆転勝ちで連敗ストップでした。
ジャイアンツに連敗して重苦しいムードの中、6回に佐藤輝選手の三塁打と大山内野手のタイムリー、ラッキーセブンには森下選手の勝越しソロが飛び出して、クリンナップの打棒で逆転しました。投げては先発村上投手が6回1失点と粘投し、終盤はモレッタ投手-ドリス投手-岩崎投手で逃げ切りました。

明日も、
がんばれタイガース!

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帝国データバンク「カレーライス物価指数」2026年2月

やや旧聞に属するトピックながら、ちょうど1週間前の4月10日、帝国データバンクから「カレーライス物価指数」2026年2月が明らかにされています。2月の平均価格は364円と7か月ぶりに前月を下回っています。pdfのリポートもアップロードされています。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを3点引用すると次の通りです。

SUMMARY
  • 2026年2月のカレーライス物価平均は1食364円(前年336円)となった。
  • 調査開始以降で最高値を更新した前月(370円)からは6円低下し、7カ月ぶりに前月を下回ったほか、2カ月ぶりに360円台で推移した。
  • 2026年3月のカレーライス物価は1食あたり平均363円台で推移する見通し。2025年秋ごろから本格化した「第二次カレーショック」は現状では収束局面へ向かいつつある。

続いて、帝国データバンクのサイトからカレーライス物価推移のグラフを引用すると次の通りです。

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この帝国データバンクのカレーライス物価指数は、ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレー、シーフードカレー、そして、野菜カレーの5メニューの平均値で算出しているのですが、前年同月からの推移では、全5メニューで前年を上回っています。ただ、メニューによって値上げ幅は異なっていて、もっとも値上げ率が高いメニューはチキンカレーとなっており、前年から+14.0%の値上がりとなっています。ただ、昨年2025年12月には+20%超の上昇率を記録していましたし、昨年2025年年央の6~7月には+30%超の大幅な値上げが続いていましたので、ひところに比べると落ち着きつつあることは確かなようです。また、全5メニューのうちもっとも値上げ幅が小さいのは野菜カレーとなっていて、前年から+3円、+1.1%の上昇にとどまっています。
このように、カレーライス物価指数は、一見すると、落ち着きつつあるように見えるのですが、ここまではあくまで2月の数字です。すなわち、2月28日から始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響が、今後、徐々に出て来る可能性があります。先行きは不透明です。

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2026年4月16日 (木)

ルーカス投手が初回から打たれてジャイアンツに連敗

  RHE
読  売301000000 490
阪  神200010000 382

【読】 田中将、田中瑛、大勢、マルティネス - 岸田
【神】 ルーカス、湯浅、桐敷、ドリス、モレッタ - 坂本

ジャイアンツに連敗でした。
何といっても、ルーカス投手の初回の失点が響いてしまいました。タイガースも初回に佐藤輝選手のツーランが飛び出しましたが、結局、1点差で押し切られました。

明日の中日戦は、
がんばれタイガース!

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先進国の貧困ラインは1日4,000円くらい?

諸般の事情で必要あって、世界の貧困ラインを調べました。実は、私は長崎大学のころに貧困指標に関する紀要論文 "A Survey on Poverty Indicators: Features and Axioms" を取りまとめたこともあり、この分野は一応判ってはいるつもりですが、事実関係の確認という意味合いもあって調べた次第です。
調べたのは世界銀行によるリポートであり、引用情報は以下の通りです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。

このリポートの p.52 BOX 1.1 Revisiting the poverty line for a changing global population で貧困ライン poverty line が明らかにされています。1パラめだけを引用すると次の通りです。

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重要なポイントは3か所あります。すなわち、世銀では、極度の貧困 extreme poverty に対する貧困線は1人1日当たり$2.15、そして、上位中所得国 upper-middle-income countries における貧困ラインは 1人1日当たり$6.85、下位中所得国 lower-middle-income countries における貧困ラインは 1人1日当たり$3.65、そして、高所得国の貧困ラインは$24.35、としています。世界銀行のサイトでは、高所得国、上位中所得国、下位中所得国、低所得国、がそれぞれ地図による色分けで示しています。きわめて大雑把に、上位中所得国はラテンアメリカの多くの国、中国、南アフリカ、などとなります。当然、日本は高所得国に分類されています。なお、世界銀行では、昨年2025年6月に June 2025 Update to Global Poverty Lines ということで、極度の貧困線だけ、1人1日当たり$2.15から、$3.00にアップデートしています。
高所得国の貧困ラインは$24.35ですから、ホントは2017年の購買力平価=PPPによるドルなのですが、ごく単純に、最近時点でのスポット市場レートを丸めて$1が160円として日本円に換算すると、1人1日当たり4,000円弱となります。これまた、単純に30倍すると、12万円近い月収が高所得国における貧困ラインということです。

我が日本の学生生活を振り返ると、東京私大教連による「私立大学新入生の家計負担調査 2025年度」では、仕送り額から家賃を除いた自宅外生の月間の生活費が19,800円、日額にすれば660円です(p.12)。東京での学生生活ですから、全国平均を少し上回っている可能性がありますが、家賃を除いているとはいえ、1日660円というのは高所得国の貧困ライン$24.35にははるかに及ばない数字です。バブル経済末期の1990年には、仕送り額から家賃を差し引いた月額生活費は7万円を超えていましたから、単純に30日で除すると1日当たり2,000円を上回っていたことになります。この額なら、高所得国の貧困ラインは下回るものの、上位中所得国の貧困ラインは余裕で上回っていました。この35年ほどで、学生に仕送りをしている保護者のお給料がそれほど増加せず、それでも、特に東京では家賃が増加してしまって、自宅外の学生の生活費がきわめて苦しくなっている実態が明らかになっています。金利の先高感もあって、有利子の奨学金を躊躇する姿勢も見られますし、高校に続いて高等教育の無償化、その実現までに、貸与型ではない給付型の奨学金の充実が必要です。

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2026年4月15日 (水)

国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」は武力紛争下で不確実性が高い

日本時間の昨夜4月14日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の見通し編が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率見通しは、昨年2025年の実績+3.4%に対して、今年2026年は+3.1%とやや減速し、来年2027年も+3.2%と2025年に比べて減速が継続するという標準シナリオが提示されています。まず、IMFのサイトから World Economic Outlook Growth Projections のテーブルを引用すると次の通りです。

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ただし、この成長率は幅を持って考えるべきです。すなわち、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する武力紛争がいつまで継続し、あるいは、どれくらいの規模で拡大するかに規定されます。加えて、この武力紛争にどれくらい関わっているかにも依存します。もちろん、成長率だけでなく、物価上昇率も含めて世界経済に及ぶ影響は大きいと考えざるを得ません。それを試算している Figure1.8. Global Growth and Inflation Forecasts と Figure1.9. GDP Growth Revisions in the Reference Forecast をリポートから引用すると次の通りです。

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上のグラフの Figure1.8. Global Growth and Inflation Forecasts では、真ん中の黄色い棒グラフを標準シナリオとして、成長率と物価上昇率が予想されていおり、標準シナリオの右側の緑色の棒グラフは石油とガス価格がさらに上昇するケース、具体的にはグラフのNoteにあるように、The adverse scenario assumes that oil (gas) prices increase by 80 (160) percent starting in 2026:Q2, relative to the January 2026 WEO Update のケースであり、さらにその右側の灰色の棒グラフは、さらに深刻な想定を置いており、具体的には、The severe scenario is calibrated to larger and more persistent shocks. First, oil (gas) prices are assumed to be 100 (200) percent higher than the January 2026 WEO Update、ということになります。当たり前ですが、多くの国では、石油やガスの価格上昇が大きくなればなるほど成長率は下振れし、物価上昇率は上振れします。
下のグラフの Figure1.9. GDP Growth Revisions in the Reference Forecast では、国ごとの属性別の成長率への影響が試算されています。左側のグループはエネルギー輸出国であり、石油やガス価格の上昇により成長率が上振れする新興国があったりします。しかし、逆に、エネルギー輸入国は成長率が下振れするという結果です。でも、一番右の紛争当事国のグループ、すなわち、中東と北アフリカは大きく成長率が下振れすると予想されています。これまた、当然です。
ようするに、一定の仮定を置いた「世界経済見通し」だけからは、正確な将来予測はできません。ハッキリいって、武力紛争下の世界経済の見通しは成長率も物価上昇率もきわめて不透明で不確実性が高い、としか結論のしようがないと私は受け止めています。もともと、経済予測はそれほどの正確性を備えているものではありませんが、今回の国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」は通常よりもさらに正確性を欠く可能性があります。定量的に数字を明記した標準シナリオを示している点は一定の意義がありますが、まあ、あくまで参考程度に考えておくべきです。

目を国内に転じると、本日、内閣府から2月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から+13.6%増の1兆1159億円と、2か月ぶりの前月比増を記録しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は前月比で▲1.2%減ということでしたが、これまた、ロイターの記事によれば、「原子力原動機関連などで100億円超の大型案件が5件」あった、という記者会見で明らかにされたようです。いつものグラフは次の通りです。

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2026年4月14日 (火)

最適通勤時間は45分?

経済学、特にミクロ経済学は何らかの制約条件下での最適行動を分析する学問である、と私は大学の新入学生諸君などに教えているのですが、何と、通勤時間にも最適点があった、という研究結果を見かけました。論文名は "A Time to Unwind or Despair? Decoding the Impact of Commuting Duration on Psychological Distress" です。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Commuting has traditionally been viewed as a demand that negatively impacts psychological health. Yet, theoretical scholarship suggests there may be an upside to commuting for mental health. This study examines (a) whether the association between one-way commuting duration and psychological distress is non-linear and (b) whether this association is modified by two within-domain demands: household labor relative to one's partner (home demand) and job pressure (job demand). Multivariate results using data from a cross-sectional survey of employed adults in dual-earning relationships in the United States (n = 568) reveal a U-shaped relationship between commuting duration and psychological distress. Specifically, we find that psychological distress decreases over the first 44 minutes of commuting duration but increases thereafter. This quadratic effect is only observed at higher levels of within-domain demands of both home and work. Under such conditions, shorter commutes are especially beneficial, whereas longer commutes have the most negative impact. Gender does not moderate these associations. This study highlights the complex interplay of various factors in shaping the association between commuting and mental health for employees in dual-earner relationships.

要するに、サンプル数は568人と少ないながら、米国における共働き世帯の成人を対象とした横断調査のデータを用いた多変量解析の結果、通勤時間と精神的苦痛 psychological distress の間にはU字型の関係があることが明らかになった、ということです。私はきわめて単純に、通勤時間と精神的苦痛は正の単調増加関数であり、通勤時間が長いほど苦痛は増す、と考えていただけに少しショックを受けました。専門外の分野ですので、論文から次のグラフ Figure 1. The association between commuting duration and psychological distress based on results を引用して結果だけを示しておきたいと思います。

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精神的な苦痛 psychological distress ということで、米国の共働きをサンプルに取っていますので、通勤距離=通勤時間の短い方が家事負担を多くこなす、というシステムを考えているようで、そのため、適当に長い通勤時間が家事負担を軽減するケースもあって、通勤と家事負担の両方込みで精神的な苦痛を計測するとこうなるのかもしれません。いずれにせよ、繰返しになりますが、私の専門外ですので詳細は判りかねます。というか、この解釈も間違っているかもしれません。ホントのところを知りたければ、最初にリンクをお示しした原論文をちゃんと読むのがベストだろうと思います。悪しからず。

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2026年4月13日 (月)

大学の偏在が進学率の地域間格差に及ぼす影響

大学の偏在が都道府県別に見た大学進学率の格差をもたらす、という結論を得た "Changing regional university availability and inequality of educational opportunity in Japan" と題する論文が明らかにされています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、とても長くなりますが、論文のAbstractは次の通りです。

Abstract
The uneven distribution of universities across regions has been argued to create educational inequalities based on place of residence. While studies have shown positive associations between college proximity, measured by distance to nearest college or its presence, and enrolment among local residents, regional availability has often been measured insufficiently, and longitudinal evidence on the relationship is limited. Using multiple social survey datasets combined with population census data from Japan, a country that has experienced significant policy shifts regarding university locations, we examine how longitudinal changes in regional university availability in an individual's residential and neighbouring prefectures are associated with their likelihood of university enrolment and how these associations differ by parental class and education. Our results show that increased university availability in both residential and neighbouring prefectures is positively associated with enrolment. While the strength of the association does not differ significantly by parental class, individuals with tertiary-educated parents are more responsive to increased availability. These findings suggest that increased university availability in underserved areas could reduce spatial inequality in enrolment, though may have a limited role in reducing, or may even be positively associated with, inequality based on social origin.

軽く想像される通り、大学が近くにあれば大学進学率は容易になるわけで、あるいは、逆に、大学進学率が高ければ大学の誘致が進んだりして大学の方でも近くに立地するメリットがあります。ですから、大学が近くにあるという点と大学進学率は相関しています。日本ではおそらく、ここ100年ほどの期間で、大学進学率はほぼほぼ常に東京都がトップで京都府が2番目、しかも、この2都府が他の県よりも飛び抜けて高い進学率となっている、という経験的事実があります。その都道府県別の大学進学率を都道府県別のヒートマップで示した Figure 1 University enrolment rate (per cent) by prefecture in 1970, 1990, and 2010 を論文から引用すると次の通りです。ヒートマップの色付けが1970年/1990年と2010年で違っているので直感的な比較に難がありますが、東京を中心とする首都圏と京阪神、特に京都を中心とする関西圏に高い大学進学率の県が集中しているのが読み取れます。

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続いて、都道府県内および隣接県の大学の立地を、同じく都道府県別のヒートマップで示した Figure 2 Availability of local and neighbouring universities by prefecture, selected years を論文から引用すると次の通りです。

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大学進学率 enrollement に対して、これらの大学の利用可能性 availability を説明変数として二方向の固定効果ロジットモデル two-way fixed effect logit models で推計しています。まず、居住都道府県および通学可能な近隣都道府県における大学利用可能性が上昇すると、大学進学確率が高まることが数量分析の結果として明らかにされています。ただ、本論文の数量分析で確認されたのは因果関係ではなく相関関係です。加えて、もちろん、効果はそれほど単純ではなく、例えば、親学歴について見ると、親が高学歴である子どもほど、大学進学確率がより大きく上昇することとの結果を得ています。すなわち、義務教育相当 Lower secondary < 高校卒相当 Upper secondary < 高等教育相当卒 Tertiary の順で大学進学率上昇効果が大きくなっています。

もちろん、この論文で計測しているのは因果関係ではありません。大学の利用可能制が高まったから大学進学率が上昇した、という因果関係を計測しているわけではなく、逆の因果、すなわち、大学進学率が高まった地域に大学が移転、ないし、大学定員の増加などがあった可能性も十分ありえます。ただ、私のようなエコノミストの目から見れば、大学進学率を高めて、同時に、大学の利用可能性も高めて、日本人の生産性を向上させることはきわめて重要な課題であり、両方をともに進める必要があると考えています。

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2026年4月12日 (日)

高橋投手10奪三振5安打完封で中日を3タテ4連勝

  RHE
阪  神000030000 371
中  日000000000 050

【神】 高橋 - 伏見
【中】 高橋宏、齋藤、牧野、メヒア、根尾 - 加藤

高橋投手のナイスピッチングで中日に快勝でした。
高橋投手は120球を超える熱投で、10奪三振、わずかに散発5安打に抑え完封勝利でした。ほぼ完璧といえます。打線は5回にレフトで先発出場した前川選手が先頭打者で出塁したチャンスに、中野内野手と森下外野手の連続タイムリーで3点を先制しました。得点はそれだけだったのですが、セーブがつくシチュエーションの3点差よりももっと大きな差を感じたゲームでした。どうでもいいことながら、佐藤輝選手が3安打で4割に乗せたそうです。

次の甲子園でのジャイアンツ戦も、
がんばれタイガース!

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2026年4月11日 (土)

佐藤輝の連発とクリンナップそろい踏み弾で中日に快勝

  RHE
阪  神110200302 9110
中  日001000020 380

【神】 伊原、ドリス、早川、桐敷 - 伏見
【中】 大野、仲地、近藤、牧野 - 木下、味谷

昨夜の流れを受けて、序盤からホームラン攻勢で中日に快勝でした。
初回に森下選手、2回にも大山選手がソロホームランを打ち、終盤には佐藤輝選手がスリーランとツーランを連発しました。クリンナップ3人で計4ホーマー7打点でした。先発伊原投手は6回1失点のピッチングで試合を作り、ついでに、タイムリーもかっ飛ばしています。

明日も、
がんばれタイガース!

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今週の読書は統計学の入門書のほか計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、堀雅博『読んでわかる推測統計学の考え方』(日本評論社)は、初学者向けの統計学の入門書であり、3部構成、第Ⅰ部記述統計編、第Ⅱ部確率編、第Ⅲ部推測統計編となっており、ていねいに数式を展開して直感的に理解できるように工夫されています。志位和夫『Q&A いま『資本論』がおもしろい』(新日本出版社)では、マルクス『資本論』第1部についての解説であり、マルクス主義経済学について専門外の私からは、剰余価値の生産や企業利潤との関係で、賃上げだけではなく労働時間の短縮もひとつの課題、との指摘が新鮮でした。北山猛邦『神の光』(東京創元社)は、すべて消失トリックを扱った5話の短編を収録しています。特に、表題作の短編「神の光」は、米国の砂漠にあったカジノが街ごと翌朝に消失する物理トリック、それも壮大な物理トリックであり、本書でもっともレベルの高い謎解きでした。犬丸幸平『最後の皇帝と謎解きを』(宝島社)では、1920年の北京紫禁城を舞台に、最後の清朝の皇帝であった愛新覚羅溥儀とともに、日本人絵師として雇われた一条剛が紫禁城の事件の謎解き、宦官=太監の1人が不審死をした謎、欠けていた龍の目が何者かによって描き入れられた謎、などの謎解きをします。遠藤正敬『戸籍の日本史』(インターナショナル新書)では、庚午年籍から始まる我が国戸籍の歴史を考え、戸籍の本質を「日本人であることの証明」とし、明治政府による壬申戸籍は、血統からひいては職業などを中世封建期に規定していた姓から、より実利的な家制度への転換と指摘しています。宮内悠介ほか『旅する小説』(講談社文庫)は、旅というよりもっと単純に、移動とか、あるいは、一定の文化圏を離れるという意味での越境による非日常まで含めた幅広い短編が収録されていて、単純な紀行小説ではなく、SFというか、ファンタジーな作品もいくつか収録されています。
今年2026年の新刊書読書は、1~3月に合わせて73冊、4月に入ってから先週の6冊と今週の6冊を加えて合計85冊となります。また、2023年の第27回日本ミステリー文学大賞新人賞に選ばれた斎堂琴湖『燃える氷華』(光文社)も読みましたが、新刊ではないので本日のレビューには含めていません。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、堀雅博『読んでわかる推測統計学の考え方』(日本評論社)を読みました。著者は、東京経済大学経済学部の教授なのですが、ぶっちゃけ、私の役所の後輩です。ご著者が新入庁した当時の経済研究所の世界経済モデルグループの係長ポストに私がいました。ご寄贈いただきましたのでお礼のメールを送ると、「お時間を取って読んでいただけるような代物ではありません」との返信があり、要するに、初学者向けの統計学の入門書という位置づけです。3部構成であり、第Ⅰ部記述統計編、第Ⅱ部確率編、第Ⅲ部推測統計編となっており、ていねいに数式を展開して直感的に理解できるように工夫されています。大学に入学したばかりなどの初学者向けの入門書ですので、このレビューでも、本書を読んで勉強する初学者の読み方、というよりは、そういった初学者におすすめするポイントを中心に取り上げたいと思います。まず第1に、繰返しになりますが、統計学の入門書です。というのは、詳しくいえば、経済統計学の入門書ではない、ということであり、経済学部に限らず、幅広い大学1年生向けであるといえます。経済統計の大きな特徴のひとつは時系列データである、という点で、本書でも、横断面データ、時系列データ、パネルデータが第1章冒頭で取り上げられていて親切な作りになっています。ただ、第2に、かなり詳細に数式を展開しており、私自身はこういった形で議論を進めることが教育的、学習的に正しいと思っているのですが、少なくとも、我が立命館大学経済学部の新入生を見ていると不安を感じることも事実です。私は役所勤務のころは、東大数学科ご出身の同僚が何人かいましたので、そういった数学能力に秀でた人に数式の展開なんかを添削してもらった記憶があります。そういったサポートがなくなった長崎大学への出向時に書いた政府財政のサステイナビリティに関する論文の数式で、立命館大学の大学院生に誤りを指摘されたこともあります。それはともかく、私はこういった統計や計量経済学では数式を展開しつつ、直感的に理解させるのが重要だと考えています。その点で、本書ではサイコロのランダムな出目を取り上げているんですが、そのランダムな出目のサイコロでも数多くのサイコロを振れば正規分布に近づく、という直感的な中心極限定理の理解にも時折言及します。ただ、本書では数多くのサイコロの出目と中心極限定理はリンクさせていません。加えて、本書を離れますが、市場均衡の一意性に利用される不動点定理については、同じ地域を収録している縮尺の違う地図を重ねると、ただ1地点だけ重なる地点が存在する、というのは、とても直感的によく理解できた記憶があります。後者の不動点定理は統計学のスコープ外でしょうが、教える側からは重宝しています。最後に、統計学については社会人になってからの実務とも関連が深くなります。ですので、実務上で統計学、あるいは統計を用いる際に、こういった理論上の基礎があればとても助かると思います。本書では、統計作成上のランダムサンプリングについては「その方法自体でこの本よりも分厚い本が書けるくらいの大問題」(p.168)と流していますが、統計局で理論的基礎をどこまで教えているのかは知りませんが、実務的な研修では2-3時間でサラッと教えていたような気がします。

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次に、志位和夫『Q&A いま『資本論』がおもしろい』(新日本出版社)を読みました。著者は、奥付では日本共産党の中央委員会議長となっています。最近、委員長が交代したり、不破哲三さんが亡くなったりしていて、私はこの政党の人事はよく把握していません。本書は民生同盟のメンバーを対象にしたセミナーを収録しています。テーマはもちろんマルクスの『資本論』なのですが、その第1部だけを対象としています。広く知られている通り、『資本論』は第3部までありますが、マルクス自身が編集したのは第1部だけであり、第2部と第3部はエンゲルスの編集です。ですので、「エンゲルスの編集にして正しければ」といった限定、例えば、『資本論』第3部は3大階級で終わる、といった言及がなされたりすることもあると思います。それはともかく、私は学生のころに『資本論』を第3部まで読んだことは読んだのですが、マルクス主義経済学はまったくのシロートです。ですので、2点だけ着目したいと思います。まず、剰余価値の生産です。企業利潤の源泉、というか、企業利潤そのものです。その企業利潤との関係で、賃上げだけではなく労働時間の短縮もひとつの課題、との指摘は新鮮に感じました。ケインズの「わが孫たちの経済的可能性」で言及されている1日3時間労働や週15時間労働=Three-hour shifts or a fifteen-hour week に近い考え方だと感じるのは私だけではないと思います。第2に、社会変革のための客観的条件と主体的努力です。私は長らく政府で公務員として働いていて、もしも、その昔のソ連や中国であった社会主義革命なんてものが日本で起これば、ギロチンにかけられる確率も平均的日本人よりも高い可能性がある、と覚悟していますが、逆に、それだけに、労働者が武力蜂起して革命が起こって、プロレタリアート独裁なんてことにはならない、武力革命なんて微塵の可能性もない、ときわめて楽観的に考えています。しかし、『資本論』でいうところの生産力が拡大し、希少性がほぼすべての商品で低下し、あるいはゼロになれば、価格に応じて資源を配分する市場は無用の長物となり、「必要に応じて」という共産主義的な配分に移行する、あるいは別の表現で、革命がなくても、資源配分の場が市場でなくなる経済に移行する可能性はゼロではない、と考えています。革命が起こらないと、元公務員の私がギロチンにかけられることもないわけです。その場合、生産手段が国有・公有に移行しているかどうかは、資源配分の観点からはそれほど重要ではない可能性もあります。その意味で、私にはムリでしょうが、物理学のような経済学の大統一理論がそのうちに出来る可能性も否定できない、と私は考えています。まあ、とっても先の話かもしれません。最後に、同じ著者により同じ出版社から今年2026年1月に『自由な時間と『資本論』』と題する本が出版されています。私はこれも読みたいと希望しています。

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次に、北山猛邦『神の光』(東京創元社)を読みました。著者は、2002年『「クロック城」殺人事件』がメフィスト賞を受賞してデビューしたミステリ作家です。物理トリックと幻想的な世界観に定評があるということのようです。私はアンソロジーに収録された短編しか読んだことがなく、事実上、初読の作家さんでした。本書はすべて消失トリックを扱った5話の短編を収録しています。順に、「1941年のモーゼル」では独ソ戦のさなかにナチスに狙われた宝石部屋を擁する屋敷が丸ごと消失した昔話を主人公が聞きます。「神の光」では、ジイサンから聞いた話を孫がするのですが、米国の砂漠にあったカジノが街ごと翌朝に消失します。まさに作者が得意とする物理トリック、それも壮大な物理トリックであり、この本でもっともレベルの高い謎解きです。「未完成月光 Unfinished moonshine」では、ポオの未完の未発表原稿を手にした友人から相談された主人公が謎解きに挑戦します。その小説では、小屋から出てきた少女が突然死し、やがて小屋が消失します。「藤色の鶴」は、時代を将来までカバーするSFめいた雰囲気ある作品で、1055年の平安時代、1999年のほぼほぼ現代、2055年の将来の3時点で同じ家系の人物と見なせそうな人が消失します。合理的な謎解きではないと見なす読者もいるかもしれません。「シンクロニシティ・セレナーデ」は夢の中で館が消失するというもので、途中まではファンタジーかと思わせますが、何とか近代物理学に反しない謎解きがなされます。ということで、著者は物理トリックとともに幻想的な世界観に定評があると最初に紹介しましたが、その2点がグラデーションになって5話の作品に現れている気がします。物理学と幻想的文学とは、ちょっと見で相反するような気がしますし、読者によっては作品の好き嫌いが分かれる可能性もあります。ただ、私の感想としては、2番目に収録されている表題作の「神の光」のトリックがもっとも壮大で、謎解きとしても最後のオチとしても出来がいいように感じました。ただ、多くの収録短編が、いわゆる安楽椅子探偵が謎解きを行っており、ホントに正しい謎解きなのかどうかを確認するすべがありません。その意味で、読者によっては、納得感が得られない場合もありそうな気がします。

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次に、犬丸幸平『最後の皇帝と謎解きを』(宝島社)を読みました。著者は、第24回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した本作品でデビューしています。ただ、現在はパキスタンで絨毯の買付けなどをしている、と紹介されています。タイトルから容易に想像できる通り、舞台は中国の首都である北京、時代は1911年の辛亥革命からそれほど時を経過していない中華民国初期の1920年です。まだ、最後の清朝の皇帝であった愛新覚羅溥儀が廃帝としてながら紫禁城に住んでいます。当時、15歳です。本作品でも名前だけ登場するジョンストンが家庭教師として溥儀を教育しています。私は一応ジョンストンの『紫禁城の黄昏』も読んでいたりします。この作品では、日本人絵師の一条剛が主人公で、溥儀の水墨画の師として雇われるところから始まります。しかし、実際は、溥儀に水墨画を教えるわけではなく、紫禁城内に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売り払ってしまい、清朝復興や溥儀の皇帝への復辟の資金調達とする目的がありました。このあたりまでは、出版社のサイトにもありますから、ネタバレではないと思います。そして、本書は4章構成であり、章の間に溥儀の日記が挟まれています。登場人物は、主人公の一条剛と皇帝の溥儀のほか、大部分が宮殿に仕える宦官=太監であり、同時期に宮殿入りした太監は排行といって、同じ字を持つ習慣があり、私のような頭の回転が鈍い読者は名前と地名が大混乱を来たしました。まあ、それはともかく、ストーリーの進行に従って、殺人を含む事件が起こり、謎解きがなされるわけです。第1章では宦官=太監の1人が不審死をし、第2章では「画龍点晴を欠く」龍の目が何者かによって描き入れられ、第3章ではひとりの宦官=太監がある時期を境に感情をなくした原因を究明し、第4章では新たに贋作作成に加わった若い宦官=太監の1人が殺害され、一条剛の正体が明らかになります。まあ、どうでもいいことかもしれませんが、巻末に作者の参考文献と選考委員の選評が収録されています。日本では、中国や朝鮮のような制度化された宦官はいなかった、というのが通説だと私は聞き及んでいますし、馴染みのない制度であることはその通りだろうと思います。そして、おそらく、清朝末期の印象から宦官の専横ぶりが私の印象にあるのですが、この作品では極貧家庭から宦官になるというルートが明示されていて、その部分などはエモいところがあります。また、時折、溥儀が「ジョンストンにきいてみよう」と発言する時があり、本書の主人公との位置づけの差もうかがい知ることが出来ます。最後に第4章で主人公の正体が明らかになった時、私は大いに驚かされたのですが、ストーリーとしては大きな変化を迎えるわけでもなく淡々と結末を迎えます。驚かされた割には、何だったんだ、という気がしました。まあ、私だけかもしれません。

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次に、遠藤正敬『戸籍の日本史』(インターナショナル新書)を読みました。著者は、政治学者で法律のプロではないようです。本書冒頭ではご自分のことを「さすらいの非常勤講師」と称しています。本書は、法制度も含めて、戸籍の歴史について概観しています。ですから、7世紀の庚午年籍や庚寅年籍から始まりますが、もちろん、中心は明治政府が編製を開始した壬申戸籍以降の近代的な戸籍制度になります。まず、本書では戸籍の本質について「日本人であることの証明」としています(p.20)。ですから、琉球や北海道のアイヌなどの戸籍作成に始まって、台湾や南樺太、さらには朝鮮半島などの植民地における戸籍についても広範に取り上げています。私はそのあたりはそれほど興味なかったので、自分の興味範囲で、まず、明治政府の壬申戸籍は、血統からひいては職業などを中世封建期に規定していた姓から、実利的な家制度への転換であると指摘しています。ですので、儒教的な倫理よりは、家制度という実利を守るのが主眼とも指摘しています。続いて、壬申戸籍までの日本の戸籍は夫婦別姓が伝統的であった、とも明らかにしています。ただ、明治期までは武士階級しか姓がなかったので、実例としては、源頼朝と北条政子、足利義政と日野富子を上げています。そして、明治政府の壬申戸籍では、まず、日本人の証明としては、血統主義ではなく、当初は居住地主義に基づき、日本に居住する華族、士族、神官、僧侶、平民などを「臣民一般」として登録した、ということのようです。ですから、皇族は戸籍には登録されておらず、戸籍を持たない、というのは現在まで続いています。血統主義ではありませんから、例えば、ロシアがウクライナ侵略の口実として用いた「ウクライナに居住するロシア系住民の保護」というのは、成り立たないわけです。この点は重要かと思います。さらに後半では、第9章では戸籍が差別の温床となった事実、第12章では第3国人説の誤り、などの差別や偏見についても、戸籍との関係で取り上げていますが、マンガ「サザエさん」に登場する磯野家の戸籍などの小ネタとともに、そのあたりは読んでみてのお楽しみとしておきます。

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次に、宮内悠介ほか『旅する小説』(講談社文庫)を読みました。著者は、6人の小説家であり、旅をテーマとする6話の短編が収録されています。ごく簡単にあらすじを追うと、まず、宮内悠介「国境の子」では、韓国人を父に、日本人を母に持ちながら、父なし子として、生まれた対馬で育てられた主人公が、韓国に帰国した父を訪ねます。藤井太洋「月の高さ」では、劇団の舞台美術スタッフが自動車に乗って、東京から講演先の弘前まで舞台装置を運びます。オリオン座などの星座について、ちょっとだけSFっぽい味付けがされています。小川哲「ちょっとした奇跡」は、完全なSFであり、宇宙から飛んできた偽月=ファイクムーンが地球の重力圏でとどまって地球の自転が止まり、昼と夜を行き来する2隻の宇宙船で、男女比を調整するために一部のクルーが宇宙船間で移動します。深緑野分「水星号は移動する」では、アテナイ市の高額な宿泊税を逃れる目的で、小説の舞台である宿・水星は移動式の宿泊施設となっています。そこでの人の交流、特に、スペースシャトルを目的としてやって来た旅人の交流を描いています。森晶麿「グレーテルの帰還」では、武漢で発見された新型ウィルスのニュースから始まり、家族旅行と称して小学生と中学生の兄妹が祖母の家に置き去りにされます。石川宗生「シャカシャカ」では、タイムスリップならぬスペーススリップが生じ、一定面積の地表が突然シャッフルを始め、アチコチの場所にランダムに飛ばされます。飛ばされた先では食料調達すら苦労する場合もあります。ということで、それぞれの短編が旅をテーマにしつつも、旅というよりももっと単純に、移動とか、あるいは、一定の文化圏を離れるという意味での越境による非日常まで含めた幅広い短編が収録されています。単純に、旅行に行くという紀行小説ではありません。SFというか、ファンタジーな作品もいくつか収録されています。収録作品の中では、小川哲「ちょっとした奇跡」を私は推します。何ともいえない世界観です。膨らませて長編SF小説にすることができそうな気がします。そうなれば、私はもう一度読みたいと思います。

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2026年4月10日 (金)

9回中日の守護神撃ちで早くも首位

  RHE
阪  神000001004 5121
中  日011000010 391

【神】 村上、湯浅、岩崎 - 坂本
【中】 柳、メヒア、藤嶋、松山、根尾 - 木下

9回土壇場で中日守護神の松山投手を打ち込んで、4点を奪い首位に立ちました。
先発村上投手は7回2失点の粘りのピッチングで試合を作り、9回は4番佐藤輝選手から打者一巡で一挙4点を上げ逆転勝利しました。土壇場の逆転劇に、逆転打の代打前川選手はもちろん、ベンチの藤川監督も興奮の様子でした。

明日も、
がんばれタイガース!

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上昇率が加速した3月の企業物価指数(PPI)国内物価

本日、日銀から3月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.6%の上昇となり、先月2月統計の+2.1%から上昇率が加速しています。2021年3月に前年同月比上昇率がプラスに転じてから61か月、すなわち、5年連続の上昇です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業物価指数、3月2.6%上昇 伸び率6カ月ぶり拡大
日銀が10日に発表した3月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は129.5と前年同月比で2.6%上昇した。伸び率は2月から0.5ポイント拡大した。飲食料品や農水産物関連の取引価格の上昇が影響した。中東情勢悪化による金などの国際価格の上昇も指数を押し上げた。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数(CPI)に影響を与える。前年同月での伸び率が前の月から拡大するのは25年9月以来、6カ月ぶり。民間予測の中央値(2.3%)を0.3ポイント上回った。
内訳を見ると、飲食料品が4.3%上昇した。包装資材などのコスト増分を価格に転嫁する動きが続いている。農林水産物はコメの概算金引き上げなどもあり18.9%上がった。
非鉄金属は31.1%上昇した。米・イスラエルのイラン攻撃に伴う金相場の上昇などが影響した。
石油・石炭製品は7.3%下落した。ただ中東情勢の悪化で原油相場が急騰したこともあり、下落幅は2月(マイナス11.7%)から縮小した。化学製品は前年同月から0.4%下落した。
日銀が公表している515品目のうち、価格が上昇したのは365品目、下落したのは129品目だった。21品目では価格が変わらなかった。

インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下のパネルは国内物価指数そのものを、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.3%でした。引用した記事の2パラにもあるように、実績の+2.6%は上振れした印象です。国内物価上昇率が加速した要因は、引用した記事にあるように、農林水産物や非鉄金属の価格上昇であり、さらに、農林水産物に連動して飲食料品の価格上昇も継続しています。2月28日からの米国とイスラエルによるイラン攻撃に起因する中東情勢は3月の石油価格を押し上げていますが、まだ前年同月比で見てマイナス幅が縮小した程度の影響にとどまっています。また、対ドル為替相場は、2月に入って+2.3%の円安で、平均で対ドルレートは150円台後半を記録しています。さらに、私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年3月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、「イラン戦争の3月中の終結を前提とする標準シナリオでは、原油価格は当面高止まりした後、4月以降に下落に転じる見通し。一方、戦争が長期化するリスクシナリオでは、価格が120ドルへ上昇する可能性も。」とされています。ただ、3月中に集結していませんし、4月に入って停戦がアナウンスされても、米国とイスラエルによるイラン攻撃やホルムズ海峡の封鎖などにより、石油価格動向はまったく不透明です。いずれにせよ、3月統計を見る限り、現時点では、国内物価の上昇は原油価格ではなく国内要因による物価上昇であることは明らかです。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率で少し詳しく見ると、まず、引用した記事にもある通り、農林水産物が2月の+18.3%から、3月も+18.9%と2ケタの高い上昇率を示しています。農林水産物の価格上昇に伴って、飲食料品の上昇率も3月は+4.3%と、前月2月の+4.8%と大きな違いはない上昇となっています。非鉄金属は2月+32.6%、3月+31.1%と、きわめて高い上昇率が続いています。電力・都市ガス・水道は3月▲6.5%と政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業により下落しています。ただ、この政策は3月使用分までですので、4月からはどうなるのか不透明です。最後に、石油・石炭製品は2月▲11.7%に続いて、3月統計でも▲7.3%の下落を見せていますが、指標となるWTI先物価格が大きく乱高下しており、4月統計でどうなるかはまったく見通せません。

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2026年4月 9日 (木)

雨中の首位攻防戦で茨木投手の初勝利おめでとう

  RHE
ヤクルト0000000   061
阪  神0002000x   280

【ヤ】 奥川、荘司、木澤 - 鈴木叶
【神】 茨木、桐敷 - 坂本

雨中の首位攻防戦で、7回ウラ途中コールドゲームながら、茨木投手のナイスピッチングでヤクルトに勝利でした。
何といっても、茨木投手の初勝利おめでとうが一番です。打線も4回に中軸のクリンナップで2点をもぎ取りました。ここまで4カードを終えて、測ったように2勝1敗のペースを続けています。特に今夜は、雨の中をご苦労さまでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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IMF World Economic Outlook 分析編を読む

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し分析編」IMF World Economic Outlook Analytical Chapters 2 and 3 が公表されています。まず、各チャプターのタイトルは次の通りです。

見れば判る通り、Conflict=紛争あるいは武力紛争をキーワードにしています。第2章と第3章を並べて、行き来しながら、いくつかグラフを引用しつつ、簡単に見ておきたいと思います。まず、下のグラフはリポート第2章から Figure 2.1. Defense Spending on the Rise を引用しています。見ての通りで、1946年の終戦直後から1990年代初頭の冷戦終了までは高い水準の防衛費支出が続いていましたが、ポスト冷戦に入って防衛費は徐々に低下していました。しかし、最近数年でまた防衛費の拡大が見られます。きっかけはいうまでもなく、露によるウクライナ侵攻であり、イスラエルのガザ侵攻、加えて、まだ統計では把握されていないこととは想像していますが、米国とイスラエルによるイラン攻撃で、当事国だけでなく世界的に、防衛費がさらに膨らむであろうことは容易に想像されます。

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続いて、下のグラフはリポート第3章に進んで Figure 3.4. Economic Costs of Conflicts を引用しています。一番上のパネルから、武力紛争は長引けば長引くほど産出=GDPへの負の影響が拡大し長期に及ぶと推計されており、直感的な印象とも一致すると思います。2番目、まん中のパネルを見ても、さすがに自然災害のダメージは場合によっては武力紛争を上回る可能性がありますが、通常のマクロ経済危機、すなわち、銀行危機、通貨危機、財政危機に比べて、武力紛争ははるかに大きなダメージを及ぼす点が理解されます。

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続いて、下のグラフはリポート第2章に戻って Figure 2.1. Defense Spending on the Rise を引用しています。特に、まん中のパネルで防衛費支出の拡大により社会保障支出が犠牲にされる点が強調されています。現在の日本の高市内閣がそうなのですが、武力紛争に備えて防衛費支出を拡大すると、政府の公的債務残高がさらに拡大し、社会保障予算が▲20%近く削減される可能性を示唆しています。

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最後に、引用はしませんが、リポート第2章の Figure 2.2. Defense Spending: Transmission Channels では、防衛費支出の拡大が短期と中長期でどのような経路で影響を波及させてゆくかを図解しています。短期には、需要や雇用を増加させ、資本稼働率も上昇し、さらにそれがケインズ的な乗数効果によって拡大し、需要の拡大やインフレ圧力の上昇につながる一方で、中長期には、そういった短期の需要拡大効果とともに、対外バランスや公的債務残高拡大の影響から設備投資をクラウディングアウトしたり、消費にネガティブな影響を及ぼす可能性を示唆しています。

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目を国内に転じると、本日、内閣府から3月の消費者態度指数が公表されています。3月統計では、前月から▲6.4ポイント低い33.3を記録しています。消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が▲9.8ポイント低下し29.7、「耐久消費財の買い時判断」が▲7.7ポイント低下して26.0、「雇用環境」も▲5.7ポイント低下して37.6、「収入の増え方」が▲2.5ポイント低下し39.8と、消費者態度指数を構成するコンポーネントすべてが軒並み大きく低下しました。また、消費者態度指数以上に注目を集めている1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が、2月統計の36.5%から3月統計では53.4%に大きく増加しています。マインドの悪化も、物価見通しの上振れも、いずれも、米国とイスラエルのイラン攻撃を受けての変化であると考えるべきです。

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2026年4月 8日 (水)

ヤクルトに逆転負けで首位ならず

  RHE
ヤクルト100002000 381
阪  神200000000 260

【ヤ】 松本健、廣澤、清水、星、リランソ、キハダ - 古賀
【神】 ルーカス、早川、湯浅、ドリス、モレッタ - 坂本

2番手早川投手が打ち込まれてヤクルトに逆転負けでした。
先発ルーカス投手は5回1失点でしたが、わずかに70球で降板し、6回に登板した早川投手が痛恨の2失点を喫しました。打線は終盤の8回と9回にチャンスが有りながら、決定打を欠きました。BS朝日で観戦していたのですが、岡田さんが70球で先発ルーカス投手を交代させた投手リレーに疑問を呈していた通りになってしまいました。

明日は、
がんばれタイガース!

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中東情勢によるマインド下押しで基調判断が下方修正された3月の景気ウォッチャーと黒字を続ける2月の経常収支

本日、内閣府から3月の景気ウォッチャーが、また、財務省から2月の経常収支が、それぞれ公表されています。統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲6.7ポイント低下の42.2となり、先行き判断DIも▲11.3ポイント低下の38.7を記録し、経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+3兆9327億円の黒字を計上しています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気3月は6.7ポイント低下、中東情勢でマインド下押し 先行きも不透明感
内閣府が8日に発表した3月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは42.2となり、前月から6.7ポイント低下した。2カ月ぶりのマイナス。ウォッチャーの景気の見方は「中東情勢によるマインド面の下押しを背景に、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」とした。
指数を構成する3部門では、家計動向関連が前月から7.1ポイント低下して41.7、企業動向関連が6.8ポイント低下して43.1、雇用関連は4.5ポイント低下して43.1となった。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から11.3ポイント低下の38.7。2カ月連続でマイナス。内閣府は先行きについて「中東情勢による不透明感がみられる」とまとめた。
経常収支、2月は3兆9327億円の黒字 市場予想上回る黒字幅
財務省が8日発表した国際収支状況速報によると、2月の経常収支は3兆9327億円の黒字となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は3兆5487億円程度の黒字で、公表された黒字幅は予想を上回った。
市場予想は上回ったが、前年同月比では黒字幅が縮小した。同省によると、貿易収支の黒字幅縮小が主因。中東情勢悪化に伴う要因は、2月時点で表れていないとみられる。
中東情勢の影響は3月後半以降、統計に反映される可能性も意識される。市場では「輸入価格が上昇する一方で、輸入量が減少するようだと日本経済への影響は免れない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との声が出ている。
経常収支のうち、2月の貿易・サービス収支は168億円の赤字だった。貿易収支は2676億円の黒字で、黒字幅は前年同月から5423億円縮小した。
一方、海外投資の収益や配当金などの第1次所得収支は4兆2403億円の黒字だった。第2次所得収支は2908億円の赤字。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では昨年2025年10月統計の48.2まで6か月連続で上昇または横ばいを記録した後、今年2026年1月統計までジワジワと低下した後、2月統計で48.9、前月差+1.3ポイントと4か月ぶりに上昇したものの、本日公表の3月統計では前月から▲6.7ポイントと大きく低下して42.2となっています。米国とイスラエルによるイラン攻撃に起因する大幅なマインド低下と考えるべきです。一応、本日公表の昨年3月統計の季節調整済みの現状判断DIをより詳しく前月差で見ると、家計動向関連のうちでは、飲食関連が▲10.3ポイント前月から低下し、住宅関連も▲8.2ポイント、小売関連が▲6.9ポイント、サービス関連も▲6.5ポイント、軒並み大きく低下しています。企業動向関連では、製造業は先月2月統計から▲5.8ポイント低下した一方で、非製造業も▲7.4ポイント低下しています。家計も企業もすべて軒並み大きくマインドを悪化させています。したがって、統計作成官庁である内閣府では基調判断を先月の「持ち直している」から「中東情勢によるマインド面の下押しを背景に、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」に下方修正されています。経済政策だけではこのマインド悪化は手に余るような気がします。景気判断理由の概要については、記事で引用されているほかに、内閣府の調査結果の中から南関東地方の家計動向関連に着目すると、「中東情勢の影響によりガソリン価格が上がっているため、外出を控えているような気がする。当店はロードサイド店のため特に実感している。そうした状況から売上、来客数が減少している (一般レストラン)。」といった中東情勢に起因する悪化の見方もありました。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+3.5兆円余りの黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じように+3.5兆円余りの黒字の見込みでしたので、実績の+4兆円近い黒字はやや上振れした印象です。季節調整済み系列の統計では、+2.7兆円余りの黒字を計上しています。ただし、1-2月の経常収支は季節調整していない原系列の統計はもちろん、季節調整がなされていても、旧暦で決まる中華圏の春節の日取りによって大きく変化します。ですから、季節調整以外の方法でも均して統計を見る必要があります。他方で、何といっても、日本の経常収支は第1次所得収支が巨大な黒字を計上していますので、貿易・サービス収支が赤字であっても経常収支が赤字となることはほぼほぼ考えられません。はい。トランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支の赤字が拡大したとしても、第1次所得収支で十分カバーできると考えるべきです。ただ、石油価格の動向については、米国とイスラエルのイラン攻撃からきわめて不透明といえます。2011年3月の東日本大震災から2015年いっぱいくらいまで貿易サービス収支が赤字を続けた期間もあります。いずれにせよ、対外不均衡の問題が経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても特段めでたいわけでもない、と私は考えています。

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2026年4月 7日 (火)

甲子園で開幕しヤクルトに快勝

  RHE
ヤクルト000100200 354
阪  神00014202x 9111

【ヤ】 小川、田口、荘司、大西 - 古賀
【神】 才木、湯浅 - 坂本

甲子園開幕でヤクルトに快勝でした。
先発才木投手は8回で降板したにもかかわらず、16奪三振のリーグ記録に並ぶナイスピッチングでした。9回を投げた湯浅投手も2三振の快投で最後を締めました。打つ方は11安打9得点と、久々のジェット風船に乗って、これまたよく打ちました。もちろん、ヤクルト守備陣のエラーもありました。内野手がトンネルし、外野手が落球するというお粗末ぶりでした。快調にかっ飛ばす森下選手に続いて、ようやく、佐藤輝選手にも第1号が飛び出しています。唯一の反省点は堅守の大山内野手の今期チーム初エラーだったかもしれません。

明日も、
がんばれタイガース!

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CI一致指数が下降した2月の景気動向指数

本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+0.3ポイント上昇の112.4を示した一方で、CI一致指数は▲1.6ポイント下降の116.3を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気一致指数2月は1.6ポイント低下、2カ月ぶりマイナスも判断据え置き
内閣府が7日公表した2月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足下の景気を示す一致指数は前月比1.6ポイント低下の116.3と2カ月ぶりにマイナスとなった。 一致指数が一定の計算式で決まる基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置いた。先行指数は前月比0.3ポイント上昇の112.4と9カ月連続でプラスだった。
一致指数を押し下げたのは、投資財出荷指数や鉱工業用生産財出荷指数、鉱工業生産指数など。
先行指数を押し上げたのは、消費者態度指数や東証株価指数、中小企業売上げ見通しなど。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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繰返しになりますが、2月統計のCI一致指数は、前月から▲1.6ポイント下降しました。2か月ぶりの下降となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、3か月後方移動平均は+0.46ポイント上昇し、2か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均も前月から+0.20ポイント上昇し、これも2か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、昨年2025年5月統計から「下げ止まり」に下方修正されていましたが、今年2026年2月統計でも「下げ止まり」に据え置かれています。ただし、基調判断はまだ据置きながら、これらはすでに「過去の数字」と考えるべきです。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。それにもまして、米国とイスラエルによるイラン攻撃から、先行きはまったく不透明になったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり100ドルを突破しています。東証の日経平均株価も不安定な動きで、50,000円が近づいています。さらにさらにで、長期金利が2%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。中国は全人代で今年2026年の成長目標を引き下げたと広く報じられていますし、再び、日米同時リセッションの可能性が高まっているのかもしれません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差▲1.6ポイント下降への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、投資財出荷指数(除輸送機械)が▲0.63ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が▲0.61ポイント、さらに、生産指数(鉱工業)も▲0.38ポイントのそれぞれマイナスの寄与度と、引用した記事のタイトルにもあるように、生産や出荷の押上げ効果が大きくなっています。

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立命館大学の新学内システムmoodleがダウン

昨日の新学年新学期開始から立命館大学の新しい学内システムmoodleがつながりにくく、時折、ダウンしているようです。
私は昨日の月曜日の授業でいきなり次回授業までのリポートを出題したのですが、オンライン提出ではなく紙の提出としました。私はツイッタ(X)くらいしか見ていませんが、SNSではバズっているようです。もうひとつ、新しいデザイン・アート学部の研究室がスケスケで中が丸見え、という記事もいくつか見かけました。
なお、数年前に前の学内システムであるmanabaを導入した際にも、新学年新学期初日に初日に同じような障害が発生したと聞き及んでいます。
こりゃダメだわ。

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2026年4月 6日 (月)

翁カーブに見る日本の子育て世帯の負担の重さと金持ち優遇

先週木曜日4月2日、社会保障国民会議の有識者会議において、事務局から「前回会議のご指摘を踏まえた純負担率の分析」が提出され、政府の公式推計による翁カーブが示されています。下のグラフの通りです。

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上野グラフを引用した事務局資料 p.3 でも、明確に「主要国に比べ、世帯年収が一人当たりの平均年収より下の世帯において純負担率は高く、それ以上は低い。」と結論しています。このように、かなり低所得者の負担が大きく、ぎゃくに、高所得者の負担が軽い日本の社会保障制度が格差是正を阻んでいる事実が浮き彫りになっています。なお、翁カーブについて、メディアの報道を朝日新聞とNHKの記事は以下の通りです。

最後に、翁女史ご本人の論文は以下の通りです。

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2026年4月 5日 (日)

またまた桐敷投手がモンテロ選手に打たれて広島にサヨナラ負け

  RHE
阪  神000000010 150
広  島100000001x 280

【神】 高橋、早川、モレッタ、桐敷 - 伏見、坂本
【広】 栗林、中崎 - 坂倉

またまた、桐敷投手がモンテロ選手にホームランを打たれて広島にサヨナラ負けでした。
高橋投手が立ち上がりに失点したあと、さすがに、栗林投手はなかなか打てず、8回にようやく追いつきましたがそこまででした。まあ、開幕から3カード連続で勝ち越しているんですから、これでOKとします。それにしてもリリース人が失点する試合が多く、石井投手の抜けた穴が目立つ形になっています。

甲子園開幕となるヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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AIとは大学教育でいかに活用されるべきか

明日から新年度の新学期が始まります。
大学教授会でもい考えに考えた結果、リポート作成などでAIを許可するかどうかは各授業の教員に任せる、という結論に達したようです。もちろん、個人情報や秘密事項をプロンプトに入力しない、という前提はあります。
どうして、担当教員にAI使用について任せるかといえば、リポート作成などをAIに頼ったとしても、現時点での技術水準であれば、教員にはAIを使ったかどうかが判るからです。たぶん、学生がリポート作成でAIを使ったかどうかは、私にも識別できるんだろうと思います。例としてはよくないかもしれませんが、SNSのタイムラインなんかにグラビアアイドルの画像が流れてくる中で、AI作成の画像が流れてきたりするんですが、決して少なくないSNSユーザが現在の技術水準ではAI画像だと識別できるんではないでしょうか。おそらく、グラフィックデザイナーとかのプロが見れば、もっとよく判るんだろうと思います。はい、ですから、学生のリポートなどを見るプロの大学教員であれば、AIを使ったかどうかはかなり角度高く識別できると考えるべきです。
その上で、私はリポート作成などでのAI利用は自由と申し渡しておきました。ただし、その前提として、おそらく、AIを利用すればいい出来のリポートが書けて、成績評価は高くなる可能性が高い一方で、知的能力や考える力はそれほどつかない可能性も高く、逆に、AIに頼らなければ成績評価はそれほど望めない一方で、考える力がついて将来的にAIを使えない場面では良好な結果を残せる可能性っが高い、という点をよく考えて、自己責任でAIと付き合うように、ということです。たぶん、どこかの中間に各学生の最適解があるんだろうと思います。
私の想像では、リポート作成などでまるっきりAIに頼るまではしないとしても、何らかAIを使う学生がほとんど、たぶん、8割を超えると思います。だとすれば、AIをつかったかどうかがわかるとしても、禁止するのはムリがあります。ですから、私のようなしがない大学教員がいかに抵抗しようとも大きな流れは止められません。ただ、以下のアセモグル教授らの論文が示しているように、AIが人類の知的能力向上の危機をもたらす可能性は忘れるべきではありません。論文では、エージェント型AIはその場限りの意思決定の質を向上させる一方で、長期的な集合的知識を維持する学習意欲を損なう可能性 "while agentic AI can improve contemporaneous decision quality, it can also erode learning incentives that sustain long-run collective knowledge" を指摘しています。私が学生諸君に示したように、成績評価は上がるかもしれないが、考える力がつかない可能性が高い、という結論はここから得ています。ただ、この論文はあくまで一定の動学的モデルのもとで条件付きの結論と考えるべきです。ノーベル賞エコノミストが示した間違いのない将来では決してありません。

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2026年4月 4日 (土)

今週の読書は経済書なしで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、藤原辰史『食権力の現代史』(人文書院)では、飢餓を戦争の武器にしている食権力について、20世紀冒頭くらいからの歴史をひも解こうと試みています。日本はエネルギーとともに食料自給率がきわめて低く、飢餓を避けるため戦争をすべきではない、と私は強く感じます。我孫子武丸ほか『●●にいたる病』(講談社)は、我孫子武丸デビュー35周年を記念し6人のミステリ作家・ホラー作家が『殺戮にいたる病』にちなんだタイトルの短編を寄せているアンソロジーです。グロい作品やエモい作品から構成されており、なかなかオススメです。中島美鈴『なぜあの人は時間を守れないのか』(PHP新書)では、時間にルーズな人にイライラする周囲の人や時間管理に悩む当事者に向けて、時間を守れない背後にある問題を突き止め、どのように対処すればいいのか、また、時間にルーズな人の行動を治すことができるのか、などを考えています。M.W. クレイヴン『デスチェアの殺人』上下(ハヤカワ・ミステリ文庫)は、ワシントン・ポーのシリーズ第6作であり、同性愛や避妊を否定するキリスト教右派的なカルト教団のカリスマ指導者が、聖書の刑罰を模した奇妙な殺害方法、木に縛りつけられ石を打ちつけられて殺害されます。藤崎翔『オリエンド鈍行殺人事件』(ハーパーBOOKS+)では、オリエンド鈍行と呼ばれるローカル線で土砂崩れによって緊急停止した際、2両編成最後尾に座っていた男のシャツの胸が真っ赤な血で染まっており、何者かによって殺害されているのが発見される、という表題作などを収録しています。
今年2026年の新刊書読書は、1~3月に合わせて73冊、4月に入ってから今週の6冊を加えて合計79冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、藤原辰史『食権力の現代史』(人文書院)を読みました。著者は、京都大学人文科学研究所の教授であり、ご専門は農と食の現代史だそうです。なお、タイトルにある「食権力」は著者の造語であると、何かで読んだ記憶があります。意味は、何らかに方法により意図的に食料の供給をコントロールし、飢餓を戦争の武器にしている、という意味だと思います。本書における食権力=food powerの正確な定義はp.28で与えられています。「食糧や食料生産に必須のものを一局に集中し、それらを根拠に人間や自然を統治したり、管理したりする諸力の束」ということになります。はい、明らかに、イスラエルがガザで行っている行為であると考えるべきです。そして、本書では、そういった食権力を戦争で行使することは国連決議2417号違反であると指摘しています。ただし、これも本書で指摘されているように、飢餓という状態は意図的に引き起こされたものであるか、それとも、自然現象として発生したものであるかの境界が曖昧ですので、戦争当事国やグループのパワー次第では、国連決議違反であるかどうかの判断も難しくなります。本書はタイトル通りに、その食権力の現代史ですので、大雑把に20世紀以降現在までの歴史をひも解こうと試みています。その中で、いわゆる穀物メジャーの成立、ユダヤ人などに対するナチスの飢餓政策、あるいは、ベトナム戦争における米国の枯葉剤の使用、などが取り上げられています。詳細は読んでいただくしかありませんが、私の方から3点だけ指摘しておきたいと思います。第1に、日本は食料自給率がきわめて低い国だという点は忘れるべきではありません。カロリーベースで40%を下回っています。先進国の中でも突出して食料自給率が低いのは明らかです。ですので、第2に、日本は戦争をしてはならないのは明らかです。食料とともにエネルギーの自給もほぼ出来ないわけですので、戦争をすれば多くの国民が苦しめられ、死ぬ場合も少なくないと考えるべきです。第3に、私は大学の授業なんかで学生諸君などに、個人として解決すべきレベルの問題と政府、地方政府あるいは中央政府のレベルで解決すべき問題を考えるべき、とお話しており、この食料の問題はエネルギーとともに政府で解決すべき問題と私は考えています。このところ、コメの価格が大きく上昇していますが、国民とほぼほぼ一致する消費者のレベルで節約や代替品の探求などの解決には限界があります。食料問題を考える際に政府の役割も同時に考えるべきです。

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次に、我孫子武丸ほか『●●にいたる病』(講談社)を読みました。著者が6人いるアンソロジーなのですが、一応、我孫子武丸デビュー35周年記念アンソロジー、という中途半端な周年企画のようです。ですので、我孫子武丸の代表作のひとつ『殺戮にいたる病』にヒントを得たタイトルとなっており、収録されている6短編のうち、最後のものを除いて「xxにいたる病」というタイトルがついています。その収録短編の作者とタイトル、あらすじは以下の通りです。まず、我孫子武丸「切断にいたる病」は、はい、グロテスクな猟奇殺人事件です。殺されたのは、AV俳優からAV制作会社の社長になった男性で、切断された体の部位は、多くの読者の想像通りです。神永学「欲動にいたる病」は、ある意味でエモいです。主人公の中西は現場に駆けつけた警察官なのですが、目の前でたった今行われたであろう殺人現場を見て、美しいと思ってしまいます。血まみれの中学生が同年代の少年を滅多刺しにし、ポニーテールの少女が、その刺された少年を、自身も血まみれになって抱きしめていました。姿背筋「怪談にいたる病」は、当然にホラーです。幽霊が見えるという35歳の女性は、なぜその幽霊が見えるようになったのか、その経緯を語り始めます。彼女は大学の映画研究部に所属して知り合った男性と結婚し、出来た子供の絵がきっかけでした。真梨幸子「コンコルドにいたる病」は、叙述トリックのミステリーをテーマにしています。売れない作家がせっかく書いた原稿を、編集者によって何度もボツにされて書き直しを要求されます。矢樹純「拡散にいたる病」もややホラーです。深夜ラジオ番組の構成作家が主人公で、ラジオで取り上げた投稿に関してのクレームが女性からあり、投稿の怪談話が女性の父親が以前に書いた小説の内容と酷似していて、和解の条件として、女性が父親と住む青森の自宅まで謝罪に来ることを要求されます。歌野晶午「しあわせにいたらぬ病」は、タイトルは外していますが、ミステリというよりホラーとして私は読みました。すなわち、介護施設に勤める女性の主人公が、休みに勤務している施設から介護先に様子見に行くよういわれて赴くと、そこにはには女性2人の遺体がありました。最後に、下敷きにされている我孫子武丸の代表作のひとつ『殺戮にいたる病』は、確かに倒叙ミステリであり、グロテスクでもありますので、その意味では、ご本人である我孫子武丸作品と真梨幸子作品がテーマに沿っているといえます。ただ、神永学作品や歌野晶午作品もミステリというよりホラーとしていい出来に仕上がっており、本家作品を超えるかといわれればビミョーですが、アンソロジーとしてなかなかオススメです。

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次に、中島美鈴『なぜあの人は時間を守れないのか』(PHP新書)を読みました。著者は、公認心理師、臨床心理士であり、心理学で博士号を取得しています。本書では、時間にルーズな人にイライラする周囲の人や時間管理に悩む当事者に向けて、時間を守れない背後にある問題を突き止め、どのように対処すればいいのか、また、時間にルーズな人の行動を治すことができるのか、さらに、時間にルーズな人に対してどのように接すればよいのか、を考えようと試みています。ですから、時間にルーズな人を対象にして、いかに時間管理をキチンとできるようにするか、というハウツー本ではありません。まず、冒頭第1章 pp.16-17 において、ADHDのほかに5つの要因を上げています。その上で、性格的なだらしなさに起因するものではなく、また、「しない」だけで「できないわけではない」とする好意的な受止めを否定して、出来ないのだから直さなければならない、あるいは、治さなければならない、と主張します。はい、私も実は時間にルーズですので、かなりの部分同意します。そして、第2章以下で主としてADHDの問題として議論を展開しています。詳細は読んでいただくしかないのですが、第2章では時間心理学の視点から、時間感覚の違いについて考え、第3章では実行機能の視点から「動けない」理由について探り、第4章では時間管理を阻む考え方や行動パターンについて分析し、最後の第5章では上司や管理職が部下に対してどのように時間管理を指導すべきかについて解説しています。繰返しになりますが、私のような時間にルーズな人間に対して時間管理ができるようになるハウツー本ではありません。時間にルーズな人間は時間管理ができない、というか、時間管理を任せてもダメ、期待すべきではない、という結論のようです。私自身について考えると、もともとがバブル期なんかに時間にルーズな生活を送っていたところに、バブルが終わって在チリ大使館に赴任して、時間に鷹揚なラテン世界に飛び込んだところで、時間に対するルーズさに磨きがかかった可能性があります。ただ、私は、時間にルーズとはいえ、大学の授業にそれほど大きく遅れることもありませんし、大きな迷惑はかけていないと自負しています。まあ、本書の著者にいわせれば、それがダメなんだ、ということになるかもしれません。ただ、時間管理を厳格にしすぎるのも私は考えものだと思っています。座席指定のチケットを買ってある新幹線の発車30分前に駅に着くのはやりすぎです。ギリギリ間に合えばいいというのが私の基本的な考えです。ですから、ギリギリ間に合わない場合が生じたりするわけです。まあ、もうすぐ隠居する身ですので、それほど深刻には考えていません。繰返しになりますが、だからダメなんだといわれそうな気はします。

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次に、M.W. クレイヴン『デスチェアの殺人』上下(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。著者は、英国カンブリア州在住のミステリ作家であり、本書は2018年に発表し英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールド・ダガーを受賞した『ストーンサークルの殺人』から始まるワシントン・ポーのシリーズ第6作です。私は全部発表順で読んでいます。全部読んでいますが、細かな点は忘れているのではないかと思います。それはともかく、本書の英語の原題は The Mercy Chair であり、2024年の出版です。下巻の解説にありますが、新刊が出るたびにシリーズ最高傑作を更新し続けているシリーズだそうです。確かに、シリーズすべてを読んでいるミステリファンとして、どんどん複雑怪奇になって、現実離れした作品になっているのはよく理解できます。同時に、それを最高傑作と呼ぶのも理解できます。エンタメ作品として現実にはありえないような小説を読むのが、私自身も楽しみですから、そのあたりはまさに小説を読む醍醐味です。ということで、前置きが長くなりましたが、本書ではカルト教団<ヨブの子どもたち>が疑惑の中心となります。まず、殺害されるのは、そのカルト教団の創設者であり、カリスマ指導者であった人物なのですが、いかにも、というカンジで、木に縛りつけられて状態で石を打ちつけられて殺害されています。聖書の刑罰を模した奇妙な殺害方法なわけです。そのカルト教団の教義は、キリスト教右派的なもので、同性愛や避妊を否定し、キリストはテニス選手だったボルグのような西欧系の金髪碧眼でありユダヤ人ではない、などなどです。そして、2種類の新たな味付けがなされています。まず、冒頭から、一連の殺人事件に関わってポーがトラウマになり、トラウマ療法士のカウンセリングを受けて、その事件を回顧する形でストーリーが進みます。もうひとつは、会計検査といいつつ、実は、MI5のスパイが捜査に常に同行します。そして、徐々に真相が明らかにされるとともに、最後には驚くべきどんでん返しも待っています。加えて、殺人事件が解決されるだけではなく、ポーにも別れが待っているようです。書店で立ち読みできるレベルのネタバレで、下巻背表紙の最後のセンテンスは「さらば、ワシントン・ポー」で終わっています。はい、後は読んでみてのお楽しみです。さらに、最後の解説ではシリーズ第7作 The Final Vow もすでに刊行されている旨が明らかにされています。最後の最後に、私自身のメモ代わりに4点上げておきます。具体的なページはロストしましたが、少なくとも1箇所でカルト教団の名称が<ヨブの子どもたち>でなく、<ユダの子どもたち>とミスっていました。英語の原文のミスか、邦訳のミスか、はたまた、著者による意図的なものか、気になるところです。第2に、私が授業で使ったことのあるラテン語 "post hoc ergo propter hoc" に言及されています。「前後即因果の誤謬」と正しく邦訳されています。何の意味かはweb検索をオススメします。第3に、第7作は The Final Vow なるタイトルだと聞き及びましたが、ドイルのホームズ・シリーズは His Final Vow です。何か関係があるのだろうと、ほのかに感じます。最後の第4に、ポーの相棒のブラッドショー分析官の役割は、かなりの程度にAIで代替できそうな気がします。この先、AIの進歩とともにどのような役割がブラッドショー分析官に付与されるのか、とても気になります。

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次に、藤崎翔『オリエンド鈍行殺人事件』(ハーパーBOOKS+)を読みました。著者は、元・芸人にして、現在は人気作家といえます。私は少し前からこの作者は、そのうちに直木賞を受賞するだろうと予想しています。本書は、特につながりのない短編集であり、短編5話とショートショート5話、合わせて10話を収録しています。収録順にタイトルだけ上げておくと、短編「タイムスリップ・リアリティ」、ショートショート「過保護」、短編「勇者たちのオフ」、ショートショート「猫じゃらしとマイクロチップ、短編「君のためなら死ねる」、ショートショート「流れ星」、短編「ファーブル昆虫記を読んで」、ショートショート「こっくりさん」、短編「オリエンド鈍行殺人事件」、ショートショート「崖」、となります。すべてのあらすじはパスすることにして、まず、冒頭の短編「タイムスリップ・リアリティ」では、主人公の男性が30歳の大人に成長した状態で、高校入学時の15歳の過去にタイムスリップするというストーリーです。そうすると、仲が良かったと思っていた友人がひどく嫌なヤツに見え、逆に、根暗で無視していた同級生と仲良くなってしまい、もちろん、主人公も新たに仲良くなった友人も、大いに人生が変わってしまいます。短編「勇者たちのオフ」では、RPGゲームの中の登場キャラが、ゲームがオフにされた瞬間から独自の動きをしはじめ、ゲームの中とまったく違った世界が広がります。この2編の短編は今までになかった世界観だという気がします。まあ、私が知らなかっただけかもしれませんが、たぶん、ありえない設定だと思います。短編「君のためなら死ねる」は超キモかったです。アイドルの推しの最悪のケースではないでしょうか。ショートショート「流れ星」は、本書の中でおそらくもっとも短いながら、私が本書の中でもっとも高く評価する作品です。流れ星に平和の願いを込めたにもかからわず、現実はまったく違った、という結末で、短い、というよりも、わずかに4行3パラで超短いながら、ちゃんとオチもあります。表題作の短編「オリエンド鈍行殺人事件」はもっともボリュームがあります。遠藤駅と折田駅を結ぶローカル線は各駅停車しかないところからオリエンド鈍行と呼ばれており、9月のある日、土砂崩れによって緊急停止した際、2両編成最後尾に座っていた男のシャツの胸が真っ赤な血で染まっており、何者かによって殺害されているのが発見されます。居合わせた乗客は犯人探しを開始するのですが、名探偵の運転手も不在の車内で犯人が見つかるはずもなく、なぜか事件と無関係な問題ばかり解決されてゆき、最後に、別の殺人事件も解決されてしまいます。いや、実に見事な小説でした。相変わらず、この作者の作品は私は高く評価しており、繰返しになりますが、ゆくゆくは直木賞を受賞することと想像しています。この著者の新刊の中では、図書館の予約で『お梅は魔法少女ごと呪いたい』を待っているところです。

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2026年4月 3日 (金)

2月の米国雇用統計は市場予想よりも堅調

日本時間の今夜、米国労働省から3月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、2月統計の▲133千人減から3月統計では+178千人増となり、失業率は2月の4.4%から▲0.1%ポイント低下して4.3%を記録しています。まず、CNNのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

The US economy added a higher-than-expected 178,000 jobs last month
The US economy added 178,000 jobs in March, a signal that businesses were moving forward with hiring plans before the war with Iran escalated.
The unemployment rate eased to 4.3% from 4.4%, according to new data released Friday by the Bureau of Labor Statistics.
Economists expected a net gain of 60,000 jobs, a rebound after a surprising swing negative in February when 133,000 jobs were lost.
However, a contributor to February's job losses also boosted March's gains: 32,000 formerly striking employees at Kaiser Permanente and Starbucks had returned to work by the start of last month.
Friday's jobs report is one of the first major economic data releases since the start of the US-Israeli war with Iran. The escalating conflict in the Middle East wasn't expected to affect March's employment numbers; however, economists caution that the health of the US labor market and broader economy hinge on the scope and duration of the war.

CNNからは初めて記事を引用しましたが、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。その上、米国連邦政府のシャットダウンにより、2025年10月の失業率は公表されていません。よ~く見ると、下のパネルの失業率がその部分が欠損値になっているのが見て取れます。

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米国の雇用は非農業部門雇用者の増加については、最新の利用可能な3月統計もさることながら、1月統計の非農業部門雇用者の前月差が前回公表値の+126千人増から+160千人増へ、また、2月統計のデータも▲92千人減から▲133千人減へ、それぞれ修正されている点も注目されています。失業率は4%台前半から半ばにあるとはいえ、わずかながら低下しています。引用した記事にもあるように、非農業部門雇用者の伸びに関する市場の事前コンセンサスは+60千人増でしたので、実績はこれを大きく上回りました。ただし、これも記事にある通り、この数字には保険会社カイザーパーマネンテとスターバックスでのストライキからの職場復帰の32千人が含まれていて、いわゆる実力ベースでは+150千人増くらいと考えるべきです。ただ、これでも2月の▲133千人減を上回っていますので、2-3月をならして見ればわずかながら雇用者が増加している、ということになります。米国労働省は "unemployment rate changes little" と評価していますが、これまた、わずかながら失業率が低下しているのも事実です。1月の消費者物価指数のヘッドライン上昇率は+2.4%であったことも考え合わせると、雇用はまだ堅調でインフレ圧力も残っている、という見方もできます。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響は、雇用には影響しないという意見も根強いながら、不透明であることはいうまでもありまsね。
米国連邦準備制度理事会(FED)は2025年中に175ベーシスの利下げを実行していますが、この雇用統計を受けて、次回4月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが決定されるかどうか、私はビミョーだと受け止めています。どうしてかというと、米国とイスラエルによるイラン攻撃は、石油価格の上昇を通じて明らかにインフレ圧力を高めると考えられるからです。雇用と物価のデュアルマンデートを背負う米国連邦準備制度理事会(FED)は難しい金融政策の舵取りを担うことになります。

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大学の入学式とオリエンテーション企画

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昨日4月2日には、すでに、立命館大学の入学式がみやこメッセで行われました。実は、一昨日の4月1日から新入生向けのオリエンテーションが始まっており、何と、数学プレイスメントテストも実施され、このテスト結果により経済数学や分析ツールのクラス分けが行われます。本日4月3日の午前中に語学学習ガイダンスなどがあり、午後からはクラス懇談会があります。明日の土曜日にも学生生活ガイダンスなどのオリエンテーション企画が入っています。
何と、私は数年ぶりに新入生のクラス担任を受け持つことになりました。どうなりますことやら。

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2026年4月 2日 (木)

序盤のリードで横浜を振り切る

  RHE
横  浜000101010 362
阪  神31000000x 490

【横】 竹田、橋本、吉野、坂本 - 松尾
【神】 伊原、ドリス、モレッタ、及川、岩崎 - 坂本

ホーム開幕カードで横浜に勝ち越しでした。
初回に竹田投手の立ち上がりを攻めて3点を先制し、2回も1点を加え、終盤の横浜の追い上げを振り切りました。ただ、いまだに勝利の方程式が組めず、8回は及川投手がジャイアンツ3戦目に続いて失点しています。岩崎投手が最後を締めてくれているだけに、石井投手の抜けた穴が目立つ形になっています。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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育児と介護の女性負担はどれくらい不公平か?

日本におけるジェンダー格差の大きな要因のひとつとして、育児ケアと高齢者ケアが女性に偏っているという点は広く認識されています。この育児ケアと高齢者ケアについて、労働市場への参加の低下などのペナルティを測定した "Who bears the burden? Heterogeneous labor market penalties of child and eldercare" と題する論文がジャーナルに採択されています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
This paper investigates the labor market effects of family caregiving, focusing on childcare and eldercare. Using large panel data in Japan and an event-study design that accounts for staggered treatment timing, I find sizeable and persistent employment penalties for females after childbirth. Mothers' employment decreases by 36 percentage points one year after childbirth and stays lower five years later by approximately 19 percentage points. These effects vary by job characteristics, contract type, and co-residence status, highlighting substantial heterogeneity. In contrast, eldercare has smaller, at most 5 percentage points, and often statistically insignificant average effects on employment. However, eldercare penalties are larger and statistically significant, reaching up to 10 percentage points, for females with certain pre-event characteristics: those in low-teleworkability jobs, those in high physical proximity jobs, those on non-regular contracts, and those employed in small firms.

実は、この論文はリクルートのワークス研究所から同じタイトルで Works Discussion Paper No.82 として明らかにされています。もちろん、ジャーナル掲載のバージョンは査読者からのコメントにより修正されていることと思いますが、図表などは大きな変更はないものと想像しています。

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ジャーナルのサイトから Fig. 2. Childcare penalty のグラフを引用すると上の通りです。3行×2列で、行は上から順に雇用率、年収、週当たり労働時間となっています。列は左がJPSED、すなわち、ワークス研究所の全国就業実態パネル調査であり、Japanese Panel Study of Employment Dynamics (JPSED), which tracks roughly 50,000 adults per year between 2016 and 2024 と論文で説明されています。右はJHPS、すなわち、慶應義塾大学による日本家計パネル調査であり、Japan Household Panel Survey (JHPS), which has longer panels (2004 to 2021) with smaller cross-sectional samples, which are about 2000 per year と説明されています。いずれもかなり大規模なパネルデータといえます。
その上で、育児ケアについては特に女性のペナルティが大きく、母親の雇用率は出産後1年で36パーセントポイント低下し、5年後も約19パーセントポイント低いままである、"Mothers' employment decreases by 36 percentage points one year after childbirth and stays lower five years later by approximately 19 percentage points" との結果を示しています。ただし、高齢者ケアは雇用への影響が小さく、せいぜい5パーセントポイント程度であり、統計的に有意ではない場合も多い "eldercare has smaller, at most 5 percentage points, and often statistically insignificant average effects on employment" としています。

私の授業は1年生向けが中心となってしまいましたので、ちょっと大学の授業で取り上げるには難易度が高いかもしれませんが、定量的な分析結果として重要な内容を含んでいると考えています。

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2026年4月 1日 (水)

3月調査の日銀短観もやっぱり「過去の数字」

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは12月調査から+1ポイント改善して+17、他方、大企業非製造業は横ばい+36となりました。また、本年度2026年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比+1.3%増で始まっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、4四半期連続で改善 日銀3月短観
日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感が4四半期連続で改善した。人工知能(AI)関連需要などの増加が景気を支えている。米国とイスラエルによるイランの攻撃でエネルギー価格が高騰しており、先行き3カ月の景況感は製造業、非製造業ともに悪化した。
中東情勢の悪化に伴う企業への影響を確認する初の調査となる。
大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス17と、前回2025年12月調査から1ポイント改善した。大企業非製造業の業況判断DIはプラス36と横ばいだった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた数値になる。回答期間は2月26日~3月31日。対象企業の99%が回答した。3月12日までにおおむね7割の回答があった。民間エコノミストの予想では大企業製造業は改善、大企業非製造業は悪化を見込んでいた。
大企業製造業ではデータセンターや半導体といったAI関連需要が堅調に推移し、幅広い業種の景況感の改善につながった。円安も収益改善の追い風となった。業種別にみると、生産用機械が10ポイント改善のプラス26、非鉄金属が10ポイント改善のプラス23、自動車は4ポイント改善のプラス13だった。
エネルギー価格の上昇により一部の業種では景況感が悪化した。石油・石炭製品は18ポイント悪化のプラス18、化学は5ポイント悪化のプラス14だった。
大企業非製造業では宿泊・飲食サービスが18ポイント改善のプラス34、小売が5ポイント改善のプラス26だった。人件費などの価格転嫁が進んだ。原油高が収益に響く運輸・郵便は8ポイント悪化のプラス23となった。
先行きの景況感は大企業製造業が3ポイント悪化のプラス14、非製造業が7ポイント悪化のプラス29だった。事業環境の不透明感に加え、エネルギー価格の上昇に伴うコスト増や消費の鈍化が懸念材料となっている。
日銀は調査対象の企業を3月の短観から見直した。25年12月調査の大企業製造業の業況判断DIをプラス15からプラス16、大企業非製造業の業況判断DIをプラス34からプラス36にそれぞれ修正した。
企業の事業計画の前提となる26年度の想定為替レートは全規模全産業で1ドル=150円10銭だった。25年度は148円29銭で、やや円安方向に修正された。輸出企業の収益改善につながる可能性がある。
日銀は27~28日に金融政策決定会合を開く。春季労使交渉で賃金を引き上げる企業が目立ち、イラン攻撃後も景況感は大幅に悪化しなかった。日銀は支店長会議などで経済物価情勢の分析を続け、利上げに動ける状況かを判断する。

いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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月曜日に、日銀短観予想を取りまとめた際にも書いたように、業況判断DIに関しては、製造業・非製造業ともにおおむね横ばい圏内ながら、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは小幅に改善、との予想が緩やかなコンセンサスであったと私は考えています。例えば、私が見た範囲で、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、大企業製造業が前回12月調査からやや改善の+17と予想されていました。本日公表された大企業製造業の景況判断DIの+17という実績は、市場の事前コンセンサスに一致しましたし、横ばい圏内の動きという意味でも、動きの幅のマグニチュードでも大きなサプライズはありませんでした。ただ、先行きについては大企業・中堅企業・中小企業の規模を問わず、また、製造業・非製造業の産業を問わず、業況判断指数DIが悪化する結果となっています。米国とイスラエルによるイラン攻撃やその結果としてのホルムズ海峡封鎖などが、この短観に対する回答にどこまで織り込まれていたかは不明な部分もありますが、いずれにせよ、何度か同じことをほかの経済指標の発表の際にも繰り返しましたが、足元の統計は過去の数字であり、先行きはまったく不透明、ということです。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学における生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としては過剰感がほぼ払拭されました。特に、雇用人員については足元から目先では不足感がますます強まっている、ということになります。グラフを見ても理解できる通り、大企業・中堅企業・中小企業ともコロナ禍前の人手不足感を上回っています。今春闘での賃上げが高水準だった背景でもあります。ただし、何度もこのブログで指摘しているように、名目賃金が物価上昇以上に上昇して、実質賃金が安定的に上向くという段階までの雇用人員の不足は生じているかどうかに疑問があり、その意味で、本格的な人手不足かどうか、賃金上昇を伴う人手不足なのかどうか、については、まだ、私は日銀ほどには確信を持てずにいます。すなわち、不足しているのは低賃金労働者であって、賃金や待遇のいい decent job においてはそれほど人手不足が広がっているわけではない可能性がある、と私は想像しています。加えて、我が国人口がすでに減少過程にあるという事実が、かなり印象として強めに企業マインドに反映されている可能性があります。ですから、マインドだけに不足感があって、経済実態として decent job も含めた意味で、どこまでホントに人手が不足しているのかは、私にはまだ謎です。実質賃金、すなわち、名目賃金が物価上昇に見合うほど上がらないために、そう思えて仕方がありません。特に、雇用については不足感が拡大する一方で、設備については不足感が大きくなる段階には達していません。要するに、繰り返しになりますが、非正規雇用のような低スキルしたがって低賃金労働者が不足しているだけであって、外国人を含めて低賃金労働の供給があれば、生産要素間で代替可能な設備はそれほど必要性高くない、ということの現れである可能性が十分あるのではないかと感じます。

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続いて、設備投資計画のグラフは上の通りです。日銀短観の設備投資計画のクセとして、今回の3月調査は年度始まりの前の時点ですので、まだ年度計画を決めている企業が少ないためか、マイナスか小さい伸び率で始まった後、6月調査で大きく上方修正され、景気がよければ、9月調査ではさらに上方修正され、さらに12月調査でも上方修正された後、その後は実績にかけて下方修正される、というのがあります。今回の3月調査では全規模全産業で+13%増のプラスの伸びが計画されています。ただ、先行き不透明感が大きく、この先、6月調査や9月調査で3月調査よりも上積みされるかどうかは不明です。もっとも、AI活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)、カーボンニュートラルを目指したグリーントランスフォーメーション(GX)、さらに、グローバリゼーション=国際化などに対応した投資がいよいよ本格化しなければ、ますます日本経済が世界から取り残される、という段階が近づいているような気がして、設備投資の活性化を期待しています。ただ、GDPベースの設備投資やその先行指標である機械受注などのハードデータと日銀短観に示されたソフトデータの間でまだ不整合が残っているような気がします。計画倒れにならないことを願っています。

最後に、引用した記事の最後のパラにあるように、本日公表の日銀短観では業況判断DIだけでなく、雇用人員判断DIや生産・営業用設備判断DI、さらに、設備投資計画などから判断して、4月最終週の金融政策決定会合でどのような判断が示されるか注目しています。新たにボードメンバーに加わった浅田先生の発言にも私は注目しています。

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哲学の道でお花見

今日は、お花見でした。雨がちのお天気でしたが、哲学の道を銀閣寺から南禅寺方面に南下するルートでした。いつもの、立命館大学大学院の外国人留学生の引率みたいなものでした。あれだけ単純な一本道なのに、私は集団からはぐれてしまいました。

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