国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」は武力紛争下で不確実性が高い
日本時間の昨夜4月14日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の見通し編が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率見通しは、昨年2025年の実績+3.4%に対して、今年2026年は+3.1%とやや減速し、来年2027年も+3.2%と2025年に比べて減速が継続するという標準シナリオが提示されています。まず、IMFのサイトから World Economic Outlook Growth Projections のテーブルを引用すると次の通りです。
ただし、この成長率は幅を持って考えるべきです。すなわち、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する武力紛争がいつまで継続し、あるいは、どれくらいの規模で拡大するかに規定されます。加えて、この武力紛争にどれくらい関わっているかにも依存します。もちろん、成長率だけでなく、物価上昇率も含めて世界経済に及ぶ影響は大きいと考えざるを得ません。それを試算している Figure1.8. Global Growth and Inflation Forecasts と Figure1.9. GDP Growth Revisions in the Reference Forecast をリポートから引用すると次の通りです。
上のグラフの Figure1.8. Global Growth and Inflation Forecasts では、真ん中の黄色い棒グラフを標準シナリオとして、成長率と物価上昇率が予想されていおり、標準シナリオの右側の緑色の棒グラフは石油とガス価格がさらに上昇するケース、具体的にはグラフのNoteにあるように、The adverse scenario assumes that oil (gas) prices increase by 80 (160) percent starting in 2026:Q2, relative to the January 2026 WEO Update のケースであり、さらにその右側の灰色の棒グラフは、さらに深刻な想定を置いており、具体的には、The severe scenario is calibrated to larger and more persistent shocks. First, oil (gas) prices are assumed to be 100 (200) percent higher than the January 2026 WEO Update、ということになります。当たり前ですが、多くの国では、石油やガスの価格上昇が大きくなればなるほど成長率は下振れし、物価上昇率は上振れします。
下のグラフの Figure1.9. GDP Growth Revisions in the Reference Forecast では、国ごとの属性別の成長率への影響が試算されています。左側のグループはエネルギー輸出国であり、石油やガス価格の上昇により成長率が上振れする新興国があったりします。しかし、逆に、エネルギー輸入国は成長率が下振れするという結果です。でも、一番右の紛争当事国のグループ、すなわち、中東と北アフリカは大きく成長率が下振れすると予想されています。これまた、当然です。
ようするに、一定の仮定を置いた「世界経済見通し」だけからは、正確な将来予測はできません。ハッキリいって、武力紛争下の世界経済の見通しは成長率も物価上昇率もきわめて不透明で不確実性が高い、としか結論のしようがないと私は受け止めています。もともと、経済予測はそれほどの正確性を備えているものではありませんが、今回の国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」は通常よりもさらに正確性を欠く可能性があります。定量的に数字を明記した標準シナリオを示している点は一定の意義がありますが、まあ、あくまで参考程度に考えておくべきです。
目を国内に転じると、本日、内閣府から2月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から+13.6%増の1兆1159億円と、2か月ぶりの前月比増を記録しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は前月比で▲1.2%減ということでしたが、これまた、ロイターの記事によれば、「原子力原動機関連などで100億円超の大型案件が5件」あった、という記者会見で明らかにされたようです。いつものグラフは次の通りです。

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