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2026年5月29日 (金)

いずれも意外と堅調な4月の鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計と雇用統計と5月の消費者態度指数

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、さらに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+0.8%の増産、3か月ぶりの増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額もは、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.1%増の13兆2170億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.3%の上昇となっています。また、失業率は前月から▲0.2%ポイント低下して2.5%、有効求人倍率は前月から横ばいで1.18倍を記録しています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月鉱工業生産は0.8%増、3カ月ぶりプラス 判断「一進一退」据え置き
経済産業省が29日に公表した4月の鉱工業生産指数速報(2020年=100)は前月比0.8%上昇し、3カ月ぶりにプラスに転じた。ロイターの事前予測調査では同0.9%低下と予想されていた。基調判断は「生産は一進一退」で据え置いた。
同時に公表している出荷指数では、ナフサが前月比16.2%減となった。経産省では定期修理などが要因と説明。鉱工業生産全体への中東情勢の影響については「範囲も含めて一概に言えない」と説明している。
4月の生産を押し上げたのは「汎用・業務用機械」や「電気・情報通信機械」などで、このうちコンベヤが前月比2.1倍、半導体・IC測定器が44.3%増えた。
指数を押し下げる方向に寄与したのは「自動車工業」や「無機・有機化学工業」、「化学工業」で、普通乗用車が2.1%、パラキシレンが29.9%減産となった。
企業の生産計画に基づく予測指数は5月が前月比5.1%上昇、6月が同0.4%低下だった。
予測指数には上振れ傾向があるため、これを考慮した5月予測指数の補正値は前月比2.1%増としている。
4月小売業販売額は前年比 2.1%増、自動車・エアコン好調
経済産業省が29日公表した商業動態統計によると、4月の小売販売額は前年比2.1%増の13兆2170億円となった。ロイターがまとめた民間予測は1.3%増だった。自動車販売が好調だったほか、補助金効果などでエアコン販売が数量・金額ともに過去最高だったことなどが押し上げ要因。
<ドラッグストアでラップ・ビニール袋販売好調>
業種別では「自動車小売業」が前年比15.4%増、「機械器具」5.5%増、「その他小売業」が4.3%増などとなった。
業態別では家電大型専門店が12.1%増、ドラッグストア6.6%増、百貨店4.5%増、ホームセンター4.6%増、スーパー1.7%増、コンビニ0.8%増といずれもプラスだった。
家電大型専門店はエアコンの販売が増加。一部自治体の補助金効果に加え、省エネ基準改定を控えた需要増もみられた。ゲーム機やスマートフォンも好調だった。
百貨店は高額品やインバウンド(訪日外国人)需要が寄与。「円安で購買単価が増えている」(経産省)という。
ドラッグストアは菓子・コーヒーなど食品販売が増えたほか、ラップ・ビニール袋などが好調だった。
中東情勢の影響については「一概には言えない。動向を注視したい」(経産省幹部)と述べるにとどめている。
4月の完全失業率は2.5%に改善、有効求人倍率1.18倍で横ばい
政府が29日に発表した4月の雇用関連指標は、完全失業率が2.5%と、前月から0.2ポイント改善した。就業者数が増加した一方、完全失業者数が減少した。有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準だった。
ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.7%、有効求人倍率は1.18倍が見込まれていた。
総務省によると、4月の就業者数は季節調整値で6876万人と、前月に比べて61万人増加。完全失業者数(同)は179万人で、前月から7万人減少した。
総務省の担当者は「年度の切り替わりで転職した人も多かったのではないか。これまで働いていなかった人が新たに働き始めたというケースも多いとみられる」と指摘。労働力の供給側からみると「雇用情勢は悪くない」との認識を示した。
厚生労働省によると、4月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.4%増加した。製造業では半導体などの成長産業で求人が堅調だった。ただ、物価高や省人化の取り組みなどで事業者側に求人を見直す動きもみられた。
有効求職者数(同)は0.8%増加。より良い条件を求めて離職した人が職を求める動きが出ている。
有効求人倍率は、仕事を探している求職者1人当たりに企業から何件の求人があるかを示す。厚労省の担当者は「人手不足の状況は変わらず、雇用状況が悪化しているとはみていない」と語った。

多くの統計が公表されましたので、とてつもなく長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の最初のパラにもありますが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、ともに、ロイターと同じように4月の鉱工業生産は▲0.9%の減産が予想されていましたので、実績の+0.8%の増産は大きな上振れと考えるべきです。この結果だけを見ると、足元では米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の不安定化による影響は小さいと言えるかもしれません。ただし、引用した記事にもあるように、ナフサやパラキシレンなどの石油製品は減産となっています。統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から2年近く連続して据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測指数を見ると、足下の5月は+5.1%の増産で、翌6月は▲0.4%の減産となっており、指数の上振れ傾向を補正した試算値でも5月は+2.1%の増産とされています。ナフサなどの化学製品の先行きの行く方が気にかかります。経済産業省の解説サイトによれば、4月統計における生産を見ると、増産方向に寄与したのは、コンベヤや運搬用クレーンなどの汎用・業務用機械工業が前月比+5.3%増で+0.39%の寄与度、半導体・IC測定器や開閉制御装置などの電気・情報通信機械工業が前月比+3.5%増で+0.30%の寄与度、再生・半合成繊維やおう版印刷などのその他工業が前月比+1.6%増で+0.10%の寄与度、などとなっています。逆に、減産方向に寄与したのは、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品などの自動車工業が前月比▲2.4%減、寄与度▲0.32%、パラキシレンやポリカーボネートなどの無機・有機化学工業が前月比▲1.8%減、寄与度▲0.07%、乳液・化粧水類や石けん類などの化学工業(除く、無機・有機化学工業・医薬品)が前月比▲1.2%減、寄与度▲0.06%、となっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が徐々に縮小し、4月統計では+2.1%増を記録しています。ただし、この伸びは、引用した記事の最初のパラにあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスの+1.3%から上振れしました。また、季節調整済み指数の前月比も、+1.3%の上昇を記録しています。統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の4月統計までの3か月後方移動平均の前月比が+0.1%の上昇であることから、先月3月統計で1ノッチ上方修正した「緩やかな上昇傾向」で据え置いています。また、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、4月統計ではヘッドライン上昇率は+1.4%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率も同じく+1.4%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の4月統計も実質消費がプラスになっている可能性が十分あると私は考えています。ただし、販売ですので、国内消費にインバウンドを加えたものとなっており、国内消費が商業販売統計ほど堅調であるかどうかは微妙なところかもしれません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの統計であり影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事の2パラ目にロイターによる市場の事前コンセンサスが、失業率2.7%、有効求人倍率1.18、と示されていて、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、まったくどうおyに、失業率が2.7%有効求人倍率は1.18倍が予想されていました。本日公表された実績で、失業率2.5%は市場予想を下回る堅調さを見せ、有効求人倍率1.18倍は市場の事前コンセンサスにジャストミートしました。ですので、雇用統計を見る限り、雇用情勢は引き続き悪くなく底堅いと私は考えています。その最大の要因は人口減少に起因する人手不足です。引用した記事にもあるように、4月は年度替わりの月であり、卒業した学生諸君も労働市場に参入し、雇用市場は活発化しているように見えます。ここでも、中東情勢の不透明さによる雇用の悪化は見られません。有効求人倍率のグラフなどから、雇用の改善はピークを超えた可能性が示唆されていると考えるべきですが、少なくとも、従来の経験からして、景気後退局面での雇用の悪化はもっと急速なスピードで現れます。現在の統計を見る限り、景気後退局面での雇用悪化とは少し違っている可能性も十分あると私は受け止めています。

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最後に、本日、内閣府から5月の消費者態度指数が公表されています。5月統計では、前月から+1.4ポイント高い33.6を記録しています。米国とイスラエルのイラン攻撃の影響で3月統計に示された消費者マインドが大きく落ち込んで、さらに、4月統計でも小幅に低下した後、本日公表の5月統計ではごくわずかながら上昇を示しました。しかし、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「弱含んでいる」で据え置いています。ただ、消費者態度指数を構成する4項目の意識指標はすべて上昇しています。すなわち、、「暮らし向き」が+3.0ポイント上昇し31.2、「耐久消費財の買い時判断」が+1.2ポイント上昇し24.4、「雇用環境」が+0.9ポイント上昇し38.3、「収入の増え方」が+0.5ポイント上昇し40.3となっています。

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