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2026年5月19日 (火)

予想を上回る成長を見せた1-3月期GDP統計速報1次QE

本日、内閣府から1~3月期GDP統計速報1次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.5%増、年率換算で+2.1%増を記録しています。プラス成長は2四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.6%に達し、2年半10四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月実質GDP、年率2.1%増 予想上回り2四半期連続プラス
内閣府が19日発表した2026年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%増、年率換算で2.1%増だった。輸出が回復し、2四半期連続のプラス成長となった。
QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率1.6%増だった。
GDPの半分を占める個人消費は0.3%増だった。小幅ながら伸びが拡大し5四半期連続でプラスを維持した。外食や衣服が堅調だった。
設備投資は0.3%増で2四半期連続の増加となった。研究開発への支出が増えたほか、汎用機械や電気照明器具もプラスだった。住宅投資は0.5%増で2四半期連続のプラスだった。
民間在庫は成長率に対して0.1ポイントのマイナス寄与となった。
政府消費は0.1%増と4四半期連続で増えた。公共投資は1.4%増で3四半期ぶりにプラスだった。
輸出は1.7%増と2四半期連続の増加だった。米国による一連の関税政策の影響を受けていた自動車のほか、船舶や業務用機械がプラスとなった。製薬関連の研究開発サービスも増えた。
GDP上は輸出に区分するインバウンド(訪日外国人)消費は1.6%減った。中国や中東からの観光客の減少が影響したとみられる。
輸入は0.5%増で3四半期ぶりに増えた。研究開発サービスへの支払いが膨らんだ。
実質成長率に対する寄与度をみると、内需は0.2ポイント、輸出から輸入を差し引いた外需は0.3ポイント、それぞれプラス寄与となった。いずれも2四半期連続のプラスだった。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.4%上昇した。
名目GDPは前期比0.8%増、年率換算で3.4%増だった。GDPの実額は年換算で実質が593兆6933億円、名目が677兆2334億円だった。
25年度でみると、実質GDPは前年度比0.8%増の591兆9112億円だった。個人消費や設備投資がけん引し2年連続のプラス成長となった。名目GDPは4.2%増と5年連続のプラス成長で、実額は669兆9702億円だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2025/1-32025/4-62025/7-92025/10-122026/1-3
国内総生産GDP+0.4+0.3▲0.3+0.2+0.5
民間消費+0.7+0.2+0.5+0.0+0.3
民間住宅▲0.5▲0.0▲8.1+5.0+0.5
民間設備+0.7+1.2▲0.1+1.4+0.3
民間在庫 *(+0.7)(▲0.2)(▲0.2)(▲0.4)(▲0.1)
公的需要▲0.1▲0.0▲0.1▲0.1+0.5
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.5)(▲0.1)(+0.2)(+0.3)
外需(純輸出)寄与度 *(▲0.6)(+0.1)(▲0.3)(+0.0)(+0.3)
輸出▲0.6+1.6▲1.6+0.2+1.7
輸入+2.2+1.1▲0.2▲0.0+0.5
国内総所得 (GDI)+0.2+0.9▲0.4+0.3+0.4
国民総所得 (GNI)+0.5+0.4+0.2▲0.2+0.5
名目GDP+0.8+2.0+0.1+0.9+0.8
雇用者報酬 (実質)▲0.7+0.6+0.0+0.5+0.2
GDPデフレータ+3.6+3.2+3.5+3.4+3.4
国内需要デフレータ+3.1+2.6+2.8+2.6+2.6

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは水色の民間設備くらいで、少し見づらいのですが、マイナス寄与は緑の民間住宅、灰色の民間在庫、黒の純輸出となっています。

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引用した記事の2パラ目にある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前期比年率で+1.6%のプラス成長であり、予想レンジの上限が年率+2.9%ということでしたのでレンジ内ながら、実績の年率+2.1%のプラス成長は大きなサプライズはなかった印象です。ただし、引用した記事のあるように、内需のうちマイナスを示したのは在庫だけであり、消費、設備、住宅は軒並みプラスを記録しています。外需についても、インバウンドこそ減少したものの、純輸出は+0.3%ですから、かなり大きなプラス寄与となっています。在庫のマイナス寄与は、むしろ、在庫の圧縮が進んだと評価すべきで、悲観する必要はありません。内需寄与度は+0.2%となっていて、純輸出=外需寄与度も+0.3%となっていて、内外需ともにプラス寄与という結果でした。民間住宅のイレギュラーな制度的要因もほぼほぼ解消された印象です。ですので、1~3月期までは景気の回復基調に大きな変化はなかったということです。ただ、2月末からの米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の不安定化については、現時点で、私は確たる方向性を示すことは出来ません。

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上のグラフは、GDPデフレータ、民間消費デフレータ、国内需要デフレータについて、それぞれの季節調整していない原系列の前年同期比上昇率をプロットしています。GDPデフレータが+3%を超え、民間消費デフレータと国内需要デフレータも+2%超の上昇を示している一方で、特に、民間消費デフレータに関してはやや伸びが鈍化しています。ただし、物価の先行きについては中東情勢を考慮すれば楽観はできません。まず、石油をはじめとするエネルギー価格、あるいは、場合によっては穀物などの商品価格の輸入価格上昇により、輸入デフレータが上昇します。輸入がGDPの控除項目であることから、GDPデフレータは輸入デフレータの上昇により一時的に上昇率が減速する可能性もあります。しかし、輸入価格が国内価格に転嫁されると、春闘の賃上げとともに、民間消費デフレータや国内需要デフレータの上昇につながることは明らかです。こういった物価上昇が消費をはじめとする国内需要を抑制する効果を持ちます。中東情勢の先行きが不透明なだけに、我が国景気の先行きも不確かな部分が多いと私は感じています。

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