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2026年5月 8日 (金)

3か月連続で実質賃金が上昇した3月の毎月勤労統計

本日、厚生労働省から3月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は31万7254円と前年同月比+2.7%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.0%増と、3か月連続のプラスを記録していますまず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから報道を引用すると以下の通りです。

3月の実質賃金1%増、3カ月連続プラス 減税・補助でエネ価格抑制
厚生労働省が8日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で1.0%増えた。プラスは3カ月連続。減税や補助金などによる政府のエネルギー価格の抑制策が効いた。
名目賃金を示す1人当たりの現金給与総額は31万7254円と2.7%増えた。基本給に当たる所定内給与が27万1313円と3.2%増えた。3%以上の伸び率が3カ月続くのは1992年10月以来となる。2025年の春季労使交渉による賃上げや最低賃金の引き上げが広がっている。
実質賃金の計算に使う3月の消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)の上昇率は1.6%だった。エネルギー価格が前年同月比5.7%下がり、指数を押し下げた。25年末にガソリン税の旧暫定税率が廃止され、26年1月には電気・ガス代の補助も再開されるなど政府の政策が物価を抑え込んでいる。
総実労働時間は132.7時間と横ばいだった。就業形態別では一般労働者が0.8%増の158.9時間、パートタイム労働者が2%減の76.9時間だった。
厚労省は25年3月分から実質賃金の算出に消費者物価の総合指数を使う新方式を導入した。新方式による3月の実質賃金は1.3%増と、従来方式よりも0.3ポイント高くなっている。

いつもの通り、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上のパネルは名目及び実質の賃金上昇率の前年同月比であり、下は景気に敏感な製造業における所定外労働時間指数の推移です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、賃金については、3か月連続の前年同月比プラスというのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+2.7%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.6%にとどまったことに起因します。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当の変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が+3.0%増、「所定内給与」も+3.2%増となっています。逆に、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」が▲1.5%減と落ちています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、ということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスではなく、経済学的にいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加に直結することが期待されます。
なお、理由は定かではありませんが、引用した記事の最後のパラにあるように、厚生労働省では実質賃金の算定に新しい方式を取り入れています。すなわち、従来は帰属家賃を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率で実質化していたところ、2025年3月から帰属家賃を除かないヘッドラインCPIの上昇率で実質化する系列も公表を始めています。私の方で厚生労働省の記者発表資料を見たところ、ヘッドラインCPIの上昇率のほうが低いようなので、実質賃金上昇率が高く出るような印象を受けました。まあ、グッドハートの法則(Goodhart's Law)でいうように、実質賃金が目標になると適切な目標ではなくなり、逆に、それを何らかの意味で飾るような傾向が出るのかもしれません。

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