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2026年7月31日 (金)

ラッキーセブンに集中打でヤクルトに逆転勝ち

  RHE
阪  神000000400 4101
ヤクルト120000000 3110

【神】 才木、門別、木下、工藤、ドリス - 梅野、坂本
【ヤ】 奥川、丸山翔、阪口、田口、リランソ、星 - 古賀

ラッキーセブンに集中打で、ヤクルトに逆転勝ちでした。
先発才木投手は序盤の1-2回に計3失点し、6回途中で降板します。しかし、下位打線から始まる7回の攻撃で代打攻勢をしかけて、2番中野二塁手の犠牲フライで得点した後、森下選手がスタメンから抜けたため、3番に上がった佐藤輝選手と4番に座った大山選手の連続タイムリーで一気に4点を奪い逆転しました。終盤はリリーフ陣がしっかり抑えましたが、勝ちパターンから岩崎投手が抜けたんでしょうか?

明日も、
がんばれタイガース!

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3か月連続の増産となった6月の鉱工業生産指数(IIP)と上昇傾向続く商業販売統計と底堅い雇用統計

月末日かつ閣議日である本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+1.3%の増産、3か月連続の増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+5.3%増の13兆4470億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.9%の上昇となっています。また、失業率は前月と同じ2.5%、有効求人倍率は前月から悪化して1.17倍を記録しています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産6月は1.3%上昇、3カ月連続改善 半導体製造装置などが押し上げ
経済産業省が31日に発表した6月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100)は前月比1.3%上昇し3カ月連続のプラスとなった。半導体製造装置などが好調だった。基調判断は「一進一退」で据え置いた。調査後に発生した熊本地震の影響は不明で同省は先行きには予断を持てないとみている。
結果はロイター予測(前月比0.7%上昇)を上回った。
指数を押し上げた主な品目は半導体製造装置(前月比11.1%増)、分析機器(同32.7%増)、開閉制御装置(同17.2%)など。半導体製造装置は輸出向けが増加、分析機器は医療向けが増えた。教育用ノートパソコン生産も好調だった。
一方、半導体メモリ(前月比54.3%減)などはマイナスだった。
出荷は前月比0.4%低下と3カ月ぶりにマイナスに転じ、在庫は前月比2.3%上昇と4カ月ぶりに増えた。
企業の生産計画に基づく生産予測指数は7月が前月比1.2%上昇、8月が同4.5%上昇。
調査は7月上旬に実施したため、28日に発生した熊本地震による企業の生産への影響について「7月の生産実績を見ないと先行きの判断が難しい」(経産省幹部)としている。
小売業販売6月は前年比0.5%増、新車投入効果も天候不順や購買点数減が響く
経済産業省が31日公表した6月の商業動態統計によると、小売販売額は前年同月比0.5%増となった。ロイター予測は前年比3.1%増でこれを下回った。前年と比べ休日が少なかったことや天候不順などが影響した。
業種別前年比は自動車が16.6%増だったが、他は軒並みマイナス。織物・衣服が14.8%減、燃料小売業3.3%減などだった。自動車は新車投入効果があったが、天候不順で織物・衣服販売が不振だった。ガソリン価格下落が販売にも響いた。飲食料品は値上げ効果があったものの販売点数の減少で0.5%減少した。
業態別の前年比は、百貨店1.3%増、スーパー1.3%減、コンビニ0.4%増、家電大型専門店6.9%減、ドラッグストア0.6%増。百貨店は外国人旅行客向け販売が好調だった。家電はパソコン、ゲーム機、冷蔵庫、エアコンなどが特需一巡もあり、軒並み不振だった。
6月の有効求人倍率は1.18倍に上昇、完全失業率は2.5%で横ばい
政府が31日に発表した6月の雇用関連指標は、有効求人倍率(季節調整値)が1.18倍で、前月から0.01ポイント上昇した。完全失業率(同)は2.5%と前月から横ばいだった。
ロイターの事前予測調査で有効求人倍率は1.17倍、完全失業率は2.5%が見込まれていた。
厚生労働省によると、6月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.9%増加した。半導体関連製品の需要が堅調で、電気機械器具や非鉄金属系の製造業で人材確保の動きがみられた。労働者派遣業では製造業向けの求人が増加した。
一方、有効求職者数(同)は0.1%減少した。全体は減少したものの、賃金確保のために仕事の掛け持ちや副業希望で求職登録をする動きや、より良い条件を求めた転職活動が行われているという。
厚労省の担当者は、求職者1人当たり複数の求人がある状態を示しており、雇用環境は悪くはないとの見方を示している。
総務省によると、6月の就業者数(季節調整値)は前月から36万人減少の6846万人。完全失業者数(同)は175万人で、前月から1万人増加した

いくつかの統計が公表されましたので、長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+0.7%の増産でしたし、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、6月の鉱工業生産は+0.9%の増産が予想されていましたので、実績の+1.3%の増産はやや上振れしましたが、それほどのサプライズはありませんでした。この結果だけを見ると、中東戦争の影響は小さいといえるかもしれません。ただし、引用した記事にもあるように、出荷は低下しており、生産増と出荷減という形になっています。統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から2年ほど連続して据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測指数を見ると、足下の7月は+1.2%の増産で、翌8月も+4.5%の増産ですが、指数の上振れ傾向を補正した試算値では7月は▲0.7%の減産とされています。加えて、引用した記事の最後のパラにあるように、熊本地震の影響は現時点では何とも測りがたいものがあります。九州は「シリコン・アイランド」と呼ばれているだけに、熊本地震の半導体関連への影響は小さくないものと私は想像しています。
産業や製品別に少し詳しく見ると、経済産業省の解説サイトによれば、6月統計における生産を見ると、増産方向に寄与したのは、半導体製造装置や装輪式トラクタなどの生産用機械工業が前月比+7.6%増、寄与度+0.65%、開閉制御装置やノート型パソコンなどの電気・情報通信機械工業が前月比+5.8%増、寄与度+0.48%、分析機器や汎用内燃機関などの汎用・業務用機械工業が前月比+4.7%増、寄与度+0.34%となっています。逆に、減産方向に寄与したのは、モス型IC(メモリ)や電子回路基板などのが前月比▲6.3%減、寄与度▲0.40%、ダイカストや電気銅などの鉄鋼・非鉄金属工業が前月比▲0.4%、寄与度▲0.02%、などとなっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事の最初のパラにあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+3.1%増でした。実績の+0.5%増はこれを下回っています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が徐々に縮小し、先月の5月統計では+5.3%増を記録したものの、6月統計では+0.5%増と市場の事前コンセンサスを下回る伸びにとどまりました。ただし、この伸びは、5月統計で土日祝日が前年と比べ2日多かったほか、例年より気温が高かったことから、前年同月比+5.0%増とジャンプした反動もあります。また、季節調整済み指数の前月比も▲4.1%の低下を記録していますので、5-6月で均して見る必要がありそうです。ですので、統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の6月統計までの3か月後方移動平均の前月比が▲0.2%の低下であるものの、先月5月統計で「緩やかな上昇傾向」から1ノッチ上方修正した「上昇傾向」で据え置いています。また、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、6月統計ではヘッドライン上昇率は+1.7%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.6%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の6月統計の前年同月比+0.5%増は、実質消費がマイナスになっている可能性が十分あると私は考えています。さらに、販売ですので、国内消費にインバウンドを加えたものとなっており、国内消費が商業販売統計ほど堅調であるかどうかは微妙なところかもしれません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの統計であり影を付けた部分は景気後退期を示しています。通常、失業率が遅行指標、有効求人倍率が一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率が先行指標と考えられています。なお、引用した記事にはあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスでは、完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.17倍が見込まれていました。さらに、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.5%有効求人倍率は1.17倍と、ロイターと同じ予想でした。本日公表された実績で、失業率2.5%は市場予想に一致し、有効求人倍率1.18倍は市場の事前コンセンサスをやや上回りました。ですので、雇用統計を見る限り、雇用情勢は引き続き悪くなく底堅いと私は考えています。その最大の要因は人口減少に起因する人手不足です。引用した記事にもあるように、年度替わりの4月に続いて、5月も引き続き雇用市場は活発化しているように見えます。新規求人数や有効求人倍率のグラフなどから、雇用の改善はピークを超えた可能性が示唆されていると考えるべきですが、少なくとも、従来の経験からして、景気後退局面での雇用の悪化はもっと急速なスピードで現れます。現在の統計を見る限り、景気後退局面での雇用悪化とはかなり違っている、と私は受け止めています。

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2026年7月30日 (木)

3か月連続で基調判断が上昇修正された7月の消費者態度指数

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が公表されています。7月統計では、前月から+1.1ポイント上昇し34.9を記録しています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数、7月は34.9に改善、3カ月連続改善で判断上方修正
内閣府が30日に発表した7月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯・季節調整値)は前月比1.1ポイント改善の34.9と3カ月連続で改善、基調判断は前月の「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。
1年後の物価について、上昇するとの回答比率が92.8%を占めたが、前月比では3カ月連続で低下した。物価が5%以上上昇するとの回答比率が低下した。内閣府では米価下落などで物価上昇見通しが軟化したことが、態度指数改善の背景にあると推察している。
<物価5%以上上昇の比率低下、2%未満は上昇>
消費者態度指数を構成する4つの意識指標はいずれも前月比で改善した。中でも「雇用環境」が前月比1.7ポイントと大きく改善した。
1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答比率が6月の54.0%から7月は52.1%に低下。一方、2%以上5%未満との回答比率は6月の30.6%から30.7%に微増、2%未満との回答比率は8.7%から10.0%に増えた。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「雇用環境」が+1.7ポイント上昇して40.1、「暮らし向き」が+1.1ポイント上昇し33.1、「耐久消費財の買い時判断」が+1.0ポイント上昇して25.6、「収入の増え方」が+0.6ポイント上昇し40.9と、消費者態度指数を構成するコンポーネントすべてが上昇しました。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」に引き上げています。3か月連続の上方修正です。私が従来から主張しているように、いくぶんなりとも、消費者マインドは物価上昇=インフレに連動している部分があります。総務省統計局による消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除くコアCPI上昇率は、昨年2025年10-11月に+3.0%を記録した後、12月には+2.4%に、さらに、今年2026年1月には+2.0%まで着実に減速し、2月以降は政府によるガソリン暫定税率の廃止や政策効果もあって、日銀物価目標である+2%を下回る上昇率で推移しており、落ち着きを取り戻しています。インフレとデフレに関する消費行動は、1970年代前半の狂乱物価の時期は異常な例としても、1990年代後半にデフレに陥る前であれば、インフレになれば価格が引き上げられる前に購入するという消費者行動だったのですが、バブル経済崩壊後の長い長い景気低迷期とさらにデフレを経て、物価上昇により実質所得の減少が目立って実感されるようになったのか、消費者が買い控えをする行動が目につくように変化したのかもしれません。
また、引用した記事でも言及されているように、消費者態度指数以上に注目を集めている1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が、直近のピークだった今年2026年4月統計の58.1%から最新の今年2026年7月統計では52.1%にチョッピリ低下しています。昨年2025年4月には60%に達していたことを考えれば、着実に割合が低下していることは忘れるべきではありません。他方で、引用した記事にもあるように、2%未満の物価上昇との回答がボトムの2026年4月の6.7%から7月統計では10.0%まで着実に上昇しています。ただ、これらも含めた物価上昇を見込む割合は92.8%と、依然として高い水準が続いています。特に、物価上昇の中心である食料品については、まだ大きな懸念が残っている可能性を私は感じます。

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雇用と投資に関する地域レベルの補助金の効果

"Firm Responses to Hiring and Investment Subsidies: Regression Discontinuity Evidence from the California Competes Tax Credit" と題する論文を読みました。タイトル通り、CalCompetes税額控除(CCTC)に関して、因果推論のひとつの手法である回帰不連続デザイン(RDD)を用いて、カリフォルニア州による雇用および投資への補助金に対する企業の反応を検証しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
We examine firm responses to state hiring and investment subsidies. We leverage institutional features of the California Competes Tax Credit (CCTC), a large-scale business incentive program that incorporates best practices from prior job creation policies. The CCTC award selection procedure combines formula-based and discretionary components. Leveraging applicant score eligibility cutoffs in a regression discontinuity design and taking advantage of rich longitudinal microdata on establishments and their parent firms, we find that businesses expand employment in California in response to CCTC awards. There is little evidence that these expansions come at the expense of firms’ operations in other states. Our results suggest that targeted and audited hiring and investment subsidies can be effective in promoting local business expansions without inducing significant cross-state displacement effects.

続いて、特に雇用や労働について、このカリフォルニア州のCCTCの効果を雇用、賃金などの変化を見た Figure 6: RD Coefficient Plots over Event Time for Activity within California を論文から引用すると次の通りです。

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税額控除の割当て2年前と2年後の対応する結果を示しています。見ての通りで、企業がCCTCno割当てを受けると雇用が拡大し、賃金も上昇していることが見て取れます。さらに、こういった雇用拡大はほかの州における企業の事業の減退を招くような代替効果を引き起こしている証拠はほとんどない(There is little evidence that these expansions come at the expense of firms' operations in other states)、とも主張しています。ほかに、グラフの引用はしませんが、企業活動の収入や労働生産性などは Figure 9: RD Coefficient Plots for Firm-Level (National) Revenue Outcomes に示されています。

したがって、本研究の結論として、対象の絞込みや監査を伴う雇用と投資の補助金であれば、大規模な他州での活動減を招くことなく、地域における企業活動の拡大を促進し得ることを示唆している(Our results suggest that targeted and audited hiring and investment subsidies can be effective in promoting local business expansions without inducing significant cross-state displacement effects.)と主張しています。でも、カリフォルニアだからではないか、という疑問はあり得ると私は受け止めています。

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2026年7月29日 (水)

気候変動は所得階層により異なる経済厚生をもたらす

"A Macro Study of the Unequal Effects of Climate Change" と題する論文を読みました。米国のデータから、気候変動による気温上昇が家計にもたらす分配上の影響を経済厚生から把握しようと試みています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
This paper develops a macro heterogeneous-agent model to quantify the distributional impacts of higher temperatures resulting from climate change in the United States. Households adapt to temperature through two channels: an intensive margin-adjusting energy use for heating and cooling-and an extensive margin-deciding whether to purchase temperature-control equipment such as a heater, air conditioner or heat pump. I estimate the production functions for household heating and cooling from a unique product-level data set and calibrate the remaining parameters to match variation in energy expenditures and budget shares with income levels. I find that the welfare effects of climate change vary substantially with income and region. In colder areas, climate change increases inequality in lifetime welfare. While all households experience greater cooling needs, the costs are particularly acute for lower-income households, who purchase air conditioners that they did not previously need. In warmer areas, the opposite pattern reduces welfare inequality.

米国に限らないと思いますが、この論文では家計が2つのチャンネルにより気温上昇に対応するとしています。すなわち、冷暖房のためのエネルギー使用量の調整という集約的マージン(intensive margin)、および、エアコンやヒーターなどの温度調節機器を購入するか否かを決定する拡張的マージン(extensive margin)です。結果として、気候変動がもたらす家計の厚生(consumption-housing equivalent variation=CHEV)の変化を計測しています。そのうち、所得10分位別で地域別、すなわち、寒地(Cold)、冷地(Cool)、温暖地(Mild)、暖地(Warm)、暑地(Hot)別の経済厚生=CHEVをプロットしている Fig. 2. Welfare Consequences of Climate Change を論文から引用すると次の通りです。

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見ての通りで、まず、寒冷地では気候変動は経済的厚生の不平等を拡大させます(In colder areas, climate change increases inequality in lifetime welfare.)。冷房需要はすべての所得階層の家計で増加するものの、その負担増は低所得家計の方が大きくなるのは、それまで必要とされなかったエアコンなどの温度調整機器を購入する必要が生じるからです。ただし、温暖地域では逆のパターンが生じ、経済的厚生の不平等が縮小します(In warmer areas, the opposite pattern reduces welfare inequality.)。

先週の朝日新聞の記事「ヨーロッパの猛暑、6カ国で死者1万9千人か 高齢者に深刻な影響」では、欧州の熱波の影響などが報じられています。これも朝日新聞記事「炎暑、欧州覆う エアコン普及20%止まり パリ、葬儀場受け入れ限界」などで広く報じられているように、欧州ではエアコンがそれほど普及していない、という現実もあります。ですから、寒冷地の低所得家計では気温上昇によりエアコン購入負担が重いわけです。他方で、温暖地では不平等が縮小する、という結論に一定の妥当性もあるように見えなくもありません。でも、「ホントかね」と受け止める人も少なくないものと私は想像します。

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2026年7月28日 (火)

貧困の罠を脱出するビッグプッシュは否定されるのか?

全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパー "The Sisyphean Pursuit of Evidence for Poverty Traps" を読みました。やや刺激的なタイトルであり、「貧困の罠」に関して、ビッグプッシュの効果を実証した Balboni らの論文 "Why Do People Stay Poor?" (BBBGH) を否定する結果を示しています。まず、このワーキングペーパーの引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトからこのワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
Much of development economics, both micro and macro, posits theories and explores the empirics of poverty traps. A common theory centers around asset-threshold poverty traps in which marginal returns to capital increase sharply over a certain threshold and financial markets are incomplete. This combination leads households above this threshold to prosper while those below continuously fall back, trapped in poverty. Yet in economics, as best as we can tell, far more papers assume such thresholds than empirically demonstrate them. In a key recent exception, Balboni et al. (2022) (hereinafter “BBBGH”) argues that data from Bangladesh identifies clear evidence of such a threshold at slightly above the cost of a cow for recent recipients of a big push transfer program. We apply this analysis to data from seven other similar programs in low-income countries and find no evidence of an asset-threshold poverty trap. We then return to BBBGH and argue that their data do not support the identification of a poverty trap, with the point of disagreement being a log-transformation challenge and a potential geographic confound. In long-term representative rural panel data from Bangladesh and Ghana we find no evidence of divergence away from any particular threshold. While the threshold theory is undoubtedly true for some households, we argue that the pursuit of clear evidence of an asset-threshold poverty trap for a broad population is likely an aspirational goal rendered unachievable by the intersection of a multitude of possible mechanisms as well as heterogeneous agents.

要するに、BBBGHと呼ばれている Balboni らの論文 "Why Do People Stay Poor?" では、牛1頭を少し上回る初期資産(2007年購買力平価の米ドル500ドル少々)があれば、貧困の罠から脱出できるという閾値(threshold)が存在し、この額のビッグプッシュがあれば極度の貧困から抜け出せる、という結論をバングラデシュにおける6000世帯、11年間のパネルデータにより実証しています。しかし、このワーキングペーパーでは、BBBGHの結論について、対数変換の問題と地理的要因による交絡(a log-transformation challenge and a potential geographic confound)から、この閾値の存在を否定しています。後者の地理的要因による交絡はさておき、前者の対数変換の問題について、ワーキングペーパーの Figure 2 を引用すると次の通りです。

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3つのパネルにおいて、対数変換が3通りずつ示されています。すなわち、BBBGHオリジナルの log(x/1000+1) の前後、というか、何というか、log(x/10000+1) と log(x/100+1) です。このグラフなどから、対数変換の方法によってS字型や45度線との交差が現れるかどうかが大きく変わる可能性を示唆しています。加えて、引用はしませんが、地理的要因も含めて、実証分析の手法上の問題を主張しています。

はい、実に情けなくも私の力量では、Balboni らの論文 "Why Do People Stay Poor?" (BBBGH)が正しいのか、このワーキングペーパー "The Sisyphean Pursuit of Evidence for Poverty Traps" が正しいのか、にわかには結論できません。BBBGHは何といっても6000世帯というかなり大きなサンプルについて11年に及ぶ長期の実証データを用いた結論を示していますし、レフェリーによる審査もパスしています。このワーキングペーパーについても、レフェリーによる審査を待ちたいと思います。

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2026年7月27日 (月)

2026年版「経済財政白書」を読む

知っている人は知っていると思いますが、先週金曜日7月24日、今年2026年版の「経済財政白書」が閣議配布され公表されています。何だかんだを含めて300ページを超えるボリュームであり、私自身もそれほど深く読み込んだわけではありませんが、一応、3章構成の各章1枚ずつくらいグラフを引用して、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、世間一般でもっとも重視されている物価に着目し、「経済財政白書」第1章 p.7 から 第1-1-4図 原油の代替調達と備蓄量 を引用します。xホク前の p.6 に、4月から7月にかけて必要原油量の調達が進み、7月には必要量をおおむね全量確保できる見込みとなり、代替調達の確保により、日本国内の石油備蓄量は5月以降おおむね横ばいとなっていて、原油の量的な確保が進んでいることを示そうとしているようです。逆に、量的に確保されているのであれば、価格が上昇しているのはどうしてか、単に円安のせいなのか、という分析もほしいところです。

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続いて、日銀による金利引上げの家計への影響に着目し、「経済財政白書」第2章 p.90 から 第2-1-12図 金利・株価上昇による家計金融資産の変化 を引用します。このブログの6月16日付けの記事でみずほ総研のリポート「日銀利上げ影響の試算アップデート」を取り上げており、おおむね、似通った結果が示されています。ただ、「経済財政白書」では、金利だけでなく株価の上昇も含めて考慮されています。当然ながら、金利引上げや株価上昇は高所得家計ほど資産増が大きく、現役世代、特に住宅ローンのある現役世代よりも住宅ローンなしの引退世代に恩恵をもたらしている、という事実が確認されます。

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続いて、学術研究に着目し、「経済財政白書」第2章 p.254 から コラム3-7-1図 我が国の学術研究と将来が期待される市場 を引用します。この第3章は、本来、企業活動や設備投資を分析しているので、私が引用したグラフは、ややアサッテの方向のもので、したがって、コラムから引用しています。私の専門分野である経済学や隣接領域の学問分野は、日本の国際的なランキングで見てかなり低いのは自覚しているところです。なお、このグラフには枝番の(1)があるように、この次のページに(2)将来の市場拡大が期待される分野、というグラフがあります。当然のように、AI、量子コンピューティング、ゲノム編集、というのがトップスリーに並んでいます。

いつも私が主張しているところですが、景気拡大を目指すマクロ経済政策の要諦は貯蓄過剰主体の貯蓄率を下げることです。現在の日本では企業が貯蓄過剰主体となっています。ですので、「経済財政白書」では、第3章第2節などで批判的な論調も展開されています。例えば、p.197 では「企業が設備投資や賃上げ等の支出に資金を振り向けることを抑制し、現預金を手元に貯蓄するようになった...(略)...こうした慎重な姿勢は、個々の企業にとっては合理的なものであったかもしれないが 、マクロ経済全体でみれば、資本ストックの蓄積を鈍化させ、長期的に成長を下押しする方向に作用してきたと考えられる。」と合成の誤謬のような批判を加え、さらに、脚注で「過度なリスク回避や借入の忌避等は、個々の企業にとっても事業機会の逸失につながる可能性があり、望ましいものではない。」と企業行動に対する批判を繰り返しています。はい、私もこの企業行動が日本の低成長の最大の要因のひとつだと考えています。
逆の方向から、今年の「経済財政白書」には厳しい批判があったりします。典型的には、アノ政府広報紙とすらいえる日経新聞で、公表当日の7月24日に「『骨太』な経済財政白書は今や昔 政権に寄り添い薄れる独自色」と題する記事が掲載されました。最初に引用した代替調達のテーブルなんかにも、そういった方向が現れていると受け止める向きも少なくないものと想像します。私自身は公務員として経済企画庁から中央省庁再編後の内閣府の勤務経験があります。さらに、いわゆる官邸スタッフとも呼ばれる内閣官房の勤務経験もあります。そういった経験を基に考えると、同じく経済企画庁の勤務経験ある役所の後輩なんかとLINEも含めておしゃべりする限り、やっぱり、経済企画庁の時代からは総理大臣官邸との距離が違うため、内閣府では大本営発表的な政府広報の色彩が強くなっている、という気がして仕方ありません。日経新聞の記事などはそれに対する批判なのだろうと考えるべきです。

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+3%超の上昇が続く6月の企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月4月からわずかに加速して+2.7%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率も同じくやや加速して+2.7%の上昇となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、6月は前年比プラス3.2% コスト上昇分を価格転嫁
日銀が27日に公表した6月の企業向けサービス価格指数速報は前年比3.2%上昇だった。伸び率は前月から0.2%ポイント縮小したが、人件費や燃料費などのコスト上昇分を価格に転嫁する動きが続いている。前月比は0.4%下落だった。
前年比で最も押し上げに寄与したのが「諸サービス」。「労働者派遣サービス」、「土木建築サービス」、「建物サービス」などで諸コストを価格に転嫁する動きが出ている。
「運輸・郵便」も押し上げに寄与。「外航貨物輸送」は中東情勢の影響で値上がり。「道路貨物輸送」や「道路旅客輸送」は人件費や燃料費などが価格転嫁された。
調査対象146品目のうち、上昇は115品目、下落は16品目だった。
日銀の担当者は「中東情勢の影響も含めた海運市況や国際商品市況の動向、人件費・労務費や物流費の上昇を価格に転嫁する動きの持続性などを引き続き注視していく」と述べた。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では「高人件費率サービス」が前年比2.7%上昇と、伸び率は前月から0.1%ポイント拡大した。「サードパーティーロジスティクス」、「こん包」、「商品・非破壊検査・計量証明サービス」、「道路貨物輸送」が押し上げに寄与した。
「低人件費率サービス」は同3.7%上昇で、伸び率は0.8%ポイント縮小した。「宿泊サービス」、「テレビ・ラジオ広告」、「インターネット・新聞・雑誌・その他の広告」などが押し下げた。

SPPIは、何といっても、物価指標は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは次の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数の前年同月比上昇率で見ると、今年2026年に入って、2月の+2.1%をボトムに、中東戦争が始まった後、3月+2.9%、4月+5.4%、5月+6.6%、もっとも最近のデータが利用可能な6月統計で+7.1%まで跳ね上がっています。もちろん、中東戦争に起因し、例えば、ナフサなどの石油製品の供給制約から価格上昇が引き起こされています。他方で、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、今年2026年に入って、1-2月に+2.7%を記録した後、3月+3.3%、4月+3.4%、5月も+3.4%と、上昇率がやや加速したものの、直近でデータが利用可能な6月統計では+3.2%となっています。どちらも、まだ+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、最近の上昇率を見ると、デフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。特に、引用した記事にもある通り、企業向けサービス物価指数(SPPI)では人件費や燃料費などのコストアップを価格転嫁する動きが続いています。ただし、これも引用した記事にあるように、「高人件費率サービス」が前年比+2.7%上昇に対して、「低人件費率サービス」は+3.7%上昇ですから、人件費以外のコストアップの価格転嫁が大きい結果が示されています。基本的には、これは政府や日銀のいう「好循環」ではないか、と私は考えないでもないのですが、循環が「悪」か「好」か、どうであれ、国民には物価上昇そのものがよろしくない、と受け止められているような気がします。しかも、本日公表された5月統計では企業物価指数(PPI)も企業向けサービス価格指数(SPPI)もいずれも、人件費というよりも中東戦争に起因する石油価格の上昇や、その波及を受けた国際運輸、そのたのコストアップから高い上昇率となっています。すでに、米国とイランの間では停戦合意の覚書が署名されていますが、実際に戦闘は続いているような報道がありますから、今後も予断を許しません。先行きはまったく不透明です。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された6月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.2%への寄与度で見ると、労働者派遣サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.03%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の⅓を占めています。諸サービス以外では、中東戦争に起因するエネルギー価格上昇の波及を受けたと考えられる外航貨物輸送をはじめとする運輸・郵便が+0.86%、ソフトウェア開発などの情報通信が+0.56%、リース・レンタルが+0.55%、さらに、不動産も+0.19%、金融・保険が+0.04%などとなっています。

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2026年7月26日 (日)

息詰まるような投手戦を制してジャイアンツに勝利

  RHE
読  売000000000 061
阪  神00000100x 181

【読】 小笠原、堀田 - 山瀬
【神】 村上 - 坂本

村上投手と小笠原投手の投手戦を制して、ジャイアンツに勝利でした。
先発村上投手は8回と9回の最後の最後でピンチを招きましたが、相変わらず安定したピッチングでジャイアンツ打線を完封しました。打線は打てないことに変わりありませんが、佐藤輝選手がホームランで虎の子の1点をもぎ取り、村上投手が守り切りました。オールスターにたくさん選ばれていますが、できるだけ休養に充てるよう願っています。

オールスター明けも、
がんばれタイガース!

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2026年7月25日 (土)

昨日と今日の連敗で連覇には暗雲かも?

  RHE
読  売000401000 5100
阪  神001000000 171

【読】 竹丸、船迫、赤星、森田 - 大城、小林
【神】 伊原、モレッタ、及川、セベリーノ、門別 - 伏見、坂本

昨夜の勢いそのままに、ジャイアンツに逆転負けでした。
先発伊原投手は序盤からやや不安定で、3回ウラにもらったチャンスで先制した直後、4回に4失点で逆転されます。阪神打線は、逆に、逆転された4回から5-6回まで3イニング連続の三者凡退が続きます。昨夜の大逆転負けと今夜の敗戦で、連覇に暗雲という気がしてきました。明日も負けるようだと確信に変わるかもしれません。佐藤輝選手がシーズン序盤のような打棒に戻れるかどうかが、連覇へのカギと見ました。

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書のほか文庫本が多く計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、鎮目雅人{編}『貨幣再考』(岩波書店)では、単に経済学的な視点だけではなく、現代社会における貨幣のあり方をより幅広い視野から客観的、批判的に検討することを念頭に、経済学、歴史学、文化人類学、社会思想など異なる分野の研究者が貨幣とは何かについて多角的な検討を進めようとしています。ジョー・リトラー『反メリトクラシー』(人文書院)では、メリトクラシーの弊害として、階級、人種、ジェンダーなどの構造的な不平等を隠蔽して、敗者に自己責任を押し付けて自業自得と思わせるためのイデオロギーであり、裕福なエリートによる統治体制を永続化させている、と批判しています。周防柳『南朝 風姿花伝』(角川書店)は、室町期の京を舞台に、観阿弥・世阿弥の父子は芸の完成を目指し、幕府の足利氏は北朝による南北合一と武家主導の公武合体を画策し、宮増座の次弥太らの楠木氏一族は正成の遺志を継いで南朝再興に向けて陰ながら暗躍する、という三つ巴のストーリーです。米澤穂信ほか『裏切りの捜査線』(中公文庫)は、5人の作家による警察ミステリが収録されたアンソロジーです。2人の刑事が飲み屋で事件の真相に迫り、科学捜査官とオカルト警視が対決し、署内トイレの拳銃自殺の謎を解明し、帰署中に遭遇した家族の真実を突き止め、中学生を尾行する男の正体を探ります。ジェフリー・ディーヴァー『サプライズ・エンディングス 罠』と『サプライズ・エンディングス 嘘』(中公文庫)には、リンカーン・ライムやコルター・ショウといった人気シリーズも含めて、webメディアに発表された計8話の短編を収録しています。タイトル通りに、驚く結末が用意されています。畠中恵『猫君』(集英社文庫)は、「しゃばけ」などのシリーズで有名な著者による、江戸時代の猫又のみかんを主人公にしたファンタジー時代小説です。軽めのミステリとなっていて、殺人事件は起きませんが、謎解きが展開されます。ストーリーは荒唐無稽そのものですが十分楽しめます。
今年2026年の新刊書読書は、1~6月の半年で151冊、7月に入ってから先週までに19冊、今週の7冊を加えて合計177冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、鎮目雅人{編}『貨幣再考』()岩波書店を読みました。編者は、早稲田大学政治経済学術院教授であり、ご専門は日本経済史、金融史、貨幣史だそうです。本書は3部構成であり、冒頭の序章において、現代社会における貨幣のあり方をより幅広い視野から客観的、批判的に検討することを念頭に、経済学、歴史学、文化人類学、社会思想など異なる分野の研究者が貨幣とは何かについて多角的に検討する試み、としています。ですので、第Ⅰ部ではパプアニューギニアの貝殻貨幣タブやクナップ『貨幣の国家理論』を取り上げ、第Ⅱ部では日本の貨幣制度について、江戸期の近世貨幣史にも着目し、最後の第Ⅲ部では大学における貨幣研究について取りまとめています。まず、貨幣とは誰かの資産であるとともに、通常は国家あるいは中央銀行の負債であるとされる場合が少なくなく、本書では内部貨幣と読んでいます。逆に、外部貨幣とは誰の負債でもない貨幣です。ですから、貴金属や貝殻貨幣は外部貨幣といえます。そして、貴金属として貨幣にしなくてもそれだけで価値ある外部貨幣ではなく、誰かの負債である内部貨幣の場合、いわゆる受容性のトートロジーが生じて、不換紙幣が流通するわけです。例外としては現代貨幣理論(MMT)があり、本書では貨幣を「納税チケット」と呼んでいたりします。第Ⅰ部のニューギニアの貝殻貨幣はさておき、第Ⅱ部の近世日本の貨幣制度については、いわゆる三貨制から議論を始めています。すなわち、金貨・銀貨・銭貨なわけですが、金貨は額面により流通する一方で、銀貨と銭貨は重量によって価値が決まる秤量貨幣です。ですから、改鋳利益を得ようとして量目を悪鋳することができるのは金貨だけということになりますが、元禄改鋳においては、新旧貨幣の交換において増し歩が要求され幕府もこれに応じた、とされていますので、近代的な不換紙幣(fiat money)の前の前近代の段階における日本の貨幣制度は、貴金属の量目による貨幣価値の決定であった、と結論されています。ただ、大坂における米相場の絶対的な支配力がある一方で、上方の銀遣いと江戸の金遣いの違いに応じて、金銀の交換比率の重要性が浮かび上がります。すなわち、大坂で米を換金すると銀貨なわけで、それを江戸に送る為替で金貨に交換すると、銀安金高なら江戸で消費生活を送る大名や家来には歳入減となり、逆に、銀高金安となれば歳入増となるわけです。江戸と上方での金銀の交換比率が武士階級の収入に影響を及ぼしていたわけです。そういった中で、田沼政権が発行した南鐐二朱銀について、その狙いなど詳しく解説されています。このあたりは読んでみてのお楽しみです。加えて、第Ⅱ部では、1972年沖縄変換の際のドル円切替え、すなわち、直前のスミソニアン合意で円レートが対ドルで大きく切り上げられた際のドル円切替えで、スミソニアン合意前の360円レートで交換した帰結などについても読んでみてのお楽しみだろうと思います。最後の第Ⅲ部では、よくある議論ですが、日本の金融史をひも解いて、金融政策が貨幣乗数をテコとする数量主導ではなく、価格(利子率や準備率など)を介した貨幣供給方式であることを支持している、と結論しています。この結論は、私は保留したいと思います。ただ、第7章の貨幣思想については一読の価値があります。単純な商品貨幣と信用貨幣だけでなく、貨幣の持つネットワーク的なメカニズムも議論されています。

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次に、ジョー・リトラー『反メリトクラシー』(人文書院)を読みました。著者は、英国ロンドン大学ゴールドスミス校の教授です。本書の英語の原題は Against Meritocracy であり、2018年の出版です。ですから、サンデル教授の『実力も運のうち』The Tyranny of Merit より2年早いわけです。本書もサンデル教授の本も、どちらも実力主義=メリトクラシーを批判していますが、サンデル教授の方は特に大卒という「資格」について強い批判を加えています。本書はより幅広く、メリトクラシーの弊害として、階級、人種、ジェンダーなどの構造的な不平等を隠蔽して、敗者に自己責任を押し付けて自業自得と思わせるためのイデオロギー、という批判が中心になります。その上で、英国における20世紀半ばからのメリトクラシーの歴史を追っているところがあります。本書冒頭の序章では、メリトクラシーの観念は金権支配体制(プルトクラシー)、すなわち裕福なエリートによる統治体制が永続化し、それ自身を再生産し拡張するための主要な手段となっている、と指摘しています。ただし、メリトクラシーに対する逆提案のような主張は皆無です。最後の結論で「オルタナティヴはなにか?」という問いが投げかけられていますが、しっかりした回答はないように見受けられます。normcoreが回答だというのであれば、やや拍子抜けです。もともと、メリトクラシーと相前後して、MITのオーター教授らによるスキル偏向型技術進歩の研究から、IT技術などの発展が高度なスキルを持つ労働者の生産性を高める一方で、定型的な業務(タスク)を代替することで中技能労働者を減少させ、雇用を二極化させる、という分析があり、そのスキルの計測の基礎がメリット=実力とか能力とかなわけで、そのまた代理変数が学歴、特に大卒資格なわけです。ただ、本書のサブタイトル「新自由主義と平等の神話」に示されているように、イデオロギー的な面があることは確かで、新自由主義的な積極的格差容認の理論的根拠を与えてしまっています。すなわち、「能力があるから成功して金持ちになった」という因果関係を逆手に取って、「成功して金持ちになったのは能力があったからである」と見なすように仕向けるわけです。もう少しだけ因果関係を展開すれば、「能力があったからいい大学に行くことが出来て、いい大学を出たからいい職を得て高所得になった」と大卒資格を中にはさんでも同じことです。他方で、「AERA」2023年3月6日号の記事「東大生の家庭『年収1千万円超』が4割超」に典型的に見られるように、ご本人の能力はもちろん必要としても、その能力をサポートするためには家庭の資力に支えられた教育投資が不可欠である点も見逃すべきではありません。少なくとも、ご本人の能力だけが成功や高所得の要因ではないことは理解すべきです。もうひとつのポイントは、では、能力主義=メリトクラシーの代わりとなるのは何か、という点です。本書はこの問いには答えていません。私は不勉強ながら、ロトクラシーがひとつの候補になり得る、と考えています。ロトクラシーはくじ引き民主主義と訳されたりして、選挙における投票の代替行為と見なされるケースが多いのですが、大学入学選抜などでも応用ができるのではないか、と考えています。いずれにせよ、実力主義=メリトクラシーが格差の隠れ蓑にされるような論調を容認すべきではありません。


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次に、周防柳『南朝 風姿花伝』(角川書店)を読みました。著者は、作家であり、現代小説も書きますが、典型的な時代小説の舞台となる江戸期よりも前の古典古代などの時代に着目した時代小説についてもいくつか作品があり、私はそれらを高く評価しています。本書は室町期の3代将軍足利義満から、室町幕府が衰勢に向かう京でストーリーが進みます。主人公は2人いて、1人は後の世阿弥元清となる藤若であり、本書の出だしでは猿楽一座である結崎座の座頭の観阿弥の子です。目弱(弱視)という弱点を持っています。もう1人は、同じように猿楽一座ながら囃子方を務める宮増座の座頭である宮増勝弥太の倅の次弥太です。実は、この宮増一族は楠木正成の子孫のかくれた姿で、宮増勝弥太は正成の孫に当たり、本当の名は楠木次郎です。ですので、猿楽の一座というのは表向きで、実はすっぱ=忍者であって、ドサ回りをしながら今でいう情報収集や場合によっては戦闘にも参加します。ストーリーの始まりでは、藤若12歳、次弥太10歳です。本書の冒頭には、系図が4つの流れで収録されています。観世座、楠木氏、幕府の将軍を出す足利氏、そして、天皇家です。天皇家は大覚寺統と持明院統に分かれ、前者の後醍醐天皇が吉野に逃れて南朝を始めるのは歴史で習うところだと思います。第1章冒頭で、目弱を克服するために一人稽古に励む藤若を覗き見て、舞台から転げ落ちそうになった藤若を次弥太が助けて親しくなります。藤若は次弥太から特殊な足運びを教えられたことで、新たな猿楽の境地を切り開くことになります。また、先のお話しながら、世阿弥の妻は楠木氏の流れを汲んでいて次弥太の従姉妹だったりします。ついでながら、神社の神楽から始まった猿楽に対して、農民の田植えを鼓舞する民衆芸能の田楽、という違いが、私のようなシロート向けに解説されていたりもします。時の権力者の関白である二条良基、また、子を天皇の位に就かせようとしたほどの実力者の足利義満などが藤若を寵愛する一方で、義満の死後に後継者をめぐる権力争いが高じます。当然に、南朝を強く敵視する将軍が現れたり、逆に、南朝を守護し奉る楠木氏や北畠氏の一党が奮闘したりします。もちろん、歴史的な事実として、室町幕府を主宰する将軍家の足利氏は凋落の方向にありますが、明徳和約により南朝から北朝に三種の神器が移され南北合一が成ります。観阿弥・世阿弥の父子は芸の完成を目指し、もちろん、幕府の足利氏は北朝による南北合一と義満の子を皇太子とするという意味での武家主導の公武合体を画策し、次弥太らの楠木氏一族は正成の遺志を継いで南朝再興に向けて陰ながら暗躍する、という三つ巴のストーリーが展開します。実に、重厚な時代小説です。500ページを超えるボリュームです。ただ、お急ぎの向きは、本書p.416から佐渡に流罪となった世阿弥が従者の権太に対して長い長い語りをなします。p.481まで続きます。65ページほどありますので、とても立ち読みは出来ないでしょうが、この部分を読めば本書丸1冊のエッセンスを知ることができます。あくまで、ご参考です。

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次に、米澤穂信ほか『裏切りの捜査線』(中公文庫)を読みました。著者は5人いて、すべてミステリ作家といえます。タイトル通りに、また、出版社の宣伝文句通りに、基本的には警察ミステリなのですが、最後の短編だけは退職刑事が主人公で、警察組織や刑事は一向に登場しません。収録順にあらすじは、まず、米澤穂信「お見通し」は、私も読んだ短編集『可燃物』のシリーズといえ、群馬県警捜査一課の葛が警察学校同期の前橋中央署の丸山に対して、安楽椅子探偵よろしく居酒屋で会話を交わしつつ不審者事件解決のヒントを与えます。方丈貴恵「メゾン・イニシェの怪」は、特殊設定ミステリを得意とする京大ミス研ご出身の作家による短編であり、対照的な同期のキャリア警察官の警視2人を主人公に、心理学と医学の博士号を持つ科学捜査官ではなく、怪異を信じるオカルト警視の推理で事件が解決します。荒木あかね「プライドの隙間」は、江戸川乱歩賞作家によるミステリであり、警察署内のトイレで拳銃自殺した警官から拳銃を持ち去った犯人を推理し、警察署を封鎖したわずかな時間で突き止める必要があります。松嶋智左「家につく猫」では、ヤギノメ(山羊の目)を持つ女性刑事と同僚が、隣県への出張から戻る際に農家に招かれ、鍋までごちそうになった上に監禁されます。最後の芦沢央「コールバック」は、私も読んだ『嘘と隣人』のシリーズといえ、退職刑事の平良正太郎が主人公です。進学校に通う男子中学生の両親から、「罰ゲーム」という名目で子どもがいじめにあっているのではないか、と相談を受けて、その中学生を尾行すると、もう1人怪しい男がその中学生を尾行しています。この最後の短編は、警察ミステリではないとの見方も出来ますが、出版社のサイトでは「捜査のプロ」による事件解決、ということのようです。それぞれに個性的で優れたミステリ作品ばかりです。5話のうち、最後の「コールバック」がページ数でカウントしてもっともボリュームありますし、プロットも凝っています。でも、私は出身大学による依怙贔屓だけではなく、科学捜査ではなくオカルト推理が真相を暴き出すという意外性と文章のコミカルさで「メゾン・イニシェの怪」を1番に推したいと思います。

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次に、ジェフリー・ディーヴァー『サプライズ・エンディングス 罠』『サプライズ・エンディングス 嘘』(中公文庫)を読みました。著者は、「どんでん返しの魔術師」と出版社では呼んでいるようで、世界でももっとも有名なミステリ作家の1人だと思います。私もリンカーン・ライムやコルター・ショウ、あるいは、キャサリン・ダンスのシリーズを愛読しています。『罠』と『嘘』はともに短編集であり、4話ずつ収録されています。webメディアなどで公開されていた短編作品を日本オリジナルの文庫本2冊に取りまとめています。簡単に、あらすじは以下の通りです。まず、『サプライズ・エンディングス 罠』の収録短編では、「完全犯罪計画」は唯一のリンカーン・ライムのシリーズです。ライムの暗殺計画があることが判明します。英国の諜報機関が偶然に傍受しただけで詳細はまったく不明です。宿敵ウォッチメイカーが示唆されますが、やや尻切れトンボで終わります。続いて、「魔の交差点」では、互いにまったく面識のない7人が、犯罪多発地帯にある魔の交差点に向かいます。これは、まったく予期せぬラストで、もう一度読み返す読者も少なくないものと私は想像します。本書の中では出色の短編だと思います。続いて、「麗しきヴェローナ」では、対立関係にある2つのギャングのグループの息子と娘が恋に落ちるストーリーで、まあ、ラストも軽く想像する読者は少なくないものと思います。続いて、「どんでん返し」では、なかなかシッポをつかませない犯罪組織のボスを逮捕に導くために、メリーランド州警察の刑事がミステリ作家に組織壊滅のシナリオを依頼するという荒唐無稽であり得ないストーリーです。もう1冊の『サプライズ・エンディングス 嘘』の収録短編で、「被害者クラブ」では、東部の名門大学の女性教授がパーティで薬物を盛られてハレンチな写真を撮られてネットにアップされます。大学フットボール部のスター選手などが容疑者に上りますが、大学サイドの守りも固くて警察が手出しできずにいます。続いて、「忘れられし者」はコルター・ショウのシリーズです。麻薬密売人の殺人と薬物所持ですでに裁判を終えて服役中の若者の両親からショウが依頼を受けて無実の証拠を探します。ストーリーとしては地味なのですが、やっぱり、キャラとして魅力的です。続いて、「帰任報告」では、メキシコの麻薬カルテルの拠点に監視カメラを設置するため、エルパソ市警察と連邦麻薬取締局(DEA)が現地に乗り込みますが、情報がリークされていて危機に陥ります。『嘘』の中ではこれがベストかと思います。最後に、「ターニングポイント」では、現場にロシア人形のマトリョーシカを残す連続殺人事件について、ハンサムだが人格が破綻している悪党のマイケルと娘や家族思いのネヴィル刑事の2人の視点からストーリーが展開され、ラストで一気に逆転させます。表紙のマトリョーシカは、この短編に関して取られているのだと思いますが、本書の中では「帰任報告」に続く2番目として私は評価しています。収録作品の総合力からすれば、『嘘』の方がクオリティが高いと感じましたが、短編作品の中では『罠』に収録されている「魔の交差点」が私は一番好きでした。まあ、私のようにこの作家のファンであれば、どちらも読むのだろうと思います。

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次に、畠中恵『猫君』(集英社文庫)を読みました。著者は、小説家でありファンタジーの時代小説「しゃばけ」などのシリーズが売れていると思います。本書は新しいシリーズではないかと思います。というのは、すでに続編『猫君 りんねの輪』が単行本で出ています。最近、シリーズ最初の本書が文庫で出たので読んでみました。軽めのミステリとなっていて、猫又の世界ですので殺人事件は起きませんが、謎解きが展開されます。まず、舞台は江戸期の第11代将軍徳川家斉の時代の江戸です。猫が20年生き長らえると猫又という妖怪になります。本書冒頭に登場する猫又の紹介があります。また、江戸には密かに6つの陣が存在します。順不同で、祭陣、花陣、学陣、黄金陣、姫陣、武陣となります。花陣と姫陣は女、というか、雌の猫又、ほかは雄の猫又の陣です。各陣は軽く対立していて、陣地を拡大しようと画策しています。この陣とは別に、徳川将軍家の計らいで江戸城内には新米猫又たちが修業する学び舎である猫宿があります。猫宿には長老の長がいて、化け学、算術、猫又史、人間史などの授業があり、もちろん、教師=師がいます。主人公はみかんという雄猫であり、吉原で髪結師をしているお香さんに飼われていました。しかし、19歳と11か月を経過し、20歳になるまであと数日というところで、みかんの飼い主のお香さんが亡くなってしまいます。猫又になりつつあったみかんがお香さんを取り殺した、とご近所の人に騒がれて逃げていると、祭陣出身で兄者の猫又の加久楽が迎えに来てくれ、ぶじに猫宿にたどり着くことになります。新米猫又はこういった兄者や姉者に介添えをしてもらうようです。猫宿の長は、もちろん、猫又なのですが、戦国時代は人に化けて人として暮らしていて、当時の名が織田信長だったり、また、同じく戦国時代に人の世に人に化けて暮らしていた猫宿の師の1人が明智光秀だったりして、まあ、何と申しましょうかで支離滅裂で荒唐無稽な雰囲気もあったりします。なお、本書のタイトルの「猫君」というのは、きわめて能力に秀でた猫又の王のことで、みかんのいる時代に出現したのではないか、といわれています。主人公のみかんは素直で正義感の強い茶虎なのですが、ほかに、猫宿に入学してきたのは、狸にも似たのんびり屋のぽん太、吉原出身で気立ての良い白花、戦闘の際も、気も強い仕切り屋の毬姫、気位は高いが面倒見のいい黒若、などであり、猫宿に新たに入った新米猫又は20匹ほどいます。みかんらの新米猫又がいろんな無理難題をこなしていくストーリーで、たぶん、私の実感では中学生くらいであれば十分に読みこなすことが可能です。あるいは、小学校高学年であれば何とかなるかもしれません。その意味で、ひょっとしたら、家族構成次第では一家で楽しむことができる時代小説かもしれません。

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2026年7月24日 (金)

9回ツーアウトからジャイアンツに大逆転負け

  RHE
読  売0000000022 461
阪  神0100000010 280

【読】ウィットリー、中川、森田、マルティネス、田中瑛 - 大城
【神】才木、岩崎 - 梅野、坂本

9回ツーアウトまでこぎつけながら、巨人に大逆転負けでした。
先発才木投手は9回ツーアウトまで無失点でしたが、何と、最後の最後に2ランを打たれて逆転されてしまいます。9回ウラに森下選手の犠牲フライで追いついたものの、10回に岩崎投手の背信で逆転されました。監督やピッチングコーチも、岩崎投手はクローザーの力はないことを十分認識し、このところずっと8回に起用しているのですが、勝ちパターンで引き続きやっていけるかどうか、試練の時かもしれません。それにしても、敗戦の大きな要因は打線です。今夜の試合では、相手エラーや犠牲フライでしか得点できませんでした。特に佐藤輝選手は重症と見ました。

明日は、
がんばれタイガース!

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6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は5か月連続で日銀物価目標2%を下回る

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、前月からやや加速して+1.6%を記録し、生鮮食品も含めたヘッドラインCPI上昇率は+1.7%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは+1.7%でした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の消費者物価、1.6%上昇 5カ月連続2%割れ
総務省が24日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が113.1と、前年同月比で1.6%上昇した。診療報酬改定の影響により診療代が押し上げ方向に働いた。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値「1.6%上昇」と同じだった。日銀が物価安定目標としている2%上昇を5カ月連続で下回った。
診療代は1.7%上昇した。政府が6月に公的医療サービスの価格を定めた診療報酬を改定した。物価高や賃上げに対応するため、初診時の料金は少なくとも190円上がった。
生鮮食品を除く食料は3.1%上昇した。11カ月連続で上昇率が縮小した。ピーク時には前年と比べて2倍ほどまで価格が上昇したコメ類は8.7%下がった。
原材料価格が上昇している外壁塗装費は6.2%上がった。宿泊料は3.1%上がった。インバウンド(訪日外国人)による需要が伸びた。
エネルギー価格全体は0.1%低下した。ガソリン価格は0.7%下がり、5月の7.0%低下から下落幅が大きく縮小した。昨年5月に始まった1リットルあたり最大10円の定額補助の影響を受けなくなったためだ。都市ガス代は3.4%、電気代は1.7%それぞれ下落した。
生活実感に近い生鮮食品を含めた総合指数は1.7%上がった。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は1.7%プラスだった。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事の2パラ目にあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.6%ということでしたので、ジャストミートしました。総務省統計局のプレスリリースによれば、ガソリンの暫定税率廃止及び政策による効果の寄与度が試算されており、エネルギー全体では▲0.74%に上ります。うち、ガソリンは▲0.62%、灯油が▲0.12%です。エネルギー補助はかなり縮小しましたが、まだエネルギーのマイナス寄与はかなり大きく、こういった政策効果を除けばコアCPI上昇率は+2%を超える、という見方も成り立つといえます。品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率である+1.6%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、エネルギーの寄与度は6月統計では、政策効果が縮小したとはいえまだマイナスであり、前月の5月統計の▲0.20%に対して、6月統計では▲0.01%となっています。したがって、寄与度差は+0.20%と計算されています。ヘッドラインCPI上昇率が5月の+1.5%から6月の+1.6%に+0.1%ポイント上昇している要因のひとつといえます。続いて、生鮮食品を除く食料価格はコメを含む指標であり、上昇率はまだ大きいとはいえ、前年同月比で5月の+3.5%、寄与度+0.87%から6月は上昇率+3.1%、寄与度+0.78%にやや減速しています。ですので、寄与度差は▲0.09%となっています。ただし、上昇率の数字だけを見れば、ヘッドラインCPIの上昇率である+1.5%の半分超が食料価格の上昇に起因する、というわけです。引き続き、コメの価格上昇が継続しているものの、コメ以外に価格上昇している食料も少なくない点は見逃すべきではありません。もっといえば、コメについては一時のピークは超えた可能性が十分ある、と私は考えています。
まだ前年同月比でマイナスを続けているエネルギーではなく、食料の細かい内訳に注目すると、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見て、繰返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+3.1%、寄与度+0.78%に上ります。その食料の中で、特に、弁当などの調理食品が上昇率+4.2%、寄与度+0.16%と大きな寄与度を示しています。続いて、チョコレートなどの菓子類は上昇率5.7%、寄与度+0.16%に上っています。中でも、カカオショックとすら称されたチョコレートは上昇率+8.8%、寄与度0.04%、また、コーヒー豆などの飲料も上昇率+6.8%、寄与度0.12%、さらに、コアCPIの外数ながら、まぐろなどの生鮮魚介も上昇率+9.5%、寄与度+0.12%、となっています。コアCPIに戻って、国産豚肉などの肉類が上昇率+4.3%、寄与度0.12%、などなどと書き出せばキリがないほどです。逆に、マイナス寄与については、教育、特に授業料等が▲10.6%、寄与度▲0.18%の下落となっています。高等学校授業料(私立)の下落▲68.8%が最大の要因です。また、設備修繕・維持も外挿塗装費の値上がりなどから上昇率+3.6%、寄与度+0.13%などとなっています。

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2026年7月23日 (木)

1940年代の中国共産党の台頭は日本の占領が原因か?

1940年代における中国共産党の台頭に関する論文 "The Rise of the Chinese Communist Party" を読みました。中国における1940年以降の共産党の勢力伸長は日本による占領地で進んだ、という結論を導いています。まず、論文の引用情報は以下の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
We examine the rise of the Chinese Communist Party (CCP) in wartime China. Using a spatial regression discontinuity design and several measures as proxies for the rise of the Party during the Sino-Japanese War (middle- to upper-rank party cadres, grassroots party organization, and guerrilla bases), we find that it grew significantly more in counties occupied by the Japanese Army. However, despite its popularity before the war, the same markers were not statistically significant at that time. We identify two primary channels behind the political ascendancy of the CCP. First, the communists took advantage of the militarily weaker “puppet troops” in charge of administering the loosely held occupied areas. Second, support for the CCP was fueled by a strong anti-Japanese sentiment spurred by war suffering, using civilian casualties and rape cases as proxies for the harm inflicted. Finally, the CCP’s wartime influence persisted after the war: former Japanese Occupied Areas exhibited a significantly higher density of party membership between 1950 and 1980.

空間回帰不連続デザイン(spatial regression discontinuity design)という因果推論の手法を用いて分析をしています。この論文によれば、中級から上級の党幹部、草の根の党組織、ゲリラ基地(middle- to upper-rank party cadres, grassroots party organization, and guerrilla bases)など複数の尺度を用いると、日本軍に占領された地域で中国共産党の勢力が著しく拡大していたことが結論されています。その因果経路のひとつは、民間人の死傷者数や強姦事件を被害の代理変数として用いると、戦争の苦しみによって煽られた強い反日感情が中国共産党への支持を支えた(support for the CCP was fueled by a strong anti-Japanese sentiment spurred by war suffering, using civilian casualties and rape cases as proxies for the harm inflicted)、ということらしいです。論文から Figure 5. Fitted values from a local linear regression of the density of CCP cadres, a dummy variable indicator of party committees, and size of guerrilla bases を引用すると次の通りです。

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大きなグラフなので縮小して見にくくなりましたが、左のパネルから順に、中国共産党幹部密度、党委員会を示すダミー変数、ゲリラ基地の規模、のそれぞれを独立変数とする局所線形回帰分析による適合値(fitted values from a local linear regression of the density)を示しています。3つのパネルで不連続性が示されています。各パネルにおいて、縦軸のゼロの左側は1940年の日本による占領境界線の外側、右側は占領境界線の内側の地域に対応しています。なお、引用はしませんが、論文の Figure 3 で日本占領地域(JOA: Japanese Occupied Area)の境界が示されています。

空間回帰不連続デザイン(spatial regression discontinuity design)という因果推論の手法については、それほど深い理解は私自身は持ち合わせません。しかし、日本が占領していた地域で中国共産党がいくつかの指標で見て台頭を果たした、というのは、いかにもありそうな気がしてなりません。

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2026年7月22日 (水)

終盤もつれながら横浜に逆転勝ち

  RHE
横  浜100001200 4101
阪  神00100301x 5102

【横】藤浪、岩田、松本凌、浜地、マルセリーノ - 松尾
【神】高橋、工藤、岩崎、ドリス - 伏見、坂本

終盤もつれた試合ながら、横浜に逆転勝ちでした。
先発高橋投手は6回2失点と、高橋基準にしては物足りないながら、クオリティスタートでした。6回ウラに大山選手のタイムリーで逆転し、7回から勝ちパターンの投手を注ぎ込みましたが、名手中野二塁手の悪送球のエラーもあって、7回に工藤投手が同点に追いつかれます。しかし、8回ウラには近本外野手のツーベースを足がかりに勝越しに成功し、9回はドリス投手がピシャリと抑えて逃げ切りました。最後のプレーは中野二塁手の本来の動きによるファインプレーでした。久しぶりに甲子園で藤波投手を見ました。塁上を賑わしながら、なかなか得点に至らず、1点止まりでした。

ジャイアンツ戦も、
がんばれタイガース!

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原油輸入額が大きく増加した6月の貿易統計

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインについて、季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+19.3%増の10兆9290億円に対して、輸入額は+25.4%増の11兆3359億円、差引き貿易収支は▲4069億円の赤字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

6月の貿易収支、2カ月連続赤字 原油輸入費が高止まり
財務省が22日発表した6月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4069億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。中東情勢の悪化に伴う原油輸入コストの高止まりが続いている。
輸出額は10兆9290億円で前年同月比19.3%増加した。増加は10カ月連続。中国向けのICチップなどの電子部品、インド向けの精製銅などの非鉄金属、米国への自動車の輸出が伸びた。
輸入額は11兆3359億円で25.4%増えた。増加は5カ月連続。台湾向けの半導体等電子部品、韓国から銀などの非鉄金属の輸入が増えた。
石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態が続き、原油の輸入量は881万キロリットルと13.7%減少した。輸入額は1兆375億円と59.3%増えた。輸入単価は円建てで1キロリットルあたり11万7684円と84.7%上昇した。
原油輸入を地域別で見ると、中東からの輸入量は40.6%減って569万キロリットルだった。代替調達が進み、米国からの輸入量は272万キロリットルと459.5%増加した。米国産の原油は輸入量、輸入額ともにデータの遡れる1979年1月以降で最大となった。
2026年の上半期にあたる1~6月の貿易収支は1兆143億円の赤字だった。赤字は10期連続で、赤字額は前年同期から57.0%減った。輸出額は13.7%増の60兆6605億円、輸入額は10.7%増の61兆6749億円だった。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、▲1000億円を少し超えるくらい貿易赤字が見込まれていましたし、予測レンジ下限でも▲3451億円でしたので、実績の▲4069億円の赤字は大きく下振れした印象です。注目の原油及び粗油の6月統計での輸入は、引用した記事の4-5パラ目にあるように、キロリットル単位の数量ベースで前年同月比▲13.7%減の減少を示していますが、金額ベースでは+59.3%増となっています。それだけ単価が上昇しているということです。先月公表された5月の貿易統計速報の時点では、原油及び粗油の輸入は数量ベースで▲57.3%減でしたので、5月から6月にかけて大きく供給制約は緩和された、という評価はできるかもしれません。ただ、ほぼほぼ政府広報紙と化した日経新聞では、引用した記事の5パラ目にあるように、「代替調達が進み、米国からの輸入量」が増加している点を強調したいのだろうと思います。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいのですが、地政学リスクにより比較優位に基づく貿易が、現時点では、阻害されている可能性が否定できない、と考えています。すなわち、中東での武力紛争により石油輸入の量と価格の動向が大きな問題と考えるべきです。
本日公表された6月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、繰返しになりますが、もっとも注目されている原油及び粗油がキロリットルの数量ベースで▲13.7%減ながら、金額ベースでは+59.3%増となっています。特に、中東からの原油及び粗油の輸入は、数量ベースで前年同月から▲40.6%減となっています。さらに、エネルギーに次いで注目されている食料品は金額ベースで+9.3%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は重量ベースで▲29.6%減ながら、商品市況の高騰により金額ベースでは+3.3%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数ベースで+6.0%増、金額ベースでも+23.0%増となっています。米国向けの自動車輸出についても、数量ベースで+5.7%増、金額ベースで+34.5%増となっており、トランプ関税の価格転嫁が進んでいる可能性があります。米国だけではなく世界向けに戻って、自動車を含む輸送用機器は金額ベースで14.4%増、電気機器も+29.4%増、一般機械も+10.9%増となっています。比較優位にしたがって貿易すると、このあたりの輸送用機器、電気機器、一般機械などに日本はアドバンテージがあるんだろうと思います。

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2026年7月21日 (火)

延長11回高寺選手のタイムリーで横浜にサヨナラ勝ち

 十一 RHE
横  浜00010000000 150
阪  神00010000001x 290

【横】篠木、松本凌、マルセリーノ、浜地、伊勢、岩田、吉野、宮城 - 戸柱
【神】下村、工藤、岩崎、ドリス、木下 - 坂本

引き締まった投手戦を延長11回に、高寺選手のツーベースで横浜にサヨナラ勝ちでした。
先発下村投手は6回を牧選手のソロ1点抑え、工藤投手以下のリリーフ陣に後を託します。9回岩崎投手、10回ドリス投手、11回木下投手と継いで、木下投手2勝目です。野手陣は相変わらず貧打に泣き、まともな得点は高寺選手のサヨナラ打までありませんでした。

明日は藤浪投手を打ち崩すべく、
がんばれタイガース!

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金融政策の量的緩和による政府財政のサステイナビリティへの影響

政府財政のサステイナビリティが金融政策の量的緩和(QE)からどのような影響を受けるのか、について "Quantitative Easing and Government Debt Sustainability" と題するワーキングペーパーが全米経済研究所(NBER)から明らかにされています。まず、論文の引用情報をNBERのサイトから引用すると次の通りです。

続いて、NBERのサイトからABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
We show that quantitative easing (QE) worsens government debt sustainability. In our model, the government has a negative primary balance and downward-sloping debt demand that makes interest rates endogenous. The central bank has long-term capital and remits profits to the fiscal authority. QE depletes this capital stock, reducing future remittances and crisis-fighting reserves. Contrary to Sargent and Wallace (1981), where greater monetary accommodation lowers the steady-state debt level, we show that QE increases the steady-state level of debt and shifts the default boundary inward, thus heightening fragility and reducing debt sustainability. Moreover, while QE can keep interest rates low for extended periods, sustaining a QE-backed rate peg requires a growing central-bank footprint and accelerating capital depletion, until financing costs rise sharply. Under certain parameters, large-scale QE makes previously sustainable debt levels unsustainable, leading ultimately to sovereign default.

私が3年前に書いた紀要論文 "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" では、公的債務残高のサステイナビリティについてはドーマー方程式から、基礎的財政収支と成長率と金利の差、すなわち、動学的効率性から決まる、と結論しています。ものすごく単純にいえば、中央銀行が量的緩和(QE)政策を取って金利が低くなれば、公的債務残高のサステイナビリティは高まる、と考えていただけに、少しショックを受けました。この論文で重要と考えるグラフをpdfの論文から引用すると次の通りです。

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上のグラフは、ワーキングペーパーから Figure 4. Steady states before and after QE を引用しています。タイトル通りに、量的緩和(QE)の前後で公的債務残高のサステイナビリティが、理論モデルからどのように動くかを分析しています。上のパネルが量的緩和前で、下が量的緩和後です。見れば明らかなように、安定均衡(Stable Steady State)が右へ移動し、不安定均衡(Unstable Steady State)が左へ移動し、結果として、デフォルト境界(Default Boundary)が内側へ移動してしまっています。つまり、量的緩和は短期的には金利を押し下げるとしても、長期的には財政の安定領域を縮小させるという結論をもっとも直感的に示しています。

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続いて、上のグラフは、ワーキングペーパーから Figure 5. Economic dynamics after QE を引用しています。先の Figure 4. Steady states before and after QE が比較静学に基づいていましたが、この Figure 5. Economic dynamics after QE は動学的な経路が示されています。左上のパネル(a)から始めて、(a) 量的緩和の直後は金利を低く抑えることが可能であるものの、(b) 量的緩和のための金利ペッグを維持するには、中央銀行の資産毀損が生じ、(c) 中央銀行資本の枯渇を加速させ、(d) 最終的には資金調達コストの急激な上昇を招く、ということが示されています。

このワーキングペーパーは理論モデルに基づいて、延々と離散系の差分方程式を解くことによって得られた結論を示しており、実際のデータに基づく実証的な研究成果ではありません。ですので、前提として、政府が基礎的財政収支の赤字を続けるとか、量的緩和によりきわめて直接的に中央銀行が資本を毀損して政府からの出資拡大は行われないとか、いささか現実性に疑問ある前提が置かれていたりします。そして、ワーキングペーパー本体で48ページ、Appendixが69ページ、あわせて119ページあり、Appendixのうち、延々と数学的な証明(Proof)を展開しているAppendix Cが60ページほどあって、そもそも、私が完全にこのワーキングペーパーの趣旨を理解したというまでの自信もありません。でも、Sargent and Wallace (1981) "Some unpleasant monetarist arithmetic" とも真逆の結論を導いており、少しショッキングであったことは確かです。

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2026年7月20日 (月)

終盤にリリーフ陣が打たれて横浜に完敗

  RHE
横  浜000010033 790
阪  神000000000 030

【横】 平良、宮城、レイノルズ、松本凌 - 古市
【神】大竹、木下、セベリーノ、津田 - 坂本、梅野

まったく打てずに、横浜に完敗でした。
先発大竹投手は5回に失点したものの、6回途中まで1失点でしたので、まずまずの出来だと思います。後を継いだ木下投手も安定したピッチングでした。しかし、8回セベリーノ投手、9回津田投手が大きく失点して、ジ・エンドでした。でも、問題はバッターです。中野選手がスターティングメンバーから外れたとはいえ、3安打では勝てません。横浜の先発平良投手をはじめ、4投手のリレーで完封されてしまいました。広島は巨人相手ならデッドボールなしで負けてしまい、再び巨人に同率首位に並ばれました。

明日は、
がんばれタイガース!

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初めてのモノクロパッケージ

中東戦争の影響でナフサが不足し、カルビーのポテチがモノクロパッケージに変更というニュースをふた月ほど前に聞きました。たぶん、東京あたりで始まって、私の住んでいる田舎町に到達するころにはナフサ不足も解消されている可能性を考えていたのですが、本日、初めてモノクロのパッケージを見ました。カルビーはカルビーでも、話題になったポテチではなく、かっぱえびせんでした。写真では見えにくいのですが、左上に「石油原料節約パッケージ」とあります。

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紀要論文「人工知能(AI)技術は規制が必要か、それとも自由な開発か?」を書き上げる

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先週、今夏の夏休みの研究課題である紀要論文「人工知能(AI)技術は規制が必要か、それとも自由な開発か?」を書き上げ、紀要の編集担当者に送っておきました。9月に『立命館経済学』収録論文として公刊される予定です。まず、要旨を引用すると次の通りです。

人工知能(AI)の技術がここ数年で大きく進歩している。分野によっては人間の知的能力・認知能力を超えているとすら考えられている。このAIの活用により生産性が引き上げられ、企業業績が改善するとの期待から、米国だけでなく日本でも株価が上昇している。本論文では、このAI技術が経済に及ぼすインパクトについていくつかの研究成果をサーベイしている。その上で、AIに対する規制の必要性を論じている。まず、AI技術の前提として、ディープラーニングについて簡単に振り返り、さらに、人間の認知能力がどのように決まるかに関する簡単なモデル研究を概観する。この際、人類が歴史的に獲得した知性の分析とともに、人間個々人が幼少期から認知能力を向上させる理論モデルについての双方を取り上げる。続いて、人間の認知能力がAIの使用からどのような影響を受けるかについてアセモグルらによる議論(Acemoglu et al., 2026a)ほかをサーベイする。AIの活用が人間の知性に潜在的に及ぼす否定的結論が導かれている。ただし、AIの活用が生産性に及ぼす好影響の研究成果も多くあり定量的な研究をサーベイし、ほぼすべての研究は多かれ少なかれAIは生産性を向上させるインパクトを持っていると結論している。最後に、これらのAIの否定的・肯定的な両方のインパクトを総括し、AI規制の必要性を考える。

第1章の導入部で現時点におけるAIの能力について考えた後、第2章では、本論に入る前に、AI開発の歴史とともに、ディープラーニングなどの技術的な側面を簡単に振り返っています。さらに、第3章では、人間の認知能力がどのように決まるかに関する簡単なモデル研究を概観しています。この際、ホモサピエンス誕生以来の人類が歴史的に獲得した知性のモデル分析とともに、人間個々人が幼少期から認知能力を向上させるモデルについての双方を既存研究をサーベイをしています。本論に入って、第4章では、そういった人間の認知能力がAIの使用からどのような影響を受けるかについてアセモグルらによる分析結果ほかをサーベイして、AIの活用が人間の知性に及ぼす潜在的ながら否定的な結論を導いています。第5章では、AIが経済にもたらすポジティブな面として、AIの活用が生産性に及ぼす影響について既存研究をサーベイし、ほぼすべての研究は多かれ少なかれAIは生産性を向上させるインパクトを持っていると結論しています。最後に第6章で、これらのAIの否定的な影響と肯定的なインパクトを総括するとともに、残された課題を整理し、本稿を簡単に締めくくっています。

おそらく、AIの開発を自由に行えば、十分なイノベーションの利益が得られることと思います。他方で、AIに対する必要な規制とイノベーションの利益の享受は、おそらくトレードオフの関係にあると考えられます。私はAIのリスクに対応するために、何らかの規制の必要性をこの論文で示したつもりです。ただ、私はエコノミストですので、雇用も含めた経済的なリスクしか考慮に入れていません。論文の最後でも示しましたが、実は、AIの最大のリスクのひとつは軍事利用です。それは今後の研究課題として残っています。

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2026年7月19日 (日)

佐藤輝がハーンにやり返して広島に逆転勝ち

  RHE
阪  神000100120 471
広  島020000000 260

【神】 村上、工藤、岩崎、ドリス - 坂本
【広】 森、遠藤、ハーン、鈴木、辻 - 持丸

佐藤輝選手のツーベースで、広島に逆転勝ちでした。
先発村上投手は2回に広島の外国人選手にソロ2発を浴びて失点したものの、6回2失点の安定したクオリティ・スタートでした。問題は打線です。昨夜は3番森下外野手と4番佐藤輝選手が抑え込まれました。特に、佐藤輝選手はハーン投手にビーンボールを投げられてマウンドに詰め寄ろうかというシーンがありました。今夜は見事にやり返して逆転のツーベースでした。このあたりのBクラスチームにそうそう取りこぼしは出来ません。

甲子園に戻って横浜戦は、
がんばれタイガース!

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高校野球大阪大会4回戦で大阪立命館が大阪桐蔭を破る大金星

高校野球の大阪大会で、大阪立命館が大阪桐蔭を破る大金星を上げました。ご案内の通り、大阪桐蔭は今春の選抜高校野球で優勝しましたが、春夏連覇の夢は潰えました。延長タイブレーク3-2の僅差の勝負だったようです。
私のゼミの今年3月の卒業生には野球部のピッチャーがいました。大阪立命館から経済学部に進学してくれませんかね。私は個人的に熱烈歓迎します。

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2026年7月18日 (土)

3番と4番が抑え込まれて広島に逆転負け

  RHE
阪  神000010000 180
広  島00001100x 271

【神】 伊藤将、木下、セベリーノ、モレッタ - 梅野
【広】 栗林、ハーン、森浦 - 持丸、石原

競った試合ながら、広島に逆転負けでした。
何といっても、リーグのホームランと打点を争う3番森下外野手と4番佐藤輝選手が抑え込まれては勝てません。先発伊藤将投手は6回に逆転ホームランを打たれはしましたが、6回途中まで2失点ですから、QSではないというものの十分な投球で先発投手の責任を果たしています。後を継いだ木下投手、セベリーノ投手、モレッタ投手も広島打線をゼロに抑えました。明日は猛虎打線の爆発を期待します。

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は小説をよく読んで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、塩野谷祐一『経済と倫理 増補新装版』(東京大学出版会)では、一橋大学名誉教授であり経済哲学の専門家である著者が、「福祉国家の哲学」を体現するため、効率・正義・自由・卓越といった価値理念を手がかりに、経済と倫理を統合し福祉国家の制度を再構築することを試みています。吉川洋『日本 - 没落か再生か』(新潮選書)では、バブル経済崩壊後から長らく続く「失われた何十年」かの日本経済を振り返って、「時代精神」あるいは「時代の精神」をキーワードに、格差の拡大、少子化や人口減少、企業のイノベーションの停滞など、日本経済の問題を解明しようと試みています。あをにまる『奈良千夜一夜』(角川書店)は、古典や都市伝説に典拠したパロディ短編集で、奈良への屈折した愛と、卑屈なユーモアが炸裂しています。タイトルの「千夜一夜」=アラビアンナイトとはほとんど関係ないのですが、素晴らしい出来です。奈良について詳しくなくても十分楽しめます。床品美帆『431秒後の殺人』(東京創元社)は、横浜から京都に移り住んできたカメラマンの安見直行と代々法衣店を営む六角聡明の2人の主人公で、陰陽師の血筋の六角聡明が失せ物探しなどの辻占いの力でオカルト的な味付けのされた殺人事件を解決するミステリ短編集です。実は、新刊書ではないのですが、シリーズ第2作に先立って読んでいます。床品美帆『降り止まぬ雨の殺人』(東京創元社)は、京都辻占探偵六角のシリーズ第2作であり、安見直行と六角聡明の2人が森沢レミという女性から、7年前に19歳で自動車事故で亡くなった妹の森沢聖奈の遺品である青い日傘の本当の持ち主を探す依頼を受けますが、連続殺人事件に発展します。凪良ゆうほか『本屋さんのある街で』(文春文庫)は、タイトル通り本屋さんにまつわる短編5話、すなわち、瀬尾まいこ「続きは書店で」、一穂ミチ「歌うように生きて」、坂木司「手に取って見てみろよ」、凪良ゆう「小鳥たち」、三浦しをん「見晴らし書店の一日」が収録されています。
今年2026年の新刊書読書は、1~6月の半年で151冊、7月に入ってから先週までの13冊と今週の6冊を加えて合計169冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、塩野谷祐一『経済と倫理 増補新装版』(東京大学出版会)を読みました。著者は、一橋大学名誉教授であり、ご専門は経済哲学です。すでに、2015年に亡くなっています。本書は、副題としている「福祉国家の哲学」を体現するため、効率・正義・自由・卓越といった価値理念を手がかりに、経済と倫理を統合し福祉国家の制度を再構築することを試みています。その際、福祉国家とは資本主義・民主主義・社会保障の3層の公共的制度であって、経済・政治・社会の全領域における理念と制度の整合化を図ることが現代の社会科学者の実践的な課題である、としています。こういった考察を通じて人間の卓越と良き生の条件を探り、経済は何のためにあるのかという根源的な問いを投げかけています。そして、自由、真の自由とは、市場における自由と社会的な正義と政治的な平等を基礎として成り立つと強調しています。さらに、豊かさと公正さを達成した社会は、さらに、卓越した社会を目指すとし、私自身はこの「卓越」について理解が進まなかったのですが、読み進むうちに、中国的、というか、日本も含めた東洋的な「徳」の世界であると感じています。西洋的な用語でいえば「美徳」となるのかもしれません。ただ、まあ、正しいかどうかはそれほど自信がありません。私の感想としては、まず、経済学が科学であるからには価値判断から自由、価値判断をしない事実判断が重要、という点が緩やかに否定されている点が新鮮でした。私も授業で、特に経済学部以外の学部で講義する場合、例を出して説明すると、天文学で満月が好ましく新月は望ましくない、といった良し悪しの価値判断をしないように、経済学も価値判断からは距離を置く、と説明します。すなわち、世間一般の理解のように、高所得が望ましくて低所得は望ましくない、とは考えずに事実として客観的な分析に努める、という意味です。ただ、経済学でも効率性を欠いた非効率は望ましくないと考えるわけですし、それだからこそ市場における資源配分を尊重するわけですので、本当に価値判断が排除されているかは疑わしいと私は考えています。ですので、経済学というのは、いくぶんなりとも、ほかの学問・社会科学と同じで、格差の上の方の人々に奉仕する学問である点は否定できず、経済的に成功した人々、経済的成功を基盤に政治や社会で権力や権勢を持った人々に対して、そういった成功を後付けで合理化するという面があります。ですので、それとは真逆に社会保障で成功しなかった人々に対する支援をしたり、経済社会的に許容しかねる格差を是正したりするための学問的あるいは理論的な基盤を提供しようとするわけです。経済社会は何もせずに放っておくと、弱肉強食の世界になって権力者は法や社会的な秩序を無視して、やりたい放題に振る舞うことになりかねません。望ましいか望ましくないかの価値判断が権力者に委任されることになるわけです。そうならないために、こういった学問的な裏付けが必要になります。本書は確かに難解ではありますが、決して理解が遠く及ばない内容ではありません。多くの方にオススメです。

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次に、吉川洋『日本 - 没落か再生か』(新潮選書)を読みました。著者は、東京大学名誉教授であり、政府の経済財政諮問会議の民間人委員や立正大学学長なども歴任しています。まずは、マクロ経済学の大御所ということが出来ます。そのマクロエコノミストが、1990年のバブル経済崩壊後から長らく続く「失われた何十年」の日本経済を振り返って、「時代精神」あるいは「時代の精神」をキーワードに、格差の拡大、少子化や人口減少、企業のイノベーションの停滞などなど、日本経済の問題を解明しようと試みています。とはいいつつ、実は日本経済の停滞に先立って、1980年代から停滞を深めた米国経済について考えています。その原因はズバリ企業活動が営利主義に走ったことであり、フリードマン教授らの新自由主義的な経済観に対する批判を展開しています。その新自由主義的で利益優先的な経営に陥った企業観が米国から10年ほど遅れて日本でも現れた、と見なしています。そのため、家計においては非正規雇用の増加により格差が拡大し、消費が停滞する中で、企業だけが貯蓄超過に陥っています。何度か私のマクロ経済観を明らかにしているように、マクロ経済の景気拡大のためには貯蓄超過のセクターを活性化する必要があります。露骨にいえば、貯蓄超過主体にカネを使ってもらう必要があるわけです。日本では、家計もさることながら企業が貯蓄超過であり、家計の中では勤労世代に比べて引退世代が貯蓄超過になっています。ですから、本書ではそういった表現はしていませんが、日本の経済停滞の大きな要因のひとつは企業部門にあり、ケインズ的なアニマルスピリットが失われて、シュンペーター的な創造的破壊のイノベーションが出来ていない、という点を上げています。真逆の方向で、企業は雇用者の給与削減に走って非正規雇用を増加させることにより利益を上げようとしているわけです。そうすると、ますますアニマルスピリットが失われ、イノベーションが滞ることになります。ただ、私が本書の結論に意義を申し立てたい点が2点あります。まず第1に、本書はそういったアニマルスピリットやイノベーションといった企業部門の問題解決を「時代精神」として個々人の心に求めています。ある意味で数的な合理性に基づくアポロ的な損得勘定ではなく、ディオニュソス的な衝動や情念に基づく企業活動に解決策を求めているように私は読みました。ただ、個々人の心に解決策を求めるのは、私は間違っている可能性が高いと受止めています。いつもの表現をすれば、交通安全を願って譲り合う心だけでは交通事故は減りません。信号や横断歩道や速度規制という制度や規制が必要です。続いて第2に、家計部門内での移転も必要となる可能性があります。家計部門内では、繰返しになりますが、貯蓄超過なのは引退世代です。私が長らく主張しているように、現在の引退世代は世界でも稀に見る高度成長期という時代を享受してきた世代です。その引退後の生活をバブル崩壊後の低成長しか実感できていない若者に負担を求めるのは、大いに疑問が残ります。米国では、リーマン・ショックまでのサブプライムバブル期に大きく業績を拡大した銀行をバブル崩壊後に救済するのに反対意見が数多く出ています。日本の家計部門内でも同じことを主張する意見があっても私は不思議に思いません。

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次に、あをにまる『奈良千夜一夜』(角川書店)を読みました。著者は、小説家なのですが、Xアカウント「卑屈な奈良県民bot」を展開しています。前作『今昔奈良物語集』も本作品と同じように古典や都市伝説に典拠したパロディ短編集で、奈良への屈折した愛と、卑屈なユーモアが炸裂しています。もちろん、私は読んでいます。実は、私は大学を卒業して就職するまで、一貫して京都府民でしたが、中学・高校と奈良市内の私立男子単学の進学校に6年間通っていました。当時は大仏殿の近くにありましたが、今では移転しています。ですので、長らく公務員生活を送ってきた東京とともに、また、生まれ育った京都とともに、中高6年間学んだ奈良には詳しいと自負しています。収録されている短編は5話あります。順に、まず、「金の小野」はイソップ童話の「金の斧」のパロディです。別れ話で口論となり、女子大生の木原霧江は付き合っている小野鉄明を奈良公園近くの猿沢池に突き落としてしまいます。すると池から奈良時代の采女装束の女が現れ、「あなたが先ほど落とした彼氏は、――」と聞いてくるわけです。続いて、「私メリーさん、今から奈良県十津川村へ行くの」は都市伝説の「今、あなたの後ろにいるの...」のパロディです。グラフィックデザイナーをしている主人公は、フリーランスへの転身を機に奈良県十津川村へと移住し、東京のワンルーム暮らしとは別世界で、のんびりとした生活を楽しみ始めています。その矢先、スマホに非通知の着信があり、「私メリーさん。いま、東京駅にいるの」から始まり、徐々に近づいてきます。電話の主は一体誰なのか、謎が深まります。続いて、「シンデラレン」では、冴えないホテルマンの新出礼助は、冷え切った夫婦仲の妻と父親を小馬鹿にして無視しがちな高校生の娘と暮らしています。散歩していた東大寺大仏殿の東側に「猫段」と呼ばれる石段があって、ここで転んだ人間は猫になってしまうという伝説があり、実際に、新出礼助は転んで猫になってしまいます。続いて、「逆杜子春」では、主人公の御子柴俊春は筋金入りのミニマリストでシンプルな生活を望んでいるのですが、親から経営を受け継いだ工務店が彼の経営手腕により中堅ゼネコンまで企業規模を拡大してしまい、ミニマリストの生活を実践できません。社長という立場が彼の理想を妨げるわけです。ある日、藤原宮跡で出会った僧侶のような老人が、理想の暮らしを叶える方法を教え、「今日の午後3時ちょうどに、お前はきっと、お天道様の下に立っとるはずや。そのとき、自分の影の頭に当たる場所を、思いっきり掘れ」と告げます。そうすると、一度は社長を引退する出来事に相成りますが、結局、社長に返り咲くことになってしまいます。最後に、タイトルの「千夜一夜」=アラビアンナイトとはほとんど関係ないような古典や都市伝説に準拠していますが、とても、素晴らしい出来のパロディです。奈良について詳しくなくても、猿沢の池や東大寺大仏殿くらいは見聞きしている人は少なくないと思います。その意味でも、とってもオススメです。

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次に、床品美帆『431秒後の殺人』(東京創元社)を読みました。著者は、同志社大学ご卒業のミステリ作家であり、本書が単著デビューということになります。同志社大学ですので有栖川有栖の後輩ということなのかもしれません。本書は、京都辻占探偵六角のシリーズであり、すでに、続編の『降り止まぬ雨の殺人』も出版されています。主人公は2人いて、横浜から京都に移り住んできたカメラマンの安見直行と代々法衣店を営む六角聡明です。2人とも20代半ばです。六角法衣店はたかだか200年の歴史らしいのですが、六角家の祖先は平安時代には宮中の陰陽寮に参内した陰陽師に行き着くともいわれていて、六角聡明は法衣店を営むほかに、失せ物探しなどの辻占いもしています。当然、ホームズとなる探偵役は六角聡明が担います。ですので、すべてではありませんが、短編によってはややオカルト的な味付けのあるミステリも含まれています。本書は5話の短編から編まれています。短編ですが、すべて殺人事件が起こります。まず、表題作の「431秒後の殺人」では、安見直行のカメラの師ともいうべき松原京介が、雨の夜に歩いていた烏丸六角交差点でビルの屋上から落下してきた約12キロのコンクリートブロックに直撃されて死亡します。離婚話が進んでいた松原京介の妻は、死亡時刻にはタクシーに乗っていたというアリバイが成立しています。まだこの時点では京都旅行中だった安見直行が六角法衣店を訪れて、六角聡明に真相解明を依頼します。続いて、「睨み目の穴蔵の殺人」では、すでに安見直行は京都に移り住んでいて、高瀬川沿いのカプセルホテルの広告向けの写真を請け負います。そのホテルでは、襖の武将の目が動く、とか、絵の中からその武将に睨まれた、などのウワサがあります。大学のオカルト研究会のOB/OGの20代半ばの仲間が集まって、このオカルト的な襖絵を見るために一泊しますが、翌朝、1人の男性が死体で発見されます。続いて、「眠れる映画館の殺人」では、主人公2人が映画を見に行ったミニシアターで、その映画の脚本と監督をした浜荻葦人がいっしょに映画を鑑賞していたところ、映画の開始時点では何の問題もなかったのですが、映画が終了したときには浜荻監督が殺害されていました。続いて、「照明されない白刃の殺人」では、呪われた骨壺が出てきて、いくつかの不可解な事故や幽霊が現れる中、京都芸術センターでのイベント中に、目出し帽をかぶった怪しい人物がイベント進行役のDJを包丁で刺して逃走し安見直行らが追うものの、曲がり角の先で忽然と消えてしまいます。最後の「立ち消える死者の殺人」では、六角聡明の過去が部分的なリとも明らかになります。すなわち、六角聡明が中学入学を控えた12歳のころに、母親の頼子が入院中します。その入院中に、母親と同部屋の別の患者が死んで、六角頼子自身は失踪してしまいます。同じ病院に14年後の盲腸で入院した六角聡明自身が謎を解きます。最後に、ミステリとしてはそれほどオススメしません。イヤミスという以上に、どうにもやりきれない人物造形が多すぎますし、ミステリとしての謎解きもそれほど出来はよくありません。特に、第3話の「眠れる映画館の殺人」なんて、頭の回転の鈍い私ですらツッコミどころ満載です。でも、京都に関する教養めいた蘊蓄が豊富です。その点はオススメです。京都本として読むにはいいかもしれません。

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次に、床品美帆『降り止まぬ雨の殺人』(東京創元社)を読みました。著者は、同志社大学ご卒業のミステリ作家であり、本書が初長編ということになります。京都辻占探偵六角のシリーズ第2作です。主人公は2人いて、横浜から京都に移り住んできたカメラマンの安見直行と代々法衣店を営む六角聡明です。2人とも20代半ばです。六角家の祖先は平安時代には宮中の陰陽寮に参内した陰陽師に行き着くともいわれていて、六角聡明は法衣店を営むほかに、失せ物探しなどの辻占いもしています。当然、ホームズの探偵役は六角聡明が担います。ですので、ややオカルト的な味付けのあるミステリです。ストーリーは、11月の雨の日に森沢レミという20代半ば後半で、主人公2人と同じ年代の女性が六角法衣店を訪れて、7年前に19歳で自動車事故で亡くなった妹の森沢聖奈の遺品である青い日傘の本当の持ち主を探す依頼を受けるところから始まります。まあ、何と申しましょうかで、六角聡明の本来の失せ物探しの逆を行くわけです。森沢レミは、妹の聖奈の交通事故死に不審を持ち、警察に再捜査を何度もしつこく申し入れた挙句に、六角聡明の知合いの森郷刑事から紹介されてやって来ています。主人公の2人である安見直行と六角聡明が調査を開始すると、関係すると考えられていた不動産会社の御曹司が京都府北部の漁港で水死体となって発見されます。さらに、森沢聖奈が交通事故を起こした寄田地区の自動車解体業社長が密室殺人で殺されて発見されます。そして、そういった死体発見現場には、安見直行と六角聡明や依頼主の森沢レミが「ゴースト」と呼ぶ白いワンピースを着た女性が目撃されたりします。さらに、同時進行でネット上のジャーナリストを称する「ゴミの仇」と名乗るアカウントから、関連する情報が発信されたりします。さらにさらにで、古びたアパートから女性の腐乱死体も発見されます。こういった一連の殺人事件ないし死亡事故の真相が最後に解明されます。はい、この長編はかなりエグい犯人の意図が感じられますが、とても大規模な事件・事故に対して論理的な推理がなされます。オカルト要素についてもキチンと解決されます。万人にオススメとはいえませんが、京都を舞台にしたミステリとして一定のファンはいそうな気がします。

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次に、凪良ゆうほか『本屋さんのある街で』(文春文庫)を読みました。著者の小説家5人によるアンソロジーです。タイトル通りに、本屋さんにまつわる短編5話が収録されています。収録順に、まず、瀬尾まいこ「続きは書店で」の主人公は『強運の持ち主』のルイーズ吉田です。ルイーズのもとに書店でのアルバイトが自分に向いているかどうかの占いを願って、大学1年生の菅原くんが来ます。でも、そのバイト先というのが、ルイーズと同じショッピングセンターの上階にあり、閉店間際の本屋さんだったりします。続いて、一穂ミチ「歌うように生きて」では、主人公の鈴森潤が大学生だったころの2016年に飲み会で劉陸海と出会い、「桜を見に行きませんか」と誘われて皇居の乾通りの一般公開に出かけるところから始まります。2017年には主人公は就職し、作家を担当する編集者となっていますが、2019年には劉陸海はスパイとして逮捕されてしまいます。少し本屋さんとは関係薄いかも、です。続いて、坂木司「手に取って見てみろよ」では、主人公の浅井宏海が職場恋愛で結婚まで考えた恋人に書店の前でふられて、ショックの勢いで会社も辞職して、大学時代の友人の高木とともに高木のルーツのある岡山に向かい、書店の雇われ店長になります。凪良ゆう「小鳥たち」では、40代半ばで子どもが出来ずに離婚した佐々木一葉は都心から電車で1時間半ほどの実家に戻ります。実家は父が経営する書店であり、改装して喫茶部門を併設すると中学生のころの憧れの同級生が訪ねてきたりします。三浦しをん「見晴らし書店の一日」では、主人公の前田花布は会社の同僚のチャラ男と失恋し、曽祖父が東京西部の郊外で始めた「見晴らし書店」に戻り、祖母と両親とともに書店で働いています。頼りになるパートさんと学生バイトに支えられて、個性ゆたかな常連客も多く、家族の間の温かいやり取りや常連をはじめとする地域での交流などが描き出されています。最後に、私は本屋さんが好きです。ひょっとしたら、図書館はもっと好きかもしれませんが、ネット書店ではなく、地域のリアルな書店が好きです。いつも、私は学生諸君にいっているところでは、「ネット書店では必ず欲しい本が見つかる。でも、リアルの書店(あるいは、図書館)では、実際に見るまで欲しいとは思わなかったけど、気にかかる本がいっぱい置いてある」、はい、実は、私が今の立命館大学に赴任した2020年には、大学から最寄りの鉄道駅には書店がありませんでした。ようやく、2-3年前に最寄りのJRの鉄道駅近くに開店しましたが、キャンパスにある生協の書店だけでなく、大学近くには本屋さんが必要です。ホントは、古本屋もあった方がいいのですが、ムリはいいません。

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2026年7月17日 (金)

広島相手に取りこぼしなし

  RHE
阪  神000120100 470
広  島000000020 251

【神】 才木、岩崎 - 梅野
【広】 アドゥワ、益田、島内、菊地、鈴木 - 石伊

才木投手のナイスピッチングで、広島に完勝でした。
打っては、梅野捕手が犠牲フライとタイムリーで先制とダメ押しの2打点を上げ、森下外野手もツーランで中押ししました。才木投手は8回に2ランを浴びましたが、8回2失点ですから十分なQSです。最終回は久しぶりに岩崎投手が締めてくれました。広島相手に取りこぼしは出来ません。したがって、広島相手なら怖いのはデッドボールです。今夜も大山選手と前川選手に合わせて3回ぶつけられています。昨年は、坂本捕手の頭部死球で藤川監督がエキサイトした場面もありました。ケガなく甲子園に戻ってこられますように願っています。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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祇園祭の山鉾巡行を見に行く

今日は、朝から出かけて祇園祭の山鉾巡行を見に行きました。いつもの大学院留学生を引き連れています。午後からは、公務員だったころの同僚と昔話に花を咲かせたいと思います。後刻に、写真をアップしました。

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2026年7月16日 (木)

ホームランの威力を見せつけて中日に逆転勝ち

  RHE
阪  神000000210 340
中  日001000000 141

【神】 伊原、木下、工藤、岩崎、ドリス - 伏見
【中】 柳、牧野、伊藤 - 石伊

佐藤輝選手のツーランで、中日に逆転勝ちでした。
何と、中日先発の柳投手に6回までノーヒットに抑えられていたにも拘わらず、ラッキーセブンに、しかもツーアウトから森下選手がデッドボールで出塁した後の初球を佐藤輝選手が右中間に逆転ツーランでした。8回には移籍後初ホームランの濱田選手のソロで追加点を奪い、そのまま押し切りました。阪神先発の伊原投手は5回1失点の好投を見せ、リリーフして6回ウラを投げた木下投手にプロ初勝利の勝ち星が転がり込んできました。終盤3イニングは、石黒投手、岩崎投手、ドリス投手とつないでゼロで抑えました。抑えましたが、そろそろ疲労が溜まってきている印象でした。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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OECD Tourism Trends and Policies 2026

やや旧聞に属するトピックながら、7月1日、経済開発協力機構(OECD)から OECD Tourism Trends and Policies 2026 と題するリポートが公表されています。2年おきに発表されるリポートです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。日本ベースで考えれば、2023年5月にコロナ(COVID-19)に関して感染法上の分類変更があり、その後のデータが利用可能となったリポートといえます。まず、OECDのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
The 2026 edition of OECD Tourism Trends and Policies analyses tourism performance and policy developments across 53 OECD and partner countries. It explores how governments are adapting policy action to strengthen resilience and deliver more balanced economic, social, and environmental outcomes in an uncertain and changing landscape. The report emphasises the need for flexible, co-ordinated policy approaches to put tourism on a more sustainable, resilient and competitive path, and presents data and evidence on the scale, structure and significance of the tourism economy. Tourism policy priorities and reforms are analysed, and examples of country practices highlighted. Thematic chapters provide insights on enhancing the social benefits of tourism and strengthening the sector's capacity to adapt to extreme weather-related events.

政策はさておき、簡単に観光の経済へのインパクトについてグラフを引用して見ておきたいと思います。まず、誤解のないように、あくまでも観光であって、国内と国際の両方を含んでいます。ですので、インバウンド観光だけを分析しているわけではありません。念のため。

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上のグラフはリポートから、Figure 1.1. Contribution of tourism to GDP in OECD countries と Figure 1.2. Contribution of tourism to employment in OECD countries の2つのグラフを結合させて1枚に取りまとめています。上のパネルはGDPに占める観光産業のシェアです。日本はOECD平均の4%を大きく下回って、わずかに2%しかありません。下のパネルは観光産業の雇用者が占めるシェアです。ここでは日本はOECD平均を上回っており、全雇用者の中で9%ほどが観光産業に携わっていることが示されています。ほかの国も、どこともに、大雑把に観光産業のGDPが高いと雇用者のシェアも高い、という順相関が見られますが、日本ほど極端にGDPに比べて雇用者のシェアが高いくのはそれほどありません。逆の例では、トルコでは観光産業のGDPシェアはOECD平均を超えて5%あまりを占めているのに対して、雇用者の方は4%に満たない結果となっています。
要するに、日本における観光産業はかなり労働集約的であり、雇用吸収力は大きとはいえ、逆から見ると生産性が低い、ということになります。私自身はエコノミストとして、観光に関してはニュートラルであり、特に、推進すべきとも抑制すべきとも考えていません。私の見方を離れても、観光に関しては地域によって観光リソースの分布が大きく偏っていることが軽く想像されます。ですので、一概には何ともいえませんが、日本の生産性の低さを考えれば、高付加価値分野へのシフトはそれなりに重要であり、インバウンドをはじめとして、どこまで観光産業の推進や育成が図られるべきか、少し立ち止まって考える必要があるような気がします。

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2026年7月15日 (水)

終盤に攻めきれず中日に逆転負け

  RHE
阪  神101000030 5100
中  日01030110x 6100

【神】 今朝丸、津田、石黒、セベリーノ - 梅野、坂本
【中】 中西、橋本、吉田、アブレウ、齋藤、松山 - 石伊

6番以下の下位打線が弱点となり、中日に逆転負けでした。
先発今朝丸投手は4回4失点、大雑把に私の予想通りでした。しかし、リリーフの津田投手と石黒投手がポロポロと失点します。打線は序盤に得点したものの後が続きませんでした。終盤8回と9回に猛攻を見せましたが、前川選手が満塁のチャンスに2イニング続けて凡退し、中日に逃げ切りを許してしまいました。6番以下はノーヒットでした。明日は6番レフトで高寺選手ですかね?

明日はカード勝越し目指して、
がんばれタイガース!

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大型案件の反動で大きく減少した5月の機械受注

本日、内閣府から5月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲12.4%減の9620億円と、2か月ぶりの減少を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

5月の機械受注12.4%減、2カ月ぶりマイナス 判断「持ち直し」維持
内閣府が15日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶と電力除く季節調整済み)は前月比で12.4%減の9620億円だった。2カ月ぶりに減少した。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は4.1%減だった。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。4月が8.7%プラスだったことを踏まえた。月ごとのぶれをならした3カ月移動平均は4.8%減だった。
製造業は4372億円と前月から14.9%減った。マイナスは2カ月ぶり。製造17業種のうち9業種がマイナスだった。造船業は4月が160.7%増だった反動で80.5%減り、全体を押し下げた。電気機械は12.0%減だった。
非製造業は9.3%減の5169億円で2カ月ぶりに減少した。運輸業・郵便業の23.3%減が響いた。4月に大型案件があった鉄道車両の受注が落ち込んだ。
農林漁業は24.2%減った。農林用機械の需要が一服したとみられる。政府が「令和のコメ騒動」を受けてコメ増産方針を一時掲げたことで受注が増えていた。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは次の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事の2パラ目で「QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は4.1%減だった。」とありますが、私が調べた範囲で、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比▲4.2%減が見込まれていました。予想レンジ下限は▲6.7%減でした。また、ロイターの記事では「ロイターの事前予測調査では前月比4.2%減と予想されており、結果はこれを下回った。」とあります。いずれにせよ、実績の▲12.4%減は、市場の事前コンセンサスを大きく下回り、ちょっとしたサプライズと私は受け止めています。ただし、報道を見ても、先月4月統計にあった「大型案件」への反動との言及がなされており、関西の片田舎に住む私には詳細不明ながら、そもそも先月4月統計の大幅増がサステイナブルな増加ではなかった可能性があります。加えて、上のグラフでも読み取れるように、移動平均で見たトレンドではまだ増加を示しています。いずれにせよ、統計作成官庁である内閣府のプレスリリースでも、基調判断について「5月の減少は先月8.7%増加した後の単月の動きであることを踏まえ、基調判断は『持ち直しの動きがみられる』に据置きとした。」と明記しています。もう少し時間が経ってからの判断変更でもいい、と私も考えています。なお、業種別に前月比で見て、引用した記事の後半でミョーに詳しく報じていますが、製造業が前月比▲14.9%減、船舶・電力を除く非製造業も▲9.3%減でした。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があります。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが軽く予想されますし、DXやGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまう可能性が否定できません。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心で、何度か政策金利が引き上げられて今では1.0%に達し、12月にも追加利上げが予想されていますし、市場における積極財政の評価もあって、長期金利はかなり高い水準にまで上昇しています。為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。

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2026年7月14日 (火)

佐藤輝選手の2本のホームランを高橋投手が守って中日に勝利

  RHE
阪  神200000030 5100
中  日000100010 270

【神】 高橋、ドリス - 伏見
【中】 マラー、アブレウ、伊藤、齋藤 - 加藤、石伊

初回に森下選手と佐藤輝選手の連続ホームランで先制し、8回には佐藤輝選手がスリーランでダメを押し、中日に勝利でした。
先発高橋投手は8回を2失点に抑え、最終回はドリス投手がフォアボールを出しながら締めました。巨人とヤクルトが神宮で星のつぶしあいをしている間に首位固めと行きたいところです。

明日も今朝丸投手を押し立てて、
がんばれタイガース!

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政府開発援助が減り続ける予想の ODA projections for 2026 and the near-term

とても旧聞に属するトピックながら、6月19日に国際開発協力機構(OECD)から "ODA projections for 2026 and the near-term" と題する Policy Brief が公表されています。もちろん、pdf形式のリポートもアップロードされています。まず、OECDのサイトからKey messagesのポイントを6点引用すると次の世折です。

Key messages
  • Net official development assistance is projected to fall again by 6.9% in 2026.
  • Aid cuts are broad-based but uneven.
  • The poorest countries are hit hardest.
  • Health bears the deepest sectoral cuts, dropping below pre-pandemic levels.
  • Multilateral ODA has broken from a long-standing upward trend.
  • In light of these projected trends, development co-operation providers must:
    • Target scarce ODA grants to the poorest countries.
    • Plan exits from partner countries responsibly and co-ordinate them.
    • Make remaining resources, and wider policies, work harder for development

まず、2026年のネットで見て政府開発援助(ODA)は▲6.9%減少すると予測されていおり、3年連続の減少となります。ODA総額は2014年以来の低水準に落ち込む見通しとなっています。OECDのサイトから Figure 1. ODA projected to drop again in 2026 を引用すると次の通りです。

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このODAの減少は、OECDでは "Most reductions come from a small number of the largest providers. Some EU countries are more stable, but not enough to offset global declines." と指摘していて、名指しこそしていませんが、国際開発庁(USAID)を廃止した米国のODAの減少に起因することを示唆しています。こういったODAの削減で、もっとも大きな影響を受けるのは、Key messagesの3番目に上げられているように、"The poorest countries are hit hardest." ということになります。サブサハラ諸国が念頭に置かれていると私は受け止めています。

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続いて、OECDのサイトから Figure 6. Health, humanitarian aid, and governance face the steepest declines を引用すると上の通りです。グラフタイトルによれば、ODAの減少は国別には最貧国への影響が大きく、部門別には "Health, humanitarian aid, and governance" ということになります。

何度か言及しましたが、ノーベル経済学賞を受賞したクズネッツ教授は、世界に4種類の国があると発言しています。すなわち、"There are four kinds of nations: developed countries, underdeveloped countries, Japan, and Argentina." というわけです。先進国は発展途上国をODAほかにより支援する義務がある、と私は考えています。

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2026年7月13日 (月)

帝国データバンク「カレーライス物価指数」2026年6月

先週金曜日の7月10日、帝国データバンクから2026年6月の「カレーライス物価指数」が明らかにされています。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを引用すると次の通りです。

SUMMARY
カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や水道光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価(平均、2026年基準改定)」は、2026年5月平均で1食あたり361円となった。前年(2025年5月:349円)からは+12円・3.4%の上昇となった。前年からの値上げ幅が10円台での推移となるのは、「令和のコメ騒動」が本格化する前の2024年6月以来、約2年ぶりとなる。

つづいて、帝国データバンクのサイトから
「カレーライス物価」推移 のグラフを引用する次の通りです。

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繰返しになりますが、帝国データバンクによると、カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や水道光熱費などの価格を算出すると、2026年5月平均で1食あたり361円となっています。前年2025年5月の349円からは+12円、3.4%の上昇です。前年からの値上げ幅が10円台まで縮小したのは、「令和のコメ騒動」が本格化する前の2024年6月以来、約2年ぶりと指摘しています。
帝国データバンクによる分析では、この価格動向については、2025年に発生したコメの急激な価格高騰が収束し、前年を大幅に下回る水準が続いていることが、カレーライス物価をはじめ食卓の大きなコスト低下要因と指摘しています。米穀安定供給確保支援機構が7月6日発表した6月調査分の「米取引関係者の判断に関する調査結果」の価格見通し判断DIでは、在庫の積み上がりによる余剰感が見られることから、帝国データバンクでは、先安観が一段と強まったと分析しています。同時に、カレーライスの主要具材となるタマネギや、輸入牛肉・鶏肉などは依然として高値安定が続くものの、大部分を占めるコメ価格の下落が著しく、カレーライス物価は急激に低下しており、今後も、暑さによる生育遅れなどから豚肉などの価格上昇が見込まれ、夏場にかけて肉・野菜類ともに大幅な値上がり局面に直面する可能性はあるものの、コメ安が各種具材のコスト増を打ち消す形で、これまでの上昇予想から一転してカレーライス価格は当面下落が続く、と帝国データバンクでは見ています。

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2026年7月12日 (日)

4番佐藤輝選手、5番大山選手のホームランで工藤投手が初勝利

  RHE
ヤクルト000000000 0100
阪  神00000030x 350

【ヤ】 吉村、廣澤 - 古賀
【神】 村上、工藤、岩崎、ドリス - 坂本

ラッキーセブンに4番佐藤輝選手の先制ツーラン、5番大山選手のソロが飛び出し、ヤクルト戦に完封勝利、しかも、工藤投手は初勝利でした。
先発村上投手は7安打を許しながらも6回を無失点に抑え、リリーフに後を託します。7回は工藤投手が三者凡退に抑え、8回と9回も岩崎投手とドリス投手のベテラン勢がヤクルト打線を抑えました。打つ方は、7回ラッキーセブンに佐藤輝選手と大山選手の連続ホームランによる得点だけで、実は、5安打に抑え込まれていましたが、改めてホームランの破壊力を思い知りました。巨人・ヤクルト6連戦で、ともにカード2勝1敗の首位固めでした。

明日も、
がんばれタイガース!

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大学生はどれくらい生成AIを利用しているのか?

ものすごく旧聞に属するトピックながら、5月に東京工科大学から「新入生のコミュニケーションツール利用調査」の結果が明らかにされています。基本は、SNSなどの利用なのですが、生成AIについても回答が寄せられており、90%を超える大学新入生が普段から生成AIを利用していると回答しています。東京工科大学のサイトから 普段利用している生成AI のグラフを引用すると次の通りです。

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ChatGPTが80%を超え、GoogleのGeminiも40%近くとなっていて、X(旧Twitter)に搭載されているGrokなどが続いてます。工科大学の新入生ですから、私が教えているような経済学部生との比較は難しいながら、大学生の多くは生成AIを普段から利用していることは確かなようです。
私が大学で教えている授業の評価にはリポートの提出を求めることが多いのですが、私自身の方針としてAIの利用は自由にしています。私の直感ながら、おそらく、立命館大学の学生が書いたリポートよりも、生成AIに書かせたリポートの方が出来が良さそうな気がします。ですから、私の授業を取っている学生諸君には、AIの使用は自由としつつ、AIを使えばリポートの評価が高くなる可能性が高い一方で、後々、AIに頼ってしまうと思考能力や認知能力の伸びが限定され、AIを使えないケースで望ましくない結果をもたらす可能性が高い、したがって、受講生自身の自己責任でAIを使うかどうかを考えるべし、と言い渡してあります。まあ、リポート作成にはほぼほぼすべての学生がAIを使うんでしょうね。それはそうだと思います。

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2026年7月11日 (土)

復帰の近本がサヨナラ勝ちのホームイン

  RHE
ヤクルト000000001 161
阪  神010000001x 251

【ヤ】 松本健、丸山翔、リランソ - 中村悠、古賀
【神】 伊藤将、工藤、ドリス - 梅野

9回に追いつかれてイヤな雰囲気でしたが、森下選手のヒットで復帰第1戦の近本選手がホームインして、ヤクルトにサヨナラ勝ちでした。
先発伊藤将投手は7回3安打無失点と、完璧なピッチングでした。8回は工藤投手がゼロに抑えました。打線は相変わらず快音なしなのですが、久しぶりに佐藤輝選手がソロホームランをかっ飛ばして先制し、9回最終回には森下選手が勝負強いところを見せました。まずは、近本選手の復帰がめでたい限りです。

明日も、
がんばれタイガース!

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今週の読書は理論モデルを扱った経済書のほか計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、新井潤[編著]『現代経済学の展開』(日本経済評論社)は、龍谷大学社会科学研究所の研究プロジェクトの成果の一部を取りまとめており、実数上で定義されたロジスティック方程式から拡張させ、複素平面で展開される複素ロジスティック方程式に基づく理論モデル分析や実証分析を収録しています。東野圭吾『マスカレード・ライフ』(集英社)は、シリーズ第5作であり、警視庁を辞職しホテル・コルテシア東京に転職して保安課長を務める新田浩介を主人公に、「日本推理小説新人賞」の審査会と受賞式場に現れると予想されている殺人・死体遺棄事件の有力容疑者をめぐってストーリーが展開されます。辻村深雪『ファイア・ドーム』上下(小学館)では、北陸の架空のL県を舞台に小学生児童の行方不明事件が起こり、25年前の百貨店受付嬢誘拐殺人事件や同じころの小学生児童の交通事故死事件、さらに、現在のサッカークラブにおける児童虐待、などをめぐって、真相解明とともにウワサの恐ろしさが詰め込まれています。朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班『崖っぷちの私立大学』(朝日新書)では、朝日新聞取材班による取材に基づいて、文部科学省中教審による「知の総和」答申が示す定員充足率だけを指標とする私立大学の統廃合や定員削減を批判し、若者の定着や経済的な側面も含めた視点を提供しています。藤本隆宏『日本のものづくり哲学』(日経文庫)では、生産とは設計の転写であると主張していて、設計における基本設計から構造設計に至るプロセスがアーキテクチャであり、パーツごとに練り上げるモジュラー型では米国や中国が強みを持つ一方で、日本は総合的に擦り合わせるインテグラル型と指摘しています。ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』(新潮文庫)では、主人公は2人いて、政治家の資金調達係ヘイルとジャーナリストのシトロンです。シトロンはアフリカの独裁国家で投獄されていましたが、釈放されて米国に戻り、ヘールに雇われて、中米での麻薬取引スキャンダル情報を入手しようとします。
今年2026年の新刊書読書は、1~6月の半年で151冊、7月に入ってから先週の6冊と今週の7冊を加えて合計163冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、新井潤[編著]『現代経済学の展開』(日本経済評論社)を読みました。編著者は、龍谷大学経済学部准教授であり、チャプターごとの著者にも龍谷大学の関係者が多く含まれています。というのも、本書は、龍谷大学社会科学研究所の研究プロジェクト「非線形力学系の新しい成果を応用した複雑な経済変動の解明と将来予想」の成果の一部を取りまとめたものだからです。私は頭の回転が鈍くて、いわゆる比較静学的な分析がもっぱらで、動学の展開は不得手なのですが、時にはこういった経済書も読んでいます。はい、完全な学術書であり、大学学部レベルの学生では読みこなすのが苦しそうな気がします。本書冒頭では数式がいっぱい展開されていますので、そもそも、私が接している学生諸君の中には、それだけでアレルギー症状を呈する人がいそうな気すらします。ということで、基本は、実数上で定義されたロジスティック方程式から拡張させ、複素平面で展開される複素ロジスティック方程式に基づく理論モデル分析、実証分析を6章集めています。第1章では、マルサスの人口問題を解こうとした微分方程式、さらに、フェルフルストのロジスティック方程式から始めて、その複素ロジスティック方程式を簡単に解説した後、コロナの感染拡大と終息についてモデル化しています。本書でも指摘しているように、年期の入ったSIRモデルが感染拡大と終息に活用されてきましたが、複素ロジスティック方程式の解の構造からコロナの感染者数の広がりを追おうと試みています。第2章が私がもっとも興味あった公債の持続可能性を取り上げています。人口一定という仮定が少し気にかかるものの、公債=資本ストック比率を一定とするターゲットと、現在の高市内閣が取っている公債残高のGDP比率をターゲットとするケースを比較しています。結論として、前者の公債=資本ストック比率をターゲットの方が、相対的に高い消費-資本比率が実現できることを示しています。第3章では、個人のエネルギーに関するリテラシーがZEH型の省エネ住宅の選考に与える影響について、選択実験のアンケートを基に、ランダムパラメーターロジットモデルと潜在クラスモデルによる実証的なコンジョイント分析を行っています。第4章では、中央政府と地方政府が複占理論を応用したシュッタケルベルグゲームにおいて、それぞれリーダーとフォロワーになる中央集権的リーダーシップゲーム、それとは逆の分権的リーダーシップゲームを考え、前者の場合に地域間人口配分と地方公共財供給が最適、すなわち、パレート最適な資源配分が達成されると結論しています。第5章では、レオンティエフ型2部門最適成長モデルを応用して、戦後日本の復興経路を分析し、最後の第6章では、環境意識の高い消費者やCSR活動に熱心な企業の存在が資源リサイクルに有効である一方で、持続可能性の観点からは十分ではない、という結論が導かれています。最後の方の2章の詳細は、読んでみてのお楽しみながら、このレベルの学術書を読みこなすにはかなりの能力が必要かもしれません。

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次に、東野圭吾『マスカレード・ライフ』(集英社)を読みました。著者は、人本でも有数の人気ミステリ作家です。このシリーズも本書で5作目となります。私はたぶんすべて読んでいます。本書でも主人公は新田浩介なのですが、前作までの警視庁の刑事ではなく、警視庁を辞職しホテル・コルテシア東京に転職して保安課長を務めています。もちろん、ホテル側の山岸尚美や総支配人の藤木なども登場します。本書冒頭では、いきなり高校生のころの新田浩介と父親の新田克久の関係からストーリーが始まり、しかも、現在はシアトルで法律事務所を構えている新田克久が、日本で弁護士として活動していたころに関わった刑事事件の関係で帰国し、ホテル・コルテシア東京に宿泊していたりします。ストーリーの本筋は、集英社ならぬ灸英社の「日本推理小説新人賞」の最終候補者の1人が、住所定まらぬ放浪のフリーターながら、最有力候補となっていて、しかも、殺人につながりかねない死体遺棄事件の重要参考人、警視庁ではほぼ犯人確定のように見なしているというところから始まります。したがって、警視庁が灸英社に強力に要請して、「日本推理小説新人賞」の審査会と受賞式場を、警察の捜査活動に万全の協力が期待できるホテル・コルテシア東京に変更してもらい、その新人賞の最有力候補である正体不明の青木晴真を待つわけです。灸英社の担当者は面倒を避けるために青木晴真の受賞を回避するような作戦を試みたりもしますが、はたして、受賞者が誰になるのか、また、新田浩介の父の新田克久が弁護士として関わった刑事事件の関係者とは誰で、どうなるのか、といったあたりは読んでみてのお楽しみです。はい、確かに定番のシリーズの最新作であり、私のようなミステリファン、この作者のファンであれば、押さえておきたい作品です。また、主人公の1人の新田浩介が警視庁を辞職し、ホテル・コルテシア東京に転職したり、新田浩介の父親を登場させたり、いろいろとマンネリ化を防ぐ手段を講じています。そのあたりをどう評価するかは読者次第といえます。ですので、中には、さすがに、そろそろホテルを舞台にするのは飽きが来つつある読者もいそう気がします。どこまで続くのでしょうか?

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次に、辻村深雪『ファイア・ドーム』上下(小学館)を読みました。著者は、小説家であり、日本でももっとも人気のある作家の1人といえます。本書の舞台は架空の北陸地方のL県、時代はコロナ前の2019年とされています。まず、その2019年のさらに25年前に県庁所在市にある百貨店の受付嬢が誘拐されて殺害される事件が起こっています。被害者は当時20代前半で、市会議員の娘でした。犯人はすでに逮捕され判決も無期懲役で確定していて服役しています。まったく同じ日付で小学生が行方不明になっており、少し後になって交通事故で亡くなっている遺体が発見されます。この交通事故は未解決です。その誘拐殺人事件を背景にして、2019年のL県に視点を移すと、主人公は東京出身ながら、L県にある国立大学に進学し、そのままL県の公立小学校の教員をしている佐村美冬であろうと思います。大学生のころは女子サッカー部を立ち上げて、教師になって2年目の20代半ば前半の独身女性で、恋人は30代半ばで年齢が離れている地方新聞L紙の記者の桜木透真です。その佐村美冬が担任をしている小学校の4年生の児童である戌井光汰朗が行方不明となります。行方不明になる直前の最後に戌井光汰朗に会ったのは、まさに、担任教師の佐村美冬であり、夕刻の日暮れ時に自転車で疲労回復のために鍼灸院に行く途中でした。行方不明に関する小学校での記者会見場に週刊誌記者が現れて、担任の先生がエステに行く途中に行方不明児童に出会って、日暮れ時であるにもかかわらず自宅まで送ることをせずにエステに行ってしまったのではないか、と質問し、ネット記事になって心ないコメントがいっぱい書き込まれ、佐村美冬はかなり心理的に参ってしまうわけです。しかも、佐村美冬は恋人の桜木透真から取材を申し込まれて、本格的に弱ってしまいます。ということで、この先は読んでみてのお楽しみなのですが、行方不明になった戌井光汰朗の事件はストーリー半ばで解決します。ついでに、別のサッカークラブの児童虐待事件も同時に解決します。どちらも犯人は明らかです。そこから、25年前の百貨店受付嬢の誘拐殺人事件をまだ追いかけているL新聞記者の浅川実が桜木透真とともに、誘拐殺人事件と交通事故を検証し始めます。ただ、ラストはそれほど驚くべきものではありません。ネットの書き込みも、私から見て、それほどという感じはしませんでした。「1か月30万部」と評判がものすごかった割りには、私自身は少し拍子抜けした印象を持ちました。

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次に、朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班『崖っぷちの私立大学』(朝日新書)を読みました。著者は、朝日新聞の取材班です。その取材班の1人で、はじめにを書いているジャーナリストは、全国800余りの大学のうち200を取材したと明記しています。日本の私立大学に関する行政の今後の方針は、本書でも何度も繰り返し引用されているように、中教審では昨年2025年2月に取りまとめた「我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~ (答申)」で明らかにされています。すなわち、この答申では、今後の人口減少と少子高齢化に伴い、2040年までに4割、約250校の削減や統廃合、そして、学部定員を18万人程度縮減するとの財政審議会報告に基づいて、特に地方私立、さらに特に特にで、人文科学系や社会科学系の私大の統廃合が盛り込まれています。別途のお話しながら、大学なのに小学校みたいに、四則演算の算数レベルを教えている、といったネガキャンを見かけた人は少なくないものと私は想像しています。本書では、都市部ではない地域における中小私大の役割を考え直し、単純に定員充足率だけで私大の統廃合を考える政府の姿勢に疑問を投げかけています。はい、私は本書を大学生協の書店で購入しましたが、まあ「立命館大学は大丈夫でしょ」という感じでした。東京のGMARCHとか、関西でいえば関関同立や産近甲龍とかの都市部にあって知名度が高くて規模の大きい私大ではなく、地方圏の中小規模私大に着目し、地域での学びの場というだけでなく、若者の定着や経済的な側面も含めて、かなり大規模な取材とインタビューにより、私大の統廃合という政府の方針に対して疑問を呈しています。

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次に、藤本隆宏『日本のものづくり哲学 (増補版)』(日経文庫)を読みました。著者は、東京大学名誉教授・早稲田大学教授であり、ご専門は技術・生産管理、進化経済学だそうです。ステレオタイプながら日本の製造業に関する理解として、本書ではひとつの典型として、「工場は強いが本社が弱い」というのがあり、米国的な「本社は強いが工場は弱い」と逆になっていると主張します。はい、高度成長期以来の伝統的な見方だという気がします。その上で、著者の長年の研究の流れで、競争力⇒組織能力⇒アーキテクチャの順で積み重なるとの見方を示します。製造業とは当然に製品を作る=ものづくりなわけですが、製品とは設計に対して実体を持たせるための媒体を加えたものであり、生産とは設計の転写であると主張していて、その設計における基本設計から構造設計に至るプロセスがアーキテクチャであると説明されています。そのアーキテクチャの基本タイプは2つあり、パーツごとに練り上げるモジュラー型では米国や中国が強みを持っている一方で、日本は総合的に擦り合わせるインテグラル型と指摘します。さらに、それぞれのタイプでオープン型とクローズド型があるとしていますが、そこは詳述されていない印象を持ちました。私のいつもの経営学やコンサル的な見方に対する批判ですが、要するに、成功例がある一方で、その裏側に失敗例がいっぱいあるのを見落としているような気がしてなりません。ですから、本書でも成功と失敗の両方を説明できるモデルにはなっていない気がします。実は、私自身の見方では、日本の製造業の成功も失敗も同じ原因であり、要するにオーバースペックとそれに起因する高コストなのだろうと考えています。私自身の歴史感として、1970年代の石油危機やニクソンショックまでは供給すれば需要がついてくる、という需要超過モデルが基本なんだろうと思っています。典型的にそれを表したのが松下幸之助の「水道理論」です。それに対して、日本で高度成長が終焉し、世界経済が成熟化して、というか、経済学的には労働よりも資本ストックの蓄積スピードがより速いわけですので、資本ストック=生産能力が十分になった1980年代くらいからは供給超過モデル、逆から見て需要不足モデルに移行します。日本の製造業のオーバースペック=高コストは需要超過型経済では問題ありませんでしたが、供給超過=需要不足型となった経済では日本の製造業が苦戦するのは当然だと考えています。要するに、日本の製造業の内生的な要因だけではなく、日本の製造業を取り巻く経済が需要超過型から供給超過型に変化したのが日本の製造業の不審や停滞の最大の原因だと思っています。その点を実証的に表しているのはユニクロではなかろうか、と私は考えています。オーバースペックに陥ることなく、したがって、それほど高コストではない製造を行っている気がします。なお、ついでながら、「おもてなし」に代表されるサービス産業も、まったく製造業と同様にオーバースペックかつ高コストである点は、付け加えておきます。まあ、日本経済は専門分野ながら、経営学は専門外ですので、私の個人的な見方です。

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次に、ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』(新潮文庫)を読みました。著者は、米国の小説家であり、すでに30年以上も前の1995年に亡くなっています。本書の英語の原題は Missionary Stew であり、1983年の出版です。ただし、40年余りを経過して本邦初訳だそうです。表紙画像はよくできていて、主人公は2人いると考えてよさそうです。政治家の資金調達係として暗躍し、まあ、政界のフィクサーともいえるドレイパー・ヘイル、それに、パリ生まれの米国人ジャーナリストであるモルガン・シトロンです。小説の舞台は、基本的に、米国のカリフォルニアです。出版が1983年ですから、米国大統領はカリフォルニア州知事からホワイトハウス入りしたレーガン大統領です。私は1983年にはすでに大学を卒業して働いていましたので、そのあたりは頭に入っています。こういった時代背景を持って読むとヨサゲな気がします。シトロンはアフリカの独裁国家の政治囚として投獄されていましたが、釈放されて米国に戻ります。戻った米国でシトロンはヘールに雇われて、現政権のスキャンダル情報、すなわち、中米トゥカモンドでCIAだか、FBIだかの麻薬取引を巡るスキャンダル情報を入手するために、2人で渡航します。でも、実際に渡航するのは邦訳書のページ数で計測したボリュームでいえば最後の30%くらいだったりします。ですから、ストーリーの大部分は米国内での出来事で占められています。この主人公の男性2人をめぐる女性陣もとってもユニークです。シトロンの母親のグラディスは米国人ですが、フランスがナチス・ドイツに屈服した時代にパリにいて、フランス人陸軍中尉との間にモルガンをもうけるわけです。しかも、その時期のフランスでは反ナチスのパルチザンに参加し、今は米国に戻って裏社会にも大いに通じています。シトロンの恋人はチーズと同じ名を持つヴェルヴィータであり、やや天然のところがある女性で、虚言癖があったりします。父親は元麻薬王でしたから大金持ちの一家です。また、カリフォルニア州の次期知事の夫人がヘールと懇ろな仲だったりします。1950-60年代のハードボイルド小説とはまた違うドタバタですが、麻薬や中米のわけのわからない独裁国家、それに、米国の政府機関であるハズのCIAやFBIが関係し、政治家や裏社会の麻薬王なんかが暗躍する、というまさにごった煮のシチューのようなストーリーで、それなりに楽しい本だという気がします。

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2026年7月10日 (金)

打線が沈黙してQSの下村投手に援護なし

  RHE
ヤクルト000011000 2101
阪  神100000000 152

【ヤ】 高橋、清水、キハダ - 古賀
【神】 下村、津田、木下、及川 - 坂本、梅野

打線がスミ1で沈黙して、ヤクルトに逆転負けでした。
2度目の先発下村投手は6回2失点自責点1の立派なQSでした。6安打はやや打たれた気がしますが、内野の守備の乱れで5回に同点に追いつかれる不運もありました。打線はわずかに5安打と沈黙し、下村投手を援護することが出来ませんでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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高い上昇率が続く6月の企業物価指数(PPI)

本日、日銀から6月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+6.3%の上昇となり、先月4月統計の+5.3%から上昇率がさらに加速しています。2023年3月以来の高い伸びとなりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

国内企業物価、6月は前年比7.1%上昇 非鉄や石油・石炭製品など寄与=日銀
日銀が10日に発表した6月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比7.1%上昇した。金属市況の上昇や中東情勢の不安定化の影響を受けて幅広い品目が上昇し、2023年3月(7.4%上昇)以来の高い伸びとなった。前月比は0.4%上昇と、伸び率は5月の1.1%から縮小した。
前年比で最も押し上げに寄与したのは「非鉄金属」で、前年比39.2%上昇した。銅やアルミニウムなどの市況上昇を反映した。
「石油・石炭製品」は同22.8%上昇、「化学製品」は同14.4%上昇。中東情勢の影響で、原油やナフサ、石油化学基礎製品が値上がりした。
全515品目中、前年比で上昇したのは418品目、下落は81品目だった。
日銀の担当者は、原料価格の上昇を価格転嫁する動きから、引き続き幅広い財が値上がりしていると指摘した。中東情勢関連では「化学製品」のほか、「プラスチック製品」、「その他工業製品」、「木材・木製品」、「パルプ・紙・同製品」など関連物品が上昇しているという。
輸入物価指数(円ベース)は前年比29.7%上昇と、5月(26.1%上昇)からプラス幅が拡大した。22年10月(42.3%上昇)以来の高い伸びとなった。為替円安の影響を受けているとみられている。

インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、まん中のパネルは国内物価指数そのものを、下のパネルは契約通貨建てと円建ての原油価格指数を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。なお、ちょっと見づらいかもしれませんが、まん中と下のパネルの指数水準が急にスティープになったのは今年2026年3月からです。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+6.8%でした。実績の上昇率はかなり上振れしているのですが、前年同月比で見て、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの予想レンジ上限は+7.2%でしたから、レンジ内ともいえます。ヘッドラインとなる国内物価だけでなく、輸出物価は+20.7%、輸入物価も+29.7%の2ケタ上昇を示しています。本日公表された企業物価指数の輸入物価のうちの円建ての原油価格は、それぞれ、4月37.5%、5月58.6%、6月79.9%の上昇率を示しています。立て続けに上昇率が加速しているわけです。私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年6月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、「イランを巡る紛争が夏頃までに終結することを前提とするメインシナリオでは、原油価格は7月まで100ドル前後で高止まりした後、緩やかに下落する見通し。」としつつも、当然、夏ごろに終わる可能性が決して大きいわけではないことから、「ただし、紛争が長引くサブシナリオでは、価格が年末まで100ドル前後で推移するほか、米国とイランが本格的に戦闘を再開する最悪シナリオでは、150ドルまで急騰する恐れ」と指摘しています。さらに、銅やアルミニウムなどの市況上昇を反映して、非鉄金属の価格も大きく上昇しています。引用した記事の最後のパラで言及されているように、円安に振れている為替については、輸入物価への影響は決して無視できず、おそらく、企業物価の国内物価に対してもそれ相応のパススルーを持っていることと考えるべきです。ただ、消費者物価へのパススルーはそれほど大きくない、というのがエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。
本日公表された6月統計の企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率を少し詳しく見ると、まず、注目の石油・石炭製品は5月+13.7%でしたが、6月統計では+22.8%の上昇となっています。これに伴って、化学製品も5月の+14.3%、6月も+14.4%と高止まりしています。電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業が終了し、再開される7月までの端境期になることから4月+0.1%から5月は+3.4%に上昇しています。加えて、農林水産物が5月+9.9%、6月も+7.0%と高止まりを示しています。農林水産物の価格上昇に伴って、飲食料品の上昇率も5月+4.3%、6月+4.0%となっています。最後に、非鉄金属は5月+42.1%、6月+39.2%と、きわめて高い上昇率が続いています。

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2026年7月 9日 (木)

猛虎打線が大爆発でジャイアンツを圧倒

  RHE
阪  神023122000 10120
読  売100000001 270

【神】 伊原、木下、門別、津田、今朝丸 - 梅野
【読】 則本、高梨、堀田、田和、山田 - 小林、岸田

首位攻防第3戦は、猛虎打線大爆発で爆勝し、単独首位に立ちました。
先発伊原投手は故障明けながら、6回途中まで4安打1失点にジャイアンツ打線を抑え、続くリリーフ陣も9回に今朝丸投手が内野ゴロで失点したものの、打ち込まれたという感じではありませんでした。打線の方は、期待通りに爆発しました。2回の前川外野手の逆転ツーランから始まって、3回は佐藤輝選手のタイムリーに続いて大山選手のタイムリーで計3点、4回も高寺選手のタイムリーで追加点、5回は再び大山選手の2点タイムリー、6回には森下外野手のツーランと猛虎打線の乱れ打ちでした。

甲子園でのヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update

日本時間の昨夜7月8日、国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update を公表しています。すでに、IMFの「世界経済見通し」は4月半ばに公表されたばかりで3か月も経っていないのですが、改定を必要とした主因は "The modest slowdown reflects the effects of the war in the Middle East being partly offset by accelerated demand-driven momentum in the global technology cycle thanks to advances in artificial intelligence (AI) and its adoption." と説明しています。ですので、副題は Global Economy in Crosscurrents of War and Technology としています。"Crosscurrents" なんて、経済のリポートで私は初めて見ました。まず、IMFのサイトからヘッドラインとなるGDP成長率見通しのテーブルを引用すると次の通りです。

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みての通りで、世界の成長率見通しは今年2026年が4月の時点から▲0.1%ポイント下方修正され、+3.0%と見込まれています。逆に、来年2027年は+0.2%ポイントの上方修正で+3.4%としています。日本の成長率見通しも、おおむね世界経済と同様に修正され、今年2026年+0.6%と▲0.1%の下方修正、来年2027年+0.7%と+0.1%ポイントの上方修正となっています。繰返しになりますが、今年2026年の成長率見通しが下方修正されたのは、中東戦争が4月時点の想定からやや長引いたことが主因である一方で、AIをはじめとするテクノロジー面からの上振れも織り込んでいます

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まず、上のグラフはリポートから Figure 3. Commodity Price Assumptions Are Revised Up を引用しています。原油をはじめとする商品価格の想定が変化してきたことが理解できます。4月時点での上昇率から、今回さらにエネルギーをはじめとして商品価格が上振れすると考えているようです。"Energy prices are roughly 25 percent higher than prewar levels."

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続いて、上のグラフはリポートから Figure 2. Inflation Expectations Rise, but Mostly in the Short Term を引用しています。グラフの番号が逆順になりますが、原油などの商品価格の上昇が上振れしますので、先進国(AEs)と新興国・途上国(EMDEs)ともに2027-27年のヘッドラインインフレが上振れることになります。

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続いて、上のグラフはリポートから Figure 4. Growth Revisions Vary by Exposures to the War and Technology Cycle を引用しています。中東の武力紛争が想定よりもやや長引いて、商品価格やインフレが上振れるため、成長率が下振れる一方で、逆に、AIなどのテクノロジーも進歩が想定よりも大きく、産出への上振れ効果があると結論しています。したがって、地域別で戦争とテクノロジーへのエクスポージャーが当然に異なりますから、その影響も違いが生じます。戦争の影響をより強く受ける地域は下振れ、テクノロジーの恩恵をより強く受ける国は上振れ、ということです。上のグラフの左端の中東北アフリカ(MENA)は戦争の負の影響を強く受け、右端のAI機器輸出トップ4国、すなわち、韓国、マレーシア、台湾、タイは成長率が上振れます。日本は、たぶん、エネルギー輸入先進国のカテゴリーで、左から2番目に入るんだろうと思います。

それほど大きな改定幅ではありませんでした。IMF自身も "broadly unchanged" と指摘しています。なお、IMFでは堂々と "war in the Middle East" と表記していますが、政権への忖度の強い我が国メディアでは、いまでも「中東紛争」とか、「中東の混乱」というタイトルが目立っています。私はエコノミストながら、民主主義の危機を感じます。

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2026年7月 8日 (水)

才木投手のナイスピッチングで再び同率首位

  RHE
阪  神100102000 460
読  売000000010 160

【神】 才木、岩崎、ドリス - 梅野
【読】 西舘、田和、山田、堀田 - 岸田、小林

首位攻防第2戦は、才木投手のナイスピッチングで完勝し、再びジャイアンツと同率首位となりました。
先発才木投手は7回まで5安打無失点にジャイアンツ打線を抑え、ジャイアンツ戦10連勝だそうです。打つ方はまだやや湿りがちなのですが、初回に森下外野手の豪快な先制ソロが出て、4回には大山選手の長打で追加点、6回には前川選手の押出しフォアボールと熊谷選手の遊ゴロでしぶとく追加点を奪いました。でも、4点は取りましたが、まだ6安打です。近畿地方の梅雨は明けました。明日こそ、猛虎打線の爆発を期待します。

明日も、
がんばれタイガース!

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基調判断が上方修正された6月の景気ウォッチャーと大きな黒字を記録した5月の経常収支

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.4ポイント上昇の44.0となった一方で、先行き判断DIは+5.0ポイント上昇の45.7を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で過去最大の+3兆9683億円の黒字を計上しています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気6月は0.4ポイント上昇、2カ月連続プラス 景気の見方を上方修正
内閣府が8日に発表した6月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは44.0となり、前月から0.4ポイント上昇した。2カ月連続のプラス。ウオッチャーの景気の見方は「中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、持ち直しの兆しがみられる」に上方修正した。
指数を構成する3部門では、家計動向関連が前月から0.3ポイント低下し43.5。一方、企業動向関連は1.9ポイント上昇し45.6、雇用関連は2.4ポイント上昇し43.9となった。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から5.0ポイント上昇の45.7。3カ月連続のプラス。内閣府は先行きについて「中東情勢による不透明感緩和への期待がみられる」とした。
調査期間は6月25日から30日で、米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名した後に行われた。
経常黒字、5月は3兆9683億円の黒字 16カ月連続
財務省が8日発表した国際収支状況速報によると、5月の経常収支は3兆9683億円の黒字となった。黒字は16カ月連続。黒字額は前年同月比19.5%増えたが、ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値4兆1213億円は下回った。
内訳をみると、海外投資の収益や配当金などの第1次所得収支は4兆2756億円の黒字で、黒字額が2.3%増えた。貿易収支は5040億円改善し、69億円の黒字に転換した。北米向けの自動車やアジア向けの半導体など電子部品がけん引する形で輸出が14.7%増えて、輸入額を上回った。
一方、サービス収支は1411億円悪化し、103億円の赤字に転落。訪日外国人旅行者(インバウンド)の減少などを背景に旅行収支の黒字幅が縮小した。
貿易・サービス収支は3628億円改善したものの、34億円の赤字にとどまった。
エコノミストは経常黒字は増加基調を続け、今年も過去最大の黒字を更新するのでは、と予想する向きが多い。もっとも、そうして稼いだ経常黒字は日本国内の投資や輸出拡大にはつながらないとみている。
「経常黒字のほとんどは米国をはじめとした海外への再投資に使われる。企業としては、稼いだドルを日本ではなく米国などインセンティブのある国で雇用や設備投資に使うことが最も合理的だ」と、みずほ証券チーフエコノミストの小林俊介氏は述べる。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただ、景気ウォッチャーの記事は内閣府からの公表直後のファーストショットですので、その後、追加や修正が入っているかもしれません。続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では、米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発する中東の武力紛争により大幅なマインド低下により、3月統計では前月から▲6.7ポイントと大きく低下して42.2となった後、4月統計でも▲1.4ポイント低下して40.8となった後、5月の休日が例年よりも多かったこともあって家計動向関連のうちの飲食関連が大きく上昇したことから、5月統計では+2.8ポイント上昇して43.6を記録し、本日公表の6月統計でもさらに+0.4ポイント上昇して、44.0を記録しています。加えて、本日公表の6月統計の先行き判断DIは前月から+5.0ポイントと大きく上昇しています。しかも、家計動向関連・企業動向関連・雇用関連の3カテゴリーがほぼそろって大きく上昇し、さらにさらにで、家計動向関連の中でもほぼすべての項目、また、企業動向関連でも製造業・非製造業とも大きな上昇を見せています。米国とイランの停戦合意が6月半ばでしたから、この中東における武力紛争の影響が和らいだ、ということなのだろうと私は考えています。というのも、引用した記事の最後のパラにもあるように、調査期間が6月25日から30日であり、6月17日の停戦合意文書署名の直後であったからです。でも、別に何かあるのかもしれません。なお、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である内閣府は基調判断を上方修正しています。すなわち、中東情勢によるただし書きを別にすれば、現状判断に関しては、5月統計の時点では、「このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。」でしたが、6月統計では「持ち直しの兆しがみられる。」と改定しています。先行きについても、5月統計では「中東情勢による不透明感がみられる。」でしたが、本日公表の6月統計では「中東情勢による不透明感緩和への期待がみられる。」としています。まあ、何と申しましょうかで、日本の国内のマインドは中東の武力紛争次第、ということなのだろうというのはよく理解できます。景気判断理由の概要については、内閣府の調査結果の中から、こういったマインドをよく表しているものを選ぶと、近畿地方の企業動向関連で、「中東情勢も少し落ち着き、資材が予定どおり入荷するようになったため、製造も予定どおりに進みつつある(食料品製造業)。」といった見方がありました。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+4兆円余りの黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じように+4兆円超の黒字の見込みでしたので、実績の+4兆円を少し下回った黒字はやや下振れした印象です。季節調整済み系列の統計でも、+3兆円余りの黒字を計上しています。昨年来のトランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支がかく乱されていたのが、元に戻りつつある、というのは通関統計でも確認されているところです。加えて、6月以降の今後の統計を見なければ正確なところは判りませんが、石油価格の動向については米国とイランの停戦合意で価格が落ち着くと見込まれますので、輸入が急増する事態はなさそうです。いずれにせよ、対外不均衡の問題が経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても、日本の国際競争力が高いわけでもなく、ましてや特段めでたいわけでもない、と私は考えています。

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2026年7月 7日 (火)

東京ドーム首位攻防第1戦は高橋投手が打たれて逆転負け

  RHE
阪  神000002100 341
読  売00010030x 470

【神】 高橋、工藤、木下 - 梅野
【読】 戸郷、船迫、高梨、赤星、大勢、マルティネス - 大城、岸田

首位攻防第1戦は、逆転負けでした。
開幕からここまで10連勝の高橋投手ですが、今夜は終盤に逆転の長打を浴びてしまいました。それでも、問題は攻撃陣です。3点は取りましたが、4安打では勝てません。特に、逆転された直後の8回の攻撃でクリンナップが3人とも倒れ、大勢投手を攻めきれなかったのが痛かった気がします。

明日は、
がんばれタイガース!

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景気拡大を示す景気動向指数と底堅い家計調査と賃金上昇がインフレを上回る毎月勤労統計

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、さらに、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+0.7ポイント上昇の116.8、CI一致指数も3か月連続の上昇で+0.4ポイント上昇の118.5を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.4%の減少、名目は+1.3%の増加となりました。毎月勤労統計のうち、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は311,165円と前年同月比+3.2%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.4%増と、5か月連続のプラスを記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気動向一致指数5月は0.4ポイント上昇、食品値上げなど寄与 判断据え置き
内閣府が7日公表した5月の景気動向指数(速報、2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.4ポイント上昇の118.5と3カ月連続のプラスだった。自動車出荷や食品値上げなどが押し上げた。基調判断は「改善を示している」で据え置いた。4月の基調判断は速報段階の「上方への局面変化」を改定値で「改善」に引き上げていた。
<ナフサ上昇、先行指数押し上げ>
一致指数を主に押し上げたのは、耐久消費財出荷指数や小売販売額、鉱工業用生産財出荷指数など。自動車の国内外出荷が伸びたほか、飲食料品の値上げやエアコン販売などが寄与した。自動車部品の出荷も伸びた。
先行指数は前月比0.7ポイント上昇の116.8と12カ月連続のプラスだった。押し上げに寄与したのは消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数など。ナフサなど化学製品の価格上昇や日経平均株価の最高値更新などが押し上げた。
5月実質消費支出は前年比0.4%減、6カ月連続マイナス=総務省
総務省が発表した5月の家計調査によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年比0.4%減となり、6カ月連続のマイナスとなった。電気・ガス代が減少したほか、自動車購入や通信費が伸び悩んだ。
ロイターの事前予測調査では同2.5%減が予想されていた。実質消費支出はそこまでの落ち込みはなく、総務省では消費は底堅い動きとみている。対前月の季節調整値は3.7%増となり、消費支出は101.7と100を超えている。
「足元としては消費支出は一定の増加の動きがみられる。ただ一部弱い動きもみられる」と総務省の担当者は述べた。
4月までは、消費支出のキーワードは、メリハリだった。5月は昨年よりも休日が2日多く、消費活動にはプラスだった。外食・調理食品など食料が4カ月ぶりに増加、エアコン等家庭用耐久財や家具・家事用品も7カ月連続で増加した。そのほか、被服・履物、教育がそれぞれ3カ月、2カ月ぶりに増加した。
また、為替市場で円安が進行する中で国内・国外のパック旅行は鈍化した。
5月実質賃金は前年比1.4%増、5カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が7日公表した5月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.4%増と、5カ月連続でプラスとなった。ただ、伸び率は前月の2.0%(改訂値)から鈍化した。ガソリンやプロパンガスなどの値上げで物価の伸びがやや加速したことが影響した。
名目賃金に当たる現金給与総額は1人当たり平均で31万1165円と、3.2%増えた。53カ月連続のプラス。前月の3.6%増から鈍化したが、34年2カ月ぶりに4カ月連続で3%以上の伸びを維持した。
このうち、基本給と残業代などを合わせた「決まって支給する給与」は3.0%増えた。基本給に当たる「所定内給与」も3.0%増だった。33年7カ月ぶりに5カ月連続で3%以上の伸びを記録した。
賞与などの特別に支払われた給与は5.2%増と前月の10.3%から伸びが鈍化した。
消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は前年比1.7%と前月の1.5%からやや加速したが、1%台にとどまった。
厚労相の担当者は給与の伸びは「力強いといえる」と指摘。消費者物価が落ち着いていることも実質所得にとってプラス要因とした。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+0.4ポイントの上昇、先行指数も同じく+0.7ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+0.4ポイント、先行指数+0.7ポイントのそれぞれ上昇はコンセンサスにジャストミートしました。繰返しになりますが、5月統計のCI一致指数は、3か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、CI一致指数は、3か月後方移動平均は前月から+0.67ポイントの上昇、3か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.40ポイント上昇し、これは5か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月4月統計の速報段階では「上方への局面変化」に据え置かれていましたが、4月統計の確報段階で「改善を示している」に上方修正されていて、本日公表の5月統計の速報段階でも「改善」で据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争は、一応の停戦合意を見ましたので、日米ともソフトランディングの確率が高まったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり70ドル前後で推移しています。東証の日経平均株価は高値圏で推移していますが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性がまったく否定されるわけではありません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+0.4ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 耐久消費財出荷指数が+0.43ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.34ポイント、 鉱工業用生産財出荷指数が+0.19ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、消費者態度指数や新設住宅着工床面積、日経商品指数(42種総合)まどのプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲2.5%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲2.4%減と予想されていました。実績の▲0.4%はかなり上振れしており、消費は底堅い印象です。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限が▲0.9%減でしたので、ややサプライズであったと私は受け止めています。ただし、上振れながらマイナスということは変わりありません。引用した記事の4パラ目にあるように、今年2026年の5月は昨年よりも休日が2日多かったのも上振れのひとつの要因です。品目別に見て、外食、調理食品などの食料については前年同月比で実質+2.4%増、寄与度も+0.71%となっており、少なくとも外食については休日が多かったことが寄与していると考えるべきです。エアコンをはじめとする家庭用耐久財や家事用消耗品などの家具・家事用品も実質で+23.0%増加し、+0.96%の寄与度となっています。ただ、私立大学の授業料等をはじめとする教育が実質+21.7%増、寄与度+0.80%に上っています。授業料が値上げされた結果であり、支出が増加して消費が増えたという好ましい結果であるよりは、家計への負担が高まったわけであり、望ましい支出増かどうかは疑わしいところです。最後に、勤労者世帯の実収入は4月+2.3%増に続いて、5月も+0.7%とプラスが続いています。

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毎月勤労統計を見ると、まず、賃金については、5か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、5月統計では+1.4%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.2%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.7%にとどまったことに起因します。4月統計の確報では、現金給与総額が+3.6%増、実質賃金が+1.5%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当といった変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が4月+3.4%増から、5月も+3.0%増であり、4か月連続で+3%以上の伸びを示しています。「所定内給与」も4月の3.3%増から5月も+3.0%増と、こちらは5か月連続で+3%以上の伸びとなっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」も5月は+5.2%増と増加しています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学でいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加につながることが期待されます。

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2026年7月 6日 (月)

40年ぶりの円安の日本経済への影響やいかに?

ドル円レートが約40年ぶりに162円台の円安水準となったことは、広く報じられている通りです。この為替レートに関して、先週金曜日の7月3日、大和総研から「約40年ぶりの円安ドル高、日本経済への影響は?」と題するリポートが明らかにされています。まず、長くなりますが、リポートから[要約]を2点引用すると次の通りです。

[要約]
  • ドル円レートは2026年6月末に一時162円台と約40年ぶりの安値を付けた。当社のマクロモデルで推計すると、通常の経済状態における円安ドル高は日本経済にネットでプラスの影響をもたらすが、円安の恩恵が広く行き渡るわけではない。多くの企業や家計にとっては、輸入物価の上昇による負担増の影響の方が目立つだろう。加えて、足元では企業の価格転嫁の進展や、中東情勢の悪化等による輸出の下押し、日中関係の悪化による中国人訪日客数の減少などが円安のプラス効果を相殺したとみられる。こうした影響を考慮すると、10%の円安ドル高による直近1年間の実質GDPへの影響は▲0.14%程度だったと試算される。
  • ドル円レートの動きは日米の実質金利差で説明されることが多いが、2025年秋以降は両者の関係が薄れ、実質金利差が縮小傾向にある中で円安ドル高が進んでいる。米国の実質金利とドル円レートとの関係は直近でも安定しており、日本の金利上昇による円高圧力は限定的だったようだ。日銀の金融政策が正常化の途上にあり、利上げを継続しているものの金利水準が物価上昇率などに比して低く、経済実態を踏まえた金利水準(中立金利)を下回っていることなどが背景にあるとみられる。こうした見方が実態を捉えているのであれば、高水準のインフレ率によって米金利の先高観が強いうちは円安ドル高が進みやすい。一方、日銀が利上げを続けても、当面は円高基調に反転しにくい可能性がある。

続いて、リポートから 直近1年間の円安ドル高(10%(約15円/ドル)を想定)による日本経済への影響 を引用すると次の通りです。

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上のグラフの左のパネルから明らかなように、円安の恩恵は偏りが大きいと考えるべきです。すなわち、大雑把にいって、円安のメリットが企業セクターに偏る一方で、デメリットが家計部門に重い点は忘れるべきではありません。最近では、円安などのコストアップ要因を価格に転嫁しやすい経済が実現している一方で、最終的な価格転嫁の無視できない部分を負担するのは家計である点は忘れるべきではありません。もっと判りやすくいえば、企業はコストアップを価格転嫁しやすくなった一方で、家計は価格転嫁された価格を受け入れざるを得ない状況に追い込まれているのが事実です。私自身は、いわゆる為替のパススルーは大きくないとする Sasaki, Yuri et al. (2022) "Exchange Rate Pass-Through to Japanese Prices: Import Prices, Producer Prices, and the Core CPI" をエコノミストとして十分理解しているつもりですが、他方で、内閣府によるマンスリー・トピック「円安による国内食料品物価への影響」では、我が国では食料自給率の低さに加え、食料品製造業における輸入原料への依存度が高いことから、食品小売価格が輸入価格の変動の影響を受けやすく、10%の円安によって食料品CPIが1.5%程度押し上げられるとの試算結果を示し、「2023年末前後の食料インフレの大部分が円安に起因するものだった」と結論していることも事実です。

為替や賃金については、その昔からの言いまわしにある通り、「市場で決まる」と考えるべきかもしれませんが、少なくとも、ドル円レートで160円を超える現在の円安は、物価を通じたルートから、日本経済、特に、家計部門には好ましくないと考えられます。

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2026年7月 5日 (日)

村上投手が安定したピッチングで広島に逆転勝ち

  RHE
広  島100000111 4112
阪  神01004001x 6132

【広】 床田、辻、島内、中崎 - 石原
【神】 村上、工藤、岩崎、ドリス - 坂本

お天気が冴えない中、広島に競り勝ちました。
昨夜も雨天中止で、なかなかコンディション調整が難しい中、先発村上投手は6回1失点のQSで試合を作ってくれました。終盤に登板した勝ちパターンのリリーフ陣がポロポロと失点しただけに、抜群の安定感を示したといえます。7回を投げた工藤投手は今夜こそ失点しましたが、どうやら勝ちパターンに入ったようです。打撃陣は6番に入った前川外野手がラッキーヒットで打点を上げ、5回にはホームランも飛び出しました。

東京ドームの巨人戦も、
がんばれタイガース!

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最低賃金が需給1500円に引き上げられると職業地図はどうなるか?

先週7月1日、ニッセイ基礎研究所から「最低賃金1500円で変わる職業地図」と題するリポートが明らかにされています。最低賃金政策については、さまざまな見方があり得るとは思いますが、私自身は格差是正や貧困対策として有効な面があると考えています。このリポートでは、分析対象145職業のうち63職業(43.4%)が1,500円未満となり、生産工程従事者やサービス職業従事者に低賃金職業が集中していた、と指摘しています。まず、リポートから 1時間当たり所定内給与が低い職業ランキング を引用すと次の通りです。

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見れば明らかですが、一番右の欄に女性割合が付記されています。3番目の「ダム・トンネル掘削従事者、採掘従事者」などの一部の例外を除いて、女性比率の高い職業が並んでいます。総務省統計局の労働力調査によれば、2025年の雇用者数6185万人のうち、男性3306万人、女性2879万人となっていますので、女性比率は46.5%となります。リポートでは、ワースト5位のうち4つの職業で女性割合が8割以上であり、他にも「保育士」、「介護職員」、「看護助手」、「販売店員」、「飲食物調理従事者」など、女性割合が高い職業が数多く含まれている、と指摘しています。要するに、女性が現在でも低賃金職業に多く従事しているわけです。
したがって、リポートでは、最低賃金引上げは女性の所得を底上げする効果が期待される一方で、仮に最低賃金が1,500円へ引き上げられたとしても、女性が低賃金職業に偏っているという就業構造そのものが変わるわけではなく、男女間賃金格差の縮小を図るためには、最低賃金の引上げと併せて、女性がより高い付加価値を生み出す職業や専門職へ就業しやすい環境を整備していくことも重要、と指摘しています。はい、まったくその通りです。

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2026年7月 4日 (土)

今週の読書はいろいろ読んで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、前川守『経済財政諮問会議の理念と歩み』(ぎょうせい)では、経済財政諮問会議の発足直前からの歴史を後付けるとともに、政府における経済財政政策の策定プロセスにおいて、経済財政諮問会議の役割を考えようとしています。大雑把に、著者のキャリアから小泉内閣のころが中心となります。斎藤幸平『人新世の「黙示録」』(集英社)では、気候変動、というか、気候崩壊により、それほど遠い将来ではなく、人類の文明が物理的に崩壊しかねないリスクがあることから、テクノ資本主義によるファシズムを避け、脱成長コミュニズムよりもっと強烈な暗黒社会主義の必要性を主張しています。砂原浩太『星月夜』(文藝春秋)は、「藩邸差配役日日控」シリーズの第2作であり、神宮寺藩江戸藩邸の差配役を務める里村五郎兵衛の勤めや日常生活を、藩主である和泉守正親が国もとに帰る参勤の行列を見送るところから始めて、連作短編6話から編まれています。小峰隆夫『地域と人口減少の経済学』(中公新書)では、現在の日本の人口減少に対して、抑制したり反転させて人口増加を目指すのではなく、人口減少を受け入れて適応した上で、どのようなシュリンク=縮み方が望ましいのかを議論しています。ただ、経済学的な分析として限界はあります。榎本博明『絶対「謝らない人」』(詩想社新書)では、「サッサと謝るのが日本人的な美徳」みたいに考えているようで、謝らない人が増えてきた点を印象論的に論じた後、謝らない人の心理が歪であることを主張していますが、謝罪を要求する人の心理も歪かもしれません。石持浅海『花嫁と殺し屋』(文春文庫)は、「殺し屋」シリーズ第5弾であり、殺し屋が殺人を実行しますので、その殺人事件が謎解きの対象となるわけではなく、どうしてそのような殺人依頼が舞い込んできたのか、動機の解明や期日指定といったオプションの必要性などを推理します。
今年2026年の新刊書読書は、1~6月に合わせて151冊、7月に入って今週の6冊を加えて合計157冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、前川守『経済財政諮問会議の理念と歩み』(ぎょうせい)を読みました。著者は、私が長らく働いていた経済企画庁~内閣府の先輩であり、次官クラスの審議官まで出世した後に退官しています。はい、ハッキリいって、エコノミストのキャリアを積んだ人ではありませんし、ご本人も自分が官庁エコノミストだとは考えていないと私は想像しています。ただ、なぜか、経済社会研究所の次長や所長を務めていて、私が課長クラスの研究官をしていたころにお仕えした記憶がありますし、入庁年次も近いのでキャリアパスが違うとはいえ、小さな役所でもありますから、面識は十分あります。ということで、本書は、タイトル通りに経済財政諮問会議の発足直前からの歴史を後付けるとともに、政府における経済財政政策の策定プロセスにおいて、経済財政諮問会議の役割を考えようとしています。大雑把に、小泉内閣のころが中心で、本書では第3章に当たります。その後の民主党政権に政権交代するまでの短い第1次安倍内閣、福田内閣、麻生内閣もカバーしていますが、第2次安倍内閣はスコープ外です。すでに、退官していた著者には情報が少ないのかもしれません。私自身も内閣府や内閣官房の官邸スタッフとして経済政策策定プロセスは見知っているつもりですが、政策策定の前段階といえる調査や分析にかかわることが多く、実際に、政治レベルでの決定段階はよく知りません。その意味で、参考になった点は少なからずあります。もっとも、まったく出世に縁遠かった私ですら墓場まで持って行くような職務上知り得た秘密がありますから、大臣秘書官を務め、事務次官級の官庁のトップまで上り詰めたご著者ですので、とてもではないが本にして出版なんて考えられもしない部分は少なからず体験していることと思います。その部分は、当然にして、うかがい知ることはできません。そういった欠落情報があることを前提にしつつも、やっぱり、日銀にかかわる金融政策に関する情報が少ないのは少し不満が残ります。本書のスコープ外ながら、第2次安倍内閣においてはアベノミクスとして、3本の矢の筆頭だった金融政策についての情報が少ないのは、政府から中央銀行が独立しているとはいえ、日銀総裁が経済財政諮問会議のメンバーなわけですので、もう少し何とかならなかったものか、という気がしてなりません。また、経済財政諮問会議の評価に着目した第5章では、引用がズラリと並んでいるだけで、評価の評価あるいは評価への反論がまったくありません。引用された評価が妥当なのか、的はずれなのか、著者独自の見方も欲しい気がします。最後に、本書は学術書ではなさそうな気がしますので、余り形式的な点は指摘したいわけではありませんが、時折、常にではなく、あくまで時折、総理や大臣に対して敬語で記述している部分があります。著者のお人柄がしのばれて微笑ましいとは思います。

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次に、斎藤幸平『人新世の「黙示録」』(集英社)を読みました。著者は経済思想家であり、東京大学大学院総合文化研究所の准教授です。たぶん、原書はこの日本語版なんだろうと思いますが、なぜか Die Apokalypse im Anthropozän というドイツ語タイトルが表紙に見えます。どうでもいいことながら、私はドイツ語はほとんど解しませんが、「黙示録」について英語なら、Apocalypse を充てる場合も決して少なくはないのですが、Revelation ではないか、という気がします。それとも、Revelation は「ヨハネの黙示録」だけなのでしょうか。それはともかく、本書の大前提となる見方は、気候変動、というか、気候崩壊により、それほど遠い将来ではなく、人類の文明が物理的に崩壊しかねないリスクがある、という点です。ですので、何としてでも気候崩壊を食い止める必要があり、そのために何をすべきか、どういった考えを改めるべきか、といった議論が展開されています。私自身は、どちらかというと、本書で批判している加速主義の要素も取り入れた見方をしているもので、その部分は勝手ながら割愛します。ただ、気候変動によって人類文明が崩壊するリスクは、私も十分考慮すべきと思います。その上で、本書では、著者の従来の主張である脱成長コミュニズムより、もっと強烈な暗黒社会主義の必要性を主張しています。そのための計画経済も当然必要となります。そうでなければ、テクノ資本主義によるファシズムが先頭に立って、一部の選ばれたテックエリートが地球を脱出する、というシナリオが現実味を増す、と結論しています。ただ、私自身はピケティ教授が『エコロジー社会主義に向けて』(みすず書房)で指摘していたように、100年かそれ以上の長期のスパンで見れば経済社会はいい方向に進んでおり、社会民主主義的な主張が受け入れられ、平等化を目指す政策が幅広く取り入れられている、と考えています。他方で、気候変動を放置すれば文明が崩壊しかねないのも事実です。本書では、高めの釣り球の直球を投げるように、強烈な主張を提示していると私は感じました。エコ独裁で暗黒社会主義を達成し、一部エリートが地球を見捨てる選民ファシズムを克服するまでの強烈なやり方が、やろうと思えばできなくはないのでしょうが、広く一般市民の合意を形成することができるか、といわれてば疑問に感じます。逆から見れば、一般市民の合意が形成されなければ、暗黒社会主義におけるエコ独裁はテックエリートの地球脱出と同じになってしまいかねない、と危惧しています。

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次に、砂原浩太『星月夜』(文藝春秋)を読みました。著者は、時代小説作家であり、本書は藩邸差配役日日控シリーズの2作目となります。私は当然ながらシリーズ第1作の『藩邸差配役日日控』も読んでいます。小説の舞台は江戸であり、主人公の里村五郎兵衛は神宮寺藩江戸藩邸の差配役を務めています。藩邸内のさまざまなことを差配するわけで、今でいえば総務部総務課長といった役どころです。基本、上屋敷が舞台となります。加賀前田藩の上屋敷が今の東京大学本郷キャンパスですから、大雑把に上野や湯島から少し西の高台に上ったあたりが本書の地理的な舞台です。本書は、藩主である和泉守正親が国もとに帰る参勤の行列を見送るところから始まり、連作短編6話から編まれています。順にあらすじは、まず、「波と波」では江戸藩邸家老大久保重右衛門の側近である波岡喜四郎が、藩邸御用絵師の菅波景賀の後をつけているのはなぜか、を里村五郎兵衛が推理し解決ます。続いて、「揺れる槌」では、藩邸奥の縁側の普請で出入りの源蔵親方の仕事の跡目について、里村五郎兵衛が相談を受けます。続いて、「梔子日和」では、里村五郎兵衛の次女の澪から小太刀を教わっている奥女中で、太物問屋から藩邸に上がっている玉の悩みを解決しようと腐心します。続いて、「碌々亭日乗」では、差配方下役の若い安西主税が、すでに差配方を引退した父の挙動について里村五郎兵衛に相談します。続いて、「小心者」では、御納戸頭で小心者の窪田吾兵衛に対して不審を匂わせる投げ文があり、波岡喜四郎が里村五郎兵衛を助けて調べに当たります。続いて、最後に、表題作の「星月夜」では、里村五郎兵衛の長女の七緒の嫁ぎ先で、御納戸方を務めていた河瀬新之丞が賄賂の疑いをかけられて自裁したものの、後に真犯人が発見され事件が解決した後の河瀬家で河瀬新之丞の控え=日記から、里村五郎兵衛が賄賂事案の真相に迫ります。最後に読む順番についてご注意です。私は少し前にマクファーデン女史の「ハウスメイド」のシリーズを第2巻を先に読んで、シリーズ第1作にさかのぼって、何の問題もありませんでしたが、この藩邸差配役日日控シリーズは出版された順番通りに読む必要があります。というのは、このシリーズ第2作『星月夜』の冒頭で、シリーズ第1作の重要な、きわめて重要なネタバレが明らかにされているからです。ものすごく要注意です。

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次に、小峰隆夫『地域と人口減少の経済学』(中公新書)を読みました。著者は、私の役所の大先輩の官庁エコノミストであり、その後は学界に転じ、現在は大正大学客員教授だそうです。本書は、少し前に取り上げた『スマートシュリンクへの道』(中央経済社)と同様の論考であり、基本的には、現在の日本の人口減少に対して、抑制したり反転させて人口増加を目指すのではなく、人口減少を受け入れて適応した上で、どのようなシュリンク=縮み方が望ましいのかを議論しています。特に、第1章ではコロナショックにより日本の人口減少テンポが加速し、従来の想定よりも約20年早まった点を強調しています。その上で、政府が取り組んできた地方創生は、「地方創生により人口1億人を達成する」という観点であり、考え直す必要があると主張しています。ただ、前の石破内閣によって進められてきた「地方創生2.0」では、この点はかなり修正されてきていると指摘しています。さらに、これは私と共通する観点で、「東京一極集中の是正」の見直し、というか、東京一極集中の容認を主張しています。はい、私もいわゆる「国土の均衡ある発展」という田中内閣以来の政策は、それなりに重要ではありますが、人口減少下ではどこまで堅持すべきかは疑問なしとしません。国民の選択により東京にさまざまなものが集中しているのですから、政府機能の分散などで強引に地方に分散させるのは考えものだと受け止めています。例えば、総務省統計局が和歌山に「統計データ利活用センター」を開設したりしていますが、統計局勤務の経験者として、いくつかの報告を見ている限り、本格的な移転には疑問が残ります。そして、イベントなどの劇場型の地方おこしから、共有型の地方再生に進み、国民のウェルビーイングの改善を図る、と主張しています。最後に、私自身の専門分野ながら、経済学の限界を感じます。すなわち、本書も経済学的分析に基づいていますので、結局、超長期の対応の部分はムリと感じました。超長期の対応、というのは、人口減少に適応的に対応するとしても、私はどこかに最小限維持すべき人口規模があると考えています。極端な見方かもしれませんが、おそらく日本全土で100万人くらいまで人口が減少すると、国防や産業など、国家としての活動は維持できなくなると私は考えていて、根拠はありませんが、おそらく、2000-3000万人のあたりに非線形な限界がありそうな気がしています。その人口規模を下回ると急激に国家としての活動維持が困難になるポイントがある可能性を考えるべきです。ですから、どこかで人口減少を食い止める必要があるわけで、「適応戦略」が全国の人口100万人規模まで未来永劫に有効なわけではありません。ただ、経済学のスキームでこういった超長期の分析をするのはムリがあります。別の学問分野の課題だという気がします。

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次に、榎本博明『絶対「謝らない人」』(詩想社新書)を読みました。著者は、著者は、心理学の博士号を持ち、MP人間科学研究所代表ということなのですが、私にはよく理解できていません。この著者の新書は何冊か読んでいて、最初に2年ほど前に読んだ『勉強ができる子は何が違うのか』(ちくまプリマー新書)はまずまずよかったのですが、『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)とか、最近読んだ『すぐに「できません」と言う人たち』(PHP新書)に至っては、もはや年配の頭の固い高齢者が若い人に向かって愚痴をいっているような印象すらあり、本書もかなりの程度にご同様です。まあ、何と申しましょうかで、コンサルとかカウンセリングの場面で、「若い人が謝らない」といった年配の経営者なんかの意見を真に受けて、「サッサと謝るのが日本人的な美徳」みたいに考えているように私は受け止めました。冒頭で、タイトル通りに、謝らない人が増えてきた点を印象論的に論じた後、謝らない人の心理が歪であることを主張しています。ただ、私は逆に、強く謝罪を要求する人の心理も歪なのではないか、という気がしてなりません。すなわち、本書でも指摘していますが、ネットでいうところの誤ったら死ぬ病のように、「謝ったら負け」という心理の反対側に、相手に「誤らせたら勝ち」という心理がある点は、どうも本書では見逃されているようです。ほとんど愚痴のオンパレードなのですが、ただ最終章だけは、謝らない人との付き合い方があり、これはこれで、参考になる部分もありました。謝罪要求がタブーであるとか、親切心が「いちゃもん」と曲解されリリスクとか、まあ、この最終章だけは読んでよかった気がします。

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次に、石持浅海『花嫁と殺し屋』(文春文庫)を読みました。著者は、ミステリ作家です。本書は、「殺し屋」シリーズ第5弾であり、前4作は、『殺し屋、やってます。』と『殺し屋、続けてます。』と『男と女、そして殺し屋』と『夏休みの殺し屋』になります。たぶん、私はシリーズすべて読んでいます。少なくとも第3作と第4作は読書感想文ブログに残っています。このシリーズでは、殺し屋が殺人を実行しますので、その殺人事件が謎解きの対象となるわけではありません。そうではなく、どうしてそのような殺人依頼が舞い込んできたのか、動機の解明と、もしもあれば、期日や殺害方法の指定などのオプションが、どうして必要か、などなどを推理します。少し趣向の違う安楽椅子探偵であり、謎の確実な解明はなされません。ということで、殺し屋は男女2人いて、経営コンサルタントとして表の顔で働く富澤允、そして、インターネット通信販売業を偽装する鴻池知栄です。なお、諸物価高騰、かつ、サラリーマンのお給料もアップした折ですし、富澤は料金を引き上げましたが、鴻池は据え置いています。本書では短編5話が収録されていて、第1話と第3話では富澤が、第2話と第4話では鴻池が登場し、第5話では両方とも出てきます。あらすじは簡単に、まず、「一礼」では、通勤途中に他人の家に一礼する男の殺害依頼が富澤に舞い込みます。その通勤途上の一礼というターゲットの奇妙な行動が、そのまま謎になります。続いて、「生きていたら」では、ターゲットが7月10日を過ぎても生きていたら殺人を実行して欲しいという依頼が鴻池に来ます。続いて、「宴の後」では、異業種交流セミナーで知り合った4人のうちの1人が殺され、その死を弔う飲み会が開かれたりしますが、残った3人のうちの1人の殺害依頼がきます。続いて、「後から後から」では、なぜか、次々と殺人のオプションが追加されます。最後に、表題作の「花嫁と殺し屋」では、婚約中の男女2人両方に対する殺害依頼が富澤と鴻池のそれぞれに舞い込みます。最後に、2人の殺し屋が交差する「花嫁と殺し屋」は、まあ、何と申しましょうかで、同様に2人登場の前作の「夏休みの殺し屋」の方がずっとよかったと私は思います。表題作にしては低調だと感じるのは私だけでしょうか。

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2026年7月 3日 (金)

序盤から大竹投手が炎上して広島に大敗

  RHE
広  島005000000 5101
阪  神000010000 120

【広】 森、遠藤、森浦 - 石原
【神】 大竹、今朝丸、石黒、及川、津田 - 坂本、榮枝

序盤3回に先発大竹投手が炎上して、広島に大敗でした。
雨天中止が続いて、2週間ぶりの登板とはいえ、3回5失点ではどうにもなりません。打線はこれに輪をかけて不振です。前川選手のソロがあって完封こそ免れましたが、わずかに2安打ではどうにもなりません。わずかに、今朝丸投手がプロ初登板で3回無失点だけが見どころの試合でした。

明日はお天気が気がかりながら、
がんばれタイガース!

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インテージによる「2026年上半期、売れたものランキング」

先週木曜日の6月5日、ネット調査大手のインテージから「2026年上半期、売れたものランキング」が明らかにされています。私は、統計局に出向していた折には消費統計の担当課長をしていましたので、こういった調査結果は気にかかるところです。まず、インテージのサイトから[ポイント]を4点引用すると次の通りです。

[ポイント]
  • 1位・麦芽飲料は前年品薄の反動が大。2位・玩具メーカー菓子はVTuber関連の商品も貢献
  • 3位・ほほべに、5位・しわ取り剤、7位・住居用クリーナーは新たなヒット商品がけん引
  • ホルムズ危機もあり、8位・家庭用手袋、11位・食品包装用品など上位。3月以降の売り上げ急増
  • 販売苦戦ランキングは医薬品が15位までに6つ。昨年売れたもの1位の米は販売苦戦10位

続いて、インテージのサイトから 2026年上半期の金額前年比・上位ランキング のテーブルを引用すると次の通りです。

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見ての通りなのですが、上半期の1位は麦芽飲料の前年比+155%となっています。コーヒ党である私はよく存じ上げませんでしたが、人気が高かった前年の品薄の反動や、実質的な値上げなどが要因だそうです。2位の玩具メーカー菓子も+142%であり、コロナ禍以降の漫画・アニメのIPコンテンツの強さに加え、VTuber関連の商品も強さを見せており、大きくかつ幅広く増加しています。3位のほほべには+131%で、目元付近まで効果が及ぶ新機軸の商品がけん引しているようですが、私はそれほど情報を持っていません。手軽で新機能を備えた商品がけん引したカテゴリーが上位に入っており、典型的には、5位のしわ取り剤はアイロン不要、7位の住居用クリーナーは洗剤スポンジ一体型などとなっています。トップランキングではありませんが、このあたりの新機能商品には私も注目しています。

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続いて、逆に、インテージのサイトから 2026年上半期の金額前年比・下位ランキング のテーブルを引用すると次の通りです。ワースト1位の検査薬は前年の80%となり、新型コロナ用の抗原検査キットの需要減が主因のようです。2位の鎮咳去痰剤も83%、4位のマスクは86%、5位の体温計の87%、9位の総合感冒薬の90%なども新型コロナ時の需要の反動があるのではないか、とインテージでは指摘しています。また、よく似たカテゴリながら、3位の強心剤の86%、11位のビタミンB1剤の91%は外国人旅行客に人気だったようです。でも、需要が一巡した可能性があるようです。もっとも注目の高かったのは10位の米の90%といえます。実は、昨年の売れたものランキングでは1位だったのですが、逆に、今年上半期には大きくランクを劣りています。それでも、コロナ禍前の2019年に比べると1.7倍と2倍近いの販売金額になっています。

私なりに近場の地場スーパーを見て回ると、麦芽飲料なんて、ほとんど置いていません。まあ、東京のお話なんでしょうね。

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2026年7月 2日 (木)

初等中等教育で自宅で勉強しない子が増えている

一昨日の6月30日、ベネッセ教育総研から「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」の結果が明らかにされています。東京大学社会科学研究所との共同研究プロジェクトだそうです。まず、【調査結果サマリー】をリポートから手短かに5点引用すると次の通りです。

【調査結果サマリー】
  1. 学校外の学習時間の変化 - この11年で1日あたりの学校外の学習時間は約2割減少
  2. 学習意識の変化 - この11年で「勉強が好き」が減少し、「何のために勉強しているのかわからない」が増加
  3. 成績上位層は下位層に比べて宿題以外の家庭学習時間が長く、経年では上位層と中・下位層との差が拡大
  4. 社会経済的地位(SES)により宿題以外の家庭学習時間に大きな差があり、経年ではSESによる差が拡大
  5. この11年で宿題以外の家庭学習をしない子ども(家庭学習0分層)が10ポイント前後増加し4~5割に

私は大学という高等教育機関の教員であり、本調査が対象としている初等中等教育でなないのですが、その中等教育である高校を卒業した学生が入学してくるわけですので、それなりに気がかりではあります。特に、【調査結果サマリー】の3.4.5.のあたりです。グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。

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まず、リポートから 図3-1 学校外の学習時間 (学校段階別/成績別、2025年データ) を引用すると上の通りです。あまりにも当然なのですが、成績上位層は下位層に比べて学校外の学習時間が長く、宿題以外の家庭学習時間の差が大きい、という結果が示されています。基本的には、学習時間が長いことが原因であって、その結果として成績が上位である、と考えるべきでしょうが、因果関係は逆かもしれません。興味深いのは、学年別の上位層と下位層の差ではなかろうか、と私は考えています。すなわち、低学年の小1~3生ではそれほど大きな差がない一方で、高学年の小4~6生では差が拡大しています。おそらく、中学受験する子がいるのがひとつの要因ではないか、と私は推測しています。ですので、中学校ではこの差が縮小します。ほぼほぼすべての中学生が高校受験をするからだと思います。そして、高校生になると再び差が拡大します。大学受験を目指す生徒と就職する生徒の差ではなかろうか、と私は受け止めています。

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続いて、リポートから 図4-1 学校外の学習時間 (学校段階別/SES別、2025年データ) を引用すると上の通りです。なお、SESとはSocio-Economic Status の略となっています。所得だけでなく、保護者の学歴・職業・世帯年収をもとに各層が25%ずつになるように、L層(Lowest層)、LM層(Lower Middle層)、UM層(Upper Middle層)、H層(Highest層)に分類しているようです。上のグラフではLM層、UM層を省略し、4分位のうちの最下層と最上層だけをプロットしています。見れば明らかな通り、宿題以外の家庭学習の時間に大きな差があります。これも、高校受験はほぼほぼすべての中学生が目指している一方で、中学受験する小学生や大学受験を希望する高校生は、決して全員ではない、という理由により小4~6生と高校生で差が大きくなっているような気がします。

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最後に、リポートから 図5-1 宿題以外の学習をしない子ども(家庭学習0分層)の出現割合の変化 (学校段階別) を引用すると上の通りです。これはショックな結果であり、何と、高校生が小学生や中学生よりも宿題以外の学習をせず、家庭学習0分の子の割合が高くなっています。繰返しになりますが、ひとつの要因としては、高校が最後の学校になって就職する子がいる点があります。ですので、大学に進学を希望する高校生の半分強が宿題以外の家庭学習をしないとは考えられませんが、まあ、ショックな内容でした。

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2026年7月 1日 (水)

大企業製造業の業況判断が5期連続で改善した6月調査の日銀短観

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から+5ポイント改善して+22、また、大企業非製造業でも+1ポイント改善の+37となりました。また、本年度2026年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比+6.8%増に上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、5四半期連続で改善 日銀6月短観
日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感が5四半期連続で改善した。中東情勢の緊迫に伴うエネルギー価格の上昇が重荷となるなか、半導体など人工知能(AI)関連需要の増加が景気を支えている。
大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回3月調査から5ポイント改善しプラス22だった。約8年ぶりの高水準となった。大企業非製造業の業況判断DIは3月調査から1ポイント改善のプラス37となった。1991年8月以来となる約35年ぶりの高水準を記録した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。回答期間は5月28日~6月30日。対象企業の99%が回答した。6月11日までにおおむね7割の回答があった。米国とイランの停戦合意を織り込む動きは限定的という。
民間エコノミストの予測では大企業製造業、大企業非製造業ともに悪化を見込んでいた。
大企業製造業では半導体やデータセンターといったAI関連需要が堅調に推移し、幅広い業種の景況感の改善につながった。一部では資材などの調達を前倒しする動きもみられた。業種別にみると、非鉄金属が13ポイント改善のプラス36、生産用機械が10ポイント改善のプラス36、業務用機械が8ポイント改善のプラス23だった。
中東情勢の緊迫によるエネルギー上昇が重荷となる窯業・土石製品は14ポイント悪化のプラス11、金属製品が5ポイント悪化のプラス11、自動車が1ポイント悪化のプラス12となった。
大企業非製造業では、人件費などを販売価格に転嫁する動きや堅調なインバウンド(訪日外国人)需要が景況感の改善につながった。業種別でみると、宿泊・飲食サービスが12ポイント改善のプラス46、小売が7ポイント改善のプラス33だった。
一方、原材料や人件費の上昇による影響を受け、建設が3ポイント悪化のプラス52、不動産が3ポイント悪化のプラス52となった。
先行きの景況感は大企業製造業が5ポイント悪化のプラス17、非製造業が9ポイント悪化のプラス28を見込む。供給網の混乱に伴うコスト上昇や物価上昇による個人消費の鈍化、深刻な人手不足が懸念材料となる。
企業の事業計画の前提となる26年度の想定為替レートは全規模・全産業で1ドル=152円57銭だった。前回調査は26年度で150円10銭で、やや円安方向に修正された。輸出企業の収益改善につながる可能性がある。

いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事の4パラ目にあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、大企業製造業・非製造業ともにが前回3月調査から▲1ポイント悪化すると予想されていました。本日公表された大企業製造業の景況判断DIの+22という実績は、市場の事前コンセンサスを大きく上回って、少なくとも私には大きなサプライズでした。ただ、先行きについては大企業・中堅企業・中小企業の規模を問わず、また、製造業・非製造業の産業を問わず、業況判断指数DIが悪化する見込みとなっています。日銀のサイトによれば、回収基準日は6月11日ということですので、米国とイランとの停戦署名の少しまえながら、米国とイスラエルによるイラン攻撃やその結果としての中東の武力紛争の先行き見通しが、かなり楽観的な方向に向かっていたのであろうと、私は想像しています。したがって、日銀はこういった強気の企業マインドを背景に、年内利上げを目指すのではないか、と私は想像しています。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学における生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としては過剰感がほぼ払拭されました。特に、雇用人員については足元から目先では不足感がますます強まっている、ということになります。特に、雇用人員の過不足感については、グラフを見ても理解できる通り、大企業・中堅企業・中小企業ともコロナ禍前の人手不足感を上回っています。今春闘での賃上げが高水準だった背景でもあります。春闘賃上げ率を概観しても理解できる通り、ようやく、名目賃金が物価上昇以上に上昇して、実質賃金が安定的に上向くという段階に達しつつあるように見えます。ただし、いまだに、不足しているのは低賃金労働者であって、賃金や待遇のいい decent job においてはそれほど人手不足が広がっているわけではない可能性がある、と私は想像しています。加えて、我が国人口がすでに減少過程にあるという事実が、かなり印象として強めに企業マインドに反映されている可能性があります。ですから、生つ日に対しては雇用ほどの逼迫感がないという点もあわせて考えると、非正規雇用のような低スキル、したがって、低賃金労働者が不足しているだけであって、外国人を含めて低賃金労働の供給があれば、生産要素間で代替可能な設備はそれほど必要性高くない、ということの現れである可能性が十分あるのではないかと感じます。

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続いて、設備投資計画のグラフは上の通りです。日銀短観の設備投資計画のクセとして、今回の3月調査は年度始まりの前の時点ですので、まだ年度計画を決めている企業が少ないためか、マイナスか小さい伸び率で始まった後、6月調査で大きく上方修正され、景気がよければ、9月調査ではさらに上方修正され、さらに12月調査でも上方修正された後、その後は実績にかけて下方修正される、というのがあります。今年度2026年度の設備投資計画の推移は昨年度2025年度や一昨年度2024年に近い推移を示していることがグラフからうかがわれます。すなわち、今回の6月調査では全規模全産業で+7%増近いのプラスの伸びが計画されています。ただ、中東の武力紛争などについての先行き不透明感が大きく、この先、9月調査や12月調査などでこの6月調査よりも上積みされるかどうかは不明です。もっとも、AI活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)、カーボンニュートラルを目指したグリーントランスフォーメーション(GX)、さらに、グローバリゼーション=国際化などに対応した投資がいよいよ本格化しなければ、ますます日本経済が世界から取り残される、という段階が近づいているような気がして、設備投資の活性化を期待しています。

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最後に、本日、内閣府から6月の消費者態度指数が公表されています。6月統計では、前月から+0.2ポイント上昇し33.8を記録しています。米国とイスラエルのイラン攻撃の影響で3月統計に示された消費者マインドが大きく落ち込んで、さらに、4月統計でも小幅に低下した後、5-6月統計ではごくわずかながら上昇を示しました。しかし、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「弱含んでいる」で据え置いています。ただ、消費者態度指数を構成する4項目の意識指標はすべて横ばいないし上昇しています。すなわち、「暮らし向き」が+0.8ポイント上昇し32.0、「耐久消費財の買い時判断」が+0.2ポイント上昇し24.6、「雇用環境」が+0.1ポイント上昇し38.4、「収入の増え方」は前月と変わらず40.3となっています。日銀短観に示された企業マインドはかなり改善を示していますが、消費者マインドは中東における武力紛争で急落してから回復ペースが遅くなっています。

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