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2026年7月31日 (金)

3か月連続の増産となった6月の鉱工業生産指数(IIP)と上昇傾向続く商業販売統計と底堅い雇用統計

月末日かつ閣議日である本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+1.3%の増産、3か月連続の増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+5.3%増の13兆4470億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.9%の上昇となっています。また、失業率は前月と同じ2.5%、有効求人倍率は前月から悪化して1.17倍を記録しています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産6月は1.3%上昇、3カ月連続改善 半導体製造装置などが押し上げ
経済産業省が31日に発表した6月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100)は前月比1.3%上昇し3カ月連続のプラスとなった。半導体製造装置などが好調だった。基調判断は「一進一退」で据え置いた。調査後に発生した熊本地震の影響は不明で同省は先行きには予断を持てないとみている。
結果はロイター予測(前月比0.7%上昇)を上回った。
指数を押し上げた主な品目は半導体製造装置(前月比11.1%増)、分析機器(同32.7%増)、開閉制御装置(同17.2%)など。半導体製造装置は輸出向けが増加、分析機器は医療向けが増えた。教育用ノートパソコン生産も好調だった。
一方、半導体メモリ(前月比54.3%減)などはマイナスだった。
出荷は前月比0.4%低下と3カ月ぶりにマイナスに転じ、在庫は前月比2.3%上昇と4カ月ぶりに増えた。
企業の生産計画に基づく生産予測指数は7月が前月比1.2%上昇、8月が同4.5%上昇。
調査は7月上旬に実施したため、28日に発生した熊本地震による企業の生産への影響について「7月の生産実績を見ないと先行きの判断が難しい」(経産省幹部)としている。
小売業販売6月は前年比0.5%増、新車投入効果も天候不順や購買点数減が響く
経済産業省が31日公表した6月の商業動態統計によると、小売販売額は前年同月比0.5%増となった。ロイター予測は前年比3.1%増でこれを下回った。前年と比べ休日が少なかったことや天候不順などが影響した。
業種別前年比は自動車が16.6%増だったが、他は軒並みマイナス。織物・衣服が14.8%減、燃料小売業3.3%減などだった。自動車は新車投入効果があったが、天候不順で織物・衣服販売が不振だった。ガソリン価格下落が販売にも響いた。飲食料品は値上げ効果があったものの販売点数の減少で0.5%減少した。
業態別の前年比は、百貨店1.3%増、スーパー1.3%減、コンビニ0.4%増、家電大型専門店6.9%減、ドラッグストア0.6%増。百貨店は外国人旅行客向け販売が好調だった。家電はパソコン、ゲーム機、冷蔵庫、エアコンなどが特需一巡もあり、軒並み不振だった。
6月の有効求人倍率は1.18倍に上昇、完全失業率は2.5%で横ばい
政府が31日に発表した6月の雇用関連指標は、有効求人倍率(季節調整値)が1.18倍で、前月から0.01ポイント上昇した。完全失業率(同)は2.5%と前月から横ばいだった。
ロイターの事前予測調査で有効求人倍率は1.17倍、完全失業率は2.5%が見込まれていた。
厚生労働省によると、6月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.9%増加した。半導体関連製品の需要が堅調で、電気機械器具や非鉄金属系の製造業で人材確保の動きがみられた。労働者派遣業では製造業向けの求人が増加した。
一方、有効求職者数(同)は0.1%減少した。全体は減少したものの、賃金確保のために仕事の掛け持ちや副業希望で求職登録をする動きや、より良い条件を求めた転職活動が行われているという。
厚労省の担当者は、求職者1人当たり複数の求人がある状態を示しており、雇用環境は悪くはないとの見方を示している。
総務省によると、6月の就業者数(季節調整値)は前月から36万人減少の6846万人。完全失業者数(同)は175万人で、前月から1万人増加した

いくつかの統計が公表されましたので、長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+0.7%の増産でしたし、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、6月の鉱工業生産は+0.9%の増産が予想されていましたので、実績の+1.3%の増産はやや上振れしましたが、それほどのサプライズはありませんでした。この結果だけを見ると、中東戦争の影響は小さいといえるかもしれません。ただし、引用した記事にもあるように、出荷は低下しており、生産増と出荷減という形になっています。統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から2年ほど連続して据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測指数を見ると、足下の7月は+1.2%の増産で、翌8月も+4.5%の増産ですが、指数の上振れ傾向を補正した試算値では7月は▲0.7%の減産とされています。加えて、引用した記事の最後のパラにあるように、熊本地震の影響は現時点では何とも測りがたいものがあります。九州は「シリコン・アイランド」と呼ばれているだけに、熊本地震の半導体関連への影響は小さくないものと私は想像しています。
産業や製品別に少し詳しく見ると、経済産業省の解説サイトによれば、6月統計における生産を見ると、増産方向に寄与したのは、半導体製造装置や装輪式トラクタなどの生産用機械工業が前月比+7.6%増、寄与度+0.65%、開閉制御装置やノート型パソコンなどの電気・情報通信機械工業が前月比+5.8%増、寄与度+0.48%、分析機器や汎用内燃機関などの汎用・業務用機械工業が前月比+4.7%増、寄与度+0.34%となっています。逆に、減産方向に寄与したのは、モス型IC(メモリ)や電子回路基板などのが前月比▲6.3%減、寄与度▲0.40%、ダイカストや電気銅などの鉄鋼・非鉄金属工業が前月比▲0.4%、寄与度▲0.02%、などとなっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事の最初のパラにあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+3.1%増でした。実績の+0.5%増はこれを下回っています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が徐々に縮小し、先月の5月統計では+5.3%増を記録したものの、6月統計では+0.5%増と市場の事前コンセンサスを下回る伸びにとどまりました。ただし、この伸びは、5月統計で土日祝日が前年と比べ2日多かったほか、例年より気温が高かったことから、前年同月比+5.0%増とジャンプした反動もあります。また、季節調整済み指数の前月比も▲4.1%の低下を記録していますので、5-6月で均して見る必要がありそうです。ですので、統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の6月統計までの3か月後方移動平均の前月比が▲0.2%の低下であるものの、先月5月統計で「緩やかな上昇傾向」から1ノッチ上方修正した「上昇傾向」で据え置いています。また、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、6月統計ではヘッドライン上昇率は+1.7%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.6%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の6月統計の前年同月比+0.5%増は、実質消費がマイナスになっている可能性が十分あると私は考えています。さらに、販売ですので、国内消費にインバウンドを加えたものとなっており、国内消費が商業販売統計ほど堅調であるかどうかは微妙なところかもしれません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの統計であり影を付けた部分は景気後退期を示しています。通常、失業率が遅行指標、有効求人倍率が一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率が先行指標と考えられています。なお、引用した記事にはあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスでは、完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.17倍が見込まれていました。さらに、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.5%有効求人倍率は1.17倍と、ロイターと同じ予想でした。本日公表された実績で、失業率2.5%は市場予想に一致し、有効求人倍率1.18倍は市場の事前コンセンサスをやや上回りました。ですので、雇用統計を見る限り、雇用情勢は引き続き悪くなく底堅いと私は考えています。その最大の要因は人口減少に起因する人手不足です。引用した記事にもあるように、年度替わりの4月に続いて、5月も引き続き雇用市場は活発化しているように見えます。新規求人数や有効求人倍率のグラフなどから、雇用の改善はピークを超えた可能性が示唆されていると考えるべきですが、少なくとも、従来の経験からして、景気後退局面での雇用の悪化はもっと急速なスピードで現れます。現在の統計を見る限り、景気後退局面での雇用悪化とはかなり違っている、と私は受け止めています。

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