大型案件の反動で大きく減少した5月の機械受注
本日、内閣府から5月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲12.4%減の9620億円と、2か月ぶりの減少を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
5月の機械受注12.4%減、2カ月ぶりマイナス 判断「持ち直し」維持
内閣府が15日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶と電力除く季節調整済み)は前月比で12.4%減の9620億円だった。2カ月ぶりに減少した。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は4.1%減だった。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。4月が8.7%プラスだったことを踏まえた。月ごとのぶれをならした3カ月移動平均は4.8%減だった。
製造業は4372億円と前月から14.9%減った。マイナスは2カ月ぶり。製造17業種のうち9業種がマイナスだった。造船業は4月が160.7%増だった反動で80.5%減り、全体を押し下げた。電気機械は12.0%減だった。
非製造業は9.3%減の5169億円で2カ月ぶりに減少した。運輸業・郵便業の23.3%減が響いた。4月に大型案件があった鉄道車両の受注が落ち込んだ。
農林漁業は24.2%減った。農林用機械の需要が一服したとみられる。政府が「令和のコメ騒動」を受けてコメ増産方針を一時掲げたことで受注が増えていた。
包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは次の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事の2パラ目で「QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は4.1%減だった。」とありますが、私が調べた範囲で、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比▲4.2%減が見込まれていました。予想レンジ下限は▲6.7%減でした。また、ロイターの記事では「ロイターの事前予測調査では前月比4.2%減と予想されており、結果はこれを下回った。」とあります。いずれにせよ、実績の▲12.4%減は、市場の事前コンセンサスを大きく下回り、ちょっとしたサプライズと私は受け止めています。ただし、報道を見ても、先月4月統計にあった「大型案件」への反動との言及がなされており、関西の片田舎に住む私には詳細不明ながら、そもそも先月4月統計の大幅増がサステイナブルな増加ではなかった可能性があります。加えて、上のグラフでも読み取れるように、移動平均で見たトレンドではまだ増加を示しています。いずれにせよ、統計作成官庁である内閣府のプレスリリースでも、基調判断について「5月の減少は先月8.7%増加した後の単月の動きであることを踏まえ、基調判断は『持ち直しの動きがみられる』に据置きとした。」と明記しています。もう少し時間が経ってからの判断変更でもいい、と私も考えています。なお、業種別に前月比で見て、引用した記事の後半でミョーに詳しく報じていますが、製造業が前月比▲14.9%減、船舶・電力を除く非製造業も▲9.3%減でした。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があります。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが軽く予想されますし、DXやGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまう可能性が否定できません。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心で、何度か政策金利が引き上げられて今では1.0%に達し、12月にも追加利上げが予想されていますし、市場における積極財政の評価もあって、長期金利はかなり高い水準にまで上昇しています。為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。
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