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2026年8月18日 (火)

9回土壇場の逆転サヨナラでヤクルトに勝利

  RHE
ヤクルト010000000 190
阪  神100000002x 370

【ヤ】 吉村、星、清水 - 古賀
【神】 村上、及川、湯浅、桐敷 - 坂本

土壇場9回に佐藤輝選手のソロで追いつき、5番大山選手のソロでヤクルトにサヨナラ勝ちでした。
先発の村上投手はいつになく苦しいピッチングで毎回ピンチを背負い、1回に先制した後、すぐに2回に追いつかれますが、その後も粘り強く6回1失点で投げ切ります。その後は、及川投手、湯浅投手、桐敷投手とつないでヤクルト打線をゼロに抑えます。阪神打線は、初回に佐藤輝選手のタイムリーで先制した後、2回から8回は散発3安打に抑えられていましたが、9回にクリンナップの佐藤輝選手と大山選手の2発でサヨナラでした。

明日も、
がんばれタイガース!

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中東戦争に起因するナフサ供給の現状やいかに?

カルビーポテチの包装などで注目されたナフサの供給、特に、中東戦争に起因するナフサ供給の現状について、国内最大の物流ニュースサイトを自任しているLOGISTICS TODAYから8月14日付けで「中東7割から1割へ、ナフサ供給網の半年」と題する記事が明らかにされています。編集長による署名記事です。まず、LOGISTICS TODAYのサイトから記事の最初のパラだけを引用すると次の通りです。

中東7割から1割へ、ナフサ供給網の半年
ホルムズ海峡の実質封鎖からまもなく半年。この間、国内のエチレン設備は減産を重ねたが、原料が尽きて止まる事態は避けられてきた。ただし、それを支える供給網は半年前と同じものではない。輸入ナフサに占める中東の比率は2024年時点の73.6%(石油化学工業協会の集計)から26年5月には1割前後へ下がり、船は片道1か月前後から50日をかけて太平洋と大西洋を回ってくる。危機の焦点は「止まるかどうか」から「どう作り替えるか」へ変わった。海峡から国内の倉庫まで、ナフサのサプライチェーンの現在地を通しで点検する。

続いて、LOGISTICS TODAYのサイトで示されているナフサ関係のテーブル3点のうち、最初の2枚、すなわち、ナフサ供給網、半年の変化 と ナフサ価格3系列の現在地 を雑に結合させると次の通りです。

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以下、私はこの方面にそれほど見識も情報もないので、LOGISTICS TODAYのサイトに基づくと、ホルムズ海峡の通過に関しては、「8月10日の通航は6隻、11日は8隻、13日も9隻にとどまり、危機前の1日130-140隻を大幅に下回る」と指摘しています。ホルムズ海峡ではなく、「地中海から日本へLR2型を喜望峰回りで送ると航海が19日延び、燃料費だけで60万ドルほど増える」とも言及しています。また、詳しくない私でも、ナフサは国産が4割ほどを占めていて、輸入は6割ほどに過ぎない点は知っていますが、それでも、ナフサ輸入のうち中東からの輸入が70%を超えてほぼ3/4に達しますが、最近時点では上のテーブルの3行目にある通り、中東からの輸入は1割程度まで減少を見せているようです。したがって、下のテーブルに見られるように、国産ナフサをはじめとしてナフサ価格が高騰して、上のテーブルに戻って、石油化学工業におけるエチレン稼働率は低下しています。

最後に、私が大学で初歩的な経済学を教えている時によく感じるのですが、経済学に関する専門知識がないと、今回のナフサ供給などに関して、いきなり量的な調整過程を思い浮かべる向きがあります。すなわち、「ナフサがなくなるとタイヘンだ」という反応です。これに近いのは食料自給率と食料輸入に関する見方で、自給率40%弱なら食料が輸入できないと半分以上の日本人が餓死するんではないか、という見方です。どちらもそんなことは起こらず、まず、量的に供給が減少すれば価格が上昇して節約が進む、という観点を見落としています。それがミクロ経済学のいう均衡の実現です。加えて、最後の最後に、とっても、天邪鬼な考えながら、ナフサは石油化学工業の原材料であり、要するに、プラスチック生産が減少するのは、ただ単にプラごみ減少の観点からは決して悪くありません。ただ、そういった産業で生産する財やサービスを需要する人々が確実にいるわけですし、そういった産業から所得を得ている人も忘れるべきではありません。

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2026年8月17日 (月)

プラス成長とはいえ内容の悪い4-6月期GDP統計速報1次QE

本日、内閣府から4~6月期GDP統計速報1次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.3%増、年率換算で+1.1%増を記録しています。プラス成長は3四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+2.6%、国内需要デフレータも+2.9%に達し、3年近く11四半期連続のプラスのインフレとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると次の通りです。

4-6月の実質GDP年率1.1%増 3四半期連続プラス
内閣府が17日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.3%増、年率換算で1.1%増だった。輸出が伸びて、3四半期連続のプラス成長となった。
QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率2.2%増だった。
前期比での実質成長率に対する寄与度をみると、内需はマイナス0.2ポイントで3四半期ぶりのマイナスとなった。輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.5ポイントで3四半期連続のプラスとなった。輸入減による外需の押し上げの影響が大きかった。
輸入が1.5%減で2四半期ぶりのマイナスだった。ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原油輸入の一時的な急減が響いた。輸入はGDPの計算から差し引くため、マイナスになればGDPを押し上げる要因になる。輸出は0.5%増と3四半期連続のプラスとなった。特許権の譲渡など研究開発サービスが増えた。
GDP上は輸出に区分するインバウンド(訪日外国人)消費は9.7%減となった。6月の台風で航空便で欠航が相次いだ影響などがあった。
GDPの半分を占める個人消費は0.02%減と8四半期ぶりのマイナスとなった。宿泊料や飲食も振るわなかった。中東情勢の緊迫で消費者心理が悪化した影響もあるとみられる。4月から値上げがあったたばこが減った。高校での授業料の無償化が広がった影響で授業料も減少した。
自動車やエアコンはプラスに寄与した。政府が3月末に自動車税の「環境性能割」を廃止して販売価格が下がった影響や、2027年4月からエアコンの省エネ基準が厳しくなり価格が上がるとの予測から駆け込み需要があったとみられる。
設備投資は1.2%減で2四半期連続マイナスとなった。研究開発サービスが減少した。フラットパネルディスプレー製造装置などの生産用機械はプラスだった。住宅投資は0.5%減と3四半期ぶりにマイナスだった。
政府消費は1.6%増と5四半期連続でプラスだった。医療費のほか高校の授業料や小学校の給食費の無償化により支出が増えた。公共投資は0.1%減で2四半期ぶりの減少となった。
民間在庫は成長率に対してプラス0.3ポイントのプラス寄与となった。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比2.6%上昇した。
名目GDPは前期比1.2%増、年率換算で4.8%増だった。GDPの実額は年換算で実質が598兆2880億円、名目が687兆7182億円だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2025/4-62025/7-92025/10-122026/1-32026/4-6
国内総生産GDP+0.2▲0.4+0.2+0.5+0.3
民間消費+0.1+0.5+0.1+0.5▲0.0
民間住宅+0.5▲8.0+5.0+0.9▲0.5
民間設備+1.4▲0.3+1.3▲1.0▲1.2
民間在庫 *(▲0.2)(▲0.2)(▲0.4)(▲0.1)(+0.3)
公的需要+0.4▲0.0+0.2+0.6▲0.8
内需寄与度 *(+0.2)(▲0.3)(+0.2)(+0.2)(▲0.2)
外需(純輸出)寄与度 *(▲0.0)(▲0.2)(+0.1)(+0.3)(+0.5)
輸出+1.6▲1.4+0.1+1.7+0.5
輸入+1.8▲0.6▲0.1+0.3▲1.5
国内総所得 (GDI)+0.8▲0.4+0.3+0.3+0.0
国民総所得 (GNI)+0.6+0.2▲0.2+0.4▲0.4
名目GDP+1.8+0.3+0.9+0.7+1.2
雇用者報酬 (実質)+0.3+0.3+0.5+0.4+0.8
GDPデフレータ+3.2+3.5+3.4+3.2+2.6
国内需要デフレータ+2.6+2.8+2.6+2.4+2.9

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは水色の民間設備くらいで、少し見づらいのですが、マイナス寄与は緑の民間住宅、灰色の民間在庫、黒の純輸出となっています。

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引用した記事の2パラ目にある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前期比年率で+2.2%のプラス成長であり、予想レンジの下限が年率+1.0%ということでしたのでレンジ内ながら、実績の年率+1.1%の伸びはプラス成長とはいえ、物足りない印象でした。先週金曜日に1次QE予想を取りまとめた際に、私自身も大雑把に年率換算で+2%近くのプラス成長と考えていただけに、大きなサプライズはなかったものの、下振れした印象です。ただ、景気実感としてはある程度合致するとみる向きもあり、その大きな原因は国内総所得(GDI)の伸びがゼロ、国民総所得(GNI)に至っては▲0.4%のマイナス、という事実にあります。実質GDP成長が+0.3%である一方で国内総所得(GDI)や国民総所得(GNI)が停滞しているわけです。典型的にはGDPコンポーネントで、内需の寄与度が▲0.2%に対して、外需が+0.5%、しかも、輸入の減少により寄与度で+0.3%も稼ぎ出しています。国内経済が伸び悩んで、というか、停滞して、控除項目の輸入が減少した結果、外需を含めたGDPがプラス成長しているわけです。典型的な縮小均衡のパターンといえます。加えて、内需のトータルで▲0.2%のマイナス寄与ながら、在庫が+0.3%のプラス寄与を示しています。在庫が積み上がっていると考えるべきです。内需の中でも重症なのは設備投資です。季節調整済みの前期比で見て、1~3月期に▲1.0%、本日公表の直近の4~6月期には▲1.2%のマイナスを記録しています。ふたたび、企業部門が貯蓄超過を大きくするような企業行動を始めている可能性があります。現在の高市総理のもとでの投資促進政策がよろしくないのか、それとも、こういった企業マインドや企業行動だからこそ投資促進政策が必要なのか、現時点では何ともいえません。前四半期の1~3月期までは景気の回復基調に大きな変化はなかった、というのが多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスだと思いますが、プラス成長とはいえ、本日公表の4~6月期のGDP統計速報1次QEを見て、少し考えを変える人も出そうな気がします。少なくとも、私自身は日本経済が米国抜きでもリセッションに向かって進んでいるかどうかを見極めたいと考えています。

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上のグラフは、GDPデフレータ、民間消費デフレータ、国内需要デフレータについて、それぞれの季節調整していない原系列の前年同期比上昇率をプロットしています。GDPデフレータ、民間消費デフレータ、国内需要デフレータがすべて+2%超の上昇を示しています。ただ、直近4~6月期の動きは、GDPデフレータの伸びが減速している一方で、民間消費デフレータと国内需要デフレータは加速しています。典型的に、GDPの控除項目である輸入において価格上昇が見られているのだと考えるべきです。輸入デフレータが上昇して、国内物価に波及することが考えられるからです。価格上昇が転嫁される結果、物価上昇が消費をはじめとする国内需要を抑制する効果を持ちます。中東戦争の先行きが不透明なだけに、我が国景気の先行きも不確かな部分が多いと私は感じています。

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2026年8月16日 (日)

何とか勝って3タテを免れる

  RHE
阪  神200000222 8130
広  島000010000 131

【神】 伊原、木下、ドリス、岩崎、及川 - 坂本
【広】 森、辻、菊地、塹江、黒原 - 石原、持丸

ジャイアンツ戦疲れが出て2連敗した後、今夜は何とか勝って、3タテを免れました。セ・リーグ最下位の広島相手にひどく苦戦した3連戦でした。
先発の伊原投手は5回をモンテロ選手のソロの1点に抑えます。6回からは木下投手、っどリス投手、岩崎投手、及川投手と継いで、終盤大量得点で押し切りました。打つ方は、佐藤輝選手のツーランで先制し、終盤は着実に得点を積み上げました。新クローザーの期待がかかる工藤投手は温存されました。

京セラドームのヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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帝国データバンク「令和8年熊本地震の影響と防災に関する企業アンケート」

一昨日の8月14日、帝国データバンクから「令和8年熊本地震の影響と防災に関する企業アンケート」の結果が明らかにされています。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを引用すると次の通りです。

SUMMARY
令和8年熊本地震による自社の企業活動への影響について、『影響がある(見込み含む)』とする企業は15.7%となった。設備や建物の損傷といった直接的な被害に加え、販売機会の減少や仕入れ・出荷の遅れなどの影響がみられている。また、今回の地震を受けて、何らかの防災対策を新たに導入、または見直したいと考えている企業は84.6%となった。なかでも、社内連絡網や避難行動マニュアルの整備などが上位にあがり、人命の安全確保や迅速な初動対応を重視する姿勢がうかがえた。

熊本地震に続いて、先週は千葉で大雨被害も出ていて、自然災害が今夏は目立つところ、グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。

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まず、帝国データバンクのサイトから 企業活動への影響の有無 のグラフを引用すると上の通りです。見れば明らかで、「現時点で影響はない」が75%近くを占めています。他方で、「影響がある(見込み含む)」は15.7%にとどまっています。しかし、九州に限定すれば、「影響がある(見込み含む)」企業割合は、何と、53.9%に上ります。

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続いて、帝国データバンクのサイトから 新たに導入/見直したい対策 のグラフを引用すると上の通りです。今回の令和8年熊本地震では、日本製紙八代工場の煙突が倒壊して従業員ら9人が犠牲になったり、イオンモール熊本で爆発事故により7人が亡くなったりと、企業防災が強く意識されました。上のグラフは複数回答の結果ですが、見て明らかな通り、4番目に「飲料水、非常食、防災用品などの用意」が37.3%となった以外、トップファイブは、「社内連絡網の整備・確認」が45.0%でもっとも大きな割合を占め、次いで、「災害時の避難行動マニュアルの整備」が38.5%、「社内対応体制の整備・ルール化」が37.8%、また、「安否確認体制・システムの整備」が33.0%などが上げられています。帝国データバンクでは、「安全確保や迅速な初動対応を重視する姿勢」がうかがえると指摘しています。

最後に、今日の午後は甲子園の高校野球をテレビ観戦しているのですが、本日の第2試合で被災地の熊本代表有明高校は初出場ながら、準々決勝に勝ち上がりベスト16に進出しています。多くの善良な日本人はすっかり忘れていると思ますが、1回戦は私がイチ推しだった立命館宇治高校に最終回9回に大逆転勝ちをしています。郷土の代表であり、同時に勤務校の立命館大学の付属校を応援していたわけです。勝負は時の運とはいえ、1回戦は被災地代表の初出場校の引立て役に回った感がありましたが、実は、有明高校というのはかなり強いのかもしれない、と考えを改め始めています。

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2026年8月15日 (土)

今週の読書はちょっと異論ある経済書のほか計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、飯倉穣『なぜ日本経済は停滞したのか』(エネルギーフォーラム)では、バブル崩壊以降の日本経済の停滞について、高度成長を支えた理論として有名な下村治博士の下村理論の視点から再検討を加えようと試みていますが、どうも、緊縮財政による財政収支の追求にしか私には見えませんでした。続いて、渡邊勉『調査票のなかの「戦争」』(勁草書房)では、1951年に実施された京浜工業地帯の労働者1万4千人余りに対する調査結果から、男性の割合が高い集団の中で、戦争体験から、徴兵、引揚、戦災といった戦争体験をした労働者、逆に、戦争体験のない労働者、ほかの人生を後づけています。続いて、村上春樹『夏帆』(新潮社)では、浦和の小児科医の一人娘として生まれ育ち、美大を卒業して絵本やデザインで生活している26歳の女性、とびきり美しくも賢くもなく、ただ少しばかり好奇心が強い主人公の夏帆が、ブラインドデートで「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」といわれてしまいます。続いて、スティーヴン・キング『チャックの数奇な人生』(文藝春秋)には2編の中編が収録されていて、表題作の「チャックの数奇な人生」では、世界に終末が迫り、カリフォルニアの半分が海に没した時期に「ありがとう、チャック!」と書かれた看板広告が至るところに出現します。依田高典『ノーベル賞で語る 現代経済学』(中公新書)では、ノーベル経済学賞の受賞者について、賞創設後の基礎理論への授賞から始まって、1970年代の石油危機やそれに伴うインフレに際してケインズ経済学に疑問が生じ、新自由主義的な色彩の強いシカゴ学派が台頭する歴史が後づけられています。続いて、杉谷和哉『エビデンスの罠』(PHP新書)では、「賢慮」という耳慣れない言葉をひとつのキーワードにしつつ、エビデンスと物語=ナラティブを対比させ、統計的なトリックやデータの嘘について議論する一方で、同時に、フェイクについては警鐘を鳴らしています。カーター・ディクスン『赤後家の殺人』(創元推理文庫)では、ヘンリー・メリヴェール卿が「部屋が人を殺す」というマトリング邸の後家部屋の謎について、カードで選ばれた人物が部屋にこもるという実験に参加し、実際に密室で毒殺された殺人事件の謎の解明に当たります。
今年2026年の新刊書読書は、1~7月の半年で177冊、8月に入ってから先週までの12冊と今週の7冊を加えて合計196冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、飯倉穣『なぜ日本経済は停滞したのか』(エネルギーフォーラム)を読みました。著者は、日本開発銀行、すなわち、現在の政策投資銀行のOBであり、設備投資研究所長も務めています。本書は、タイトル通りに、現在、というか、バブル崩壊以降の日本経済の停滞について、高度成長を支えた理論として有名な下村治博士の下村理論の視点から再検討を加えようと試みています。戦後1945-54年の復興期から始まって、コロナによる経済停滞の時期まで編年体で10部、それに今後の展望を加えて11部の構成となっています。ただし、下村理論が何かについては、たぶん、ご著者が十分理解しているだけに読者への解説があまりなく、ようやく今世紀の第7部に入って、p.397から数ページに渡って概観されているだけのような気がします。景気循環とはビミョーに異なる「景気変動」という用語を用いて簡単に解説されています。すなわち、有効需要が有効産出を上回れば需要超過であり景気は回復ないし拡大し、逆の場合は供給超過で景気は下降します。この当たり前の景気循環論に投資の二重性、すなわち、投資は需要項目であると同時に、生産能力を拡大するという見方を組み合わせたのが下村理論、として言及されています。貯蓄率に加えて、回帰支出率、すなわち、生産物に対して生産維持に必要な支出の割合と投資の感応係数の大きさなどを考慮して景気動向を判断するということなのですが、詳細は本書をお読みいただくしかありません。こういった観点から、戦後80年近く、すなわち、1945-2024年の日本経済の動向を分析しようと試みています。はい、当然ながら、1950-60年代の高度成長期までは、下村理論の通りに日本経済は動いており、1970年代の石油危機あたりから軌道を外れ、1990年代初頭のバブル経済崩壊からは、完全に下村理論の枠外となっているように見えます。特に、アベノミクスの金融政策に依存した経済政策運営が本書では強く批判されています。その意味で、私の理解する限り、下村理論とは1980年代からの実物的景気理論(RBC)に近い印象なのですが、いかんせん、私自身が下村理論をそれほどよく理解していない上に、下村理論そのものの理論的解説が少ないので、それほど大きな自信はありません。最後の今後の展望を示した第11部については、雇用を重視する政策運営という以外に、私はまったく理解がはかどりませんでした。本書の冒頭では、終戦直後に累進制の財産税1000億円の1回限りの徴収により、推定GDP比2.5倍あった2174億円の国債残高を1270億円まで償却した(p.13)、とあり、最後の第11部では、経済と財政の均衡を回復させるための大規模なマクロ経済調整によって、実質的な経済水準が10%以上低下することは不可避(p.595)とあります。やや常軌を逸した緊縮財政を志向しているように見えるのは、私だけでしょうか。

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次に、渡邊勉『調査票のなかの「戦争」』(勁草書房)を読みました。著者は、関西学院大学社会学部教授であり、本書はシリーズ「数理・計量社会学の応用」の一環として出版されています。冒頭に明記してあるように、本書のテーマな戦争です。終戦から6年後の1951年に京浜工業地帯の労働者1万4千人あまりに対して実施したデータを基に、国勢調査データなどと比較しながら分析を進めています。基本的に、記述統計を中心として、一般読者にも判りやすく分析している印象です。冒頭に個票から一定の特徴ある個人の生涯を抜き出していますが、第2章以降では戦争体験、すなわち、徴兵、引揚、戦災、といった戦争体験の有無などに基づくコーホート別の分析なども示しています。地域の特性からして全国平均よりも男性の割合が高い集団の中で、戦争体験から、徴兵、引揚、戦災といった戦争体験をした労働者、逆に、戦争体験のない労働者、エリートたち、女性、のグループで個人的な人生を後づけています。しかし、個々人の状況を個票から見る限りでは、不平等については把握できません。ですので、まず、グループとしては引揚者の割合を見ていますが、京浜工業地帯ではかなり低い割合にとどまっています。それについての合理的な解釈も示されていますが、そのあたりは本書の読ませどころですので、読んでみてのお楽しみです。また、1948年に転居や転職が一時的な増加を示している点も解釈が示されています。漠然とした理解ながら、繊維産業の比重がそれなりにある阪神圏や名古屋圏と違って、京浜工業地帯はいわゆる重工業が集積していて、大規模工場があって、男性労働者の比率が高い、という特徴は垣間見えます。加えて、地理的な条件から東日本、東北や信越地方の出身者が少なくないのも事実です。その上で、第3章では性別、年齢、職業、産業、企業規模という属性から労働者を7つのクラスタに分けて、p.97表3-1とp.98表3-2に基づく分析を示しています。本書前半のハイライトと私は考えています。第4章からはライフコースの分析となります。おそらく、当時は就業者の半分近くが農民でしたから、出身は第1次産業が多いのは当然です。ライフコースのパターンとともに、徴兵、引揚、戦災といった戦争体験も確率的に示されています。戦争経験者のうち、徴兵者の特徴はかなり明確だと思われますので、私自身は引揚者、逆にいえば、外地に赴いた者の特徴に興味がありましたでも、本書によれば、外地居住者と引揚者の間にかなり大きなズレがある、ということのようです。第6章では、戦争体験者、すなわち、徴兵、引揚、戦災の戦争経験者は、非経験者よりかなり所得が高い結果が示され、本書でも「にわかには信じがたい」(p.176)とされていて、そういった謎解きもなされています。第7章の女性の戦後、終章については読んでみてのお楽しみとしますが、調べればすぐに判ることながら、終章のタイトルは「戦争とは人びとを選別するシステムである」となっています。私が以前から主張しているように、戦争はみんなを不幸にするわけではありません。はい、戦争で得をする人がいて、そういった戦争で得をする人が戦争を始めるのです。その点は忘れるべきではありません。

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次に、村上春樹『夏帆』(新潮社)を読みました。著者は、日本人で3番目のノーベル文学賞が待望されていて、日本でもトップクラスの小説家です。ですので、出版社でもこの作品への期待は大きいようで、特設サイトが開設されています。小説の主人公はタイトル通りに夏帆です。現在はさいたま市となった浦和にある小児科の開業医の1人娘として育ち、美大を卒業して絵本やデザインで生活している26歳です。とびきり美しくも賢くもなく、ただ少しばかり好奇心が強い、という性格です。足立区の花畑に住んでいたのですが、ブラインドデートでBMWのモーターサイクルに乗るお相手の佐原から「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」といわれてしまいます。それで、まあ、何と申しましょうかで、お告げのようなものがあって、武蔵境に引越します。JRの駅からかなり離れた一軒家を借り、その地下に住みついたありくい、そうです、表紙にシルエットのあるありくいの奥さんからの情報に基づいて、ファンタジーの世界が繰り広げられます。ただし、このファンタジーの世界は、『街とその不確かな壁』にはなく、『騎士団長殺し』にさかのぼるような、やや「暴力的」な傾向のある村上作品のファンタジーです。もっと前の作品を持ち出せば、『海辺のカフカ』につながっているともいえます。ただし、ファンタジーや幻想ではなく、現実の物語から外れた主人公の夏帆が心のなかで体験している感情のメタファーという見方もできようか、という気がします。その意味でも、村上春樹によるこの傾向の小説の頂点は、明らかに、『海辺のカフカ』だろうと思います。特に、暴力的という意味では、本書におけるとぎやの店主や母親に取り憑いたアマゾンの怪物と対決するシーンは『1Q84』で主人公の青豆が教祖を倒すシーンと重なります。最後に、最近、「ドライブ・マイ・カー」がひとつの話題になって、村上春樹作品の映像化が進んでいるような気がしますが、この『夏帆』を映画あるいはドラマにすると、20代半ばの主人公はどなたになるのでしょうか。成瀬あかりを舞台で演じた山下美月ではなく、私は勝手に藤野涼子を推したいと思います。

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次に、スティーヴン・キング『チャックの数奇な人生』(文藝春秋)を読みました。著者は、世界的なホラー小説の巨匠です。ただし、本書はホラーというよりは、ホラーの要素はあるとしても、どちらかというと感動ストーリーに属するのではないかと考えています。2話の中編くらいの長さの小説が収録されています。「ハリガン氏の電話」と表題作の「チャックの数奇な人生」です。まず、「ハリガン氏の電話」は、『スタンド・バイ・ミー』の系統の作品であり、主人公の少年が10歳に満たないころに朗読や庭木の手入れのために、引退した大金持ちの老人宅に出入りするようになり、ロトくじで当てた3000ドルで少年が老人にiPhoneをプレゼントします。その電話は老人が死んでも少年がかけるとつながったりして、少年のある種の望みを叶えてくれたりします。「チャックの数奇な人生」は、時間をさかのぼるような構成になっていて、第3幕のチャックが死の瀬戸際にあるところから小説が始まり、第2幕、第1幕と時間をもとに戻します。第3幕の冒頭では世界に終末が迫り、カリフォルニアの半分以上が海に没して、「日本沈没」が世界レベルで生じている終末期に、「ありがとう、チャック!」と書かれた看板広告が至るところに出現します。第2幕で物語は過去へとさかのぼり、若き銀行員チャックは出張先のボストンで、ドラムを叩くストリート・ミュージシャンや失恋したばかりの若い女性と出会ったりします。2つの中編作品を読んでみて、私自身の好みとしては冒頭の「ハリガン氏の電話」がいいと感じるのですが、そこは出版社の意向として映画化されて封切られたばかりの「サンキュー、チャック」に敬意を表して、このタイトルにする方が売行きがいいと考えるのは、出版社の担当者だけではないと思います。私も売行きの観点からは同意します。最近では、吉田修一『国宝』で思い知らされましたが、少なくとも日本人の平均的なリテラシーのレベルでは、小説よりも映画の方に大きく影響を受けるということなのだろうと思います。

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次に、依田高典『ノーベル賞で語る 現代経済学』(中公新書)を読みました。著者は、我が母校の京都大学経済学部の教授です。ご専門は応用経済学だそうです。本書では、1968年から始まったノーベル経済学賞、スウェーデン国立銀行が創立300周年祝賀の一環としてノーベル財団に働きかけたことで設立され、正式には「ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」ということらしく、本書にはありませんが、私の記憶する限りで、賞金はノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行から拠出されています。そのノーベル経済学賞の受賞者について、かなり系統的に分類して戦後約80年の経済学史を後づけています。ただ、同じ京都大学経済学部教授の根井雅弘教授が10年ほど前に『ノーベル経済学賞』という本を講談社から出しています。根井教授はたぶん経済学史のご専門だったと記憶していますが、まあ、10年経ったのですから、リニューアルさせた、という感じかもしれません。本書冒頭の序章では、1968年に賞が創設される前のエコノミスト、当然、スミスに始まって、リカード、マルクス、ワルラスからケインズまでの5人を振り返り、その後、賞の創設後にミクロ経済学的な一般均衡論やマクロ経済学の分野での計量経済学などの基礎理論への授賞について解説されます。そして、1970年代の石油危機やそれに伴うインフレに際して、ケインズ経済学の有効性に疑問が生じ、そのあたりから新自由主義的な色彩の強いシカゴ学派が台頭する流れが後づけられています。今でも、私はすでに時代遅れだと感じていますが、ノーベル賞の分野ではシカゴ学派の新自由主義的な経済学が幅を利かせているような気がします。もちろん、ルイス卿やセン教授といった開発経済学の分野、あるいは、貧困や不平等の経済学も注目されますし、映画化されてヒットしたナッシュ教授によるゲーム理論、あるいは、カーネマン教授らの経済心理学から発展して来たセイラー教授の行動経済学、などなど、決して最新理論とはいえませんが、さまざまな経済学を概観しています。最近、ということになると、ゴルディン教授のジェンダー経済学、アセモグル教授らの新制度学派による経済発展論などが注目だろうという気がします。ただ、ノーベル賞ですので、いわゆるマルクス主義経済学は大きく劣勢であり、ほぼほぼ純粋なマルクス主義経済学に基づくエコノミストへの授賞はありません。最終章で、ノーベル経済学賞は受賞しなかったものの、学界に大きな足跡を残した経済成長論のハロッド教授と日本の森嶋通夫教授が「ノーベル経済学賞の忘れもの」として取り上げられています。

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次に、杉谷和哉『エビデンスの罠』(PHP新書)を読みました。著者は、岩手県立大学准教授であり、公共政策学がご専門のようです。また、本書の冒頭では何度か村上靖彦『客観性の落とし穴』についての言及があり、かなり意識しているように感じました。ただ、本書では、エビデンスとは必ずしも客観的なデータを考えているようではない印象を受けました。例えば、第1章のタイトルはエビデンスvs物語、ということで、後者の「物語」というのはいわゆるナラティブのことを指しているものと私は理解しました。ただ、この両者を対極に置いて、エビデンスを数値データ、物語をエビデンス否定と考えるのは少し疑問が残ります。いずれにせよ、本書では「賢慮」という耳慣れない言葉がひとつのキーワードになっており、数値によるマネジメントの歴史や陰謀論の問題などを取り上げ、いかにして賢明な判断が下せるかについて考えようと試みています。ただ、データに対する否定的な考えはいくつか見られ、第4章では統計的なトリックやデータの嘘についても議論しています。もっとも、同時に、さすがにフェイクについては警鐘を鳴らしており、第5章ではナラティブとの関係などを示して本書を締めくくっています。最後に、本書が意識している『客観性の落とし穴』については、世間一般でかなり浅い読み方しかなされていないように私は感じています。すなわち、エビデンスとして客観性を求めるのは決して悪いことではないが、例えば、外国人政策や福祉政策など、自分が同意しない政策の方向性が示された場合に、過度にエビデンスや客観性を求めるのは決してよい議論の態度ではない、という含意を読み取っている読者は少ないように感じます。その昔に、「誠意を見せろ」という言葉があり、手に取って見せようのない誠意ではなく、まあ、「最後は金目でしょ」という結論を導かんとするような議論の態度がありました。まさに、私が懸念しているのは、ホントに客観性やエビデンスを求めるのではなく、議論に反対するために過剰なエビデンスや客観性を要求するタイプの態度です。ですので、エビデンスそのものには期待せずに議論の勝ち負けや正しい結論に混乱をもたらすようなエビデンスの求め方、客観性の追求というものを注意すべきではなかろうか、という気がします。

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次に、カーター・ディクスン『赤後家の殺人』(創元推理文庫)を読みました。作者は、ご存じ、今世紀前半もっとも傑出したミステリ作家の1人です。米国ペンシルヴァニア州生まれながら、英国に移住してロンドンを舞台にしたミステリも数多くあります。英語の原題は The Red Widow Murders であり、1935年の出版、本書は高見治による新訳版となっています。本書は、ヘンリー・メリヴェール卿(H.M.)のシリーズであり、したがって、というか、何というか、密室殺人を扱っています。ホームズ役の探偵はH.M.であることに間違いはないのですが、ワトソン役は米国のハーヴァード大学の英語学講座のテアレイン教授です。舞台はロンドンのマントリング邸、フランス革命当時の死刑執行人一族の家具が運び込まれ、過去に4人が怪死を遂げたという後家部屋の実験を行うのに、H.M.とテアレイン教授、また、H.M.の友人の大英博物館長のジョージ・アンストラザー卿を含めた何人かが参加します。2人以上なら死者が出ないが、1人で2時間こもれば死ぬ、という言い伝えです。もっとも、ジョージ卿とテアレイン教授は立ち合い人として、カード引きには参加しませんでした。カードでスペードのエースを引き当てたフランス人が部屋に入り、15分おきに部屋の外からの呼びかけに応じていましたが、毒殺されて発見されます。死因はクラーレであり、この毒は口から飲んでも何も悪影響がないのですが、毒針で刺されたりすると致命的となります。死者にはクラーレを刺されたような不審な外傷はなく、どのように毒が注入されたのかが謎となります。なお、毒物のクラーレは冒険旅行好きな当主のマントリング卿が収集したものでした。ロンドン警視庁のマスターズ主任警部が赤後家の部屋を徹底的に捜査するのですが、家具から毒針が飛び出すような機械的なトリックはどこからも発見することができません。そうこうしているうちに、後家部屋で第2の殺人が起こります。この家の歴史やオカルティズムに耽溺しており、警視庁からは犯人の容疑が濃いと思われていた当主マントリング卿の弟ガイが、後頭部を凶器で殴られて撲殺されて発見されます。最後に、本書の作者は、カーター・ディクスンなのですが、広く知られているように、ジョン・ディクスン・カーの別名義です。本書は、かなりオカルト趣味の要素を含み、出版当時は日本でも江戸川乱歩はじめとして評価が高かったのですが、死者の返答の声や密室やアリバイなど、後になってオカルト趣味とともにやや否定的な評価も出た作品か、という気がします。最後の最後に、個人的な事情をひとつ。ヘンリー・メリヴェール卿は、『黒死荘の殺人』で初登場するわけで、本書でもその『黒死荘の殺人』からいくつか引用されています。私はそれらの引用に覚えがあるので、『黒死荘の殺人』を読んだことはほぼほぼ間違いありませんが、犯人はもちろん詳細についてまったく記憶にありません。私の記憶力からすればあり得ないことではなく、昨年は本書の続編的な『爬虫類館の殺人』を読みましたし、何かの機会に『黒死荘の殺人』も再読しておきたいと思います。

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2026年8月14日 (金)

ジャイアンツ戦疲れで広島にボロ負け

  RHE
阪  神000000010 160
広  島01112001x 6130

【神】 才木、門別、神宮、セベリーノ - 梅野、坂本
【広】 森下、高 - 石原

ジャイアンツ戦疲れが出て、広島にボロ負けしました。
先発の才木投手は締まりのない投球でポロポロと失点し、4回で降板します。リリーフした門別投手はもっと締まりなく、2失点します。打つ方も6安打1得点に終わって、タイムリーもなく、集中力を欠いているように見えました。唯一の収穫は、負けパターンのリリーフ陣が確立したことかもしれません。それにしても、ガルシア選手は早くも夏らしく扇風機ぶりを発揮し、1軍に置いておく必要はあるんでしょうか?

明日は、
がんばれタイガース!

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プラス成長のコンセンサスの4-6月期GDP統計速報1次QE予想

先月末の鉱工業生産指数(IIP)や商業販売統計などの必要な統計がほぼ出そろって、来週8月17日に、4~6月期GDP統計速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である4~6月期ではなく、足元の7~9月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。先行きへの言及があるのは第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研ぐらいであり、特にこの2機関は長々と引用してあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、最後の行の東京財団だけは、いわゆるナウキャスティングです。なお、"pdf" が何のことか分からない人はいないとは思うものの、まあ、諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.6%)
7~9月期の実質GDP成長率は、小幅ながらプラス圏で推移すると予想。旺盛なAI関連需要を受けて財輸出が増加すると見込まれるほか、政府が電気・ガス料金の負担軽減策を講じることで、物価高の影響が抑えられ、家計の消費は下支えされる見通し。ただし、制度変更による耐久財消費の伸び一巡や、サービス輸出の反動減などが成長の重石となる公算。
大和総研+0.7%
(+2.9%)
2026年7-9月期の実質GDP成長率は前期比でマイナスになると見込んでいる。個人消費と設備投資は増加するとみているが、輸出は中東向け輸出やインバウンドの抑制に加え、研究開発サービスの一時的な増加の反動減もあって減少するだろう。原油の代替調達による輸入の反動増も実質GDP成長率の押し下げ要因となる。
個人消費は増加すると予想する。帝国データバンク2によると、飲食料品の値上げ品目数は、26年7月は前年同月比+26.6%、8月は同+83.1%となっている。27.8%の品目で「中東情勢」が値上げ要因として挙げられており、中東情勢による原材料価格上昇は徐々に製品価格に転嫁されていくだろう。一方、日本労働組合総連合会(連合)が7月3日に公表した第7回(最終)回答集計結果3では、定期昇給相当込みの賃上げ率(加重平均)は3年連続の5%台となり、名目賃金の上昇は続くとみられる。加えて、電気・ガス料金の補助がエネルギー価格の上昇を一定程度抑制し、実質賃金を下支えしよう。
設備投資は増加すると予想する。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(日銀短観)によると、6月調査時点での26年度の設備投資計画(全規模全産業、除く土地、含むソフトウェア・研究開発)は前年度比+8.8%と、前年の6月調査(同+8.7%)と同様に比較的高い伸びが示された。人手不足対応の省力化投資やデジタル投資などに支えられ、設備投資の増加基調は続くと見込む。
住宅投資は、建設資材と労務費上昇の影響を受けて、減少すると見込んでいる。公共投資は25年度補正予算に盛り込まれた公共事業の執行が下支えし、増加すると予想する。政府消費は、高齢化に伴う医療費や介護費の増加により増加すると見込んでいる。
輸出は減少すると予想する。米国・イランの両国首脳は6月17日に戦闘終結等に関する覚書に署名したが、その後も双方の攻撃は続いており、ホルムズ海峡の正常化は進んでいない。中東向け輸出の下押しは残り、財輸出は抑制されるだろう。中国政府による日本への渡航自粛要請が続く中、インバウンドも下押しされよう。加えて、研究開発サービスの一時的増加の反動減も輸出を押し下げるだろう。輸入は増加すると予想する。4-6月期は石油備蓄の放出で輸入の減少分を賄っていたものの、7・8月は前年平月比で約10割の代替調達の目途が立っており、財輸入は大きく増加するだろう。
リスク要因は中東情勢の悪化である。原油価格が更に高騰すれば、物価高を通じて個人消費を一段と下押しするだろう。中東情勢の悪化は事業環境の不確実性の高まりや原材料の価格高騰・供給不足に繋がり、設備投資にも影響する可能性がある。アジア諸国・地域は中東産原油への依存度が高く、アジア経済の下振れによる外需の減少7にも注意すべきだ。 また、7月28日に熊本県で発生したマグニチュード7.1(暫定値)の地震(令和8年熊本地震)により、熊本県では建物の倒壊や道路・橋の損壊といった被害が出ている。被害の全容は明らかになっていないが、当面は令和8年熊本地震による被災地域経済及び日本経済への影響を注視する必要がある。
みずほ銀行+0.7%
(+2.9%)
4~6月期の日本経済は高い成長になったと見込まれる。一方、7~9月期は押し上げ要因の一部が剥落するとみられ、反動で一時的にマイナス成長になると予想する。
個人消費では、4~6月期に生じた自動車やエアコンの「特需」が徐々に縮小するだろう。また、原油高を起点とする石油化学製品などの価格転嫁が進み、夏場以降にインフレ率が再加速するとみられることも、消費の伸びを抑制する要因になりそうだ。ただし、夏場の電気・ガス代支援実施がそうした影響を一部緩和し、均してみれば消費は減速するものの底堅く推移すると予想される。
外需では、AI・半導体関連を中心に財輸出が持ち直すとみられる一方、研究開発関連のサービス輸出で4~6月期の反動が現れ、輸出の押し下げ要因になると予測する。なお、輸入面では、代替調達の進展による原油輸入の増加が成長率に対してマイナスに働くが、国家備蓄原油の放出停止により公的在庫変動の寄与度がプラスに転換することで、影響が一部相殺されると考えられる。
また、7月28日に発生した令和8年熊本地震による経済への影響も懸念される。現時点で報じられている情報に基づけば、自動車部品の供給難から一部の自動車メーカーが工場の稼働を停止したほか、熊本周辺に集積する半導体工場で、生産設備への影響確認などにより一時的に操業が停止した。2024年1月に発生した令和6年能登半島地震の際も、自動車の出荷停止に伴う消費の減少や、事業計画の不透明感による設備投資の先送りが景気の下押し要因になった。今後、熊本地震による経済への影響を生産関連の指標などを通じて確認していく必要があろう。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.4%)
先行きは食料品や日用品など幅広い品目で値上げの動きが広がり、消費者物価の上昇ペースが再加速することは避けられない。物価上昇に伴う実質購買力低下を背景に民間消費は伸びが鈍化するだろう。また、4-6月期は原油輸入量の減少が外需の押し上げ要因となったが、代替調達の進展などからすでに原油輸入量は持ち直しており、7-9月期は輸入の増加が成長率の押し下げ要因となる公算が大きい。現時点では、2026年7-9月期は民間消費の減速、外需の悪化などからほぼゼロ成長まで減速すると予想している。
第一ライフ資産運用経済研+0.4%
(+1.5%)
8月17日に公表される26年4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率+1.5%(前期比+0.4%)と予測する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.6%
(+2.4%)
2026年4~6月期の実質GDP(1次速報値)は、前期比+0.6%(前期比年率換算+2.4%)と、3四半期連続のプラス成長になったと見込まれる。
伊藤忠総研+0.7%
(+2.7%)
続く7~9月期は、中東情勢の影響による物価高圧力を政府の物価高対策が抑制し、実質賃金の増加を背景に消費は拡大基調を維持、投資も深刻な人手不足などを背景に増加しよう。一方、輸入の回復で純輸出がマイナス寄与に転じよう。前期が高めの成長になったこともあり、成長率は鈍化する見通しである。
明治安田総研+0.6%
(+2.4%)
中東情勢の緊迫化にもかかわらず、4-6月期の実質GDP成長率は高い伸びになったと見込む。米国とイランの戦闘はなお続いているが、原油に関しては代替ルートでの調達が進んでいることなどから、深刻な供給制約に陥る事態は回避できるとみており、現段階では7-9月期も小幅なプラスを予想している。
需要項目別では、個人消費は、電気・ガス料金補助再開による物価抑制効果などで、引き続き実質賃金がプラスで推移するとみており、回復傾向が続くと予想する。設備投資についても、省力化投資やAI関連投資の需要が安定的に見込まれることが下支え要因となり、底堅く推移するとみる。もっとも、7月28日に発生した熊本地震に伴う半導体関連や自動車の工場停止が長引けば、生産の下押し圧力になるほか、設備投資の先送りなどにつながる懸念は残る。輸出に関しては、欧米向けの持ち直しや、アジア向けを中心とする半導体関連製品の輸出が引き続き底堅く推移することで持ち直すと予想する。
農中総研+0.5%
(+2.2%)
4~6月期のGDPについて、実質成長率は前期比0.5%(同年率換算2.2%)と、3期連続のプラスと予想する。前年比も0.6%と8期連続のプラスが見込まれる。また、名目成長率も前期比0.8%(同年率3.4%)と9期連続のプラスとなるだろう。
東京財団+0.19%
(+0.75%)
2026年8月12日時点の予測結果
モデルは、2026年4-6月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、0.20%と予測。※年率換算: 0.79%

まずは、緩やかながら、4~6月期のGDPは3四半期連続のプラス成長であろうというコンセンサスがあるようです。しかも、大雑把に潜在成長率を超える+2%近辺の成長率となりそうです。その要因のひとつは政府の物価抑制策による消費の増加、高水準の企業収益に基づく設備投資などです。純輸出=外需については、輸出は減少を見せている一方で、中東などからの石油輸入をはじめとして、輸入が輸出以上に減少していることから、これも内需と同様にプラス寄与を示すと考えられます。ただし、景気は米国と中東戦争次第という面が少なからずあって、少なくとも足元の7~9月期は前期よりも先行き成長率は減速する、という見方が多いと考えるべきです。上のテーブルの中でも、大和総研やみずほ銀行は現時点でははっきりと7~9月期がマイナス成長であると判断しているようですし、ニッセイ基礎研究所などでもゼロ成長と見ているようです。7~9月期もほぼほぼ半分を超えて、中東戦争は膠着状態で戦闘が激化しているわけでもなければ、全面的な停戦や解決に向かっているようにも見えません。日本経済はいくぶんなりとも米国経済の影響を受けるわけですが、米国ではインフレが沈静化に向かいつつあるとはいえ、連邦準備制度理事会(FED)が思い切った利下げに向かうとは思えない一方で、日銀はしつこいくらいに利上げの意向を発信しています。利上げは円レートだけに影響するわけではありませんから、設備投資などへの影響をどう考えるかはかなり軽く考えられているようで、私はやや恐怖を感じます。
最後に、下のグラフは、ニッセイ基礎研究所のリポートから引用しています。

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2026年8月13日 (木)

東京ドームでジャイアンツを3タテし下村投手初勝利

  RHE
阪  神000102000 370
読  売002000000 251

【神】 下村、木下、岩崎、工藤 - 坂本
【読】 西舘、森田、堀田、中川、赤星 - 大城

東京ドームの首位攻防3連戦で、ジャイアンツを3タテしました。
先発の下村投手は初勝利、5回を4安打2失点、中山選手の出会い頭ラッキーパンチのツーラン1本に抑えました。6回からは木下投手が2回をノーヒットに抑え、8回のセットアッパーに岩崎投手、最終回は工藤投手がこれまた3人でピシャリと抑えました。岩崎投手はヒットとデッドボールを許しましたが、さすがの投球でダルベック選手をダブルプレーに切って取りました。しかし、そろそろ勝利の方程式も世代交代かもしれません。打つ方は、佐藤輝選手の3試合連続のソロで1点差に追い上げた後、坂本捕手の2ランで逆転しました。

明日の広島戦も、
がんばれタイガース!

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+7%超の高い国内物価上昇率が続く7月の企業物価指数(PPI)

本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+7.2%の上昇となり、先月6月統計の+7.3%から上昇率がわずかに減速したものの、依然として高い伸びが続いています。2か月連続の+7%超えです。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

国内企業物価、7月は前年比7.2%上昇 非鉄金属など押し上げ寄与
日銀が13日発表した7月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比7.2%上昇した。「非鉄金属」や「石油・石炭製品」などが押し上げに寄与した。伸び率は2023年3月(7.4%上昇)以来の上げ幅だった6月(7.3%上昇)からわずかに鈍化したものの、依然として高水準が続いている。前月比は0.1%上昇と、伸び率は6月の0.5%から縮小した。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比7.4%上昇、前月比0.6%上昇だった。
前年比で最も押し上げに寄与したのは「非鉄金属」で、前年比40.6%上昇となった。銅やアルミニウムなどの商品市況の上昇を反映した。
「石油・石炭製品」は17.5%、「化学製品」は12.9%それぞれ上昇した。中東情勢の不安定化の影響で原油、ナフサ、石油化学基礎製品が値上がりした。
全515品目中、前年比で上昇したのは434品目、下落は69品目だった。
日銀の担当者は「中東情勢の影響も含めた国際商品市況の動向、AI関連需要の帰趨と価格面への影響、原材料費、エネルギーコストの上昇の対応も含めた企業の価格設定行動などを注視していく」と述べた。
輸入物価指数(円ベース)は前年比29.1%上昇と、6月(30.1%上昇)からプラス幅が縮小した。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、まん中のパネルは国内物価指数そのものを、下のパネルは契約通貨建てと円建ての原油価格指数を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。なお、ちょっと見づらいかもしれませんが、まん中と下のパネルの指数水準が急にスティープになったのは今年2026年3月からです。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、引用した記事の2パラ目にあるように+7.4%でした。実績の上昇率はほぼ一致しているようで、予想のレンジ内ともいえます。ヘッドラインとなる国内物価だけでなく、いずれの円ベースで、輸出物価は+18.9%、輸入物価も+29.1%の大きな上昇を示しています。本日公表された企業物価指数の輸入物価のうちの円建ての原油価格は、それぞれ、5月58.6%、6月82.7%、7月68.9%の上昇率を示しています。立て続けに高い上昇率が継続しているわけです。私はエネルギー動向に詳しくないので、先週8月5日付けの日本総研「原油市場展望」(2026年8月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、「両国の紛争がこれ以上激化しないことを前提とするメインシナリオでは、原油価格は当面80ドル前後で推移する見通し。」としつつも、当然、夏ごろに終わる可能性が決して大きいわけではないことから、「ホルムズ海峡封鎖が長引くサブシナリオでは、原油価格が100ドル前後まで上昇する可能性も。」と指摘しています。さらに、石油価格を離れて、銅やアルミニウムなどについても市況上昇を反映して、非鉄金属の価格も大きく上昇しています。引用した記事の3パラ目で言及されています。また、日銀のプレスリリースによれば、対ドルレートの前月比でみて、6月+1.5%、7月も+1.1%と円安に振れている為替については、輸入物価への影響は決して無視できず、おそらく、企業物価の国内物価に対してもそれ相応のパススルーを持っていることと考えるべきです。ただ、消費者物価へのパススルーはそれほど大きくない、というのがエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。
本日公表された6月統計の企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率を少し詳しく見ると、まず、非鉄金属が6月+39.3%に続いて、7月も+40.6%のきわめて高い上昇率を示しています。加えて、石油・石炭製品は6月+22.8%の後、7月統計では+17.5%の上昇となっています。これに伴って、化学製品も6月の+15.1%、7月も+12.9%と高止まりしています。電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業が終了し、再開される7月までの端境期になることから6月+3.3%から7月は+6.3%に上昇しています。他方で、農林水産物が6月+5.4%から、7月+3.5%と徐々に上昇率が減速しています。農林水産物の価格推移に伴って、飲食料品の上昇率も6月+4.2%、7月+4.0%とわずかながら上昇率が鈍化しています。

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2026年8月12日 (水)

首位攻防第2戦もジャイアンツを粉砕

  RHE
阪  神202000100 5110
読  売000001000 160

【神】 高橋、木下、及川、工藤 - 伏見
【読】 井上、赤星、船迫、泉、田和 - 岸田、小林

昨日に続く首位攻防第2戦も、ジャイアンツを粉砕しました。
先発の高橋投手は、6回を5安打1失点、ダルベック選手のソロ1本に抑えました。打つ方は今夜も、佐藤輝選手が2発、森下選手も1発、すべてソロホームランでしたが、昨日が森下選手2発、佐藤輝選手1発ですから、2日合わせて2人とも3ホーマーずつかっ飛ばしています。これに、佐藤輝選手の初回の先制タイムリーと大山選手の犠牲フライで、阪神クリンナップサービスがしっかり仕事をしています。

明日も、
がんばれタイガース!

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SNSやスマホに時間を費やすと学力は伸びないのか?

はなはだ旧聞に属する話題ながら、先月7月16日、国立教育政策研究所から「令和8年度全国学力・学習状況調査」の報告書や調査結果資料が公表されています。さまざまな論点があるのでしょうが、ここではSNSやスマホの利用と学力に関して、いくつかグラフを引用して簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上のいくつかのグラフをまとめたパネルは、「令和8年度全国学力・学習状況調査の結果 (概要) のポイント」 p.5 学校外での過ごし方 を引用しています。見ての通りで、小学校でも中学校でも、平日1日当たりのスマートフォン等でのSNSや動画視聴時間が長いほど平均正答スコアが悪い、という結果が示されています。特に、小学校算数と中学校数学の差が大きく、「30分より少ない」グループは、「4時間以上」もグループと正答率で20%ポイントを超える差があるようです。SNSや動画を視聴していると勉強時間が削られるわけですから当然、と受け止める向きも少なくないものと私は考えますが、ここまで差が大きいとは想像していませんでした。

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SNSや動画視聴時間の長さと成績スコアの逆相関は国際的にも認められている結果であり、例えば、経済開発協力機構(OECD)のリポート Growing up in the social media age でも示されています。上のグラフはOECDリポート p.19 Figure 5. For young people who use social media, mathematics performance tends to decline as time spent increases を引用しています。

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ただ、国際比較で見て日本の児童・生徒のSNSの視聴時間はかなり短い、という点は強調しておきたいと思います。そのエビデンスが上のグラフであり、OECDリポート p.15 Figure 2. The average 15-year-old in the OECD spends 35 hours a week using social media を引用しています。日本の15歳はOECD加盟国の中でSNSに費やす時間がもっとも短くなっています。

最後に、成績スコアとSNSや動画の視聴時間は、あくまで負の相関関係であり、決して因果関係を示しているわけではありません。すなわち、SNSや動画を長時間見ているから成績スコアが低い、とは限らず、逆の因果関係が成り立っているのかもしれません。成績スコアが悪いから、SNSや動画に長時間費やしている、可能性は否定できません。

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2026年8月11日 (火)

首位攻防初戦でジャイアンツを粉砕

  RHE
阪  神002004102 0110
読  売000100000 130

【神】 村上、及川 - 坂本
【読】 山崎、田和、代木 - 岸田、大城

同率に並んだ首位攻防初戦で、ジャイアンツを粉砕しました。
先発の村上投手は、8回を3安打1失点、ダルベック選手のソロ1本に抑えて、20回先発のうち19回目のQSだそうです。最終回は及川投手がピシャリと三者凡退に抑えました。打つ方も久々に猛虎打線が爆発し、3回に近本外野手と森下外野手のソロホームラン2発で先制し、7回には課題とされていた下位打線で4点を加え、7回には森下選手が2発目を放ち、最終回には佐藤輝選手のツーランで締めくくり、9得点です。

明日も、
がんばれタイガース!

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気温上昇の経済への影響やいかに?

気温変動が地域経済に及ぼす影響を分析した "Temperature Fluctuations and Economic Conditions: Evidence from Weekly U.S. Data" と題する論文を読みました。全米経済研究所(NBER)からワーキングペーパーとして出ています。まず、ワーキングペーパーの引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトからワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
We study how temperature fluctuations affect U.S. state-level economic conditions using high frequency, weekly data from 1987 to 2024. The impulse response to a temperature shock from a panel local projection framework reveals a modest short-run increase in economic conditions followed by a delayed and persistent medium-run decline. Nonlinearities show that the medium-run decline is larger and more persistent at higher base temperatures. A decomposition of the economic conditions index points to the labor market as the primary channel. To interpret these findings, we develop a weekly labor search and matching model featuring a labor disutility channel, a heat damage stock, and a slow-moving adaptation mechanism.

米国海洋大気庁(NOAA)の環境情報センター(National Centers for Environmental Information=NCEI)による日次グリッドデータ(nClimGrid-Daily dataset)から1987年4月から2024年6月までの週次(weekly)の気温データを産出し、この気温データに対してアラスカとハワイを除く全米48州における州レベルの週次経済活動指数(weekly state-level Economic Conditions Index=ECI)、すなわち、Baumeister et al. (2024) "Tracking Weekly State-Level Economic Conditions," The Review of Economics and Statistics 106で推計されたデータを当てはめて、気温の変動が州レベルでの地域経済に及ぼす動学的な影響を推計しています。

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上のグラフは、ワーキングペーパーから Figure 3: Temperature Effects on Economic Conditions を引用しています。気温が1℃上昇した際のECIの累積インパルス応答をプロットしています。分析のひとつの特徴として、動学的な影響を見ている点が上げられますが、上のグラフから読み取れるのは、気温上昇直後の短期にはECIで見た経済活動をわずかながら押し上げる効果があるものの、そのプラスの効果はすぐに消滅して、中長期には逆に経済活動を持続的に低下させる、という結論です。あわせて、グラフなどの引用はしませんが何点か補足すると、まず第1に、気温上昇の影響は労働市場を通じて現れ、雇用量や労働時間などの労働のインプットが減少し、経済活動の停滞につながります。第2に、長期の経済的損失は非線形であり、もともと平均気温が高く、いわば暑い州ほど経済的な損失がより長期に継続すると分析されています。まあ、これはある意味で当然かもしれません。

日本でも、毎日、暑い日が続いていますが、米国のデータながら、気温上昇が経済活動にもマイナスであるという、いわば当たり前の事実が、かなり高頻度なデータと理論に基づいて計量的に確認されています。

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2026年8月10日 (月)

改善続くも熊本地震が影を落とす7月の景気ウォッチャーと久しぶりの赤字を記録した6月の経常収支

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.7ポイント上昇の45.7となった一方で、先行き判断DIは+0.1ポイント上昇の45.8を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で▲923億円の赤字を計上しています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気7月は1.7ポイント上昇、3カ月連続プラス 中東情勢の落ち着きや季節商材の販売で
内閣府が10日に発表した7月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは45.7となり、前月から1.7ポイント上昇した。3カ月連続のプラス。中東情勢の落ち着き具合や、夏の季節商材の堅調な販売状況などが景況感の押し上げに寄与した。
ウオッチャーの景気の見方は「中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、持ち直しの兆しがみられる」と、前月までと同様の表現を用いた。先行きに関しては中東情勢による不透明感が残ることに加え「熊本地震の影響に対する懸念もみられる」とした。
指数を構成する3部門が揃って上昇した。家計動向関連は前月から1.9ポイント上昇し45.4、企業動向関連は1.0ポイント上昇し46.6、雇用関連は2.2ポイント上昇し46.1となった。
ウオッチャーからは「梅雨明け以降の急激な猛暑により、エアコンを始めとする季節商材の販売が急激に伸びている」(近畿=家電量販店)、「中東情勢の影響による価格上昇に落ち着きがみられるようになったことで、夏休みに向けた予約が少しずつ増えている」(北海道=観光型ホテル)といった声が出ていた。
一方で、「物価高による買い控えが続くなか、連日の猛暑により午後の商店街は閑散としている」(九州=商店街)といったコメントもあり、猛暑にはプラス面とマイナス面があることが示された。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から0.1ポイント上昇の45.8。4カ月連続のプラス。内閣府は先行きについて「中東情勢による不透明感が残ることに加え、令和8年熊本地震の影響に対する懸念もみられる」とした。
調査期間は7月25日から31日。28日に熊本地震が発生したこともあり、九州地方の観光ホテルからキャンセルが相次いでいるとの指摘や、東海地方の輸送用機械器具製造業から生産ストップへの影響を懸念する声が出ていた。
経常収支、6月は923億円の赤字 海外への配当金増加し17カ月ぶりマイナス
財務省が10日発表した国際収支状況速報によると、6月の経常収支は923億円の赤字となった。赤字は17カ月ぶり。海外の投資家に対する日本企業の配当金の支払いが増えたことなどで、第一次所得収支の黒字幅が大幅に縮小した。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は1兆5120億円の黒字だった。
内訳をみると、第1次所得収支は3801億円の黒字となった。証券投資収益の赤字幅が拡大したことなどから、黒字額が前年同月比で1兆0648億円減った。近年、海外投資家による日本株への投資が増加しており、配当支払い額も拡大傾向にある。
貿易収支は1352億円の赤字に転換した。輸出が同16.3%増の10兆4801億円、輸入が同24.3%増の10兆6153億円となり、輸入額が輸出額を上回った。原粗油、半導体等電子部品、非鉄金属などの輸入額が増えた。
サービス収支は赤字幅が同679億円増え、2285億円の赤字となった。訪日外国人旅行者(インバウンド)の減少などを背景に旅行収支の黒字幅が縮小した。
貿易・サービス収支は6704億円悪化し、3637億円の赤字となった。
同時に発表した2026年1-6月期の経常収支は17兆4292億円の黒字。前年同期比で22.5%増加し、上半期ベースでは比較可能な1985年以降で過去最大の黒字となった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただ、景気ウォッチャーの記事は内閣府からの公表直後のファーストショットですので、その後、追加や修正が入っているかもしれません。続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では、米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発する中東の武力紛争により大幅なマインド低下により、3月統計では前月から▲6.7ポイントと大きく低下して42.2となった後、4月統計でも▲1.4ポイント低下して40.8と直近での底となった後、5月の休日が例年よりも多かったこともあって家計動向関連のうちの飲食関連が大きく上昇したことから、5月統計では+2.8ポイント上昇して43.6を記録し、6月統計でも+0.4ポイント、さらに、本日公表の7月統計でも+1.7ポイント上昇して、45.7を記録しています。ただし、先行き判断DIは前月から+0.1ポイントの上昇にとどまっており、先行きの慎重姿勢が見られます。まず、現状判断DIでは家計動向関連・企業動向関連・雇用関連の3カテゴリーがそろって上昇し、さらに、家計動向関連の中でもほぼすべての項目、また、企業動向関連でも製造業・非製造業とも上昇を見せています。米国とイランの停戦合意が6月半ばでしたから、この中東における武力紛争の影響がそれほど大きくないという認識が広まった、ということなのだろうと私は考えています。なお、統計作成官庁である内閣府は基調判断を先月とほぼ同じ「持ち直しの兆しがみられる」で据え置いていますが、上方修正しています。すなわち、中東情勢によるただし書きを別にすれば、現状判断に関しては、5月統計の時点では、「このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。」でしたが、6月統計では「持ち直しの兆しがみられる。」と改定しています。ただし、先行きについては、「熊本地震の影響に対する懸念」が付け加えられています。まあ、何と申しましょうかで、マインドは海外における中東の武力紛争、国内では熊本地震といった経済外要因の影響が大きい、ということなのだろうというのはよく理解できます。景気判断理由の概要については、内閣府の調査結果の中から、九州の熊本地震の声を拾うと、「令和8年熊本地震の影響により、キャンセルが相次いでいるため景気が悪くなっている(観光型ホテル)。」といった見方がありました。記事の最後のパラに要約されているものだと思います。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+1.5兆円余りの黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じように+1.5兆円超の黒字の見込みでしたので、実績の小幅とはいえ経常赤字は下振れした印象です。ただし、季節調整済み系列の統計では、5月統計の+3兆円余りの黒字に続いて、6月も+1.4兆円近い黒字を計上しています。季節調整済みの系列を見る限り、昨年来のトランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支がかく乱されていたのが、元に戻りつつある、というのは通関統計でも確認されているところです。加えて、6月以降の今後の統計を見なければ正確なところは判りませんが、石油価格の動向については米国とイランの停戦合意で価格が落ち着くと見込まれますので、輸入が急増する事態はなさそうです。いずれにせよ、6月統計の経常収支赤字は報道にあるように、海外投資家への配当支払い増が原因とする見方を否定する要因はありません。日本が円安で株や土地やを買われて行くと、こういった形で海外への経常支払いが増加するのは、ある意味で、当然です。しかし、現状を見る限り、対外不均衡の問題が経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても特段悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても、日本の国際競争力が高いわけでもなく、ましてや特段めでたいわけでもない、と私は考えています。

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2026年8月 9日 (日)

からくも中日相手に3タテを免れる

  RHE
中  日000000000 0100
阪  神00000100x 120

【中】 柳、齋藤、アブレウ、藤嶋 - 石伊
【神】 伊藤将、木下、工藤、岩崎 - 坂本

何とか近本外野手のソロの1点だけで、中日に完封勝ちでした。
先発の伊藤将投手は、毎回のように得点圏にランナーを背負いながら、粘り強いピッチングで5回無失点で降板します。6回から継投に入り、木下投手、工藤投手が2イニング、最終回は私自身は不安を持って見ていましたが、岩崎投手がピシャリと抑えました。打つ方は、中日の10安打に対して、阪神はわずかに2安打、うち1本が近本選手のソロホームランで、両チームを通じて得点はこれだけでした。

ジャイアンツとの首位攻防戦は、
がんばれタイガース!

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2026年8月 8日 (土)

昨夜の勢いそのままに中日にボロ負け

  RHE
中  日040010200 7121
阪  神010000000 1103

【中】 マラー、吉田、草加 - 加藤
【神】 伊原、神宮、門別、湯浅、セベリーノ - 坂本

序盤から圧倒されて、中日にボロ負けでした。
昨夜の勢いそのままに、先発伊原投手は5回途中まで5失点します。ただ、じぜ起点はわずかに1点のみでした。要するに、三遊間でエラーしまくったわけです。守備を買われたスタメンの熊谷選手も、後から出てきた元山選手もともにエラーしています。しかも、今日付けで小幡選手はファームに落とされています。門別投手の2失点もガルシア左翼手のエラーみたいなものです。打っては、中日の12安打に迫る10安打を放ちながら、わずかに得点は1点だけでした。クリンナップの3人で5安打しても1点なわけです。ベンチのマネジメントを疑います。

明日こそは、
がんばれタイガース!

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今週の読書はいろいろ読んで計5冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、白川方明『通貨に信用を刻印する』(日本経済新聞出版)では、おそらく安倍内閣によるデフレ脱却重視政策のアンチテーゼなのだろうと思いますが、インフレとデフレを非対称に見ていたりして、「時代の空気」をキーワードのひとつに、非伝統的な金融政策に対して懐疑的な見方が示されています。藤谷昌敏『経済安全保障と「経済インテリジェンス」』(芙蓉書房出版)では、サプライチェーンの脆弱性に関する指摘のほか、主として、半導体、AI、量子技術、サイバー空間など、いわゆる最先端技術の海外流出、特に、中国を念頭に置いた経済安全保障について具体例を論じています。首藤若菜『なぜ賃金は上がらないのか』(講談社現代新書)では、デフレ下で価格が動かないために賃金が雇用も含めた調整要因となってしまい、価格転嫁ができないことから賃上げが進まなかった現状、というか、現在のインフレが始まった2022年くらいまでの賃金動向を議論しています。黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)では、現在の参政党の源流のひとつの反ワクチン運動の神真都Qから説き起こして、省庁解体や排外主義などの国政課題だけでなく、反ワクチンやスピリチュアル系の陰謀論などを展開するようになった経緯など、ウォッチした結果を報告しています。伊坂幸太郎ほか『プレゼント』(新潮文庫)は、新潮文庫50周年企画のアンソロジーです。「夏」を共通テーマとして7人の小説家の短編作品から編まれています。すべての作品が素晴らしいのですが、私はエコノミストとして、社会派ミステリの米澤穂信「無明」をイチ推しとします。
今年2026年の新刊書読書は、1~7月の半年あまりで177冊、8月に入ってから先週の7冊と今週の5冊を加えて合計189冊となります。なお、鈴木るりかの『さよなら、田中さん』からの田中花実を主人公とするシリーズを何冊か読んだのですが、新刊書ではありませんので、本日のレビューには含めていません。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、白川方明『通貨に信用を刻印する』(日本経済新聞出版)を読みました。著者は、青山学院大学特別招聘教授なのですが、tぷぜんながら、日銀元総裁の方で知られていると思います。本書のタイトルは、アイケングリーン教授に由来するようです。数年前の著者による『中央銀行』から、世間一般の経済社会状況に関して、もっとも大きな変化があったのは2022年を起点とするインフレなのですが、この点についてはそれほど力点が置かれていないような印象を私は受けました。そういった前著からのここ数年来の経済の変化ではなく、同じようなポイントが前著と同じように繰り返されているという印象の方が強かった気がします。金融政策運営上で、少なくともバブル直前の1980年代半ばまで、為替レートが暗黙のうちに重視されていて、円高は困るという「時代の空気」で金融政策が運営されていたのはそこそこ事実だろうと思います。そういった「時代の空気」をひとつのキーワードとして本書を読み解くのも一案かという気がします。その上で、私がいくつか疑問に感じたのは、おそらく安倍内閣によるデフレ脱却重視政策のアンチテーゼなのだろうと思いますが、インフレとデフレを非対称に見ている点です。安倍内閣の当時のリフレ派、たぶん、私も含めた何人かのエコノミストはインフレもデフレもともに貨幣的な現象であって、したがって、金融政策で対応すべき、というのが主要な論調であったかという気がします。それに対して、本書の著者や翁教授などの伝統的な日銀エコノミストは、いわば「金融政策の無力性」のような主張を繰り返していたり、あるいは、デフレの原因を人口減少とか別のところに求めたりして、金融政策による対応を回避する姿勢が鮮明でした。私自身は、デフレにせよ、インフレにせよ、軽微なものであればともかく、通貨現象である点は変わりないと考えています。すなわち、私は授業で明確に教えていますが、一般物価水準とは通貨価値の逆数と考えるべきです。その昔にインフレによる預貯金の「目減り」という表現がありましたが、まさにその通りです。マイルドなインフレを目指すということは、通貨価値のマイルドな低下を容認することであり、財やサービスの名目の価値の緩やかな上昇をもたらすものです。ただ、本書の第4章のような物価の計測に疑問を呈するのは不可知論に陥る危険があり、科学的な分析を旨とするエコノミストの態度ではありません。逆に、ラスパイレス指数の上方バイアスについて口をつぐむのも公平な論評とはいえません。量的緩和をはじめとする非伝統的な金融政策に対しても第9章などで懐疑的な見方が示されていますが、特に、p.165 の引用部分は、たぶん、ローレンス・ボール教授による独立評価局のリポートであり、どこまでIMFによる公式見解であるかは私には不明です。まあ、経済学の場合、私もそうですが、自分に都合いい引用を持ち出すのは通常の手法だろうと思いますので、OKなのだという気はします。ただ、前著なども含めて、この著者の主張に私が違和感を覚えていた原因が判った気がします。第14章以降は政策運営面での実務的な内容も多くなるので、それ以前で考えても、本書ではエビデンスがデータに基づいていない気がします。ですので、本書の議論は全部ではないとしても神学論争的なものに見えがちで、エラい人が自分自身の信念を大きな声でいえば「勝ち」という気がしてなりません。ですから、「時代の空気」ではなく信念に基づく中央銀行の政策策定や運営が、ホンの少しながら怪しげに見えかねない恐れがあるのではないか、と危惧しています。少なくとも、「通貨に信用を刻印」し過ぎてデフレに戻るのは避けたいと思うのは、たぶん、私だけではないと思います。

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次に、藤谷昌敏『経済安全保障と「経済インテリジェンス」』(芙蓉書房出版)を読みました。著者は、金沢工業大学産学連携室主任研究員・明倫館教授だそうですが、長らく公安調査庁にご勤務されていたようです。本書では、サプライチェーンの脆弱性に関する指摘もありますが、主として、半導体、AI、量子技術、サイバー空間など、いわゆる最先端技術の海外流出、特に、中国を念頭に置いた経済安全保障について論じています。ただ、どちらかというと、ケーススタディ、というか、実例を豊富に取り上げている印象です。そして、それぞれのケースで理論的な経済安全保障とか、インテリジェンスを小難しげに抽出するのではなく、模式的な概念図、私が公務員であったころには「ポンチ絵」と呼ばれていたものをいくつか援用して、私のようなシロートにもわかりやすく解説しています。ですので、本書は学術書とか専門書ではなく、広く一般読者を対象にしている印象です。冒頭章でインテリジェンスについて概説した後、第2章では中国の目覚ましい経済発展の背景には、「国家レベルで構築された経済戦略と、情報機関が主導する経済インテリジェンスがあった」(p.9)とはじめにで指摘した中心的な課題が展開されます。特に、中国建国後の大躍進政策、文化大革命、天安門事件を3つの災厄と指摘し、2010年出版の「中国の夢」、さらに、経済発展と安全保障が一体化した「一帯一路」構想について詳しく解説しています。ただ、米国の合成麻薬フェンタニルの原料出荷とか、私には不案内な部分も少なくなく、そのあたりは読んでいただくしかありません。そして、明示されているわけではありませんが、トゥキディデスの罠にいうように、米中対立の中で武力衝突が生じた場合に日本がどちらと協力するかは自明のこととして議論が進みます。加えて、攻撃的な経済安全保障と防御的なものとの違いについて、あるいは、セキュリティ・クリアランスについて、などなど、専門外の私には一知半解だった部分がていねいに一般向けに解説されています。また、大学に勤めている身として、より理工学的な分野とは思いますが、大学における技術情報、あるいは、留学生に関する対応など、私からは違和感ある部分も少なくありませんでした。第4章では中国による経済スパイ活動が取り上げられており、私個人が注目したのはハニートラップによる情報漏洩です。私がもっとも弱いところだという気がします。第5章の中国における情報機関では、孔子学院の存在について取り上げられていましたが、そのあたりは読んでいただくしかありません。第6章と第7章についても、読んでいただくしかないのですが、1点だけ、外国人による土地所有については私も一定の歯止めが必要だと考えています。本書のような経済安全保障という観点ではありませんが、日本が先進国の中の平均以下の下位国となり、円安も進んで日本の土地が安くなった現時点では、外国人が土地購入に参入するのは決して好ましくないと、私ですら考えています。最後に、本書に希薄な点として、政府の責任と企業の責任の役割分担が不明確です。医療保険の個人負担ではありませんが、日本では特に企業向けにはすべてを政府が面倒見るというシステムはとても異質です。私が国家公務員をしていたころには、通商産業省・経済産業省がこういった国家統制にやや前向きなところが見られましたが、どこまで政府が企業に肩代わりしてコスト負担するかについては、十分な国民的合意が必要です。

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次に、首藤若菜『なぜ賃金は上がらないのか』(講談社現代新書)を読みました。著者は、立教大学経済学部教授であり、労使関係を専門とする研究者だそうです。本書はタイトル通りのリサーチ・クエスチョンに対して回答を試みています。まず、一般的な3つの理由、第1に、企業が値上げで儲かった分を労働者に還元せず、「内部留保」として貯めこんでいるという企業悪玉論、第2に、日本人の働き方は効率が悪く、「労働生産性」が低いとする労働生産性説、第3に、各企業の労働組合の交渉力が弱く、企業に対抗できていないとする組合弱体化説、本書ではこの3点について否定的な見方を示しています。まず、時間当たり賃金と月額賃金が乖離していて、短時間労働者の割合の増加、すなわち、非正規雇用の増加が実質賃金の停滞をもたらした要因として上げています。ただ、私の見方からすれば、これは内部留保の増大と軌を一にする企業悪玉説と考えるべきですが、本書では雇用者サイドからパートのシフトを減らすといった要望があることなどを理由として、私とは違う見方を示しています。やや疑問です。次に、物流、特にトラック輸送の業界を引き合いに出して、人手不足でありながら過当競争により賃金を引き上げられない現状を示しています。加えて、私が途上国で見てきたのと同じ現象が日本でも起こっているようで、賃金すなわち労働コストが安いために労働集約的な生産を志向し、設備投資して労働装備率を上げないために労働生産性が停滞する、という悲しい現状も本書は指摘しています。ハッキリと悪循環を生じていると考えるべきです。その上で、デフレ下で価格が動かないために賃金が雇用も含めた調整要因となってしまい、価格転嫁ができないことから賃上げが進まなかった現状、というか、過去形の2022年くらいまでの賃金動向を指摘しています。まさに、デフレの弊害そのものと考えるべきです。本書ではまったく指摘していませんが、私なんかも授業で教えているように、ボーナス制度が広く実施されている日本では賃金の柔軟性が高い、という従来からの特徴を踏まえています。本書では明示していませんが、「奥田の一喝」として有名な2002年のベアゼロ、量的な雇用を守ると称して、質的な賃金引き上げを否定した経営サイドの動きも一因として指摘しています。ただ、日本的な春闘はいわば「みんなで賃上げすれば怖くない」という囚人のジレンマを回避するには悪くないシステムだという点も強調しています。その上で、賃上げを起点とした経済の好循環をもたらす方向性を模索しています。これは、まさに、政府や日銀が目指している賃金が適正に価格に転嫁され、物価と賃金の好循環を目指す、ということです。政府・日銀の「好循環」は企業業績からトリクルダウンする、というのもひとつの視点でしたが、トリクルダウンは完全に破綻していますので、残るのは、デフレを脱却し、賃金と物価の好循環をもたらす、ということであり、この方向は、私も大いに賛成です。その意味で、賃金起点か物価起点か、という違いはあるとはいえ、本書は政府や日銀とほぼ同じ方向性を示していると考えるべきです。最後に、たぶん、ケーススタディの結果だとは思いますが、トラック輸送業界の例が多くて、その代表性に少し疑問を持ちましたが、私の方の誤解かもしれません。

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次に、黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)を読みました。著者は、ウェブライターであり、「スピリチュアルビジネス、疑似科学・偽医療、反ワクチン、陰謀論、デマなど胡散臭いものをウォッチしている」と本書では紹介されています。私は初読の著者でしたが、広い意味でのジャーナリストではないか、と想像しています。本書はタイトル通りに、参政党をウォッチした結果が報告されています。ただ、かなりリアルに偏っていて、集会やデモなんかには著者が参加しているようですが、SNSや動画配信サイトなどのネット情報に関しては、なぜか、ほとんど取り上げられていません。本書では、参政党の前身ではないとしても、ひとつの源流をなす反ワクチン運動を先導した神真都Qから第1章を説き起こしています。はい、私は神真都Qについては聞いたこともなく、本書を読むまでまったく知りませんでした。そして、第2章では、参政党が政党となり、反ワクチンやスピリチュアル系の陰謀論などを展開するようになった経緯などを報告しています。政党内部での粛清めいた幹部交代や人事などの軋轢を後づけた後、現在の神谷代表体制、本書では「独裁」という言葉も使っている体制の確立を報告し、第3章では国政選挙での議席獲得、第4章では反ワクチンから省庁解体、排外主義などを広く報告しています。私は参政党とはかなり真逆な政治経済的なスタンスですので、まったく関知しなかったのですが、、参政党はN党やつばさの党とは対立関係にあるようです。繰返しになりますが、私のようなスタンスの者から見れば、参政党や保守党やN党、つばさの党などはおんなじように見えて、十把一絡げに論じてしまうところがありました。いろいろとこの年齢に達しても知らないことの多い私には、情報を提供したり、あるいは、認識を正しくしてくれる読書であったと感謝しています。

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次に、伊坂幸太郎ほか『プレゼント』(新潮文庫)を読みました。著者は、実に高名な小説家7人であり、本書は新潮文庫50周年企画のアンソロジーです。「夏」を共通テーマとしています。収録作品は順に、まず、伊坂幸太郎「ウッドペッカー荘事件」はSFテイストの作品であり、ワトソン役の主人公はいままで名探偵である白河ヨフネが解決してきた難事件を発表してきて、5つめが「BB湖事件」でしたが、最新の6件目の事件、ホテルの名を取って、タイトル通りの「ウッドペッカー荘事件」について、世に出すかどうかを迷っています。続いて、江國香織「二つの宇宙」では、人見知りが激しくて、こだわりも強く、ディズニーのプリンセスの中でベルの順位を気にするおばあちゃんが、これまた少し変わったところのあり、カポーティの『冷血』が好きで英文科に入ったガールフレンドと会うことになる大学生だったころの夏の思い出です。続いて、宮部みゆき「真実のトランク」は、弟の経営するバーで働く50代女性の主人公が20代のころを回想して、財団の渋い中年男性がバーに置いていったトランクをめぐるオカルチックなストーリーです。続いて、町田そのこ「きっとあの日の光と同じ」は、「コンビニ兄弟」シリーズのスピンオフ作品であり、親友にカノジョができた高校年生の夏、主人公は中学校のころの同級生と出会って、花火を楽しみます。続いて、米澤穂信「無明」では、猛暑だか酷暑だかの夏8月に、新宿駅でまだ若い母親が赤ん坊の首を絞めて殺そうとする殺人未遂事件が起こります。どうしてそのような犯行に及んだのかのwhydunnitの謎解きをする社会派ミステリです。続いて、梨木香歩「見越しのマツ」では、離婚して女性が実家に戻り、斜向かいの豪邸にマツの木が見えます。しかし、その豪邸のご亭主がなくなり、お屋敷が更地になります。続いて、恩田陸「伝説の季節」では、高校2年生だった主人公が卒業式に高3の卒業生からシンプルな形の古い鍵を渡され、その年のサヨコとなり、高校3年生になって受験勉強に忙しい夏に、高校に伝わる伝統を担う役回りとなります。それぞれに、特徴ある文体やさまざまなプロットが楽しめる極上のアンソロジーです。私はエコノミストとして、社会派ミステリの「無明」をイチ推しとします。

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2026年8月 7日 (金)

最終回にドリス投手が打ち込まれて逆転負け

  RHE
中  日000000003 350
阪  神200000000 240

【横】 高橋宏、アブレウ、齋藤、藤嶋、松山 - 石伊
【神】 才木、ドリス - 梅野

最終回にドリス投手が打たれて、中日に逆転負けでした。
先発才木投手は8回無失点と好投しましたが、最終回に投手交代した途端にドリス投手が打ち込まれて3失点してしまいます。1回に佐藤輝選手のツーランで先制し、そのまま無得点で終わったのも敗因のひとつかもしれませんが、明確にベンチワークのミスと考えるべきです。昨夜の試合で、5点差あるにもかかわらず、最終回に工藤投手を起用してしまって、今日は岩崎投手を出すわけにも行かず、ベンチの采配で負けた試合です。打者の打率、ホームラン、打点、さらに、投手陣の防御率などの個人成績はトップに阪神選手が並ぶにかかわらず、ペナントレースでもたるつているのは、監督以下の能力不足と考えるべきです。

明日は、
がんばれタイガース!

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改善の基調判断が続く6月の景気動向指数と天候要因で落ち込んだした6月の家計調査

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から横ばいの116.4、CI一致指数は2か月ぶり+0.3ポイント上昇の118.2を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.4%の減少、名目は+1.3%の増加となりました。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気一致指数6月は2カ月ぶり改善、卸売りや生産寄与 判断据え置き
内閣府が7日公表した6月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.3ポイント上昇の118.2と2カ月ぶりに改善した。先行指数は同横ばいの116.4だった。基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
一致指数を構成する各経済指標のうち、押し上げに寄与したのは卸売販売額や投資財出荷指数、鉱工業生産指数など。電子部品の中国向け輸出や韓国からの輸入、半導体製造装置の生産などが好調だった。
先行指数を押し上げたのは、中小企業売り上げ見通しや新設住宅着工床面積など。日経商品指数や鉱工業用生産財在庫率指数は押し下げた。
電気電子関連の中小企業売り上げ見通しが改善した一方、石油製品価格下落や電子デバイスの出荷減による在庫率悪化などが響いた。
実質消費支出6月は3.3%減、7カ月連続マイナス 台風など天候要因で
総務省が7日発表した6月の家計調査によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年比3.3%減と、7カ月連続のマイナスとなった。台風、降雨量増加、低温などの天候要因で幅広い品目の支出が減少した。季節調整済み前月比では実質6.4%の減少だった。
ロイターの事前調査では前年比がプラス1.0%、前月比はマイナス3.1%と予想されていた。
統計によると、1世帯あたりの支出額は29万0886円で、名目ベースでは前年同月比1.5%の減少。6月は日曜日が前年と比べて1日少なかったことも影響した。
費目別では、航空運賃やガソリンなどが含まれる「交通・通信」が2カ月連続、飲料や外食などが含まれる「食料」が2カ月ぶりに、それぞれ実質減少となった。
洋服などの「被服及び履物」、電気代やガス代などの「光熱・水道」も実質減少に寄与した。
総務省の担当者は「昨年12月から所得から消費に回る割合が下がっている」と指摘。所得が貯蓄に回っている可能性があるとの見方を示した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+0.2ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+0.3ポイントはコンセンサスをやや上回りました。繰返しになりますが、6月統計のCI一致指数は、2か月ぶりの上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、CI一致指数は、3か月後方移動平均は前月から+0.47ポイントの上昇、6か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.47ポイント上昇し、これも6か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、「改善」で据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争は、一応の停戦合意を見ましたので、日米ともソフトランディングの確率が高まったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり70ドル前後で推移しています。東証の日経平均株価は高値圏で推移していますが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性がまったく否定されるわけではありません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+0.3ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.49ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.37ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.22ポイント、有効求人倍率(除学卒)が+0.11ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、中小企業売上げ見通しDI、新設住宅着工床面積、新規求人数(除学卒)などのプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲3.1%減でしたが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、実質消費支出の前年同月比が+1.0%増と予想されていました。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、実績の▲3.3%は微妙なところです。引用した記事にもあるよういに、台風、降雨量増加、低温などの天候要因による部分があるとはいえ、家計調査の現れている消費はやや弱いと見る向きが多そうです。ただ、被服及び履物が実質の前年同月比で▲19.9%源ですから、このあたりに天候要因が特に強く現れている可能性はあります。6月は一部ながらボーナスが出たこともありますが、消費性向が特に手介しています。すなわち、38.3%まで低下を示しており、前年同月は41.6%ありましたので、▲3.3%ポイントの低下ということになります。この消費性向の動きは、中東戦争の動向に関して前月に何らかの買いだめ行動があった反動という見方も示されていますが、現時点ではなんともいえません。今後も家計消費の動向には注意が必要です。

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2026年8月 6日 (木)

初回の猛攻で2ケタ得点して3タテを免れる

  RHE
阪  神710000101 10130
横  浜002001110 591

【神】 大竹、木下、及川、工藤 - 坂本
【横】 ビド、若松、松本凌、吉野 - 松尾

初回の打者一巡の猛攻で7得点を上げ、横浜に大勝でした。
先発大竹投手は1回に7点、2回にも1点と、6回を投げて3失点ながら、十分責任を果たした形です。大差がついて気が抜けたのか、リリーフ陣もポロポロと失点し、緊張感に欠ける試合になりましたが、最後はクローザーのお勉強ということで、工藤投手が3人でピシャリと抑えました。新外国人ガルシア選手に、昨夜に続いてスリーランが飛び出しました。私は懐疑的なのですが、この外国人選手にどこまで期待できるのか、出来ないのか、もう少し様子を見たい気がします。

明日の中日戦も、
がんばれタイガース!

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世界的な出生率の低下の理由やいかに?

"The Rise of Female Autonomy and the Decline of Fertility: The Role of Mismatch" と題するワーキングペーパーを読みました。2023年のノーベル経済学賞を受賞したゴルディン教授による全米経済調査会(NBER)のワーキングペーパーであり、世界的な出生率の低下に関する要因を考えています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

次に、NBERのサイトからワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
The fertility decline is everywhere in the world today and goes back decades for rich countries. Birthrates have been below replacement in the U.S. and Europe since the mid-1970s. Completed cohort fertility in the U.S. was lower for those born in 1955 than for 1975. The reasons for the initial declines involve greater female autonomy and a mismatch between the desires of men and women. Men generally benefit more from maintaining traditions; women often benefit more from eschewing them. When the probability is low that men will abandon traditions, some career women will not have children and others will delay.

このワーキングペーパーでは、世界的な出生率低下の主因を、従来の育児コストの上昇や保育・育休政策の不足だけでは説明できないとし、女性の自律性の向上と男女間の役割期待のミスマッチ(greater female autonomy and a mismatch between the desires of men and women)に求める新たな理論を提示しています。すなわち、男性は伝統の維持から利益を得る一方で、女性はしばしば伝統から脱却することが利益になる(Men generally benefit more from maintaining traditions; women often benefit more from eschewing them.)、というわけです。
要するに、女性は高等教育やキャリア形成、避妊技術の普及によって人生の選択肢を大きく広げましたが、男性の家庭内役割や育児へのコミットメントは同じ速度では変化しませんでした。この結果、高学歴女性ほど「仕事と家庭を両立できる保証」が得られない限り、出産を延期あるいは断念するようになります。ワーキングペーパーの分析はこれらの状況を単純な理論モデルで表現し、教育収益率が高まる一方で「信頼できる父親」の割合が増えなければ出生率は低下すると示します。それをもっともよく表している概念図が Figure 3: Fertility Choice in the Model for College-Eligible Women であり、ワーキングペーパーから引用すると次の通りです。

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ゴルディン教授は多くの場合、大卒女性を考察するのですが、このグラフでも大卒女性を対象に、縦軸に大学教育の賃金プレミアム(college wage premium)、横軸に信頼できる父親の割合(share of dependable dads)を取り、グラフの右下が大卒女性が子どもを持つ領域、すなわち、期待されるチャイルド・ペナルティが十分低い領域(College Women Have Children; Expected child penalty is low enough)であり、逆に、左上は大卒女性が子どもを持たない領域、すなわち、期待されるチャイルド・ペナルティがあまりに高い領域(College Women Do Not Have Children; Expected child penalty is too large)となります。その境界線が示されています。
加えて、米国の歴史を分析し、ピルの普及が女性の教育・キャリア投資を促進した一方、男性側の意識改革が遅れたため出生率が急低下した、という議論を展開しています。また、日本・韓国・イタリア・スペインなど急速な経済成長を経験した国では、伝統的な性別役割分担が残ったため、女性の家事・育児負担が重く、出生率が極端に低くなったと論じています。したがって、少子化対策として育児補助金や住宅支援だけでは不十分であり、家庭内での男女の役割分担や、女性がキャリアと家庭を両立できる制度・社会規範の改革こそが重要であると結論づけています。

とても興味深い分析でした。でも、現在の高市内閣の政策当局からは無視される可能性が大きい、と私は受け止めています。

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2026年8月 5日 (水)

高橋投手が序盤から打ち込まれて横浜に大敗

  RHE
阪  神020001040 792
横  浜04110500x 11141

【神】 高橋、早川、セベリーノ、神宮 - 伏見
【横】 東、マルセリーノ、松本凌、伊勢 - 松尾、戸柱

高橋投手が打たれて、横浜に大敗でした。
先発高橋投手は2回に先制点をもらった直後、ツーラン2発を浴びて早々に逆転され、その後も失点して今シーズン初黒星です。打線は3回以降大山のソロだけだったんですが、およそ勝負とは関係ないところで、新外国人ガルシア選手にグランドスラムが出たりしました。つまらないエラーもあって、緊張感に欠ける試合でした。

明日は、
がんばれタイガース!

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甲子園で高校野球始まる

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本日午後4時に開会式があり、甲子園で高校野球選手権大会が開幕しました。間もなく第1試合の開始です。
今さらながらですが、上の画像は8月1日付けの朝日新聞号外であり、高校野球の組合せを報じています。右サイドの一番上に、私の郷土の代表であり、かつ、勤務校の立命館大学の付属校である立命館宇治高校が見えます。幸か不幸か、初戦は熊本代表の有明高校との対戦です。立命館宇治高校は地元関西の高校ですから、甲子園で応援負けすることはないと予想していますが、大きな地震被害があった熊本代表の有明高校に、ひょっとしたら、全国の応援が集まるかもしれません。それはそれで理解できます。

がんばれ立命館宇治高校!

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実質賃金の上昇続く6月の毎月勤労統計

本日、厚生労働省から6月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインは、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は531,677円と前年同月比+3.4%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.6%増と、6か月連続のプラスを記録しています。まず、統計の記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

6月実質賃金は前年比1.6%増、6カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が5日公表した6月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.6%増と、6カ月連続でプラスとなった。
ガソリン価格の反動増や電気・水道などの公共料金の上振れから消費者物価の伸び率が前月よりやや加速したものの、名目賃金がそれを上回って伸びた。
名目賃金にあたる現金給与総額は、53万1677円で前年比3.4%増加。5カ月連続で3%以上の伸びとなった。1991年-1992年以来のこと。そのうち、所定内給与は27万9189円で3.4%増だった。
消費者物価指数(2020年基準=100)を持家の帰属家賃を除く総合で実質化したものは前年同月比1.9%上昇で、総合指数で実質化したものは1.7%の伸びだった。
賞与などの特別に支払われた給与は3.5%増と前月の7.4%から伸びが鈍化した。所定外給与は2.8%増と人手不足を背景として人材投資などに支えられた。

続いて、毎月勤労統計のグラフは次の通りです。上のパネルは、名目及び実質の賃金指数の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの所定外労働時間指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、賃金については、6か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、6月統計では+1.6%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.4%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.9%にとどまったことに起因します。5月統計の確報では、現金給与総額が+3.3%増、実質賃金が+1.6%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当といった変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が4月+3.4%増、5月+3.0%増から、6月も+3.6%増であり、引用した記事にもあるように、現金給与総額とともに5か月連続で+3%以上の伸びを示しています。「所定内給与」も5月の3.0%増から6月は+3.4%増と、こちらも5か月連続で+3%以上の伸びとなっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」も6月は+3.5%増と増加しています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に名目の賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学でいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加につながることが期待されます。

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2026年8月 4日 (火)

チャンスはありながら決定打なく好投の村上投手を見殺し

  RHE
阪  神000000000 080
横  浜000100000 040

【神】 村上、及川、岩崎 - 坂本
【横】 尾形、ルイーズ、レイノルズ - 松尾

得点機は再三ありながら決定打なく、横浜に完封負けでした。
先発村上投手は6回4安打1失点と十分にナイスピッチングでした。後を継いだ及川投手と岩崎投手も、最近、やや調子を落としていましたがノーヒットに抑え切りました。ただ、だせんが、、特に終盤7回、8回、9回と得点圏にランナーを進めながら決定打がなく、ことごとくチャンスを逃して無得点に終わってしまいました。初物投手に弱いとはいえ、終盤のチャンスには一本欲しかったところです。

明日は、
がんばれタイガース!

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データ経済の新しいモデル

データ経済の新しいモデルを考える論文 "A Model of the Data Economy" を読みました。この論文では、「データ」について、生産活動の副産物ではなく、企業が生成し、蓄積し、活用し、さらには、売買する無形資産(intangible asset)として明示的に組み込んだ一般均衡モデルを示しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
In a data economy, transactions of goods and services generate data, which is stored, traded and depreciates. How are the economics of this economy different from traditional production economies? How do these differences matter for measurement of GDP, firm values, depreciation rates, welfare and externalities? We incorporate active experimentation and data as an intangible asset to devise a tractable recursive representation of the data economy. The model rationalizes why apps are often “free” and why even non-digital economic activity might be greater than GDP suggests. Calibrating the model using a combination of macroeconomic and financial moments suggests that the mis-measurement in U.S. GDP due to missing value of data has been as high as 6% in 2018.

繰返しになりますが、本論文では、データを単なる生産活動に付随する副産物ではなく、企業がその目的で生成し、蓄積・活用し、さらには、売買までする無形資産(intangible asset)として扱い、そういった属性を有するデータを明示的に組み込んだ一般均衡モデルを提示しています。従来の経済モデルでは、生産活動は財・サービスを作り出して終了しますが、この論文で示されているモデルでは、生産された財・サービスの取引そのものが新たなデータを生み、そのデータが将来の生産性向上やAIなどの性能改善につながるという循環構造を導入しています。データは蓄積される一方で陳腐化(depreciation)し、企業はデータ獲得のために積極的な実験(active experimentation)を行います。この枠組みにより、データ経済では短期的に収益が低くてもデータ資産の形成、すなわち、データの蓄積によって企業価値が高まる点が強調されます。同時に、アプリが無料提供されること、GDPには計上されないデータ間での物々交換(data barter)が存在すること、などが示されています。この一般均衡モデルによる知識のフローと蓄積をもっともよく示しているのが Figure 1 であり、ジャーナルのサイトから引用すると次の通りです。

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直感的に理解できることと思いますが、Figure 1 は、企業におけるデータの流入と流出の動態を示しています。データの生産量は、データの流出線よりも上方に位置することもあれば、下方に位置することもあります。実線で示されたデータの流入と破線のデータの生産との差は影がつけられており、データの購入に相当します。こうした購入は流入線を上方へ押し上げ、収束を加速させる要因となります。長期的な均衡点は青いドットで示されています。
さらに、論文では、米国データに基づくキャリブレーションでは、GDPはデータ資産の価値を十分に反映しておらず、2018年には実際の経済価値を約6%過小評価していた可能性を指摘しています。論文では、AI時代のデータ駆動型経済を分析するには、設備投資や人的資本だけでなく、データ蓄積を新たな資本として扱う理論が不可欠であると結論付けています。

最後に、どうしてアプリが無料で提供されるのか、についても論文では回答を示しています。すなわち、アプリを販売して利益を上げるよりも、無料アプリを配布して利用者を拡大する方がより大きな収益につながるから、ということです。なぜなら、無料アプリを利用する多くのユーザから行動履歴、検索履歴、位置情報、購買履歴、AI学習データなどを収集することが可能となり、それらを用いて、AIの精度向上、広告のクリック率向上、リコメンデーションの精度向上などにつなげることが出来ることからです、少数のユーザにアプリを販売するのではなく、格段に多数のユーザに無料アプリを配布してデータを収集する方が収益につながる、という判断があるものと考えるべきです。

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2026年8月 3日 (月)

子育てコストと少子化について考える

未公刊の論文ながら、"The Child Cost Index" という子育てコストを推計した論文を読みました。1990年から2023年までの米国における広い意味での子育てコストを推計しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

繰返しになりますが、未公刊の manuscript ですので、今後、修正がある可能性は十分あります。続いて、論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Rising child-rearing costs are often cited in accounts of declining U.S. fertility, but there is little evidence on how the prices of child-rearing inputs have evolved in the aggregate. We construct a Child Cost Index (CCI) for 1990-2023 that combines purchased goods and services with parental time and tracks the price of this composite child-rearing bundle relative to adult consumption. Despite rapid inflation in childcare and tuition prices, the goods-and-services CCI closely tracks adult prices, as these increases are offset by children's lower exposure to shelter and by slower price growth elsewhere in the child basket. Households devote substantially more real resources to children than they did in 1990, but this increase parallels the growth of real adult consumption rather than reflecting a child-specific rise in prices. A similar offsetting pattern appears for parental time: the rising value of women's time is largely counterbalanced by declining motherhood penalties in earnings and work hours, so forgone market work adds little to relative cost growth. The main departure from this stability comes from the growing amount of leisure displaced by childcare; valuing that time raises the CCI, although the magnitude depends on the shadow value assigned to leisure.

この論文は、1990年から2023年の米国における子育てに必要な財・サービス、さらに、親の時間を統合した Child Cost Index (CCI) を推計し、子育てコストが成人(adult)の消費と比較してどの程度上昇したかを分析しています。論文の分析の結果、保育料や授業料は大幅に上昇したものの、それだけでもって「子育てコストが急騰した」と結論づけることはできない、と指摘しています。すなわち、住宅費では子どもの支出割合が成人より小さく、食料など価格上昇が比較的緩やかな上昇率の項目の比重も高いため、高騰した教育・保育費が他の項目によって相殺される、という主張です。その結果、財・サービスのみから構成されるCCIは、成人消費指数(Adult Consumption Index=ACI)とほぼ同じペースで推移し、子育ての相対価格は30年以上ほとんど変化していない、と結論づけています。

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まず、上のグラフは、論文から Figure 3: Price index for child goods and services, CCI, 1990-2023 を引用しています。見れば明らかなのですが、子育てコスト指数(CCI)と成人消費指数(ACI)を比較しています。1990年から2023年まで30年間にわたって、ほぼ同様の動きを示しており、子育てコストがとりわけ大きく上昇したという根拠は観察されない、という結論です。繰返しになりますが、保育料や教育費の高騰がそのまま子育てコストの大きな上昇にはつながっておらず、住宅費や食料費によって相殺されている部分が少なくない、ということです。

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続いて、上のグラフは、論文から Figure 7: Changes in parental time use, 1990-2023 を引用しています。この論文では、それでは、子育てコストはまったく親の負担になっていないのか、という疑問に回答しようと試みていて、その結論のひとつが示されています。すなわち、市場労働価値(labor-market outcomes)としては決して大きくない一方で、親が子育てにかける時間が増加し、その多くが余暇時間の減少として現れている、という主張です。狭義と広義の2通りの棒グラフですが、両親ともに余暇時間が減少していることが読み取れます。したがって、この余暇時間の減少がインプリシットに子育てコストに上乗せされている可能性が示唆されています。

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最後に、論文を離れて、上のグラフは経済開発協力機構(OECD)の Net childcare costs のサイトから引用しています。Net childcare costs は、フルタイムの施設型保育の利用料金による家計の純減額(the net reduction in family budgets resulting from the use of full-time centre-based care)と定義されています。この意味で、米国はOECD加盟国の中でももっとも高い国のひとつであり、日本は逆に平均的ないし低い方に入ることが読み取れます。保育料金が高いからこそ、米国では本論文 Child Cost Index のような問題意識が生じるわけです。他方、日本では先進国の中ではそれほど保育料金が高いわけではありません。加えて、日本は婚外子の割合が低い点は広く認められていますから、子どもを出産した後の子育てコストへの支援ももちろん重要ですが、まず、結婚の意欲が持てて、実際に結婚生活が送れるような所得、そのための雇用がより重視されるべきである、と私は考えています。

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2026年8月 2日 (日)

坂本捕手の決勝ホームランでヤクルトを3タテ

  RHE
阪  神002100001 472
ヤクルト100200000 3100

【神】 下村、門別、木下、及川、工藤 - 坂本
【ヤ】 ウォルターズ、丸山翔、星、廣澤、清水、キハダ - 古賀

9回の坂本捕手の決勝ホームランで、ヤクルトを3タテでした。
初回に先発下村投手が失点しましたが、3回には佐藤輝選手のツーベースで逆転し、4回にも坂本捕手のホームランでリードを広げます。しかし、4回には前川外野手が落球した後、同点に追いつかれます。その後、両チームともにリリーフが踏ん張って、最終回の坂本捕手のホームランで決着がつきました。9回ウラは3連投の工藤投手が初セーブを上げました。ヒットは打たれましたが、危なげない投球でした。若きクローザーの誕生かもしれません。

横浜戦も、
がんばれタイガース!

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5年間で消費の品目はどう変化したか?

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とても旧聞に属するトピックながら、先月7月10日に総務省統計局から「2025年基準 消費者物価指数の解説」が公表され、p.10に別表1として「2025年基準改定における追加・廃止・統合品目」がリストアップされています。2020年基準から2025年基準への変更にしたがって、廃止品目と追加品目を見ると消費生活の変化がチョッピリうかがえます。
詳細は総務省統計局の資料を見るとして、私の興味の範囲で、以下の通り10大費目別にリストアップしてみました。
まず、被服及び履物では、追加品目はないのですが、婦人用帯、ネクタイ、婦人用ストッキングの3品目が廃止されています。保健医療では、青汁を指す健康保持用摂取品Bが廃止され、代わりにプロテインパウダーが追加されます。交通・通信では廃止品目はなく、ヘルメットとカーリースが追加されます。教育も同じく廃止はなく、通信教育が追加されます。教養娯楽では、サッカー観覧料とビデオソフトレンタル料が廃止され、代わりにヘッドホン・イヤホン、資格試験、ペット保険料が追加されます。紳士用品では、クールビズなんかの広がりで、もうネクタイは買わなくなったのかもしれません。青汁に代わってプロテインパウダーというのも、消費や健康意識の変化を表していそうです。

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2026年8月 1日 (土)

序盤は雨で荒れるもヤクルトに連勝

  RHE
阪  神202003000 7120
ヤクルト030000000 3100

【神】 伊藤将、、木下、及川、工藤、岩崎、ドリス - 坂本
【ヤ】 高橋、荘司、田口 - 鈴木叶

ホームランで効果的に得点し、ヤクルトに連勝でした。
初回にゲリラ豪雨で中断した直後、大山選手が昨夜の逆転打に続いて先制のツーベースを放ちます。しかし、先発伊藤将投手は序盤2回に3失点し逆転されてしまいます。しかししかしで、3回には森下外野手がまたまた逆転ツーランをかっ飛ばします。6回には坂本捕手のスリーランが飛び出し、一気にリードを広げます。9回最後のマウンドは岩崎投手が上がります。でも、岩崎投手はここまで劣化したのかと目を覆いたくなる出来で、最後はドリス投手が締めくくりました。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書やミステリなど計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、高久玲音『医療崩壊の経済学』(慶應義塾大学出版会)は、医療経済学の専門家による学術書であり、一般読者にはハードルが高い気もしますが、2020年のコロナのパンデミック直前の時期から、コロナ禍の時期の医療提供体制ほかについて論じ、我が国医療制度の現状を分析しています。玉木俊明『西洋史研究者をめざす人のために』(創元社)では、学生や院生、さらに、若手の研究者向けに研究の進め方なども含めて、西洋史研究者をめざす人々へのアドバイスがいろいろと展開されています。斎堂琴湖『桜葬』(光文社)では、冒頭の2023年3月、武蔵浦和駅で杖をついた男がホームからバラバラ死体を線路にばらまきペットボトルから液体をその死体の上にまいて火をつけ、ホームから500枚の1万円札もばらまき、しかも、最後に、武蔵野線の電車に飛び込み自殺を果たします。遠坂八重『死んだら永遠に休めます』(朝日新聞出版)では、東証プライム上場の大手企業の総務経理統括本部を舞台に、パワハラ上司の前川部長が、突然、メールで「失踪宣言」を出し、さらに、「私は殺されました」と題するメールが発信され、パワハラ被害を受けていた部下全員が容疑者として告発されます。藤崎翔『ある謎解き作家の遺書』(SCRAP出版)では、謎解きイベント制作会社の書籍編集部謎制作課に所属する若手職員が自殺し、警察署から自殺の真相解明のためにパズルを解いてほしいと依頼され、課長以下で自殺の真相を探り始めますが、ラストに大きなどんでん返しが待ち受けています。米澤穂信『倫敦スコーンの謎』(創元推理文庫)では、小市民シリーズ完結編の『冬期限定ボンボンショコラ事件』にて、小鳩常悟朗と小佐内ゆきの2人は高校を卒業してそれぞれ別の進路を行くのですが、本書はその前日譚であり、高校1年の冬から2年の1学期にかけての時期の短編4話を収録しています。J.D. サリンジャー『彼女の思い出/逆さまの森』(新潮文庫)では、従軍歴ある作者の経験も取り入れた短編集であり、邦訳は金原瑞人教授による新訳です。ブラックユーモアというか、独特のシニカルな見方が示されている一方で、とても軽やかな会話が交わされており、原文と邦訳のクオリティの高さが感じられます。
今年2026年の新刊書読書は、1~7月の半年あまりで177冊、8月に入ってから今週の7冊を加えて合計184冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、高久玲音『医療崩壊の経済学』(慶應義塾大学出版会)を読みました。著者は、一橋大学経済学部教授であり、ご専門は医療経済学だと思います。本書は完全に学術書であり、一般読者にはハードルが高い気もしますが、2020年のコロナのパンデミック前夜における段階から、コロナ禍の時期の医療提供体制ほかについて論じています。まず、コロナのパンデミック前ですら日本の医療提供体制には綻びが見え始めており、コロナ禍に入っても医療提供体制が短期には変えられないので、国民の行動変化・変容で乗り切るしかない、という意見が医療関係者の間で支配的であった、と指摘されています。要因のひとつには、自由開業制、フリーアクセス、出来高払いという医療提供体制が上げられています。ただ、本書でも指摘されているように、医療保険については国民皆保険で、診療費や医薬品の単価も政府の公定という医療体制は、それなりに機能し得る部分もあります。私も医療サービス市場の情報の非対称性から、ある意味で、当然と考えています。ただ、コロナ禍の時期に県立病院へのガバナンスが不十分であったとか、中小規模病院での幽霊病床の存在などの本書の分析については、専門外の私には実感できないところでした。本書では、コロナ以外にも救急医療の再編、患者の自己負担のあり方などの問題を取り上げ、さまざまなデータを活用して、診療報酬、医療保険制度、医療提供体制の3方向から我が国医療制度の現状を分析しています。繰返しになりますが、医療経済学の大雑把な基本的問題は、教育と同じで情報の非対称性ということになります。すなわち、医療や教育を提供する医師や教員の方が、提供される患者や学生よりも圧倒的に情報を持っているわけです。ですから、市場の失敗が生じて何らかの政府による規制が必要となります。まあ、マイクロ経済学の分野ですし、私の専門外ですが、いろいろと必要あって本書も読んでみました。十分に理解できた自信はありませんが、それなりに参考になったと受け止めています。最後に、私はこういった学術書はそれなりの読み方をしますが、参考文献リストの抜けがいくつか散見されました。大沢(2025)とか、吉川(2022)がなかった気がします。

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次に、玉木俊明『西洋史研究者をめざす人のために』(創元社)を読みました。著者は、京都産業大学経済学部の教授であり、ご専門は西洋経済史、特に、近世のバルト海貿易、ということのようです。実は私も京都大学経済学部では西洋経済史のゼミに所属していましたが、経済史については、文学部の歴史学からの研究と経済学部の経済学からの流れがあり、玉木教授は前者といえます。私の勤務する立命館大学経済学部の西洋経済史の担当准教授は後者の経済学からの流れであり、したがって、というか、何というか、立命館大学に来るまで非常勤講師のころにはマクロ経済学とかミクロ経済学の授業も経験ある、といったことを聞き及んでいます。ただ、いずれの歴史学も、本書で指摘されているようにランケの研究の影響を強く受けている点は確かです。私も大学に入学した直後に岩波文庫の『世界史概観』を読んだ記憶があります。経済学からの流れの経済史では、歴史の進み方に明らかなモデルがあり、マルクス主義経済学の史的唯物論の影響を強く受けている場合があります。そうでなければ、ノーベル経済学賞を受賞したノース教授のような制度学派です。本書では、東大の大塚先生の「西洋経済史序説」なんかも言及されています。マルクス主義的な史的唯物論は、原始共産制➜奴隷制➜封建制➜資本制➜社会主義➜共産主義、という生産関係により分類するモデルです。私が大学で教えている経済学には、マルクス主義のカケラもありませんが、マクロ経済学の生産関数は単純化していえば、資本ストックと労働をインプットして付加価値をアウトプットとして得る、というものです。ついでながら、付加価値の合計がGDPなわけです。ただ、資本制より前の段階では資本ストック、すなわち、機械や建て屋などがそれほど蓄積されておらず、ほぼほぼ人力で生産が進められていました。そこで、イングランドから始まる産業革命により、本書で指摘されているポメランツ的な大分岐が生じるわけです。私がよく言及するノーベル賞経済学者のクズネッツ教授は、世界には4種類の国しかなく、それは、先進国(developed)、後進国(undeveloped)、日本とアルゼンティンである、と指摘しています。その当時の時代背景からして、日本は後進国から先進国になった例外、逆に、アルゼンティンは先進国から後進国になった例外ということですので、先進国と後進国を分けるポイントは産業革命です。楽観的な視点からのアシュトン『産業革命』とか、悲観的な視点からのマントゥ『産業革命』とか、いくつかの分析があり、現時点では、制度学派的な見方が一定のコンセンサスを得ているような気もします。といったような経済史に関する蘊蓄は、私もそれなりに持っているのですが、本書では、学生や院生、さらに、若手の研究者向けに研究の進め方なども含めて、西洋史研究者をめざす人々へのアドバイスがいろいろと展開されています。

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次に、斎堂琴湖『桜葬』(光文社)を読みました。著者は、本書の奥付けでは会社員と紹介されています。2023年に『燃える氷華』で第27回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、その翌年にデビューしています。本書が2作目となります。一応、私は前作も読んでいます。なお、本書はすでに文庫版がでていますが、私は単行本で読んでいます。ということで、とても複雑な殺人事件をモチーフにしたミステリです。舞台は埼玉県警であり、前作と登場人物は少なくとも警察の刑事はかなりの程度の共通します。したがって、シリーズといえるかもしれません。冒頭、2023年3月の武蔵浦和駅で杖をついた男がホームからバラバラ死体を線路にばらまきペットボトルから液体をその死体の上にまいて火をつけ、ホームから500枚の1万円札もばらまき、しかも、最後に、武蔵野線の電車に十字を切って飛び込み自殺を果たします。3ページほどのプロローグで、自殺した杖をつく男の視点からこの一連の場面を描写した後、第1部でその3年前にさかのぼって、2020年3月のコロナのパンデミックのごく初期に、浦和という名がつく駅への爆破予告があり、電車が止まって警察官が警戒と捜査に当たる場面が展開されます。この第1部も20ページ足らずのボリュームです。そして、再び2023年3月の小説における現在に戻って、プロローグの事件の捜査が始まります。冒頭の杖をついた男、バラバラ死体を線路にバラまいて火をつけ、1万円札もばらまいた上に、電車に飛び込み自殺をする男の正体は、警察によって早々に突き止められます。したがって、どうしてこのような事件を引き起こしたのか、すなわち、Whydunnit を追求するミステリです。スタートがあまりに衝撃的で、絶対に現実にはありえないプロットです。はい、小説でしか読めません。現実離れしています。まさに、フィクションの世界です。前作の『燃える氷華』と似た感想で、作為的すぎて複雑怪奇、初期の伏尾美紀作品みたいに、いろんなものを詰め込みすぎた印象です。なお、冒頭がもっともグロいのですが、ほかにも少しグロテスクな場面があったりします。その意味で、万人にオススメできるミステリではない気がします。もし映画化でもされたら、R13くらいの指定があってもおかしくないです

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次に、遠坂八重『死んだら永遠に休めます』(朝日新聞出版)を読みました。著者は、ミステリ作家ではないかと思うのですが、2022年に『ドールハウスの惨劇』で第25回「ボイルドエッグズ新人賞」を受賞し、そのほかの著書に『怪物のゆりかご』があり、本書は3作目だそうです。ただ、私には初読の作家さんでした。本書の主人公は、東証プライム上場の大溝ベアリング川崎事業所総務経理統括本部(総経本部)勤務で、30歳手前の青瀬という女性総合職です。職場がきわめてブラックで長時間残業がある上に、パワハラ上司の前川部長から被害を受けています。前川部長は、総経本部以外の部署では外面よいものの、総経本部の部下に対しては書庫を説教部屋として使ってパワハラを繰り返し、夏の季節にはひいきの旅館の女将にいいところを見せるために、泊りがけでホタルを見る会と称して、部内全員で出かけたりします。青瀬は、アパートに帰宅してもゴミを捨てる気力もなく、シャワーすら忘れる時もあります。その前川部長が青瀬にホタルを見る会を欠席するように宣言した後、メールで「失踪宣言」を出し、さらに、1週間ほどして「私は殺されました」と題するメールが事業所の職員全員宛てに発信され、主人公の青瀬ほか総経本部の全員が容疑者として告発されていました。パワハラ上司が不在になって、やや生気を取り戻すことができた一方で、警察から事情聴取を受けたり、職場のほかの部署の職員から殺人犯に見なされたりで、主人公の青瀬と容疑者として部内で唯一告発されていない派遣社員の三井仁菜が失踪した前川部長の捜索を始めます。まず、前川部長が通っていたコンカフェの従業員を当たろうとしますが、その女性が殺害されてしまったりします。果たして、前川部長は生きているのか、死んでいるのか、死んでいるなら、犯人は誰なのか。職場の人間関係のビミョーなところがなかなか巧みに描き出されていました。基本、本書はイヤミスなんだろうと私は受け止めています。

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次に、藤崎翔『ある謎解き作家の遺書』(SCRAP出版)を読みました。著者は、芸人ではもはやなく、立派な、というか、何というか、小説家ではないかと思います。私もファンでいくつか小説を読んでいたりします。本書は、リアル脱出ゲームのSCRAPとタッグを組んだ小説となっています。ストーリーとしては、謎解きイベント制作会社のSCRAP書籍編集部謎制作課に所属する若手職員の舟木亮太郎が自殺します。謎制作課は自殺した舟木亮太郎のほか、千葉奈々子課長以下、竜崎哲広、佐上誠輔、天野梨帆がメンバーとなります。そこに、高円寺警察署から連絡が入り、自殺の真相解明のために舟木亮太郎の残したパズルを解いてほしいと依頼されます。高円寺署に出向いた謎制作課の4人は、田所幹男警部補と柳沢夏美巡査長とともに、舟木亮太郎のアパートに向かい、残されたパズルを解き始めます。そして、自殺の真相を探り始めます。ラストに大きなどんでん返しが待ち受けています。出版社のサイトに、pp.173-4にあるパズルのヒントが置いてあり、それに正答するとSNSに投稿できる画像がもらえたりします。はい、私もゲットしました。私は基本読書として本書を楽しみましたが、舟木の残した16問のパズルを解くというパズル集としても楽しむことができそうです。

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次に、米澤穂信『倫敦スコーンの謎』(創元推理文庫)を読みました。著者は、ミステリ作家であり、本書はほぼほぼ完結したはずの小市民シリーズの短編集です。ですので、主人公は男女2人の高校生であり、小鳩常悟朗と小佐内ゆきとなります。2人は、たぶん、岐阜県と目される場所を舞台に、県立船戸高校の生徒であり、緩やかな同盟関係にあります。同盟関係の目的は、高校内で目立たず小市民でいること、もっといえば、2人のそれぞれの悪しき志向、すなわち、推理して、その推理を人に披露せずにいられない小鳩常悟朗、また、復讐をせずにいられない小佐内ゆき、のそれぞれの志向を封印して小市民を目指そう、ということです。すでに、このシリーズは2年ほど前の『冬期限定ボンボンショコラ事件』で終結しており、2人は高校を卒業してそれぞれ別の進路を行くような示唆がなされています。本書は、いわばその前日譚であり、2人が高校1年の冬から2年の1学期にかけての時期の短編4話を収録しています。あらすじは、順に、「桑港クッキーの謎」では、2人が高1の冬に船戸高校のOBの芸術家である縞大我氏がサンフランシスコ・ビエンナーレで黒熊賞を受賞し、ちょっとした話題になりテレビの取材で高校に残された縞氏の作品、県の美術展に出展した作品が見つかります。しかし、この作品が別の画家の模写であることが判明し、作品がオリジナルでなく模写であることを隠して出展していたのではないか、という疑惑が持ち上がります。続いて、「羅馬ジェラートの謎」では、小鳩くんが小佐内さんに3学期の期末試験の後、郊外のショッピングモールに新しく出店したジェラートショップ「アバーネッティーズ」のジェラートをごちそうすることになりますが、フードコートのテーブルでジェラートを前に、ジェラートには手もつけずにじっと座っているスーツ姿の女性がいます。続いて、「倫敦スコーンの謎」では、高2になって2人はそれぞれのクラスで、家庭科の調理実習でアフタヌーン・ティーのメニュー、すなわち、キュウリとトマトのサンドイッチ、茹で卵とバジルソースのカナッペ、さらに、スコーンを作ることになるのですが、小山内さんの班はスコーンが生焼けで失敗してしまいます。最後に、「維納ザッハトルテの謎」では、サンフランシスコ・ビエンナーレで黒熊賞を受賞した縞大我氏が船戸高校に講演会で来ることになり、学生に自分の作品を見てもらうために作品を送ってきたのですが、地震が起きて作品が壊れたことを小鳩くんが確認したにもかかわらず、講演会当日にはキズひとつない作品が展示されたりします。ない、基本ミステリであり、短編ですので殺人事件は起きませんが、主人公の小市民2人で謎解きに当たります。

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次に、J.D. サリンジャー『彼女の思い出/逆さまの森』(新潮文庫)を読みました。著者は、グラース家サーガや、何といっても、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』で有名な小説家です。作家ご本人には従軍歴があり、第2次大戦中のノルマンディー上陸作戦にも参加しているそうで、そういった経験も取り入れた短編集となっています。サリンジャーの初期短編集であり、20代のころの作品が中心です。なお、邦訳は金原瑞人教授による新訳です。収録短編のタイトルだけを列挙すると、表題作のひとつの「彼女の思い出」から始まって、「ヴァリオニ兄弟」、「すぐに覚えます」、「おれの軍曹」、「ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない」、「新兵に関する個人的な覚書」、「ブルー・メロディ」、そして、最後は表題作のひとつである「逆さまの森」となり、これだけは短編というよりも中編くらいのボリュームで120ページ余りあります。収録されていたのは、Saturday Evening PostCosmoppolitan あるいは Esquire などであり、ブラックユーモアというか、独特のシニカルな見方が随所で示されている一方で、とても軽やかな会話が交わされていたりして、原文と邦訳のクオリティの高さが感じられます。ただ、どうしても1940年代の執筆作品ですから、中には人が死ぬ場面も少なくありません。人が死ぬ小説は私はそれほど好きではないのですが、時代背景としてやむを得ないものがあります。また、その後の1950-60年代の米国映画の場面を見ているような作品も少なくありませんでした。私のようにサリンジャーのファンであれば読んでおくべきかと思います。

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