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2026年8月31日 (月)

4か月連続の増産となった7月の鉱工業生産指数(IIP)と上昇傾向続く7月の商業販売統計

月末日の本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+0.1%の増産、4か月連続の増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+5.3%増の13兆4470億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.9%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産7月は0.1%上昇、4カ月連続プラス 判断据え置き
経済産業省が31日公表した7月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100)は前月比0.1%上昇した。4カ月連続の増産。基調判断は「一進一退」で据え置かれた。ロイターが集計した民間予測は同0.7%低下だった。
指数を押し上げたのは、生産用機械、無機・有機化学、電子部品・デバイスなど。半導体製造装置は前月比10.7%と大幅に増加した。フラットパネル製造装置とともに、輸出の増加が生産を押し上げた。半導体メモリも前月比53.1%と大幅増産だった。
指数を押し下げたのは、自動車を除く輸送用機械や金属製品、プラスチック製品など。
在庫指数は前月比0.5%上昇。2カ月連続で増えたが、出荷が同2.2%上昇と2カ月ぶりに伸びたため、在庫率は同1.7%低下した。
<地震被災企業詳細は未把握>
企業の生産計画に基づく予測指数は8月が前月比6.4%上昇、9月は同4.2%低下となっている。業種別では電気・情報通信機械や生産用機械が8月の増産をけん引する見通し。
7月28日に発生した熊本地震については「被災企業の詳細をつぶさに把握できていない」(経産省幹部)状態で「影響は慎重に見極める必要がある」(同)としている。
小売販売7月は前年比4.0%増、自動車・エアコン押し上げ
経済産業省が31日発表した商業動態統計速報によると7月の小売販売額は前年比4.0%増加した。ロイター集計の民間予測は同2.9%増で、これを上回った。
業種別の前年比は、自動車16.2%増、その他小売業7.3%増、家電などの機械器具6.3%増など。自動車の新型車投入効果や、来年の省エネ基準改定を受けたエアコン需要増などが寄与した。
業態別の前年比は、家電大型専門店10.4%増、百貨店4.3%増、ドラッグストア3.4%増、コンビニ1.3%増などだった。家電はエアコンやスマートフォンの販売が好調だった。百貨店は夏物衣料やインバウンド需要が押し上げた。ドラッグストアは食品、菓子、コーヒーなどの「価格上昇した食品の販売が好調だった」。

いくつかの統計が公表されましたので、長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の最初パラにある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは▲0.7%の減産でしたし、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、▲0.8%の減産が予想されていましたので、実績の+0.1%の増産はレンジ内とはいえやや上振れした印象です。加えて、引用した記事にもあるように、出荷は生産以上の伸びを示しています。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、中東戦争勃発前の今年2026年1月の生産指数は中華圏の春節の撹乱要因あるとはいえ104.5であり、前月の2026年6月の104.6や本日公表された7月の104.7の生産水準は、中東戦争で下振れした分を取り戻した反動増、という見方もできます。ですので、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から2年ほど連続して据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測指数を見ると、足下の8月は+6.4%の増産ですが、翌9月は▲4.2%の減産と見込まれており、指数の上振れ傾向を補正した試算値では8月は+5.4%の増産と試算されています。加えて、引用した記事の最後のパラにあるように、熊本地震の影響は現時点では何とも測りがたいものがあります。九州は「シリコン・アイランド」と呼ばれているだけに、熊本地震の半導体関連への影響は小さくないものと私は想像しています。
産業や製品別に少し詳しく見ると、経済産業省の解説サイトによれば、7月統計における生産を見ると、増産方向に寄与したのは、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置などの生産用機械工業が前月比+5.1%増、寄与度+0.46%、合成ゴムやポリプロピレンなどの無機・有機化学工業が前月比+6.0%増、寄与度+0.24%、モス型IC(メモリ)や電子回路基板などの電子部品・デバイス工業が前月比+2.6%増、寄与度+0.15%となっています。逆に、減産方向に寄与したのは、航空機用発動機部品や航空機用機体部品などの輸送機械工業(除、自動車工業)が前月比▲4.7%減、寄与度▲0.15%、橋りょうや飲料用アルミニウム缶などの金属製品工業が前月比▲3.1%、寄与度▲0.13%、プラスチック製機械器具部品やプラスチック製容器(中空成形以外)などのプラスチック製品工業が前月比▲1.1%、寄与度▲0.05%、となっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事の最初のパラにあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+2.9%増でした。実績の+4.0%増はこれを上回っています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が徐々に縮小し、先月の6月統計では+0.6%増と伸びが大きく縮小した後、直近の7月統計では+4.0%と再び伸びを高めています。ただし、この伸びの変動は、5月統計で土日祝日が前年と比べ2日多かったほか、例年より気温が高かったことから、前年同月比+5.0%増とジャンプし、6月にはその反動が出た面もあります。また、季節調整済み指数の前月比も7月統計では+2.4%増ですが、6月には▲3.9%の低下を記録していますので、5-7月くらいで均して見る必要がありそうです。ですので、統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の7月統計までの3か月後方移動平均の前月比が±0.0%の低下であるものの、先々月5月統計で「緩やかな上昇傾向」から1ノッチ上方修正した「上昇傾向」で据え置いています。季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を簡単に見ておくと、引用した記事の2パラ目にあるように、自動車小売業が+16.2%増、機械器具小売業が+6.3%となっています。特に、7月統計で家電大型専門店販売額の半分強を占める生活家電が+17.1%増を示しています。生活家電のうち、季節家電が+33.8%増ですからエアコンが売れたのであろうと私は想像しています。
また、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、7月統計ではヘッドライン上昇率は+1.9%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.8%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の7月統計の前年同月比+4.0%増は、実質消費がプラスになっている可能性あると私は考えています。ただし、販売ですので、国内消費にインバウンドを加えたものとなっており、国内消費が商業販売統計ほど堅調であるかどうかは微妙なところかもしれません。最後に、この商業販売統計でも鉱工業生産統計と同じで、熊本地震の影響はやや雑に推計されています。詳細は経済産業省のプレスリリースをご覧ください。

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