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2026年8月10日 (月)

改善続くも熊本地震が影を落とす7月の景気ウォッチャーと久しぶりの赤字を記録した6月の経常収支

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.7ポイント上昇の45.7となった一方で、先行き判断DIは+0.1ポイント上昇の45.8を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で▲923億円の赤字を計上しています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気7月は1.7ポイント上昇、3カ月連続プラス 中東情勢の落ち着きや季節商材の販売で
内閣府が10日に発表した7月の景気ウオッチャー調査で現状判断DIは45.7となり、前月から1.7ポイント上昇した。3カ月連続のプラス。中東情勢の落ち着き具合や、夏の季節商材の堅調な販売状況などが景況感の押し上げに寄与した。
ウオッチャーの景気の見方は「中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、持ち直しの兆しがみられる」と、前月までと同様の表現を用いた。先行きに関しては中東情勢による不透明感が残ることに加え「熊本地震の影響に対する懸念もみられる」とした。
指数を構成する3部門が揃って上昇した。家計動向関連は前月から1.9ポイント上昇し45.4、企業動向関連は1.0ポイント上昇し46.6、雇用関連は2.2ポイント上昇し46.1となった。
ウオッチャーからは「梅雨明け以降の急激な猛暑により、エアコンを始めとする季節商材の販売が急激に伸びている」(近畿=家電量販店)、「中東情勢の影響による価格上昇に落ち着きがみられるようになったことで、夏休みに向けた予約が少しずつ増えている」(北海道=観光型ホテル)といった声が出ていた。
一方で、「物価高による買い控えが続くなか、連日の猛暑により午後の商店街は閑散としている」(九州=商店街)といったコメントもあり、猛暑にはプラス面とマイナス面があることが示された。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月から0.1ポイント上昇の45.8。4カ月連続のプラス。内閣府は先行きについて「中東情勢による不透明感が残ることに加え、令和8年熊本地震の影響に対する懸念もみられる」とした。
調査期間は7月25日から31日。28日に熊本地震が発生したこともあり、九州地方の観光ホテルからキャンセルが相次いでいるとの指摘や、東海地方の輸送用機械器具製造業から生産ストップへの影響を懸念する声が出ていた。
経常収支、6月は923億円の赤字 海外への配当金増加し17カ月ぶりマイナス
財務省が10日発表した国際収支状況速報によると、6月の経常収支は923億円の赤字となった。赤字は17カ月ぶり。海外の投資家に対する日本企業の配当金の支払いが増えたことなどで、第一次所得収支の黒字幅が大幅に縮小した。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は1兆5120億円の黒字だった。
内訳をみると、第1次所得収支は3801億円の黒字となった。証券投資収益の赤字幅が拡大したことなどから、黒字額が前年同月比で1兆0648億円減った。近年、海外投資家による日本株への投資が増加しており、配当支払い額も拡大傾向にある。
貿易収支は1352億円の赤字に転換した。輸出が同16.3%増の10兆4801億円、輸入が同24.3%増の10兆6153億円となり、輸入額が輸出額を上回った。原粗油、半導体等電子部品、非鉄金属などの輸入額が増えた。
サービス収支は赤字幅が同679億円増え、2285億円の赤字となった。訪日外国人旅行者(インバウンド)の減少などを背景に旅行収支の黒字幅が縮小した。
貿易・サービス収支は6704億円悪化し、3637億円の赤字となった。
同時に発表した2026年1-6月期の経常収支は17兆4292億円の黒字。前年同期比で22.5%増加し、上半期ベースでは比較可能な1985年以降で過去最大の黒字となった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただ、景気ウォッチャーの記事は内閣府からの公表直後のファーストショットですので、その後、追加や修正が入っているかもしれません。続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では、米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発する中東の武力紛争により大幅なマインド低下により、3月統計では前月から▲6.7ポイントと大きく低下して42.2となった後、4月統計でも▲1.4ポイント低下して40.8と直近での底となった後、5月の休日が例年よりも多かったこともあって家計動向関連のうちの飲食関連が大きく上昇したことから、5月統計では+2.8ポイント上昇して43.6を記録し、6月統計でも+0.4ポイント、さらに、本日公表の7月統計でも+1.7ポイント上昇して、45.7を記録しています。ただし、先行き判断DIは前月から+0.1ポイントの上昇にとどまっており、先行きの慎重姿勢が見られます。まず、現状判断DIでは家計動向関連・企業動向関連・雇用関連の3カテゴリーがそろって上昇し、さらに、家計動向関連の中でもほぼすべての項目、また、企業動向関連でも製造業・非製造業とも上昇を見せています。米国とイランの停戦合意が6月半ばでしたから、この中東における武力紛争の影響がそれほど大きくないという認識が広まった、ということなのだろうと私は考えています。なお、統計作成官庁である内閣府は基調判断を先月とほぼ同じ「持ち直しの兆しがみられる」で据え置いていますが、上方修正しています。すなわち、中東情勢によるただし書きを別にすれば、現状判断に関しては、5月統計の時点では、「このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。」でしたが、6月統計では「持ち直しの兆しがみられる。」と改定しています。ただし、先行きについては、「熊本地震の影響に対する懸念」が付け加えられています。まあ、何と申しましょうかで、マインドは海外における中東の武力紛争、国内では熊本地震といった経済外要因の影響が大きい、ということなのだろうというのはよく理解できます。景気判断理由の概要については、内閣府の調査結果の中から、九州の熊本地震の声を拾うと、「令和8年熊本地震の影響により、キャンセルが相次いでいるため景気が悪くなっている(観光型ホテル)。」といった見方がありました。記事の最後のパラに要約されているものだと思います。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事の通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+1.5兆円余りの黒字ということでしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じように+1.5兆円超の黒字の見込みでしたので、実績の小幅とはいえ経常赤字は下振れした印象です。ただし、季節調整済み系列の統計では、5月統計の+3兆円余りの黒字に続いて、6月も+1.4兆円近い黒字を計上しています。季節調整済みの系列を見る限り、昨年来のトランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支がかく乱されていたのが、元に戻りつつある、というのは通関統計でも確認されているところです。加えて、6月以降の今後の統計を見なければ正確なところは判りませんが、石油価格の動向については米国とイランの停戦合意で価格が落ち着くと見込まれますので、輸入が急増する事態はなさそうです。いずれにせよ、6月統計の経常収支赤字は報道にあるように、海外投資家への配当支払い増が原因とする見方を否定する要因はありません。日本が円安で株や土地やを買われて行くと、こういった形で海外への経常支払いが増加するのは、ある意味で、当然です。しかし、現状を見る限り、対外不均衡の問題が経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても特段悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても、日本の国際競争力が高いわけでもなく、ましてや特段めでたいわけでもない、と私は考えています。

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