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2026年9月30日 (水)

ヤクルトに快勝してマジック3

 一二三四五六七八九 RHE
ヤクルト000000000 040
阪  神01100012x 5122

【ヤ】 奥川、中村優、清水 - 古賀
【神】 高橋、工藤 - 伏見

ヤクルトに快勝して、マジック3としました。
先発高橋投手は8回を4安打無失点と好投しました。しかも、ラッキーセブンの7回ウラには自ら3点目のタイムリーをかっ飛ばしました。最終回は5点差ながら間隔の空いた工藤投手が三者凡退で締めました。打撃陣は、2回に大山選手が先制のソロホームラン、3回にも森下選手が追加点のタイムリー、8回には佐藤輝選手のツーランでダメを押しました。明日10月1日の甲子園での巨人戦では優勝は決まりませんが、いよいよ終盤の優勝決定に向けて期待が高まります。

明日の巨人戦も、
がんばれタイガース!

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2か月連続の減産となった8月の鉱工業生産指数(IIP)と基調判断が引下げられた商業販売統計

月末日の本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.7%の減産、2か月連続の減産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.7%増の13兆520億円を示し、季節調整済み指数は前月から▲2.0%の低下となっています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産8月は1.7%低下、自動車減産で2カ月連続マイナス
経済産業省が30日公表した8月の鉱工業生産指数速報(2020=100)は前月比1.7%低下し2カ月連続のマイナスだった。ロイターが集計した民間予測は1.7%上昇だったが、予想に反し低下した。地震に伴う稼働停止による自動車の減産などが下押しした。基調判断は「一進一退」で据え置いた。
<地震・台風で下振れ説明し切れない>
自動車工業全体で前月比6.8%の減産。内訳は普通乗用車5.7%減、小型乗用車17.3%減など。地震や台風の影響がみられた。コンベヤー、ガソリンなども減産となった。
一方、金型や航空機用発動部品などは増加した。
8月の鉱工業生産指数の低下について経産省は「地震や台風の影響だけでは説明できない」(幹部)と指摘。生産用機械や電気通信機械の生産が旺盛な計画よりも下振れた影響もあったとの見方を示した。
企業の生産計画に基づく予測指数は9月が前月比3.2%上昇、10月は3.1%上昇。
8月小売業販売額は前年比2.7%増、新車が好調 天候不順の悪影響も
経済産業省が30日公表した商業動態統計速報によると、8月の小売販売額は前年同月比2.7%増だった。ロイター集計の民間予測は前年比3.3%増で、結果はこれを下回った。
業種別では自動車が17.7%増、その他小売業5.2%増、飲食料品1.0%増など。一方、織物・衣服・身の回り品は6.1%減、機械器具は2.3%減だった。
新型車販売が好調で、値上げの影響で飲食料品も増えた。一方、天候不順の悪影響がみられたほか、情報家電の不振が響いた。
業態別の前年比は、ドラッグストアが3.1%増、百貨店1.9%増、家電大型専門店1.3%増、ホームセンター1.3%増、スーパー1.0%増、コンビニ0.6%増と軒並みプラスだった。

いくつかの統計が公表されましたので、長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の最初パラにある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+1.7%の増産でしたし、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく+1.7%の増産が予想されていましたので、実績の▲1.7%の減産はサプライズだったと私は受け止めています。引用した記事にもあるように、地震や台風といった経済外の要因では「説明し切れない」、というのも、不安要素だと考えるべきです。他方、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から2年余り連続して据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測指数を見ると、足下の9月は+3.2%の増産であり、翌10月も+3.1%の減産と見込まれています。指数の上振れ傾向を補正した試算値でも9月は+1.6%の増産と試算されています。9-10月は生産が増加する可能性があるとはいえ、8月減産の要因は現時点では私にも不明です。基本的には、いわゆる「計画倒れ」であり、引用した記事の最後から2番目のパラにもあるように、「生産用機械や電気通信機械の生産が旺盛な計画よりも下振れた影響」ということです。設備投資だけでなく、生産についても計画倒れが生じ始めている可能性があります。加えて、この傾向が進むと先行き不透明感も高まります。
産業や製品別に少し詳しく見ると、経済産業省の解説サイトによれば、7月統計における生産を見ると、減産方向に寄与したのは、普通乗用車や小型乗用車などの自動車工業が前月比▲6.8%減、寄与度▲0.90%、コンベヤや運搬用クレーンなどの汎用・業務用機械工業が前月比▲6.0%、寄与度▲0.45%、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品工業が前月比▲13.3%、寄与度▲0.24%、となっています。逆に、増産方向に寄与したのは、金型や個装・内装機械などの生産用機械工業が前月比+6.1%増、寄与度+0.59%、航空機用発動機部品などの輸送機械工業(除、自動車工業)が前月比+2.9%増、寄与度+0.09%、仕上用化粧品や柔軟仕上げ剤などの化学工業(除、無機・結城化学工業・医薬品)が前月比+0.7%増、寄与度+0.03%となっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事の最初のパラにあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+3.3%増でした。実績の+2.7%増はこれを下回っています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が徐々に縮小し、先々月の6月統計では+0.6%増と伸びが大きく縮小した後、7月統計では+3.7%と再び伸びを高め、本日公表の8月統計でも+2.7%の伸びを示しています。ただし、この伸びの背景は、新車販売が好調であったのはともかく、物価上昇の影響による食料や飲料の販売増が寄与しています。名目で飲食料品小売業は前年同月比+1.0%の伸びですが、消費者物価指数(CPI)の食料は飲料も含む分類で8月の前年同月比が+3.1%上昇しているわけですから、物価上昇で水増しされているだけで実質的な飲食料の消費が増加しているわけではないと考えるべきです。また、季節調整済み指数の前月比も8月統計では▲1.2%減となり、統計作成官庁の経済産業省は、季節調整済み指数の後方3か月移動平均で判断している基調判断について、先月の「上昇傾向」から「一進一退」に明確に1ノッチ引き下げています。
また、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、8月統計ではヘッドライン上昇率は+1.9%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.7%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の8月統計の前年同月比+2.7%増は、実質消費はプラスの可能性があると私は考えています。ただし、販売ですので、国内消費にインバウンドを加えたものとなっており、国内消費が商業販売統計ほど堅調であるかどうかは微妙なところかもしれません。

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2026年9月29日 (火)

9月調査の日銀短観予想やいかに?

明後日10月1日の公表を控えて、各シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2026年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+22
+37
<+6.8>
n.a.
日本総研+28
+36
<+7.9%>
先行きは、全規模・全産業で6月調査から▲3%ポイントの低下を予想。中東情勢を巡る不透明感が続くなか、原油高の影響が時間差を伴って幅広い業種のコスト上昇圧力となるほか、エネルギー価格の上昇を背景としたインフレ率の再加速が家計の実質購買力を抑制し、個人消費の重石となる見込み。今秋以降の最低賃金引き上げなどに伴う人件費負担の増加が、中小の対面サービス業を中心に景況感を下押しする可能性も。
大和総研+25
+34
<+7.9%>
9月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+26%pt(最近からの変化幅: +1%pt)、 同非製造業は+32%pt(同: ▲2%pt)を予想する。
大企業製造業では、AI・半導体関連需要が引き続き企業の景況感を押し上げるとみている。加工業種では「電気機械」や「はん用機械」、「金属製品」などで業況判断 DI(先行き)の上昇を見込むほか、「食料品」でも価格転嫁の進展などを背景に改善を予想する。素材業種では、「石油・石炭製品」や「窯業・土石製品」、「繊維」などの業種で景況感の改善を見込む。大企業非製造業では、各種コストの高止まりや金利上昇観測が重石となり、幅広い業種で業況判断 DI(先行き)が低下するとみられる。「建設」や「不動産」で業況判断 DI(先行き)の低下を見込むほか、「小売」や「運輸・郵便」などの業種でも、先行きの悪化を予想する。
みずほ総研+25
+37
<+7.8%>
先行きの業況判断DIは、製造業・非製造業ともに企業規模を問わず悪化が見込まれる。もっとも、先行きの業況判断DIは現在対比で下振れしやすいクセのある統計である。中東情勢が引き続き予断を許さないことなど、懸念材料はあるが、実態としては、日本企業は先行きの景気をさほど悲観的に見ていない可能性が高い。
ニッセイ基礎研+25
+35
<+8.0%>
先行きの景況感については総じて悪化が示されると予想している。AI関連需要への期待が下支えになるものの、イラン情勢は報復の応酬が続いており、終息の兆しが見えない。石油製品・エネルギー価格の高止まりや資材不足、金利上昇の加速などに対する懸念が幅広い業種で現れるとみている。
第一ライフ資産運用経済研+26
+37
<+8.4%>
先行きの業況判断DIについては、製造業、非製造業とも足元からはっきり低下すると予想する。ただし、短観の先行き判断DIは、現状の景況感が高い局面ほど保守的に出やすく、その後の実績が先行き見通しを上回ることが多い。このため、仮に先行き判断DIが低下したとしても、それをそのまま先行きの景況悪化を示すものと捉える必要はない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+24
+37
<大企業全産業+12.1%>
(大企業製造業) 先行きについては、製造業の業況判断DI(先行き)は、3ポイント悪化の21になると予測する。米国とイランの対立は長期化しているものの、原材料の供給制約に対する懸念は一時期と比べて後退しているとみられる。しかし、原油価格の高止まりや供給制約が再燃するリスクに加え、米国の通商政策や海外経済の先行きを巡る不透明感が引き続き意識され、慎重な見通しとなろう。
(大企業非製造業) 先行きについては、非製造業の業況判断 DI(先行き)は、3ポイント悪化の34になると予測する。個人消費の持ち直しが下支えになるものの、米国とイランの対立長期化に伴う原油価格の高止まり、人手不足の深刻化、予期せぬ金利上昇などへの警戒感から、慎重な見通しになると考えられる。
明治安田総研+26
+38
<+7.8%>
先行きDI(12月予測)については、大企業・製造業は2ポイント改善の+28、中小企業・製造業は1ポイント改善の+12と予想する。世界的なAI関連投資を背景とする需要は当面旺盛とみられ、先行きの業況感を押し上げる要因になると見込む。一方、中東情勢は依然として緊張が続いており、原油価格の乱高下も相まって、引き続き先行きのリスク要因として意識されるだろう。また、諸外国の貿易政策を巡る不透明感も強い。中国政府は9月7日、日本産半導体材料の一部に対して反ダンピング措置の適用を発表し、8日から事実上の関税を課した。また、米国政府も過剰生産能力を理由とした新たな関税措置に関する調査を続けており、関税政策の行方はなお予断を許さない。こうした先行きの不透明感が重石となり、業況判断の改善幅は小幅にとどまると予想する。
先行きDIについては、大企業・非製造業は2ポイント悪化の+36、中小企業・非製造業は4ポイント悪化の+12と予想する。年末にかけて幅広い品目の値上げが進み、消費者マインドの悪化につながる懸念が、先行きの業況判断にマイナスに働くと見込む。
農林中金総研+27
+35
<8.0%>
先行きについては、中東地域での紛争が長引く様相を見せており、世界的な原油供給不足に陥るリスクが意識されている。そのため、物価上振れだけでなく、景気下振れへの警戒を強めている可能性がある。また、日銀の利上げ加速観測による金利負担増や人件費などの高まりが業績圧迫につながることへの警戒感もあるだろう。
以上から、製造業では大企業が22、中小企業が7と、今回予測からともに▲5ポイントと予想する。非製造業では大企業が29、中小企業が8と、今回予測からそれぞれ▲6ポイント、▲5ポイントと予想する。

見ての通りで、景況感については大きな変化ないものと考えられますが、大企業製造業については6月調査から小幅に改善する一方で、非製造業では逆に少し悪化する可能性が示唆されています。製造業に関しては、中東戦争とそれに伴う石油価格高騰が景況感にネガな要因として作用している一方で、プラス要因としてはAI関連需要が上げられます。日銀短観という統計のクセとして、先行きについては慎重な姿勢が示されています。非製造業に関しては、製造業よりもややネガな印象で、何といってもインフレ高進による消費者マインドの悪化に加えて、日中関係の悪化に伴うインバウンド消費にも警戒が必要な段階に達していると私は考えています。ただ、いずれも、決定的に大きな動きをもたらすものではなく、総じて見れば製造業・非製造業ともに現状も先行きも景況感には大きな変化は見られない、ということなのだろうと思います。
設備投資については、上のテーブルを見ても明らかな通り、すべてのシンクタンクにおいて9月調査からの上方改定を見込んでいます。しかも中身を少し詳しく見ても、製造業も非製造業もいずれも旺盛な設備投資計画を持っているようです。今年に入って、GDP統計によれば、1~3月期、4~6月期と2四半期連続で設備投資が前期比マイナスを記録していて、特に、4~6月期については特許権の海外譲渡という特殊要因が作用したと私は聞き及んでいますが、そういった要因を含めても設備投資は弱い印象があり、ホントにこの設備投資計画が実行されるのか、それとも、マインドだけでソフトな計画段階では強気な姿勢が示されている一方で、ハードデータで見た機械受注やGDPでは設備投資が伸びないという計画倒れに終わるのか、注目したいと考えています。
最後に、下のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから引用しています。

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2026年9月28日 (月)

+3%台後半で上昇率が高止まりする8月の企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月7月から加速して+3.7%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は前月と同じ+3.2%の上昇となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業サービス価格3.7%上昇、中東混迷で伸び率拡大 日銀調査
日銀が28日に発表した8月の企業向けサービス価格指数(速報値、2020年平均=100)は115.4となり、前年同月比で3.7%上昇した。伸び率は7月(3.6%)から拡大した。米イラン紛争の影響で海外からの船舶輸送費が高騰している。
企業向けサービス価格指数は企業間で取引するサービスの価格動向を表す。貨物輸送代金やITサービスの利用料などが含まれる。企業間のモノの取引の価格動向を示す企業物価指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。
米イラン紛争に伴う原油高や米国などからの代替調達のコスト増で、タンカーなどの外航貨物輸送で高い伸びが続いている。8月の前年同月比の上昇率は74.2%で、過去最高を更新した。
バスやタクシーなどの道路旅客輸送は前年同月比7.6%の上昇だった。国内の輸送サービスも燃料費や人件費の高騰の影響を受けた。
人件費の上昇を価格に転嫁する動きは他のサービスでも見られる。設計や測量といった土木建築サービスは前年同月比3.7%の上昇と、前月と比較して伸び率は0.6ポイント拡大した。建物の清掃や保守管理などの建物サービスでは前年同月比2.3%上昇した。
一方で宿泊サービスは、前年の大阪・関西万博に伴う需要増の反動や、地震・天候不順などの影響で前年同月比1.6%の上昇にとどまり、前月から伸び率は4.7ポイント縮小した。
調査対象の146品目のうち、価格が上昇したのは121品目、下落したのは8品目だった。17品目は価格が変わらなかった。日銀の担当者は「中東情勢の影響も含めた海運市況や国際商品市況の動向を注視していく」とした。

SPPIは、何といっても、物価指標は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは次の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数の前年同月比上昇率で見ると、今年2026年に入って、2月の+2.2%をボトムに、中東戦争が始まった後、3月+3.0%、4月+5.5%、5月+6.8%、6月+7.4%、7月+7.7%と加速を繰り返し、もっとも最近のデータが利用可能な8月統計でも+7.6%と高止まりしています。もちろん、中東戦争に起因し、例えば、ナフサなどの石油製品の供給制約から価格上昇が引き起こされています。他方で、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、今年2026年に入って、1-2月に+2.7%を記録した後、3月+3.2%、4-5月+3.6%、6月も+3.4%、7月+3.6%と上昇率がやや加速したものの、本日公表の8月統計では+3.7%とさらに加速しています。ただし、国際運輸をのぞく総平均は+3.2%にとどまっていることも事実です。いずれにせよ、まだ+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、最近の上昇率を見ると、デフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。特に、引用した記事にもある通り、企業向けサービス物価指数(SPPI)では人件費や燃料費などのコストアップを価格転嫁する動きが続いています。中東戦争が勃発した今年2026年3月以来、人件費以外のコストアップが大きいことを反映した結果、「高人件費率サービス」よりも「低人件費率サービス」の上昇率の方が高くなっています。すなわち、8月統計では「高人件費率サービス」は+2.8%上昇、「低人件費率サービス」は+4.8%上昇と+2%ポイントもの差があります。基本的には、これは政府や日銀のいう「好循環」ではないか、と私は考えないでもないのですが、循環が「悪」か「好」か、どうであれ、国民には物価上昇そのものがよろしくない、と受け止められているような気がします。しかも、中東戦争の先行きはまったく不透明です。
もう少し詳しく、日銀のプレスリリースからSPPIの大類別に基づいて本日公表された8月統計の前年同月比上昇率とヘッドラインSPPI上昇率+3.7%への寄与度で見ると、中東戦争に起因するエネルギー価格上昇の波及を受けたと考えられる外航貨物輸送をはじめとする運輸・郵便が上昇率+6.8%、寄与度+1.11%ともっとも大きな寄与を示していて、次いで、労働者派遣サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが上昇率+2.5%、寄与度+0.97%、この2類別の寄与度だけでヘッドライン上昇率の半分を超える+2%超を占めています。ほかには、リース・レンタルが上昇率+14.1%、寄与度+0.82%、ソフトウェア開発などの情報通信が上昇率+2.5%、寄与度+0.58%、、さらに、不動産も上昇率+2.2%、寄与度+0.19%、金融・保険が上昇率+1.4%、寄与度+0.06%などとなっています。ただ、計期に本感と考えられている広告が上昇率▲0.3%と下落を示しています。

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2026年9月27日 (日)

世界経済フォーラム Travel & Tourism Development Index 2026

一昨日の金曜日9月25日、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムから 「観光開発指数 2026」Travel & Tourism Development Index 2026 が明らかにされています。もちろん、pdfのリポートもアップロードされています。まず、世界経済フォーラムのサイトからリポートの概要を引用すると次の通りです。

The Travel & Tourism Development Index (TTDI) 2026 marks the 10th edition of the World Economic Forum's flagship travel and tourism benchmarking series, first launched in 2007 as the Travel & Tourism Competitiveness Index and relaunched in its current form in 2022. The Index provides governments, businesses and destination leaders with comparable evidence to identify the conditions and policies that help travel and tourism grow sustainably, withstand disruption and support a country's development.

世界経済フォーラムのサイトから infographic 的な画像をいくつか引用しておきます。

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まず、The Leaders and fastest risers in global tourism を引用すると上の通りです。「観光開発指数」(TTDI)は前回の推計が2024年でしたので、推計対象の110国のうち大多数の92%の国で最近2年間で改善を示している、と報告されています。上のランキングを見れば明らかな通り、我が日本がTTDIランキングのトップとなっています。以下、米国、スペイン、オーストラリア、フランスなどなどとなっているのは見ての通りです。

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続いて、Tourism development is improving in every region を引用すると上の通りです。米州、欧州、中東・北アフリカ、サブサハラアフリカ、アジア太平洋と、すべての地域で前回2024年からTTDIスコアを改善していることが読み取れます。中でも、アジア太平洋は+3.6%と改善幅がもっとも大きい上に、スコアも4.29と欧州の4.39に次いで高くなっています。

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2026年9月26日 (土)

今日は自力でマジック4

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神200104100 8131
横  浜000300000 350

【神】 才木、木下、セベリーノ、ドリス、工藤 - 坂本
【横】 尾形、若松、吉野、石田健、ルイーズ、馬場 - 古市、松尾

今日は自力で横浜に勝って、マジック4としました。
先発才木投手は5回で降板して3失点でしたが、4回の失点のうち2点は元山遊撃手のエラーであり自責点は2点にとどめましたので、明日と明後日には試合がなくて投手を注ぎ込める条件を考えると、まずまず合格点といえます。6回以降は4投手をリレーして、最後は工藤投手で締めるというのも順当なところです。ただ、テレビの解説で掛布さんが主張していたように、石井投手を出しておくべきではなかったか、という気もします。打つ方は猛虎打線が活発に初回から先制点を上げ、8点得点ですので十分といえます。特に、1-2番が2安打ずつと出塁できていますし、4-5番にホームランも出ています。うまく運べれば、10月1日の甲子園での巨人戦で優勝を決められる期待が高まります。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書やミステリなど計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、中本悟・中川涼司・松村博行・森原康仁[編著]『米中対立と経済安全保障』(晃洋書房)では、ハイパー・グローバリゼーションの下で、米国トランプ政権の誕生から、経済を「武器」として活用し世界の分断のリスクが高まっている時期の経済安全保障について分析しています。稲葉振一郎『経済と社会』(有斐閣)では、「経済」と呼ばれてる事柄について、系統立てた学問的知見をもとに、その何たるか、大げさにいえば「本質」をわかりやすく解説することをテーマとし、社会主義と対比する形で資本主義の経済を考えています。野澤千絵『マンション高騰の真実』(中公新書ラクレ)では、平均価格が1億円を超える東京のマンション高騰の原因を「住まない買い手」であると指摘し、登記簿などを徹底解析し、国内外の富裕層や法人が新築マンションだけではなく中古マンションまで買い漁っている実態を明らかにしています。ローレンス・ロビンズ『大統領の弁護人』(ハヤカワ・ミステリ)では、退任したばかりの前大統領が、在職中に法律顧問室勤務の女性弁護士を殺害した容疑で逮捕され、高校時代からの友人の弁護士に依頼します。ガードナーによるペリー・メイスンのシリーズのような法廷ミステリです。ロス・モンゴメリ『ハレー彗星の館の殺人』(角川文庫)では、ハレー彗星が地球に最接近する1910年5月の英国の貴族の館を舞台に、ハレー彗星の青酸ガスから逃れるために密閉された館で、当主の子爵が他殺死体で発見された謎解きを、当主の大叔母が展開します。E.A.ポオ & W.アーヴィングほか『古典アメリカ幽霊譚傑作集』(創元推理文庫)には、13話の短編、1830年代から1905年までの米国幽霊怪談が収録されています。ポオやアーヴィングといった著名な作者の作品をはじめ、ゴシックスリラーな怪奇と幻想、さらに、狂気の中に理性を見せる作品が収録されています。
今年2026年の新刊書読書は、1~8月で209冊、9月に入ってから先週までの18冊と今週の6冊を加えて合計233冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、中本悟・中川涼司・松村博行・森原康仁[編著]『米中対立と経済安全保障』(晃洋書房)を読みました。編著者は、順に、立命館大学経済学部教授、立命館大学国際関係学部教授、駒澤大学経済学部教授、専修大学経済学部教授となります。はい、筆頭編著者の中本先生は私の尊敬する先輩教員です。ちょくちょく、中本先生の後を受けて米国経済を教えている大橋先生との共著を見かけるのですが、本書では大橋先生は入っていません。はい、どうでもいいことでした。本書は序章と終章を別にすれば、3部10章の構成となっており、第Ⅰ部が経済安全保障論の台頭とその国際的波及、第Ⅱ部が経済安全保障と産業・産業政策、第Ⅲ部が経済安全保障と世界経済、をそれぞれテーマとしています。私の授業でも取り上げていますが、経済安全保障を強力に取り上げているのは経済産業省であり、特に、2022年の「通商白書」では中国からの調達を意識した安全保障に関する議論がなされていました。本書では、暗黙のうちに、1990年代初頭のソ連や東欧諸国における共産主義の崩壊からグローバリゼーションの大きな流れが生じたことを前提にしつつ、さらに、21世紀に入ってハイパー・グローバリゼーションとなった下で、特に米国にトランプ政権が誕生してから、経済を「武器」として活用し、世界の分断のリスクが高まっている点を指摘しています。そういった産業や個別企業やサプライチェーンから国際的な経済秩序と関連させて経済安全保障を本書では論じています。ただ、私が常に感じているのは、経済安全保障という名で政府や国家がどこまで企業活動をサポートする必要があるのか、という点です。例えば、慶応義塾大学の木村教授は、小川英治[編] (2023) 『ポストコロナの世界経済』、東京大学出版会の第2章において、「デカップリング」という用語を用いつつ、経済制裁などの攻撃的なデカップリングに対して、防衛的なデカップリングでは、輸入依存度の高さだけを問題とするのではなく、供給の途絶リスクの蓋然性に加えて、どの程度の期間で代替が可能となるかを分析することが必要であり、こういった対応は、「民間企業による効率性とリスク対応のバランスに関する意思決定の中で、かなりの程度は解決済みである。」と指摘しています。私が霞が関の役所で勤務していた経験からして、経済産業省には経済を国家統制しようとするマインドがあります。というか、経済産業省に限定せず、財務省とかほかの役所でも、そういった国家統制的なマインドがあることはあるのですが、川上のサプライチェーンや逆方向の川下の販売網など、企業の意思決定ではなく政府のコントロールに従わせる必要がどこまであるのか、本書でも議論は不十分だと私は感じてしまいました。

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次に、稲葉振一郎『経済と社会』(有斐閣)を読みました。著者は、明治学院大学社会学部教授であり、ご専門は、たぶん、社会学なんだろうと思います。本書冒頭で、「本書のテーマは、『経済』と呼ばれてる事柄について、系統立てた学問的知見をもとに、その何たるか、大げさにいえば『本質』をわかりやすく解説することである。」と記しています。「わかりやすく」の部分が少し気にかからないでもなく、出版社からしても本書はほぼほぼ学術書に近くて、決して一般向けや入門書ではないと私は考えているのですが、その部分をおくとしても、たしかに大げさだという気がします。私は経済とは社会の中のある側面だと考えています。どの側面かというと、トートロジーなのですが、経済の側面です。では経済とは、資本蓄積とその資本と労働に支えられた生産と流通と消費だと考えています。ただ、それら資本蓄積などの活動を円滑にするための金融というのは忘れるべきではありません。本書では、資本主義という用語で経済活動の一端を把握しようと試みています。私はそれはそれで正しいと考えますが、本書でも指摘しているように、資本主義とは社会主義と対比する用語といえます。そしてココが本書と私の違いですが、社会主義とは計画経済ではありません。むしろ、何らかの計画に基づいた指令経済と考えるべきです。資本主義でも、何度か別の機会に私が繰り返したように、企業、特に大企業では計画は持っています。単年の年度計画も数年間の中期計画もあります。計画というよりも目標に近いものですが、そういった計画を持つことではなく、計画に基づいて政府が生産や流通を中央統制的に司令することがソ連流の社会主義の本質と考えるべきです。そういったソ連流の社会主義ではなく、分散化された市場における価格付けをシグナルとして生産や流通、さらに消費の意思決定が行われるのが資本主義です。意思決定の際の情報や決定要因が違いとなります。ですから、現在の日本のように、政府の権力や情報操作が大きくなれば、資本主義的な分散型の意思決定ではなくなる可能性があり、統制経済に移行する可能性すら考えられます。ただ、そういった統制指令経済とソ連流の社会主義経済で大きな差があるのは誰が権力、統制を行うに際しての指令を出す権力を持っているかです。マルクスがブルジョワ権力に対してプロレタリアート独裁を対比させたのは、その意味では、本質をついた見方であった気がします。ただ、今では「プロレタリアート独裁」なんて、大きな意味はないと私は考えています。本書でも指摘している通り、ケインズ主義的な福祉国家による幅広い国民に裨益する経済政策の方向が可能となったからです。ただ、1970年代の石油危機などに際してインフレに対するコントロールがケインズ政策では不十分であったことから、新自由主義的な勢力が巻き返しを図り、現在もまだ日米をはじめとする多くの国で新自由主義的な経済政策が取られていることは事実です。ブックレビューというよりも少し違う方向に進んでしまいましたが、本書が解説しようと試みている経済についての私の考えはそういったものです。

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次に、野澤千絵『マンション高騰の真実』(中公新書ラクレ)を読みました。著者は、明治大学政治経済学部政策学科教授であり、ご専門は都市政策・住宅政策だそうです。マンション価格、特に東京をはじめとする首都圏のマンション価格がとてつもなく高騰していて、その昔は1億円を超える「億ション」といえば、それなりに立派なマンションだったのですが、今ではごくフツーのマンションでも億単位のお金が必要、というのは広く報じられている通りです。このマンション価格の高騰、まさに本書のタイトルに対する結論はズバリ、「住まない買い手」であると指摘しています。ただ、決して外国人だけでなく、日本人富裕層も「住まない買い手」に含まれる、と本書では結論しています。本書では、単にインタビューなどのケーススタディだけではなく、徹底したフィールドワークに基づく登記簿などのデータを徹底解析し、国内外の富裕層や法人が新築マンションだけではなく中古マンションまで買い漁っている実態を明らかにし、そういった多くが転売や資産保有などの目的で取得されているため、マンション価格を釣り上げ、ホントに住む必要のある人々をクラウディング・アウトしている、という実態を明らかにしようと試みています。特に、マンション購入法人の6-7割は、企業の顔ともいえるweb上のホームページすら持たず、本書では「顔の見えない法人」と称しています。また、海外からの購入については、よくいわれる中国ではなく、台湾だということで、「台湾有事」からの避難かもしれないと本書では分析しています。マンションが「住まない買い手」に高額で売られ、当然住まないわけですので、町としても機能不全に陥る危険、都市政策にも重大なリスクをもたらす可能性が高まります。そういった実情を分析した上で、第4章ではカナダなどの海外の事例を紹介し、終章で方策を7点上げています。このあたりは読んでみてのお楽しみです。私も専門外ですので、こういった方策の実現性や有効性については、十分には評価しかねます。でも、定年後に東京を脱出して郷里の関西に戻った身として、やや無責任ながら、東京や首都圏在住者だけでなく、何らかの対策が必要であることについては多くの国民が合意できるのではないか、と考えています。

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次に、ローレンス・ロビンズ『大統領の弁護人』(ハヤカワ・ミステリ)を読みました。著者は、米国を代表する著名な弁護士だそうで、イェール大学とハーバード・ロースクールを卒業後、連邦検事補や訴訟次官補を歴任し、後に法律事務所を立ち上げ、2020年の大統領選挙の際には民主党バイデン陣営の顧問弁護士を務めています。本書の英語の原題は The President's Lawyer であり、2024年の出版です。なお、著者は本書が初めての出版であり、その出版の2024年10月から数週間後に72歳で亡くなっています。ですので、私だけでなく、すべての読者について、本書がこの著者の初読だということになります。本書の構成は第1部が弁護士、第2部が公判、となっています。主人公は、著者をモデルにしたのか、大統領とは高校のころからの友人関係を維持している弁護士であり、大統領選挙キャンペーンときには法律顧問を務めています。そして、その大統領は、きわめて正確性を考慮すれば、前大統領、ということになります。在任中はリベラル派の大統領でしたが、わずかに1期4年でニュー・ナショナリストの現職大統領に選挙で敗れています。その前大統領が、在職中に法律顧問室に勤務していた32歳の女性弁護士を殺害した容疑で逮捕されます。その被害者の女性は妊娠数週間で、胎児の父親は前大統領というDNA鑑定結果が出ます。しかし、前大統領は警察の取調べで、被害者女性との性的関係を否定しており、虚偽の発言をしてしまっていました。さらに、被害者の衣類から前大統領のDNAが検出され、毛根がないのでDNA鑑定はできなかったものの、前大統領のものと酷似した毛髪も発見されます。まあ、状況証拠的には前大統領が強く疑われる一方で、状況証拠以上の決定的な直接証拠は存在しません。第1部では、いかにも政治家らしく前大統領が虚偽事項も交えて適当な弁舌で切り抜けようとしますが、まったく裏目に出ます。第2部の公判編では、本書でも時折言及されているE.S. ガードナーによるペリー・メイスンのシリーズよろしく、法廷劇が展開されます。最後に、真犯人が強く示唆される場面で終わります。でも、ペリー・メイスンのように明らかな真犯人が証拠とともに示されるわけではありません。最後の最後に、本書の巻末にも出版社からの言及ありますが、精神疾患、特に遺伝的な精神疾患について、少し違和感ある記述が見かけられます。

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次に、ロス・モンゴメリ『ハレー彗星の館の殺人』(角川文庫)を読みました。著者は、もともと児童向け小説を専門とするロンドン在住の小説家であると巻末解説で紹介されています。本書は、著者が初めて挑んだ大人向けの小説だということのようです。小説の舞台は、イングランドの海岸沿いにあるワールズ・エンドという架空の土地にあるタイズ館、英国貴族であるワールズ・エンド子爵のストッキンガム-ウェスト卿のお屋敷です。ワールズ・エンドはいわゆる潮汐島であり、満潮時には土手道が海水下となって孤立したクローズドサークルを形成します。モン・サン・ミッシェルと同じです。時代は1910年5月であり、ハレー彗星が地球に最接近するタイミングです。主人公のスティーブン・パイクは20歳前で、少年院から出所したばかりで、このお屋敷の使用人に雇われます。主たる役割は、当主の子爵の大叔母に当たるミス・デシマの召使いです。ミス・デシマは79歳の老嬢であり、当主の子爵の向こうを張って科学者です。なかなかに向こう気が強くて、上流階級にふさわしくない下品な表現も平気で口にしたりします。当主の大叔母なのですから年上ですし、当主の子爵に対してすら何らの遠慮もありません。その上、というか、何というか、移動には車椅子を要します。ですので、使用人が居つかないわけで、雇い入れられたばかりのスティーブンがその役目を押し付けられます。当主の子爵がハレー彗星の尾の部分に青酸ガスが含まれ、地球上の多くの生物が死に絶える可能性があると考えているのに対して、ミス・デシマはその可能性を一笑に付しています。繰返しになりますが、当主の子爵は科学者として、それなりの根拠を持って、ハレー彗星の青酸ガスから生き延びるために、タイズ館を封印すべく使用人を総動員します。煙突や窓などを封印してしまい、したがって、タイズ館が全体として、さらに個々の部屋が密室状態となるわけです。そして、ハレー彗星が地球に最接近した翌日、屋敷のタイズ館と各部屋の密封を解いたところ、当主の子爵が殺害されて発見されます。その昔に祖先の一族と同じように目を射抜かれています。警察やスコットランドヤードの刑事がやって来て、スティーブンは最有力容疑者と見なされてしまいます。ミス・デシマがスティーブンらの助けを借りつつ、犯人探しのwhodunnitと密室というhowdunnitの両方の謎を解き明かそうと奮闘します。

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次に、E.A.ポオ & W.アーヴィングほか『古典アメリカ幽霊譚傑作集』(創元推理文庫)を読みました。タイトル通り、大雑把に英国のビクトリア期に当たる1830年代から1905年の米国幽霊怪談のアンソロジーです。出版社からすでに、『英国クリスマス幽霊譚傑作集』、『ロンドン幽霊譚傑作集』、『英国幽霊屋敷譚傑作集』が出版されており、そのシリーズに入る短編集であり、13の短編幽霊譚を収録しています。収録は編年体であり、1835年作品から1905年作品まで、出版の古い順に並べてあります。作者とタイトルは収録順に、ナサニエル・ホーソーン「灰色の戦士」、ワシントン・アーヴィング「首吊り島からの客」、エドガー・アラン・ポオ「悪魔に首を賭けるな」、ローズ・テリー・クック「訪れ」、ジェーン・グッドウィン・オースティン「無人の小屋 - ある幽霊譚」、ジョン・ウィリアム・デ・フォレスト「太鼓叩きの幽霊」、クララ・レクラーク「水車小屋の幽霊 - テキサスの逸話」、サラ・オーン・ジューエット「灰色の男」、ヘンリー・ヴァン・ダイク「白い染み - ある絵の話」、ヘゼカイア・バターワース「ロムニー沼地の古屋敷」、フランク R. ストックトン「老アップルジョイの幽霊」、マリー・ヴァン・ヴォースト「吹雪の道」、エリザベス・ガーヴァー・ジョーダン「カスバート尼僧の試練」となります。ポオやアーヴィングといった著名な作者の作品も含まれています。ゴシックスリラーな怪奇と幻想、さらに、狂気の中に理性の輝きを見せる作品が収録されている印象です。巻末の編者あとがきにあるように、この時期は米国の現在に至る国家としての形が、アラスカとかハワイを別にして、おおむね形成された期間であり、同時に、1770年代の独立戦争もまだ記憶に残る中、1846年から48年にはメキシコとの米墨戦争、1961年から65年はいわずと知れた南北戦争、1898年のスペインとの米西戦争など、戦争に明け暮れていた時期であり、戦死した兵士の幽霊譚も本書にはいくつか収録されています。ただ、私が従来から知っていたのはストックトン「老アップルジョイの幽霊」だけなのですが、これはクリスマスの時期の陽気な幽霊の物語です。アップルジョイ家の初代当主の幽霊が、その孫である現在の当主の姪のところに現れて、クリスマスに姪の恋人のトムを招くようにいいます。米国でクリスマスの時期の幽霊話しとして広く語り継がれていると私は聞き及んでいます。別に、米国らしく降霊術が登場する短編もあります。

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2026年9月25日 (金)

横浜に敗れてもマジック5

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神001000000 150
横  浜00000002x 280

【神】 村上、石井 - 坂本
【横】 石田裕、浜地、レイノルズ - 戸柱

8回に石井投手が痛恨の被弾で横浜に敗れたものの、ジャイアンツが広島に負けて、マジック5となりした。
明らかに継投ミスです。先発村上投手が7回までゼロに抑えたにもかかわらず、藤川監督は何を思ったか8回に石井投手を投入しました。勝ちパターンなら、8回木下投手、9回工藤投手だろうと思ったのですが、明らかにベンチワークで負けた試合でした。横浜も3位に入ったとはいえ、勝率5割以上、さらに、首位と10ゲーム差以内をクリアするために全力を上げています。決して軽く見てはいけません。1点差であるにもかかわらず、また、中5日で村上投手を先発させておきながら、勝ちパターンのリリーフ陣をケチっての敗戦です。ジャイアンツが負けてくれたからよかったものの、危うい采配でした。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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石油の需要はなくなるのか?

"The End of Oil" と題する論文を読みました。経済学の分野ではインパクトファクターの高い The Review of Economic Studies というジャーナルに採択されたばかりの論文であり、ざっくりいって、脱炭素政策やクリーン技術の普及によって、世界の石油需要が21世紀末にほぼゼロへ向かう場合、石油生産者がどのように行動するかを分析しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Even as global oil demand has increased in recent years, it is plausible to envision scenarios in which clean energy technologies or climate policies drive demand to essentially zero by the century's end. This paper asks what such a demand decline, when anticipated, might mean for global oil supply. One possibility is a "green paradox": producers accelerate extraction. However, because extraction requires durable capital investments, the opposite may occur: producers reduce their investment rate, decreasing extraction. To evaluate the relative strengths of these opposing mechanisms, I develop a model of global oil supply that incorporates both, among other industry features. For model inputs with the strongest empirical support, both effects are modest, with disinvestment typically outweighing the green paradox. In order for the green paradox to substantially increase cumulative global oil extraction, investments must have short time horizons, and producers' discount rates must be less than 4% real.

繰返しになりますが、将来の石油への需要減少を予想すると、枯渇性資源の希少性地代が低下し、現在の採掘を前倒しするため、むしろ石油生産が増加する「グリーン・パラドックス」(Green Paradox) が生じ得ます。他方で、油井や関連インフラは耐久的、というか、かなり長期の投資を必要とするため、将来の石油需要減少は新規投資の収益性を低下させ、投資・生産を抑制する「ディスインベストメント効果」(Disinvestment) を発生させ、そのため石油生産が減少する可能性もあります。本論文では、基準ケースで2027年から75年間かけて需要がゼロになると仮定しつつ、OPECの市場支配力、資源タイプ別の投資費用、油井の生産減衰率などを組み込んだ動学的な世界石油市場モデルを構築し、割引率などを変化させたシミュレーションを行っています。次の Figure 1: Illustration of the green paradox and disinvestment in the representative firm model では、将来の需要減少が現在の新規投資に及ぼす影響を判りやすく図示しています。見れば判ると思いますが、左のパネル(a)ではグリーン・パラドックスがディスインベストを上回っているケースで、その逆が右のパネル(b)で示されています。

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実際にはどうなることが予想されているかといえば、基準ケースでは需要がゼロになると仮定されていますので、この需要減少を予想することにより、予想しない場合と比べて累積石油採掘量は▲6.2%減少し、初期投資も▲2.2%減少する、と推計されています。したがって、実証的に妥当なパラメータのもとでは、グリーン・パラドックスよりもディスインベストメント効果の方が大きく石油生産は低下する、という結果です。しかし、やや非現実的な条件下、すなわち、実質割引率がベースラインの9%よりも低い4%未満で、そのため、生産者が忍耐強く、投資耐用期間が短いという条件では、グリーン・パラドックスが累積採掘を増加させる可能性がある (Obtaining a green paradox that substantially increases cumulative extraction requires assuming that producers are patient, with a real discount rate below 4%, and that investments are shortlived.)、というシミュレーション結果が示されています。私は、ここまで超長期の予測については見識を持ちませんが、割引率しだいで投資耐用期間が短ければ石油生産が増加する、というのは十分ありえる結果だと受け止めています。

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2026年9月24日 (木)

出生率低下は経済成長を減速させるか?

"Baby Busts and Growth Booms: Demographic Change and the Macroeconomy" と題する論文を読みました。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーであり、ざっくりいって、出生率の低下と人口の高齢化が経済成長を阻害するという一般的な見方を、1950年から2020年の国際比較および米国の通勤圏(commuting zones)データから再検討しています。まず、ワーキングペーパーの引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトからABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
The secular decline in birth rates across the globe over the past seven decades has slowed population growth, raised average ages, and reshaped labor markets and the macroeconomy. Contrary to the widespread expectation that these trends hamper economic growth, we find lower birth rates are associated with higher growth in GDP per working-age adult across countries and higher wage growth across US commuting zones, with no negative impact on aggregate GDP or earnings. These patterns are not explained by educational upgrading, rising female labor force participation, the declining importance of agriculture, or neoclassical-Solow mechanisms. We argue that they reflect the endogenous, labor-saving response of technology to the scarcity of younger workers. Consistent with this interpretation, countries and regions with lower birth rates exhibit more labor-saving patents and growing high-tech activity. There is also higher TFP growth across countries and industries. Exploiting cross-country variation in WWII military and civilian deaths, we find that declines in younger population, rather than population size per se, drive our results.

繰返しになりますが、出生率の低下と人口の高齢化が経済成長を阻害するという一般的な見方に再検討を加えており、結論は2点上げています。第1に、国レベルでは、出生率が低いほど労働者1人当たりのGDP成長率が高くなっており、第2に、米国の通勤圏データから出生率が低いほど賃金上昇率が高くなっています (lower birth rates so far have led to higher growth in GDP per worker across countries and higher wage growth across local labor markets in the United States: p.41)。なぜ、こういった結論となるかの論理的な説明は、若年労働者の希少化に対する技術の内生的な省力化反応によって説明しています。すなわち、労働供給の減少は企業に自動化・省力化技術の開発・導入を促し、全要素生産性(TFP)の上昇、ハイテク産業への移行などの産業構造の変化、さらに、資本蓄積の加速をもたらすわけで、データから見ても、出生率の低い地域・国では省力化関連特許が増加し、TFP成長率も高くなっている、と指摘しています。私が想像するに、産業革命初期のイングランドのような状態なのかもしれない、と受け止めています。

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ワーキングペーパーでもっとも重要と私が考える Figure 10: Effect of Birth Rates on TFP and Capital Stock を引用すると上の通りです。パネルAとCは国別(cross-country)の推計結果、BとDは米国の産業別(cross-industry)の推計結果です。縦のバーが95%の信頼区間を示していて、パネルA以外はすべてゼロをまたぐので、どこまで統計的な有意性があるのかは疑問ですが、大雑把に、国別推計でも産業別推計でも、出生率が高いと全要素生産性(TFP)にも、資本蓄積にも負の影響を及ぼしていることが読み取れます。

世間一般、特に日本では出生率の低下に伴う人口減少や高齢化は成長率へマイナスの影響をもたらす、と考えられているわけですので、それなりのチェックを試みています。例えば、林文夫先生がSSRNにポストした論文 "The Root Cause of Japan's Reversal of Fortune: Implications for China, the U.S., and Other Mature Economies" ほかの既存研究と対比させて、本ワーキングペーパーの示す結果について頑健性をチェックしています。特に、林先生の論文では、人口の高齢化が全要素生産性(TFP)成長率に負の影響を及ぼすことを通じて、1人当たりGDP成長率を低下させる、と結論していますが、このワーキングペーパーによる反論、というか、林論文は平均寿命が長くて人口転換を完了した国を対象にしているという違いを明確にしつつ、本ワーキングペーパーでは、stacked-differences のスペックに高齢者対若年者比率を組み込むとともに、被説明変数は林論文の1人当たりGDPではなく、労働者1人当たりGDPに変更しており、本ワーキングペーパーの結果は頑健である、と結論しています。このあたりは、それなりの名のある大学で経済学を教えている私でも難しく感じますから、理解が進まなければスルーしてください。

従来の人口減⇨成長率減速、という「常識」を覆す結論ですが、なにぶん、4人の共著者のうちの最初の2人はアセモグル教授とオーター教授です。アセモグル教授はすでにノーベル経済学賞を受賞しており、オーター教授もそのうちに受賞するものと私は想像しています。したがって、というか、何というか、決して無視できない結論ではなかろうか、と考えています。

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2026年9月23日 (水)

終盤荒れた試合を逃げ切ってマジック7

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神000004400 8120
ヤクルト000001030 4110

【神】 高橋、セベリーノ、下村、岩崎、工藤 - 伏見
【ヤ】 奥川、大西、石原、廣澤、リランソ - 古賀

終盤荒れましたが、何とか打ち勝って、マジック7としました。
さすがに、先発高橋投手は6回1失点のQSでした。下村投手が打たれて混戦模様になりましたが、最後は4点差ながら工藤投手を投入して逃げ切りました。打つ方は、何といっても、6回に大山選手のタイムリーで先制した後に、伏見捕手の長打で4点を奪った攻撃が大きかった気がします。

明後日の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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国債のソブリン格付はどう決まるのか?

"Ratings, Debt, and Deficits: An Exploration" と題するIMFワーキングペーパーを読みました。ざっくりいって、政府の財政赤字や債務残高がソブリン格付けにどのように影響するかを分析しています。pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、ワーキングペーパーの引用情報は以下の通りです。

続いて、IMF(国際通貨基金)のサイトからSummaryを引用すると次の通りです。

Summary
We look at the effects of debt and primary fiscal balances on sovereign credit ratings through the lens of a simple model. We find that the ratings differ from the implications of the model in three important ways. They give much more weight to debt relative to forecast primary balances. They understate the effects of the difference between the interest rate and the growth rate. They give a very large role to country effects. For the same level of debt and forecast primary balances, they imply extremely different ratings across countries, and imply extremely different levels of debt needed to reach a given rating.

1995年~2025年の35先進国、97新興市場・途上国について、S&P、Moody's、Fitchによるソブリン信用格付けが、政府債務残高と将来のプライマリー・バランスをどの程度重視して決定されているのかを、ordered probitに基づく単純な債務動学モデルと実際の格付けデータを比較することで検証しています。将来プライマリー・バランスは5年先までのデータをIMFの「世界経済見通し」から取っています。理論モデルでは、債務比率の変化を Δb=(r-g)b-s と表し、債務残高、予想プライマリー・バランス、金利と成長率の差(r-g)、それらの不確実性からデフォルト確率を導出する、とされています。
結論として、以下の3点が強調されています。第1に、格付けは理論モデルよりも債務残高を強く、予想プライマリー・バランスを弱く評価しています。第2に、r-gの低下が格付けに及ぼす効果は理論から予想されるほど大きくありません。第3に、同じ債務・財政収支であっても、国別固定効果が非常に大きく、したがって、格付けには財政ファンダメンタルズ以外の各国固有の要因が相当に反映されている可能性が示唆されています。

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最後の財政ファンダメンタルズ以外の各国固有要因をプロットしたのが上の Figure 6: AEs: Illustrative Predicted S&P Rating by Economy です。ワーキングペーパーから引用しています。S&P格付けの例です。日本やドイツは11、アイルランドは9ある一方で、韓国は7、いくつかのバルト諸国は2、などとなっています。ただ、この各国固有の要因が何から生じているのかは、このワーキングペーパーのスコープ外で不明です。日本はドイツなどとともに、ひょっとしたら、何らかの固有要因を持っているのかもしれませんが、それが何であるかは現時点では不明ですし、どこまでサステイナブルかはもっと不明です。ですので、格付けを改善・維持するためには債務残高の低下が必要になる可能性が示唆されています。

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2026年9月22日 (火)

高寺選手のツーランでマジック8

 一二三四五六七八九十十一 RHE
阪  神42000100002 9130
ヤクルト20020210000 7121

【神】 伊藤将、神宮、木下、及川、岡留、岩崎、石井、ドリス、セベリーノ、工藤 - 坂本、伏見
【ヤ】 松本健、丸山翔、荘司、中村優、星、ウォルターズ、清水 - 松本直、鈴木叶

高寺選手のツーランで3連勝、マジック8としました。
昨日に続いて、先発伊藤将投手を早々に降板させてブルペンデーとなります。しかし、4点のリードを守れませんでした。ただ、10回ウラの守備でドリス投手がアクシデントで降板したピンチを、セベリーノ投手がガッツあふれる投球で抑えます。その後の攻撃で、先頭の大山選手がヒットを放ち、高寺選手はバントの構えも見せずに強硬策に出て決勝のツーランでした。4時間半を超える熱戦でした。ジャイアンツがデーゲームで広島に敗れてマジックは▲2減っています。

明日も、
がんばれタイガース!

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2026年9月21日 (月)

大山選手のサヨナラホームランでマジック10

 一二三四五六七八九十十一 RHE
横  浜00110000000 2110
阪  神10100000001x 390

【横】 平良、若松、伊勢、浜地、レイノルズ、吉野、中川虎 - 古市
【神】 ルーカス、神宮、木下、岡留、ドリス、及川、工藤、石井 - 坂本

大山選手のホームランで横浜にサヨナラ勝ちし、マジック10としました。
先発ルーカス投手を早々に3回途中で交代させて、次々とリリーフ投手を注ぎ込み、何とか横浜打線を2点に抑えました。特に、8回は及川投手がノーアウト2-3塁のピンチを切り抜けました。競った試合でベンチワーク勝負かとも思いましたが、最後は空中戦で大山選手のホームランでサヨナラでした。

明日のヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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今年のノーベル賞やいかに?

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今年2026年のノーベル賞の日程がノーベル財団から以下の通り公表されています。

Monday 5 October
Nobel Prize in Physiology or Medicine
Tuesday 6 October
Nobel Prize in Physics
Wednesday 7 October
Nobel Prize in Chemistry
Thursday 8 October
Nobel Prize in Literature
Friday 9 October
Nobel Peace Prize
Monday 12 October
Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences
in Memory of Alfred Nobel

なお、今年2026年のノーベル賞に関して、クラリベイト引用名誉賞 Citation Laureates が9月17日に明らかにされています。物理学や化学などの自然科学の分野は専門外ですので、経済学 Citation Laureates 2026 in Economics だけを取り上げておくと次の通りです。

nameaffiliationmotivation
Susan C. AtheyStanford Graduate School of Business, Stanford University, United Statesfor pioneering analysis of the economics of information technology
Hal R. VarianUniversity of California Berkeley, United States
Michael D. WoodfordColumbia University, United Statesfor contributions to the theory and practice of monetary policy
Sidney G. WinterThe Wharton School, University of Pennsylvania, United Statesfor studies of economic dynamism and organizational behavior inspired by evolutionary theory

ハル・ヴァリアン教授は、カリフォルニア大学バークレイ校というよりも、むしろ、Googleのチーフエコノミストといった方がいいんではないか、と私は思ったりします。
私の予想は、経済的不平等や格差の研究でピケティ教授(Thomas Piketty)、サエズ教授(Emmanuel Saez)、ズックマン教授(Gabriel Zucman)を基本ラインとしつつ、80歳オーバー大御所的なエコノミストであればバロー教授(Robert J. Barro)を上げておきたいと思います。
それよりも、村上春樹さんの文学賞が気にかかります。

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2026年9月20日 (日)

横浜に快勝してマジック11

 一二三四五六七八九 RHE
横  浜000000010 170
阪  神00301022x 8110

【横】 竹田、吉野、石田健、佐々木、岩田、中川虎 - 戸柱、古市
【神】 才木、石井、岡留 - 坂本

デーゲームでジャイアンツが勝って、暫定2位となったものの、横浜に快勝して、首位を守りマジック11としました。
先発才木投手は7回まで6安打無失点無四球のナイスピッチングでした。石井投手が横浜の牧選手にソロホームランを浴びたものの、最終回は岡留投手が3人で締めてくれました。ようやく打線が活発に得点し、3回に相手投手の暴投で先制した後、元山選手がタイムリーを放ち、5回に追加点、7-8回にもダメのダメを押しました。
森下選手は佐藤輝選手と並ぶ35号ホームランをかっ飛ばしました。
明日も、
がんばれタイガース!

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世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2026

広く報じられている通り、9月16日、Global Gender Gap Report 2026 が明らかにされています。ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが推計した Global Gender Gap Index を取りまとめています。もちろん、リポートpdfもアップロードされています。日本でも広く報じられているところかという気がします。また、内閣府男女共同参画局からも「男女共同参画に関する国際的な指数」のひとつとして取り上げられています。男女間の完全平等を1、逆に完全不平等を0とする指数です。Global Gender Gap Index は4項目の Subindex から構成されており、リポートpdf p.9 によれば、経済(Economic Participation and Opportunity)、教育(Educational Attainment)、健康(Health and Survival)、そして、Political Empowerment、ということになります。上位3国は昨年2025年と同じで、アイスランド、フィンランド、ノルウェイといった北欧の国が占めています。我が日本は、何と、調査対象145国中117位であり、先進国G7の中ではもちろん、アジアの中でもほぼほぼドンジリです。まず、日本のカントリーリポートの最初の部分ページをリポートpdf p.228 から引用すると次の通りです。

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繰返しになりますが、4項目のスコアが0.670で世界の117位、なお、昨年2025年はスコアが0.666で順位は118位でした。したがって、きわめてちょっぴりながら、男女格差は縮小しています。各項目別のスコアと順位は、経済0.609、119位、教育0.994、68位、健康0.973、49位、政治0.105、121位、ということになります。同じ内容ながら、内閣府男女共同参画局からも「男女共同参画に関する国際的な指数」の該当資料を引用すると次の通りです。

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いずれにせよ、経済と政治の分野で特に男女格差がひどい、という結果です。女性総理が内閣の先頭に立って、皇位を男系男子に限定する「皇室典範」改正を行うんですから、まあ、その程度なのかもしれません。欧米先進国との差は開いていくばかり、という気がします。

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2026年9月19日 (土)

打てず守れずでジャイアンツとゲーム差なし

 一二三四五六七八九 RHE
広  島100101020 580
阪  神100000000 172

【広】 栗林、高、森浦 - 持丸
【神】 村上、木下、神宮、岩崎、セベリーノ - 坂本、伏見

またも最下位広島に取りこぼし、ジャイアンツにゲーム差なしとされました。
先発村上投手は5回まで2失点、ただし、2点目はレフト立石選手のエラーで一気にノーアウト3塁を背負いましたので、とても気の毒な気がします。6回の木下投手の失点も熊谷遊撃手の悪送球で得点圏に走者が進んでタイムリーを打たれています。8回にも岩崎投手が2失点の大サービスでした。打つ方はサッパリで、1回の佐藤輝選手の犠牲フライの1点だけのいわゆるスミ1でした。巨人と横浜は順当に勝利し、連覇に黄信号かもしれません。

明日の横浜戦は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書のほか計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、原田泰・井上智洋・中里透[編著]『政府支出を考える』(金融財政事情研究会)では、序章のタイトルが「なぜ政府支出が重要なのか - バラマキは悪くない」となっていて、緊縮財政とは一線を画している一方で、表紙画像にあるように「効率的な政府支出」についても目を配っています。大竹文雄『経済学的思考を組み立てる』(中公選書)は、毎日新聞の書評欄を中心に著者が様々な媒体で最近10年余りの間に取り上げてきた書評を取りまとめています。ざっくりいって、意思決定、格差・不平等、教育、労働、EBPM、市場・制度・イノベーション、マクロ経済、幸福のテーマです。土屋うさぎ『謎の香りはパン屋から 2』(宝島社)は、前作に続いて日常の謎を考える連作短編集であり、主人公の市倉小春が大学2年生に進学し、大阪の石橋阪大前駅近くにあるパン屋の「ノスティモ」を舞台とし、店長の堂前やレナ先輩に囲まれ、後輩アルバイトに高校生の杏樹が加わっています。生島和樹『転売ヤーの会計学』(光文社新書)では、経済学ではなく、簿記会計の観点から転売ヤーの活動について考え、転売ヤーの原価や利益をどう見積もるのか、また、転売ヤーに利益が出るかどうかについて、とても興味深い結論を導いています。結論は読んでみてのお楽しみです。三宅香帆『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』(新潮新書)では、面白い話ができるよう、「比較」、「抽象」、「発見」、「流行」、「不易」といった技術を使って、書籍や映画に接することで、作品鑑賞を人に話すようなトピックの元ネタにする方法を作品に即して展開しています。河内春人『継体天皇』(中公新書)では、中国の歴史書で日本が取り上げられることが少なく、記紀もそれほど信頼できない、という端境期のような5世紀に皇統が途絶えそうになって、北陸から招聘された応神五世孫の継体天皇に着目し、アジア域内のグローバルな視点も含めた歴史書です。
今年2026年の新刊書読書は、1~8月で209冊、9月に入ってから今週までの18冊を加えて合計227冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。ただし、先週言及した王谷晶『ババヤガの夜』(河出文庫)とカーター・ディクスン『黒死荘の殺人』(創元推理文庫)については、SNSでのレビューを諦めました。悪しからず。

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まず、原田泰・井上智洋・中里透[編著]『政府支出を考える』(金融財政事情研究会)を読みました。編著者は、順に、名古屋商科大学ビジネススクール教授、駒澤大学経済学部准教授、上智大学経済学部准教授です。本書は、タイトル通りに財政支出について考えているのですが、序章のタイトルが「なぜ政府支出が重要なのか - バラマキは悪くない」となっていて緊縮財政とは一線を画している一方で、表紙画像にあるように「効率的な政府支出」についても目を配っているようにも受け止めています。本書では現れませんが、「ワイズ・スペンディング」という言葉も一時は流行した記憶があります。基本は、効率的な支出と軌を一にする用語であろうと考えるべきです。本書の構成は序章を別にすれば、12章から成っており、各章の中心は公共投資、医療、介護、産業政策、中小企業政策、エネルギー政策、農業政策、科学技術政策、地方交付税、労働政策、少子化対策、そして、EBPMとなっています。主要な政府支出項目に着目しているわけですが、誠に残念ながら、私のホームグラウンドである教育政策は科学技術政策や地方交付税の一部として現れるだけです。大きなテーマは財政の効率化のように私は受け止めましたので、バラマキとは対極にあるような気もします。ただし、私が2023年の紀要論文 "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" で展開したような政府財政のサステイナビリティについては、歳入がスコープ外ですので、特段の分析は収録されていません。ただ、各分野についてはとても詳細で示唆に富む分析がなされていますが、社会保障では医療と介護だけが取り上げられており、金額で一定のボリュームを占める年金が議論されていない点については少し違和感があります。年金は別にして、医療について国民皆保険を現状のまま維持する困難については私も同意します。また、農業政策については、経営体への支援、あるいは、個別補償と生産物価格支持をデカップリングすべきという見方は、その通りと思いますが、自給率という世界でも類を見ない農業政策の目標については、どう考えるべきか、もう少し踏み込んだ議論が欲しかった気がします。最後に、環境政策・気候変動対策はエネルギー政策の中で議論されていますが、もはや一国の枠内で議論する限界を感じるのは私だけではない気がします。

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次に、大竹文雄『経済学的思考を組み立てる』(中公選書)を読みました。著者は、大阪大学特任教授であり、ご専門は労働経済学、行動経済学だそうです。本書は、毎日新聞の書評欄を中心に著者が様々な媒体で最近10年余りの間に取り上げてきた書評を取りまとめています。序章と終章を別にすれば8章構成であり、ざっくりいって、意思決定、格差・不平等、教育、労働、EBPM、市場・制度・イノベーション、マクロ経済、幸福、となります。やや、ベッカー教授のような経済学帝国主義の趣きがないでもなく、すべてを経済学で解決することができるような内容になっているのは、まあ、致し方ないように私は受け止めました。私のような未熟者と違って、さすがに熟達のエコノミストですので、書評とはいえ一流の解説がなされています。これらの書評に目を通すだけで、読まずに内容を把握できそうな気がします。ただ、1点だけ気になるのは、最近流行のEBPMなのですが、私は一般均衡的に考えられているのか、あるいは、ルーカス批判をクリアしているのか、といった点が気になっています。もう、誰もルーカス批判の観点を持ち出さなくなっているのですが、政策が変更されると構造的なパラメータもそれに合わせて違ってくる可能性は否定できません。もちろん、そんなことを言い出せば不可知論に陥るので深入りはしませんが、政策変更による反応は考えておくべき課題のひとつかと考えます。少しさかのぼって考えると、広く知られているように、経済学的なEBPMの基礎は医学のEBM(Evidence Based Medicine)でした。医療に関しては、患者がどういう治療や投薬を受けるかで患者の行動が変化することはほぼほぼない、と考えて問題ありません。しかし、経済政策については政府の政策により家計や企業の行動や選択の基となる構造的なパラメータが変化することがありえます。その点を誰も議論しようとしないのは不思議です。医学で活用されたEBMを経済学的なEBPMへ適応させるのは少し異なるはずなのですが、見落とされている気がしなくもないです。最後に、因果関係を見る際にも、私は割と雑に単変数=univariateな時系列を考えるもので、双方向で互いに因果関係を形成している場合が少なくないと感じています。例えば、双方向ではなく3方向ですが、肥満、低所得、喫煙は3つ巴でグルリと因果の輪を形成している可能性があります。世間一般でも「悪循環」という表現があり、悪い例かもしれませんが、ギャンブルで負けが込んでくると、さらに掛け金をつり上げてますます負けが大きくなる、といったケースもないではありません。いずれにせよ、双方向の因果関係を含めて、どれかひとつのボタンを押せば、それ以降の結果がすべて変更されるというのは単純に過ぎる可能性、あくまで可能性ですが、そういった可能性は忘れるべきではないと思います。

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次に、土屋うさぎ『謎の香りはパン屋から 2』(宝島社)を読みました。著者は、小説家なのでしょうが、この作品の前作で第23回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しています。前作とともに、主人公は市倉小春、大学2年生に進学しています。舞台は大阪の石橋阪大前駅近くにあるパン屋の「ノスティモ」であり、主人公がアルバイトしています。漫画家を目指している主人公はデビューが決まっています。店長の堂前やレナ先輩と変わらず賑やかな日々を送っていますが、後輩アルバイトに高校生の杏樹が加わっています。5話から成る連作短編集です。収録順にあらすじは、「すれ違いメロンパン」では、春先に高校生アルバイトの杏樹がレナ先輩からパワハラを受けたといって辞めると言い出し、小春が誤解を解くものの、じつは、杏樹にはノスティモでアルバイトをする別の理由がありました。「祝福のデニッシュ」では、小春のいるパンのブーランとともに、ノスティモにあるケーキのパティスリーに、人見知りが激しくてパティスリー部門から外には出ないヨネケンこと米倉賢治がいて、ジューンブライドの友人の結婚式に向けてウェディングケーキを作ったのですが、地震で倒れて台無しになります。「燃えろカツサンド」では、カフェスペースでカツサンドを注文した音羽さんが、注文したにもかかわらずカツサンドを食べずに慌てて暑い8月の夏の外に出て行き、レナ先輩は闇バイトを疑います。「聖夜のフレンチトースト」は、12月のクリスマスの季節に、小春が恋愛成就にご利益の大きいのお初天神に行くと、電動キックボードにぶつかりそうになりますが、イケメン高校生に助けられてお茶に誘われます。最後の「涙する塩パン」では、ノスティモのオープニングスタッフだった湯浅がキッチンカーで塩パンを売っていて、ノスティモ店長の堂前に指定対決の勝負を挑みます。ということで、日常の謎をテーマとする短編ミステリですので、いわゆるノックスの十戒にあるような殺人事件は含まれません。確かにいい作品なのですが、収録短編がミステリか、といわれると、違うような短編もあります。どうしてかというと、謎としての提示がなされていないからです。ですので、謎解きと呼ぶべきでないような気もします。要するに、日常の謎ではなく、日常の出来事の裏側を探る作りになっている短編も含まれています。ミステリではなく、そういったウラ読みの短編、ということです。主人公がまだ大学2年生ですので、続編があれば私は次も読むような気がしますが、読まないかもしれません。

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次に、生島和樹『転売ヤーの会計学』(光文社新書)を読みました。著者は、福島大学経済経営学類准教授であり、ご専門は会計学、特に、財務会計だそうです。私は会計学は専門外ながら、本書で取り上げているような転売ヤーについては、会計学ではなく経済学の視点から、それなりに考えを持っています。まず、本書では、会計学の視点から正規、というか、合法的かつ効率性を増す形での流通と非合法な転売ヤーを区別しています。しかし、経済学の視点からは、はなはだ申し上げにくいものの、合法性はそれほど問題となりません。もちろん、まったく無視されるわけではありません。例えば、駐車料金に対してレッカー移動がないとした場合の駐車違反反則金を比較して、後者の方が安ければ堂々と駐車違反を考慮に入れたりもします。他方で、経済学の見方では、本書ではほとんど登場しない競争的市場の方が重視されると私は考えています。ただ、経済学の専門知識に基づく「競争的」という言葉は、一般的な「競争」とは少し異なります。勝ち負けでの競争ではなく、同種の市場参加者がいっぱいいる、という意味です。本書では、ガンプラやポケモンカード(ポケカ)を主として例示して議論を進めていますが、他方で本書でも言及している「興行」のチケットもあります。コンサートとか、スタジアムでのスポーツ観戦とかです。一般に、転売ヤーが利益を上げるのは、小売価格よりも高い価格で買ってもいいと考える消費者が一定数いる場合です。この場合は、小売価格が需要曲線と供給曲線の交点で決まる経済学的な均衡価格になっておらず、供給者の方でコストに粗利分をマークアップさせて、ある意味で、ずさんな価格付けを行っていることから転売ヤーがつけ込む隙が生じます。であれば、供給者がきちんとしたマーケティングを行って価格を変更すればいいわけです。供給量=需要量が減少して転売ヤーに回らないことになり、それを補う形で価格が上昇して、付加価値総額も大きくなります。そうでなく、興行のように供給曲線が垂直である場合は、市場が競争的ではない、と表現します。競争的市場と比較して、価格が上がっても供給は増えません。価格を引き上げて転売ヤーに対応する方法と、価格は変えずに強力な転売規制で対応する方法があります。おそらく、転売ヤーの収益は統計的に捕捉されないでしょうから、付加価値総額は変化しないように思います。興行だけではなく、短期的には保育園の定員も価格による弾力性がゼロですから、同じことになります。ただ、本書では、転売ヤーに利益が出るかどうかについて、とても興味深い結論を会計学の観点から導いています。本書の結論ですのでレビューで明らかにするわけにもいかず、読んでいただくしかないのですが、著者の学識と見識の高さが示されていると私は受け止めました。

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次に、三宅香帆『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』(新潮新書)を読みました。著者は、文芸評論家だそうで、以前に出版された『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題になったのではないかと思います。本書は、基本的に、会話を弾ませるという目的を持っているのですが、そのテクニック、というか、スキルを読書や映画・ドラマから導こうとしています。ですので、何もないところからの話題を発生させるというのはムリがあると考えるべきです。詳細は読んでいただくしたないのですが、サワリとしては、5つの技術、すなわち、「比較」、「抽象」、「発見」、「流行」、「不易」のいずれかの技術を使って、書籍や映画に接することで、作品鑑賞を人に話すようなトピックの元ネタにすることができる、ということです。しかも、第1部では技術解説編ということで、いくつか抽象的にスキルを考えていますが、第2部の応用実践編では、逆に、抽象度低く、実際の作品を取り上げることにより、このような読書をすれば話題として用いることができる、といった観点からの解説となっています。映画やドラマも少なくありませんが、逆にいえば、取り上げられているのは本が多く、読書しない人にはそれほど有益ではないかもしれません。でも、本書を読むということは読書もしている、ということなのでしょうから、まあ、役立つ可能性は十分あります。実は、そろそろ季節到来のノーベル賞、特に私の専門分野の経済学賞を受賞しているカーネマン教授の以前の著書の『ファスト&スロー』の冒頭にも、同じようなことが書かれており、活用法は「オフィスでの井戸端会議」である、としていました。本書も同じように話題を見つけ出して、整理し、トピックとして会話を弾ませるような読書、ついでに、映画やドラマの活用を考えています。そのためには、第1部の技術解説編にあるように、ノートを取りながら内容をより深く把握する、というのも重要だと私は考えています。ですので、ひょっとしたら、読書に限定してかもしれませんが、職場やご近所での会話を弾ませるための読書と学術的な理解を深める読書は、ともに同じ方向を向いているのかもしれません。他方で、トピックが何であれ、話術で面白い話ができる、という人も少なくないものと思います。落語の噺家などがそうではないかと思いますが、そういった「話が面白い人」は、本書のスコープ外となっているようです。

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次に、河内春人『継体天皇』(中公新書)を読みました。著者は、関東学院大学経済学部教授だそうで、私と同業者かもしれないと思うのですが、ご専門は日本・東アジア古代史だそうですので、少し違うかもしれません。本書はタイトル通りであり、継体天皇について歴史的な議論を展開しています。その昔に流行って、今ではそれほど見向きもされない征服王朝説なんかでは、大陸から北陸を通って騎馬民族がヤマト朝廷を征服した、なんてのもあり、継体天皇がそれに擬されることもあったやに聞き及びましたが、今では制服王朝説もそれほど現実的ではないと考えられるようになっているようです。専門外の私からすれば、継体天皇は応神天皇や仁徳天皇からの皇統が武烈天皇で途切れたため、北陸で大伴金村が応神五世孫を見つけた、というのが記紀の記述になっている、という程度の知識しかありません。この継体天皇のころの5世紀は、本書でも言及されているように、雄略天皇は実在しなかった、とか、武烈天皇が暴虐の王だったとか、いろいろとどこまで信じていいか不明なナラティブがあります。というのも、本書で解説しているように、6世紀からはそれなりの歴史があって、記紀も信用できますが、4世紀より前の記紀はまったく信頼が置けず、神話の世界も多く入り混じっていますので、当時の世界的な大先進国である中国の歴史書に頼る部分が多くなります。他方、本書や倭の五王の時期である5世紀は中国の歴史書で日本が取り上げられることが少なく、記紀もそれほど信頼できない、という端境期のような時期だということです。いずれにせよ、詳細は読んでいただくしかありませんが、4-5世紀の日本はヤマト朝廷がそれほど強力には確立しておらず、地方も含めた豪族の支持なしには天皇制も十分に機能しない、という時期です。ですので、本書でもしばしば言及されているように、古市集団と百舌鳥集団が天皇を出し合い、継体天皇のケースのように皇統が絶えると地方から呼び寄せる、という形で天皇制が継続されていたわけです。その意味では、決して征服王朝などではなく、継体天皇も当時の天皇選出のルールに則った方法で選ばれている、という本書の指摘はもっともです。ただし、樟葉で即位して、なかなかヤマトに入れなかった点については、もう少し掘り下げた分析が欲しかった気がします。本書では、古典古代の世界史的な大陸情勢も視野に入れて、グローバル・ヒストリーのような視点も交えて、日本の古代史がほどよく理解できるように工夫されています。天皇制が男系男子で万世一系かどうかはともかく、天皇制の視点から古代史を勉強するにはいい本だと思います。

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2026年9月18日 (金)

両チーム4安打ずつの投手戦を制して広島に連勝

 一二三四五六七八九 RHE
広  島000000010 140
阪  神00020000x 241

【広】 森下、遠藤 - 石原、持丸
【神】 大竹、ドリス、及川、工藤 - 伏見

大竹投手のナイスピッチングで、広島に連勝でした。
先発大竹投手は5回マデパーフェクトに広島打線を抑えたものの、6-7回は先頭打者の出塁を許し、7回までで降板します。8回からドリス投手が登板するものの、昨日から1軍に上がった木浪遊撃手がエラーしてピンチを追い、及川投手に交代して何とか最小失点で切り抜けます。最終回は新クローザーの工藤投手が締めくくりました。打線は4回にフォアボール2つでチャンスをもらい、佐藤輝選手と大山選手の連続タイムリーで先制します。しかし、後が続かず4安打2得点で終わりました。わずかに2時間半ほどの試合時間でした。これで、マジックは12に減りました。

明日も、
がんばれタイガース!

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8か月連続で+2%を下回った8月の消費者物価指数(CPI)上昇率と日銀の金利引上げ

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、前月から▲0.1%ポイント減速して+1.7%を記録し、生鮮食品も含めたヘッドラインCPI上昇率は+1.9%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIも+1.9%でした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると次の通りです。

8月の消費者物価指数1.7%上昇 エネ補助で抑制、8カ月連続2%割れ
総務省が18日発表した8月の消費者物価指数(CPI、2025年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が102.0となり、前年同月比1.7%上昇した。政府が支給する補助金でエネルギーの価格を抑えており、伸び率は8カ月連続で2%を下回った。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は1.8%の上昇だった。上昇率は4カ月ぶりに縮小した。日銀は消費者物価の前年比2%上昇を物価安定の目標としている。
生活実感に近い生鮮食品を含めた総合指数は前年同月比1.9%上がった。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は1.9%プラスだった。ガソリンの旧暫定税率の廃止や政府による電気・ガス料金の支援により、8月の物価全体の伸び率は0.62ポイント押し下げられた。
エネルギー価格全体は0.7%下落し、7月の0.6%上昇から下落に転じた。電気代は2.4%、都市ガス代は0.8%、それぞれ下落した。政府は26年度予算の予備費を活用し、電気・都市ガス料金の7~9月の使用分を支援対象としている。8月検針分から反映された。
ガソリンは2.6%下落し、7月の1.8%下落から下落幅が拡大した。政府は3月以降、レギュラーガソリンの店頭価格を1リットルあたり170円程度に抑えるために、石油元売り企業に補助金を支給している。
生鮮食品を除く食料は2.7%上昇した。うち緑茶は31.5%上昇し、比較可能な1971年以降で過去最高の上昇幅となった。抹茶の需要拡大に対応するために緑茶の生産縮小が進んだことが背景にある。マグロも外国漁船からの供給や燃料価格の上昇を受け、24.4%上昇した。
総務省の担当者は「9月のCPIは、政府による電気・都市ガス料金支援の補助額が増えることで押し下げ効果が見込まれる一方、食品の値上がりなどの影響も出る」と話した。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事の2パラ目にあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.8%ということでしたので、実績のコアCPI上昇率+1.7%はこれを下回っています。ただし、総務省統計局のプレスリリースによれば、ガソリンの暫定税率廃止及び政策による効果の寄与度が試算されており、エネルギー全体では▲0.62%に上ります。うち、電気代が▲0.17%、都市ガス代が▲0.03%、ガソリンは▲0.38%、灯油が▲0.04%です。この政策効果を単純にヘッドライン上昇率の+1.9%に上乗せすれば、政策効果を除けば+2.5%ほどのインフレ率、ということになるかもしれません。ただ、電気代に比べてガソリンの引下げ効果が大きい気がします。都市部よりも地方圏を優遇する政策ではないかという疑問は残ります。
品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比ヘッドライン上昇率である+1.9%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、エネルギーの寄与度は8月統計では、政策効果を加えてマイナスに転じ、前月の7月統計の+0.05%に対して、8月統計では▲0.05%となっています。したがって、寄与度差は▲0.09%と計算できます。続いて、生鮮食品を除く食料価格を見ると、上昇率はまだ大きいとはいえ、前年同月比で7月の+3.0%、寄与度+0.72%から8月は上昇率+2.7%、寄与度+0.64%にやや減速しています。ですので、寄与度差は▲0.07%です。ただし、上昇率と寄与度の数字だけを見れば、ヘッドラインCPIの上昇率である+1.9%の⅓ほどが食料価格の上昇に起因する、というわけです。ただし、食料の中でも、「令和の米騒動」とまでいわれて注目されたコメについて見ると、もう報道にも現れなくなってしまいました。
国民生活に直結する食料の細かい品目別内訳に注目すると、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見て、繰返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+2.7%、寄与度+0.64%に上ります。その食料の中で、特に、ポテトチップスなどの菓子類は上昇率+5.0%、寄与度+0.13%に上っています。続いて、からあげなどの調理食品が上昇率+3.3%、寄与度+0.13%と大きくなっています。また、コアCPIの外数ながら、生鮮魚介が上昇率+13.5%、寄与度0.13%、生鮮野菜も上昇率+5.5%、寄与度0.10%を示しています。コアCPI項目に戻って、外食も上昇率+2.1%、寄与度0.11%、飲料も上昇率+6.0%、寄与度0.10%、などなどと書き出せばキリがないほどです。逆に、マイナス寄与については、教育、特に授業料等が▲6.4%、寄与度▲0.14%の下落となっています。高等学校授業料(私立)の下落▲73.2%が最大の要因です。また、食料以外の住居で、設備修繕・維持も外挿塗装費の値上がりなどから上昇率+4.0%、寄与度+0.13%などとなっています。

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こういった物価動向を背景に、昨日から開催されていた日銀の金融政策決定会合において、政策金利=無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%から1.25%に引き上げています。上のパネルは、日銀が示している 金融市場調節方針の変更 (2026年9月金融政策決定会合) です。中東情勢、AI関連需要の拡大、為替相場の変動の3点を上げて物価目標を越える可能性を指摘しています。確かに、消費者物価指数(CPI)上昇率はエネルギー補助の政策効果を除けば日銀物価目標の+2%を上回る可能性が高いとはいえ、私はこの金利引上げは疑問です。その昔には、インフレ率が物価目標を上回っても緩和的な状況を継続する behind the curve といった方針を示していたのですが、結局、time inconsistency な政策を取るようになった、と私は受け止めています。新任の政策委員である浅田先生と佐藤先生が反対票を投じたようです。私は浅田先生と佐藤先生を支持します。

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2026年9月17日 (木)

序盤からクリンナップが打ちまくり連敗脱出

 一二三四五六七八九 RHE
広  島000101000 281
阪  神31030000x 7110

【広】 床田、赤城、杉田、塹江 - 石原、持丸
【神】 高橋、ドリス、石井、工藤 - 伏見

広島に勝利して、ようやく、連敗脱出でした。
先発高橋投手は4回、6回と失点しながらも6イニングスを2点に抑え、立派なQSでした。後を継いだドリス投手、工藤投手、工藤投手も走者は出しながらも、しだいにゲーム感覚を取り戻しゼロで抑えました。高橋投手は両リーグトップの14勝目でした。打撃陣は、初回から活発に得点しています。すなわち、クリンナップで7打点、佐藤輝選手こそ初回先制タイムリーの1打点でしたが、佐藤輝選手の前後を打つ森下選手と大山選手はともにホームランを含む3打点です。これで、マジックは13に減り、阪神は巨人とともにクライマックスシリーズ進出を決めました。

明日も、
がんばれタイガース!

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AI支援を受けると専門的能力は向上するのか?

"Does AI Assistance Enhance or Erode Expertise? Evidence from a Three-Month Field Experiment in Patent Drafting" と題する論文を読みました。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーであり、ざっくりいって、AIによる支援が専門的能力を高めるか、低下させるかについて、米国の知的財産法律事務所の特許弁護士を対象にしたランダム化比較実験(RCT)を実施しています。まず、ワーキングペーパーの引用情報は次の通りです。

つづいて、NBERのサイトからワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
Whether AI assistance builds or erodes professional expertise is unsettled. In a pre-registered three-month randomized controlled trial, we gave 133 practicing patent lawyers at eleven U.S. intellectual property law firms access to a custom AI drafting assistant and measured both their performance while using AI and their professional judgment afterward without it. All work was scored by blinded expert patent attorneys. Paralleling findings from other white-collar domains, AI access raised the quality of work delivered on benchmark patent drafting tasks at 10 days (0.34 SD, p = 0.03) and 90 days (0.38 SD, p = 0.01), with larger gains among junior lawyers. After three months, all subjects redlined an existing patent application without AI, a core task of patent practice requiring expert judgment. Treated lawyers outperformed controls by 0.32 SD (p = 0.04), but this advantage was concentrated entirely among senior lawyers (0.45 SD, p = 0.02). Junior lawyers showed no average gain; their scores instead bifurcated, with sharply fewer mediocre scores offset by more poor and more good ones. The largest gains from AI thus accrued to the lawyers who retained the least. Foundational expertise may be a prerequisite for extracting durable skill from AI-assisted practice.

米国の知的財産法律事務所11社に所属する実務経験のある特許弁護士133名を対象に、独自のAIドラフティング(起草)支援ツールを利用することにより、AI使用時の業務パフォーマンスと、その後のAIを使用しない状態での専門的判断力の双方を測定する形で、3か月間のランダム化比較試験(RCT)を実施しています。といえば難しげですが、要するに、特許申請のドラフティング業務に関して、人工知能(AI)による支援が専門職の人的資本、特に専門的判断力の形成を促進するのか、どうかを評価しようと試みています。

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その結果を端的に示したのが上に引用した Figure 1: Impact of AI Access on Performance on Patent Drafting and Redlining Tasks: Pooled Scales and Component Subscales, Overall and By Seniority であると考えています。すなわち、このRCTでは、10日後と90日後に特許明細書の作成課題を実施し、さらに90日後にはAIを使用せず既存の特許出願書類をレビューし、修正できるかどうかのレッドライン課題を行わせた結果が示されています。上のグラフの左のパネルが10日後のAI支援ドラフティング、真ん中のパネルが90日後のAI支援ドラフティング、右のパネルが90日後のAIなしレッドライン、となります。縮小したので凡例が見づらくなっていますが、青いラインが若手=junior (under 7 years of experience) aであり、オレンジがベテラン=senior (7 or more years) の特許弁護士であり、黒がその平均、ということです。ですから、若手の仕事のクオリティはAI支援を受けると向上し、逆に、ベテランはそれほどでもない、といえる一方で、AIなしでの専門的判断を評価するレッドライン課題ではベテランのスキルアップの効果が大きいものの、若手ではそれほどでもない、という結果です。AI支援を受けた短期的な成果のクオリティの向上と人的資本の持続的形成は異なると評価すべき、ということです。別の角度から見ると、若手の場合は短期的な業務のクオリティの向上が見られる一方で、人的資本の持続的な形成は確認できず、逆に、ベテランの場合は短期的なクオリティの向上はそれほどでもない一方で、人的資本の持続的形成がなされている、ということです。このRCTは特許弁護士を対象に実施されていますので、ほかの業務でどうなるかについては慎重に考える必要があるとはいえ、とても興味深い結果だと私は受け止めています。特に、AI利用や人的資本形成に詳しいオーター教授がファーストオーサーですので信頼性はかなり高い、と受け止めるエコノミストが多そうな気がします。

最後に、これを大学生のリポート作成になぞらえて考えます。おそらく、大学生は経験7年未満の若手に分類されるでしょうから、リポートそのものは実力以上のいい出来のものとなる一方で、そのAIが示した結果をうまく取り入れて後々のリポート作成能力の向上につなげることについてはそれほど上手くいかない、ということになりそうな気がします。

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2026年9月16日 (水)

1兆円を超える貿易赤字を記録した8月の貿易統計と2か月ぶり前月比マイナスの7月の機械受注

本日、財務省から8月の貿易統計が、また、内閣府から7月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計のヘッドラインについて、季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+19.3%増の10兆483億円に対して、輸入額は+28.0%増の11兆1539億円、差引き貿易収支は▲1兆1056億円の赤字を計上しています。また、機械受注では、民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲3.7%減の1兆169億円と、2か月ぶりの減少を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

8月の貿易赤字1兆1056億円 原油と半導体が輸入額を押し上げ
財務省が16日発表した8月の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆1056億円の赤字だった。赤字は4カ月連続。原油価格の上昇が響いた。半導体などの電子部品も輸入額を押し上げた。
輸出額は10兆483億円と前年同月比で19.3%増えた。12カ月連続で増加した。中国向けに電子部品の輸出が伸びたほか、米国向けの自動車も好調だった。
輸入額は11兆1539億円で28.0%増えた。7カ月連続の増加だった。原油高に加え、アジアからの電子部品、米国からの液化天然ガスが輸入額の増加に影響した。
原油の輸入額は1兆1905億円と58.7%増えた。円建ての輸入単価は1キロリットルあたり10万2684円と53.1%上昇した。代替調達が進んでおり、輸入量は1159万キロリットルと3.6%増えた。
原油の輸入を地域別で見ると、米国からの輸入量は365万キロリットルと前年同月に比べ約7倍に増えた。中東情勢が緊迫して以降、米国からの輸入が急増している。
中東からの輸入量は30.9%減の725万キロリットルだった。4月は384万キロリットルと比較可能な1979年1月以降でもっとも少ない量となったが、足元で回復傾向がみられる。
アジアからの代替調達もみられる。輸入量は4万キロリットルと20.8%増加した。
7月の機械受注3.7%減、2カ月ぶりマイナス 判断「持ち直し」維持
内閣府が16日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶と電力除く、季節調整済み)は前月比で3.7%減の1兆169億円だった。2カ月ぶりの減少となった。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は1.6%減で、市場予測を下回った。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。6月が9.7%増だったことを踏まえた。月ごとの振れをならした3カ月移動平均は2.6%減となった。
製造業は5186億円と前月から1.0%減った。2カ月ぶりのマイナスとなった。製造17業種のうち8業種がマイナスだった。非鉄金属は6月に約3倍に増加した反動で82.2%減となり、全体を押し下げた。化学工業も前月からの反動減で12.0%減った。
非製造業は船舶・電力を除くベースで2.6%減の5259億円と、2カ月ぶりに減少した。電子計算機などで前月に大型受注があった反動から、情報サービス業が16.9%減、金融業・保険業が6.8%減となった。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは次の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、▲6000億円を少し超えるくらい貿易赤字が見込まれていましたし、予測レンジ下限でも▲1兆円弱でしたので、実績の▲1.1兆円を超える赤字はレンジに収まらず、下振れした印象です。注目の原油及び粗油の8月統計での輸入は、引用した記事の4パラ目にあるように、キロリットル単位の数量ベースで前年同月比+3.6%増を示していますが、金額ベースでは+58.7%増となっています。中東戦争の影響を受けて、一時的に石油の輸入が滞っていた反動でやや数量ベースで輸入が増加する一方で、単価も大きく上昇しているということです。数量ベースで見る限り、原油及び粗油の供給制約は大きく緩和された、という評価はできるかもしれません。引用した記事にもありますが、季節調整する前の原系列の統計ながら、数量ベースで原油及び粗油の輸入は8月に全世界から1159.4KLを輸入しています。うち、米国365.9万KL、725.5万KLですから、この数字を見る限り、まだまだ原油及び粗油の中東依存は大きいといわざるをえません。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいと考えています。地政学リスクにより比較優位に基づく貿易が、現時点では、阻害されている可能性が否定できない、と考えています。すなわち、中東での武力紛争により石油輸入の量と価格の動向が大きな問題と考えるべきです。ですので、政府が「経済安全保障」を理由にエネルギー市場に過度に介入するのは疑問です。
本日公表された8月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、繰返しになりますが、もっとも注目されている原油及び粗油がキロリットルの数量ベースで+3.6%増と供給制約の緩和が見られる一方で、金額ベースでは+58.7%増となっています。さらに、エネルギーに次いで注目されている食料品は金額ベースで+8.0%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は重量ベースで▲6.7%減ながら、AIやデータセンター需要により商品市況の高騰により金額ベースでは+8.1%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数ベースで+6.3%増、金額ベースでも+16.5%増となっています。米国向けの自動車輸出についても、数量ベースで+4.9%増にとどまっている一方で、金額ベースで+28.0%増となっており、トランプ関税の価格転嫁が進んでいる可能性があります。米国だけではなく世界向けに戻って、自動車を含む輸送用機器は金額ベースで7.9%増、電気機器も+31.5%増、一般機械も+21.0%増となっています。中東戦争が一時の混乱を脱して、比較優位にしたがって貿易すると、もちろん、世界的なAIブームやデータセンター需要を背景にしつつ、このあたりの輸送用機器、電気機器、一般機械などに日本はアドバンテージがあるんだろうと思います。

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引用した記事の2パラ目には「1.6%減」とありますが、私が調べた範囲で、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲2.2%減であり、いずれにせよ、実績の3.7%減は市場の事前コンセンサスから下振れした印象です。ただし、上のグラフでも読み取れるように、移動平均で見たトレンドでは十分な増勢を示しているといえます。いずれにせよ、統計作成官庁である内閣府のプレスリリースでも、基調判断について「7月の減少は先月9.7%増加した後の単月の動きであることを踏まえ」と指摘した上で、基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置かれています。もう少し時間が経ってからの判断変更でもいい、と私も考えています。なお、業種別に季節調整済み系列の前月比で見て、製造業が前月比▲1.0%減、船舶・電力を除く非製造業も▲2.6%減でした。なお、引用した記事で詳細に言及されていますが、前月統計で大型案件などのややイレギュラーな増加があった反動という側面は否定できません。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があります。先週火曜日に公表になったGDP統計速報2次QEを見ても、民間設備投資は1~3月期に続いて、4~6月期も前期比マイナスを記録しています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが軽く予想されますし、DXやGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまう可能性が否定できません。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心で、何度か政策金利が引き上げられて今では1.0%に達し、市場の長期金利は3%に迫っています。今週の金融政策決定会合でも追加利上げがあると予想されています。為替への影響を別にしても、金利引上げは設備投資に悪影響を及ぼすことは頭に入れておくべきではないかと思います。

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2026年9月15日 (火)

中日に3タテされて泥沼の7連敗

 一二三四五六七八九 RHE
中  日000102100 480
阪  神000010000 1100

【中】 柳、齋藤、森博、松山 - 石伊
【神】 ルーカス、神宮、岡留、石井、及川、岩崎、セベリーノ - 坂本、伏見

中日にも3タテされ、泥沼の7連敗でした。
予告先発の名前を聞いただけで、早くも苦戦が予想されてしまい、4回に先制された後の攻撃で代打の糸原選手がゲッツーに倒れた時点で、敗戦が濃厚に思えてきて、6-7回の失点、特に、昨年から継続されていた石井投手がフォアボールの後に2ランを浴びるという最悪の失点をした時点で、連続試合無失点記録が終了し、本日の試合も終了というか、ほぼほぼ敗戦を確信してしまいました。打線は活発に出塁を果たし、6回以外は塁上を賑わして10安打と2ケタ安打を放ちましたが、決定打なく得点もお粗末なものでした。なぜか、ジャイアンツもお付き合いよろしく横浜に3タテされ、マジックは消滅しないどことか14まで減っています。大型連休の前半で横浜との2連戦が組まれています。横浜に首位を奪われることはないとしても、肉薄されることが起こるんでしょうか?

明後日の広島戦は連敗ストップ目指して、
がんばれタイガース!

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金利引上げは住宅購入の不平等を拡大するか?

"Monetary Policy and Home Buying Inequality" と題する学術論文を読みました。ざっくりいって、金利引上げが低・中所得世帯の住宅購入にネガな影響を持ち、格差に影響する可能性を分析しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

次に、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Does monetary policy influence who becomes a homeowner? Lower-income home buyers may be more sensitive to interest rates, at least in part because they more frequently come up against binding payment-to-income ratio constraints in credit decisions. Exploiting the timing of high-frequency observations of individual mortgage rate locks around monetary policy shocks, I find that a 1 percentage point policy-induced increase in mortgage rates lowers the presence of lower-income households in the population of home buyers by 1 to 2 percentage points immediately following the shock. Effects are substantially stronger among first-time home buyers and persist for approximately one year.

金融政策が住宅購入機会の所得格差にどのような影響を及ぼすかを米国の住宅ローンデータから検証しています。公開市場委員会(FOMC)で金利引上げが発表される前後の予想外の金融政策ショックと住宅ローン金利の高頻度変動データを利用し、操作変数(IV)に高頻度データによる差の差分析(DiD)を応用して、金利と住宅購入者の構成との因果関係を識別しています。論文によれば、住宅ローン金利が1%ポイント上昇すると、低・中所得世帯向け住宅購入ローンのシェアは▲2.1%ポイント、低所得世帯向けは▲1.1%ポイント低下する、と推計しています。効果は初回住宅購入者で特に大きく、約1年間持続し、その背景には、低所得世帯ほど債務支払-所得(debt service payment-to-income: DTI)制約に直面しやすく、金利上昇による月々の返済負担を吸収できない可能性を指摘してます。この分析結果をもっともよく示すグラフは Figure 3. - Effect of Mortgage Rates on Fraction of Home Purchase Loans to Lower-Income Households, by Day, First-time Home Buyer Sample であり、論文から引用すると次の通りです。

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日本と違って、住宅購入が資産形成のひとつのアイテムとなっている米国では、金利上昇により低・中所得世帯の住宅購入にネガな影響あれば、資産形成の不平等が大きくなる結果となりかねません。しかし、他方で、金利上昇は同時に既存住宅所有者の資産価格を低下、ないし、資産価格上昇率を減速させる可能性も高く、この効果を通じた格差を縮小させる可能性もあります。後者が従来からの主流となっている考えと私は受け止めていますが、この論文では住宅購入の不平等のチャンネルを示したものと考えるべきです。したがって、「(金融)引締めは、資産価格を通じた不平等の縮小とは対象的に、住宅所有の不平等を拡大する」"I find that tighter policy leads to greater inequality in ownership, in contrast to the literature that finds reduced wealth inequality based on asset prices." 点が強調されています。この結論は日本にはそのまま当てはまらない可能性が十分ありますが、重要な指摘だと考えられます。

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2026年9月14日 (月)

9月の大失速が続き3試合連続無得点で泥沼の6連敗

 一二三四五六七八九 RHE
中  日200020002 670
阪  神000000000 040

【中】マラー - 加藤
【神】伊藤将、岡留、神宮、セベリーノ、ドリス - 坂本

9月の大失速、3試合連続無得点の6連敗でした。
先発の伊藤将投手は立ち上がりから緊張感もなく、いきなり初回にツーランを浴びて先制点を許し、5回にはピッチャーにもホームランを打たれるていたらくです。かつてはクローザーを務めたドリス投手も最終回に決定的な2失点を喫します。打つ方も、サッパリ打てません。3試合連続の完封負けです。森下外野手なんかは引張り一辺倒で、チームの勝利よりもホームランを狙っているとしか思えませんでした。結果は遊ゴロの山を築きました。ジャイアンツが横浜と引き分けて、マジックは16のままでしたが、いずれにせよ、例年を大きく上回る大失速です。

明日は連敗ストップ目指して、
がんばれタイガース!

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学習塾の効果やいかに?

"Kumon Up: Private Tutoring Centers and Student Achievement" と題する論文を読みました。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーとして明らかにされています。ざっくりいって、タイトルから想像できるように、公文式のような民間学習塾チェーンへのアクセスが子どもたちの学力を実際に引き上げる一方で、その利用可能性・効果が人種や所得によって偏るため教育格差を拡大する可能性がある、という結論を得ています。まず、ワーキングペーパーの引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトからワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
Private tutoring chains like Kumon and Sylvan have expanded rapidly in recent decades. Combining data on business locations, household spending, and district test scores, we study who uses these centers and how they affect academic skills. Nearly half of tutoring users are from the top income decile, with Asian and White households five and two times as likely to purchase tutoring as Black and Hispanic households. A staggered differences-in-differences design shows the opening of a district's first chain center raises district-wide math and reading scores by 0.02-0.03 standard deviations, at a much lower cost than public spending typically producing similar gains. Math effects are largest for White and Asian students, so that center entry widens racial achievement gaps, though less so in more racially integrated districts. These private investments help their users, deepen educational inequality, and shape outcomes by which state accountability systems and families judge schools.

繰返しになりますが、導かれている結論は大雑把にいって2点あります。公文式のような民間学習塾チェーンへのアクセスが子どもたちの学力を実際に引き上げる一方で、その利用可能性・効果が人種や所得によって偏るため教育格差を拡大する可能性がある、ということです。第1の点、すなわち、公文式のような民間学習塾チェーンへのアクセスが子どもたちの学力を実際に引き上げる、を示しているのは、Figure 5: Effect of First Tutoring Chain on Test Scores, All Students になります。以下に引用する通りです。算数・数学(Math)も国語(Reading)も、民間学習塾チェーン利用の開始から着実に上がっているのが読み取れます。

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他方で、教育格差の拡大に関しては、特に、所得、そして、その所得の格差を代理する人種間の格差を示すのが、Figure 6: Racial Heterogeneity in Math Effects となります。次に引用する通りです。数学(Math)だけの結果ながら、上のパネルから、白人/アジア人 (White/Asian) と 黒人/ヒスパニック/非米国人 (Black/Hisp./Nat. Am.) の間で格差が観察されます。下のパネルからは、白人と黒人の間の格差 (White-Black Gap) と白人とヒスパニックの格差 (White-Hisp. Gap) が観察されます。

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最後に、メリトクラシー=能力主義がしばしば学歴に基づいていて、特に、サンデル教授が指摘するように、米国では大学卒に対して職業上などで大きな「特権」的待遇が与えられる場合が少なくありません。しかし、そういった学歴の基礎というのは、すべてが本人の努力、というわけでもなく、一部なりとも生まれ育った家庭、特に所得条件にある可能性が示されています。

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今日は私の誕生日

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今日は、私の誕生日です。
「人生70、古来希なり」と称される古希まであと2年です。現在お仕事している大学の授業ベースで考えると、定年退職して特任教授となってから5学期を経過し、あと残り5学期で特任教授も退職することになります。
私は従来から「生涯現役社会」というのは、自分に関する限り真正面から反対していて、早く仕事から引退したいと願っています。

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2026年9月13日 (日)

9月の大失速で5連敗M16

 一二三四五六七八九十十一 RHE
中  日00000000001 181
阪  神00000000000 050

【中】高橋宏、森博、松山 - 石伊、加藤
【神】才木、工藤、木下 - 坂本

才木投手でも連敗は止まらず、中日にも負けて5連敗でした。
サッパリ打てません。森下外野手なんかは、もうチームの勝利よりもホームランを狙っているとしか思えませんでした。ジャイアンツが負けて、マジックは16になりました。昨日の段階でマジックは消えたと勘違いしていましたが、マジック対象チームにいくら負けても消滅することはないという、定義の世界を忘れていました。いずれにせよ、例年を上回る大失速です。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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帝国データバンク「カレーライス物価指数」(2026年7月)やいかに?

9月10日、帝国データバンクから「カレーライス物価指数」(2026年7月)が明らかにされています。もちろん、pdfのリポートもアップロードされています。まず、「カレーライス物価」推移(月平均推移) のグラフを帝国データバンクのサイトから引用すると次の通りです。

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以下、帝国データバンクによれば、2026年7月平均のカレーライス物価は、前年同月からは+5円、+1.5%の上昇を見せたものの、前月8月からは▲2円低下し、1食当たり349円となりました。350円を下回るのは2025年8月以来11か月ぶりです。また、全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した、前月調査時点の予想値(347円)を+2円上回ったものの、引き続き低下基調での推移となっています。年初の370円からは▲21円、▲6%の下落となるなど、最近数年間に渡って続いた「令和のコメ騒動」によるコメ価格高騰の影響は急速に薄れていて、カレーライス物価を押し上げてきた「カレーショック」は収束局面に入りつつあります。また、メニュー別では、「シーフードカレー」が501円ともっとも高く、前年から+14円、+2.9%上昇した一方で、最安値は「チキンカレー」の220円で、前年から▲1円、▲0.5%低下しています。

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為替相場の円安トレンドは変化したのか?

今年2026年に入ってから、というよりも、長く続いた円安のトレンドが9月に入ってから変化しているように私は見ています。しかしながら、私はエコノミスト何ドSが、相場師ではありませんから、時々刻々、あるいは日々といった極超短期の相場の動き、石油価格、穀物価格、株価、為替などなどについては、それほど知見を持っているわけではありません。ここで、シンクタンクや金融機関などのリポートを簡単に取りまとめておきます。順番は適当です。特に、重要な順というわけではありません。

  • 円高トレンドに変化
    • 日本総研「為替相場展望2026年9月号」
      FRBは資源高によるインフレ懸念から当面据え置く一方、日銀は利上げペースを四半期に1回程度へ加速し、日米金利差が縮小すると予想。ドル円は徐々に円高となり、2026年10~12月159円、2027年4~6月157円を予想。急激な円高ではなく「緩やかな円高」が基本シナリオ。
    • SMBC信託銀行「ドル円:ドル安・円高へのトレンド転換を判断へ」
      155円の重要な支持線を下抜け、テクニカルには上昇トレンド終了・下落トレンドへの転換を示唆。152円台前半を下値目標とし、さらに下落すれば150円、146円台も視野。155円台へ戻っても158円台前半が上値抵抗になると分析。
    • 三井住友DSアセットマネジメント「ドル安・円高のさらなる進行でドル円は153円台に」
      ドル円153円台への急速な円高について、日銀利上げ観測や財政規律への期待が円安を抑制していると分析。米利上げ観測が強まれば反発もあり得るが、160円台への急反発は困難とし、政府が財政規律を重視すれば円安方向への戻りはかなり限定的と予想。
    • 三井住友銀行「FOREX WEEKLY」
      9月初旬のドル円急落を受け、9月11~18日の予想レンジを152~156円とする一方、ドル円は綱引き状態にあり、ドル円がこの先一段と円高・ドル安方向を目指すというのは想定し辛い。
  • 円高トレンドに慎重な見方
    • みずほ銀行「中期為替相場見通し」
      日米協調介入後も、介入だけで円安トレンドが反転したとは見ない慎重な見方。日銀の金融政策正常化や日米金利差縮小は円高要因だが、日本の財政・経常収支など構造的な円安要因も残るとして、円高の持続性には慎重。
    • 浜銀総合研究所「HRIマーケット情報」
      投資家はリスク回避姿勢に傾きやすく、大きな買いに動きづらいと予想される。一方、ドル円は円強含みでのもみ合いか。10日の日銀の増審議委員の講演内容が利上げに積極的なものとなれば、円買い圧力が高まろう。ただ、中東情勢の悪化による有事のドル買いも入りやすいことから、円高の余地は限定的か。

私自身が円高トレンドに変化したと見ているので、ついつい、円高トレンドに変化したとする見方を多く取っているのですが、円高トレンドに変化したかどうかについて慎重な見方をしている2行、すなわち、みずほ銀行と浜銀にしても、ややリポートの時点が古いので、来週早々にも見方を変更する可能性が否定できません。私の感触としては、今週の金融政策決定会合で日銀が利上げすれば、おそらく、一段と円高に傾くと思うのですが、ただし、ただしで、9月17-18日の日銀の金融政策決定会合に先立って、時差があるとはいえ、米国連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)が9月15-16日に開催されます。日銀の利上げはほぼほぼ確実なところで、他方、米国の利上げも日経新聞やロイターなどの記事によれば、85-90%の確率、などと報道されています。どちらも25ベーシスの利上げであれば、金利差は変わらないわけで、為替相場の動きは小さいものとなる可能性が高い、と考えるべきです。もちろん、為替相場が理論通りに動くわけもなく、日米政府の高官の発言、特に米国政府のベッセント財務長官の発言で動いているようにも見えます。私はFXをやっているわけでもなく、為替相場の動きには鈍感なのですが、それでも、今週の金融市場、特に為替相場と石油価格の動きは横目でにらんでおきたいと思います。

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2026年9月12日 (土)

ジャイアンツに負けてマジック消滅

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神000000000 060
読  売01000000x 170

【神】村上、石井、及川、木下 - 坂本
【読】竹丸、森田、マルティネス - 大城

村上投手でも連敗は止まらず、ジャイアンツにも負けて4連敗でした。
ジャイアンツに0.5ゲーム差と詰め寄られて、マジック消滅です。このまま9月の失速に陥るのでしょうか。

ラストスパートに向けて、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書や小説など計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、佐々木宏夫『「二つの人生」を生きるための経済学再入門』(慶應義塾大学出版会)では、長くなった人生に対して、現役と引退ではなく、第1と第2の「現役時代」と呼んで、特に第2の現役時代を、必ずしも合理性だけではなく、生きる知恵としての常識の体系として経済学を活かす方法を考えています。友寄英隆『日本経済再生への道』(新日本出版社)は、マクロ経済学の合成の誤謬をキーワードとし、新自由主義的な経済政策からマルクス主義経済学的な計画経済を志向する経済書です。ただ、合成の誤謬だけでなく、囚人のジレンマの方も頭においておく必要があると思います。瀬尾まいこ『ありか』(水鈴社)は、夫の浮気を理由に離婚したシングルマザーを主人公に、保育園に通う娘、元夫の弟、保育園のママ友、職場の年配の同僚、そして、生活費に窮して主人公に無心する母親、など親子を取り巻くやや重いストーリーです。町田その子の作品かと思ってしまいました。佐藤正午『熟柿』(角川書店)では、妊娠中の主人公がひき逃げ死亡事故を起こし、刑務所での服役中に長男を出産し、刑期を終えて出所すると警察官を辞職した夫に離婚を求められます。西へ西へ移動して働き、子どもとの再会を願います。でも、交通事故被害者の視点が抜けています。赤根智子『戦争犯罪と闘う』(文春新書)では、オランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の所長である著者が、ICCと同じハーグに置かれた国際司法裁判所(ICJ)との違いを解説したりし、世界で幅を利かせつつある「力による支配」ではなく、「法による支配」の重要性を強調しています。堤未果の『すばらしい新世界』(集英社新書)は、1930年代のオルダス・ハクスリーによるディストピア小説『すばらしい新世界』を意識したものとなっていて、日本語で日本人を対象に書かれていますので、仏教の四苦である「生老病死」になぞらえた構成となっています。
今年2026年の新刊書読書は、1~8月で209冊、9月に入ってから先週の6冊と今週の6冊を加えて合計221冊となります。また、英国推理作家協会(CWA)のインターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)を日本人で初めて受賞した王谷晶『ババヤガの夜』(河出文庫)とカーター・ディクスン『黒死荘の殺人』(創元推理文庫)も読みましたが、新刊ではないので、本日のレビューには含めていません。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、佐々木宏夫『「二つの人生」を生きるための経済学再入門』(慶應義塾大学出版会)を読みました。著者は、早稲田大学名誉教授です。ゲーム論がご専門のようです。本書冒頭では、人生100年時代が到来し、織田信長の幸若舞のような「人生50年」とは違う生き方、人生を模索する目的を表明しています。経済学などではオーバーラッピング・ジェネレーション・モデルとして現役世代が働いて、引退世代が貯蓄や年金で生活する、というモデルがあり、同時に、ライフサイクルモデルとも重なる部分があります。そして、長くなった人生に対して、必ずしも合理性ばかりではなく、生きる知恵としての常識の体系として経済学を活かす方法を本書では考えています。私は単なる呼称だけの問題のような気もしますが、「第1の現役時代」と「第2の現役時代」と本書では呼んでいます。その第1と第2のそれぞれの「現役時代」の対象表がp.11に示されています。私自身はまだ働いていて、年金生活には入っていないとはいえ、ほぼほぼ本書でいう「第2の現役時代」に入っている気がします。所得こそ年金ではなくお給料をちょうだいしていますが、子どもたちは大学を卒業して社会人となって独立していますし、本書でも強調しているように、寿命のリスクとしては死んで所得が途絶えるリスクよりも生きながらえて生活費に困窮するリスクの方が大きくなっています。ただ、本書はさすがに大学教授経験者の本らしく、決してハウツー本ではありません。「ハウツー」の基礎となっている考え方、特に経済学やゲーム論について議論を展開しています。例えば、やり直しがきかない「第2の現役時代」における人生の戦略についてゲーム論的な基礎を議論したり、市場や市場における価格から情報を読み取ったり、不動産市場から終の棲家を考えたり、といった議論が進みます。その上で、より大きな社会的な出来事について、社会選択理論を通じた意思決定、市場社会と伝統社会の異同、人口減少の光と影、さらに進んで成長なき経済社会をどう生きるか、などなど、経済リテラシーを活用した「第2の現役時代」の過ごし方について考えています。繰返しになりますが、決してハウツー本ではなく、長い人生を楽しく豊かに過ごすヒントがいくつか読み取れると思います。

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次に、友寄英隆『日本経済再生への道』(新日本出版社)を読みました。著者は、労働者教育協会理事であり、同じ出版社の月刊誌『経済』編集長などを歴任しています。本書は、表紙画像にあるように、マクロ経済学の合成の誤謬をキーワードとし、新自由主義的な経済政策からマルクス主義経済学的な計画経済を志向するものです。まず、本書では新自由主義を明確には定義していません。pp.10-11に簡潔に7の視点を提示しているだけで、その点は批判あると思います。私の考えでは、新自由主義とは、1970年代に2度に渡る石油危機やニクソン米国大統領によるドルショックなどを契機に、戦後経済のいわゆる「栄光の30年」(フラスティエ著、Les Trente Glorieuses, ou la révolution invisible de 1946 à 1975 など参照)が終わり、ケインズ経済学がインフレ抑制に失敗したことから、本書でも指摘しているように、反動的な新古典派経済学が巻き戻しを図ったことにより、現在まで、日米をはじめとしていくつかの先進国の経済政策の主流となっています。確かに、本書の先に指摘したページで概観されている通りですが、何といっても、政府、すなわち、中央政府や地方政府を民間企業と同じような原理で運営することから始まっています。今ではもう誰も注目していないニュー・パブリック・マネジメント(NPM)と呼ばれた手法です。ですから、現在の米国のトランプ大統領が典型で、連邦政府を企業マネジメントと同じように考え、外交交渉を取引(ディール)を見なします。要するに、企業と同じ損得で考えるわけです。逆にいえば、公共財の供給という視点が希薄なわけです。ですので、市場万能主義・市場原理主義はいうまでもなく、企業経営と同じで低所得者よりも富裕層に有利で、公助よりも共助、さらに自助と自己責任が強調され、グローバル化が進んだ経済社会で、利益を上げられる場所を探してモビリティが高く、利益が出るのであれば武器輸出でも何でも手を出す、というわけです。そういった基本的理解の上で、本書で提示されている7つの観点を読むといいと思います。という前置きが長くなりましたが、本書では合成の誤謬を強調していますが、私はどちらかといえば、囚人のジレンマの方も頭においておく必要があると考えています。すなわち、例えば、労働者への賃金で考えると、他社労働者の賃上げが進む一方で、自社労働者の賃下げや賃金据置きができると、コスト削減から利益の増大が可能となります。しかし、少し前までの日本の状況のように、各社いっせいにそろって賃上げが進まないとなると、所得が停滞して消費が増加せず、景気が悪いままで推移することになりかねません。その上で、本書では戦後日本の経済計画について評価しています。はい、一定の限界あるとはいえ、私も役所の同僚とともに "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" というリサーチ結果を取りまとめ、世銀リポートに引用されたりして、途上国の経済発展における経済計画の果たす役割や重要性を強調しています。ただ、日本は先進国ではないか、という反論もあろうかと思いますが、それほど、というか、旧ソ連的な中央政府から指令を出すがごとき計画経済ではなく、本書でも指摘しているような何らかの indicative/informative な役割を主眼とする経済計画は有益であろうと考えています。いつも私が強調するところですが、日本政府は経済計画をヤメにしてしまいましたが、おそらく、ほぼほぼすべての上場企業では毎年の経営計画、さらに、中期的な経営計画(よく「中計」と略称されるもの)を持っている、というか、作成しているのではないでしょうか。上場企業よりも規模が大きく、年間予算で100兆円をはるかに超える中央政府が、そういった経済計画を持たないのは、むしろ無責任といえます。ほかにも、私自身はマルクス主義経済学の専門性はまったく持ち合わせないので、本書をそれほど的確に評価する能力も十分ではないかもしれませんが、本書が一定の合理性ある方向を示していると評価しています。

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次に、瀬尾まいこ『ありか』(水鈴社)を読みました。著者は、小説家であり、本書は2026年本屋大賞7位となっています。主人公は飯塚美空、20代半ばで工場に勤務し、幼稚園児のひかりとの母子家庭です。ひかりはこの小説の中で保育園の年中さんから年長さん、そして、小学校に進学します。飯塚奏多とできちゃった婚しましたが、結婚生活2年ほどで夫の浮気を理由に離婚して、今はシングルマザーとなっています。元夫の実弟、美空から見れば義弟の飯塚颯斗がとってもマメに育児や家事を手伝いに来てくれます。毎週水曜日は颯斗がひかりを保育園にお迎えに行き、そのまま美空の家で夕食となるのがルーティンです。いっしょに3人でクリスマスや誕生日を祝ったりもします。保育園児のひかりは素直でのびのびと育っています。颯斗は年上の男性と同棲しているLⒼBTQだったりしますが、親にはカミングアウトしていません。保育園のそらくんのママ友の三池さん、職場の同僚で年配の宮崎さんなどとともに、しっかりと人生を送っています。しかし、美空の母親、彼女も金遣いの荒い夫と離婚して、シングルマザーとして美空を育ててくれたのですが、この美空と母親の親子関係がやや生活に影を落とします。美空が20代半ばで、母親も50代前半の年齢という設定で、母親は生活費に窮して美空に無心しますが、颯斗はキッパリと断るべき、という意見です。あらすじはここまでとします。はい、このあたりから、瀬尾まいこの小説を読んでいたつもりが、町田その子の小説と間違えたのだろうか、という勘違いすらしました。とても重い雰囲気の小説になっています。この作者の小説は、それほどどんでん返しはありませんが、最後に近づくにつれて、何か大きな「ちゃぶ台返し」が待っているのではないか、と思いつつ読み進んだりしました。実際に、どんでん返しがあるかどうかは、読んでみてのお楽しみです。最後の最後に、私が数年前まで公務員をして働いていた東京に対して、関西圏、特に今住んでいるところは関西は関西でも京阪神ではなく、県庁所在市ですらありませんから、やや東京の考えやスタイルにタイムラグを持っている印象があります。さすがに、最新ファッションや流行語なんかはタイムラグ短く伝わるような気がしますが、例えば、マンションのオートロック、ダブルでオートロックになっているマンションは東京ではめずらしくありませんでしたし、実際に、我が家はそういったダブルのオートロックにマンションに住んでいましたが、引越しで家探しをしていた経験から、関西圏では京都市内ですらそういったダブルのオートロックのマンションは見かけませんでした。この小説に即していえば、三池さん、そらくんママのサングラスにそういったものを感じます。1980年代後半バブル経済期の東京では、すでにサングラスには何の偏見めいた見方もありませんでしたが、40年を経て、関西圏在住の作者にはサングラスに対する偏見とまではいいませんが、少し派手めのファッションと組み合わせて、サングラスにやや特殊な役割を期待するようなところが感じられます。はい、私は町中を歩いていてもフツーにサングラスをするのですが、たしかに、関西の片田舎では東京と比べると、異常なくらいにサングラス着用者は少ない気がします。

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次に、佐藤正午『熟柿』(角川書店)を読みました。著者は、小説家であり、本書は2026年本屋大賞次点の2位となっています。主人公は市木かおり、離婚して旧姓に戻っています。元夫は田中哲也、警察官です。この夫婦の住まいは千葉です。ストーリーはこの夫婦が離婚する前の2008年から始まります。すなわち、少し変わり者で庭の柿の木や実を大切にしていた大叔母の晴子の葬式が千葉ではない栃木かどこかの北関東であり、主人公はすでに妊娠しており、夫はその祝い気分でお酒を勧められ、妻の親戚縁者の葬式の場でありながら、酒を断れず酔いつぶれてしまい、帰り道は妻のかおりが運転することになります。帰路でかおりは人身事故を起こしたことも気づかず、結果としてひき逃げ死亡事故を起こしてしまいます。刑務所での服役中に長男の拓を出産し、刑期を終えて出所すると警察官を辞職した夫が待っていて、離婚届に署名し子どもの親権は、当然のように、元夫が持つことになります。その後、拓が保育園を卒園する際に、かおりは卒園式にふさわしいいでたちで拓に会おうとしますが、拓と同級生で同じ保育園児の久住呂咲から拓を連れて来るといわれながら、別の園児を間違って連れ去ってしまいます。久住呂咲の母親の久住呂百合が一応の事情を把握していて警察にも必死で弁明してくれ、逮捕や裁判は免れたものの、子どもとの接見を禁じられ、追われるように各地を流れてゆくことになります。この久住呂親子は最後までかおりの味方になってくれるキーパーソンでもあります。母親の久住呂百合は生命保険会社勤務で、かおりは子どもの拓を受取人にして多額の生命保険に入ります。犯罪歴を隠して西へ西へとかおりは移動して働き、必死になって保険金を支払い続けます。もちろん、そう平坦な道であるはずもなく、刑務所出所後、約15年、子どもの拓が久住呂咲とともに高校生になった時点で、小説はラストを迎えます。重くてしんどい小説です。でも、ラストまで読めば救われたと感じる人もいそうです。私自身は当然にラストまで読みましたが、決して救われたとは思えませんでした。加えて、交通事故の被害者や遺族の視点がまったく欠落しているのにも大きな違和感を感じました。主人公が交通事故死させた被害者に思いを馳せるシーンも少なかった気がします。その意味で、それほど評価できる小説かどうか、私はやや疑問に感じました。

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次に、赤根智子『戦争犯罪と闘う』(文春新書)を読みました。著者は、名古屋出身の元検事にして、現在はオランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の所長を務めています。広く報じられている通り、先月2026年8月に、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、大統領令14203号に基づき、赤根所長を米国の制裁対象者リストであるSDNリストに追加しています。本書はその制裁前の時点で執筆公刊されています。本書での記述順とは少し異なりますが、同じくオランダのハーグにある国際司法裁判所(ICJ)と赤根所長の国際刑事裁判所(ICC)のちがいはp.80の図2にある通りで、ざっくりいって、ICCは国連機関であり、すべての国連加盟国がメンバーとなっていて、国家間の紛争を国際法に基づいて解決すべく活動し、裁定を行っています。ですから、対象は国です。他方で、赤根所長のICJは国際条約であるローマ規定加盟国をメンバーとし、中核犯罪、すなわち、ジェノサイド犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪の4つのきわめて重大な罪を犯した個人、ロシアのプーチン大統領とかの個人を裁きます。はい、専門分野が違うとはいえ、私は初めて知ることが出来て勉強になりました。そして、こういった4つの中核犯罪=core crimesで裁かれようとしている中には、国家元首、あるいは、元国家元首がいたりするわけです。一例として、本書でもフィリピンのドゥテルテ前大統領が上げられます。こういった中核犯罪の裁きの原点は、第2次世界大戦後のニュルンベルク裁判と東京裁判だそうです。そのあたりは専門外の私にも想像できます。ICJの組織や詳細な活動内容、あるいは、活動実績などはお読みいただくしかありませんが、本書で強調されている点は、何といっても、軍隊の武力などを背景にした「力の支配」ではなく、「法の支配」の優先を強調していることです。世界の警察という公共財を提供してきた米国が、現在のような「力の支配」の側につく恐ろしさは多くの市民が感じているところでしょうが、本書を読めば、ロシアがウクライナに対して行っている戦争行為、また、米国やイスラエルの中東での戦争などが、いかに理不尽で「法の支配」に反するものであるかが理解できます。また、こういったICJが行っている中核犯罪に対する国家レベルでの活動が欧州の大国、例えば、ドイツでも行われていて、日本はそういった法整備や行政上の体制整備がまったく進んでいないことにも驚かされます。まあ、GDP規模で追い抜かれても仕方ない、といったところかもしれません。

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次に、堤未果の『すばらしい新世界』(集英社新書)を読みました。著者は、国際ジャーナリスト、と本書では紹介されています。タイトルをどう表記すればいいのか判らないのですが、出版社のサイトに従っています。学術論文を書く私のセンスからすれば、堤未果『堤未果の『すばらしい新世界』』(集英社新書)と二重カギ括弧がダブるような気もします。タイトルから用意に想像できるように、約100年前1930年代のオルダス・ハクスリーによるディストピア小説『すばらしい新世界』を意識したものとなっています。ただ、日本語で日本人を対象に書かれていますので、仏教の四苦である「生老病死」になぞらえた構成となっています。第1章「生」では、デザイナーベビーという言葉こそ使っていませんが、遺伝子操作された赤ちゃん、さらに最先端を行く優秀な受精卵の売買、ペットのクローン作成、などに焦点を当てています。第2章「老」では、老化が遺伝子コピーのバグであることは、それはその通りなのですが、いろんな最先端医療技術などにより150歳までの寿命を達成したり、若返りの人体実験を自ら試行したり、果ては、肉体が死んでもデジタルで生き続ける方法などが取り上げられています。第3章「病」ではハクスリーの『すばらしい新世界』における万能薬のソーマを持ち出して、現時点の抗うつ薬ブロザックを論じています。埋込み型の監視カメラが食生活までコントロールする世界とか、AIが人間を監視・監督する会社なども当然のように注目されています。第4章「死」では安楽死から始まります。私はよく知らなかったのですが、カナダでは20人に1人が医師の手で死んでいるらしいです。著者自らの叔母ががん治療を拒否して死んでいくのにも、少し怖い気がするのは私だけではないと思いますが、同時に共感する読者もいそうです。はい、私もこの分野にはそれほどの知見を持ち合わせませんから、詳細はお読みいただくしかありません。しかし、他方で、劇症だったり致死率の高い伝染病であれば社会的な課題となりますが、本書で取り上げている範囲では、確かに個人の選択の問題であるとするレベルの問題が少なくない気もします。ですから、第1章「生」が典型ですが、神の分野かヒトの分野か、というのは宗教に近い気もします。いずれにせよ、本書で議論しているのは容易に結論が得られるテーマではありません。ですので、読者がそれぞれ熟慮して解決を図るべき問題であろうかと思います。

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2026年9月11日 (金)

+7%超の高い上昇率続く8月の企業物価指数(PPI)

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+7.6%の上昇となり、先月7月統計の+7.7%から上昇率がわずかに減速したものの、依然として高い伸びが続いています。3か月連続の+7%超えです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数7.6%上昇、3カ月連続7%超え
日銀が11日発表した8月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は136.1と前年同月比で7.6%上昇した。民間予想を0.2ポイント上回った。7%を上回るのは3カ月連続。資源高やAI(人工知能)関連需要の高まりで高い伸び率が続いている。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数(CPI)に影響を与える。
7月の伸び率は速報値の7.2%から7.7%に修正された。
8月の内訳を見ると、石油・石炭製品は14.7%上昇した。伸び率は7月から2.9ポイント縮小したものの、中東情勢の悪化に伴う原油高の影響は続いている。
非鉄金属の伸び率は43.3%と7月から2.6ポイント拡大した。アルミニウムの価格が上昇したことや、AI関連需要の高まりでデータセンター設備に必要な銅の価格が上昇したことが要因とみられる。
情報通信機器は19.5%上昇した。伸び率は7月から0.7ポイント拡大した。AI関連需要の高まりでメモリ価格が高騰したことが背景にある。
日銀の担当者は「包装資材やパッケージなどで原油高の影響が浸透している」とし、川下の製品に価格転嫁の動きが広がっていると指摘した。
円ベースで見た輸入物価指数は24.8%上昇した。7月から4.5ポイント縮小したものの、引き続き高水準だった。電気・電子機器ではAI関連需要の高まりを受けた需給逼迫の影響で、モス型メモリー集積回路などが値上がりした。
日銀が公表している515品目のうち、価格が上昇したのは446品目、下落は54品目だった。15品目では価格が変わらなかった。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、まん中のパネルは国内物価指数そのものを、下のパネルは契約通貨建てと円建ての原油価格指数を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。なお、ちょっと見づらいかもしれませんが、まん中と下のパネルの指数水準が急にスティープになったのは今年2026年3月からです。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率の日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、引用した記事の最初パラにあるように+7.4%でした。実績の上昇率+7.6%はやや上振れたものの、ギリギリで予想のレンジ内といえます。ヘッドラインとなる国内物価だけでなく、いずれの円ベースで、輸出物価は+17.9%、輸入物価も+24.8%の大きな上昇を示しています。本日公表された企業物価指数の輸入物価のうちの円建ての原油価格は、それぞれ、6月+82.8%、7月+66.4%、8月+45.8%の上昇率を示しています。立て続けに高い上昇率が継続しているとはいえ、やや上昇率が縮小しつつあるわけです。しかし、報道を見る限り、昨夜9月10日の夜の段階で、米国とイランとの衝突激化でニューヨークのWTI指標価格も、北海ブレントも、バレル100ドルを超えているようです。いずれにせよ、私はエネルギー動向に詳しくないので、先月8月5日付けの日本総研「原油市場展望」(2026年8月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、「両国の紛争がこれ以上激化しないことを前提とするメインシナリオでは、原油価格は当面80ドル前後で推移する見通し。」としつつも、当然、夏ごろに終わる可能性が決して大きいわけではないことから、「ホルムズ海峡封鎖が長引くサブシナリオでは、原油価格が100ドル前後まで上昇する可能性も。」と指摘しています。まあ、1月前のリポートながら、100ドル超の可能性が現時点では実現してしまったわけです。さらに、石油価格を離れて、銅やアルミニウムなどについても市況上昇を反映して、引用した記事の3パラ目で言及されているように、非鉄金属の価格も大きく上昇しています。ただし、日銀のプレスリリースによれば、為替の対ドルレートは円安修正が始まった可能性があり、前月比で見て、7月は+1.1%の円安ながら、8月は▲2.4%の円高に振れています。輸入物価への影響は決して無視できず、おそらく、企業物価の国内物価に対してもそれ相応のパススルーを持っていることと考えるべきです。ただ、消費者物価へのパススルーはそれほど大きくない、というのがエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。
本日公表された8月統計の企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率を少し詳しく見ると、まず、非鉄金属が7月+40.7%に続いて、8月も+43.3%のきわめて高い上昇率を示しています。加えて、石油・石炭製品は7月+17.6%の後、8月統計では+14.7%の上昇となっています。これに伴って、化学製品も7月の+13.8%、8月も+13.9%と高止まりしています。電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業が終了し、7月+6.5%から8月は+8.0%に上昇しています。他方で、農林水産物は7月+4.7%から、8月+2.5%と徐々に上昇率が減速していますただし、飲食料品の上昇率は7月+4.0%から8月+4.3%とわずかながら上昇率が加速しています。

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また、本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は足元の7~9月期は+5.3、先行き10~12月期には+6.0、来年2027年1~3月期には+4.6と、景況感は改善が続くと見込まれています。雇用も大企業全産業で20ポイントを超える不足超が続き、設備投資は今年度2026年度+11.0%増が見込まれています。

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2026年9月10日 (木)

OECD「生徒の学習到達度調査(PISA)」を見る

広く報道されているところで、先進国が加盟する国際機関である経済開発協力機構(OECD)から「生徒の学習到達度調査」Programme for International Student Assessment (PISA)の結果、昨年実施されたPISA2025の結果が Volume Ⅰ だけながらリポートされています。もちろん、pdfの報告書もアップロードされています。文部科学省の国立教育政策研究所(NIER)のサイトでも見ることが出来ます。PISA では、理科、数学、国語のテストにより学習到達度を見ようとするものですが、PISA 2025 に関しては特に理科の分野に重点が置かれています。ただ、私の専門外ですので、大雑把に全体像を見ておきたいと思います。まず、リポートのpp.44-45に全体的な結果を取りまとめた Infographic 1. PISA 2025 key results があります。それを引用すると次の通りです。

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いくつかのグラフが示されていますので、私が注目したものをいくつか取り上げておきます。第1に、最初のページの最初のグラフ、左上のグラフのタイトルが Science, readin and mathematics performance has fallen for over a decade となっていて、理科も国語も数学も今世紀に入ってから10年以上に渡って学力が低下していることが強調されています。第2に、最初のページの左下のグラフのタイトルがHow frequency of AI use is linked to performance となっており、AIを保持的に使う方が成績がよくなることが示されています。次のページの右上のグラフは Bullying is linked to lower student performance というタイトルであり、当然ながら、いじめが成績を悪化させている可能性が示唆されています。逆に、そのすぐ下のグラフは Parental interest in schooling is linked to higher student performance というタイトルとなっていて、親の考えが成績に及ぼる影響も見逃されていません。

もちろん、日本のカントリーノートも明らかにされていて、pdfのリポートもアップロードされています。そのリポートから Figure 2. Trends in performance in science, mathematics and reading を引用すると次の通りです。OECD加盟国全体ではスコアが悪化している一方で、日本の場合は理科、数学、国語ともそれほどスコアは悪化していない、という結果が示されています。

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私は日本人のスキルないし能力として、結果のスコアの値が気になるのですが、日本人が気にするのは世界あるいは先進国中での順位です。国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査2022年調査(PISA2022)のポイント」から PISA2025 3分野の平均得点の国際比較 のテーブルを引用すると次の通りです。日本の生徒の学習到達度の順位は先進国の中ではトップといえますが、すでに、北京・上海などの中国都市部、シンガポールなどの方がOECD加盟国よりも高スコアを残していることが同時に理解できます。

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最後に、いつも感じる私の疑問です。この結果を見ても、15歳時点で生徒の学習到達度は先進国ではトップですし、中国やシンガポールなどのアジアのいくつかの国を含めてもトップクラスといえます。では、生産性本部による「労働生産性の国際比較2025」で「日本の時間当たり労働生産性は、60.1ドル(5,720円)。OECD加盟38カ国中28位。とか、「日本の一人当たり労働生産性は、98,344ドル(935万円)。OECD加盟38カ国中29位。」とかという結果が出ているのはどうしてか、という疑問です。統計を恣意的に操作して誤った結果を示している可能性を排除すれば、15歳以降の教育、特に私の所属する大学などにおける高等教育に問題があるのか、それとも、企業に就職してからの経営に問題があるのか、という理由が考えられます。果たしてどちらなのでしょうか?

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2026年9月 9日 (水)

最下位広島にも敗れて高橋投手でも連敗止まらず

 一二三四五六七八九 RHE
広  島000000300 3120
阪  神000000001 161

【広】 床田、森浦 - 持丸
【神】 高橋、木下、岩崎、ドリス - 伏見

高橋投手でも連敗は止まらず、最下位広島にも負けて3連敗でした。そうそうは龍虎同盟にも頼れず、巨人の足音が背中に迫っています
先発の高橋投手は序盤からピンチの連続を粘りのピッチングでかわしていましたが、7回につかまってリリーフの木下投手も打たれて計3失点し、これで万事休すでした。打撃陣は、広島の12安打の半分6安打に終わり、森下選手のソロの1点に抑え込まれました。マジックはまだ消えていませんが、とうとう2ゲーム差に詰め寄られました。このまま、かつての9月の失速に陥るのでしょうか。それとも、明日の才木投手で連敗はストップできるでしょうか?

明日こそ連敗ストップ目指して、
がんばれタイガース!

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図書館はイノベーションに貢献したか?

"Knowledge Access: The Effects of Carnegie Libraries on Innovation" と題する学術論文を読みました。ざっくりいって、図書館がイノベーションに果たした貢献を分析しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

次に、ジャーナルのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Between 1883 and 1919, Andrew Carnegie funded the construction of more than 1,500 public libraries across the United States, reducing the costs of accessing knowledge for millions. We study the effect of these libraries on innovation. Patenting in recipient places increased on average by 10%-12% in the 20 years following library construction relative to a novel control group of cities that applied for but did not build libraries. We show that access to scientific knowledge and increased collaboration opportunities are possible mechanisms.

Andrew Carnegie が1883~1919年に米国各地に建設資金を提供した1,500超の公立図書館が、地域のイノベーションを促進したかを検証しています。図書館建設の許可を得ながら最終的に建設しなかった200超の都市を対照群とした Difference-in-Differences (DiD) 差の差分析の結果、図書館を建設した都市では、その後20年間の特許件数が対照都市に比べて平均10~12%増加した、という結果を得ています。特に、こういったポジな効果は建設後5~20年に大きく、その後縮小する、と結論しています。この分析結果をもっともよく示すグラフは Figure 3. - Event Study Estimates of Carnegie Libraries on Patenting for Alternative Patent Measures であり、論文から引用すると次の通りです。

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米国における100年ほど前のカーネギー寄贈図書館に関する研究です。したがって、そのまま現在の日本やほかの国に当てはめることには慎重であるべきですが、図書館という施設がイノベーションのみならず、地域の Knowledge Base の厚みへ貢献した可能性が示唆されています。

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2026年9月 8日 (火)

上方改定された4-6月期GDP統計速報2次QEほか

本日、内閣府から4~6月期GDP統計速報2次QEが公表されています。先月公表の1次QEからわずかに上方改定され、季節調整済みの系列で前期比+0.4%増、年率換算で+1.4%増を記録しています。プラス成長は3四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.6%に達し、2年半10四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP年率1.4%増に上方修正 4-6月改定値、3期連続プラス
内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.4%増、年率換算で1.4%増だった。8月発表の速報値(前期比0.3%増、年率1.1%増)から上方修正した。
最新の統計を反映し、設備投資の落ち込み幅が縮んだ。改定値は速報値と同様に3四半期連続のプラスとなった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は前期比0.4%増、年率1.6%増だった。
項目別に見ると、設備投資が速報段階の前期比1.2%減から0.9%減に上方修正した。法人企業統計の結果を反映してマイナス幅が縮小したが、2四半期連続のマイナスとなった。自動車関連の最新の統計結果も上振れに影響した。
GDPの半分を占める個人消費は横ばいだった。住宅投資は0.5%減から0.6%減に下方修正した。
民間在庫は成長率に0.3ポイントのプラス寄与となった。速報段階から変わらなかった。
政府消費は1.6%増から1.7%増に上方修正した。公共投資は0.1%減から0.5%減と下向きに見直した。
輸出は0.5%増から0.4%増に、輸入は1.5%減から1.7%減にそれぞれ下方修正した。輸入はGDPの計算から差し引くため、マイナスになれば経済成長率を押し上げる要因になる。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2025/4-62025/7-92025/10-122026/1-32026/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.1▲0.4+0.3+0.5+0.3+0.4
民間消費+0.1+0.6+0.2+0.4▲0.0+0.0
民間住宅+0.6▲7.9+5.0+0.9▲0.5▲0.6
民間設備+1.3▲0.2+1.3▲0.1▲1.2▲0.9
民間在庫 *(▲0.3)(▲0.1)(▲0.4)(▲0.1)(+0.3)(+0.3)
公的需要+0.5▲0.1+0.2+0.5▲0.8▲0.8
内需寄与度 *(+0.2)(▲0.2)(+0.2)(+0.2)(▲0.2)(▲0.1)
外需寄与度 *(▲0.0)(▲0.2)(+0.1)(+0.3)(+0.5)(+0.5)
輸出+1.7▲1.4+0.1+1.7+0.5+0.4
輸入+1.8▲0.6▲0.2+0.3▲1.5▲1.7
国内総所得 (GDI)+0.8▲0.3+0.4+0.3+0.0+0.1
国民総所得 (GNI)+0.6+0.3▲0.2+0.4▲0.4▲0.4
名目GDP+1.8+0.3+0.9+0.8+1.2+1.3
雇用者報酬+0.2+0.4+0.5+1.5+0.8+1.0
GDPデフレータ+3.3+3.5+3.4+3.2+2.6+2.6
内需デフレータ+2.6+2.8+2.6+2.4+2.9+3.0

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは黒の純輸出と灰色の民間在庫であり、少し見づらいのですが、マイナス寄与は水色の民間設備、黄色の公的需要、となっています。

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先月8月19日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比+0.3%、前期比年率で+2.1%の成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ+0.4%、+1.4%と小幅に下方修正されています。内需、特に民間設備が上方修正されています。内需がマイナス寄与となった一方で、外需はプラス寄与で、やや外需の方が大きな寄与ながら、いずれにせよ、4~6月期までの景気認識に大きな変更を加えるべき修正ではない、と考えています。ただし、3四半期連続のプラス成長とはいえ、中身はかなり悪い印象です。国内経済に関していえば、上方改定されたとはいえ民間設備はまだ前期比マイナスのままですし、在庫がプラス寄与しているということは、売残り在庫が増えているわけです。加えて、輸出入に関しては、純輸出のプラス寄与+0.5%のうち、輸出はわずかに+0.1%にとどまっていて、輸入の寄与が+0.4%あります。輸入はGDPに対する控除項目ですから、4~6月期は輸入が減少してGDPのプラス成長をもたらした、ということができます。要するに、中東戦争で石油などの輸入が滞って輸入源を招いてプラス成長した、というわけですので、決していい話ではありません。加えて、先行きに関しては、国内要因としては金利引上げによる金融引締め、それに伴う円高の進行が、また、海外要因としてはいわずもがなの中東戦争による不安定な石油供給やエネルギー価格の不安が残っています。今までの経験に即して考えれば、景気後退ともなれば急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性も十分あるのではないか、とも同時に考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は否定できないが、従来のような深刻な景気後退ではない可能性も十分ある、といったところです。

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また、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.7ポイント上昇の46.4で4か月連続の上昇となった一方で、先行き判断DIも+2.5ポイント上昇の48.3を記録しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断から「中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、」を抜いて、「景気は、持ち直しの動きがみられる。」と、半ノッチ上方修正しています。

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また、本日、財務省から7月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+2兆9889億円の黒字を計上しています。7月統計では、旅行収支の黒字が増えたことでサービス収支の赤字幅が縮小したほか、企業の海外子会社からの配当金収入の増加で第1次所得収支の黒字幅が拡大し、前月に記録した17か月ぶりの赤字から黒字に転換しています。

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また、本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインは、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は436,401円と前年同月比+4.7増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+2.4%増と、7か月連続のプラスを記録しています。

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2026年9月 7日 (月)

2か月連続の上昇で改善示す7月の景気動向指数

本日、内閣府から7月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+1.7ポイント上昇の117.9、CI一致指数は2か月連続の上昇で+1.7ポイント上昇の120.6を記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

7月の景気動向指数1.7ポイント上昇 「改善」の判断を維持
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(速報値)は足元の経済状況を示す一致指数(2020年=100)が120.6と前月から1.7ポイント上がった。2カ月連続の上昇となった。基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
基調判断は指数をもとに機械的に決める。3カ月移動平均は前月から0.77ポイント上昇した。7カ月連続のプラスとなった。
指数は10の経済指標で構成される。速報段階で分かる8項目のうち、投資財出荷指数や商業販売額(小売業)など5つが指数を押し上げた。
半導体製造装置の生産や出荷が好調だったことを受け、鉱工業生産指数や投資財出荷指数、輸出数量指数が伸びた。鉱工業用生産財出荷指数も、ポリプロピレンなど化学工業の出荷が活発だったことから上昇した。
耐久消費財出荷指数は軽自動車の落ち込みが響き、低下した。商業販売額(卸売業)も、医薬品や化粧品の販売が低調だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+1.7ポイントの上昇と予想されていました。実績と一致しています。繰返しになりますが、7月統計のCI一致指数は、2か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、CI一致指数は、3か月後方移動平均は+0.77ポイントの上昇、7か月連続の上昇となり、7か月後方移動平均も+0.85ポイントの上昇、7か月連続の上昇となっています。加えて、CI先行指数も、3か月後方移動平均は前月から+0.67ポイントの上昇、13か月連続の上昇、7か月後方移動平均も+1.07ポイント上昇し、これも11か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、「改善」で据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしていることから、連邦準備制度理事会(FED)のウォーシュ議長がジャクソンホール会合で利上げをにじませる発言をしたと報じられていますし、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っていながら、今月9月にも日銀が再利上げを決めるという観測も少なくない点は忘れるべきではありません。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東戦争は、一応の小康状態にあり、日米ともソフトランディングの確率は低くないと私は考えています。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり90ドル超である一方で、東証の日経平均株価は66,000円超の高値圏で推移していますが、長期金利が3%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めはさらに景気を下押しする可能性が大きいといわざるを得ません。したがって、日米同時リセッションの可能性がまったく否定されるわけではありません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+1.7ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.68ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.47ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が+0.25ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、鉱工業用生産財在庫率指数、消費者態度指数などのプラス寄与が、それぞれ+0.89、+0.44と大きくなっています。

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2026年9月 6日 (日)

横浜に連敗して巨人の足音が背中に迫る

 一二三四五六七八九 RHE
横  浜030000100 4110
阪  神000100000 151

【横】 竹田、中川虎、伊勢、浜地、レイノルズ - 松尾
【神】 大竹、神宮、岡留、セベリーノ、岩崎、及川 - 坂本

長期ロードを終えて甲子園に戻って、横浜に連敗でした。巨人は広島に連勝していて、マジックはまだ消えていないとはいえ、広島に連勝した巨人の足音が背中に迫っています
先発の大竹将投手は2回につかまり、竹田投手に押出しのフォアボールを与えた上に、2点タイムリーを浴びて3失点し、3回途中で降板します。後を継いだ神宮投手は好投して3イニングスをゼロに抑えましたが、7回にセベリーノ投手がエンカーナシオン選手にタイムリーを打たれて万事休すでした。打撃陣は、ヤクルト戦の好調ぶりが影を潜め、佐藤輝選手のソロの1点に抑え込まれました。広島は巨人相手に連敗したのですが、阪神相手にはどうなのでしょうかね?

次に広島戦も、
がんばれタイガース!

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国連環境計画リポート Limiting Overshoot - Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards return

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先週水曜日の9月2日、国連環境計画(UNEP)から Limiting Overshoot - Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards return と題するリポートが公表されています。国内でもいくつか報道があったと聞き及びましたが、今後数年で産業革命前からの気温上昇がオーバーシュートして+1.5°Cを超えることになる、と結論しています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、国連環境計画(UNEP)のサイトからリポートのAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
A new spotlight report by the UN Environment Programme finds that as global temperature rise gets set to cross 1.5°C, pushing climate risks and impacts to dangerous new heights, the world must strive to return to below 1.5°C as soon as possible and simultaneously reduce the vulnerability of societies, communities and economies to climate impacts. The report, Limiting Overshoot: Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards return, finds that the world can achieve this goal by acting now to get on an 'overshoot, peak, and decline' pathway.

要するに、いわゆるカーボンニュートラル、二酸化炭素の排出がネットでゼロとなっても、一時的なオーバーシュートによって、産業革命からの気温上昇が+1.5°Cを超える時期が現れる、ということです。そのオーバーシュートのコンセプトをリポートの Figure 1.1: Key pathway concepts がよく示しています。次の通りです。

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では、気にかかるのが、気温上昇がどのくらいに達し、その期間がどれくらい続くのか、ということです。リポートでは、もっとも楽観的なシナリオで+1.8°C (Even an optimistic scenario of current government pledges (full implementation of all national climate plans plus meeting additional net-zero targets) puts expected peak temperature rise at 1.8°CC.)に達する、としています。その上で、現状の政策の延長で考えると2100年の気温上昇の中央値は+2.6°C (Under current policies, median projected global warming reaches around 2.6°C by 2100 (range 1.9-3.6°C).)と指摘しています。そして、当然ながら、この気温上昇に程度により、気温が+1.5°Cを上回る期間も違ってきます。

私は、従来から何度か指摘している通り、グローバルレベルで2050年にカーボンニュートラルが達成できそうもないと予想しています。日本とか、欧州のいずれかの国とかの国レベルでは2050年カーボンニュートラルを達成する国は少なくないものと思いますが、グローバルに考えると、ものすごく難易度が高いと思っています。もしも、パリ協定のラインに沿って温室効果ガス排出が減少するとしても、この国連環境計画のリポートに基づけば、オーバーシュートして気温が+1.5°Cを上回る期間が一定生じうるわけです。まだ、そのレベルに達していない今年ですら、これほど猛暑・酷暑が続き、私が小学生だったころには聞いたこともない「線状降水帯」なんてもので水害が頻発しているのは、日本ではよく知られている通りです。加えて、環境に関しては不可逆的な現象が生じます。例えば、ネパール国境で生じた土石流は、ヒマラヤの氷河の崩落によって生じたと考えられていますが、オーバーシュートした後の気温が産業革命前と同程度に戻っても、ヒマラヤの氷河は元には戻りません。ですので、まさに、気候変動問題は人類喫緊の課題であり、悪くすれば、人類の文明が崩壊する危険すらあるんではないか、と私は考えています。

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2026年9月 5日 (土)

今週の読書はいろいろ読んで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、小田正規『21世紀型通商政策への転換とその課題』(日本評論社)では、世界的に貿易自由化の通商政策が一段落した現在、食料自給率について議論し、付加価値貿易統計で見た貿易の姿を明らかにし、国境前の措置としての規制制度間整合を考え、最後に、経済安全保障に着目しています。小田真由『インフレ日本の安い賃金』(日経BP)では、国際比較から日本人は仕事に対してエンゲージメントが低く、幸福度も低く、その大きな原因は低所得にある、と指摘し、過剰スペックのために支払われないアンペイドな労働が少なくない、と強調していますが、解決策は具体性に欠けます。東野圭吾『永遠の記憶』(文藝春秋)はガリレオ・シリーズ最終作であり、2部構成の前半で、湯川教授と大学の同級生だった草薙管理官の部下の刑事である内海薫が帰宅途中のスーパーで70代の男にナイフで刺される、という傷害事件が発生し、後半で昔の事件との関連が解明されます。吉田修一『タイム・アフター・タイム』(幻冬舎)は、作家デビュー30周年という記念作品であり、主人公の男女2人の長崎での高校時代のラブストーリー、20年余り後に偶然再び出会ってからの40代のラブストーリー、ともにみずみずしい男女関係が明確な筆致で描き出されています。小砂川チト「ゾンビ回収婦」(『文藝春秋』収録)は第175回芥川賞受賞作品であり、年末師走の12月にAIに仕事を奪われて夫婦で失業してしまい、夫が演奏旅行に出てしまって残された妻が、ゲーム内のホテルでゾンビ回収婦になります。冒頭で、「労働といういち文化が終わった」と宣言されています。マシュー・リチャードソン『スパイたちの遺灰』(ハーパーBOOKS)では、諜報史を研究する冴えない大学准教授の主人公に、伝説のエージェントであり、米ソ冷戦期の伝説の凄腕スパイ、ロシア問題のエキスパートとしてMI6長官までも嘱望されていた女性スパイから、手記の一部のコピーが渡されます。
今年2026年の新刊書読書は、1~8月で209冊、9月に入ってから今週の6冊を加えて合計215冊となります。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、小田正規『21世紀型通商政策への転換とその課題』(日本評論社)を読みました。著者は、日本大学国際関係学部の准教授です。シンクタンクのご出身のようで、したがって、というか、何というか、本書ではぶっちぎりで難しい定量的な分析は示されていません。というか、ほとんど実証分析ではないような気がします。まず、本書でも強調されている通り、私の通商政策に関する認識も同じで、1993年に実質的に妥結されたウルグアイラウンドの後に、WTOの場でドーハラウンドが開始されましたが、約25年前の今世紀初頭に実態的に破綻、というか失敗してすでに終了したオワコンとなりました。私は授業なんかでは婉曲に「頓挫」と表現したりしていますが、まあ、失敗して終了しています。そのため、マルチの場での貿易交渉は二国間あるいは多国間でもWTO加盟国全体ではなく、いわば友好国間での自由貿易協定に重点が移ってしまいました。その上で、米国・メキシコ・カナダのUSMCAもありますし、世界のほかの国はともかく、とりわけ日本については、米国が抜けたもののTPPがCPTPPとして残り、さらにハイクオリティなRCEPも妥結しましたので、ほぼほぼ貿易の自由化、広い意味での貿易自由化の通商政策は一段落、大きく一段落したといえます。ここでついでながら、本書ではまったく言及ないものの、「本来の貿易自由化」、あるいは、「狭い意味での貿易自由化」とは輸入ゼロを含めた数量制限を撤廃して関税化することを指します。すなわち、関税さえ払えば「輸入が自由にできる」という意味です。ただ、多くの先進国ではこの意味での狭い貿易自由化はかなり前に終了していて、数量制限を撤廃して関税化した後に関税率を引き下げるのも含めて「広い意味での貿易自由化」を指す場合が多くなっています。本書では、サービス貿易については言及ないながら、関税の歴史を振り返った後、食料自給率について議論し、付加価値貿易統計で見た貿易の姿を明らかにし、国境を越える前の措置としての規制制度間整合を考え、最後に、経済安全保障に着目しています。ただ、全体的に浅く広く概観した印象です。食料自給率については、私の授業でも取り上げているフードロスの観点も取り入れており、一般にも判りやすく解説されています。ですので、出版社からしても学術書っぽく見えていますが、定量分析もほとんどなく、一般のビジネスパーソンでも十分読みこなせる内容となっています。その意味でも、オススメです。

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次に、小田真由『インフレ日本の安い賃金』(日経BP)を読みました。著者は、(株)小川製作所取締役だそうで、その会社は家業を引き継いだということのようです。家業の前はエンジニアであり、大学では経済学や経営学などを学んだわけではなく、理工学部のご出身です。本書では、かなり的確にオーバースペックの問題を、そういった用語なしで、指摘しようと試みています。すなわち、売り手として安くてハイスペックな良い製品・サービスを提供する、という一方で、買い手としての価値の受け取り方が重要(p.006)と指摘しています。たしかにそういう面があるのは否定できません。でも、それだけではなく、本書ではたくさん見逃しているところがあります。まず、本書の前半部分のエンゲージメントとか、幸福度は、経済学としてはほぼほぼ無視して差し支えありません。事実として確認しておけば、国際比較から明らかなように、日本人は仕事に対してエンゲージメントが低く、幸福度も低い、その大きな原因は低所得にある、という現実を本書では指摘しています。日本は先進国の中でも貧困が広がって、不平等・格差が大きい経済である点も強調されています。はい、その通りです。労働者のお給料とGDPは連動していて、高い相関がある、というか、定義的に一部をなしていて、賃金の総計に資本所得を加えれば分配のGDPに等しいハズです。その上で、最初に戻ると、過剰スペックでアンペイドな部分が大きい、という指摘です。これも部分的に正しいかと思います。私のような教師に即していえば、「やりがい搾取」ということになります。児童・生徒・学生かわいさに、お給料が支払われない労働をやっている、ということです。教師だけでなく、そういった過剰スペックのための支払われないアンペイドな労働が少なくないのが日本経済の特徴のひとつです。本書では、そういった点について第3-4章でラーメン屋さんを題材に議論しています。これも部分的には正しいと思いますが、それがすべてではないことには理解が及んでいないように見えます。第5章から指摘しているように、供給能力と需要ギャップもたしかにひとつの要因で否定はしませんが、第6章からの中小企業論となるともっと大きくスライスしています。例えば、p.160から始まる中小企業から日本経済の好循環をもたらす5つの理由については、最初のAI以外の4項目は、もう50年以上も条件として備わっていますから、ハッキリいって、今議論すべきなのは第1点目のAIだけしか残りません。ですので、最後は第6章で生産性を上げるとか、コストを適正に売値に反映させるとか、もう長らくいわれ続けてきたありきたりな処方箋しか提示できていません。具体性に欠ける点もあります。私の直感ながら、ひょっとしたら、現在の日本の低賃金は主流派経済学ではなく、マルクス主義経済学で解明できそうな気がしています。絶対的あるいは相対的な剰余価値の生産です。アンペイドな労働があって、フルで受け取れなくなっている一方で、資本所得の方にはそれほどアンペイドな部分はなくフルで受け取っていて、したがって、労働分配率が低下し続けています。その点は、最近の朝日新聞の記事「労働分配率、5年連続減 利益は過去最高 25年度法人調査」などのメディアの記事にも示されています。労働者にアンペイドな労働を強いる一方で、資本、特に大企業はガッポリ儲けているわけです。中小企業はアンペイドな労働に基づいてコストカットを強いられて、大企業の利潤の最大化に貢献させられているのではないでしょうか。アンペイドな労働の存在という現状分析はよかったのですが、対応策である処方箋は基本的に間違っている可能性が高い、と私は考えています。

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次に、東野圭吾『永遠の記憶』(文藝春秋)を読みました。著者は、日本でもっとも人気のあるミステリ作家の1人であり、先日大腸がんで亡くなっています。本作品は最新作であると同時に、絶筆というか、遺作というべきなのかもしれません。この作者の作品の中でもっとも人気あったシリーズのひとつである帝都大学湯川教授が真相を解明するガリレオのシリーズです。2部構成となっていて、前半第1部では、湯川教授と大学の同級生だった警視庁捜査1課の草薙管理官の部下の刑事である内海薫が、帰宅途中のスーパーでの買い物中に70代の男にナイフで刺される、という傷害事件が発生します。内海薫の命に別状はなかったのですが、入院する必要がありました。まったく何の面識も接点もないと見られた内海薫と犯人の関係をガリレオこと湯川教授の示唆によって解明し、後半第2部ではその犯人にまつわる人間関係を追っていくと過去の事件、具体的には直木賞受賞の『容疑者Xの献身』と結びつく、という結末となります。なにぶん、ミステリですのであらすじは早々に終えます。私はたぶんガリレオのシリーズは短編も長編も、もちろん、直木賞受賞の『容疑者Xの献身』も、湯川が准教授のころから教授に昇進してからも、また、草薙がいち刑事から管理官に出世し、内海がまだ登場しないころも登場してからも、ともかく、すべて読んでいると思います。この作品を読むとすると、できれば多くのガリレオ・シリーズの作品を事前に読んでおいた方がより楽しめるのは当然です。少なくとも、『容疑者Xの献身』のあらすじなりとも把握しておく方がいいような気がします。逆にいって、有名作家が亡くなったからといって、この作品だけを読もうとするのはオススメできません。また、特に第2部では、タイトルが「終活る」と書いて、「ふりかえる」と読ませていて、湯川も草薙も「終活」について何度か言及し、草薙の周囲、というか、内海をはじめとする警視庁捜査1課でも湯川と草薙の引退が話題になります。第2部のタイトルなりとも、作者の何らかの意図が感じられる言葉をキーワードにしている、と読む読者も少なくないものと思います。私は従来から、伊坂幸太郎が決して遵法精神が行き届いているわけではないやんちゃなミステリ作品を書く一方で、この作品の作者である東野圭吾は実に遵法精神あふれる作品が多い、と感じていたのですが、絶筆となったのであろうこの作品で、少し見方を変える必要があるように感じました。最後の最後に、私自身の好みからいえば、本書はガリレオシリーズとしては最高傑作のひとつかもしれませんが、この作者の作品としては、『白夜行』をもっとも高く評価しています。おそらく、『白夜行』に続く次点の傑作としてもガリレオシリーズではなく、『手紙』が私は好きです。

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次に、吉田修一『タイム・アフター・タイム』(幻冬舎)を読みました。著者は、長崎出身の芥川賞作家であり、最近では映画化された『国宝』の作者、ということになっています。純文学も大衆文学も、という二刀流です。本書は、作家デビュー30周年という記念作品であり、日経新聞に連載されていたものを単行本にして出版されています。出版社の方でも特設サイトを開設しています。本書の主人公はともに長崎出身で、高校の同級生だった久遠愛とオッソーこと尾崎颯です。冒頭で、2人が土砂降りの雨の中で、偶然にもタクシーに同乗して20年ぶりに出会います。同じ都立多摩公園に建設する美術館のプロジェクトで、オッソーは建設会社の、そして、久遠愛は広告代理店の、どちらも担当者でした。そして、主人公2人の高校生のころの長崎にさかのぼって、長い長いストーリーが始まります。久遠愛は酒屋の娘で、兄は酒屋を継ぐことなくトラック運輸の仕事を始めます。兄妹の母親は亡くなっていて、父親が再婚した継母がいたりします。オッソーは両親が離婚した母子家庭で、母親が県議会議員との不倫の際に交通事故死し、母親の妹である叔母の家に引き取られます。県議会議員の妻は高校にやってきて、オッソーに対して自分の夫はオッソーの母に誘惑されたとか、恨みごとを述べて去って行きます。その後、この女性は夫の後を引き継いで県議会議員から国会議員になったりします。叔母は子連れの夫と再婚していて、その連れ子はオッソーから見ると義理の従妹になるわけですが、オッソーや久遠愛と同じ高校の下級生だったりします。オッソーも、久遠愛も高校の成績は悪くなく、高校も進学校ですし大学進学を目指していますが、2人は高校3年生の夏休みには、友人たちとともに男女2人ずつの4人で友人の親が経営する民宿の手伝いのアルバイトでひと夏を過ごし、2学期になってからもオッソーは週末ごとに久遠愛の部屋を訪ね、久遠愛の兄は暖かく見守ります。しかし、高校3年生の冬休みになって、オッソーは叔母の家に居づらくなり、大学受験を目の前に控えて、久遠愛とともに沖縄へ逃避行に出ます。まあ、ここから先は読んでみてのお楽しみです。沖縄への逃避行は、特設サイトに吉田修一自身のエッセイとして日経新聞4月12日付けの「伊平屋島の卓球台」が転載されていますから、何とかギリギリでネタバレではないと思います。本書については、いろんな評価を見かけます。私はもともとがこの作者が大好きですし、この作品も500ページを超えるボリュームながら、ほぼほぼ一気読みでした。高校生という青春時代ながら、まあ、お子さまの恋愛ともいえるラブストーリー、それに加えて、20年余り後の40代のラブストーリー、ともにみずみずしい男女関係が明確な筆致で描き出されています。人物の造形が素晴らしいですし、作者の郷里である長崎、主人公2人が高校生活を送る長崎についても、私は長崎大学勤務の経験から親しみを持っています。ものすごくオススメの作品です。この作者のファンでなくても、『国宝』の映画を見ていなくても、ぜひとも読んでおくべき作品だと思います。ただ、最後に、ほぼほぼすべての登場人物の家庭、というか、夫婦関係がまだLGBTQなどの少数派であればまだしも、何らかの破綻の要素を持っているような気がして、少し、そのあたりは小説という特殊な作られた世界であるような気がしました。私の両親や私自身のような偕老同穴の夫婦関係ではありません。

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次に、小砂川チト「ゾンビ回収婦」(『文藝春秋』収録)を読みました。著者は、小説家であり、この作品はいうまでもなく第175回芥川賞受賞作品です。表紙画像を示している通り、私は単行本ではなく全文収録されている月刊『文藝春秋』2026年8月号で選評とともに読みました。ストーリーは、もう広く報道などで明らかな通り、8年勤続したにもかかわらず、年末師走の12月にAIに仕事を奪われて、夫とともに解雇された女性が、VRの世界で口唇期ホテルなるところで、NPC(NonPlayer Character)としてゾンビ回収婦を始める、というものです。ついでながら、夫の方は演奏旅行に出るといっていなくなってしまいます。はい、ストーリーは一向に進まず停滞します。選評で山田詠美は「スローダウン」と表現しています。SFテイストともいえますが、典拠は示せないながら、誰かが「ハイパーパンク小説」と呼んでいた気がします。ただ、選評で吉田修一が「クレーム小説」といっています。私は何度か表明しているように、雇用を重視し、国民がディーセントなお給料でやりたい仕事に就くのが、経済政策の最大の目標のひとつだと考えるエコノミストですが、この作品では冒頭に「労働といういち文化が終わった」と高らかに(?)宣言していたりします。はい、AIに仕事を奪われて失業すると、そうなのかもしれません。他方で、ロバート・キャパの言葉だったと記憶しているのですが、「私は大喜びで失業した従軍カメラマンとなり、生涯、失業したままでいたいと願っている」"I hope to stay unemployed as a war photographer 'til the end of my life." というのもあります。まあ、職業により失業の捉え方も違うのでしょう。ストーリーは停滞し、主人公は延々とゾンビ回収婦の仕事をゲーム内で続けるのですが、余りにも主人公がそれに適応・順応していて、私は読み進むうちに、現実世界と間違えてゲームであることを忘れてしまうほどでした。逆から考えると、現実感が失われているような気がします。前任者のグッドニュースさんと間違えられたり、アラスカやサラトガといった固有名詞の人名や地名が登場して、ゲームなんだと実感させられます。最後に、エコノミストの読者に戻って、「働かざる者食うべからず」ということわざが出てきます。働かなくてもお金がもらえるベーシックインカムが小説で登場するのは、まあ、もっと先のお話なんだろうと思ってしまいました。

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次に、マシュー・リチャードソン『スパイたちの遺灰』(ハーパーBOOKS)を読みました。著者は、ウェストミンスター大学の研究員、スピーチライターだそうで、私の著者に関する理解はそれほどはかどっていません。本書の英語の原題は The Scarlet Papers であり、2023年の出版です。英語の原題の "Scarlet" は色ではあるのですが、本書では人名です。その昔に、英国のMI6の凄腕スパイであり、MI6長官まで上り詰めようかという人物、という想定です。この小説の舞台は主として英国であり、主人公はLSE、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの諜報史の研究者、准教授ですが、まだ終身在職権(テニュア)は持っていません。そういった冴えない准教授のマックス・アーチャーのところに、伝説のエージェントであるスカーレット・キング、繰返しになりますが、米ソ冷戦期の伝説の凄腕スパイであり、ロシア問題のエキスパートとしてMI6長官までも嘱望されていましたが、小説の舞台となる2010年には90代となっている女性スパイから手記の一部がコピーとして提示されます。この女性スパイに関しては、今でも顔写真すら明らかではありません。そのスカーレット・キングからアーチャーに手記の一部のコピーが渡され、諜報史の専門家として中身を吟味するよう要請されます。すなわち、スカーレット・キングの諜報活動を記した手記を出版したいという意向です。本書は文庫版ながら600ページを超えるボリュームであり、そのマックス・アーチャーや年老いたスカーレット・キング、ほかの登場人物などの活動を記した現在パートの部分と、主人公のアーチャー抜きで冷戦当時のスカーレット・キングの諜報活動を追った過去パートの部分が交互に記述されます。加えて、現在パートでは、このスカーレット・キングの手記をめぐってMI5や英国と関係深いイスラエルやフランスの諜報機関が入り乱れます。さらに、現在パートでは、マックス・アーチャーの周囲の人物、離婚を進めている妻や父親などが、きわめてトリッキーな関係を見せます。もちろん、スカーレット・キングの活動の過去パートでは米国の諜報機関も活動していたりしますし、キム・フィルビーなどの二重スパイも多数登場します。何せ、スパイ小説です。それも、ドンパチを見せ場とする007ジェームズ・ボンドのようなスパイではなく、ジョン・ル・カレに登場するような心理戦を主戦場とするスパイが多い印象です。そもそも、スカーレット・キングはホンモノなのか、その手記はホンモノなのか、アーチャーの周囲の人々、スパイたちはどう動くのか、スパイ小説らしく、何回もちゃぶ台がひっくり返されます。ラストにはさらに大きなサプライズも用意されています。このあたりが帯に見える「ジェフリー・ディーヴァー絶賛!」につながるのだろうと思います。ただ、読み方によってはスパイ小説である必要は必ずしもなく、スパイ小説の形を借りたエンタメ小説、として読む読者もいっぱいいそうな気がします。というのも、スパイ小説としては大きな疑問があり、現場のエージェントがスパイ組織のトップの候補の1人に目されることって、特に、英国ではありえないような気がします。日本でいえば、ノンキャリアの叩き上げの刑事が警視総監になるようなものではないか、という気がします。そういった疑問を含めても、それでも、キャラや展開の面白い小説で、オススメです。

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2026年9月 4日 (金)

大きく落ち込んだ7月の家計調査

本日、総務省統計局から7月の家計調査が公表されています。2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲3.6%の減少、名目も▲1.5%の減少となりました。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

7月の実質消費支出3.6%減 8カ月連続マイナス 節約志向続く
総務省が4日発表した7月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は30万1245円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べて3.6%減った。8カ月連続のマイナスとなった。名目では1.5%減少した。
QUICKが事前にまとめた7月の予測中央値は実質で1.3%減だった。総務省の担当者は「メリハリをつけて消費した結果、全体としては支出を抑える傾向がみられた」と分析する。
支出に占める割合が大きい食料は実質で1.3%減少した。2カ月連続の減少となった。7月は前年より気温が低かったことから、飲料が6.7%減少した。調理食品は安価なものの購入増や購入控えが影響し、3.2%減だった。
光熱・水道は9.2%減少し、5カ月連続のマイナスとなった。冷房の使用が減少したことで、電気代は12.0%減少した。ガス代は7.2%減だった。
車購入費などの自動車等関係費は10.4%減った。自動車購入の26.5%減が響いた。
家庭用耐久財は5.9%増えた。2027年4月からの新たな省エネ基準を見据え、エアコンの買い替え需要が堅調だった。ゲームソフトやゲーム課金を含む教養娯楽用品は7.6%増だった。
勤労者世帯の実収入は68万9476円だった。名目で1.7%減となった。実質は持ち家の家賃換算分を除くベースで3.8%減少した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、家計調査のグラフは次の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

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引用した記事の2パラ目にある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、実質消費支出の前年同月比が▲1.3%減と予想されていました。予測レンジの下限は▲3.5%でしたが、実績の▲3.6%減はわずかながら下限を下回りましたが、家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、実績の▲3.6%はサプライズかどうか、微妙なところです。引用した記事にもあるように、統計上の把握にムラのある自動車への支出や気温などの天候要因による飲料への支出減といった要因があるとはいえ、家計調査に現れている消費はやや弱いと見る向きが多そうです。10大費目の前年同月比を2人以上世帯の実質支出の増減で見ると、自動車等関係費、通信などの交通・通信費が前年同月比▲8.5%減、寄与度▲1.29%、設備修繕・維持、家賃地代などの住居費が前年同月比▲16.4%減、寄与度▲1.08%、電気代、ガス代などの光熱・水道費が前年同月比▲9.2%減、寄与度▲0.61%、調理食品、飲料などの食糧費が前年同月比1.3%減、寄与度▲0.39%などとなっています。根本的には、家計の収入が減少しているのが家計支出減少の大きな要因であると考えるべきです。引用した記事の見出しのように、節約志向かどうかは私は疑わしいと感じています。すなわち、7月の勤労者世帯の実収入は名目で前年同月比▲1.7%減、実質で▲3.8%減となっているのが、そのまま支出に現れた形です。7月の実収入はボーナスが6月に前ズレして、世帯主の臨時収入・賞与が実質の前年同月比で▲11.5%減となったのもひとつの要因と考えられますが、明確に家計の収入はインフレにより目減りしています。したがって、家計では消費を維持するために消費性向を上昇させて対応しており、季節調整値で見て7月の平均消費性向は63.0%と、前月6月から+3.1%ポイントも高くなっています。この消費性向の動きは、どこまでサステイナブルなのか、大いに疑問であり、今後も家計消費の動向には注意が必要です。

何度か繰り返していますが、景気浮揚を目指す経済政策の要諦は貯蓄過剰主体に支出を促すことです。しかし、企業セクターという巨大な貯蓄過剰主体ではなく、家計セクターの貯蓄を低下させることが、先行き金利高で住宅ローン負担も増加する家計セクターに負担となるのは明白です。家計セクターではなく、企業セクターに過剰な貯蓄を低下させるような方向性が必要です。大雑把にいって、企業セクターに設備投資を促すか、賃上げが望ましいと私は考えています。

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2026年9月 3日 (木)

着実にマジックを減らすタイガース

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神301020001 7123
ヤクルト001020100 480

【神】 伊藤将、ドリス、及川、木下、工藤 - 坂本
【ヤ】 増居、松本健、阪口、星、丸山翔、石原、リランソ - 古賀

神宮球場の第3戦は、打撃戦を制してヤクルトに完勝でした。
先発の伊藤将投手は5回までエラーもあったとはいえ3失点します。まあ、5回の2失点は内野のエラー2つで自責点ゼロですから、やや不運ともいえます。その後、ドリス投手、及川投手、木下投手、工藤投手と継いで、及川投手こそ失点したものの、リードを守り切ります。打撃陣は、1回にいきなり佐藤輝選手と大山選手のタイムリーに続いて、前川選手も犠牲フライを上げて3点を先制します。佐藤輝選手がホームランを連発し、3回にはソロ、5回にはツーランで一時は点差を5点まで広げます。その後、2点差に詰め寄られますが、最終回は大山選手のタイムリーで3点差とし、盤石のクローザー工藤投手がピシャリと3人締めで試合終了でした。及川投手がポロポロと失点したり、森下外野手の当たりが止まったりと、懸念材料はありますが、マジックは着実に18まで減ってきています。

週末の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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来週公表予定の4-6月期GDP統計速報2次QEは1次QEからわずかに上方修正か?

今週火曜日の法人企業統計などの必要な統計がほぼ出そろって、来週9月8日に、4~6月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である4~6月期ではなく、足元の7~9月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。ただし、2次QE予想は法人企業統計のオマケ的な存在で、それほど先行きについての言及はなく、先行きへの何らかの言及があるのは第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研ぐらいであり、特にこの2機関は長々と引用してあります。また、ややタイミングが早いのか、2次QE予測を明らかにしていない機関もいくつかあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、最後の行の東京財団だけは、いわゆるナウキャスティングですので、足元の7~9月期の予想となっています。なお、"pdf" が何のことか分からない人はいないとは思うものの、まあ、諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.1%)
n.a.
日本総研+0.3%
(+1.3%)
2026年4~6月期の実質GDP(2次QE)では、設備投資が上方改定、公共投資が下方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率+1.3%(前期比+0.3%)と、1次QE(前期比年率+1.1%、前期比+0.3%)から小幅に上方改定されると予想。
大和総研+0.7%
(+2.7%)
2026年4-6月期のGDP2次速報(QE)(9月8日公表予定、内閣府)では実質GDP成長率が前期比年率+2.7%と、1 次速報(同+1.1%)から上方修正されると予想する。主因は4-6月期の法人企業統計の結果を受けた設備投資・民間在庫変動の上方修正だ。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.5%)
9/8公表予定の26年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.5%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.1%)から上方修正されると予想する。
第一ライフ資産運用経済研+0.4%
(+1.7%)
先行きについては、年度後半にかけて既往の輸入コスト上昇が時間差を伴って川下へ転嫁され、食料品や日用品、電気・ガス料金などの上昇を通じて家計の実質購買力が圧迫される可能性がある。企業にとっても、原材料費や物流費などの上昇が収益の重石となることから、景気には一定の下押し圧力がかかるだろう。
もっとも、春先に懸念された供給面のリスクは、代替調達の進展などによって大きく後退している。高水準の企業収益がコスト上昇に対する一定の緩衝材となるほか、人手不足を背景とした省力化投資やデジタル・AI関連投資への需要も根強い。家計部門でも、高い賃上げや底堅い雇用環境が個人消費を下支えするとみられる。価格面からの下押しは残るものの、景気は緩やかな回復基調を維持する可能性が高いだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+1.9%)
4~6月期の実質GDP(2次速報値)は、前期比+0.5%(年率換算+1.9%)と、8月17日に公表された1次速報値の同+0.3%(同換算+1.1%)から上方修正される見込みである。
明治安田総研+0.3%
(+1.3%)
先行きの日本経済は、緩やかながら回復傾向が続くと予想する。中東情勢の緊迫化はなお続いているが、原油や石油関連製品については代替ルートでの調達が進んでおり、深刻な供給制約に陥る事態は回避されるとみている。
需要項目別に見ると、個人消費は、電気・ガス料金補助が9月使用分で終了し、その効果が11月以降剥落するとみられることが抑制要因となる。ただ、賃上げの定着に伴う所得環境の改善が下支えすることで、均せば回復傾向で推移すると予想する。設備投資については、4-6月期まで2四半期連続のマイナスになったとみられるものの、先行きは持ち直すと見込んでいる。人手不足対応の省力化投資に加え、AI関連投資が底堅く推移することが押し上げ要因となろう。特にAI関連では、データセンターや半導体にとどまらず、ソフトウェア、電力・通信設備、関連機器・部品など幅広い分野に需要が波及している。企業収益が総じて底堅いこともふまえると、投資計画が大きく崩れる可能性は低いと考えられる。一方、住宅投資は、住宅価格の高止まりや住宅ローン金利の上昇が重石となり、弱含みで推移すると予想する。
輸出については、欧米向けの持ち直しや、アジア向けを中心とする半導体関連財の需要が下支えとなり、緩やかな回復が続くとみる。ただし、中国経済の弱さが足かせとなることから、外需が成長率を大きく押し上げる展開は見込みにくい。
東京財団+0.19%
(+0.75%)
2026年4-6月期・1次速報値(0.3%)の公表を受け、モデルは、2026年7-9月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、1.17%と予測。※年率換算: 4.75%

見れば明らかな通り、4~6月期GDP統計速報2次QEは、ほぼほぼすべてのシンクタンクで2次QEは1次から上方修正と見込まれています。9月1日付けの日経新聞の記事「4-6月期GDP改定値、民間見通しは1.8%増に上方修正」でも、ほぼ同様の予測が示されています。ただ、その改定幅はわずかであり、景気判断の修正を迫るものではないと私は考えています。加えて、足元の7~9月期や先行き景気についても、明確な言及ある第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研はともに、緩やかな回復基調が継続される旨を予想しています。先行き景気については、少なくとも、中東戦争の伴うエネルギーなどの供給制約はかなり緩和された、という見方が広がっています。ただ、シンクタンクのレベルでは言及ないものの、私が考える最大の先行きリスクは金利上昇です。多くのシンクタンクは金融機関のバックアップで成り立っていますので、金利上昇は銀行をはじめとする金融機関の利益拡大につながることから、現時点ではそれほど注目されていませんが、おそらく、9月に日銀が金利の再引上げに踏み切ると、2~2四半期後には景気への悪影響がラグを伴って出始めると考えるべきです。金融機関に支えられたシンクタンクのポジショントーク、あるいは、金利への言及ない姿勢に私は疑問を感じています。
最後に、下のテーブルは日本総研のリポートから引用しています。

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2026年9月 2日 (水)

西勇投手が序盤から打ち込まれてヤクルトに完敗

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神002000001 340
ヤクルト13001000x 5110

【神】 西勇、桐敷、セベリーノ、岡留、神宮 - 坂本
【ヤ】 山野、清水、ウォルターズ - 松本直

神宮球場の第2戦は、ヤクルトに完敗でした。
先発の西勇投手は序盤1-2回にまずい守備もあったとはいえ4失点し、一時は2点差まで追い上げましたが、セベリーノ投手も失点して、追い上げきれませんでした。7回岡留投手、8回神宮投手はヒットを打たれながらもゼロで切り抜けています。バッター陣は、さすがに山野投手のようないいピッチャーが出て来るとそうそうは打てません。最終回9回に佐藤輝選手のホームランで追い上げただけ、まあ良しとします。すべての試合を勝てるとは思いません。ジャイアンツが負けたので、マジックは19となりました。

明日は、
がんばれタイガース!

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教育と気候変動への対応

"Human Capital and Climate Change" と題する学術論文を読みました。教育年数による人的資本形成が気候変動への対応にどのように影響するかを分析しています。まず、ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Addressing climate change requires individual behavior change and voter support for pro-climate policies, yet surprisingly little is known about how to achieve these outcomes. In this paper, we estimate causal effects of additional education on pro-climate outcomes using new compulsory schooling law data across 20 European countries. We analyze effects on pro-climate beliefs and behaviors, as well as novel data on policy preferences and voting for green parties. Results show that a year of education substantially increases pro-climate beliefs, behaviors, and policy preferences.

欧州20国について、義務教育年限を延長した制度変更を操作変数として利用し、教育年数が気候変動に対する認識、環境配慮行動、気候政策への支持、さらに緑の党への投票に与える効果を推計しています。p.1031 Table 2 The Effect of Education on Pro-Climate Outcomes に示された推計結果によれば、教育1年の増加により、Pro-climate beliefs は+1.9%ポイント、Pro-climate behaviors は+3.0%ポイント、Pro-climate policy preferences は+0.8%ポイント、Green voting は+0.3%ポイント、それぞれ増加します。これらを変化率に換算すれば、Pro-climate beliefs は+2.9%、Pro-climate behaviors は+3.0%ポイント、Pro-climate policy preferences は+1.3%、Green voting は+4.3%、のそれぞれ増加となります。ただし、Green voting は統計的に有意ではありません。(Results on our three main pro-climate indices-beliefs, behaviors, and policy preferences-as well as green voting are shown in table 2 . An additional year of education leads to highly statistically significant increases of 1.9 percentage points (PP) in pro-climate beliefs, 3.0 PP in behaviors, 0.8 PP in policy preferences, and a nonsignificant 0.3 PP increase in green voting. These impacts translate into a 2.9% increase for beliefs, 4.3% for behaviors, 1.3% for policy preferences, and 4.3% for green party voting.)

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上のグラフは論文から Figure 2. Effects of Education on Pro-Climate Outcomes-Standardized Causal Estimates vs. Correlations を引用しています。縦軸には標準偏差が取られていますので、先ほどのパーセントポイントないし変化率での計測結果とは少し違った印象です。でも、Green voting は信頼区間がゼロをまたいでいるのが確認できると思います。

要するに、教育年数で代理された人的資本は、単に生産性への影響だけではなく、さまざまな経済社会における人々の思考や行動に影響を及ぼす、という結果が示されています。この論文では、教育年数が増えれば気候変動対策への好意的な思考や行動が増加する、ということになります。気候変動以外でも、10年ほど前の英国のEU離脱の国民投票、いわゆる BREXIT の投票においても、例えば、BBCの報道 Was there a Brexit graduate gap? によれば、"Voters without degrees were more likely to back leaving the European Union" と報じられていて、大学卒業による学位を持たない国民はEU離脱を支持したという結果でした。米国のトランプ大統領支持者でも同じような傾向が見られます。教育年数が増えるほど、自由で民主的な考えや行動を示すようになる、と考えられています。したがって、自由でも民主的でもない政権では大学への反対キャンペーン強まることになります。

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2026年9月 1日 (火)

神宮初戦はヤクルトに完勝してマジック20

 一二三四五六七八九 RHE
阪  神000012300 6121
ヤクルト000000200 270

【神】 高橋、岡留、及川、木下 - 伏見、坂本
【ヤ】 吉村、キハダ、リランソ - 古賀、鈴木叶

神宮球場の初戦は、ヤクルトに完勝してマジック20でした。
先発の高橋投手は7回途中まで6安打2失点に抑え、文句なしのQSでした。7回に失点してから、岡留投手、及川投手、木下投手と継いで危なげなく逃げ切りました。木下投手は工藤投手とともに温存するかと思いましたが、よくよく考えれば、昨夜は工藤投手が4連投した一方で、木下投手は登板がありませんでしたから、最終回に顔見せといったところです。バッター陣は、5回に高橋投手のタイムリーで先制した後、6回は佐藤輝選手のツーラン、7回も近本外野手のスリーランで着々と加点しています。よく判らないのですが、近本外野手と坂本捕手は打撃に開眼してホームラン連発です。

明日も、
がんばれタイガース!

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堅調な企業業績を示す4-6月期法人企業統計と8月の消費者態度指数

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で見て、売上高は前年同期比+5.9%増の393兆9377億円、経常利益は+24.6%増の44兆6668億円に上っています。経常利益は7期連続のプラスです。さらに、設備投資は+1.6%増の13兆250億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると次の通りです。

4-6月法人企業、設備投資1.6%増 6四半期連続プラス
財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業除く)のソフトウエアを含む設備投資は前年同期比で1.6%増の13兆250億円だった。6四半期連続のプラスとなった。
法人企業統計は上場企業に限らず日本企業全体の動向を調べている。季節調整済みの前期比でみると、設備投資は1.5%増で2四半期ぶりのプラスとなった。
非製造業は前年同期比で4.7%増だった。伸びは前期から加速した。サービス業や物品賃貸業が全体を押し上げた。製造業は3.7%減だった。半導体製造向けの生産増の反動減があり、情報通信機械が落ち込んだ。
経常利益は24.6%増の44兆6668億円だった。7四半期連続の増益となった。製造業が57.0%増と大きく伸びた。人工知能(AI)やデータセンター向けの需要拡大を背景に情報通信機械が好調だった。輸送用機械は為替の影響で50.6%増えた。
非製造業は9.8%増えた。サービス業が15.1%増と全体をけん引した。
全産業の売上高は5.9%増の393兆9377億円だった。製造業が6.1%、非製造業が5.9%それぞれ増えた。
2025年度の統計も公表し、経常利益は前年度比で8.8%増の124兆8313億円だった。内部留保にあたる利益剰余金は2.7%増の654兆8228億円となった。金額はともに過去最高を更新した。
財務省の担当者は「景気が緩やかに回復している状況を反映している」と説明した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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法人企業統計の結果について、基本的に、企業業績は好調を維持していると考えるべきです。ただし、法人企業統計の売上高や営業利益・経常利益などはすべて名目値で計測されていますので、物価上昇による水増しを含んでいる点は忘れるべきではありません。ですので、数量ベースの増産や設備投資増などにどこまで支えられているかは、現時点では明らかではありません。来週のGDP統計速報2次QEを待つ必要があります。他方で、その物価上昇も含めて、企業業績が昨今の株価に反映されているわけで、中東戦争の先行き不透明感ありながら、また、長期金利が3%に近づいていながら、現在においても、東証平均株価は6万円を大きく超えているわけです。ただし、所得の伸び悩みに起因する個人消費などと違って、企業業績は基本的に好調を維持しているものの、繰返しになりますが、中東戦争に伴うエネルギー価格と金融政策による金利の行く方が先行きリスクと考えるべきです。製造業、中でも産業としての裾野が広く、波及効果の大きい自動車産業の動向が注目です。景気動向に関しては自動車をはじめとする製造業に注目しつつ、設備投資動向に関しては人手不足による影響が大きい非製造業、中でも、比較的労働集約的な業種の動向が注目されます。いずれにせよ、最大の懸念材料は、国際経済面で中東情勢とエネルギー価格、さらに、米国の関税率や通商政策、加えて国内経済では金利の動向だろうと考えるべきです。いずれも、リスクは下方に厚いと思われます。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金、最後の4枚目のパネルは人件費と経常利益をそれぞれプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。人件費と経常利益も額そのものです。利益剰余金を除いて、原系列の統計と後方4四半期移動平均をともにプロットしています。見れば明らかですが、1990年代初頭にバブルが崩壊してから、景気循環に伴う一時的な動きを別にすれば、労働分配率はほぼ一貫して低下を続けています。さらに現在でも労働分配率の低下は続いていて、特に、リーマン・ショック後の労働分配率低下はさらに急速に進んでいるのがグラフの傾きから理解できます。いろんな仮定を置いていますので評価は単純ではありませんが、デフレに入ったあたりの1990年代後半の75%近い水準と比べて、最近時点では▲20%ポイントを超えて労働分配率が低下し、あるいは、コロナ禍の期間の65%ほどと比べても▲10%ポイント超の低下を示している、と考えるべきです。名目GDPが約600兆円として50-100兆円超が労働者から企業に移転された可能性が示唆されています。加えて、一昨年2024年や昨年2025年の春闘では人口減少下の人手不足により賃上げ圧力が高まった結果として、労働分配率が下げ止まった可能性が示唆されていましたが、統計を見る限り決してそうはなっていません。昨年今年と春闘ではあれだけの賃上げがありながら、まだ労働分配率は低下し続けています。しかも高インフレが続いているわけですから、これでは消費は伸びません。中東戦争に起因してエネルギー価格が上昇すれば、さらに物価上昇に拍車が掛かる可能性も大いにあります。いずれにせよ、日本経済には大きなマイナス要因だと私は考えています。設備投資/キャッシュフロー比率も底ばいを続けています。DXやGXに対応した設備投資の本格的な増加が始まったことが期待される一方で、決して楽観的にはなれません。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金はまだまだ伸びが続いています。また、4枚めのパネルにあるように、直近統計で2020年くらいからは、人件費の伸びが高まっている可能性が見て取れますが、人件費以上に経常利益が伸びているのがグラフの傾きから明らかです。労働分配率の低下と整合的なデータであると考えるべきです。アベノミクスではトリクルダウンを想定していましたが、企業業績から勤労者の賃金へは滴り落ちてこなかった、というのがひとつの歴史的事実と考えるべきです。30年超に渡って、労働者の賃金を低下させて、設備投資もケチって、ひたすら企業の内部留保を溜め込む企業行動が続いてきたわけですから、企業業績がいいように見えるのは当然です。さらに、先行きについて逆に考えれば、現在の内部留保を企業自身の処理に委ねるのではなく、何らかの政策的な誘導によって労働者の賃金や設備投資に向かわせることができれば、資本分配率を低下させて労働分配率が上昇することにより、諸外国と比べても高いインフレにならずに日本経済が成長するパスが実現できる可能性が生じており、それは中期的に望ましい、という私の考えは変わりありません。

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本日、内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。78月統計では、前月から+0.6ポイント上昇し35.5を記録しています。また、消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「耐久消費財の買い時判断」が+1.9ポイント上昇して27.5、「暮らし向き」が+1.0ポイント上昇し34.1、の2項目が上昇した一方で、「収入の増え方」が▲0.5ポイント低下し40.4、「雇用環境」が▲0.2ポイント低下して39.9の2項目が低下しています。統計作成官庁である内閣府では、先月7月統計で基調判断を「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」に引き上げ、本日公表された8月統計でも据え置かれています。

最後に、本日公表された4-6月期法人企業統計を受けて、来週9月8日に4-6月期GDP統計速報2次QEが公表されます。設備投資などで上方改定されると私は見込んでいますが、後日詳しく取りまとめたいと思います。

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