上方改定された4-6月期GDP統計速報2次QEほか
本日、内閣府から4~6月期GDP統計速報2次QEが公表されています。先月公表の1次QEからわずかに上方改定され、季節調整済みの系列で前期比+0.4%増、年率換算で+1.4%増を記録しています。プラス成長は3四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.6%に達し、2年半10四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
実質GDP年率1.4%増に上方修正 4-6月改定値、3期連続プラス
内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.4%増、年率換算で1.4%増だった。8月発表の速報値(前期比0.3%増、年率1.1%増)から上方修正した。
最新の統計を反映し、設備投資の落ち込み幅が縮んだ。改定値は速報値と同様に3四半期連続のプラスとなった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は前期比0.4%増、年率1.6%増だった。
項目別に見ると、設備投資が速報段階の前期比1.2%減から0.9%減に上方修正した。法人企業統計の結果を反映してマイナス幅が縮小したが、2四半期連続のマイナスとなった。自動車関連の最新の統計結果も上振れに影響した。
GDPの半分を占める個人消費は横ばいだった。住宅投資は0.5%減から0.6%減に下方修正した。
民間在庫は成長率に0.3ポイントのプラス寄与となった。速報段階から変わらなかった。
政府消費は1.6%増から1.7%増に上方修正した。公共投資は0.1%減から0.5%減と下向きに見直した。
輸出は0.5%増から0.4%増に、輸入は1.5%減から1.7%減にそれぞれ下方修正した。輸入はGDPの計算から差し引くため、マイナスになれば経済成長率を押し上げる要因になる。
ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。
| 需要項目 | 2025/4-6 | 2025/7-9 | 2025/10-12 | 2026/1-3 | 2026/4-6 | |
| 1次QE | 2次QE | |||||
| 国内総生産 (GDP) | +0.1 | ▲0.4 | +0.3 | +0.5 | +0.3 | +0.4 |
| 民間消費 | +0.1 | +0.6 | +0.2 | +0.4 | ▲0.0 | +0.0 |
| 民間住宅 | +0.6 | ▲7.9 | +5.0 | +0.9 | ▲0.5 | ▲0.6 |
| 民間設備 | +1.3 | ▲0.2 | +1.3 | ▲0.1 | ▲1.2 | ▲0.9 |
| 民間在庫 * | (▲0.3) | (▲0.1) | (▲0.4) | (▲0.1) | (+0.3) | (+0.3) |
| 公的需要 | +0.5 | ▲0.1 | +0.2 | +0.5 | ▲0.8 | ▲0.8 |
| 内需寄与度 * | (+0.2) | (▲0.2) | (+0.2) | (+0.2) | (▲0.2) | (▲0.1) |
| 外需寄与度 * | (▲0.0) | (▲0.2) | (+0.1) | (+0.3) | (+0.5) | (+0.5) |
| 輸出 | +1.7 | ▲1.4 | +0.1 | +1.7 | +0.5 | +0.4 |
| 輸入 | +1.8 | ▲0.6 | ▲0.2 | +0.3 | ▲1.5 | ▲1.7 |
| 国内総所得 (GDI) | +0.8 | ▲0.3 | +0.4 | +0.3 | +0.0 | +0.1 |
| 国民総所得 (GNI) | +0.6 | +0.3 | ▲0.2 | +0.4 | ▲0.4 | ▲0.4 |
| 名目GDP | +1.8 | +0.3 | +0.9 | +0.8 | +1.2 | +1.3 |
| 雇用者報酬 | +0.2 | +0.4 | +0.5 | +1.5 | +0.8 | +1.0 |
| GDPデフレータ | +3.3 | +3.5 | +3.4 | +3.2 | +2.6 | +2.6 |
| 内需デフレータ | +2.6 | +2.8 | +2.6 | +2.4 | +2.9 | +3.0 |
上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは黒の純輸出と灰色の民間在庫であり、少し見づらいのですが、マイナス寄与は水色の民間設備、黄色の公的需要、となっています。

先月8月19日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比+0.3%、前期比年率で+2.1%の成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ+0.4%、+1.4%と小幅に下方修正されています。内需、特に民間設備が上方修正されています。内需がマイナス寄与となった一方で、外需はプラス寄与で、やや外需の方が大きな寄与ながら、いずれにせよ、4~6月期までの景気認識に大きな変更を加えるべき修正ではない、と考えています。ただし、3四半期連続のプラス成長とはいえ、中身はかなり悪い印象です。国内経済に関していえば、上方改定されたとはいえ民間設備はまだ前期比マイナスのままですし、在庫がプラス寄与しているということは、売残り在庫が増えているわけです。加えて、輸出入に関しては、純輸出のプラス寄与+0.5%のうち、輸出はわずかに+0.1%にとどまっていて、輸入の寄与が+0.4%あります。輸入はGDPに対する控除項目ですから、4~6月期は輸入が減少してGDPのプラス成長をもたらした、ということができます。要するに、中東戦争で石油などの輸入が滞って輸入源を招いてプラス成長した、というわけですので、決していい話ではありません。加えて、先行きに関しては、国内要因としては金利引上げによる金融引締め、それに伴う円高の進行が、また、海外要因としてはいわずもがなの中東戦争による不安定な石油供給やエネルギー価格の不安が残っています。今までの経験に即して考えれば、景気後退ともなれば急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性も十分あるのではないか、とも同時に考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は否定できないが、従来のような深刻な景気後退ではない可能性も十分ある、といったところです。

また、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.7ポイント上昇の46.4で4か月連続の上昇となった一方で、先行き判断DIも+2.5ポイント上昇の48.3を記録しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断から「中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、」を抜いて、「景気は、持ち直しの動きがみられる。」と、半ノッチ上方修正しています。

また、本日、財務省から7月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+2兆9889億円の黒字を計上しています。7月統計では、旅行収支の黒字が増えたことでサービス収支の赤字幅が縮小したほか、企業の海外子会社からの配当金収入の増加で第1次所得収支の黒字幅が拡大し、前月に記録した17か月ぶりの赤字から黒字に転換しています。

また、本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインは、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は436,401円と前年同月比+4.7増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+2.4%増と、7か月連続のプラスを記録しています。
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