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2026年9月 1日 (火)

堅調な企業業績を示す4-6月期法人企業統計と8月の消費者態度指数

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で見て、売上高は前年同期比+5.9%増の393兆9377億円、経常利益は+24.6%増の44兆6668億円に上っています。経常利益は7期連続のプラスです。さらに、設備投資は+1.6%増の13兆250億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると次の通りです。

4-6月法人企業、設備投資1.6%増 6四半期連続プラス
財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業除く)のソフトウエアを含む設備投資は前年同期比で1.6%増の13兆250億円だった。6四半期連続のプラスとなった。
法人企業統計は上場企業に限らず日本企業全体の動向を調べている。季節調整済みの前期比でみると、設備投資は1.5%増で2四半期ぶりのプラスとなった。
非製造業は前年同期比で4.7%増だった。伸びは前期から加速した。サービス業や物品賃貸業が全体を押し上げた。製造業は3.7%減だった。半導体製造向けの生産増の反動減があり、情報通信機械が落ち込んだ。
経常利益は24.6%増の44兆6668億円だった。7四半期連続の増益となった。製造業が57.0%増と大きく伸びた。人工知能(AI)やデータセンター向けの需要拡大を背景に情報通信機械が好調だった。輸送用機械は為替の影響で50.6%増えた。
非製造業は9.8%増えた。サービス業が15.1%増と全体をけん引した。
全産業の売上高は5.9%増の393兆9377億円だった。製造業が6.1%、非製造業が5.9%それぞれ増えた。
2025年度の統計も公表し、経常利益は前年度比で8.8%増の124兆8313億円だった。内部留保にあたる利益剰余金は2.7%増の654兆8228億円となった。金額はともに過去最高を更新した。
財務省の担当者は「景気が緩やかに回復している状況を反映している」と説明した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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法人企業統計の結果について、基本的に、企業業績は好調を維持していると考えるべきです。ただし、法人企業統計の売上高や営業利益・経常利益などはすべて名目値で計測されていますので、物価上昇による水増しを含んでいる点は忘れるべきではありません。ですので、数量ベースの増産や設備投資増などにどこまで支えられているかは、現時点では明らかではありません。来週のGDP統計速報2次QEを待つ必要があります。他方で、その物価上昇も含めて、企業業績が昨今の株価に反映されているわけで、中東戦争の先行き不透明感ありながら、また、長期金利が3%に近づいていながら、現在においても、東証平均株価は6万円を大きく超えているわけです。ただし、所得の伸び悩みに起因する個人消費などと違って、企業業績は基本的に好調を維持しているものの、繰返しになりますが、中東戦争に伴うエネルギー価格と金融政策による金利の行く方が先行きリスクと考えるべきです。製造業、中でも産業としての裾野が広く、波及効果の大きい自動車産業の動向が注目です。景気動向に関しては自動車をはじめとする製造業に注目しつつ、設備投資動向に関しては人手不足による影響が大きい非製造業、中でも、比較的労働集約的な業種の動向が注目されます。いずれにせよ、最大の懸念材料は、国際経済面で中東情勢とエネルギー価格、さらに、米国の関税率や通商政策、加えて国内経済では金利の動向だろうと考えるべきです。いずれも、リスクは下方に厚いと思われます。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金、最後の4枚目のパネルは人件費と経常利益をそれぞれプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。人件費と経常利益も額そのものです。利益剰余金を除いて、原系列の統計と後方4四半期移動平均をともにプロットしています。見れば明らかですが、1990年代初頭にバブルが崩壊してから、景気循環に伴う一時的な動きを別にすれば、労働分配率はほぼ一貫して低下を続けています。さらに現在でも労働分配率の低下は続いていて、特に、リーマン・ショック後の労働分配率低下はさらに急速に進んでいるのがグラフの傾きから理解できます。いろんな仮定を置いていますので評価は単純ではありませんが、デフレに入ったあたりの1990年代後半の75%近い水準と比べて、最近時点では▲20%ポイントを超えて労働分配率が低下し、あるいは、コロナ禍の期間の65%ほどと比べても▲10%ポイント超の低下を示している、と考えるべきです。名目GDPが約600兆円として50-100兆円超が労働者から企業に移転された可能性が示唆されています。加えて、一昨年2024年や昨年2025年の春闘では人口減少下の人手不足により賃上げ圧力が高まった結果として、労働分配率が下げ止まった可能性が示唆されていましたが、統計を見る限り決してそうはなっていません。昨年今年と春闘ではあれだけの賃上げがありながら、まだ労働分配率は低下し続けています。しかも高インフレが続いているわけですから、これでは消費は伸びません。中東戦争に起因してエネルギー価格が上昇すれば、さらに物価上昇に拍車が掛かる可能性も大いにあります。いずれにせよ、日本経済には大きなマイナス要因だと私は考えています。設備投資/キャッシュフロー比率も底ばいを続けています。DXやGXに対応した設備投資の本格的な増加が始まったことが期待される一方で、決して楽観的にはなれません。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金はまだまだ伸びが続いています。また、4枚めのパネルにあるように、直近統計で2020年くらいからは、人件費の伸びが高まっている可能性が見て取れますが、人件費以上に経常利益が伸びているのがグラフの傾きから明らかです。労働分配率の低下と整合的なデータであると考えるべきです。アベノミクスではトリクルダウンを想定していましたが、企業業績から勤労者の賃金へは滴り落ちてこなかった、というのがひとつの歴史的事実と考えるべきです。30年超に渡って、労働者の賃金を低下させて、設備投資もケチって、ひたすら企業の内部留保を溜め込む企業行動が続いてきたわけですから、企業業績がいいように見えるのは当然です。さらに、先行きについて逆に考えれば、現在の内部留保を企業自身の処理に委ねるのではなく、何らかの政策的な誘導によって労働者の賃金や設備投資に向かわせることができれば、資本分配率を低下させて労働分配率が上昇することにより、諸外国と比べても高いインフレにならずに日本経済が成長するパスが実現できる可能性が生じており、それは中期的に望ましい、という私の考えは変わりありません。

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本日、内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。78月統計では、前月から+0.6ポイント上昇し35.5を記録しています。また、消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「耐久消費財の買い時判断」が+1.9ポイント上昇して27.5、「暮らし向き」が+1.0ポイント上昇し34.1、の2項目が上昇した一方で、「収入の増え方」が▲0.5ポイント低下し40.4、「雇用環境」が▲0.2ポイント低下して39.9の2項目が低下しています。統計作成官庁である内閣府では、先月7月統計で基調判断を「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」に引き上げ、本日公表された8月統計でも据え置かれています。

最後に、本日公表された4-6月期法人企業統計を受けて、来週9月8日に4-6月期GDP統計速報2次QEが公表されます。設備投資などで上方改定されると私は見込んでいますが、後日詳しく取りまとめたいと思います。

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