大きく落ち込んだ7月の家計調査
本日、総務省統計局から7月の家計調査が公表されています。2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲3.6%の減少、名目も▲1.5%の減少となりました。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
7月の実質消費支出3.6%減 8カ月連続マイナス 節約志向続く
総務省が4日発表した7月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は30万1245円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べて3.6%減った。8カ月連続のマイナスとなった。名目では1.5%減少した。
QUICKが事前にまとめた7月の予測中央値は実質で1.3%減だった。総務省の担当者は「メリハリをつけて消費した結果、全体としては支出を抑える傾向がみられた」と分析する。
支出に占める割合が大きい食料は実質で1.3%減少した。2カ月連続の減少となった。7月は前年より気温が低かったことから、飲料が6.7%減少した。調理食品は安価なものの購入増や購入控えが影響し、3.2%減だった。
光熱・水道は9.2%減少し、5カ月連続のマイナスとなった。冷房の使用が減少したことで、電気代は12.0%減少した。ガス代は7.2%減だった。
車購入費などの自動車等関係費は10.4%減った。自動車購入の26.5%減が響いた。
家庭用耐久財は5.9%増えた。2027年4月からの新たな省エネ基準を見据え、エアコンの買い替え需要が堅調だった。ゲームソフトやゲーム課金を含む教養娯楽用品は7.6%増だった。
勤労者世帯の実収入は68万9476円だった。名目で1.7%減となった。実質は持ち家の家賃換算分を除くベースで3.8%減少した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、家計調査のグラフは次の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

引用した記事の2パラ目にある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、実質消費支出の前年同月比が▲1.3%減と予想されていました。予測レンジの下限は▲3.5%でしたが、実績の▲3.6%減はわずかながら下限を下回りましたが、家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、実績の▲3.6%はサプライズかどうか、微妙なところです。引用した記事にもあるように、統計上の把握にムラのある自動車への支出や気温などの天候要因による飲料への支出減といった要因があるとはいえ、家計調査に現れている消費はやや弱いと見る向きが多そうです。10大費目の前年同月比を2人以上世帯の実質支出の増減で見ると、自動車等関係費、通信などの交通・通信費が前年同月比▲8.5%減、寄与度▲1.29%、設備修繕・維持、家賃地代などの住居費が前年同月比▲16.4%減、寄与度▲1.08%、電気代、ガス代などの光熱・水道費が前年同月比▲9.2%減、寄与度▲0.61%、調理食品、飲料などの食糧費が前年同月比1.3%減、寄与度▲0.39%などとなっています。根本的には、家計の収入が減少しているのが家計支出減少の大きな要因であると考えるべきです。引用した記事の見出しのように、節約志向かどうかは私は疑わしいと感じています。すなわち、7月の勤労者世帯の実収入は名目で前年同月比▲1.7%減、実質で▲3.8%減となっているのが、そのまま支出に現れた形です。7月の実収入はボーナスが6月に前ズレして、世帯主の臨時収入・賞与が実質の前年同月比で▲11.5%減となったのもひとつの要因と考えられますが、明確に家計の収入はインフレにより目減りしています。したがって、家計では消費を維持するために消費性向を上昇させて対応しており、季節調整値で見て7月の平均消費性向は63.0%と、前月6月から+3.1%ポイントも高くなっています。この消費性向の動きは、どこまでサステイナブルなのか、大いに疑問であり、今後も家計消費の動向には注意が必要です。
何度か繰り返していますが、景気浮揚を目指す経済政策の要諦は貯蓄過剰主体に支出を促すことです。しかし、企業セクターという巨大な貯蓄過剰主体ではなく、家計セクターの貯蓄を低下させることが、先行き金利高で住宅ローン負担も増加する家計セクターに負担となるのは明白です。家計セクターではなく、企業セクターに過剰な貯蓄を低下させるような方向性が必要です。大雑把にいって、企業セクターに設備投資を促すか、賃上げが望ましいと私は考えています。
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