2017年6月23日 (金)

リクルート・ワークス研のシンポジウムを拝聴する!

今日は午後から外出して、リクルートワークス研が主催する「働き方改革の進捗と評価」JPSEDシンポジウムを聞いて来ました。少し前の6月9日にに全国就業実態パネル調査(JPSED)2016年調査に基づくリポート「Works Index 2016」が公表されており、その内容に関するお披露目といえます。なお、6月9日にはデータ集も明らかにされています。

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まず、Works Index なんですが、同一人物を追ったパネルデータであり、データとしてはまだ2015-16年の2時点しかありません。コンポーネントとなるインデックスとインディケーターは上の通りであり、「Works Index 2016」の p.4 から引用しています。今年の特徴としては2点上げられており、第1に、2015年から2016年にかけて、Works Index は▲1.2ポイント低下しています。平たくいえば、労働条件が悪化しているわけです。特に、上のインデックスの中の5番目のディーセントワーク(DW)が▲1.2ポイント低下しており、女性より男性が、また、男性の中では比較的若い世代が、それぞれ低下幅が大きいことから、人手不足の影響が職場における業務負荷の増加につながっている点が今後の課題と分析されています。同時に、人手不足に起因する業務負荷増のため、ディセントワークの項目以外でも、休暇が取れないとか、OJTの機会が減少しているなどの指摘もありました。下の一連のグラフはリポートから p.5 Works Index と前年との比較 を引用しています。

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もうひとつは、最近我が国の一貫した傾向ですが、労働所得は長期的に低下のトレンドにあり、Works Index でも2015年から16年にかけて▲1.6%の減少を示しています。ただし、継続就業者の労働所得は増加しています。すなわち、2015-16年にかけて継続して同一企業に就業している人に限ると、労働所得の増減率が+2.0%と増加しています。逆から見て、2016年に入職した新規就業者や転職者の労働所得は継続就業者よりもかなり低く、新卒者のみならず中途入社者の処遇の低さが課題として指摘されています。

昨年の第1回のシンポジウムも拝聴に行った記憶があるんですが、パネルデータでありながら第1回の結果でしたので1時点だけではパネルにもならず、今年の結果や来年の結果などから、徐々に研究目的の利用が広がるかもしれません。

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2017年6月22日 (木)

MM総研によるITデジタル家電購入意向調査(2017年夏ボーナス商戦編)やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、MM総研から6月13日に「ITデジタル家電購入意向調査 (2017年夏ボーナス商戦編)」と題するリポートが公表されています。まず、MM総研のサイトから調査結果の要約を3点引用すると以下の通りです。

  • ボーナス支給額は引き続き改善傾向、購買意欲は昨夏・昨冬とほぼ同水準
  • 商品・サービス別の購入意向はITデジタル家電、健康・美容家電が増加
  • ITデジタル家電は薄型テレビが1位。スマートフォン(3位)が人気上昇

ということで、夏のボーナスはまずまず好調で、それにしたがって、IT家電の購買意欲も悪くない、という内容です。いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、MM総研のサイトから ボーナスの増減率と購買意欲の推移 に関して一連の図表を引用すると上の通りです。ボーナス支給についてはまずまず良好な見通しが得られており、購買意欲についてもリーマン・ショック以降では、少なくとも、「上がった」+「変わらない」の比率はもっとも高くなっています。このブログでもすでに、4月17日付けの記事で今年の夏季ボーナスの予想を取りまとめているところですが、まずまず期待できそうだという感触かもしれません。

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次に、上のテーブルはMM総研のサイトから 夏のボーナスの具体的な使い途 のついての問いの回答です。夏のボーナスの具体的な使い途について複数回答での問いに対する回答であり、目立って増加したのは、ITデジタル家電と健康・美容家電となっています。特に、ITデジタル家電は昨夏の28.7%から今夏は40.4%と+11.7%ポイントも上昇を見せています。さらに、煩雑になるのでテーブルの引用はしませんが、ITデジタル家電の購入意欲ランキングは、薄型テレビが全体の11.1%を占めてトップとなり、次いでノートパソコンが2位の10.2%、スマートフォンが3位の8.9%、デスクトップパソコンが4位の6.1%、デジタルカメラとタブレット端末がともに5位の4.1%となっています。とても興味深い内容です。我ら公務員も来週6月30日にボーナスが支給されますが、果たして、今夏のボーナス商戦やいかに?

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2017年6月21日 (水)

東洋経済オンライン「社会人が転職したい会社」300社ランキングやいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、東洋経済オンラインから6月10日付けで「社会人が転職したい会社」300社ランキングと題する転職先人気企業が特集されています。以下の画像の通りです。

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実は、6月5日付けで転職サービス「DODA」のインテリジェンスから「転職人気企業ランキング 2017」が公表されているんですが、やっぱり、というか、当然のように、1位トヨタ、2位グーグル、3位ソニー、とバッチリ一致しています。東洋経済オンラインでは、学生の新卒の就職では人気投票のように、金融業界に目が行きがちな一方で、ビジネス社会で活動中のビジネスパーソンは、転職の際にはメーカーや外資系企業を評価している、と分析しています。なかなか興味深い結論です。

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2017年6月20日 (火)

東証上場企業の株主総会集中日6月29日(木)はとうとう30%を割り込む!

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、今月6月9日付けで3月決算企業の株主総会の集中率に関するグラフが東証から公表されています。下に示した通りです。いわゆる総会屋の排除などを目的としたご当局からの指導もあって、かつては90%を超えた集中を見せていたんですが、長期低落傾向の中で今年はとうとう30%を下回って29.6%となっています。東証のサイトから引用しています。

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2017年6月19日 (月)

輸出入とも順調に拡大する貿易統計の先行きやいかに?

本日、財務省から5月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.9%増の5兆8514億円、輸入額は+17.8%増の6兆547億円、差引き貿易収支は▲2034億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、4カ月ぶり赤字 2034億円
資源関連の輸入増

財務省が19日発表した5月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2034億円の赤字だった。貿易赤字となるのは4カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は730億円の黒字だった。5月は大型連休の影響で輸出が伸び悩む傾向があり、主に資源価格の上昇を背景とした輸入の増加幅が上回った。
輸出額は前年同月比14.9%増の5兆8514億円と6カ月連続で増加した。4月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=111.47円と前年同月に比べて円安になったことに加え、輸出数量全体も堅調に推移した。輸入の増加幅は下回ったものの、伸び率は2015年1月(16.9%増)以来の大きさとなった。財務省では「(昨年の)熊本地震からの反動増という面もあるだろう」とみている。
米国向けの自動車輸出が好調だったほか、メキシコ向けフラットロールをはじめとした鉄鋼などの伸びが目立った。地域別では対米国が11.6%増、対アジアが16.8%増となった。対欧州連合(EU)もイタリア向けに船舶の輸出があったことなどが寄与し、19.8%増と伸びた。
輸入額は17.8%増の6兆547億円となった。資源価格の上昇に伴い、原粗油や石炭の輸入額が増加した。いずれも数量ベースでの輸入は前年同月から減少している。オーストラリアを襲ったサイクロンの影響で同国からの石炭の供給が滞り、インドネシアや中国からの輸入が増加。液晶デバイスなどの輸入も増え、対中貿易は3カ月連続の赤字となった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、季節調整していない原系列の統計の貿易収支ですが、ほぼ赤字を脱却した2015年10-12月期の後も、年2-3月くらいは貿易赤字を計上することが経験的にありましたので、少なくとも悲観する必要はありません。前回の貿易赤字は今年2017年1月ですから、中華圏の春節効果による統計の歪みだったと私は受け止めています。昨年2016年4-5月についても熊本地震の影響があり、今年5月の輸出が大きく伸びたのも反動増の要因が含まれていると考えるべきです。加えて、国際商品市況の石油価格の上昇を受け、今年に入って原油輸入価格指数が季節調整していない前年同月比でプラスに転じ、2-3月には+75%の上昇を示しています。このため、5月の輸入のうち鉱物性燃料の輸入額は前年同月比で+41.5%の伸びを示し、輸入額の伸び+17.8%に対する寄与度で+7.0%に上っています。加えて、引用した記事にもある通り、為替が前年同期に比べてやや円安に振れていますので、その昔はJカーブ効果と称された円安初期の輸入額押上げ効果により、さらに輸入額が膨らみ貿易収支の赤字化の方向への圧力となっています。また、輸入額指数を価格指数と数量指数で分解して寄与度を求めると、輸入額の前年同月比伸び率+17.8%のうち、価格は+11.8%、数量は+5.4%の寄与となっています。我が国経済の順調な回復・拡大も輸入数量の増加をもたらしていることはいうまでもありません。ですから、このブログでも私が何度か主張した通り、輸入については「要るモノは要る」というのが私の考えであり、この程度の赤字であれば我が国のマクロ経済には何ら問題なはいと考えています。さらに、トレンドで見る際に有益な季節調整済みの系列では、2015年11月から一貫して貿易黒字を計上している点も忘れるべきではありません。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。順調な回復・拡大を見せる海外経済に応じて、我が国の輸出数量も拡大を示しています。上のグラフのうちの一番上のパネルを見ても、最近数か月では輸出額の伸びのうち、青い価格の寄与よりも赤い数量の寄与の方が大きくなっているのが見て取れます。下の2つのパネルからも、先進国や中国のOECD先行指数の上昇に伴った我が国からの輸出の拡大が示されています。先行き、我が国経済も世界経済も順調な回復・拡大を続けると予想されていることから、為替や米国などの通商政策次第の面もあるものの、順調に貿易も拡大すると予想して差し支えないものと私は考えています。

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2017年6月15日 (木)

福井県あわら市とパナソニックによる「宅配ボックス実証実験」結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、人手不足の宅配サービスの再配達問題解決に向けて、宅配ボックスの設置が有力案として考えられており、福井県あわら市とパナソニックによる「宅配ボックス実証実験」が行われていたところ、6月8日に最終結果が報告されています。とても興味あるテーマですので、諸般の事情により、グラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはパナソニックのサイトから引用していますが、宅配ボックス設置前の昨年2016年10月時点で、モニター103世帯に対する再配達率が49%とほぼ半数に上っていたところ、実験開始後、2016年12月8%、2017年1月9%、2月6%、3月10%と、期間平均で8%に低下し、この実験期間4か月間トータルで、再配達削減による宅配業者の労働削減時間想定値が222.9時間、再配達削減によるCO2削減量想定値が465.9kgに達したことがリポートされています。
まあ、ぶっちゃけで、パナソニック社の宅配ボックスの宣伝の一環なんですが、データはデータとして、それなりに参照可能なんではないかと思います。

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2017年6月14日 (水)

ピュー・リサーチによる経済に関する世論調査結果やいかに?

かなり旧聞に属する話題ですが、6月5日付けでピュー・リサーチ・センターから Global Publics More Upbeat About the Economy と題して、世界主要国における経済を対象とする世論調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。我が国の経済に対する見方は相変わらず悲観的なんですが、それでも、主要国と同じ傾向を示しており、リーマン・ショック後の Great Depression を経た後、2010-12年をトラフとして、徐々に経済に対する楽観的な見方が広がっていることが示されています。2点ほど図表を引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の画像はピュー・リサーチのサイトから In Europe, Japan, U.S., views of economy fully recovered from before financial crisis と題する日米欧先進国における直近15年くらいの経済状態に関するよいとする回答の比率の時系列をプロットしています。リーマン・ショック後の2010-12年くらいを底に、徐々に回復を示し、少なくとも現時点の2017年にはリーマン・ショック前の水準を回復しています。日本について昨年2016年に一度低下しているんですが、ハードデータに基づく原因は私にも不明ながら、確かに、企業マインドも消費者マインドも昨年は低下していたのは事実だと思います。

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次に、上の画像はピュー・リサーチのサイトから Globally, views of economy differ greatly と題するグラフを引用しています。要するに、各国の経済の現状に対する国民の評価の結果です。大雑把な地理的な傾向として、北米や中欧から北欧にかけて、インドや東南アジアなどで経済状態がよいとする回答の比率が高いのに対して、中南米や日韓両国、欧州ではギリシアやラテン系の国々でその比率が低くなっています。ソフトデータの世論調査に示されたマインドですので、ハードデータなどの経済実態とは必ずしも一致しない可能性もありますが、まあ、何となく理解できるところではあります。

この調査は経済に関する世論調査だけでなく、公的部門に関して子供の将来への味方なども含んでいたりしますが、取りあえず、割愛しておきます。

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2017年6月13日 (火)

マイナスを記録した法人企業景気予測調査に見る企業マインドやいかに?

本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期の+1.3から下降して4~6月期は▲2.0を記録し、先行きについては、7~9月期は+7.1に、また、10~12月期は+6.7に、それぞれ上昇すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感 4期ぶりマイナス 4-6月、自動車など下げ
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、4~6月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス2.0だった。新型車効果が一服した自動車メーカーなどが指数を押し下げ、4四半期ぶりにマイナスに転じた。財務省などは「緩やかな回復基調」自体は維持しているとみており、翌7~9月期以降は再びプラス基調が続く見通しだ。前回調査14~3月期はプラス1.3だった。
4~6月期は大企業のうち、製造業がマイナス2.9となった。自動車・同付属品製造業で、1~3月期と比べて新型車の投入効果が一服した影響などが全体の景況判断を押し下げた。受注減や原材料となる鉄の価格上昇が響いた船舶製造業なども低下に寄与し、1~3月期のプラス1.1と比べて悪化した。
非製造業はマイナス1.6となり、1~3月期のプラス1.5から悪化した。建設業で前年に工事完成が集中したことによる反動減が出たほか、金融機関の収益悪化などが響いた。
先行き7~9月期の見通しはプラス7.1で、製造業がプラス9.6、非製造業がプラス5.8だった。10~12月期は全産業でプラス6.7となった。財務省と内閣府の統括コメントは「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として前回調査時から据え置いた。
17年度の設備投資は前年度比で3.8%増加する見込みとなった。スマートフォン向け電子部品の生産能力増強などが寄与する。前回調査時の4.6%減から上昇した。経常利益の見通しは0.4%減となり、前回調査(0.8%減)からは改善した。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は5月15日時点。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。やや遅れて消費者マインドも最近時点で改善を示しており、消費者マインド・企業マインドともに底を打って改善の方向を示していると考えるべきです。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドは改善を示しています。個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難になっている現状がうかがわれます。すなわち、6月末時点で大企業の人手不足感が過剰感を+15.4上回っているのに対し、中堅企業では+29.0、中小企業では+27.1に上っています。また、ソフトウェア投資額を含み土地購入額を除くベースの2017年度設備投資額については、引用した記事にもある通り、全産業で前回調査時の▲4.6%減から、今回調査では+3.8%の増加に大きく上方修正されました。日銀短観と同じで、年度開始前の慎重な投資計画から、年度が始まって各種の売上げや利益計画が固まる中で、設備投資についても企業活動の各種計画に応じた上方修正がなされるという通常のパターンに沿った動きと受け止めています。ただ、全産業で+3.8%の増加のうち、製造業が+8.7%増に対して、非製造業は+1.0%増にとどまっており、世界経済の回復・改善に比較した国内景気の出遅れ感がほの見える気がします。

7月に入れば、より詳細な企業マインドを調査した6月調査の日銀短観が公表される予定となっており、シンクタンクなどの日銀短観予想が出そろった段階で、このブログでも取りまとめたいと考えています。

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2017年6月12日 (月)

3か月ぶりに減少した機械受注とプラス2%超が続く企業物価(PPI)上昇率をどう見るか?

本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.1%減の8359億円だった一方で、PPIはヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、4月は3.1%減 非製造業が不振
内閣府が12日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ3.1%減の8359億円と3カ月ぶりに減少した。不動産や金融・保険業など非製造業がふるわなかった。QUICKの市場予想(1.0%減)にも届かなかった。
4月は官公需を除けば民需に大型案件が乏しく、非製造業の5.0%減が重荷になった。製造業は2.5%増と底堅く、中期的な受注の推移は「横ばい」(内閣府経済社会総合研究所)として、内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。
非製造業の受注額は2カ月連続で減少し、4715億円となった。前年同月(4759億円)も下回り、2015年11月以来の規模に縮小した。金融・保険業でシステム投資が鈍化しており「まとまった案件の受注がない」(内閣府)という。
半面、製造業の受注額は3618億円と16年12月以来の大きさ。前年実績も上回った。前月に受注した非鉄金属分野の大型案件がなくなった反動で伸び率は小幅だったが、同案件の影響を差し引くと前月実績を11%程度上回ったという。輸出向けを中心に、スマートフォンやモノをインターネットでつなぐIoT関連で半導体製造装置などが堅調で「最近の受注は上向いている」(内閣府)という。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比5.9%減となっている。
5月の企業物価指数、5カ月連続上昇 勢いは鈍化
日銀が12日に発表した5月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は5カ月連続で、上昇率は前月(2.1%)から横ばいだった。国際商品市況の改善や原材料価格の上昇を製品価格に転嫁する動きが続いているものの、勢いは鈍化しつつある。
前月比では横ばいで7カ月ぶりに上昇が止まった。再生可能エネルギー賦課金や燃料費の上昇を受け、電力価格が上昇した。鉄鉱石の値上がりで鉄鋼価格も上がった。半面、4~5月の原油価格の下落を受け、石油・石炭製品が下落した。鉄くずも在庫の積み増しや値上げの一服で下落した。
円ベースの輸出物価は前年比で4.4%上昇し、前月比では1.0%上昇した。輸入物価も前年比で13.5%上昇し、前月比では2.2%上昇した。前年比のみならず前月比でも円安・ドル高が進行し、輸出入物価を押し上げた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目(都市ガスの自由化の影響で前月の746品目から2品目減少)のうち前年比で上昇したのは360品目、下落は283品目だった。上昇と下落の品目差は77品目で、4月の確報値(60品目)から拡大した。
日銀の調査統計局は「企業物価指数は国際商品価格の動向に左右される状況が続いている。各国の政治情勢や地政学リスク、中国の環境規制が商品市況に与える影響を注視したい」との見解を示した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、企業物価(PPI)とも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲1.0%減でしたから、これを下回り、2月+1.5%増、3月+1.4%増の2か月分がほぼ吹っ飛んだことになります。レンジの下限が▲3.5%げんでしたので、ほぼそれに近い印象です。ただ、もともと4~6月期のコア機械受注の見通しは前期比▲5.9%減ですから、こんなもんだという気もします。ですから、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「持ち直しの動きに足踏み」で据え置かれているようです。でも、私の直観ではかなり横ばいに近い印象だという気もします。製造業は1月にドカンと大きく▲10.8%減を記録した後、2月から4月まではさすがに反動増もあって堅調に推移している一方で、非製造業は3~4月の2か月連続で前月比マイナスを続けています。機械受注は短期に振れる指標なので、あくまで印象論であって必ずしも正確とは限りませんが、為替や海外経済に支えられた製造業と伸び悩む内需に依存する非製造業の業況がクッキリと出ている可能性もあります。4月単月の統計ながら、外需が大きく伸びているのもそのあらわれかもしれません。いずれにせよ、全体として機械受注はそのバックグラウンドの設備投資とともに、横ばい圏内ながら堅調な先行きを見込んでいます。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率は先月と同じ+2.1%ですから、引き続き堅調な推移と考えていますが、現在の2%の国内物価上昇率はかなりの部分を国際商品市況における石油価格の上昇の寄与によるものですから、例えば、上のグラフの下のパネルに見られる通り、石油を含む素原材料価格がすでにピークアウトした今後の物価の推移に注目すべきであり、金融政策よりも石油価格の動向に敏感な物価ですから、年度後半には物価上昇率がピークアウトする可能性も否定できません。ただ、5月統計を見る限りは、4月の年度替わりの価格改定期に値上げがいくぶんなりとも浸透し、その流れを引き継いでいるように見受けられます。PPIの外数でSPPIなんですが、運輸サービスなどで順調に価格転嫁が進めば、PPIの上昇やひいては賃金上昇にもプラスなんではないかと私は考えています。

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2017年6月 9日 (金)

昨日公表の景気ウオッチャーと経常収支を振り返る!

いずれも昨日なんですが、内閣府から5月の景気ウォッチャーが、また、財務省から4月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月差+0.5ポイント上昇の48.6を、また、先行き判断DIも前月比+0.8ポイント上昇の49.6を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆9519億円の黒字を計上しています。1日遅れながら、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の街角景気、2カ月連続改善 基調判断は上方修正
内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.5ポイント上昇の48.6だった。上昇(改善)は2カ月連続。生産の好調を映し、企業動向が改善した。内閣府は基調判断を2016年11月以来6カ月ぶりに上方修正した。
部門別にみると、企業動向が前月比3.0ポイント上昇の51.5と2カ月連続で改善した。製造業と非製造業ともに上昇した。街角では「ここ数カ月は前年同月を上回る傾向である」(北陸・食料品製造業)といった声が聞かれた。家計動向は横ばいだった。サービスと住宅は上昇したものの、小売りと飲食が下げた。雇用関連は小幅に低下した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.6と、前の月から0.8ポイント上昇した。上昇は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用の全てが上昇した。家計動向については「東京オリンピックに向けて、インバウンド客も増えており、来客数はまだ伸びそうである」(南関東・一般レストラン)との見方があった。
内閣府は基調判断を「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」から「持ち直しが続いている」に上方修正した。先行きについては「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資などへの期待がみられる」とし、前月までの「コストの上昇に対する懸念」の文言を削除した。
4月の経常収支、1兆9519億円の黒字 10年ぶり高水準
財務省が8日発表した4月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆9519億円の黒字だった。黒字は34カ月連続で、黒字額は前年同月(1兆8161億円)に比べて1358億円拡大した。4月としては2007年(1兆9601億円)以来10年ぶりの高水準で比較可能な1985年以降で過去2番目の大きさだった。旅行収支の黒字が単月として過去最大となり、第1次所得収支の黒字額も拡大した。
貿易収支は5536億円の黒字と前年同月(6825億円の黒字)から黒字幅が縮小した。原油価格の持ち直しを背景に原粗油などが増加し、輸入が14.0%増加した。半導体製造装置などの好調を映し、輸出も10.0%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は2947億円の赤字と前年同月(4113億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が1779億円の黒字と、比較可能な1996年以降で単月としての過去最高を記録した。研究開発費の大口支払い減少で「その他サービス収支」の赤字額が縮小したことも寄与した。
第1次所得収支は1兆8480億円の黒字と前年同月(1兆7452億円の黒字)に比べて黒字額を拡大した。海外子会社から受け取る配当金が増加した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーと経常収支のグラフは下の通りです。

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景気ウォッチャーのグラフでは、現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。経常収支のグラフでは、青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。
景気ウォッチャーについては、順調にマインドが回復していると私も受け止めています。引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府でも基調判断を半ノッチ上方修正しており、ある意味で、当然です。ただ、消費に引き直すとマインドだけでは短期の消費増につながっても、サステイナブルな消費増のためには所得の増加も必要です。

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続いて、上のグラフは、昨日公表されたばかりのGDP統計と経常収支を組み合わせて、経常収支の対GDP比の推移をプロットしています。赤い棒グラフが季節調整済みの経常収支、青い折れ線グラフが経常収支の対GDP比を表しています。極めて大雑把に、経常収支は四半期ベースで5兆円、年ベースで20兆円に回帰しましたので、経常収支の対GDP比は4%くらいに達しています。米国の時の政権の意向によっては、いわゆる貿易摩擦を引き起こしかねない水準に近づいているのかもしれません。

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