2025年12月 8日 (月)

下方修正されマイナス幅が大きくなった7-9月期GDP統計速報2次QE

本日、内閣府から7~9月期GDP統計速報2次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比▲0.6%減、年率換算で▲2.3%減のマイナス成長を記録しています。1次QEから下方改定されており、マイナス成長は6四半期連続ぶりです。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.8%に達しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP2.3%減に下方修正 7-9月改定値、設備投資マイナスに
内閣府が8日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.6%減、年率換算で2.3%減だった。11月発表の速報値(前期比0.4%減、年率1.8%減)から下方修正した。最新の経済指標を反映した結果、設備投資などが下振れした。
1次速報時と同様に、実質ベースでは6四半期ぶりにマイナスに転じた。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値(前期比0.5%減、年率2.0%減)を下回った。民間予測の幅は年率1.6%減~2.4%減だった。
設備投資が速報値の前期比1.0%増から0.2%減とマイナスに転じた。減少となるのは3四半期ぶり。12月発表の法人企業統計など各種統計を反映した。ソフトウエア投資の伸びは速報時の想定より低くなった。
GDPの過半を占める個人消費は0.2%増と速報値から0.1ポイント伸びが高まった。外食など飲食サービスがプラスに寄与し、小幅ながら3四半期連続でのプラスを維持した。
1次速報と同様に住宅投資と輸出が全体を下押しした。
住宅投資は8.2%減だった。4月から住宅の省エネルギー基準が厳しくなり、3月に生じた駆け込み需要の反動減があった。速報値の9.4%減からは上方修正となった。
輸出は速報値と変わらず1.2%減となった。米国による一連の関税引き上げの影響が自動車産業などに表れ、2四半期ぶりのマイナスとなった。
民間在庫は成長率に対して0.1ポイントのマイナス寄与だった。速報値からは0.1ポイント上向きに修正した。
政府消費は0.5%増から0.2%増に見直した。公共投資は速報値の0.1%増から1.1%減とマイナスに転じた。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇した。1次速報時の2.8%上昇から上振れした。
5年に1度実施する基準改定の影響でGDPの実額は上方修正となった。7~9月期は年換算で名目値が665兆97億円となった。1次速報の635兆8225億円から上振れした。ソフトウエア開発などについて調査対象となる会社が広がったことなどが影響した。
実質は年換算で590兆1411億円だった。1次速報では561兆7653億円だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2024/7-92024/10-122025/1-32025/4-62025/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.7+0.3+0.4+0.5▲0.4▲0.6
民間消費+0.5▲0.0+0.7+0.3+0.1+0.2
民間住宅+0.8+0.4▲0.0+0.4▲9.4▲8.2
民間設備+0.6▲0.2+0.2+1.3+1.0▲0.2
民間在庫 *(+0.4)(▲0.4)(+0.6)(▲0.0)(▲0.2)(▲0.1)
公的需要+0.2▲0.2▲0.2+0.2+1.0▲0.2
内需寄与度 *(+0.9)(▲0.5)(+0.9)(+0.4)(▲0.2)(▲0.4)
外需寄与度 *(▲0.2)(+0.8)(▲0.6)(+0.1)(▲0.2)(▲0.2)
輸出+2.2+1.7▲0.1+1.9▲0.3▲0.3
輸入+3.0▲1.9+2.4+1.4▲0.1▲0.4
国内総所得 (GDI)+0.7+0.4+0.1+1.1▲0.3▲0.5
国民総所得 (GNI)+0.6+0.0+0.5+0.7+0.5+0.3
名目GDP+1.1+1.1+0.9+2.1+0.1▲0.1
雇用者報酬+0.3+0.2▲0.7+0.7+0.5+0.2
GDPデフレータ+2.7+3.0+3.6+3.3+2.8+3.4
内需デフレータ+2.4+2.5+3.1+2.6+2.2+2.8

上のテーブルに加えて、需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期のGDP統計速報2次QEの最新データでは、前期比成長率がマイナス成長を示し、赤の民間消費のみがわずかにプラス寄与していますが、緑色の民間住宅や黒の純輸出が大きなマイナスの寄与度を示しているのが見て取れます。なお、今回から最近時点での見やすさを重視したスケールに変更しています。コロナ期の大きな振幅を無視していて、カットされる部分もあります。

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先月11月15日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比▲0.4%減、前期比年率で▲1.8%減のマイナスの成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ▲0.6%減、▲2.3%減に下方修正されています。内需のうち、民間消費と民間住宅が上方修正された一方で、民間設備が大きく下方修正されています。加えて、昨年公表された産業連関表に従って、基準年次が2020年に変更されており、これに従って過去にさかのぼって、かなり大きな改定がなされています。いずれにせよ、内需・外需(純輸出)ともマイナス寄与であり、輸出とそれに起因する民間設備の停滞がマイナス成長の大きな要因となっています。ですから、やっぱり、トランプ関税の影響は大きかった、と私は考えています。加えて、先行きに関しても、米国の自動車関税が15%に設定されますので、その影響はジワジワと出てくると考えるべきです。今年上半期においては、メーカーや商社が関税によるコストアップを価格引下げで応じた結果であり、この対応はいかにも日本的といえますが、決してサステイナブルではありません。ですので、この先には自動車輸出の数量が停滞する局面が待っている可能性は否定できません。ただし、米国がこのままソフトランディングに成功して、景気後退にならなければ、日本も早々景気後退に陥ることはない、と私は楽観しています。いずれにせよ、景気後退ともなれば雇用をはじめとして急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性もあるのではないか、と私は考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は低く、加えて、従来タイプの深刻な景気後退ではない可能性もある、といったところです。

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また、本日、内閣府から11月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.4ポイント低下の48.7で7か月ぶりの低下となり、先行き判断DIも▲2.8ポイント低下の50.3を記録しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直している」で据え置いています。

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さらに、本日、財務省から10月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+2兆8335億円の黒字の黒字を計上しています。7か月連続の黒字です。

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2025年12月 5日 (金)

2か月連続で上昇した10月の景気動向指数CI一致指数

本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+1.8ポイント上昇の110.0を示した一方で、CI一致指数も+0.5ポイント上昇の115.4を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数10月は0.5ポイント上昇、生産寄与し2カ月連続改善=内閣府
内閣府が5日公表した景気動向指数速報(2020年=100)は、足元の景気を示す一致指数が前月比0.5ポイント上昇の115.4と2カ月連続で改善した。基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置いた。
一致指数を構成する各指標のうち、耐久消費財出荷指数や鉱工業生産指数、小売販売額などのプラス寄与が大きかった。乗用車の輸出向け出荷増や国内乗用車の販売増のほか、リチウムイオン電池や自動車部品の出荷増などが要因。一方、有効求人倍率などは指数を押し下げた。
先行指数も前月比1.8ポイント上昇の110.0と6カ月連続で改善した。鉱工業用生産財在庫率指数や新設住宅着工床面積、日経商品指数などが押し上げた。電子部品の在庫減が寄与したほか、4月の省エネ基準厳格化で駆け込み需要の反動減が続いていた新設住宅着工の回復もプラス要因だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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10月統計のCI一致指数は、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、前月から+0.4ポイントの改善が見込まれていましたので、実績の+0.5ポイントの上昇はやや上振れた印象です。また、内閣府の記者発表によれば、3か月後方移動平均は4か月ぶり上昇で前月から+0.37ポイント上昇した一方で、7か月後方移動平均は前月から▲0.05ポイント下降し、こちらは4か月連続の下降となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、5月統計から「下げ止まり」に下方修正されましたが、今月10月統計でも「下げ止まり」に据え置かれています。私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。加えて、長期金利が2%に近づいている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかであり、引き続き、注視する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、耐久消費財出荷指数が+0.36ポイントがもっとも大きく、次いで、生産指数(鉱工業)の+0.23ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.19ポイント、などが上昇の方向で寄与しています。マイナス寄与は、と有効求人倍率(除学卒)が▲0.38ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)が▲0.17ポイント、などとなっています。ついでに、前月差+1.8ポイントと上昇したCI先行指数の上昇要因も数字を上げておくと、鉱工業用生産財在庫率指数が+0.69ポイント、新設住宅着工床面積が+0.62ポイント、日経商品指数(42種総合)が+0.23ポイントなどとなっています。

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2025年12月 4日 (木)

2次QE予想は下方修正だが先行き景気腰折れには至らず

今週12月1日の法人企業統計をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、来週12月8日に、7~9月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である7~9月期ではなく、足元の10~12月期から来年にかけて先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。先行き経済について言及しているシンクタンクはみずほリサーチ&テクノロジーズや第一生命経済研や明治安田総研などであり、特にみずほR&Tは詳細に分析していますので長々と引用してあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、2次QEは法人企業統計のオマケのように扱われている場合も少なくありません。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.4%
(▲1.8%)
n.a.
日本総研▲0.6%
(▲2.4%)
2025年7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が大幅に下方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率▲2.4%(前期比▲0.6%)と、1次QE(前期比年率▲1.8%、前期比▲0.4%)から下振れると予想。
大和総研▲0.5%
(▲1.9%)
2025年7-9月期のGDP2次速報(QE)(12月8日公表予定)では実質 GDP 成長率が前期比年率▲1.9%と、1次速報(同▲1.8%)から小幅に下方修正されると予想する。主因は7-9月期の法人企業統計の結果を受けた設備投資の下方修正だ。
みずほリサーチ&テクノロジーズ▲0.5%
(▲2.2%)
先行きについてみると、米国関税政策が引き続き輸出・生産の重石になり、製造業の業績下押しが設備投資に対し一定の抑制要因になることが見込まれる。他方で、上記の一時的なマイナス要因が剥落することに加え、インフレ率が徐々に減速して個人消費が回復し、10~12月期は実質GDPが再びプラス成長に戻るだろう。
今後、企業による関税コストの価格転嫁は時間をかけて段階的に実施されるとみられる。米国関税政策が輸出のさらなる減少を通じて日本経済を下押しする影響は、長引くものの、各期のインパクトは浅いものにとどまる見込みだ。9月の米国の消費者物価指数は前月比+0.3%と、8月(同+0.4%)から減速した。これまで関税コストの価格転嫁が進んでいなかった衣料品や新車等で物価上昇の動きがみられる一方、既に価格転嫁が進んでいた家具や玩具などは価格上昇が一服している。関税によって米国で急激なインフレが生じるリスクが低下していることに加え、堅調なAI関連投資や株価の上昇による下支えを受けて、米国景気の減速ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。
また、企業業績への影響という点では、円安が関税の悪影響を緩和する要因になろう。輸出企業の採算円レート(輸出企業全体で130.1円/ドル、輸送用機器で124.7円/ドル)に比べ、本稿執筆時点のドル円相場(1ドル=156円程度)は輸出企業全体で約20%、輸送用機器で約25%の円安水準にある。もちろん、円安は内需に依存する非製造業や中小企業などで原材料コストの上昇を通じ業績の下押し要因になる面もあるが、原油安による交易条件の改善も相まって、全体としてみれば企業業績は持ちこたえる可能性が高い。その結果、設備投資は増加基調を維持し、2026年にかけて賃上げ気運も継続するだろう。2026年の春闘賃上げ率は2025年対比でやや鈍化するものの、5%前後の高い水準で着地すると予想する(厚生労働省・主要企業ベース)。
個人消費については、実質賃金の改善が回復をけん引する要因になるとみている。人手不足感の強まりに加えて、米国関税政策の悪影響の中でも企業業績が持ちこたえている状況を受けて、冬のボーナスは増勢を維持する見込みだ。みずほリサーチ&テクノロジーズでは、冬の民間企業の一人当たりボーナス支給額が前年比+2.2%と、昨冬から伸びが鈍化するものの冬としては5年連続で前年比プラスになると予想している。また、物価面では食料インフレが徐々に鈍化することが見込まれ、実質賃金の改善に寄与するだろう。
その他の消費関連指標をみても、10月の消費者態度指数や景気ウォッチャー調査における現状判断DIが改善傾向で推移している。インフレ率の減速に加え、株高による消費者マインドの改善も押し上げ要因になり、個人消費は緩やかながらも回復傾向が継続するだろう。
以上を踏まえ、日本経済は前述したとおり関税影響が重石になるものの、現時点では景気後退入りを回避できる公算が大きいとみている。
ニッセイ基礎研▲0.6%
(▲2.2%)
12/8公表予定の25年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.6%(前期比年率▲2.2%)となり、1次速報の前期比▲0.4%(前期比年率▲ 1.8%)から下方修正されると予想する。
第一生命経済研▲0.5%
(▲2.2%)
住宅投資の落ち込みに歯止めがかかることや設備投資の増加によって10-12月期のGDP成長率はプラスに転じるとみられるが、輸出の下押しが影響することで、7-9月期の落ち込みと比べると小幅な持ち直しにとどまると予想している。牽引役に欠けるなか、年度下期の日本経済は緩やかな持ち直しにとどまる可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.5%
(▲1.9%)
2025年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-0.5%と1次速報値の同-0.4%からやや下方修正される見込みである(前期比年率換算値では-1.8%から-1.9%に下方修正)。修正幅は小さく、「下振れ懸念が強まる中にあっても景気の持ち直しの動きは維持されている」との景気判断を修正する必要はないであろう。
明治安田総研▲0.5%
(▲2.1%)
先行きに関して、個人消費は、12月に実質賃金のプラス転換が予想されるものの、伸び幅は限定的で力強さを欠く可能性が高い。また、米国の関税政策は引き続き自動車を中心に輸出の下押し圧力になるとみられる。一方、7-9月期の住宅投資の落ち込みは、建築基準法改正を前にした3月の着工件数急増の反動がタイムラグをもって顕在化したことが主因であり、一時的である可能性が高い。加えて、継続的な省力化投資が後押しするかたちで設備投資が堅調に推移すると見込まれることから、年度後半の日本景気は緩慢ながらも回復基調を維持すると予想する。
東京財団+0.05%
(+0.20%)
2025年10-12月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、0.05%と予測。※年率換算: 0.20%

一応、ご注意まで、私のテーブルの作成が判りにくくて申し訳ありませんが、最後の東京財団のナウキャスティングは2次QEの対象期間である7~9月期ではなく、足元の10~12月期の予想です。
月曜日の12月1日に法人企業統計を取り上げた際にも指摘しましたが、設備投資をはじめとして小幅に下方修正の可能性が高いと私は考えています。大雑把に、各シンクタンクとも私と同じ趣旨の予想だという気がします。ということで、先行きの日本経済について考えると、私は景気拡大が後半に入ったことを認識しつつも、繰り返し、米国経済が景気後退に陥らずにソフトランディングするとすれば、日本経済もそう簡単には景気後退に入らない、との見方を示してきました。しかし、今春あたりから、前半の米国経済に関する前提が崩れつつあるように感じて、もしも、米国経済が今年後半ないし来年早々に景気後退に入るとすれば、日本もご同様であろう、と考えるように改めましたが、ふたたび、やっぱり、米国経済が景気後退に陥らずにソフトランディングするとすれば、日本経済もそう簡単には景気後退に入らない、との見方に戻りつつあります。少なくとも、日本経済については足元の10~12月期はプラス成長に戻る可能性が十分あり、来年2026年からさ来年2027年にかけてならせば、潜在成長率見合いの+0.5~1.0%のレンジの緩やかな成長が続く、と国際通貨基金(IMF)や経済開発協力機構(OECD)は見込んでいるようです。いつも通り、ケインズ卿の言回しで "When the facts change, I change my mind. What do you do, sir?" というのを上げておきます。
最後に、下のグラフはみずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。消費をはじめとして内需が軒並みマイナス成長で、しかも、純輸出=外需もマイナス成長である中で、公的需要だけがプラス寄与しています。マクロ経済安定化政策のあるべき姿であろうと思います。

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2025年12月 3日 (水)

OECD「経済見通し」では世界経済の成長率見通しは据置き

日本時間の昨日12月2日、先進国が加盟しパリに本部のある国際機関である経済協力開発機構(OECD)からOECDの「経済見通し」OECD Economic Outlookが公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は今年2025年+3.1%、来年2026年+2.9%と、9月時点の見通しから変化なく、新たに公表されたさ来年2027年は+3.1%を見込んでいます。今どきのことですから、pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、OECDのサイトからリポートの Introduction を引用すると下の通りです。

Introduction
The global economy has proved more resilient than expected this year, supported by improved financial conditions, rising AI-related investment and trade, and macroeconomic policies. However, underlying fragilities are increasing. Labour markets are showing first signs of weakening despite the OECD unemployment rate steady at 4.9%, with job vacancies falling below their 2019 average in many countries and confidence softening. Risks around the outlook remain significant, including the prospect of further trade barriers, a potential sharp repricing of risk in financial markets, potentially amplified by stresses in leveraged non-bank financial institutions and volatile crypto-asset markets. Lingering fiscal concerns could lead to further increases in long-term bond yields, which may tighten financial conditions and elevate debt-service burdens, potentially weighing on economic growth.

続いて、OECDのツイッタのサイトから Real GDP growth projections を引用すると下の通りです。

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見ての通りなのですが、我が日本の成長率は今年2025年+1.3%の後、来年2026年、さ来年2027年ともに+0.9%と潜在成長率見合いの着実な成長が見込まれています。何分、マクロ経済見通しという広い範囲のトピックですので、的を絞って、AIをはじめとするテック関係やICT投資に関連するグラフをリポートから、いくつか取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから Figure 1.3. Strong tech-related demand is supporting trade, particularly in Asia を引用しています。Introduction でも言及されているように、世界経済の好調さの背景には金融環境の改善、AI関連投資と貿易の増加、そしてマクロ経済政策があります。上のグラフはそのうちの貿易の増加がAI関連により、特にアジアで伸びていることを示しています。

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続いて、上のグラフはリポートから Figure 1.4. Strong ICT investment has supported economic growth を引用しています。国別では米国でICT投資が進んでおり、時期的には最近の今年2025年上半期に伸びていることが示されています。

最後に、物価上昇率の見通しについて、消費者物価のヘッドライン上昇率は、OECD加盟国では今年2025年+4.2%、来年2026年+3.5%、さ来年2027年+2.8%と見込まれていますが、日本についてはこれよりかなり低く、今年2025年+3.2%、来年2026年2.2%、さ来年2027年+2.1%と緩やかに日銀物価目標の+2%に低下していくパスを想定しているようです。

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2025年12月 2日 (火)

さらに上昇して持ち直しが続く11月の消費者態度指数

本日、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。11月統計では、前月から+1.7ポイント高い37.5を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

11月消費者心理、4カ月連続改善 基調判断「持ち直している」維持
内閣府が2日発表した11月の消費動向調査で、消費者態度指数(2人以上世帯、季節調整値)は前月より1.7ポイント高い37.5だった。4カ月連続で改善した。基調判断は「持ち直している」で据え置いた。
11月6~20日に調査した。指数を構成する4項目すべてが4カ月連続で前月から上昇した。「耐久消費財の買い時判断」は2.0ポイント、「暮らし向き」は1.9ポイント上がった。
株式や土地などの値動きを聞いた「資産価値」についても0.3ポイント上がり、7カ月連続で上昇した。
1年後の物価が「上昇する」とする回答は依然として9割を超えた。このうち「5%以上」を見込む割合は前月から5.8ポイント低下し、44.7%となった。2024年8月以来の低い水準で、内閣府の担当者は「コメや野菜の価格高騰が一時期より落ち着いたことが背景にあるのではないか」と指摘した。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「耐久消費財の買い時判断」が+2.0ポイント上昇して30.9、「暮らし向き」が+1.9ポイント上昇し36.2、「雇用環境」が+1.6ポイント上昇して41.7、「収入の増え方」が+1.0ポイント上昇し41.0と、消費者態度指数を構成する4項目すべてが上昇しました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直している」で据え置いています。先月10月統計で上方修正してから、2か月連続の「持ち直している」という判断です。私が従来から主張しているように、いくぶんなりとも、消費者マインドは物価上昇=インフレに連動している部分があります。総務省統計局による消費者物価指数(CPI)のヘッドライン上昇率は、今年2025年に入ってから1月+4.0%をピークに徐々に低下を続けており、8月+2.7%まで減速したのに続いて、9月+2.9%、10がつ+3.0%と小幅に加速し、依然として+2%の日銀物価目標を越えていますが、この半年ほどでやや落ち着きを取り戻し始めています。インフレとデフレに関する消費行動は、1970年代前半の狂乱物価の時期は異常な例としても、1990年代後半にデフレに陥る前であれば、インフレになれば価格が引き上げられる前に購入するという消費者行動だったのですが、バブル経済崩壊後の長い長い景気低迷機を経て、物価上昇により実質所得の減少が目立って実感されるようになったのか、消費者が買い控えをする行動が目につくように変化したのかもしれません。
また、引用したキジでも言及されているように、物価上昇に伴って注目を集めている1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が10月統計の50.5%から、11月統計では44.7%に低下しています。今年2025年4月には60%に達していたことを考えれば、徐々に割合が低下してきたことは事実です。他方で、2%以上5%未満物価が上がるとの回答が34.6%を占めており、これらも含めた物価上昇を見込む割合は90.6%と高い水準が続いています。引用した記事の最後のパラにもあるように、コメ価格の落ち着きが背景にあっても、まだ、物価上昇への危惧は払拭されていません。

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2025年12月 1日 (月)

7-9月期法人企業統計で米国関税の影響は大きくはないがゼロではない

本日、財務省から7~9月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で見て、売上高は前年同期比+0.5%増の379兆431億円、経常利益は+19.7%増の27兆5385億円に上っています。さらに、設備投資も+2.9%増の13兆8063億円を記録しています。ただし、この設備投資を季節調整済みで見ると、GDP統計の基礎となる系列については前期比▲1.4%減となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

全産業の経常利益19.7%増、7-9月法人企業統計 AI関連需要がけん引
財務省が1日発表した7#xFF5E;9月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は前年同期比19.7%増の27兆5385億円だった。4四半期連続のプラスとなった。人工知能(AI)関連の需要がけん引した。自動車などは米国による関税引き上げの影響が残る。
法人企業統計は上場企業に限らず日本企業全体の動向を調べている。全産業の経常利益は7#xFF5E;9月期としては過去最高となった。
業種別に経常利益を見ると、製造業は23.4%増と3四半期ぶりにプラスに転じた。電気機械が87.5%増と押し上げた。AI関連の高性能半導体の試験装置や、データセンター向けの電源装置などが好調だった。生産用機械も65.9%増と増益を支え、半導体製造装置の需要増があった。
一方で自動車など輸送用機械は14.0%減だった。内視鏡など業務用機械も15.2%減となり、財務省はいずれもトランプ米政権による関税政策の影響を受けたと説明する。
非製造業は17.6%の増益だった。サービス業は31.8%増で飲食・サービス業や宿泊業での客数の増加や客単価の上昇が主因となった。48.6%増となった建設業では大型工事の受注などがけん引した。
設備投資は全産業で2.9%増と3四半期連続のプラスとなった。脱炭素への対応や生産能力の増強が進んだ鉄鋼が36.9%増だったほか、情報通信業は26.8%増でAIやデータセンター向けが伸びた。

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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法人企業統計の結果について、基本的に、企業業績は好調を維持していると考えるべきです。まさに、それが昨年来の株価に反映されているわけで、東証平均株価については、トランプ関税で揺れた4月初旬は33,000円台まで落ちましたが、その後は回復して7月下旬からは4万円台、さらに最近では5万円を超えるような水準を続けています。ただし、個人消費などと違って、企業業績は基本的に好調を維持しているものの、引用した記事にもあるように、米国の関税政策の影響は微妙であり、もちろん、ゼロではありません。特に、輸出に依存する割合の高い製造業では停滞感が大きくなっているのも事実です。加えて、法人企業統計の売上高や営業利益・経常利益などはすべて名目値で計測されていますので、物価上昇による水増しを含んでいる点は忘れるべきではありません。ですので、数量ベースの増産や設備投資増などにどこまで支えられているかは、現時点では明らかではありません。来週のGDP統計速報2次QEを待つ必要があります。先行きの景気への影響という点に関しては製造業、中でもトランプ関税の影響の大きい自動車産業の動向が今後一段と悪化する可能性が高いと考えられますから、こういった輸出産業に注目すべきであろうと考えます。前期の4~6月期から今期の7~9月期に関しては、自動車などの製造業の停滞を非製造業がカバーする形になりましたが、先行きの景気のサステイナビリティはそれほど高くないと覚悟しておくべきです。さらに、売上や利益といった景気動向から設備投資に着目すると、同様に、米国関税政策の影響が現れ始めている印象があります。季節調整していない原系列の統計の前年同期比で見ても、設備投資は4~6月期の+7.6%増から7~9月期には+2.9%増に伸びが鈍化していますし、季節調整済みの系列では7~9月期は▲1.4%減となっています。景気動向に関しては自動車をはじめとする製造業に注目しつつ、設備投資動向に関しては人手不足による影響が大きい非製造業、中でも、比較的労働集約的な業種の動向が注目されます。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金、最後の4枚目は人件費と経常利益をそれぞれプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。人件費と経常利益も額そのものです。利益剰余金を除いて、原系列の統計と後方4四半期移動平均をともにプロットしています。見れば明らかなんですが、コロナ禍を経て労働分配率が大きく低下を示しています。もう少し長い目で見れば、デフレに入るあたりの1990年代後半からほぼ一貫して労働分配率が低下を続けています。そして、現在でも労働分配率の低下は続いています。いろんな仮定を置いていますので評価は単純ではありませんが、デフレに入ったあたりの1990年代後半の75%近い水準と比べて、最近時点では▲20%ポイント近く労働分配率が低下している、あるいは、コロナ禍の期間の65%ほどと比べても▲10%ポイントほど低下している、と考えるべきです。名目GDPが約600兆円として50-100兆円ほど労働者から企業に移転があった可能性が示唆されています。加えて、昨年2024年や今年2025年の春闘では人口減少下の人手不足により賃上げ圧力が高まった結果として、労働分配率が下げ止まった可能性が示唆されていしたが、統計を見る限り決してそうはなっていません。昨年今年と春闘ではあれだけの賃上げがありながら、まだ労働分配率は低下し続けている可能性が高いと考えるべきです。しかも高インフレが続いており、これでは消費は伸びません。日本経済の成長には大きなマイナス要因だと私は考えています。設備投資/キャッシュフロー比率も底ばいを続けています。DXやGXに対応した設備投資の本格的な増加が始まったことが期待される一方で、決して楽観的にはなれません。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金はまだまだ伸びが続いています。また、4枚めのパネルにあるように、直近統計で2020年くらいからは、人件費の伸びが高まっている可能性が見て取れますが、人件費以上に経常利益が伸びているのがグラフの傾きから明らかです。労働分配率の低下と整合的なデータであると考えるべきです。加えて、米国の関税などを考慮すると、現時点では人件費の伸びが続くかどうかは不明です。アベノミクスではトリクルダウンを想定していましたが、企業業績から勤労者の賃金へは滴り落ちてこなかった、というのがひとつの帰結といえます。勤労者の賃金が上がらない中で、企業業績だけが伸びて株価が上昇する経済が終焉して、資本分配率が低下して労働分配率が上昇することにより、諸外国と比べても高いインフレにならずに日本経済が成長するパスが実現できる可能性が生じており、それは中期的に望ましい、という私の考えは代わりありません。

本日の法人企業統計を受けて、来週12月8日に7~9月期のGDP統計速報2次QEが内閣府から公表される運びとなっています。私は1次QEから設備投資をはじめとして下方修正され、成長率のマイナス幅が拡大する可能性が高いと考えていますが、日を改めて取り上げたいと思います。

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2025年11月28日 (金)

増産となった鉱工業生産指数(IIP)と拡大続く商業販売統計と底堅い雇用統計

本日は月末閣議日ということで、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、さらに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも10月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+1.4%の増産でした。2か月連続の増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の13兆0520億円を示し、季節調整済み指数は前月から+1.6%の上昇となっています。雇用統計のヘッドラインは、失業率は前月から横ばいの2.6%、有効求人倍率は前月からやや低下して1.18倍を、それぞれ記録しています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産10月は1.4%上昇、2カ月連続プラス 自動車増産が寄与
経済産業省が28日公表した10月の鉱工業生産指数速報(2020年=100)は前月比1.4%上昇し2カ月連続のプラスとなった。自動車の増産が寄与した。ロイターがまとめた民間予測中央値の0.6%低下に反する結果となった。生産の基調判断は「一進一退」で据え置いた。
自動車工業は前月比6.6%増で0.83ポイント指数を押し上げた。普通乗用車が米国向けなどの輸出増を背景に、軽乗用車は新型車の出荷増により、それぞれ増えた。リチウムイオン電池や航空機用発動部品なども増加した。
半面、指数を押し下げた業種は電子部品・デバイス(前月比6.7%減)など。品目別では記録媒体SSD向け半導体メモリーの生産が減ったほか、コンベヤー、運搬用クレーン、印刷用紙、製紙パルプなども減少した。
企業の生産計画に基づく予測指数は、11月が前月比1.2%の低下、12月が同2.0%低下となっている。生産計画は上振れ気味となる傾向があり、これを補正した11月予測の試算値は前月比2.6%低下となった。
生産計画を上方修正した企業よりも下方修正した企業の割合が多く、企業の間では、「米関税含め先行きを懸念する声が多く、海外需要も強くない」(経産省)とみる向きも多いようだ。また、足元の日中関係悪化との関連は不明だが「レアアースなど(重要部材の)供給リスクを懸念する声」(同)があった。
小売販売額10月は前年比1.7%増、PCなど家電増・食品はマイナス
経済産業省が28日公表した10月の商業動態統計速報によると小売販売額は前年比1.7%増の13兆0520億円だった。ロイター集計の民間予測は同0.8%増でこれを上回った。パソコンや暖房器具の販売が増えた一方、食品の販売点数減少が響いた。
<飲食料品、販売点数減少でマイナス>
業種別の前年比は、家電などの機械器具が8.0%増、ドラッグストアなど医薬品・化粧品が5.1%増、自動車4.8%増など。一方、ガソリンなど燃料は3.3%減、織物・衣服1.7%減、飲食料品0.2%減だった。ウィンドウズ10のサポート終了の関連需要が続いたパソコンのほか、暖房器具、軽自動車の新型車投入効果などが寄与した。飲食料品は販売点数の減少が響き、3カ月連続のマイナスだった。
業態別の前年比では、家電大型専門店が11.0%増、ドラッグストアが6.0%増、スーパー5.5%増、百貨店4.0%増、コンビニエンスストア2.6%増、ホームセンターが0.2%増だった。
ドラッグストアはコメや調剤医薬品が伸びた。スーパーは「価格上昇が寄与したが、販売点数は減少傾向」(経産省)という。コンビニは気温低下でホットコーヒーやおでんが好調だった。
完全失業率10月は2.6%、雇用情勢底堅く 有効求人倍率は1.18倍に低下
政府が28日に発表した10月の雇用関連指標は、完全失業率が季節調整値で2.6%となり、3カ月連続で同水準だった。就業者数が女性を中心に増加しており、総務省は雇用情勢は引き続き悪くないとの見方を示している。一方、有効求人倍率は前月に比べて0.02ポイント低下の1.18倍で、2021年12月(1.17倍)以来の低い水準だった。
ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.20倍が見込まれていた。
総務省によると、10月の就業者数は季節調整値で6846万人と、前月に比べて12万人増加。完全失業者数(同)は185万人で、前月から4万人増加した。
女性の正規の職員・従業員数(実数)は1380万人で、比較可能な2013年1月以降で過去最多となった。担当者は、社会で女性が働く環境の整備が進んできたことも一因にあるとみている。
仕事をしておらず、探してもいない「非労働人口」に区分されていた人々が、職に就いたり仕事を探したりするようになり、労働市場のパイが拡大している。総務省の担当者は「雇用情勢は引き続き悪くない」との認識を示している。
<求人数が減少>
厚生労働省によると、有効求人数(季節調整値)は前月に比べて1.8%減少。省人化の取り組みや最低賃金の引き上げの影響などで求人を見直す動きがみられた。事業者からは求人を出しても人手が埋まらないという「求人疲れ」の声も聞かれた。
有効求職者数(同)は0.003%減少した。ほぼ横ばいの状況だが、最低賃金の引き上げに伴い、いわゆる「年収の壁」を超えないように調整する動きもみられるという。有効求人倍率は、仕事を探している求職者1人当たりに企業から何件の求人があるかを示す。3年10カ月ぶりの低水準となったものの、引き続き1倍は上回っており、厚労省の担当者は「雇用情勢が悪化しているとはみていない」とした。
大和証券の鈴木雄大郎エコノミストはインバウンド需要に陰りがみられていることに加え、日中関係の悪化に伴い、中国からの観光客の減少が懸念されていると指摘。「人手不足感の強い宿泊業・飲食サービス業などの対個人関連サービスの業種を中心に労働需給が緩む可能性がある。こうしたことも、一段と求人を減らす要因となりうる」との見方を示している。

いくつかの統計をまとめて取り上げましたので、とてつもなく長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事でもロイター調査による市場の事前コンセンサスは▲0.6%の減産とありますし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも同じく▲0.6%の減産が予想されていました。いずれにせよ、実績である+1.4%の増産は市場予想からかなり上振れした印象です。特に、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限が+0.3%でしたので、ややプライズとして受け止められています。ただし、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。昨年2024年7月から1年余り連続の据置きです。先行きについては記事にもある通り、製造工業生産予測指数を見ると、足下の11月は補正なしで▲1.2%の減産、翌12月も▲2.0%の減産となっています。上方バイアスを除去した補正後では、足元の11月の生産は▲2.6%の減産と試算されています。
経済産業省の解説サイトによれば、10月統計における生産は、増産方向に寄与したのは自動車工業が前月比+6.6%増で+0.83%の寄与度、電気・情報通信機械工業が前月比+4.2%増で+0.35%の寄与度、輸送機械工業(除く、自動車工業)が+5.8%増で+0.17%の寄与度、などとなっています。他方、減産方向に寄与したのは、電子部品・デバイス工業が前月比▲6.7%減で▲0.42%の寄与度、汎用・業務用機械工業が▲1.8%減で▲0.13%の寄与度、パルプ・紙・紙加工品工業が前月比▲1.0%減で▲0.02%の寄与度、などとなっています。引用した鉱工業生産(IIP)に関する記事の最後のパラで、需給両面の不安要素が並べてありますが、普通乗用車が米国向け輸出で伸びていますから、本日公表の10月統計を見ている限り、米国の関税政策の影響はそれほど大きくない、ということになるのかもしれません。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、8月統計こそ猛暑による外出手控えなどの影響で伸びがマイナスにを記録しましたが、9月統計では+0.2%、本日公表の10月統計でも+1.7%に戻っています。引用した記事にある通り、実績の+1.7%像はロイターによる市場の事前コンセンサス+0.8%を上回っています。季節調整済み指数の前月比も+1.6%を記録しています。ただし、統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の10月統計までの3か月後方移動平均の前月比が+0.3%の上昇となり、先月9月統計で下方修正した「弱含み傾向」に据え置いています。加えて、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、10月統計ではヘッドライン上昇率、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率ともに+3.0%となっていますので、前年同月比がプラスであるとはいえ、10月統計の実質消費はマイナスの可能性が高いと考えるべきです。さらに考慮しておくべき点は、国内需要ではなく海外からのインバウンド観光客により、部分的なりとも小売業販売額の伸びが支えられている可能性です。このインバウンド消費を考え合わせると、国内消費の実態は本日の統計に示された小売業販売額のマイナス以上のマイナスとなっている可能性は考慮しておかねばなりません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの統計であり影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事にもあるように、ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.20倍が見込まれていましたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、失業率が2.5%有効求人倍率は1.20倍でした。本日公表された実績で、失業率2.6%、有効求人倍率1.18倍はともに、ロイターによる市場の事前コンセンサスを下回り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのほぼ下限といえますが、引用した記事の最初のパラにあるように、総務省統計局の見方に従って、雇用情勢は引き続き悪くなく、雇用は底堅いとの記事に仕上がっています。というのは、失業率が上昇している背景を考えると、確かに失業者数が増加していて、季節調整していない原系列の統計で見て、失業者数は8月が前年同月から+7万人増、9月+11万人増、10月13万人増となっている一方で、就業者数は8月+20万人増の後、9月+49万人増、10月も+52万人増と、ともに失業者数の増加を超えて増加しています。では何が起こっているのかというと、非労働力人口が減少しています。8月は前年同月から▲52万人減となった後、9月▲83万人減、10月も▲87万人減を記録しています。ですから、専業主婦や高齢者、だけとは限りませんが、労働市場に参入していなかった非労働力人口が労働市場に参入して、就業者と失業者ともに増加させている、というわけです。基本は、春闘における賃上げによる就業意欲が高まり、賃金上昇に伴って労働市場への参入が増加している、と考えるのが伝統的な経済学の見方であろうと思います。何といっても、失業率はまだ2%台半ばですし、有効求人倍率は1を超えています。

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2025年11月27日 (木)

関税を引き上げると物価上昇率が低下する?

米国のサンフランシスコ連銀から What Is a Tariff Shock? Insights from 150 years of Tariff Policy と題するワーキングペーパーが明らかにされています。現在のトランプ大統領による関税政策を分析する一環として、連銀ですから物価などに焦点を当てた150年にわたる関税ショックを分析し、何と、世間一般でいわれているような関税の物価押上げ効果ではなく、逆に関税率の引上げが物価を沈静化させる、という結論を導いています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、サンフランシスコ連銀のサイトから Abstract を引用すると次の通りです。

Abstract
In this paper we exploit 150 years of tariff policy in the US and abroad to estimate the short-run effects of tariff shocks on macro aggregates. A careful review of the major changes in US tariff policy since 1870 shows no systematic relation between the state of the cycle and the direction of the tariff changes, as partisan differences on the effects and desirability of tariffs led to opposite policy responses to similar economic conditions. Exploiting this quasi-random nature of tariff variations, we find that a tariff hike raises unemployment (lowers economic activity) and lowers inflation. Using only tariff changes driven by long-run considerations-a traditional narrative identification-gives similar results. We also obtain similar results if we restrict the sample to the modern post World War II period or if we use independent variation from other countries (France and the UK). These findings point towards tariff shocks acting through an aggregate demand channel.

要するに、11月15日付けの Fortune 記事 "Fed researchers say tariffs actually lower inflation - because they're demand shocks that slam employment and economic activity" で報じられているように、関税が需要ショックとなって雇用と経済活動を停滞させるからインフレが抑制される、ということです。リポート p.13 にある Figure 4: Tariff changes and the economy, United States を引用すると次の通りです。

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左の列の2つのグラフが、関税ショックの当該年と翌年のインフレへの影響、右の列は同じく失業率への影響となっています。グラフから明らかなように、関税ショックによりインフレ率は低下し、失業率は上昇する、というわけです。にわかには肯定し難い気もしますが、150年の期間のエピソードにはいろいろあって、スムート-ホーリー関税法=Smoot-Hawley Tariff Actも含まれているわけで、ひょっとしたら、そうなのかもしれないと思わないでもないのですが、まさか、米国連邦準備制度理事会(FED)の一翼を担うサンフランシスコ連銀が関税率引上げを肯定するかのような分析結果を出すとは思いもしませんでした。

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2025年11月26日 (水)

10月の企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率は+2%台に減速

本日、日銀から10月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月8月の+2.7%から、9月は+3.0%と4か月ぶりにふたたび+3%台を記録しています。ただ、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は+2.9%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格10月は+2.7%、日中関係悪化で懸念の声も
日銀が26日に公表した10月の企業向けサービス価格指数(速報)は、前年比2.7%上昇し、伸び率は前月の3.1%を下回った。昨年10月の値上げの反動で、郵便・信書便の上昇率が大幅に縮小したことが要因。前月比では0.6%上昇した。
高市早苗首相の存立危機事態を巡る発言で日中関係が急速に悪化し、調査対象先からは今後宿泊キャンセルが出ることへの懸念の声が出ており、日銀担当者は宿泊サービスの価格動向を注目点に挙げた。
内訳では「運輸・郵便」が2.0%上昇で、前月の3.6%上昇を下回った。このうち、郵便・信書便は前年比変わらずとなり、前月の24.5%上昇から失速した。このほか、外航貨物輸送は4.1%下落で前月の4.0%上昇から下落に転じた。外航貨物輸送(除く外航タンカー)では、運賃に含まれる燃料油価格が上昇した前年同月の反動が見られた。
一方で、「諸サービス」のうち、宿泊サービスは18.1%上昇と、伸び率は前月の11.1%を上回った。大阪・関西万博の閉幕直前で駆け込み需要が高まるもとで、インバウンド需要の増勢が再び強まってきている。
日銀担当者は今後の注目点として、中国人旅行客の減少が、宿泊サービスなどインバウンド需要の増勢を受けてこれまで力強い伸びを示してきたサービス価格に及ぼす影響を挙げた。現時点でデータとして具体的に出てきているわけではないが「調査先からは、この先キャンセルが出てくるのではないかと懸念する声が聞かれている」という。11月速報、12月速報で影響が出てくる可能性があり、注視していきたいとしている。
調査対象146品目のうち、上昇は109、下落は20でその差は89。前月の98より少なかった。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では、「高人件費率サービス」が3.0%上昇と前月の3.4%上昇を下回った。郵便・信書便の伸び率大幅縮小が要因。半面で、「低人件費率サービス」は2.4%上昇で伸び率は前月と変わらなかった。

注目の物価指標だけに、やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、今年2025年6月統計で+2%台に減速し、6~10月の5か月連続で+2%台を記録しています。他方、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)は、指数水準としてコンスタントに上昇を続けている一方で、今年2025年年央までは国内企業物価指数ほど上昇率が大きくなかったのが見て取れます。企業向けサービス価格指数(SPPI)のヘッドラインの前年同月比上昇率は、PPI国内物価と同様に6~8月統計で3か月連続で+2%台後半となった後、9月統計で再び+3%に上昇率が加速した後、本日公表の10月統計では+2.7%を記録しています。まだ、日銀物価目標の+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、+3%前後の高い上昇率はデフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ても、低人件費比率のサービス価格であっても+2%超の上昇率を示しており、高人件費率のサービスでは+3%台の上昇率となっています。すなわち、人件費をはじめとして幅広くコストアップが価格に転嫁されている印象です。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っており、国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された10月統計のヘッドラインSPPI上昇率+2.7%への寄与度で見ると、宿泊サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.35%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率のほぼ半部を占めています。加えて、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.65%、さらに、道路貨物輸や国内航空旅客輸送や旅行サービスなどの運輸・郵便が+0.33%、ほかに、不動産+0.24%、リース・レンタルが+0.08%、金融・保険が+0.05%などとなっています。

先行きの企業向けサービス価格について考えると、引用した記事の5パラ目にあるように、中国人旅行客の減少がもし大きくなれば、宿泊サービスをはじめとしたサービス価格にも影響が出る可能性は否定できません。

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2025年11月25日 (火)

BREXIT による英国経済への影響

全米経済研究所(NBER)から "The Economic Impact of Brexit" と題するワーキングペーパーが報告されています。タイトル通りに、英国のEU離脱=BREXITが英国経済に及ぼした影響を分析しています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトからABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
This paper examines the impact of the UK's decision to leave the European Union (Brexit) in 2016. Using almost a decade of data since the referendum, we combine simulations based on macro data with estimates derived from micro data collected through our Decision Maker Panel survey. These estimates suggest that by 2025, Brexit had reduced UK GDP by 6% to 8%, with the impact accumulating gradually over time. We estimate that investment was reduced by between 12% and 18%, employment by 3% to 4% and productivity by 3% to 4%. These large negative impacts reflect a combination of elevated uncertainty, reduced demand, diverted management time, and increased misallocation of resources from a protracted Brexit process. Comparing these with contemporary forecasts - providing a rare macro example to complement the burgeoning micro-literature of social science predictions - shows that these forecasts were accurate over a 5-year horizon, but they underestimated the impact over a decade.

当然のことながら、BRXITは英国経済にマイナスの影響を及ぼしたわけで、リポートから Figure 8: Estimated impact of Brexit を引用すると次の通りです。

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見れば判りますが、左上がGDP、右上が投資、左下が雇用、右下が生産性、のそれぞれに対するBREXITの影響をミクロとマクロで推計しています。繰り返しになりますが、BRXITは英国経済にマイナスの影響を及ぼしたわけで、方向は明らかなのですが、それを経済指標ごとに定量的に把握する点にこの論文の価値があると考えるべきです。加えて、英国の多くの有権者は、BREXITが英国経済にマイナスに影響があることは十分に理解していたと私は考えますが、そういった経済的な損失を上回る何らかの利得があると考える人が多かったのが、投票結果につながったのだろうと理解すべきです。

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