2021年2月28日 (日)

「レポート 2030: グリーン・リカバリーと2050年カーボン・ニュートラルを実現する2030年までのロードマップ」やいかに?

2050年カーボン・ニュートラルを目指した日本版のグリーン・ニューディール≅グリー・リカバリーを提言するリポート「レポート 2030: グリーン・リカバリーと2050年カーボン・ニュートラルを実現する2030年までのロードマップ」が2月25日に明らかにされています。取りまとめに当たったのは「未来のためのエネルギー転換研究グループ」であり、数名の研究者から構成されています。2月25日には、サイトもオープンされ、ウェビナーも開催されています。なお、未来のためのエネルギー転換研究グループのメンバーはサイトで明らかにされています。

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上の画像は、リポートの要約の冒頭に置かれているINFOGRAPHICSです。縮小しているので見にくいかもしれませんが、現時点の2021年の左下からロードマップが伸びていて、右上の2050年カーボン・ニュートラルにつながっています。グリー・リカバリーとは私は聞き慣れない表現だったんですが、グリーン・ニューディールとほぼ同じ意味で使われているようです。原子力発電は2030年にはすでにゼロとし、2050年には再可能エネルギーが100%を占めます。当然です。累積の投資額は2030年までに202兆円、2050年までに340兆円に上り、雇用創出数は2030年までに2544万人に達します。なお、エコノミストとして気になる財源については、2030年までの総額約202兆円(年平均約20兆円)の投資資金のうち、パフォーマンス型の支援制度(FITのような制度)や省エネ規制、環境税のようなインセンティブ制度や公的融資制度などを整備すれば、大部分(年平均約15兆円)については民間企業や家計が自己資金や借り入れでまかなうことができ、必ずしも巨額の公的資金を投じる必要はなく、51兆円(年平均5兆円)程度がエネルギー供給インフラ等に対する財政支出となる、と試算しています。公的資金の取り扱いに関しては、3つのオプションが示されています。
データをはじめとする資料や参考文献まで含めると100ページを超えるリポートであり、エコノミストの私から見れば専門外の部分も多々あって、なかなかすべてを正確に評価することもできませんが、とても気にかかるリポートであることは事実です。しかし、理由は不明ながら、ほとんどメディアでは報じられていません。ぜひとも、多くの方に知って欲しいと私は考えています。

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2021年2月26日 (金)

増産を示した鉱工業生産指数(IIP)と減少した商業販売統計の違いやいかに?

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+4.2%の増産でした。商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲2.4%減の12兆970億円、季節調整済み指数では前月から▲0.5%の低下を記録しています。消費の代理変数である小売販売額は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の第3波の感染拡大による影響、さらに、それに対応した緊急事態宣言の影響と考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産、4.2%上昇 2月予測は2.1%上昇
経済産業省が26日発表した1月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は、前月比4.2%上昇の97.7だった。上昇は3カ月ぶり。生産の基調判断は「持ち直している」に据え置いた。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月比4.0%上昇だった。
出荷指数は3.2%上昇の95.8で、在庫指数は0.2%低下の95.1。在庫率指数は6.3%低下の106.5だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では、2月が2.1%上昇、3月は6.1%低下を見込んでいる。
1月の小売販売額、2.4%減
経済産業省が26日発表した1月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比2.4%減の12兆970億円だった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が5.8%減の1兆6275億円だった。既存店ベースでは7.2%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は4.4%減の9290億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は+4.0%の増産との見込みでしたので、ほぼほぼジャストミートしています。ただ、産業別に季節調整済みの系列の前月との比較で詳しく見ると、汎用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業が前月から2ケタ増を示したほか、電気・情報通信機械工業や生産用機械工業なども増産に寄与しています。他方、自動車工業を除く輸送機械工業と石油・石炭製品工業が減少しています。大雑把にいって、昨年2020年11~12月と2か月連続の原産の反動の要素がありますが、それにしても、指数水準は2020年10月の95.2を大きく上回る97.7ですから、昨年2020年5月を底とした生産の回復傾向が継続していると私は考えています。ひとつの根拠は製造工業生産予測指数であり、2月はさらに+2.1%の増産を見込んでいます。予測誤差のバイアスを取り除いた試算値でも▲0.4%の減産ですから、ほぼ横ばいと考えられます。ですから、統計作成官庁である経済産業省が基調判断を「持ち直している」に据え置いたのは、これらの実績統計を見る限り、当然とわたしは受け止めています。しかし、留保は必要で、もうひとつの可能性として、中華圏の春節休暇が2月中旬に当たっているため、その直前の1月に駆込み輸出が発生した可能性も否定できません。もしそうであれば、2月の生産は横ばいどころか、大きな減産となる可能性も否定できません。加えて、いずれにせよ、昨年2020年暮れあたりから日本も含めて、世界的に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の第3波のパンデミックが始まっており、特に、日本のようなワクチン接種後進国では隔離を含めたソーシャル・ディスタンシングで対応せねばなりませんから、生産の先行きがそれほど明るいとは、私にはとても思えません。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、鉱工業生産指数(IIP)と同じで、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。ということで、季節調整していない原系列の統計の前年同月比では2か月連続で、季節調整した系列の前月比でも3か月連続で、いずれでも小売販売額はマイナスを記録し、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「弱含み傾向」に据え置いています。2点だけ、強調しておきたいと思います。第1に、小売販売額は基本的に物販だけでサービス消費が含まれていない点です。COVID-19の経済的な影響については、基本的に、物販よりも外食とか宿泊などの対人接触型のサービスに大きく現れます。繰り返しになりますが、日本のようなワクチン接種後進国ではCOVID-19パンデミック防止のためにはソーシャル・ディスタンシングで対応せねばなりませんから、そうなります。ですから、消費の代理変数とはいえ、サービスを含めた消費全体では物販を主とする小売販売額の商業販売統計よりもさらに大きなマイナスとなっている可能性があります。総務省統計局の家計調査にもっと信頼性あれば、ソチラも見たい気がします。第2に、生産が昨年2020年5月を底に回復を示している一方で、小売販売額は季節調整済みの系列で見て、3か月連続で前月比マイナスを続けているわけですから、まったく内需中心の回復からほど遠く、輸出頼みの景気回復になっている可能性があります。3月に入れば、総合的な経済指標であるGDP統計2次QEが内閣府から公表される予定となっていますが、まだ昨年2020年10~12月期の統計です。足元の今年2021年1~3月期のGDP統計の公表は5月まで待たねばならないとはいえ、我が国の景気はかなり複雑な動きを示し始めていますので、確かな統計でキチンと判断すべきと考えます。

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2021年2月25日 (木)

ワクチン接種の遅れによる第3次の緊急事態宣言はあるのか?

先週金曜日の2月19日に、大和総研から「日本経済見通し: 2021年2月」と題するリポートが明らかにされています。実質GDP成長率の見通しは、2020年度▲5.0%、2021年度+3.8%、2022年度+2.3%と見込まれています。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック次第であり、2021~22年度はワクチン接種の進展や米国経済見通しの改善もあって高めの成長を見込んでいるようです。ただ、私の興味を引いたのは、メイン・シナリオとともにワクチン接種が遅れる可能性を考慮したリスク・シナリオが示されていることです。

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上のグラフが、その2つのシワクチン接種のナリオと結果としての東京の新規感染者数のグラフであり大和総研のリポートから 図表7: ワクチン接種ペースが想定より遅い場合の感染状況や経済への影響 のグラフ引用しています。左側のパネルにあるように、メイン・シナリオでは、今年2021年6月最終週から全国で毎週160万人、東京で毎週16万人がワクチン接種を受け、2021年度末の2022年3月時点で国民の50%超がワクチンの2回接種を終えることを想定している一方で、リスク・シナリオではその半分のペースでしかワクチン接種が進まず、2021年度末で全国民の25%強にとどまるケースが想定されています。右側のパネルでは、そのメイン・シナリオとリスク・シナリオのそれぞれに対応する東京都ベースの新規感染者数が推計されています。ワクチン接種が遅れるリスク・シナリオでは来年2022年早々に第3次緊急事態宣言の可能性が示唆されています。ちなみに、リスク・シナリオでは感染者数はメイン・シナリオに比べて24万人ほど、また、死者数も1,000人ほど増加し、個人消費額は約▲2.3兆円減少する、と見込まれています。

私は一貫して、経済ではなく人命優先で、まず、COVID-19のパンデミック終息を最優先にすべきであり、遠回りに見えるかかもしれませんが、人命優先の方が経済の回復にも有効である可能性を指摘し続けています。しかし、「自助、共助、公助」を振りかざして、COVID-19パンデミックに対しても、あくまで個人の自己責任で対応することを現在の菅政権は目論みつつ、GoToキャンペーン政策というまったく矛盾した政策を続け、まだ、予算組替えにも応じないなど、現政権の危機対応能力はメチャクチャです。少なくとも、ワクチン接種は国民個々人の自己責任ではない点は、十分に認識されるべきです。

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2021年2月24日 (水)

大学院卒業の賃金プレミアムはあるのか?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の2月17日付けで、リクルートのワークス研のサイトで「やはりなかった博士の賃金プレミアム」と題するコラムが明らかにされています。ちょうど、大学院選抜に取り組んでいたころでしたので、私の目に止まってしまいました。ただ、私自身としては、その昔に役所の研究所で同僚だった九州大学の菅助教が少し前に書いた論文 "The Returns to Postgraduate Education" が日本の大学院教育のリターンに関する決定稿だと思っていましたので、それほどのサプライズはありませんでした。

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上のテーブルは、ワークス研のサイトから 博士の賃金リターン を引用しています。ミンサー型の賃金関数で分析しています。見れば明らかなように、博士号取得者は修士までの人と比較すると、全体で賃金が+0.6%高いものの統計的な有意性はない、という結果が得られています。そもそも、+0.6%というのは教育としてはとても低いリターンではなかろうかという気がします。理系ではマイナスですらあります。社会科学系と人文科学系では、私の推測ではサンプル数が決して十分ではないこともあって、これまた統計的な有意性は示されていません。医学・薬学系ではそれなりのパラメータの大きさで統計的にも有意ですが、逆に、特に医学系では修士で終わっている人のサンプル数が少なそうな気がします。要するに、修士課程修了者が博士の学位を取得する賃金上の誘引が小さい可能性が示唆されています。
九州大学菅助教の論文へのリンクは以下の通りです。コチラは修士号の学位のリターンを推計していますが、ミンサー型の賃金関数のように単純なOLSではなく、理系文系の専攻や国公私立の設置を考慮するために、操作変数法での推計を行っています。やっぱり、統計的に有意な結果は得られていません。修士学位の取得も賃金上で有利になるとは限らない、というわけです。従って、"Japanese males obtain a master's degree not for higher wage, but for nonpecuniary benefits." と結論しています。

おそらく、大学院教育のリターンがそれほどではない、というこういった結果は直感的に広く認識されている可能性が高く、私の勤務するような経済学専攻の私学には、日本人学生はそれほど多く応募してきません。どうしても、途上国からの受入れが増えることになります。もちろん、それはそれで意義あることだと私は受け止めています。

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2021年2月22日 (月)

マイナス幅を拡大した1月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?

本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は▲0.5%の下落でした。変動の大きな国際運輸を除くと▲0.4%の下落と、いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言の影響でマイナス幅を拡大させています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業向けサービス価格、前月比0.6%下落 緊急事態宣言の再発令で
日銀が22日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.1と、前年同月比で0.5%下落した。また、前月比では0.6%下落し、前月比の下落は20年5月以来8カ月ぶりとなった。
新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた二度目の緊急事態宣言の発令により、宿泊サービスの需要が減少。価格の下押し圧力となった。
テレビ広告は前月、広告予算を消化する動きで堅調だったが、新型コロナの再拡大で企業の出稿需要が減った。
2月以降も新型コロナの影響が続く中、日銀は「価格の下落圧力が強まるかどうかについて、不確実性が高い」との姿勢を示した。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは55品目、下落は55品目だった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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上のグラフで見ても、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていて、それでもまだ、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価上昇率よりは、人手不足の影響などから高い上昇率を示しています。しかしながら、引用した記事にもある通り、宿泊サービスが昨年2020年12月の前年同月比▲28.2%下落から、1月統計では▲37.9%下落とマイナス幅を大きくしています。先週公表された消費者物価指数(CPI)では、GoToトラベル事業の停止に伴って、1月統計で宿泊料のマイナス幅が大きく縮小して、CPIの下落幅の縮小にもそれなりに寄与していたんですが、総務省統計局のCPIと日銀のSPPIで大きな不整合となっています。GoToトラベル事業は、観光を目的とした旅行に限定されており、昨年2020年11月からはビジネス出張には適用されなくなりましたから、こういった違いを生じています。ですから、SPPIの宿泊サービスの大きな下落は、GoToトラベルによるものではなく、需要の減少に起因しています。加えて、景気に敏感な広告も同じです。すなわち、昨年2020年12月の▲1.5%下落から、1月統計では▲3.8%に下げ幅を拡大しています。テレビ広告、新聞広告、インターネット広告と枕を並べて下落幅を拡大しています。これも需要不足の経済状況を反映していると考えるべきです。大類別による寄与度で見ると、宿泊サービスは諸サービスに含まれ、労働者派遣サービスや土木建築サービスがまだプラスですから、大類別としてはプラスの寄与を示していますが、広告の寄与は▲0.18%ですし、不動産も▲0.11%、運輸・郵便も▲0.10%、などが大きなマイナス寄与といえます。物価目標に近づく気配すらありません。

物価にせよ、何にせよ、まったくもって経済指標はすべからく新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック次第なのかもしれません。

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2021年2月19日 (金)

1月統計の消費者物価指数(CPI)上昇率は石油価格の下落などにより6か月連続のマイナス!!!

本日、総務省統計局から1月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は▲0.6%の下落と、6か月連続の下落を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.1%とプラスに転じました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の消費者物価0.6%下落 電気・ガス代が押し下げ
総務省が19日発表した1月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.4と前年同月比0.6%下がった。下落は6カ月連続。電気代やガス代などエネルギー関連の項目が全体を押し下げた。宿泊料を割り引く政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の停止でCPIの下げ幅は前月の1.0%より縮んだ。
エネルギー関連の項目は軒並み低下が続いた。電気代が8.2%、都市ガス代は10.7%、ガソリンは9.5%下がった。原油価格は足元で上がっているが、電気代などはまだ20年の原油安を反映して低迷している。
「Go To トラベル」の停止で宿泊料の下落率は前月の33.5%から2.1%に縮んだ。
一方、家電製品は上昇が目立った。空気清浄機が21.5%、電子レンジは12.2%、ルームエアコンは7.2%上がった。新型コロナウイルス禍により「在宅が増えて家電は全般的に買い替えが進んでいる」(総務省の担当者)という。
生鮮食品に加えてエネルギー関連の項目も除いた総合指数は0.1%高い102.0となった。上昇は6カ月ぶりとなる。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.7%の下落でしたので、ジャストミートではないとしても、大きなサプライズはありませんでした。CPIの下落が続いていることについては、一昨年2019年10月からの消費税率引上げの効果の剥落もさることながら、エネルギーや政策要因の幼児向け教育あるいは高等教育の無償化などに伴う部分が小さくありません。すなわち、CPIヘッドラインの前年同月比の下落▲0.6%への寄与で見て、国際商品市況における石油価格の変動に伴ってエネルギーが▲0.68%の寄与があり、1月統計よりもマイナス幅が▲0.04%拡大しています。これだけで総合CPIの下落を超えてしまいます。我が勤務先ながら、大学授業料(私立)はさすがにウェイト小さく▲0.04%の寄与にとどまるものの、エネルギーと大学授業料(私立)の合計寄与度でヘッドラインCPIの下落幅である▲0.6%を超えます。まあ、何と申しましょうかで、逆に、引用した記事にもあるように、GoToトラベル事業の停止で、宿泊料のマイナス幅も大きく縮小しています。すなわち、昨年2020年12月には▲33.5%の下落で、ヘッドラインCPIに対する寄与度が▲0.40%あったんですが、本日公表の1月統計では▲2.1%の下落で寄与度も▲0.02%まで縮小しています。まあ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を考えれば、「こんなもん」という気がします。いずれにせよ、これらを総合的に考えると、エネルギーと生鮮食品を除くコアコアCPI上昇率がプラスに転じていることもあり、日銀金融政策の力不足を否定するものではありませんが、こういった国際要因や政策要因もあるわけですから、日銀だけに物価目標が達成されない責任を問うにはやや厳し過ぎるような気がするのは、私だけではないと思います。

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2021年2月18日 (木)

文部科学省「新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査」やいかに?

一昨日、2月16日に文部科学省から「新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査」の結果が公表されています。昨年2020年4~12月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で全国の国公私立の大学や短大、高等専門学校を中退した学生は1367人に上ることが明らかにされています。まず、共同通信のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

コロナ中退1367人に
大学生ら、昨年4~12月

2020年4~12月に新型コロナウイルス流行の影響で全国の国公私立の大学や短大、高等専門学校を中退した学生は1367人に上ることが16日、文部科学省の調査で分かった。同11、12月に334人増えた。学生全体に占める割合は0.05%。理由は「経済的困窮」や「学生生活不適応や修学意欲低下」などだった。
文科省によると、新型コロナによって休学したのは4434人で、学生全体の0.15%。学部1年生に限ると、中退は470人で、休学が859人だった。
新型コロナ以外の事情も含めた中退者は全体で2万8647人となり、前年同時期よりも減少した。

とても簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下の画像は、文部科学省の記者発表資料から中途退学者の状況の図表引用しています。

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なお、上の退学者と同じようなフォーマットで休学者についても資料が公表されています。見れば明らかな通り、昨年2020年4~12月の中途退学者は28,647人と、前年同時期の36,016人からは減少していますが、COVID-19の影響とされる人数は1,367人に上っています。図表の引用はしていませんが、同じ時期の休学者については65,670人、うちCOVID-19の影響を受けた休学者は4,434人に上っています。私は何度かこのブログでも主張しましたが、義務教育ではないものの、貧困からの脱却のためには大学教育が大きな役割を果たす可能性があると考えています。しかし、COVID-19の影響もさることながら、相当数の学生諸君が中退せねばならないようですから、何とか救済して欲しいと強く願っています。これも何度も繰り返していますが、感染症を拡大するだけに終わったGoToトラベル事業の予算を学生諸君の救済に回すことはできないものでしょうか?

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2021年2月17日 (水)

赤字を記録した貿易統計と予想外の伸びを示した機械受注の先行きをどう見るか?

本日、財務省から1月の貿易統計が、また、内閣府から昨年2020年12月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計を見ると、季節調整していない原系列で見て、輸出額は前年同月比+6.4%増の5兆7798億円、輸入額は逆に▲9.5%減の6兆1037億円、差引き貿易収支は▲3239億円の赤字を計上しています。また、機械受注の方を見ると、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+5.2%増の8,996億円と、まだまだ受注額は低水準ながら、3か月連続でプラスの伸びを記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

輸出、1月6.4%増 中国向けが増加
貿易収支は7カ月ぶり赤字

財務省が17日発表した1月の貿易統計速報によると、輸出額は5兆7798億円と前年同月から6.4%増えた。中国向けが増加し、2カ月連続のプラスだった。輸入額は落ち込み幅が縮小し、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7カ月ぶりに赤字となった。
中国向けの輸出は1兆2326億円と37.5%増え、約10年ぶりの伸び幅となった。中国全土で工場が停止する春節(旧正月)は輸出が大きく減少する。2020年は1月、21年は2月に春節があり、時期のずれが前年同月比でみた増加につながった。
半導体などを製造する装置の輸出が韓国向けに急増したことも加わり、輸出はアジア全体でみても19.4%増の3兆3657億円と堅調だった。
新型コロナウイルスの感染が再拡大した米国向けの輸出は4.8%減の1兆14億円。落ち込み幅は20年12月の0.7%から再び拡大した。自動車輸出が減少に転じ、航空機や原動機も大幅に減った。欧州連合(EU)向けも1.6%減の5322億円と低調だった。
全体の輸入額は9.5%減の6兆1036億円。20年5月から二桁減が続いていたが、下げ幅が縮小した。原油の輸入は国内の経済停滞を反映して41.9%減と落ち込みが続いているが、液化天然ガス(LNG)は減少幅が小さくなった。貿易収支は3238億円の赤字となった。
20年12月の機械受注、前月比5.2%増 民間予測は6.6%減
内閣府が17日発表した2020年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.2%増の8996億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は6.6%減だった。
うち製造業は12.2%増、非製造業は4.3%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は11.8%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」へと変更した。
同時に発表した20年10~12月期の四半期ベースでは前期比16.8%増だった。1~3月期の見通しは前期比8.5%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

長くなりましたが、いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスで貿易収支は▲6050億円の赤字でしたので、やや市場予想よりも小幅とはいえ、赤字は赤字ですから、それほど大きなサプライズはなかったと私は受け止めています。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、季節調整済みの系列では昨年2020年7月から半年超に渡って貿易黒字を計上しています。広く報じられている通り、貿易をはじめとする我が国の経済活動も新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を受けましたが、本日公表の貿易統計についても、かなりの程度に回復を見せています。中国向けは、引用した記事にもあるように、中華圏の春節の時期のズレにより大きく伸びた一方で、ワクチン接種が始まったとはいえ、まだCOVID-19のパンデミックが続く欧米向けは輸出が伸び悩んでいます。従って、まだまだ先行きの貿易動向にはCOVID-19に起因する不透明感が強く、すでに欧米先進国では広くワクチン接種が始まっている一方で、我が国ではまだ医療関係者への接種が始まろうとしている遅れた段階であり、まだ、東京や大阪、あるいは、私の住んでいる京都も含めて緊急事態宣言は解除されていません。加えて、今年2021年の春節は2月12日から始まっており、中華圏の経済動向、ひいては、我が国の貿易にも大きな影響を及ぼすと考えるべきですが、昨年2020年のCOVID-19パンデミックから1年を経過して、中華圏、特に中国の春節の過ごし方がどのように変化したかについて、現状では情報が少なく、なんとも計り知れない部分が残されています。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、貿易統計のグラフと同じで、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。まず、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、前月比で▲6.6%減、レンジの上限でも▲0.6%減でしたから、+5.2%増という結果はかなりのサプライズでした。製造業では、11月統計の前月比▲2.4%減を軽くカバーする+12.2%増でしたし、船舶と電力を除く非製造業でも4か月連続の前月比プラスで、12月統計では+4.3%でした。これらを合計したコア機械受注でも、10月統計から3か月連続の前月比プラスで、10~12月期は6期ぶりの前期比プラスで+16.8%増を記録しています。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」へと変更しています。半ノッチの上方修正という気がします。ただし、先行きが安定してプラスを期待できるかといえば、私はそう考えていません。すなわち、今年2021年1~3月期は前期比で▲8.5%減が見込まれていますし、12月統計が大きなサプライズとしても、世界的なCOVID-19パンデミックの動向も含めて、設備投資や機械受注の先行きはまだまだ不透明で、それほど楽観できるはずもありません。

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2021年2月16日 (火)

米国ニューヨーク連銀のブログに見る新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による労働市場の不平等の拡大やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、米国ニューヨーク連銀のブログである Liberty Street Economics のサイトで、ちょうど1週間前の2月9日に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がもたらした労働市場における不平等について、COVID-19 and Labor Market Outcomes と題して3回の特集が組まれています。ソースは以下の通りです。

何度か、私がこのブログで強調したように、COVID-19の経済的帰結のもっとも重要なポイントのひとつは不平等や格差の拡大です。ニューヨーク連銀のエコノミストも基本的に私と同じ視点に立っているように受け止めています。いくつかグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、最初のポストである Some Workers Have Been Hit Much Harder than Others by the Pandemic から判りやすいグラフを2点結合して引用すると上の通りです。タイトルは、上が Steeper Job Losses Seen for Lower-Wage Workers であり、下が Higher-Wage Workers Are More Likely to Work Remotely となっています。とても判りやすいと思います。上のパネルから、年収85千ドルを超える高収入の労働者はほとんど職を失わなかった一方で、30千ドル未満の低所得労働者はCOVID-19パンデミック前の2月を起点として、大きく職を失った上に、昨年いっぱいの期間ではその回復も遅れています。下のパネルから、同じ賃金階級で見て、高賃金労働者ほどリモートで仕事ができることが明らかに示されています。

次に、2番めのポストである Understanding the Racial and Income Gap in Commuting for Work Following COVID-19 からは、これほど判りやすいグラフがなかったものですから、グラフの引用はしません。2番めのポストでは、米国の郡 county ごとに通勤の問題に注目しています。そして、結論として、低所得の黒人やヒスパニック系が多数を占めるコミュニティにおいては、在宅勤務への切換えができず、その分、COVID-19への脆弱性が高かった可能性を示唆しています。

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最後のポストである Black and White Differences in the Labor Market Recovery from COVID-19 から Labor Force Exit from Unemployment Remains Elevated for Blak Workers と題するグラフを引用すると上の通りです。このポストでは、就業から失業への移行に加えて、正規雇用と非正規雇用=臨時雇用の間の移行、さらに、失業者の労働市場からの退出、などについての分析結果を示しています。上のグラフから、黒人は白人に比べて失業してそのまま労働市場から退出するケースが多いことが示されています。いい働き口がないからと推測されます。

私は学生諸君への授業でも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの経済的帰結として、不平等の拡大を上げていて、とても深刻に受け止めています。授業の最後には、学生諸君に対して、たとえCOVID-19に耐性ある職業に就けたとしても、決して、格差や不平等で苦しんでいる人たちへの思いやりを忘れないよう、強く訴えておきました。

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2021年2月15日 (月)

高めの成長率となった2020年10-12月期GDP統計1次QEから何を読み取るべきか?

本日、内閣府から昨年2020年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+3.0%、年率では+12.7%と、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きなマイナスとなった4~6月期から、7~9月期に続いて2期連続のプラス成長とリバウンドを見せています。しかし、COVID-19パンデミック前の一昨年2019年10~12月期の548.8兆円にまだ届かない542.7兆円の水準ですし、何よりも、今年2021年に入ってCOVID-19感染拡大第3波により、東京や大阪などに2度めの緊急事態宣言が出された影響もあって、エコノミストの間では1~3月期はマイナス成長が確実とみなされています。その意味で、まだまだ、本格的な回復には時間がかかり、不透明さも払拭されていない気がします。ワクチン接種の開始がどこまで先行きの期待に影響するか、気にかかるところです。まず、日経新聞のサイトから長い記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質年率12.7%増、10-12月 20年は4.8%減
内閣府が15日発表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質の季節調整値で7~9月期から3.0%、年率換算で12.7%増えた。2期連続のプラス成長だが、GDPの水準は新型コロナウイルスの感染拡大前に届かない。20年通年は4.8%減と11年ぶりのマイナス成長となった。
10~12月期の成長率は比較可能な94年4~6月以降で2番目の大きさ。年率22.7%増と記録的だった7~9月期に比べると縮んだもののなお大きい。内需が2.0%分、外需が1.0%分押し上げた。
GDPの過半を占める個人消費が前期比2.2%増えた。自動車や携帯電話の販売が堅調だったほか、政府の需要喚起策「Go To」キャンペーンなどにより外食も好調だった。内需のもう一つの柱である設備投資は4.5%増と、3期ぶりにプラスに転じた。半導体製造装置など生産用機械が増えた。
内閣府が事前にまとめた民間エコノミストの予測平均(前期比年率10.2%増)を上回る伸びとなった。設備投資や個人消費など内需の寄与が予測を大きく上回り、全体を押し上げた。
20年通年の減少幅はリーマン・ショックの影響で5.7%減った09年に次ぐ過去2番目の大きさとなった。個人消費が5.9%減と、比較可能な95年以降で最大のマイナス幅だった。
10~12月期GDPの実額は年額換算で542兆円とコロナ前のピークだった19年7~9月期(559兆円)より約3%低い。政府が緊急事態宣言を発動した1~3月期に再びマイナスに転じる可能性があり、コロナ前への回復はさらに遠のく。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2019/10-122020/1-32020/4-62020/7-92020/10-12
国内総生産GDP▲1.8▲0.6▲8.3+5.3+3.0
民間消費▲3.4▲0.2▲7.2+2.6+2.0
民間住宅▲1.9▲3.7+0.5▲5.7+0.1
民間設備▲4.5+1.4▲5.9▲2.4+4.5
民間在庫 *(▲0.1)(+0.1)(+0.1)(▲0.2)(▲0.4)
公的需要+0.6▲0.2+0.6+2.4+1.8
内需寄与度 *(▲2.5)(▲0.2)(▲5.2)(+2.6)(+2.0)
外需(純輸出)寄与度 *(+0.6)(▲0.4)(▲3.1)(+2.6)(+1.0)
輸出+0.2▲5.3▲17.2+7.4+11.1
輸入▲3.2▲3.1+1.3▲8.2+4.1
国内総所得 (GDI)▲1.8▲0.5▲7.3+5.2+3.0
国民総所得 (GNI)▲2.0▲0.2▲7.4+5.0+3.2
名目GDP▲1.2▲0.5▲8.0+5.5+2.5
雇用者報酬 (実質)▲0.2+0.3▲3.6+0.6+0.8
GDPデフレータ+1.5+0.9+1.4+1.2+0.2
国内需要デフレータ+1.0+0.8▲0.0+0.2▲0.6

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年2020年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が7~9月期に続いてプラス成長を示し、GDPのコンポーネントのうち赤の消費と黒の純輸出が特に大きなプラス寄与を記録しています。

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先週金曜日のこの私のブログでも1次QE予想を取り上げましたが、私は年率+10%を少し下回る+7%~+8%くらいの成長率を予想していました。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは年率で+9.4%成長でしたし、レンジの上限でも+13.0%でしたから、ほぼほぼ上限に使い数字が実績として出て来たことになります。少し、私は驚きました。簡単な計算をすれば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックによる緊急事態宣言が昨年2020年4月上旬に発せられ、4~6月期は前期から▲45.3兆円の減少となった一方で、7~9月期には+26.3兆円増、そして、本日公表の10~12月期には16.0兆円増ですから、2四半期の合計で+42.3兆円増となり、4~6月期に減少した▲46.3兆円の91%を取り戻したことになります。ただ、昨年2020年を通した年間統計に目を転じると▲4.8%となり、2008年9月のリーマン・ショック後の2009年の▲5.7%以来のマイナス成長でした。まあ、そうなんでしょうね。
の本経済はこのGDP統計を見る限り、なかなかに好調そうに見えなくもないですが、3点コメントしておきたいと思います。第1に、これは冒頭に書いた繰り返しですが、今年2021年年初からCOVID-19パンデミックの第3波の影響で緊急事態宣言が出ています。東京や大阪など、私が住んでいる京都も含めて、大都市圏では2月7日の当初予定を過ぎてもまだ解除されていません。従って、足元の1~3月期はマイナス成長となる可能性が高い、といわざるを得ません。ただし、昨年4月の最初の緊急事態宣言と比べて対象地域や行動制限が限定的であることから、昨年2020年4~6月期のような大きなマイナスではないと考えられます。ですから、第2に、足元の経済を見るにつけ、昨年2020年10~12月期のやや大きめの成長率は、いわば、国民の健康や安全を犠牲にしてGoTo事業を展開したといえます。それがホントによかったのか、あるいは、国民の利益に沿っているのか、きちんと考えるべきです。何度でも繰り返しますが、ワクチン接種がまだ始まっていない現段階です、目先の経済を犠牲にしてでもCOVID-19終息の手段を講じることの方が、長い目で見て経済の回復にも資する可能性が高い、と私は考えています。第3に、本日公表のGDP統計だけが要因ではありませんが、東証平均株価が1990年8月以来の3万円を突破しています。終値は30,084.15円と報じられています。私は、基本的に、株価が低いよりは高い方がいいと考えていますし、ほかの資産価格についても同じです。前の安倍内閣の支持率は「株価連動型」と揶揄されたこともありますが、少なくともCOVID-19パンデミック以来、株価は日本経済の現状を示唆する指標ではなくなった可能性が高いのではないか、と私は考えています。まあ、株価が国民生活の現状は反映していないのは昔からです。ホントは、経済学の研究者として、ちゃんとフォーマルな定量分析が必要なわけですので、ここでは私の直感だけです。それでも、主張しておきたいと思います。

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