2018年9月23日 (日)

クラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」やいかに?

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例年通り、10月上旬はノーベル賞ウィークとなります。ノーベル財団のサイトには以下の発表予定が明らかにされています。

10月1日
医学生理学賞
10月2日
物理学賞
10月3日
化学賞
10月5日
平和賞
10月8日
経済学賞

例年は木曜日が文学賞の公表なんですが、今年についてはご存じの通り、来年2019年に今年の授賞者も含めて公表される運びとなっています。
ということで、ノーベル賞の科学部門、すなわち、医学生理学賞、物理学賞、化学賞、経済学賞の4部門に相当するクラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」が9月20日に明らかにされています。経済学賞については、以下の3組5人が受賞の栄誉に浴しています。

  • Manuel Arellano, CEMFI, Madrid, Spain, and Stephen R. Bond, Oxford University, UK, for contributions to panel data analysis, especially the Arellano-Bond estimator. This method exploits time patterns in panel data to estimate the economic response to a change in a policy or other variable, while controlling for permanent unobserved confounding variation.
  • Wesley M. Cohen, Duke University, Durham, NC, and Daniel A. Levinthal, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, for their introduction and development of the concept of absorptive capacity (i.e., the ability of firms to evaluate, assimilate, and apply external knowledge) and its contribution to advancing our understanding of the innovative performance of firms, industries and nations.
  • David M. Kreps, Stanford University, Stanford, CA, for contributions to dynamic economic phenomena, in choice theory, finance, game theory, and organization theory.

功績については、最初のアレジャーノ教授とボンド教授は、パネルデータ分析のうちのアレジャーノ・ボンド推計と呼ばれるダイナミックパネル推計手法の開発、次のコーエン教授とレビンソール教授は、研究開発などにおける吸収能力をイノベーションに活かすとの概念、最後のクレプス教授は、不完備情報の動学ゲーム理論、に対するそれぞれの貢献と私は受け止めています。まあ、研究所の同僚などとお話をしないでもなかったんですが、クレプス教授のゲーム理論について私は詳しくないものの、アレジャーノ・ボンド推計なんて1990年ころに開発されていますし、吸収能力 absorptive capacity についても原著論文は大昔の1990年ではなかったかと記憶しています。ノーベル賞も経済学賞については、そんなものかもしれません。

最後に、今年のノーベル経済学賞の私の予想は、新々貿易理論のメリッツ教授ということにいておきますが、アレジャーノ教授とボンド教授もとても親しみを覚えています。

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2018年9月21日 (金)

世界経済の成長率見通しが下方修正された OECD 「中間経済見通し」やいかに?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から「中間経済見通し」OECD Interim Economic Outlook が公表されています。副題は High uncertainty weighing on global growth となっており、5月に公表された「経済見通し」と比較して、世界経済の成長率がやや下方修正されています。しかし、我が国経済については今年2018年と来年2019年とも+1.2%成長で据え置かれています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、プレゼンテーション・スライドの p.2 から Key messages を引用すると以下の通りです。なお、どうでもいいことながら、p.24 の最後のスライドも同じ Key messages になっています。

Key messages
  • Global growth is peaking and is less synchronised
    • Global growth should plateau at 3.7% in 2018 and 2019
    • The job market has recovered but slack remains and wage growth is disappointing
  • Risks are intensifying, uncertainty is widespread
    • Rising trade restrictions risk hurting jobs and living standards
    • Tightened financial conditions increase stress on a number of EMEs
    • Political risks could prevent Europe from thriving
    • Ten years after the crisis, some financial risks have built up again
  • Policies should aim to enhance resilience, productivity and inclusiveness
    • Reduce policy uncertainty, especially for trade, to support confidence and investment
    • Review fiscal policy to react in case of a downturn and prioritise investment
    • Implement reforms to boost long -term productivity and opportunities for all

やや長くなりましたが、利上げを継続する米国金融政策の動向や米中間の貿易摩擦の高まり、さらに、雇用を増加させ生産性を向上させるための構造政策など、いろいろな論点が提示されているんですが、私のブログは国際機関のリポートに着目するのもひとつの特徴であり、景気局面と成長率見通しに関してグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、スライドの順番は前後しますが、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.5 から成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。今年5月の「経済見通し」と比較して、世界各国がおしなべて成長率の下方修正されている中で、我が国と中国については成長率見通しが据え置かれています。サウジアラビアが上方修正されているのは国際商品市況における石油価格の上昇を反映したものですが、左側の先進国ではかなり多くの国が下方修正されている中で、右側に並べられたG20のうちで新興国や途上国では、決して多くはないものの、上方修正されている国も見受けられます。ということで、現在の世界経済の景気局面について、リポートでは、"The expansion may now have peaked." と表現されています。

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加えて、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.3 から景気局面に関して、成長率がピークアウトしつつあり、各地域でシンクロしなくなったとのグラフを引用すると上の通りです。左側の棒グラフは成長率の停滞を示し、右側は成長率のばらつきが表されています。利上げ継続の観測が強い米国経済については、成長率は日欧と比較して高いながらも徐々に低下すると見込まれている一方で、我が国の成長率は低いながらも安定的に推移すると予想されており、欧州経済はその間を行く、といったところでしょうか。

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最後に、目を国内に転じると、本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月統計から緩やかに加速して+0.9%を記録しています。いつものグラフは上の通りであり、折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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2018年9月20日 (木)

敬老の日は何歳からが対象なのか?

今週月曜日9月17日は敬老の日の祝日でした。私は誕生日が9月14日で、その昔は敬老の日は9月15日に固定されていましたので、敬老の日の前に必ず年を取ることになっていました。今年は特に還暦の60歳の誕生日を終えて敬老の日が来ましたので、そろそろ私も「敬老」される年齢に達したような気がしなくもなく、加えて、キャリコネ・ニュースで「62歳の父親に『敬老の日ギフト』贈ったら『まだ老人じゃない』とブチギレ 何歳になったら祝っていいの?」なんてのも見て、それとなく調べてみると、9月12日付けでビデオリサーチひと研究所から「『敬老の日』の対象は68歳から」と題するリポートが明らかにされています。5年前より1.2歳上昇したらしいです。pdfの全文リポートもアップされています。

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上のグラフは、ビデオリサーチのサイトから、「敬老の日」の対象は何歳から? という問いに対する回答結果をプロットしたグラフを引用しています。そして、結果は、15~74歳の調査対象者全体の平均値は「68.3歳」でした。2013年の調査の結果と比べると、約+1.2歳上がっているそうです。右のグラフは回答者の年代別の結果なんですが、大雑把に、自分の年齢が上がれば敬老の日の対象年齢も上がる、と捉えているようで、その中で、若い世代でも66~67歳くらいからを敬老の日の対象と考えているようですので、少なくとも成りたて60歳の私は対象外のような気がして、やや安心していたりします。

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この調査では、「敬老の日」の対象だけでなく、いろんな呼称についてのイメージ年齢も聞いているようで、上のグラフは、ビデオリサーチのサイトから、呼称からイメージされる年齢ゾーン のグラフを引用しています。40代初めから60代初めは「おじさん」と「おばさん」で、60代末から「おじいさん」と「おばあさん」になるようです。私がもうすぐ達するであろう60代半ばは、どちらなのか不明なんですが、まあ、見た目や動作などから、どちらかに区分されるんだろうという気はします。

まったく別の経済に関する話題を2つ取り上げておくと、まず、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間評価」OECD Interim Economic Outlook が本日夕刻に公表されています。世界経済の成長率はやや下方修正されましたが、我が国の成長率は5月見通しから変更なしで、今年2018年来年2019年とも+1.2%成長が見込まれています。次に、10月に入ればノーベル賞の発表がありますが、本日午後に、ノーベル賞との相関が高いクラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」が明らかにされています。ノーベル賞と同じように、医学・生理学、物理学、化学、経済学の各分野で日本人も含めて何人か上げられています。どちらも公表されたばかりですので私の方でフォローが追いつかず、日を改めて取り上げたいと思います。

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2018年9月19日 (水)

2か月連続で赤字を計上した貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+6.6%増の6兆6916億円、輸入額も+15.4%増の7兆1362億円、差引き貿易収支は▲4446億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、4446億円の赤字 原油高で輸入額膨らむ
財務省が19日発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4446億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。輸出入ともに増えたが、原油高を背景に中東からの原油輸入額が増え、輸入額の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4477億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比6.6%増の6兆6916億円だった。増加は21カ月連続。中国向けの半導体等製造装置やベルギー向け自動車が伸びた。パナマ向け船舶も増加に寄与した。
輸入額は15.4%増の7兆1362億円。アラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が伸びた。原油の円建て輸入単価は57.8%上昇した。
8月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=111円33銭。前年同月に比べて0.5%円安・ドル高に振れた。
8月の対米国の貿易収支は4558億円の黒字で、黒字額は14.5%減少した。減少は2カ月連続。医薬品などが伸びたことで輸出は5.3%増加した。輸入は航空機類などの影響で21.5%増だった。対米国の自動車輸出は金額ベースで1.5%減少した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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上のグラフを見て理解できる通り、輸出入とも増加している中での2か月連続での貿易赤字ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも▲4,550億円の赤字との結果が出ていましたから、大きなサプライズもなく、輸出額の増加を輸入額の増加が上回った結果です。その輸入額の増加も、国際商品市況における石油価格の上昇に起因しています。すなわち、季節調整していない原系列の統計で見て、原粗油の輸入数量は8月統計では前年同月比で+1.1%増にとどまっていたのに対して、輸入額の方は+59.6%増を示しています。この伸び率の差は価格の上昇ということになります。輸出は伸び率がやや落ちてきているとはいえ、引用した記事にもある通り、21か月連続で前年比で伸びています。国際商品市況の動向については、我が国がかなりの程度に小国になって影響力を及ぼせないわけですから、やや同しようもないと私は受け止めています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。OECD先行指数に基づく海外の需要動向を見ると、中国では上り坂、先進国の集まりであるOECD加盟国では下り坂となっています。ただ、今週あたりから米中間のいわゆる貿易戦争が本格化し始めており、この両国への輸出の割合が高い我が国としては、今後の世界貿易の行方が気になるところです。大いに気になります。どのようなリパーカッションがあるかは私には想像もできません。

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2018年9月16日 (日)

最新刊のエコノミスト誌の Education spending の元統計やいかに?

最新号のエコノミスト誌に Education spending と題して、OECD諸国ではGDP比で平均的に5%くらい教育費に支出している "OECD countries spent an average of 5% of GDP on education in 2015." との書き出しで始まる記事があるんですが、なぜか、その記事に引用されたグラフには日本が含まれていません。
私のこのブログではOECDなどの国際機関のリポートを取り上げるのをひとつの特徴としており、私自身も国際派のエコノミストとしてそれなりに詳しくなくもないわけですから、9月11日に公表されたばかりの OECD Education at a Glance 2018 であろうと当たりをつけてリポートを確認すると、p.258 に Figure C2.1. Total expenditure on educational institutions as a percentage of GDP (2015) と題して以下のグラフがありました。

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エコノミスト誌のグラフは高等教育 Tertiary education への教育費支出だけなんですが、リポート p.258 にはトータルの教育費支出のGDP比があります。やっぱり、日本はOECD平均からはかなり見劣りがしています。引退世代への手厚い給付のために、現役世代や子供や家庭や教育への目配りが行き届いていないおそれがあるんではないかと私は危惧しています。

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2018年9月13日 (木)

大型案件受注で大きく伸びた機械受注と上昇幅がやや鈍化した企業物価!

本日、内閣府から7月の機械受注が、また、日銀から8月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+11.0%増の9,186億円を示し、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じ上昇幅を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、7月11.0%増 製造業・非製造業とも伸びる
内閣府が13日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比11.0%増の9186億円だった。増加は3カ月ぶりで、伸び率は2016年1月以来の大きさだった。製造業、非製造業ともに受注額が伸びた。
7月の受注額は製造業が11.8%増の4268億円だった。増加は2カ月ぶり。17業種のうち12業種が増加した。化学工業やはん用・生産用機械などの受注が伸びた。
非製造業は10.9%増の4941億円。2カ月ぶりに増加した。通信業や運輸業・郵便業などの受注が伸びた。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は13.9%増だった。
官公需の受注額は前月比57.0%増の3587億円と比較可能な05年4月以降で2番目の高水準だった。防衛関連などで大型案件があった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。7~9月期の「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整値)の見通しは前期比0.3%減となっている。
8月の企業物価、前年比3.0%上昇 原油高など背景、上昇傾向は一服
日銀が13日に発表した8月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.7で前年同月比3.0%上昇した。指数が前年実績を上回るのは20カ月連続。春先から続く原油高による化学製品の価格上昇などが押し上げた。
前月比では横ばいだった。調査統計局によると「米中の貿易摩擦問題への警戒感や新興国経済への懸念から、銅などの資源価格が下落した」といい、指数の上昇傾向は一服しつつある。
円ベースの輸出物価は前年同月比で2.9%上昇、前月比では0.3%下落した。輸入物価は前年同月比で12.2%上昇。前月比では0.6%下落した。ともに前月比での下落は5カ月ぶり。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示し、消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは406品目、下落は263品目だった。上昇品目と下落品目の差は143で、7月の確報値の153から減った。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、コア機械受注については、前月統計が2ケタ減でしたので、ある程度の反発は予想されており、例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは中心値で前月比+5.5%増となっていて、レンジでも上限は+9.0%増でしたので、この上限を上回る大きな伸びとなっています。ただし、最近数か月はかなり荒っぽい動きを示しており、季節調整済のコア機械受注の前月比で見て、4月に+10.1%増の後、5月▲3.7%減と6月▲8.8%減で4月の大きなプラスは吹っ飛び、7月は▲11.0%増で5~6月のマイナスをカバーする、という2~3か月ごとに大きなプラスが出ては、その後は反動減もあってマイナスが続く、というとても細かい周期性があります。大型案件の受注が生じるという経済活動の実態を統計が表しているということなんでしょうが、それなら、毎月の統計にはせずに四半期で調査するという方法もアリなのかもしれません。取りあえず、7月の受注では、引用した記事にもある通り、防衛関連で大型案件の受注があった、ということのようですから、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「持ち直しの動きに足踏み」で据え置いています。先月の統計発表時に同時に公表された7~9月期コア機械受注の見通しは前期比▲0.3%減ですが、マイナス見通しの四半期スタートの7月の結果としてはまずまず堅調な滑り出しと私は受け止めています。先行きについても、9月1日に公表された4~6月期の設備投資のような大きな増加は続かないと私は予想していますが、人手不足を背景に設備投資は引き続き緩やかな増加を示すものと期待しています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのうち国際商品市況の影響を強く受ける石油・石炭製品が7月の前年同月比+26.2%上昇に続いて、8月も+25.3%の上昇と、引き続き国内物価上昇を牽引しています。石油価格ほどではありませんが、同様の素材関連として、化学製品+4.8%や鉄鋼+4.1%などの上昇もやや大きくなっています。私は中国の景気回復の足取りがそこまで、というか、国際商品市況における石油価格をここまで押し上げるだけの伸びを見せるとは思わなかったんですが、中国をはじめとする新興国の景気回復以外の要因で石油価格が上昇しているように思えてなりません。そして、我が国の物価は金融政策動向よりもエネルギー価格に敏感に反応しているようです。他方で、国内物価の前年同月比上昇率で見て、4月+2.0%の後、5月+2.6%、6月+2.8%、7月+3.0%に続いて8月も7月と同じ+3.0%ですから、企業物価の上昇率はやや鈍化しつつある、という見方もできるような気がします。

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2018年9月11日 (火)

4-6月期2次QEは設備投資を中心に1次QEから上方改定され年率+3.0%の高成長!

昨日は、和歌山で開催された経済統計学会の全国研究大会での学会発表のためフォローし切れなかったんですが、内閣府から4~6月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。1次QEの前期比年率+1.9%成長から2次QEでは+3.0%成長に大きく上方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期実質GDP、年率3.0%増に上方修正
内閣府が10日発表した2018年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比0.7%増、年率換算で3.0%増だった。速報値(年率1.9%増)から大幅な上方修正で、成長率が年率3%を超えるのは16年1~3月期以来の9四半期ぶりだ。民間企業の設備投資が速報段階から大幅に上振れした。
4~6月期の内外需の寄与度をみると内需が0.9%分の押し上げ寄与となり、内需主導の成長を示した。内需の前期比でみた伸び率は15年1~3月期以来の13四半期ぶりの大きさとなった。一方、外需は0.1%分の押し下げ寄与となった。
内需のうち民間企業の設備投資は実質で前期比3.1%増と、速報値の1.3%増から大きく上振れした。財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計で設備投資額の前年同期比伸び率は約11年ぶりの大きさとなった。運輸・郵便や電気、化学の設備投資が堅調だった。
GDPの6割を占める個人消費は0.7%増と速報値から横ばい。18年1~3月期の0.2%減からプラス成長に戻した。伸び率は17年4~6月期(0.8%増)以来となる1年ぶりの高い水準だ。自動車がけん引し、飲食サービスも小幅に上方修正に寄与した。
民間住宅は2.4%減と、速報値の2.7%減からマイナス幅が縮小した。不動産仲介手数料が上方改定となった。
民間在庫のGDPに対する寄与度は0.0%と速報値から横ばい。4~6月期は在庫の積み増しや取り崩しに対するGDPへの寄与度は軽微だった。
生活実感に近いとされる名目GDPの改定値は0.7%増、年率で2.8%増。名目ベースでも速報値の年率1.7%増から大幅な上方修正で、17年7~9月期(3.2%増)以来の高い水準だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/4-62017/7-92017/10-122018/1-32018/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.6+0.2▲0.2+0.5+0.7
民間消費+0.8▲0.7+0.3▲0.2+0.7+0.7
民間住宅+1.3▲1.4▲3.0▲2.5▲2.7▲2.4
民間設備+0.1+1.3+0.9+0.3+1.3+3.1
民間在庫 *(▲0.1)(+0.4)(+0.2)(▲0.2)(+0.0)(+0.0)
公的需要+1.4▲0.5▲0.1▲0.1+0.2+0.2
内需寄与度 *(+0.8)(+0.0)(+0.4)(▲0.3)(+0.6)(+0.9)
外需寄与度 *(▲0.3)(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)
輸出+0.2+2.1+2.1+0.6+0.2+0.2
輸入+1.9▲1.5+3.3+0.2+1.0+0.9
国内総所得 (GDI)+0.6+0.6+0.0▲0.5+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)+0.5+0.8▲0.0▲0.7+0.7+1.0
名目GDP+0.8+0.8+0.3▲0.4+0.4+0.7
雇用者報酬+0.6+0.7▲0.2+1.2+1.9+1.8
GDPデフレータ▲0.3+0.1+0.1+0.5+0.1+0.1
内需デフレータ+0.4+0.5+0.6+0.9+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスで大きく寄与している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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テーブルとグラフを見れば明らかなんですが、1次QEから2次QEへの変更の大きなポイントは設備投資です。法人企業統計に沿った上方改定といえます。その他の需要項目に関しては、住宅津市がややマイナス幅を縮小改定されたものの、大きね変更はなく、この設備投資の情報改定が内需寄与度を押し上げて高成長をもたらしたといえます。ただ、足元の7~9月期についてはプラス成長を維持することすら危うい、と大きのエコノミストは見込んでいるようです。すなわち、景気局面そのものがかなり成熟化しているという自律的な要因のほかに、猛暑は別としても、豪雨や台風に北海道地震といった災害がこの期間に目白押しで、マインドの悪化や外出の手控えから消費需要を押し下げたり、あるいは、生産や物流などの供給面からの影響も含め、景気にはマイナス材料となった可能性が高いと私は受け止めています。その意味で、4~6月期GDPの高成長は過去の数字かもしれません。加えて、さらに先行きの成長についても、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦がリスクとして上げられます。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費なわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。インバウンド消費も順調な拡大を続けているものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大局面は終了に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、雇用者報酬が順調に伸びを示しています。人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

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最後に、昨日は4~6月期GDP統計2次QEだけでなく、景気ウォッチャーと経常収支も公表されていますが、景気ウォッチャーのグラフだけ上にお示ししておきます。いずれも季節調整済の系列で見て、現状判断DIは前月差+2.1ポイント上昇の48.7を、先行き判断DIは前月差+2.4ポイント上昇の51.4を、それぞれ示しています。

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2018年9月10日 (月)

経済統計学会でシェアリング・エコノミーに関して学会発表をする!

昨日夕刻に東京を発ち和歌山に向かい、今日午前中の経済統計学会全国研究大会にて「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究」に関する学会発表をしてきました。このテーマでの学会発表は6月の日本経済学会に続いて2回目です。注目いただいているのは有り難い限りですが、今回の学会は役所の研究所の同僚と大挙して押し寄せて、計5セッションを連続で独占したりしました。まあ、そういう時もあります。今日の午後には和歌山を出て、先ほど帰宅しました。
私は京都出身で、京都駅から南に近鉄で10駅ほどのところに、大学生活まで過ごした両親の実家がありましたので、京都から先は、特に大阪を越えると長旅に感じます。新幹線で京都から新大阪まで十数分、さらに和歌山まで特急で1時間ほどなんですが、長く感じました。年齢的に疲れやすいのかもしれません。日経BP社から出版されているロバート J. ゴードン教授の『アメリカ経済 成長の終焉』上下巻各500ページ余りを持って行きましたが、往復で読み切ってしまいました。

4~6月期のGDP統計2次QEが公表されたりしていますが、まだ詳細は見ていません。日を改めて取り上げたいと思います。

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2018年9月 8日 (土)

8月米国雇用統計の雇用者増は再び加速しFEDは金利引上げを継続するのか?

日本時間の昨夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+201千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を上回った一方で、失業率は前月と同じ3.9%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Jobs report: Employers added 201,000 jobs in August
Hiring rebounded in August as employers added 201,000 jobs and the labor market continued to defy worker shortages and U.S. trade battles. Yearly wage growth hit a nine-year high.
The unemployment rate was unchanged at 3.9 percent, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 195,000 payroll gains.
On the downside, employment increases for June and July were revised down by a total 50,000. June's gain was lowered from 248,000 to 208,000 and July's from 157,000 to 147,000. Still, monthly gains for the year are averaging a robust 207,000.
Hiring can be volatile in August as teachers and other employees return to work after summer lulls. That makes it more challenging for Labor to adjust the employment totals to account for seasonal variations. In recent years, Labor has revised up its initial estimates for August, often significantly. Goldman Sachs reckons the measurement glitch reduced last month's job count by at least 40,000.
Other economists, though, have expected payroll growth to slow as employers increasingly struggle to find available workers now that the jobless rate has dipped below 4%. So far this year, the labor market has shrugged off the worker shortages, turning out an average of more than 200,000 job gains a month, up from 182,000 in 2017. That may be due to a pool of discouraged and other workers who had been on the sidelines, but some experts believe that supply will soon run thin.
Trade tensions also could have dented business confidence and dampened hiring last month, Goldman Sachs says. In early July, the Trump administration slapped tariffs on $34 billion in Chinese imports and announced a proposed list of tariffs on another $200 billion in Chinese goods.
Average hourly earnings rose 10 cents to $27.16. And so wages were up 2.9 percent from a year earlier, up from 2.7% in July and the biggest annual jump since 2009. The large increase could indicate that wage growth is finally picking up more rapidly amid an intense competition for workers.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の雇用が堅調です。先月7月こそ非農業部門雇用者の伸びが+200千人を下回って+147千人にとどまりましたが、その前の6月の+208千人と同様、8月も+201千人を記録し、米国連邦準備制度理事会(FED)が一定の目安と見ているといわれる+200千人増の水準を回復しましたし、失業率も4%を下回って7~8月は+3.9%を続けています。この雇用統計の数字を見る限り、FEDが利上げを継続するのに何の障害もなさそうで、現に、先月のジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演 Monetary Policy in a Changing Economy では "As the most recent FOMC statement indicates, if the strong growth in income and jobs continues, further gradual increases in the target range for the federal funds rate will likely be appropriate." と利上げ継続が表明されています。ただ、「内憂外患」と申しましょうかで、国内的にはトランプ大統領が利上げに猛反対しています。8月統計では製造業雇用が久し振りに前月から減少しましたので、これも政権の利上げ反対姿勢を強める可能性があります。加えて、典型的にはトルコとアルゼンティンなんですが、通貨が大きく減価しています。このため、他の新興国や途上国などでも米国の利上げ幅を超える利上げを迫られる場合があり、世界的な金融市場の不安定な動きにつながりかねません。このあたりのバランスをどう考えるのか、利上げの継続かあるいは一時停止か、米国の金融政策当局の判断が注目されます。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、8月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げで対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。

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2018年9月 7日 (金)

「拡大」の基調判断続く景気動向指数と賃金上昇が見られ始めた毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.1ポイント下降して103.5を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.5%増の37万6338円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、3カ月連続低下 自動車出荷など悪化
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の116.3だった。低下は3カ月連続。市場予想の中央値は0.7ポイント低下だった。自動車関連の出荷が悪化した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち6系列が指数を押し下げた。耐久消費財出荷指数が乗用車と二輪車の悪化を受けて低下した。鉱工業用生産財出荷指数も、北米向けの鉄鋼輸出が減少した影響でマイナスに寄与した。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は22カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.1ポイント低下の103.5と2カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント低下の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
7月の名目賃金、1.5%増 増加は12カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、7月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の37万6338円だった。増加は12カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.0%増の24万5010円だった。残業代など所定外給与は1.9%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は2.4%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1130円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低い30.53%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した開示にもある通り、CI先行指数が2か月連続で、CI一致指数に至っては3か月連続で前月から下降を示しているんですが、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「改善」で据え置いており、22か月連続の「改善」となっています。CI一致指数のうち、プラス寄与は商業販売額(卸売業)(前年同月比)くらいのもので、マイナス寄与は絶対値の大きい順に、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断が「改善」から「足踏み」に変化する際は、3か月後方移動平均がマイナスに転じ、さらに、マイナス幅が1標準偏差以上、という定義なんですが、3か月後方移動平均を見ると、4~6月は3か月連続でプラスを示したんですが、7月はマイナスに転じ▲0.40を記録しています。でも、まだ標準偏差の幅には達していない、ということなのだと私は理解しています。景気拡大は5年半を越えましたので、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。CI一致指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、最近の生産の動向から考えて、ある意味で、当然の結果かもしれません。また、CI先行指数についても、プラス寄与は新設住宅床面積くらいで、その他は軒並みマイナス寄与を示しています。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、8月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて明日早くにアップしたいと思います。

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