2017年10月18日 (水)

日本経済研究センターによる温暖化ガス削減試算やいかに?

10月13日付けで、日本経済研究センターから「第4次産業革命の中の日本」と題して、温暖化ガス削減に関する試算が明らかにされています。試算結果のグラフを日本経済研究センターのサイトから引用すると以下の通りです。

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化石燃料価格が2050年度までに足元の6倍程度の1バレル当たり275ドルまで上昇すると、7割以上の削減も可能になる一方で、インフレ見合いの2%程度の上昇率で実質横ばいで推移すると、7割削減を目標とすると最低でも総額12兆円程度の環境税=炭素税が必要になる、と試算しています。2025年度以降にCCSによる二酸化炭素の回収・貯留が可能となるという前提ではありますが、第4次産業革命といわれる経済の情報化を進めるイノベーションを加速すれば、環境と経済、すなわち、地球温暖化防止と豊かな社会の実現の両立は十分に可能であると結論しています。

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2017年10月17日 (火)

東京商工リサーチ「全国社長の出身大学」調査結果やいかに?

昨夜に続いて、旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから10月10日付けで「全国社長の出身大学」調査の結果が明らかにされています。114万人超の卒業生を擁する日本大学が調査開始から7年連続でトップを守った一方で、都道府県別に詳しく見ると違った特徴もありました。すなわち、東日本が日本大学を中心になど東京や首都圏に所在する大学への一極集中が目立った一方で、西日本は地元や域内の大学が上位を占める場合も見受けられ、東西で異なる傾向が出ています。ということで、下のテーブルの画像は東京商工リサーチのサイトから引用しています。我が母校の京都大学は、どうしても卒業生数が不足しますので、とてもではないです、トップテンには入りません。

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なお、引用はしませんが、東京商工リサーチのサイトでは都道府県別の社長の最多出身大学のトップだけがテーブルに取りまとめられているんですが、西日本では国立大学をはじめとする地元大学が活躍しています。福岡県では福岡大学がトップですし、何と、中国地方5県、すなわち、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ではそれぞれの県名を冠したを国立大学がトップとなっています。どうでもいいことながら、我が郷里の京都府では全国9位の同志社大学がトップだったりします。

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2017年10月16日 (月)

帝国データバンク「人口減少に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、帝国データバンクから10月6日付けで「人口減少に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の90.2%、「自社の属する業界」では88.2%、「自社」では78.4%が「マイナスの影響がある」と認識
  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「経営課題だが、それほど重要ではない」が39.2%、「重要な経営課題である」と考える企業は27.5%となり、3社に2社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は21.6%にとどまる
  3. 人口減少への対応策、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ。次いで、「国内の店舗網・販売先等の拡大充実」が続く
  4. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(72.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(25.5%)、「他企業との連携」(21.6%)「外部の技術力の獲得」(19.6%)、「企画提案力の獲得」(17.6%)、「技術開発・研究開発」(13.7%)が続く

ということで、私の目から見て、どうして、あるいは、どのような観点から、人口減少が日本経済に問題なのか、という企業の意識は明らかにされていませんし、回答企業がわずかに51社ですので誤差がとてつもなく大きそうな気もしますが、それなりに興味深い調査ですので簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 人口減少による影響 について、日本全体と業界と自社のそれぞれについて問うた結果です。プラスの影響は流石にゼロですし、圧倒的にマイナスの影響が指摘されているんですが、それでも、自社へのマイナスの影響は業界よりも小さく、業界のマイナスの影響は日本経済全体よりも小さい、と企業が考えている結果が明らかにされていると私は受け止めています。要するに、ヨソは大変だけど、我が社はそれほどでもない、ということなのかもしれません。

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次に、上のテーブルはリポートから 対応策実施の阻害要因 を引用しています。あくまで、対応策実施の阻害要因ですから、マイナスの影響とは異なるんですが、何がマイナスの影響の原因かが透けて見えるような気もします。というのは、圧倒的に人材確保が上げられており、2番めの販路拡大の3倍近い数字を示してます。すなわち、人口減少の問題は供給サイドであって、需要サイドではない、と企業が考えているような気がしてなりません。

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2017年10月13日 (金)

ダイヤモンド・オンラインによる「全国自治体30代未婚率ランキング」やいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、10月10日付けでダイヤモンド・オンラインから「全国自治体30代未婚率ランキング」が明らかにされています。上位の各自治体は上の画像の通りです。
未婚率が高いケースにはいくつかのパターンがあるということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから要約すると、第1には何かにつけて「ヨメ捜し」が話題になる農家はじめ第1次産業の従事者が多い街ということで、上のテーブルでは7位の三浦市、8位の常陸太田市、9位の八街市、10位の稲敷市、11位の山武市などで、いずれも農業従事者が10%近いと指摘されています。そして第2に京都市の東山区・中京区・上京区、札幌市中央区、名古屋市中区、福岡市中央区など政令市の中心部にある都市であり、就職で周辺の街、時には県境を超えて多くの20歳代前半の女性が移り住むことにより、30歳代の未婚女性の数が男性を上回って男女の比率がアンバランスになっています。
最近の合計特殊出生率は最低だった2005年の1.26より徐々に回復傾向にあるとはいえ、まだまだ低い状態が続いており、少子化に歯止めをかけるためには20歳代から30歳代の男女が子供を産むのに不安を持たない環境が重要です。現在の総選挙でも、いろんな対策が各政党の公約に盛り込まれているところ、果たしてどうなりますことやら?

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2017年10月12日 (木)

企業物価(PPI)上昇率は順調にプラス幅を拡大!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 8年11カ月ぶり伸び率
日銀が12日発表した9月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は99.0で前年同月比で3.0%上昇した。上昇は9カ月連続となる。上昇率は8月の2.9%から拡大し、消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来8年11カ月ぶりの大きさとなった。世界経済の回復を背景にした原油や銅など国際商品市況の持ち直しを受けて石油・石炭製品や電力・都市ガス・水道の価格が上昇した。
前月比では0.2%の上昇だった。石油・石炭製品のほか、銅の国際価格が上昇した影響で銅地金や通信用メタルケーブルといった非鉄金属製品も値上がりした。
円ベースでの輸出物価は前年比で9.4%上昇し、13年12月(12.7%)以来の高い伸びとなった。前月比では1.1%上昇と2カ月ぶりにプラスに転じた。米南部を襲ったハリケーンの影響による供給懸念からポリウレタンの原料など化学製品が値上がりした。輸入物価は前年比13.5%上昇し、伸び率は13年12月(17.8%)以来の大きさとなった。前月比では1.8%の上昇だった。原油価格の上昇が影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは374品目、下落したのは268品目だった。上昇と下落の品目差は106品目と8月の確報値(109品目)から3品目減った。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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PPIのヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率がプラスに転じたのが今年2017年1月統計でしたが、2017年1月の+0.5%から急速にプラス幅を拡大し、10か月足らずで+3.0%に達しています。季節調整していない原系列の指数ですが、国内物価指数の前月比も昨年2016年9月からプラスに転じ、直近9月まで13か月連続で前月比プラスを記録しています。基本的には、国際商品市況における商品価格の上昇、特に、石油価格の上昇による物価押し上げ効果があるわけですが、逆に、こういった商品市況の上昇の背景には新興国を含む世界経済の回復や拡大、昨日取り上げた国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」の用語を借りれば upswing があるわけで、我が国も含めて世界経済全体でデフレを克服して成長軌道を取り戻すパスに乗っていると考えてもいいのかもしれません。

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2017年10月11日 (水)

IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編を読む!

日本時間の昨夜、IMF世銀総会を前に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編が公表されています。世界経済の成長率が2017年+3.6%、2018年+3.7%と、7月時点での見通しからいずれも+0.1%ポイント上方修正されている一方で、我が国の成長率も2017年+1.5%、2018年+0.7%と、やや上昇修正されています。まず、同じIMFのサイトから要約を引用すると以下の通りです。

Introduction
The global upswing in economic activity is strengthening, with global growth projected to rise to 3.6 percent in 2017 and 3.7 percent in 2018. Broad-based upward revisions in the euro area, Japan, emerging Asia, emerging Europe, and Russia more than offset downward revisions for the United States and the United Kingdom. But the recovery is not complete: while the baseline outlook is strengthening, growth remains weak in many countries, and inflation is below target in most advanced economies. Commodity exporters, especially of fuel, are particularly hard hit as their adjustment to a sharp stepdown in foreign earnings continues. And while short-term risks are broadly balanced, medium-term risks are still tilted to the downside. For policymakers, the welcome cyclical pickup in global activity provides an ideal window of opportunity to tackle key challenges-namely to boost potential output while ensuring its benefits are broadly shared, and to build resilience against downside risks.

適確に取りまとめられていると思うんですが、やや長くなってしまいました。次に、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、このテーブルだ毛ではやや愛想なしですので、クリックすると別タブでリポートの pp.14-15 の総括見通し表の2ページだけを抜き出したpdfファイルが開きます。

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ということで、リポートでも指摘されている通り、2016年半ばころから世界経済の循環的な上昇局面が力強さを増しており、ハッキリいって、誠に素直に世界景気の強さを評価し直して多くの国や世界経済の成長率が上方修正された、ということなんだろうと私は理解しています。成長率は上振れし、他方で、石油価格の下振れに伴ってインフレ率は下方修正されています。これだけをもってすれば、私のような単純な思考回路を持つエコノミストには、かなり良好な世界経済の先行き見通しだと思うんですが、IMFは世界経済の回復の不完全さを指摘しています。すなわち、IMFのブログサイトを見る限り、世界経済の回復は不完全 (incomplete) であると指摘し、3点、国内的不完全 (incomplete within countries)、国際的不完全 (incomplete across countries)、時間的不完全 (incomplete over time) を上げています。国内的不完全は、すでに分析編で指摘されている賃金の伸びの低さ (wage growth have remained low) であり、国際的不完全は、世界経済の回復から取り残されている地域が残されていると主張しており、新興市場及び低所得の1次産品輸出国、特にエネルギー輸出国では依然苦しい状況が続いている (emerging market and low-income commodity exporters, especially energy exporters, continue to face challenges) と結論しています。最後の時間的不完全は、多くの国々でより長期的な1人当たり所得の伸びが過去のトレンド成長率を下回っていることから、国や地域により原因は異なるものの、先進国では生産性の伸びの鈍化と労働力の高齢化が大きな要因となっており、構造改革政策の必要性を指摘しています。

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最後に、目を国内に転じれば、本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比+3.4%増の8824億円と、2か月連続で増加しています。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏み」から「持ち直しの動き」に上方修正しています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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2017年10月10日 (火)

小売りが牽引する景気ウォッチャーと黒字が定着した経常収支と日銀「さくらリポート」!

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調史絵済みの系列の現状判断DIが前月から+1.6ポイント上昇して51.3を、先行き判断DIは▲0.1ポイント低下して51.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆3804億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の街角景気、家計の景況感が改善 選挙後には懸念
内閣府が10日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.6ポイント改善の51.3だった。気温の低下で秋物衣料などが堅調だった小売りを中心に家計動向を示す指数が改善した。企業動向では非製造業の改善が目立った。ただ衆院選後の消費環境を巡る不透明感が重荷で、先行き判断指数は51.0へ0.1ポイント低下した。
内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」と、従来の「持ち直しが続いている」から変更した。現状判断指数が節目の50を上回ったため。表現変更は4カ月ぶりで、同様の表現を使うのは指数が2カ月連続で51.4を付けた16年12月以来9カ月ぶりとなる。
部門別にみると家計動向が2.3ポイント改善し50.1と、2016年11月以来10カ月ぶりに節目の50を上回った。小売関連が3.8ポイント改善し50.7と、消費増税直前の14年3月(56.4)以来3年半ぶりの高さとなった。企業動向は0.3ポイント上昇の52.3、雇用は0.4ポイント低下の57.0だった。
街角では家計動向について「残暑もなく、秋冬物の季節商材の動きが前年よりも早くなっている」(近畿のスーパー)との声があった。北関東などで新型車の販売効果やスマートフォンの販売好転を指摘する声も出た。企業動向では「海外の景気動向が良くなっている。国内の季節要因もあり国内景気は徐々によくなっている」(北関東の金融業)と指摘されたほか、広告関係から業況改善を示すコメントが目立った。半面、製造業では鉄鋼業などで受注の鈍さを懸念する声などがみられた。
2~3カ月後を占う先行き判断指数を押し下げたのは家計動向。同指数は50.2で、サービス関連の低下を主因に前月から0.3ポイント下げた。「衆議院選挙の影響で企業の接待などの減少が懸念材料」(南関東の都市型ホテル)との声があった。
8月の経常収支、2兆3804億円の黒字 8月として過去最大
財務省が10日発表した8月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆3804億円の黒字だった。黒字は38カ月連続。前年同月に比べて黒字額が4100億円拡大し、8月としては過去最大の黒字額を記録した。第1次所得収支の大幅黒字や8月としては初となるサービス収支の黒字が寄与した。
第1次所得収支は2兆2385億円の黒字で、黒字幅は前年同月に比べて2575億円拡大した。8月としては過去最高の黒字額となった。円安を背景に海外子会社から受け取る配当金が増加した。
サービス収支は202億円の黒字(前年同月は506億円の赤字)だった。黒字転化は8月としては初めて。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が8月としての過去最高の黒字を記録した。通信など情報サービス関連の支払いが減少したことも寄与した。
貿易収支は3187億円の黒字と黒字幅が1006億円拡大した。自動車や半導体などの電子部品の増加で輸出が16.3%増加した。石炭や液化天然ガス(LNG)の増加で輸入も15.1%増えたが、輸出増が上回った。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。2つの統計に関する記事を並べましたので少し長くなってしまいました。次に、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーは、先行き判断DIはほぼほぼ横ばいでしたが、現状判断DIは大きくジャンプして改善を示しました。8月から9月にかけて総合で+1.6ポイントの上昇を見せた中で、3つのコンポーネントのうち、企業動向関連が+0.3ポイントの上昇、雇用関連が▲0.4ポイントの低下だったのに対して、家計動向関連は+2.3ポイントの上昇を記録しており、家計動向関連の中でも小売関連が+3.8ポイントと突出して上昇しています。もっとも、先行き判断DIに目を転じると、企業動向関連が+0.5ポイント上昇し、雇用関連が横ばいだったのに対して、家計動向関連は逆に▲0.3ポイントの低下となっています。それにしても、引用した記事にあるような衆議院総選挙後に対する懸念というのは、どこまで一般化できるんでしょうか。私には疑問です。家計のお話しに戻ると、極めて素直に判断する限り、8月は天候要因などで家計動向はよくなかったものの、9月には天候も回復して8月から9月にかけては上向きに見えるが、しかし、それほど腰の据わった家計部門の回復・改善ではない、ということになります。ただし、現状判断DIも先行き判断DIもともにかなり高い水準にあり、マインド指標の常として、これから先もグングン上昇を続けるという可能性は低いのかもしれません。そうなれば、ユーフォリアによるバブルのような気もします。それから蛇足ながら、統計作成官庁である内閣府の基調判断ですが、先月までの「持ち直している」から「着実に持ち直している」に変更されています。私は頭の回転が鈍いので、違いがイマイチよく判りません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、円安に伴う1次所得収支の円建て額が膨らんだことに加え、おそらくインバウンドなんだろうと想像していますが、旅行収支につれてサービス収支が改善しています。季節調整済みの系列では引き続きマイナスの赤字なんですが、季節調整していない原系列の統計ではサービス収支は黒字に転化しています。政府観光局の8月統計によれば、前年同月比で見て出国日本人数が+3.9%だったのに対し、訪日外国人旅行者数は+20.9%増を記録しています。輸出入はすでに貿易統計で見ているとして、9月のデータが利用可能になりましたので経常収支の対GDP比を計算してみました。1~3月期に+3.8%を示して、それまでじわじわと上昇し続けて来ましたが、4~6月期にはとうとう4.0%をつけてピークに達し、7~9月期も+3.5%と高い水準にあります。サブプライム・バブル末期には+5%近い経常黒字を記録していましたが、貿易収支や経常収支について厳しい見方をする米国大統領の誕生に伴って、それなりの摩擦を警戒するレベルに達したような気がします。

 2017年7月判断前回との比較2017年10月判断
北海道回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
北陸緩やかに拡大している緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかな拡大に転じつつある緩やかに拡大している
東海緩やかに拡大している拡大している
近畿緩やかな拡大基調にある緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大しつつある緩やかに拡大している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄地域や業種によってばらつきがみられるものの、緩やかに拡大している緩やかに拡大している

日銀支店長会議で10月の「さくらリポート」が公表されています。上のテーブルの通りです。9地域中の4地域で景気判断が引き上げられています。九州・沖縄ブロックは表現振りは違っていますが、景気判断としては据え置きということのようです。

間もなく始まるIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」 World Economic Outlook の見通し編が、米国ワシントンDC時間の10月10日午前9時に公表されるとアナウンスされています。日を改めて取り上げたいと思います。

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2017年10月 9日 (月)

ノーベル経済学賞はセイラー教授に授与!

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今年のノーベル経済学賞は、行動経済学のセイラー教授に授与されました。
誠におめでとうございます。

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2017年10月 7日 (土)

ハリケーンの影響で米国雇用統計の雇用者は7年振りの減少を示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から▲33千人減と、7年振りの減少を示した一方で、失業率は前月から▲0.2%ポイント下がって4.2%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の6パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. payrolls shrink for first time in 7 years: Hurricanes walloped job growth
urricanes Harvey and Irma walloped the labor market last month, causing the nation to lose jobs for the first time in seven years, the Labor Department said Friday.
Total nonfarm employment declined by a net 33,000 jobs in September compared with an upwardly revised gain of 169,000 the previous month. The Labor Department said 1.5 million workers - the most in 20 years - were not at their jobs during the survey week last month because of bad weather.
Restaurants and bars took the biggest hit. Total employment in September declined by 105,000 "as many workers were off payrolls due to the recent hurricanes," the Labor Department said.
The sector had averaged job growth of 24,000 over the previous 12 months.
"We've very confident those jobs are coming back," Gary Cohn, the top White House economic advisor, told Fox Business Network.
Analysts had expected the major hurricanes that devastated large parts of Texas and Florida would significantly reduce job growth in September, but the decline was much bigger than expected.

長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、非農業部門雇用者数は何と7年振り、すなわち、サブプライム・バブル崩壊後の金融危機に伴う景気後退期を終えた1年余り後の2010年9月以来の減少を記録しました。かなりの程度にテキサス州やフロリダ州を襲ったハリケーンの影響と見られています。全産業ベースで▲33千人の非農業部門雇用者減、うち民間部門で▲40千人の減少なんですが、Leisure and hospitality 産業の減少が何と▲111千人に上っています。他方で、雇用増をけん引してきた Health care and social assistance については、8月+20.9千人増の後、9月は+13.1千人増となっており、やや減速したものの引き続き雇用は増加していますし、Transportation and warehousing などでも雇用者は伸びています。加えて、失業率は低下しているわけですから、9月の雇用減少はハリケーンの天候要因による一時的なものである可能性が高いと受け止められています。さらに、米国雇用統計では一時的に給与が支払われないケースも雇用が減少したと見なしていることから、こういった制度要因もあって、9月の指標が大きく下振れした可能性があると指摘されています。従って、金融政策当局である米国連邦準備制度理事会(FED)では、引き続き、年内の追加利上げに関する検討を続けるんではないか、と多くのエコノミストは考えているようです。その理由のひとつは下のグラフに見られるように、賃金の上昇がやや加速する可能性が高まっているからです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、9月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で物価に波及させることなく賃金上昇を吸収しているとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面も近くなるかもしれません。

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2017年10月 6日 (金)

8月景気動向指数から現在の景気回復・拡大はいざなぎ景気の57か月を超えるか?

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+1.6ポイント上昇して106.8を、CI一致指数も+1.9ポイント上昇して117.6を、それぞれ記録しています。毎月勤労統計では、景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+1.1%増を示し、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.6%増となった一方で、ボーナスなどの特別に支払われた給与と合せて現金給与総額のは0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、117.6に上昇 建機、半導体など堅調
内閣府が6日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント高い117.6と2カ月ぶりに上昇した。水準は消費増税直前の2014年3月と並ぶ高さ。建設機械や半導体製造装置など幅広い業種で出荷と生産が堅調だった。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は最も強気の「改善を示している」に10カ月連続で据え置いた。
8月は投資財出荷指数(輸送機械を除く)が0.79ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が0.50ポイント、生産指数(鉱工業)が0.40ポイント、それぞれプラスに寄与した。建設機械のほか、スマートフォンなど半導体関連の生産機械が伸びた。自動車の出荷好調で耐久消費財出荷指数もプラス寄与となり、速報段階で算出できる7指標のうち5指標が指数を押し上げた。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.6ポイント上昇の106.8と、2カ月ぶりに上昇した。
景気回復の期間などを正式に判断するデータをまとめる景気動向指数研究会の開催は、現時点では未定という。茂木敏充経済財政・再生相は9月25日の月例経済報告で現在の景気回復期間について「いざなぎ景気を超えた可能性がある」との見通しを示している。
実質賃金8カ月ぶりプラス 8月0.1%増
賃金好調、名目賃金も増加

厚生労働省が6日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月比で0.1%増加した。増加は8カ月ぶり。物価上昇に賃金増が追いついた。1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万4490円と前年同月比0.9%増加した。
名目賃金が増加したのは2カ月ぶり。現金給与総額のうち基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増の24万952円と5カ月連続で増加。残業代などの所定外給与も1.5%増の1万9012円と2カ月連続で伸びた。ボーナスなど「特別に支払われた給与」は1万4526円で6.1%増加した。
名目賃金を産業別にみると、金融・保険業(前年同月比7.1%増)や鉱業・採石業(5.2%増)などで増加が目立った。
8月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.8%上昇したため、名目賃金の伸びが実質を上回った。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計の記事ですので、長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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7月統計では、景気動向指数のうち、速報公表時にはCI一致指数のすべてのコンポーネントがマイナスを示していたんですが、その反動もあって、8月統計ではCI一致指数、CI先行指数ともプラスを記録しています。プラス寄与の大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)がそれぞれ寄与度で+0.1を超えており、逆に、マイナス寄与度が▲0.1より大きい、というか、絶対値で大きいのは有効求人倍率(除学卒)だけです。CI先行指数についても+1.6の大きな上昇のうち、+1.2の半分超のプラス寄与は、ともに逆サイクルの最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数となっており、在庫の調整が進んでいるわけですから、先行きのさらなる景気回復・拡大にはとてもプラスなんだろうと考えるべきです。なお、引用した記事にもある通り、現在の景気回復・拡大の期間について考えると、CI一致指数から見て現在の第16循環の拡張期が続いていると仮定すれば、内閣府か明らかにしている景気基準日付に従って、景気の谷が2012年11月ですから、拡張期間は今年2017年8月までで57か月となり、1965年10月を谷とし1970年7月を山とする第6循環、いわゆる「いざなぎ景気」の拡張期間に並んだことになります。そして、もしも、足元の9月まで景気回復・拡大が続いているとすれば、「いざなぎ景気」を超えたといえるかもしれません。なお、現在利用可能な情報では、もっとも長い景気拡張期間は2002年1月を谷とし、2008年2月を山とするサブプライム・バブル崩壊前の第14循環の73か月です。ご参考まで。

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続いて、景気動向指数を離れて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、上のグラフに沿って見ていくと、まず、景気と連動性の高い製造業の残業時間については、鉱工業生産指数(IIP)とほぼ連動して8月は増加に転じています。次に、報道でも注目を集めた賃金については、ようやく、実質賃金が上昇しています。ただ、8月統計については、ボーナスなどの特別に支払われた給与の寄与が大きくなっています。なお、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。ただ、先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。

9月の米国雇用統計が間もなく公表される予定ですが、日を改めて取り上げたいと思います。

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