2020年3月19日 (木)

新型コロナウィルスの影響により石油価格が下落し消費者物価(CPI)の上昇率も縮小!

本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から少し縮小して+0.6%を示しています。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+0.6%でした。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の消費者物価、コロナ影響じわり マスク3.7%上昇
総務省が19日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.9と前年同月比0.6%上昇した。38カ月連続でプラスとなったが、伸び率は前月より縮小した。原油安などを背景に、エネルギー構成品目が2カ月ぶりに下落に転じたことが影響した。
材料費や人件費の高止まりを受け、外食は引き続き物価上昇に寄与した。一方、電気代や都市ガス代などの下落幅が拡大。ガソリン価格の上昇幅も縮小したことから、物価上昇の伸び率は前月(0.8%上昇)から縮んだ。携帯電話の通信料も大手各社の値下げの影響で、引き続き物価の下げ圧力となった。
足元で感染が拡大する新型コロナウイルス感染症のCPIへの影響については「一部の品目で影響が出た可能性があるが、全体に与える影響は小さかった」(総務省)と分析している。
具体的に新型コロナの影響が出た可能性があるものとしては、マスクの価格は前年同月比3.7%上昇した。宿泊料も下落幅が拡大。総務省は「新型コロナの感染拡大を受け訪日客が減少し、宿泊料値下げにつながった可能性もある」とみていた。
2月の生鮮食品を除く総合では397品目が上昇した。下落は106品目、横ばいは20品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
2月の全国CPIで、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.8と0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は102.0と、0.4%の上昇。暖冬の影響で、キャベツなどの生鮮野菜の出荷水準が高く、野菜価格が高騰していた19年2月に比べると「価格が下がっている」(総務省)という。
総務省は昨年10月の消費税率引き上げの影響を機械的に調整したCPIの試算値も公表した。消費税率引き上げと幼児教育・保育無償化の影響を除いた場合、2月の生鮮食品を除く総合の物価上昇率は0.2%上昇と、1月(0.4%上昇)から伸び率は縮小した。

やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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ということで、新型コロナウィルス(COVID-19)は物価にまで影響をもたらしているのは明らかで、半ば面白おかしく、上で引用した記事でも、「マスク」は値上がりで、「宿泊料」は下げ、ということになっています。加えて、「外国パック旅行」や下げているようです。でも、私が考えるCOVID-19の我が国物価への最大の影響は石油価格を通じた価格押下げ圧力です。現在の国際商品市況における石油価格がかなり大幅に下げていることは広く報じられており周知の事実ですが、これはかなりの程度にCOVID-19の影響を受けたものです。すなわち、COVID-19の感染拡大を防止するため、我が国でも一部の国からの入国制限を設けており、逆に、我が国からの入国制限を課している国も少なくないことなど、ヒトやモノの移動が停滞しており、加えて、株式市場だけでなくマクロ経済の低迷が鮮明になっていることから、石油への需要が大きく減退している上に、産油国の間では価格支持のための減産合意どころではなく、逆に、サウジアラビアが増産するなど、世界的に石油の需給が緩んだことから、日経新聞のサイトで報じられているように、世界的な石油価格の指標となるWTI先物がバレル20ドルの安値を付けていたりします。ですから、かなりの程度に、先行き物価動向もCOVID-19次第の部分があります。

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2020年3月18日 (水)

中国からの輸入が激減した2月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.0%減の6兆3216億円、輸入額も▲14.0%減の5兆2117億円、差引き貿易収支は+1兆1098億円の黒字を計上しています。なお、新型コロナウィルス(COVID-19)に関連して注目された中国向け輸出額は▲0.4%減、輸入額は何と▲47.1%減を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、中国からの輸入額47%減 86年8月以来の減少幅 新型コロナ響く
財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、中国からの輸入額は前年同月比47.1%減の6734億円だった。輸入額の下げ幅は、中国政府が経済引き締め策を実施した影響が出た1986年8月(47.3%減)以来の大きさとなる。財務省は「新型コロナウイルス感染症の拡大で中国国内で生産活動の停止などの動きがみられたことから、その影響が出た可能性がある」とみる。
中国からの輸入減少に最も響いたのは、衣類・同付属品で65.7%減った。次いで携帯電話(45.3%減)、パソコンなどの電算機類(37.2%減)だった。輸出額は、半導体等電子部品などの輸出増加を支えに1兆1361億円と0.4%の減少にとどまった。
中国からの輸入額が大幅に減少した一方で、中国への輸出額は小幅減少にとどまったため、差し引きの中国との貿易収支は4627億円の黒字となった。対中国の黒字は2018年3月以来で、黒字額は過去最大となった。
対世界全体の輸出額は1.0%減の6兆3216億円と15カ月連続で減少した。輸入額は14.0%減の5兆2117億円と10カ月連続の減少で、差し引きの貿易収支は1兆1098億円の黒字となった。黒字は4カ月ぶりで、黒字額は2007年9月以来の大きさとなった。
輸出は中国向けの半導体等電子部品が増えた一方、米国向けの自動車や中国向けの金属加工機械が減少した。輸入はオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が減少したことが大きく影響した。
対米国の貿易収支は6268億円の黒字と2カ月連続の黒字、対欧州連合(EU)の貿易収支は183億円の赤字と8カ月連続の赤字だった。対EUは今回の統計から英国を除いた数字となっている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で+9172億円の貿易黒字が予想されていましたので、+1兆円をやや上回る貿易黒字とはいえ、まずまず、大きなサプライズをもたらしたわけではありません。ただ、上の輸出入のグラフ、特に下のパネルの季節調整済の系列でトレンドを見ると、明らかに輸出入ともに減少のトレンドにあります。特に、2月の貿易は中国発のCOVID-19の影響で輸出入とも減少しましたし、特に、中国の輸出、というか、我が国の中国からの輸入は、引用した記事のタイトルにもあるように、激減しています。ただし、中国との貿易に関しては、中華圏の春節の影響がとても大きいですから注意する必要があり、特に、昨年2019年の春節は2月5日からスタートし、今年2020年は逆に本来は1月30日までと、1月中に収まる予定でしたので、この上下の違いは大きいと考えるべきです。すなわち、季節調整していない原系列の貿易統計をそのまま見たりすれば、輸出入ともに今年2020年1月は大幅減で、逆に、2月は大幅増、となるのが通常の動きと考えるべきです。しかし、大幅増となると想定されていた今年2月の中国との貿易は逆に減少しました。いうまでもなく、COVID-19の影響であり、我が国からの輸出額こそ▲0.4%減という小幅な減少だったものの、中国からの輸入額は▲47.1%減とほぼ半減しました。強制的に春節休暇が継続され、操業停止が解除されたのが2月中旬ですから、当然です。中国国内の生産が大きくダウンしたわけですので、中国からの我が国の輸入も激減しており、まあ、何と申しましょうかで、マスクなんかが品薄になっているのも当然です。もちろん、マスクが品薄になっているのは中国での生産停滞だけではありません。ただし、少なくとも、中国ではCOVID-19の感染拡大は終息に向かっており、むしろ、現時点では欧州の方で感染が拡大しているのが実情のようです。いずれにせよ、COVID-19の経済的な影響は、私には何とも判りかねます。

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続いて、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数(CLI)の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ただし、OECD先行指標については、1月統計が公表されていません。OECDのプレスリリース "Release of OECD Composite Leading Indicators Cancelled for March 2020" によれば、"CLI sub-components for many countries are not yet able to capture the effects of the more widespread Covid-19 outbreak." というのが理由とされています。ということで、世界経済とともに中国の景気も最悪期を脱し、これから上向きになろうかという矢先のCOVID-19でしたので、繰り返しになりますが、ダイレクトに中国向けだけでなく、中国向け輸出比率の高いアジア諸国向けの輸出も、我が国では当然に欧米諸国などよりも割合が高く、輸出を通じた日本経済へのダメージは少なくないものと考えます。中国向けの直接の輸出だけでなく、加えて、サプライチェーンの中で中国の占めるポジションからして、部品供給の制約から貿易への影響を生じる可能性も無視できません。欧米向け輸出についても、OECD先行指数を見る限り最悪期を脱したと考えられますが、中国経済の変調とともに、欧州でのCOVID-19の感染拡大もあって、今後の動向は不透明です。

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2020年3月17日 (火)

新型コロナウィルスの影響緩和のための経済対策を考える!!!

先週金曜日の3月13日付けで、第一生命経済研から「新型コロナウィルスで必要とされる経済対策」と題するリポートが明らかにされています。私のこのブログで何度か書きましたように、一昨年2018年10~12月期を山として、我が国景気はすでに景気後退局面に入っていた上に、昨年2019年10月から消費税率の引上げが実施され、加えて、今年2020年に入ってからは中国発の新型コロナウィルス(COVID-19)により、我が国経済は大幅な景気の停滞を経験しています。第一生命経済研のリポートでは、この景気局面を脱するための経済対策について論じられています。まず、リポートから1ページ目の(要旨)にある5項目のうち第1項と第2講を引用すると以下の通りです。

(要旨)
  • 経済対策の規模については、景気後退+消費増税+新型コロナウィルスの3重苦に対して、大型の補正予算が組まれることが予想される。しかし、景気後退+消費増税に伴うGDPギャップを解消するのに必要な規模の経済対策を前提とするだけでも9.8兆円規模の追加の経済対策が必要になる。
  • 東日本大震災と2014年4月消費増税の時は、GDPの実績がトレンドからそれぞれ▲3.8兆円、▲3.7兆円程度下方に乖離。消費増税の影響も前回はトレンドから▲0.9%の乖離に対し、今回は▲2.3%もトレンドから下方に乖離していることから、すでに新型コロナウィルス緊急対応策に加えて、需給ギャップの解消に必要な需要創出額10兆円以上の財政措置が必要となる。市場の不安を軽減するという意味でも規模は重要。

現在、参議院で来年度予算が審議中ですが、早くも年度が明けて4月に入れば経済対策の策定が予定されています。その規模感と中身の案などをこのリポートでは議論しているところ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポート p.2 から引用したGDPギャップの推計結果です。「ESPフォーキャスト2月調査」を利用して延伸して推計した結果です。ただし、3月13日付けの内閣府の今週の指標No.1233で「2019年10-12月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について」において、2次QEの下方改定に従ってGDPギャップのマイナス幅も拡大したのは織り込まれていません。ですから、経済対策としては軽く10兆円を超える規模が想定されます。ということで、リポートでは、リーマン・ショック後の2009年4月の「経済危機対策」における財政支出の規模15.4兆円に言及しています。
経済対策の中身についてリポートでは、リーマン・ショック後の定額給付金方式では貯蓄に回って需要が顕在化しない可能性があると指摘し、すでに予定されているマイナンバーカードへのマイナポイントに加えて、リーマン・ショック後のエコポイントに近いキャッシュレスポイント還元に加えて、大胆にも、時限措置による消費税率の引下げまで踏み込んで主張しています。さらに、COVID-19対策としての意味もあるリモート設備導入に向けた補助制度の拡充、特に、学校や家庭にリモート学習可能な設備の導入補助の必要性などを論じています。

新しい経済対策が議論される4月になれば、私も私大教員として日本経済に携わる立場に復帰しています。景気も私の立場もともにビミョーな時期ながら、現在の緊縮財政を打破すべく、いろんな議論が行われるのはいいことだという気がします。

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2020年3月16日 (月)

2か月連続で前月比プラスとなった機械受注の今後の見通しやいかに?

本日、内閣府から1月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+2.9%増の8,394億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

1月の機械受注は2.9%増 基調判断「足踏みがみられる」で据え置き
内閣府が16日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比2.9%増の8394億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.2%減)を上回った。内閣府は機械受注の基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業の受注額は前月比4.6%増の3803億円だった。17業種のうち10業種で増加した。電気機械業でクレーンなど運搬機械が伸びた。非鉄金属業において原子力原動機の受注も伸びた。
非製造業は1.7%減の4607億円だった。12業種のうち5業種で減少した。運輸・郵便業が低調だったほか、金融・保険業でCPU(中央演算処理装置)をはじめとした電子機器の受注が振るわなかった。
受注総額は11.5%増、外需の受注額は9.1%増だった。官公需の受注は大型案件の受注が寄与して87.8%増だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.3%減だった。
1~3月期の「船舶・電力を除く民需」の見通しは前期比2.0%減だった。製造業は1.0%減、非製造業は5.2%減を見込む。今回の調査で季節調整値の改訂をしたため、見通しの数字も修正された。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月比▲1.2%減でしたが、予測レンジ上限は+4.2%増でしたから、実績の+2.9%は増はレンジに収まっており、それほど大きなサプライズはないという印象です。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏みがみられる」で据え置いています。コア機械受注の前月比+2.9%増を製造業と非製造業に分けて見ると、製造業は昨年12月の+2.4%増に続いて、2か月連続の前月比プラスで1月も+4.6%増、他方、非製造業は12月▲18.8%減に続いて、これまた2か月連続のマイナスで1月も▲1.7%減となっていて、明暗がクッキリと分かれています。製造業に関しては、いわゆる5Gといわれる第5世代移動通信システムへの対応による投資増加の可能性が指摘れされており、他方、非製造業においては、私には要因不明ながら、人手不足の影響大きいといわれている運輸業・郵便業が2か月連続で現象を見せており、この寄与が大きくなっています。しかし、何といっても、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大の影響が先行き最大のリスクと考えるべきです。まず、マインドの冷え込みが懸念されますし、消費はもちろん、需要の低迷に加えて、中国国内をはじめとしてサプライ・チェーンへの影響という供給サイドの要因も世界経済停滞の深刻化や長期化をもたらすわけで、今後のマインドと需要要因と供給要因の動向を注視する必要があるのは明らかです。ただ、私のような専門外のエコノミストは注視するだけで、それ以上は手の施しようがありません。

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2020年3月13日 (金)

新型コロナウィルス(COVID-19)の影響は経済見通しにどのように現れているか?

今週月曜日3月9日に内閣府から公表された昨年2019年10~12月期GDP統計速報2次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、年半ばの東京オリンピック・パラリンピックの後、今年2020年いっぱいくらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2019/10-122020/1-32020/4-62020/7-92020/10-12
actualforecast
日本経済研究センター▲1.8
(▲7.1)
▲0.7+0.5+0.8+0.3
日本総研(▲2.7)(+1.2)(+5.8)(+1.2)
大和総研(▲4.3)(+4.9)(+2.3)(+0.8)
ニッセイ基礎研▲1.1
(▲4.2)
+1.1
(+4.6)
+0.7
(+2.9)
+0.2
(+0.9)
第一生命経済研▲0.9
(▲3.6)
+0.3
(+1.2)
+0.8
(+3.3)
+0.7
(+2.8)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲1.3
(▲5.0)
+1.2
(+5.0)
+2.8
(+11.7)
▲0.3
(▲1.3)
SMBC日興証券▲1.5
(▲5.8)
+0.7
(+2.7)
+1.5
(+6.1)
+0.7
(+2.9)
農林中金総研▲0.2
(▲0.8)
+0.2
(+1.0)
+0.9
(+3.5)
▲0.5
(▲1.8)
東レ経営研▲1.3+0.6+0.9+0.6

各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年10~12月期までは内閣府から公表された2次QEに基づく実績値、今年2020年1~3月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本経済研究センターと東レ経営研のリポートでは前期比の成長率しか出されておらず、逆に、日本総研と大和総研では前期比年率の成長率のみ利用可能でしたので、不明の計数は省略しています。ということで、見れば明らかなんですが、10月の消費税率の引上げの後、2019年10~12月期が大きなマイナス成長となったのに続き、足元の1~3月期もマイナス成長が確実と見込まれています。ただ、これまた、すべての機関で4~6月期にはプラス成長に回帰し、オリンピック・パラリンピックといったイベントもあることから、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大が終息すれば、年央の4~6月期や7~9月期には、かなり大きなリバウンドが予想されています。ただし、その後の101~2月期には景気は息切れし、成長率は大きく減速して、シンクタンクによってはマイナス成長を見込む機関すらあります。
我が国景気に対する私の基本的な見方は、足元の2020年1~3月期もマイナス成長を記録し、テクニカルな景気後退シグナルが発せられるとともに、景気動向指数などの指標を見るにつけ、2018年10~12月期を景気の山として、すでに我が国は景気後退局面に入っているのではないか、というものです。直近の景気動向指数CI一致指数のピークは2018年10月の104.1であり、鉱工業生産指数(IIP)でも2018年10月の105.6です。2019年3月に定年退職した私のそのあたりまでの景気の実感として、このCI一致指数やIIPのピークの2018年10月あたりが景気の山と考えるべきではないか、という気がしています。それにしては、景気後退の落ち方のスロープが従来のパターンに比べて緩やかなんですが、人手不足を背景とした雇用が国民生活の安定を支えたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要、さらに、緩和の続く金融政策が経済活動を下支えしている、といったあたりが理由と考えられます。ただ、何としても不透明な要因として、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行拡大があります。多くのシンクタンクなどの見通しでは、一部繰り返しになるものの、~6月期に終息し、年央は東京オリンピック・パラリンピックで景気も盛り上がり、年末にかけて息切れする、というのが基本シナリオなんですが、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催がそもそも不可能となり、一気に景気が奈落の底に突き落とされる、という可能性もゼロではありません。まあ、何としても避けたいシナリオであることは間違いありませんが、私ごとき専門外のエコノミストには予測のしようがありません。
下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2020年3月12日 (木)

石油価格に連動する企業物価とマインド悪化を反映する法人企業景気予測調査!!!

本日、日銀から2月の企業物価 (PPI) が、また、財務省から1~3月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.8%と、先月統計の+1.5%から縮小し、消費税率引上げの影響を除くベースでは▲0.8%の下落と試算されています。続いて、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は昨年2019年10~12月期の▲6.2に続いて、足元の今年2020年1~3月期は▲10.1と、さらに、先行き4~6月期には▲4.4と3四半期連続でマイナスを記録した後、さらにその先の7~9月期には+4.2とプラスに転ずると見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の企業物価指数、前年比0.8%上昇 原油安が重荷
日銀が12日発表した2月の企業物価指数(2015年平均=100)は102.0と、前年同月比で0.8%上昇した。4カ月連続で上昇したものの、伸び率は1月の1.5%から縮小した。消費税率の引き上げが押し上げ要因となる一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた原油価格の下落が重荷となった。
前月比では、0.4%の下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸出物価は前年同月比で2.1%下落し、10カ月連続のマイナスとなった。前月比では0.3%上昇した。輸入物価は前年同月比1.8%下落し、前月比は0.1%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除いたベースでの企業物価指数は2月、前年同月比で0.8%下落した。下落率は3カ月ぶりの大きさだった。
大企業景況1-3月マイナス10.1 14年4-6月以来の低さ
財務省と内閣府が12日発表した法人企業景気予測調査によると、1~3月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス10.1だった。マイナスは2四半期連続で、2014年4~6月期(マイナス14.6)以来の低さとなる。前回調査の19年10~12月期はマイナス6.2だった。先行き4~6月期の見通しはマイナス4.4だった。
1~3月期は大企業のうち、製造業がマイナス17.2で、非製造業はマイナス6.6だった。中小企業の全産業はマイナス25.3だった。
2020年度の設備投資見通しは前年度比1.5%減だった。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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引用した記事のタイトルがやや誤解を招きかねないんですが、国内企業物価のコンポーネントとしての石油・石炭製品の上昇率は大きく縮小したとはいえ、まだプラスの前年同月比を保っています。すなわち、石油・石炭製品の前年同月比で見て、1月には+9.0%の上昇だったのが、2月統計では+1.6%に縮小しています。ただ、季節調整していない国内企業物の前月比▲0.4%のうちの▲3.2%は石油・石炭製品の寄与であることは事実です。また、輸入物価のコンポーネントである石油・石炭・天然ガスでは、国内通貨建ての前年同月比で見て、1月統計で▲0.6%の下落だった結果が2月には▲0.7%と、わずかにマイナス幅を拡大しています。ただ、WTIでバレル30ドル近辺まで下がっていますから、3月には国内企業物価の石油・石炭製品がマイナスに転じたり、輸入物価の石油・石炭・天然ガスのマイナス幅が拡大する可能性が十分あるのはその通りですし、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大とサウジアラビアの原油生産動向次第では、さらにマイナス幅が大きくなったり、期間が長引く可能性も否定できません。私がこのブログで常々指摘しているように、我が国の物価動向は日銀の金融政策よりも石油価格の方に大きく連動します。加えて、新型コロナウィルスの物価への影響については、中国では供給サイドに現れて物価上昇が生じたように報じられていますが、我が国では需要サイドと石油価格の影響などから、物価を下押しする方向の効果の方が大きいと、私をはじめとする多くのエコノミストは見ています。

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続いて、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、企業物価(PPI)と同じで、景気後退期を示しています。これまた、直近の2018年10~12月期を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。ということで、BSIは昨年2019年10~12月期から足元の2020年1~3月期、さらに、次期の4~6月期まで、4四半期連続のマイナスが見込まれており、7~9月期になってようやくプラスに転ずる見通しが示されています。まあ、これもCOVID-19の感染拡大次第で、どちらに転ぶのか私にはまったく不明で先行き不透明であることはいうまでもありません。COVID-19の感染者がさらに急ピッチで拡大して終息まで長期化し、しかも、致死率が高かったりすれば経済へのダメージ大きく、早期に被害少なく終息すれば、あるいは、V字回復の可能性すらあります。マインドもそれに従って振れるんだろうと覚悟すべきです。現時点で、そういった方面に専門性ない私のようなエコノミストには何とも判りかねます。ただ、我が国のケースでは、ほかの国と違って、オリンピック・パラリンピックを控えていますから、これが中止になったり、あるいは、延期されたりすれば、他国にないダメージもあり得ると考えるべきです。

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2020年3月11日 (水)

国際通貨基金(IMF)が新型コロナウィルス感染拡大防止のための財政措置を要請!!!

やや旧聞に属する話題ながら、先週木曜日3月5日に、国際通貨基金(IMF)から新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が拡大する下で国民を守るため、適切な財政政策の発動を求めるメッセージ "Fiscal Policies to Protect People During the Coronavirus Outbreak" が公表されています。我が国では、小中高校の休校措置などの国民の負担を強いる感染拡大策が先行していますが、こういった国際機関の政策提言にも耳を傾けるべきと私は考えます。とても強く考えます。COVID-19の感染拡大下で国民の命を守るための主要な財政政策をIMFのサイトから引用すると以下の3点です。

  • Spend money to prevent, detect, control, treat, and contain the virus, and to provide basic services to people that have to be quarantined and to the businesses affected.
    ウイルス感染の防止・検知・抑制・治療・封じ込めを行うため、また、隔離を余儀なくされた国民や影響を受けた企業に対して基本的サービスを提供するために、資金を投入する。
  • Provide timely, targeted, and temporary cash flow relief to the people and firms that are most affected, until the emergency abates.
    緊急事態が鎮静化するまでの間、もっとも深刻な影響を受けた国民や企業に対して、適時に対象を絞った一時的なキャッシュフロー救済措置を提供する。
    • Give wage subsidies to people and firms to help curb contagion.
      感染拡大を抑えるために、国民や企業に賃金助成金を支給する。
    • Expand and extend transfers-both cash and in-kind, especially for vulnerable groups.
      脆弱な集団に対しては、特に、金銭と現物支給の両面で給付を拡充する。
    • Provide tax relief for people and businesses who can't afford to pay.
      納税が困難な国民・企業を対象に税制上の負担軽減措置を提供する。
  • Create a business continuity plan.
    業務継続計画を立てる。

第2点めの一時的なキャッシュフロー提供には、さらに入れ子で賃金助成金などの3点が上げられていますので、インデントしてあるとはいえ少し見にくいかもしれません。私はこれら加えて公衆衛生機関や医療機関の体制拡充なども、当然に必要と考えるんですが、医師などの資格を必要とする人員拡充はすぐには難しいなど、短期に出来ることは限りがありますし、医療や衛生などの直接的なウィルス対策の体制拡充とともに、間接的に国民生活を経済面から支える財政政策に絞った提言なんでしょうから、取りあえずは、この3点ということも理解できるところです。我が国でも、ここは財源を気にせず国民の命を守る財政政策を展開すべき時、と私は強く訴えます。

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2020年3月10日 (火)

帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」に企業の危機意識の高まりを見る!!!

先週金曜日の3月6日に帝国データバンクから「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」と題するリポートが明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。調査結果はかなりありきたりで、それほぼ見るべきものはありませんが、2月後半に日々企業の危機感が高まっていた、という興味深い結果が示されています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果のサマリーを3点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は63.4%。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が30.2%、「今後マイナスの影響がある」が33.2%となった。「影響はない」とする企業は16.9%だった一方で、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は1.7%にとどまった
  2. 『マイナスの影響がある』と見込む企業を日別にみると、日を追うごとに、マイナスの影響を見込む割合が増加し、2月14日の55.7%から2月29日には81.7%まで増加した。新型コロナウイルス感染症の基本方針決定以降は、その傾向が顕著に表れた。特に、「既にマイナスの影響がある」も2月14日の24.5%から2月29日には45.4%まで上昇しており、半数近くの企業でマイナスの影響を受けていた
  3. 『マイナスの影響がある』と見込む企業を業種別にみると、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」と「旅館・ホテル」が89.3%で最も高い。以下、「再生資源卸売」(87.5%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(87.1%)、「飲食店」(80.9%)が8割台で続く。他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は、唯一「医薬品・日用雑貨品小売」(12.0%)が1割台となり最も高かった

これ以上の言及は不要と思いますが、ひとつだけ、リポートから企業業績にマイナスの影響があると回答した企業の割合が2月後半にグングン上昇しているグラフが印象的でした。2週間ほどで25%ポイント以上の上昇を見せています。以下の通り、リポートから引用しておきます。

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2020年3月 9日 (月)

下方修正された10-12月期GDP統計2次QEから現在の景気局面を考える!!!

本日、内閣府から昨年2019年10~12月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲1.8%、年率では▲7.1%と消費税率引上げ直後の反動を受け、大きなマイナスを記録しています。新型コロナウィルスの感染拡大前から、日本経済が消費税率引上げなどを契機に停滞に入っていたということが明らかになりました。1次QEからも下方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

19年10-12月期GDP改定値、年率7.1%減に下方修正
内閣府が9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算では7.1%減だった。速報値(前期比1.6%減、年率6.3%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比1.7%減、年率6.6%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比1.5%減(速報値は1.2%減)、年率は5.8%減(同4.9%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比2.8%減(同2.9%減)、住宅投資は2.5%減(同2.7%減)、設備投資は4.6%減(同3.7%減)、公共投資は0.7%増(同1.1%増)。民間在庫の寄与度はプラス0.0%(同プラス0.1%)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス2.3%(同マイナス2.1%)、輸出から輸入を引いた外需はプラス0.5%分(同プラス0.5%)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス1.2%(同プラス1.3%)だった。
10~12月期は世界経済の減速が尾を引き、消費税率の引き上げもあった。財務省が2日発表した法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の設備投資は前年同期比3.5%減で、16年7~9月期以来13四半期ぶりのマイナス。これまで設備投資をけん引してきた非製造業も13四半期ぶりのマイナスに転じていた。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/10-122019/1-32019/4-62019/7-92019/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.6+0.5+0.0+0.0▲1.6▲1.8
民間消費+0.4+0.0+0.6+0.5▲2.9▲2.8
民間住宅+1.7+1.5▲0.2+1.2▲2.7▲2.5
民間設備+4.4▲0.4+0.8+0.2▲3.7▲4.6
民間在庫 *(+0.0)(+0.1)(▲0.0)(▲0.2)(+0.1)(+0.0)
公的需要+0.3+0.1+1.7+0.8+0.4+0.3
内需寄与度 *(+1.0)(+0.1)(+0.8)(+0.3)(▲2.1)(▲2.3)
外需寄与度 *(▲0.4)(+0.5)(▲0.3)(▲0.3)(+0.5)(+0.5)
輸出+1.6▲1.9+0.4▲0.7▲0.1▲0.1
輸入+4.3▲4.3+2.0+0.7▲2.6▲2.7
国内総所得 (GDI)+0.4+0.9+0.5+0.2▲1.5▲1.7
国民総所得 (GNI)+0.6+0.7+0.6+0.2▲1.6▲1.8
名目GDP+0.2+1.1+0.6+0.4▲1.2▲1.5
雇用者報酬+0.5+0.5+0.8▲0.4▲0.3▲0.4
GDPデフレータ▲0.6+0.1+0.4+0.6+1.3+1.2
内需デフレータ+0.2+0.3+0.4+0.2+0.7+0.7

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年2019年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナス成長を示し、需要項目別寄与度では、赤の消費と水色の設備投資がマイナスの寄与を示している一方で、黒の外需(純輸出)がプラスの寄与となっているのが見て取れます。

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>まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが中央値で前期比▲1.7%、年率▲6.6%でしたし、レンジ内に入っていますし、予想された範囲のマイナス成長、と見えます。もっとも、このGDP統計を見て、新型コロナウィルスの感染拡大前から、日本経済が消費税率引上げなどを契機に停滞に入っていたということが明らかになりました。足元の2020年1~3月期も消費税率引上げの反動減の影響は和らぐ一方で、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響からマイナス成長はほぼほぼ確実であり、2四半期連続のマイナス成長という形で、テクニカルな景気後退シグナルが明らかになるだけでなく、私をはじめとする一定数のエコノミストは2018年10~12月期を山として日本経済はすでに景気後退局面に入っている、という見方も徐々に広まるような気がします。上のテーブルを見ても、GDP需要項目ほぼほぼすべてで前期比マイナスを記録しています。例外は公的需要だけですが、まさに、こういった景気局面こそ政府支出による景気の下支えが必要です。また、ややトリッキーな現象ながら、輸出入ともに減少する中で、輸入の減少の方が大きいために外需寄与度がプラスを示しています。消費税率引上げなどの国内要因に基づく景気停滞ですので、外需に依存する景気拡大はアリだと私は考えています、というか、ある意味で必要かもしれません。先行きの日本経済については、COVID-19の感染拡大の終息次第なんでしょうが、年央の東京オリンピク・パラリンピックに向けた需要の盛り上がりは見込めるものの、COVID-19の感染拡大が想定外に大きく進めば、オリンピック・パラリンピックの中止や延期も可能性がゼロとはいい切れず、何とも不透明であることはいうまでもありません。また、COVID-19の影響は国内での需要停滞とともに、海外、特に中国を含むサプライ・チェーンの断絶という形で現れる可能性高く、中国人観光客のインバウンド消費という需要サイドからの影響だけではなく、供給サイドから企業活動に影響を及ぼす可能性もあります。加えて、企業活動に伴う需要サイドの設備投資の抑制だけでなく、雇用者所得の抑制につながれば家計の消費の回復にも水を差しかねません。繰り返しになりますが、何とも先行きは不透明です。ただ、私は何ら根拠なく、4~6月期にはCOVID-19の感染拡大は終息するんではないか、と見込んでいたりします。

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GDP統計のほか、本日は、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、財務省から1月の経常収支も、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲14.5ポイント低下の27.4を、先行き判断DIも▲17.2ポイント低下の24.6を、それぞれ記録しています。ここまで大きな低下は2011年3月の東日本大震災以来ではないかと思います。おそらく、水準の低さも同じだという気がします。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+6,123億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。なお、景気ウォッチャーのグラフで影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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2020年3月 7日 (土)

2月の米国雇用統計には新型コロナウィルスの影響はまだ限定的!!!

日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+273千人増と新型コロナウィルス(COVID-19)の影響はまだ限定的で、雇用は予想外の伸びを示し、失業率も先月から0.1%ポイント低下して3.5%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy adds booming 273,000 jobs in February as unemployment rate falls to 3.5% from 3.6%
The labor market turned in another strong showing in February as employers added 273,000 jobs despite a slowing economy, worker shortages and early coronavirus fears.
The unemployment rate fell from 3.6% to 3.5%, matching a 50-year low, the Labor Department said Friday.
Also encouraging: Job gains for December and January were revised up by a total 85,000. December's was upgraded from 147,000 to 184,000, and January's, from 225,000 to 273,000.
Many economists said coronavirus concerns were unlikely to significantly affect the February jobs totals because the outbreak didn't begin to have a bigger impact on the economy and stock market until late February. The employment survey is conducted earlier in the month. The outbreak, however, could sharply reduce payroll gains in the months ahead.

まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期だったんですが、米国経済が長らく景気回復・拡大を続けているために、このグラフの範囲外になってしまいました。

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まず、Bloomberg のサイトによれば、市場の事前コンセンサスは雇用者の前月からの伸びが+175千人増、失業率は前月と同じ3.6%、ということなんですが、雇用者数はこれを大きく上回って伸び、失業率も低下を示しました。もちろん、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響はまったくないわけでもなかったんでしょうが、引用した記事にもある通り、本格的なインパクトはこれから出るわけで、2月統計ではまだ限定的な影響しか現れていないだけ、というわけなんでしょう。ですから、今週火曜日の3月3日に、米国連邦準備制度理事会(FED)が50ベーシスの大きな利下げを断行したところなんですが、3月17~18日には開催される定例の米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、わずかに2週間ながら、追加利下げがあるとする織込みが昨日3月5日の先物市場では、なんと100%に達しました。それだけではなく、再び0.5%の大幅利下げに踏み切るとの予測も8割を超しています。我が国では、小中高校の休校を政府が要請するなど、COVID-19の感染拡大を必死で食い止めようとしているところですが、ゼロ金利が長らく続いて金融政策による追加緩和もままならず、現在国会で審議中の政府予算はまっ赤っかの大赤字で財政出動もためらわれて、COVID-19の経済へのインパクトを相殺・緩和できるような経済政策のカードの持ち合わせがない我が国としては、米国と違ってCOVID-19感染拡大から経済への経路を遮断することが難しいわけですので、感染拡大そのものをいかに防止するか、ということが重要なわけです。

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ということで、米国雇用統計に戻ると、物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向は上のグラフの通りです。米国雇用の堅調振りに歩調を合わせて、一昨年2018年8月以来、賃金上昇率も3%台の水準が続いており、2月も前年同月比で+3.0%の上昇とインフレ目標を上回る高い伸びを示しています。ただ、上のグラフに見られるように、インフレ目標の+2%を大きく超えるとはいえ賃金の伸びが鈍化しているのは、米中間の貿易摩擦の影響もあって、雇用増が製造業ではなく賃金水準の低いサービス業、例えば、Leisure and hospitality や Health care and social assistance などで発生している点もひとつの要因です。ただ、左派エコノミストとして、私はトランプ政権の圧力は別としても、一般論ながら、金融緩和策や財政的な拡張政策は貧困対策や格差是正の観点を含めて国民の生活水準向上に役立つものと考えています。

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