2017年3月24日 (金)

米国への移民は米国の労働力人口にどれほど貢献しているのか?

とても旧聞に属する話題ですが、私が時折チェックしている米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから3月8日付けで Fact Tank として、Immigration projected to drive growth in U.S. working-age population through at least 2035 と題するリポートが明らかにされています。通常の世論調査 = Opinion Pollではなく、Fact Tank と題されていて、違いについては私もそれほど理解ははかどらないんですが、2035年までの米国の労働力人口における移民などの構成を分析しています。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Immigrants and their U.S.-born children expected to drive growth in U.S. working-age population を引用しています。日本では労働力人口は15-64歳なんですが、米国では25-64歳と少し違いはあるものの、上のグラフのいずれのパネルでも、グレーが米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口、濃い黄土色が移民の労働力人口、薄い黄土色が移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口となっています。移民と米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口がどこに属するのかは明らかではありません。なお、我が国では団塊の世代と呼ばれるベビーブーマーは極めて狭い範囲で1946-48年生まれ位を指す場合が多いんですが、米国のベビーブーマーは戦後生まれで1965年くらいまでに誕生した世代を指します。ということで、ピュー・リサーチの推計によれば、2015年時点で173.2百万人の米国労働力人口は2035年には183.2百万人に達すると見込まれています。しかし、この米国労働力人口の増加は移民や移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口を含めた数字であり、米国のベビーブーマーの加齢に従って、グレーの米国生まれの下に生まれた米国生まれの労働力人口は2015年くらいを境に減少に転ずると予想されています。また、グラフは引用しませんが、この後には、2035年時点で米国労働力人口は移民を含めるかどうかで17.6百万人の差が出ると試算した結果をプロットしたグラフを置いています。ということで、リポートの最後のパラの最初のセンテンスで、"Immigrants also play a large role in future U.S. population growth." と結論しています。

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2017年3月23日 (木)

東洋経済オンラインによる「非正社員の多い」トップ500社やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、東洋経済オンラインにて先週木曜日の3月16日付けで、「非正社員の多い」トップ500社が明らかにされています。トップはダントツぶっちぎりでイオンとなっています。以下、50位までのランキングのテーブルを東洋経済オンラインのサイトから引用すると以下の通りです。

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大手の自動車や電機メーカーのように、比率は高くないものの従業員数が多いので、非正社員も多いというパターンが散見されますが、やっぱり、大雑把な印象では世間一般でいわれているように、メーカーよりは小売り・外食・介護などが多いような印象です。なお、どうでもいいことながら、17番目のファーストリテイリングはユニクロなどの持ち株会社だと思うんですが、意外と非正社員比率が高くないように私は受け止めています。雇用に関する本を読み進んでいるので、少し関心が高まって取り上げてみました。

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2017年3月22日 (水)

貿易統計は世界経済の回復とともに我が国輸出の増拡大基調を確認!

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+11.3%増の6兆3465億円、輸入額は+1.2%増の5兆5331億円、差引き貿易収支は8134億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、2カ月ぶり黒字 10年3月以来の水準
財務省が22日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8133億8900万円の黒字だった。貿易黒字は2カ月ぶりで、2010年3月以来の水準。QUICKがまとめた市場予想の中央値は8591億円の黒字だった。中国の旧正月(春節)休暇が前年より早く1月中に始まった影響で輸入需要の一部が前倒しになった半面、輸出には反動増が発生し対中国貿易が60カ月ぶりの黒字となった。
輸出額は前年同月比11.3%増の6兆3465億円と3カ月連続で増加。2月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は113.40円と前年同月に比べ3.4%の円高だったが、輸出数量全体の伸びや対中国輸出の好調が寄与し、増加幅は15年1月(16.9%)以来の大きさとなった。
中国向けギアボックスなどの自動車部品や香港向けICといった半導体など電子部品の伸びが目立った。地域別では中国向けが28.2%増、米国向けが0.4%増となった。欧州連合(EU)向けも3.3%増と5カ月ぶりに増加した。
輸入額は1.2%増の5兆5331億1100万円となった。資源価格の回復に伴いアラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油、オーストラリアからの石炭などが伸びた。ただ、中国からの衣類やアイルランドからの医薬品の輸入が減り、増加幅は限られた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易黒字の幅については、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば+8591億円の黒字でしたので、ほぼジャストミートした感じです。ただし、これも引用した記事にある通り、中華圏の春節が昨年から1か月ズレて1月に始まった影響によるものであり、要するに、輸出拡大が貿易黒字に寄与しているわけです。昨年2月はうるう年でしたので、その1日多いうるう年効果を上回る春節効果は偉大であると改めて感じました。どうでもいいことかもしれませんが、季節調整済みの系列でも主節効果で歪みが生じている気がします。なお、今後も貿易収支の黒字基調は大きな変化ないと多くのエコノミストは予想しているものの、その黒字幅は縮小する可能性が強いと私は考えています。

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>輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。2月の輸出については、中華圏の春節効果である点は前のパラに記した通りですが、上のグラフの真ん中のパネルや一番下のパネルに見られる通り、先進国はもとより、中国をはじめとする新興国でも景気は底入れして回復に向かっており、世界経済の拡大とともに我が国の輸出への需要が高まりを見せ始めています。ただし、米国の通商政策及び為替政策のリスクは依然として私には不明です。

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2017年3月21日 (火)

マンションサプリ調査による東京メトロで最も資産性が高い沿線やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、3月7日付けでマンションサプリから「東京メトロで最も資産性が高い沿線」に関する調査結果が明らかにされています。関連データは相場情報サイト「マンションマーケット」のデータを用いているようです。

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結果は上のテーブルの通りです。間隔10年間ということで、2007年と直近の2017年を比較しています。東京メトロ9路線のすべてにおいて、この10年間で平均m²あたりのマンション価格は下落しているんですが、最も下落率が小さかったのが千代田線沿線で、逆に大きく下落したのが銀座線、ということになっています。大雑把に見て、格差がhす苦笑yし収束が進んでいるように見えなくもありません。それにしても、東京メトロ沿線ではマンション1m²あたりで100万円近くするんですね。改めて驚いてしまいました。

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2017年3月17日 (金)

東京商工リサーチ「長時間労働」に関するアンケート調査の結果やいかに?

広く報じられている通り、今週になって、労使間で協議してきた残業時間の上限規制を巡る協議が決着し、月45時間を超える残業時間の特例は年6カ月までとし、年720時間の枠内でか月100時間と2-6か月平均80時間の上限を設けることとなりました。こういった中、東京商工リサーチから3月10日付けで「長時間労働」に関するアンケート調査の結果が明らかにされています。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから残業があると回答した企業に対して 労働時間が短縮する場合に予想される影響 を問うた結果です。実は、この前に、グラフは省略しますが、残業の有無について、恒常的にあるが7,095社(57.3%)、時々あるが4,504社(36.4%)、「ない」と「させない」が764社(6.1%)との結果が示され、その残業の理由として、取引先への納期や発注量に対応が6,170社(37.6%)、また、人手や時間の不足との結果が示されています。ということで、回答のトップは仕事の積み残しが5,659(28.9%)で2位以下を引き離しています。続いて、受注量(売上高)の減少、従業員の賃金低下となっていますが、影響はないという回答も無視できない割合であります。なら、どうして残業があるのかは理解できませんが、まあ、そうなっているわけです。

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから残業減少の努力をしていると回答した企業に対して 残業削減に取り組んでいる施策 を問うた結果です。回答のトップは仕事の効率向上のための指導が7,123社(37.8%)、次いで、仕事の実態に合わせた人員配置の見直しが5,621社(29.8%)、ノー残業デーの設定が2,981社(15.8%)などとなっています。ひとつの特徴は、ノー残業デーの設定を別にすれば、資本金1億円で境界をつけている規模別に大きな差が見られる点です。人手不足で余裕の乏しい中小企業等では残業削減にも限界があるのかもしれませんし、グラフは省略しますが、この後に残業削減に取り組んでいない理由を問う設問があり、回答のトップは必要な残業しかしていないの901社(51.0%)となっています。

残業削減のための新規採用や設備増強というのは、経営者の頭にはなかったりするんでしょうか?

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2017年3月16日 (木)

PwC による The World in 2050 やいかに?

先月半ばだったと思うんですが、PwC から The World in 2050 と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、PwC のサイトから Key findings を6点引用すると以下の通りです。

Key findings
  • The world economy could more than double in size by 2050, far outstripping population growth, due to continued technology-driven productivity improvements
  • Emerging markets (E7) could grow around twice as fast as advanced economies (G7) on average
  • As a result, six of the seven largest economies in the world are projected to be emerging economies in 2050 led by China (1st), India (2nd) and Indonesia (4th)
  • The US could be down to third place in the global GDP rankings while the EU27’s share of world GDP could fall below 10% by 2050
  • UK could be down to 10th place by 2050, France out of the top 10 and Italy out of the top 20 as they are overtaken by faster growing emerging economies like Mexico, Turkey and Vietnam respectively
  • But emerging economies need to enhance their institutions and their infrastructure significantly if they are to realise their long-term growth potential.

もうほとんど、私のブログくらいのレベルではこれで十分だという気がしますので、後はいくつか図表を引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のテーブルは PwC のサイトから、2016年と2050年の購買力平価で換算したGDP規模のランキングのテーブルを引用しています。中国がトップであることは変わりありませんが、米国は2050年時点では中国に次ぐ2位の座をインドに明け渡して世界3位に後退すると予想されています。我が日本は2016年の4位から後退するとはいえ、2050年時点でもまだGDP規模で世界第8位の実力を誇っています。

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次に、上のテーブルは PwC のサイトから、2050年時点でまだトップ10に入らないまでも、2016年から順位を大きく上げるであろう国をピックアップしています。すなわち、アジアからベトナムとフィリピン、アフリカからナイジェリアです。それぞれ、順位を上げて抜き去る国の数と2016-50年の平均成長率が示されています。

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最後に、上のテーブルは PwC のサイトから、2016年と2050年における中国・インドと米国・欧州のそれぞれの購買力平価換算のGDPの世界におけるシェアを比較しています。当然ながら、新興国代表たる中国とインドはシェアを上昇させ、先進国代表の米国と欧州はシェアを下げています

まあ、方向としては、言われるまでもない事実なんでしょうが、2050年という超長期の先行き見通しに関して具体的な数字をもって示したのが値打ちあるかもしれません。繰り返しになりますが、今世紀半ばの時点においても我が日本はまだまだ世界トップテンに入るGDP規模を持ち続ける、という事実も忘れるべきではありません。

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2017年3月15日 (水)

東洋経済オンラインによる「就職に力を入れている大学」ランキング100やいかに?

先週金曜日の3月10日に東大の前期試験の合格発表が終わり、ほぼ今年の受験シーズンが終了したような気がしますが、その3月10日付けの東洋経済オンラインでは「就職に力を入れている大学」ランキング100が明らかにされています。取り急ぎ、1位の明治大学から同率55位までのランキングの画像を東洋経済オンラインのサイトから引用すると以下の通りです。

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諸般の事情により、簡単に済ませておきたいと思います。

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2017年3月13日 (月)

前月比でマイナスとなった機械受注とプラスに転じた企業物価(PPI)上昇率から何が読み取れるか?

本日、内閣府から1月の機械受注が、また、日銀から2月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比▲3.2%減の8379億円を、企業物価(PPI)のうちのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.0%を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の機械受注3.2%減 製造業で反動減
内閣府が13日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比3.2%減の8379億円だった。減少は2カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(0.5%減)を下回った。製造業が前月に大型案件があった反動で2ケタ減となった。非製造業は微増だったが補えなかった。判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業の受注額は10.8%減の3309億円と4カ月ぶりに減った。需要者の業種別では、化学工業(27.9%減)や「窯業・土石製品」(61.4%減)、「非鉄金属」(84.5%減)などで前の月の反動減が出た。
非製造業の受注額は0.7%増の5076億円と2カ月連続で増えた。需要者の業種別では、「金融業・保険業」(57.3%増)や「情報サービス業」(11.3%増)で電子計算機が伸びた。「不動産業」では運搬機械などが伸び、85.4%増だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は8.2%減だった。
内閣府は今回の公表に併せて、季節調整系列の遡及改訂を実施。1-3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額を3.3%増から1.5%増見通しへと下方修正した。うち製造業は11.6%増から9.7%増に、非製造業は2.3%減から3.3%減にそれぞれ引き下げた。2016年10-12月期実績は0.2%減から0.3%増に引き上げ、2四半期連続で増加だったとした。
2月の企業物価、前年比1.0%上昇
日銀が13日に発表した2月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は97.9で、前年同月比で1.0%上昇した。前年比での上昇は2カ月連続で上昇率は前月(0.5%)から拡大した。消費増税の影響を除くと14年8月以来(1.1%)の大きさとなった。国際商品市況の改善や原材料価格の上昇を製品価格に転嫁する動きが続いている。
前月比では0.2%の上昇だった。合成ゴムなどの化学製品価格が上昇した。原油や液化天然ガス(LNG)といった国際商品価格の上昇による電力価格の上昇も寄与した。中国のインフラ投資期待から鉄鉱石が値上がりし、鉄鋼製品の価格も上昇した。
円ベースの輸出物価は前年比で2.5%上昇したが、前月比では0.5%下げた。輸入物価も前年比で10.1%上昇する一方、前月比では0.7%の上昇にとどまった。前月比での小幅な円高・ドル安の進行が響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で下落したのは399品目、上昇は271品目だった。下落と上昇の品目差は128品目で、1月の確報値(151品目)から縮小した。
日銀の調査統計局は「国内の需給要因で上昇している品目数は多くない。人手不足の影響が今後の企業物価にどう出てくるかに注目している」との見解を示した。

とても長くなったものの、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの前月比で▲3.2%減の8379億円を記録しています。生産や輸出などを含めて、今年2017年の1月の統計の、特に、季節調整済みの系列については、中華圏の春節が昨年の2月から今年は1月末にやや前倒し気味でしたので、1月の季節調整値が下振れ要因となっている場合が少なくないと私は感じていましたが、少なくとも、この機械受注に関する限り、引用した記事にもある通り、原系列の前年同月比でも大きなマイナスですので、製造業における反動減、特に、昨年2016年11月に前月比で+8.1%を記録した大きなプラスからの反動減という側面が強いのだろうと受け止めています。昨年2016年1-2月はこれも中華圏の春節による大きなスイングがあり、いずれも季節調整罪の系列の前月比で、1月が+28.5%増の後、2月が▲24.0%減を示しています。もともと、変動の激しい指標ですので、コア指標を設定したりしているわけですが、これくらいの変動はあるのかもしれません。引用した記事にある通り、製造業の産業別では、化学工業や窯業・土石製品、非鉄金属などの減少が大きくなっています。他方、船舶と電力を除く非製造業は底堅く、1月統計でも+0.7%増を記録しています。人手不足の影響によりいわゆる省力化投資が進んでいる印象です。先行きについては、機械受注やその先の設備投資ともに、輸出に牽引された製造業と人手不足や東京オリンピックに伴うインフラ投資による非製造業といった産業別の要因に違いはあるものの、緩やかな増加基調を続けるものと私は考えています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、1月の国内物価前年同月比上昇率が久し振りにプラスに転じて+0.5%を記録したと思ったら、2月は早くも+1.0%に達しています。何とも、エネルギー価格の大きな影響力の前に、旧来派の日銀理論家とは違う観点から、金融政策の無力さを感じてしまうのは私だけでしょうか。国内物価の品目別に見ると、石油・石炭製品をはじめ、非鉄金属、鉄鋼などの素材も大きな上昇率を示しています。しかし、電気機器や情報通信機器や輸送用機器といった我が国の主要輸出産業の製品群はまだ前年比で下落を続けており、国際商品市況における石油価格の上昇の波及はこの先も続くんだろうと私は考えています。もちろん、この先も物価上昇率がさらに加速するというわけでもなく、せいぜい年央くらいまでの賞味期限ではないかと予想しています。

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2017年3月11日 (土)

非農業部門で235千人の増加を記録した米国雇用統計は利上げを支持するか?

日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+235千人増と、市場の事前コンセンサスの+190千人増を大きく上回りました。加えて、失業率も前月から0.1%ポイント下がって4.7%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。


Warm weather and rising business optimism helped the U.S. economy to create another burst of job growth last month, giving President Trump an early confidence boost and all but assuring that the Federal Reserve will nudge up interest rates next week.
Employers added 235,000 jobs in February, about as many as in January and well above analysts' expectations and the average monthly payroll growth for all of last year, the Labor Department said Friday,
Friday's report was the first major employment gauge capturing an entire month with Trump as president, and administration officials were so eager to link the unexpectedly strong showing to Trump that White House Press Secretary Sean Spicer broke an obscure federal rule by publicly touting the news within the first hour of the report's release.

この後、さらに政府の報道官の発言やエコノミストへのインタビューなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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1月の米国雇用統計でアッとびっくりしましたので、2月の非農業雇用者数増加の+235千人増には驚きませんでしたが、もはや、secular stagnation は米国経済には当てはまらないんではないかというくらいの堅調な米国雇用統計でした。雇用者の増加幅はひとつの目安とされる200千人を今年2017年に入って1月2月と2か月連続で上回っていますし、直近3か月でみても増加幅は月平均+209千人と力強さを保っています、しかも、トランプ大統領の重視するメインストリームの製造業雇用も、昨年2016年12月+18千人増、今年2017年1月+11千人増、2月+28千人増と着実に3か月連続で増加を示しています。加えて、失業率も前月から低下を示していますし、こういった好調な雇用情勢を受けて、米連国邦準備理事会(FED)は次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るんでいはないかと、大方のエコノミストは考えています。私もそうです。イエレン議長は3月3日の講演会で雇用統計の目安として「月75千から125千人の就業増」を上げており、2月の米国雇用統計の結果は文句なしでこれを上回っていますので、米国労働市場がほぼ完全雇用に達した中で、まだインフレが高まる局面には達していないものの、米国の利上げの確度はとても高いと考えるべきです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ横ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。2月の+2.6%も底堅い気がしますし、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなったと考えるべきです。

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2017年3月10日 (金)

本日公表の法人企業景気予想調査に見る企業マインドやいかに?

本日、財務省から1-3月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は10-12月期の+3.0からやや下降して1-3月期は+1.3を記録し、先行きについては、4-6月期は▲1.1に落ちた後、7-9月期は+5.4に上昇すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業1-3月景況感、3四半期連続のプラス
財務省と内閣府が10日発表した1-3月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)は1.3のプラスだった。プラスは3四半期連続。電子部品や自動車向けの工作機械の販売が好調に推移した。3カ月前の前回調査時点より円安・株高が進んだことも、企業の景気に対する見方を改善させたとみられる。
指数は自社の景況が前期に比べ「上昇」したとの回答割合から「下降」の割合を引いた値。調査基準日は2月15日で、資本金1千万円以上の企業1万2765社から回答を得た。財務省は1-3月期の結果を踏まえた判断を「緩やかな回復基調が続いている」として前回調査から据え置いた。
調査時点の為替レートは1ドル=114円48銭で、前回調査時点より6円35銭円安が進んだ。
大企業のうち製造業、非製造業とも3期連続のプラスだった。製造業全体ではプラス1.1。足元の円安で半導体製造装置や自動車向けの工作機械などが好調だった。逆に食料品製造業は円安による原材料価格の上昇でマイナス12.7だった。
非製造業はプラス1.5。特に良かったのは建設業だ。マンションなどの需要が好調でプラス19.8だった。日銀のマイナス金利政策に伴う収益悪化を懸念し、金融業、保険業はマイナス5.2だった。
調査では2期先までの先行きを聞いている。2017年4-6月期はマイナス1.1、7-9月期にはプラス5.4に転じる見通し。世界情勢の不透明さから企業が先行きの見通しを立てるのが難しくなっているとみられ、財務省は「今後の動きを注視する」としている。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、企業マインドは必ずしもよくないわけですが、少なくとも足元の1-3月期については前期よりBSIが低下しつつもプラスを維持しています。評価の難しいところです。売上高予想が2016年度については減収見込みで、来年度2018年度が増収見通しとなっているものの、足元での売上の伸び悩みが企業マインドに影を落としている可能性があると私は受け止めています。加えて、今年度来年度ともに経常利益が減益見通しとなっているのも影響があるんではないかと考えています。
個別項目では、雇用に引き続き不足感が広がっています。特に人材確保が難しい中堅・中小企業が大企業に比較して人手不足感が大きいとの結果で、産業別では機械で代替できない部分の大きな非製造業の不足感が製造業よりも高くなっています。設備投資計画は全規模全産業で見て、今年度2016年度は前回調査の+2.5%増から+2.0%増にやや下方修正されたものの、底堅い動きを示し、来年度はこの時期にはまだ計画が固まらずに、▲4.6%減と見通されていますが、産業別では製造業ではプラス、非製造業ではマイナスの内訳となっています。

4月3日に公表予定の日銀短観の予想が、今日の法人企業景気予測調査の結果などを受けて、早ければ来週あたりから明らかにされ始めるんではないかと私は考えていますが、そのうちに日を改めて取り上げたいと思います。

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