2017年12月15日 (金)

日銀短観に見る企業マインドはまさに満月の欠けたるところもなし!

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から+3ポイント改善して+25を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+6.3%増と上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月日銀短観、大企業・製造業DIは5期連続改善 06年以来11年ぶり高水準
日銀が15日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス25だった。前回9月調査(プラス22)から3ポイント改善し、2006年12月(プラス25)以来11年ぶりの高水準となった。改善は5四半期連続。好調な輸出が続く自動車関連や商品市況の回復による化学や鉄鋼・非鉄金属関連の景況感の改善が指数を押し上げた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス24を上回った。回答期間は11月14日~12月14日で、回収基準日は11月29日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と伸び悩む見通し。市場予想の中央値(プラス22)を下回った。海外の政治・経済情勢の不透明感などから先行きの見方は慎重だった。
17年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=110円18銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回と同じだった。消費は上向きつつあるが、天候不順による対個人サービスの業況感悪化や労働需給逼迫に伴う人件費の上昇などが重荷となり伸び悩んだ。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。
中小企業は製造業が5ポイント改善のプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス9だった。先行きはいずれも悪化した。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス19となり、前回(マイナス18)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年3月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比7.4%増と、市場予想の中央値(7.6%増)を下回った。9月調査(7.7%増)からは増加幅が縮小した。
大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回(ゼロ)から1ポイント上昇。プラスとなるのは2008年9月(プラス11)以来9年ぶり。販売価格判断DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査からさらに+3ポイント改善して+25に達し、大企業非製造業については9月調査から変化なかったものの、中堅企業・中小企業では製造業・非製造業ともに業況判断DIは改善を示しています。ただ、満月が欠けて行くはじまりであるように、先行きについては産業別に見ても、規模別に見ても、かなり慎重な見方が広がっています。株価などであれば、「高所恐怖症」と呼ばれる場合もあるようです。大企業レベルの製造業と非製造業で業況感の変化方向にビミョーな違いが出た背景としては、為替の円安方向への振れと世界経済の順調な回復・拡大がさらに広がりを見せている点に求められるんではないか、と私は考えています。非製造業については、特に、7~9月期のGDP統計に典型的に現れているように、ならして見れば何ともいえないものの、足元では好調な世界経済に対比させると、我が国の内需に勢いを欠いているのも事実ですし、人手不足が影を落としやすいのも非製造業かもしれません。
先行きについては、やや慎重な見方が広がっているものの、決して悲観する必要はない、と私は受け止めています。先行きのリスクで景況感に影を落としているのは、まず第1に、わけの判らない北朝鮮リスクです。北東アジアの地政学リスクについては、何とも予想できません。第2には米国の先行きリスクです。トランプ政権の政策方向の見極めが困難であることに加え、米国連邦準備制度理事会(FED)が本格的な利上げ局面に入り、さらにイエレン議長が退任しますので、今までにない局面を迎える可能性に懸念する向きもあるかもしれません。第3には、新興国の景気拡大と裏腹な現象ながら、石油をはじめとする資源価格の上昇です。昨日、帝国データバンクが「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果を明らかにしているところ、やはり、先行きのリスクとして、人手不足、原油や資源価格の上昇、地政学リスクなどが上げられています。このリポートについては、来週にでも詳細は日を改めて通り上げる予定です。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画の調査項目は省略しましたが、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査で+2.9%増、9月調査で+4.6%、12月調査で+6.3%と順調に上積みされています。上のグラフに見る通りです。日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、3月調査はほぼほぼ必ず前年度比マイナスで始まり、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるような気がするんですが、人手不足や企業業績を考え合わせると、今年度の設備投資は期待してよさそうです。

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2017年12月14日 (木)

絶好調の企業マインドを示唆する日銀短観予想の取りまとめ!

明日12月15日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2017年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、その設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+22
+23
<+4.6%>
n.a.
日本総研+23
+24
<+5.1%>
先行き、企業収益が堅調を維持するもとで、設備投資は持ち直しの動きが続く見通し。もっとも、人口減少下で国内の成長見通しが高まりにくいなか、生産能力を積極的に増強する動きは限定的。海外情勢にも不透明感が残るなか、機械投資を中心とした製造業の設備投資の力強い回復は期待しにくく、持ち直しペースは緩慢にとどまる見通し。
大和総研+22
+24
<+5.4%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+5.4%と、前回の9月短観(同+4.6%)から上方修正されると予想した。12月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、高水準の企業収益が設備投資に対してプラスの影響を及ぼす一方で、設備稼働率が伸び悩んでいることなどを踏まえ、例年の修正パターン並みの結果になると想定した。総じてみると、短観で見る日本企業の設備投資計画は底堅い内容だと評価している。
みずほ総研+23
+23
<+5.7%>
2017年度設備投資計画(全規模・全産業)は前年比+5.7%増と、9月調査(同+4.6%)から上方修正を見込む。
製造業については、海外経済の回復やITサイクルの改善を背景に、主に半導体関連の設備投資が押し上げに寄与し、9月調査から前年比プラス幅が拡大すると予想している。ただし、設備メーカーの生産能力が需要の伸びに追いつかないことから、上方修正は小幅なものに留まるとみている。非製造業についても、オリンピックやインバウンド対応投資の継続がプラスとなるだろう。
ニッセイ基礎研+23
+24
<+5.9%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比5.9%増と前回調査時点の4.6%増から上方修正されると予想。例年12月調査では、中小企業を中心に計画が固まってくることで上方修正される傾向が強い。また、企業収益が好調な水準を維持していることから投資余力は十分であること、人手不足を受けて一部で省力化投資が活発化していることなどから、実勢としても堅調と言える計画になりそうだ。
ただし、事業環境の先行き不透明感が強いことや、企業の期待成長率が低迷していることが投資の抑制に働くだろう。設備投資計画は底固いものの、収益改善の割にはやや物足りない水準との評価に留まりそうだ。
第一生命経済研+23
+23
<大企業製造業+11.7%>
<大企業非製造業+4.7%>
マクロの経済動向では、景気拡大が成熟化して、設備投資の拡大へと展開している。リーマンショック以前に比べると設備投資の勢いは弱いという印象を拭えないが、短観ベースでは着実に投資は増えている。特に、中小企業では12月調査でさらに改善ペースを強める可能性がある。大企業・製造業は、すでに2桁の伸びをつけており、季節的な修正でプラス幅が小さくなってもなお2桁は維持されるだろう。経済データの中で設備投資の伸びには上振れの期待があるので、短観がそうした期待に応えられるであろうか。
また、設備判断DIでも、ここにきて不足感が強まっていれば、潜在的な投資ニーズが強まっている証拠になる。人手不足に連動して設備ニーズ、省力化ニーズが増えるという見方もある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+24
+24
<大企業全産業+7.0%>
足元までの設備投資は持ち直し基調にある。今後も国内外の需要が持ち直していることに加え、企業の手元資金が潤沢であることや、人手不足感が強まる中で機械への投資の重要度が増すことが、国内の設備投資を押し上げるだろう。もっとも、将来に向けて国内需要の急速な拡大は見込めず、生産拠点を新興国などの消費地に近づける動きは変わらない。為替円安が定着しても、生産を国内に移管する動きは少ないだろう。
三菱総研+24
+24
<n.a.>
業況判断DI(大企業・全産業)は、+24%ポイント(9月調査から1%ポイント上昇)と、5期連続での業況改善を予想する。海外需要の持ち直しを背景に、製造業を中心とする改善を見込む。
富士通総研+23
+24
<+4.8%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比4.8%と、9月調査から上方修正されると見込まれる。好調な企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。人手不足の深刻化により、省力化投資に対する企業の意欲はより一層高まっている。これに関連して、物流効率化のための投資も活発化している。さらに、IoT関連の投資需要の高まりも顕著になっている。大企業を中心に、設備投資計画は過去の平均を上回って推移しており、12月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。

見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、全規模全産業の2017年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。9月調査の短観と比較して、景況感に関しては、ほぼ横ばい圏内の動きが予想されているように見受けられますが、景況感が低下するという見方はないようです。少し前まで、というか、今年半ばくらいまで、北朝鮮を含む海外要因の不透明さに対する見方次第で、景況感の下振れの可能性もなくはなかったんですが、引き続き、北朝鮮の核やミサイルの問題は解決されていないものの、フランス大統領選挙の結果のマクロン大統領の誕生やドイツ総選挙でメルケル現首相の与党勝利で、昨年のようなBREXITやトランプ大統領勝利などの想定外の結果に対する懸念はかなり払拭されたんではないか、と私は受け止めています。繰り返しになりますが、あとは北朝鮮情勢が大きな比重を占める、ということではないかという気がします。いずれにせよ、北朝鮮情勢だけはエコノミストには予測不能です。その意味で、設備投資も同様の懸念あるものの、少なくとも国内経済要因だけは投資増の方向かという気がします。すなわち、好調な企業業績による資金的な余裕と人手不足による省力化や合理化投資の必要性が設備投資を下支えすることは確実です。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから全規模全産業の設備投資計画を引用しています。

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2017年12月13日 (水)

前月から伸びを示した機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から10月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比前月比+5.0%増の8509億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注5.0%増 10月、2カ月ぶりプラス
内閣府が13日発表した10月の機械受注統計によると、民間企業の設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.0%増の8509億円となった。2カ月ぶりに増加し、製造業を中心に人手不足を補う省力化投資が活発なことを示した。
QUICKが算出する市場関係者による事前予測の中心値(3.0%増)を上回った。内閣府は「持ち直しの動きがみられる」との基調判断を前月から据え置いた。
製造業は前月比7.4%増と2カ月ぶりに増えた。17業種中12業種でプラスだった。発注者別では電気機械(20.2%増)やはん用・生産用機械(9.9%増)などの増加が目立つ。世界経済の回復を背景に、スマートフォン向けの半導体製造装置のほか、産業用ロボットへの投資が好調に推移している。外需は前月比4.9%増だった。
非製造業も前月比1.1%増と2カ月ぶりにプラス。運輸業・郵便業が26.2%増と大きく伸びた。大型の道路車両の受注があったという。卸売業・小売業からの受注も堅調だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で前月比+3.0%でしたので、これを上回って、まずまず堅調な伸びを示したと受け止めています。ただし、記事には人手不足大作のような表現がありますが、製造業で堅調な一方で、非製造業ではそうでもないわけですので、やや疑問が残ります。少し詳しく業種別に10月の統計を見ると、製造業については、化学工業で前月比+82.1%増、あるいは、石油製品・石炭製品でも+88.9%増といった資源関連の素材業種のほか、情報通信機械の+53.9%増とか電気機械の+20.2%増などの加工業種まで、幅広い業種で増加を示している一方で、船舶と電力を除く非製造業では、引用した記事にもある通り、大型発注のあった運輸業・郵便業の+26.2%増のほかは、卸売業・小売業の+10.0%増くらいで、しかも、製造業が9月前月比▲5.1%減を上回る10月+7.4%増なのに対して、非製造業は9月▲11.1%減に及ばない10月+1.1%増ですので、明らかに製造業中心の受注増と考えるべきです。月次で変動の激しい統計ですので、もっとならしてみるべきかもしれませんが、少なくとも10月統計に関しては、国内要因の人手不足に起因した省力化・合理化投資よりも、新興国を始めとする世界経済の回復・拡大に基づく我が国からの輸出の増加に対応した投資増が中心であった、と考えるべきであろうと私は受け止めています。今後については、世界経済の先行きリスクが米国の利上げで不透明であると考えるべきでしょうし、国内の人で不足に対応する投資が、もしも10月統計に示されたように不活発と仮定すれば、あくまで総仮定すれば、ということですが、先行きの機械受注や設備投資は横ばいないし増加であるとしても緩やかな増加になる可能性が高い、と私は予想しています。ただし、繰り返しになりますが、変動の激しい統計ですので、単月での評価には限界があり、もう少しならして見る必要はあります。

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2017年12月12日 (火)

11月の企業物価(PPI)上昇率はさらにプラス幅を拡大!

本日、日銀から11月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.5%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の企業物価指数、前年比3.5%上昇、9年ぶり伸び率
日銀が12日に発表した11月の企業物価指数(2015年=100)は99.8で前年同月比3.5%上昇した。上昇は11カ月連続。上昇率は市場予想の中央値である3.3%を上回った。消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来、約9年ぶりの大きさとなった。
前月比では0.4%上昇した。品目別では、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品が指数の上昇にもっとも寄与した。世界的な景気拡大や産油国による減産を背景にした国際原油相場の上昇が押し上げた。
農林水産物も上昇した。黒潮が大きく南に離れる「大蛇行」の発生による不漁で、シラス干しの価格が大幅に上昇。鍋用需要の高まりで牛肉や鶏卵も値上がりした。原油相場の強含みで化学製品も上昇した。
円ベースの輸出物価は前月比で0.2%上昇、前年同月比では6.8%上昇したが、上昇率は10月(それぞれ1.7%、9.7%)を下回った。中国の景気改善などを背景にした国際相場の上昇を受け、鉄くずや銅地金など金属・同製品が上昇した。普通乗用車など輸送用機器は下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは387品目、下落は248品目となった。下落品目と上昇品目の差は139品目で、10月(確報値)の125品目から拡大した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+3.3%の上昇が予想されており、実績値の+3.5%の上昇はレンジの上限となりますので、国際商品市況における石油価格次第とはいえ、かなり高めの上昇率だった気がします。国内企業物価(PPI)の前年同月比上昇率をもう少し詳しく見ると、中国をはじめとする新興国の景気拡大に伴うとみられるエネルギーなどの上昇率が高い印象で、例えば、石油・石炭製品が+19.0%の上昇、非鉄金属が+17.2%の上昇、電力・都市ガス・水道が+10.2%の上昇、さらに、ウェイトは小さいながら、スクラップ類は+34.4%の上昇などを記録しています。ただ、輸入物価の中の原油について最近時点での前年同月比上昇率を見ると、9月+24.8%、10月+36.7%、直近の11月+19.8%などとなっており、もちろん、国際商品市況の動向次第ながら、あるいは、為替相場と合わせ技で考えた円建ての原油価格はそろそろピークアウトする可能性もあります。ただ、需要段階別の下のパネルのグラフでは、見た目は判然としないんですが、素原材料と中間財については前年同月比の上昇率が10月をピークに11月にはわずかにプラス幅を縮小している一方で、最終財については11月も依然としてまだ上昇幅が拡大しており、川上の石油価格がピークアウトした後でも川下の最終財に向けた価格上昇の波及は進むのかもしれません。

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2017年12月11日 (月)

法人企業景気予測調査に見る企業マインドはさらに改善を示す!

本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は7~9月期の+5.1の後、10~12月期にはを+6.2記録し、先行きについては、来年2018年1~3月期は+5.2に、また、4~6月期は+0.5と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感2期連続プラス 10-12月
財務省と内閣府が11日発表した10~12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)はプラス6.2だった。国内外における景気回復を背景に、2四半期続けてプラスとなった。財務省は企業の景況感について「緩やかな回復基調が続いている」とし、前回調査から判断を据え置いた。
指数は自社の景況が前期に比べ「上昇」したとの回答割合から「下降」の割合を引いた値。調査基準日は11月15日で、資本金1千万円以上の企業1万2948社から回答を得た。
製造業はプラス9.7だった。原材料高を理由に国内向け商品の販売価格を引き上げた食料品製造業の景況感が改善した。新型車が好調な自動車・同付属品、車やスマートフォン向けの半導体部品の需要増が続く情報通信機械器具も堅調だった。
非製造業はプラス4.5だった。原油価格の上昇を受け販売価格が上昇した商社などの景況感が改善した。
中堅企業はプラス5.3、中小企業はマイナス2.3で、ともに前回調査よりも指数は上昇した。中小企業の製造業はプラス2.0と、消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった2014年1~3月期以来の高水準だった。
大企業による景況感の18年1~3月期の見通しは5.2、18年4~6月期は0.5とプラスを維持するものの、慎重に見る向きが多い。一方で19年3月期の設備投資見通しについて、増加すると答えた企業の割合は21.4%と、12年10~12月期に調査を開始して以来過去最高となった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフトデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。そして、足元の今年2017年10~12月期について少し詳しく景況判断指数(BSI)を見ると、かなり広範な企業にマインド改善の動きが広がっているように見受けられます。すなわち、製造業・非製造業の極めて粗いながらも業種別と、大企業・中堅企業・中小企業の規模別の2☓3の6つのセルで考えて、非製造業中堅企業でわずかに7☓9月期から悪化を示したほかは、すべて改善を示しています。その非製造業中堅企業についても10~12月期のBSIの水準は+3.0とプラス圏内ですし、先ほどのセルの中でまだ水面下のマイナスは非製造業中小企業の▲3.2だけとなっています。景況感以外のBSIについては、引き続き、雇用に関する従業員数判断BSIで人手不足が明らかとなっています。すなわち、今年2017年12月末時点で、大企業が過剰に対する不足超19.5、同じく、中堅企業32.6、中小企業29.5となっていて、採用しやすい大企業よりも中堅・中小企業で人手不足感が広がっているように見受けられます。最後に、私が注目している設備投資計画は、2017年度で前年度比+3.4%増と、前回調査の+3.9%増から下方修正されましたが、引用した記事にもある通り、少なくとも大企業レベルでは来年度2018年度の設備投資を増加させると回答した企業は21.4%ととても高い比率に上っています。人手不足にも対応して、設備投資も増加する方向にあるようです。

今週金曜日の12月15日には企業マインドに関する重要な指標である日銀短観12月調査の結果が明らかにされます。ほとんどのシンクタンクから日銀短観予想が明らかにされています。現在取りまとめ中で、極めて大雑把に、景況感はわずかながらも改善を示し、設備投資計画は12月調査においては統計のクセとして、というか、その範囲くらいで上方修正される結果が多くなっているような印象です。また、日を改めて取り上げたいと思います。

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2017年12月 9日 (土)

米国雇用統計は堅調な雇用の伸びを示し来週の利上げは確定か?

本日、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+228千人増と、市場の事前コンセンサスだった+200千人弱くらいの増加という予想を超えて、先々月の雇用統計に大きな影響を与えたハリケーンの影響からも完全に脱して正常化を示しています。他方、失業率は前月と同じ4.1%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなるのを覚悟の上で、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Beating expectations, U.S employers add 228,000 jobs; unemployment rate stays 4.1%
In the latest indication that the U.S. economy remains on solid footing, employers in the U.S. added a robust 228,000 new jobs last month and the nation's unemployment rate held steady at a 17-year low of 4.1%.
The Labor Department's report Friday cements expectations that the Federal Reserve will nudge up interest rates next week, and could set the stage for a quickening of rate hikes next year, especially if the Republican tax cuts take effect and add fuel to short-term economic activity.
Average wage gains picked up slightly in November from the prior month, but nonetheless remained at a mediocre 2.5% annual rate of increase seen in recent years — despite hopes that the tightening labor market would generate faster pay increases.
Job growth in November exceeded forecasts from many analysts who were looking for an increase averaging about 195,000. Manufacturing had another strong month of hiring, as did business and professional services. The construction industry and healthcare services also had a good month. Retailers added a middling amount of jobs.
Last month's payroll gains followed an increase of 244,000 jobs in October. Both months' numbers were likely inflated somewhat, making up for job growth that had plunged in September because of the hurricanes in Texas and Florida.
With the November statistics, monthly job growth has averaged 170,000 the last three months and 174,000 for all of this year. That is down from the 187,000 average gains per month in 2016, but still a healthy rate of growth that, if it continues, will likely pull more people into the labor force and push down the jobless rate.

長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の非農業部門雇用者数は、9月のハリケーンの影響で少し撹乱されましたが、先月の統計でジャンプし、今月の統計ではほぼほぼ正常化したんではないかと見られています。繰り返しになりますが、市場の事前コンセンサスでは+195千人増くらいを予想していたようなんですが、これを上回った雇用の堅調さが示されています。従って、来週12~13日に開催される米国連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)では利上げが実施されることがほぼ確実となりました。9月のFOMCでは2018年中も3回の利上げが示唆されていましたが、引用した記事にもある通り、議会で共和党が進めている法人減税がさらなる景気拡大効果を発揮するようであれば、利上げのペースが速まる可能性もあります。ただ、来年2月に退任するイエレン議長の後任のパウエル新議長は、物価動向次第では利上げペースを緩やかにすることも視野に入れているといわれており、いろいろな条件次第で米国の利上げペースは左右されそうです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきて、引用した記事でも "mediocre" と表現されているところですが、それでも、11月は前年同月比で+2.5%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で賃金上昇を吸収して物価にそのまま波及させるには至っていないとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面なのかもしれません。

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2017年12月 8日 (金)

堅調な成長を示す2次QEとついでながらの景気ウォッチャーと毎月勤労統計と経常収支!

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.5%を記録しました。1次QEから設備投資を中心に上方修正されたことから、潜在成長率をかなり超えた高成長といえます。ただ、4~6月期と違って内需の寄与よりも外需の寄与が大きい成長となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率2.5%増に上方修正 7-9月改定値、設備投資・在庫が寄与
内閣府が8日発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増と、速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正した。設備投資の上振れや原材料在庫の増加が寄与した。QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.4%増、年率1.5%増)を上回った。
実質成長率は7四半期連続の増加。内閣府は「景気の緩やかな拡張が続いている」(経済社会総合研究所)と指摘した。
設備投資は前期比1.1%増と、速報値の0.2%増を大幅に上回った。1日発表の法人企業統計で、宿泊などサービス業に加え金融機関などで投資が伸び、改定値の上方修正に貢献した。民間在庫の寄与度は0.4%と、速報値(0.2%)を上回った。石油化学関連の原材料や鋼材といった資材在庫の積み増しが目立ったようだ。
このほかの内需項目は、個人消費が速報値と同じ前期比0.5%減、住宅投資が1.0%減(同0.9%減)、公共投資が2.4%減(同2.5%減)だった。
輸出は前期比1.5%増と速報値と同じで、輸出から輸入を差し引いた外需の実質GDP改定値への寄与度もプラス0.5ポイントと速報値から変わらなかった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増(速報値は0.6%増)、年率で3.2%増(2.5%増)となった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは速報値と同じ前年同期比プラス0.1だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/7-92016/10-122017/1-32017/4-62017/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.2+0.3+0.4+0.7+0.3+0.6
民間消費+0.4+0.1+0.4+0.9▲0.5▲0.5
民間住宅+3.0+0.2+0.9+1.3▲0.9▲1.0
民間設備▲0.2+1.5+0.2+1.2+0.2+1.1
民間在庫 *(▲0.5)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.0)(+0.2)(+0.4)
公的需要+0.4▲0.7+0.2+1.1▲0.6▲0.5
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.0)(+0.3)(+1.0)(▲0.2)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.3)(+0.3)(+0.1)(▲0.2)(+0.5)(+0.5)
輸出+2.1+3.0+1.9▲0.1+1.5+1.5
輸入+0.1+1.3+1.3+1.5▲1.6▲1.6
国内総所得 (GDI)+0.5+0.0+0.2▲0.1+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)▲0.1+0.1+0.2+0.9+0.6+0.8
名目GDP▲0.1+0.5+0.1+0.8+0.6+0.8
雇用者報酬+1.1▲0.3+0.2+1.0+0.5+0.7
GDPデフレータ▲0.1▲0.1▲0.9▲0.4+0.1+0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.4▲0.0+0.3+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期の最新データでは、前期比成長率が7四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)と灰色の在庫が大きなプラスの寄与を、赤い消費がマイナスを、それぞれ示しているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもありますし、一昨日の1次QE予想でも取り上げましたが、7~9月期2次QEでは1次QEから小幅上昇改定が予想されていたところ、統計が公表されてみると、かなり大幅な上方改定となりました。季節調整済みの前期比で見て、設備投資が1次QEの+0.2%増から2次QEでは+1.1%増に大きく上方改定されましたので、設備投資の寄与だけで+0.2%の成長率押し上げがなされたことになります。加えて、在庫の寄与がやはり1次QEから2次QEに向けて+0.2%の上方改定でしたので、国内需要の寄与度が1次QEの▲0.2%から2次QEでは+0.1%に+0.3%ポイントのスイングを見せました。他方、外需項目の輸出と輸入は伸び率も寄与度も1次QEから2次QEへの変更はほとんどありませんでした。基本的には、1次QEから景気判断として変更すべきポイントはないと私は受け止めており、引き続き、少し目先の先行きも含めて、日本経済は緩やかな回復ないし拡大を続けているものと考えるべきです。ただ、上方修正の大きな需要項目である設備投資と在庫をもう少し詳しく見ると、形態別固定資本形成のうち、特に季節調整済みの系列の前期比で見て伸びが大きかったのは、建物・構築物と輸送機械を除くその他の機械設備等が+1.1%、さらに、知的財産生産物が+0.8%となっています。新たに設備投資に加えられるようになったR&D やソフトウェアなど知的財産生産物への投資が増加しているのが見て取れます。さらに、在庫がプラスに上振れしたのは、評価の難しいところかもしれません。単純には、前向きの営業姿勢であり、売上げの増加に対応した在庫増だと見なすことも出来ますが、意図せざる在庫増の可能性も否定できません。ただ、GDPへの寄与度+0.4%を示した在庫変動を詳細に見ると、原材料在庫が+0.2%、仕掛品在庫が+0.0%、製品在庫と流通品在庫がともに+0.1%となっていて、消費の減退に対応した売れ残りではなさそうな気もします。
なお、1次QE公表の際にも同じことを書いたように記憶していますが、現在のアベノミクスを批判しようという意図があれば、4~6月期の消費をはじめとする内需主導成長が7~9月期には続かずに外需主導になった、と批判すればいいわけですし、逆に、アベノミクスを擁護しようとすれば、4~6月期と7~9月期をならして見れば順調な成長経路に乗っている、ということになるんではないかという気がします。ですから、何とでも評価できそうです。しかし、特にボリュームの観点から注目すべき消費についてもう少し詳しく見ると、1人当たりの統計で見て賃金上昇が見られないものの、正規雇用をはじめとして量的な雇用の増加があることから、マイクロな個人単位の賃上げなくてもマクロな雇用者所得の増加は観察されており、決して消費者マインドは悪くないことも考え合わせると、天候要因ほかの特殊要因がなくなれば消費は回復するものと考えています。何度か繰り返しましたが、消費が停滞しているのは所得が伸びていないのが原因であり、年金制度などの将来不安ではないと私は考えています。ただし、消費を財別にさらに詳細に見ると、耐久財消費が7~9月期には前期比でマイナスに転じていて、消費増税やエコカー減税、家電エコポイントなどで攪乱された耐久消費財の買い替えサイクルの復活が早くも終了した可能性を示唆する見方も出ています。今後の動向が気がかりです。

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最後に、GDP統計以外の政府経済指標に目を転ずると、内閣府から11月の景気ウォッチャーが、また、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が、さらに、財務省から10月の経常収支が、本日、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りであり、上のパネルから順に、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DI、毎月勤労統計の賃金のうち季節調整していない原系列の前年同月比上昇率と季節調整済みの系列、最後は経常収支の棒グラフとその内訳の積上げ棒グラフです。各統計のヘッドラインだけ簡単に取りまとめると、景気ウォッチャーの11月の現状判断DIは、季節調整済みの系列で見て前月差+2.9ポイント上昇の55.1とさらに上昇を続けています。毎月勤労統計の実質賃金指数のうち現金給与総額は、季節調整していない原系列で見て前年同月比で+0.2%の増加を示しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆1764億円の黒字を計上し、黒字は40か月連続を記録しています。

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2017年12月 7日 (木)

景気動向指数に見る現在の景気拡大はいざなぎ景気を越えて戦後最長に迫るか?

本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比▲0.4ポイント下降して106.1を、CI一致指数は+0.3ポイント上昇して116.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数0.3ポイント改善 10月も「改善」
内閣府が7日発表した10月の景気動向指数(2010年=100、CI)によると、景気の現状を示す一致指数は前月より0.3ポイント上がり、116.5となった。2カ月ぶりに上昇した。内閣府は一致指数からみた基調判断は「改善を示している」として据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出し、月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
一致指数を構成する指標で、前月と比較できる7つの指標のうち、4つが改善した。有効求人倍率の改善が全体を大きく押し上げたほか、卸売業の商業販売額も堅調だった。生産は自動車部品や半導体が増えた。
数カ月先の情勢を示す先行指数は0.4ポイント低下の106.1となった。低下は2カ月連続。最終需要財在庫率指数など企業の在庫を示す指標が悪化した。台風の影響で客足が悪く、消費者態度指数も悪化した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度で大きかった項目をあげると、プラス寄与では有効求人倍率(除学卒)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)が上げられており、逆にマイナス寄与では商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数となっています。CI先行指数のマイナス寄与では鉱工業用生産財在庫率指数と最終需要財在庫率指数の絶対とが大きくなっています。CI先行指数こそ下降しましたが、3か月後方移動平均は5か月連続の上昇を示していますし、CI一致地数・先行指数とも7か月後方移動平均は、何と、ともに15か月連続で上昇しています。少なくとも、10月より前に景気の山があったとは考えられませんから、現在の景気拡大は59か月に及ぶことになり、高度成長期のいざなぎ景気を超えたことは明らかであろうと私は受け止めています。なお、いざなぎ景気は1965年11月から1970年7月まで57か月間続いています。また、戦後最長の景気拡大期間は米国のサブプライム・バブルに対応した期間であり、2002年1月を景気の底とし、2002年2月から2008年2月の山まで73か月間続いており、単純に計算すれば、さ来年2019年1月まで現在の景気拡大が続けば74か月に達するので、これを抜くこととなります。「来年の話をすると、鬼が笑う」とはよくいったもので、やや気の早いお話かもしれません。

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2017年12月 6日 (水)

明後日公表予定の7-9月期GDP統計2次QEの予想やいかに?

先週金曜日の法人企業統計などで、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の12月8日に7~9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期から先の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクはみずほ総研だけだったものの、第一生命経済研でも先行きについては軽く取り上げられていました。しかしながら、何分、2次QEですので、2~3ページのアッサリしたリポートも多く、法人企業統計のついでに2次QEがくっついているのもあります。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.4%)
n.a.
日本総研+0.4%
(+1.5%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資、設備投資は大きく変わらないものの、在庫変動が小幅上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.5%(前期比+0.4%)と1次QE(前期比年率+1.4%、前期比+0.3%)から小幅上方修正される見込み。
大和総研+0.4%
(+1.6%)
7-9月期GDP二次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年+1.6%(一次速報: 同+1.4%)と、一次速報から上方修正されると予想する。
みずほ総研+0.5%
(+1.9%)
10~12月期以降を展望すると、海外経済の回復を背景に輸出の増勢が続くとともに、内需も再び増加基調に復することで、日本経済は緩やかな回復基調を維持するとみている。項目別にみると、輸出は、データセンター向け半導体需要の堅調さに加えて、新型iPhone向けの部品供給が押し上げ要因となるだろう。また、米国のハリケーン被害からの復興需要が、自動車輸出などの上振れにつながる可能性もある。設備投資は、五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、回復基調に復するだろう。個人消費については、株高などを背景に消費者マインドが改善していること、生鮮食品の価格が10月に入ってから落ち着いてきたことなどがプラスに働くだろう。天候要因による振れを伴いつつも、個人消費は緩やかに増加するとみられる。
海外のリスク要因に目を向けると、中国では、金融市場・住宅市場引締め策の影響などを巡って依然不確実性が高く、景気の下振れリスクとして引き続き注意が必要だ。また、北朝鮮を巡る地政学リスクは長期化が見込まれるため、今後の米朝間の動きには目を配る必要があろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.5%)
12/8公表予定の17年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.5%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.4%)から若干上方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.4%
(+1.5%)
一応上方修正ではあるが、修正幅は僅かなものにとどまるとみられ、1次速報から景気認識の修正を迫るような内容にはならないだろう。個人消費が落ち込む一方、外需が成長率を押し上げて潜在成長率を上回る成長を確保という構図にも変化はない。基本的には、4-6月期の「個人消費が大きく増加、輸出が足踏み」という動きの反動が出たものと思われ、4-6月期と7-9月期は均してみた方が良い。基調としてみれば景気は着実な回復傾向にあると判断できる。
先行きについても、世界経済の回復を背景に輸出の増加傾向が続くことに加え、企業収益の増加を受けて設備投資も増加が期待できる。景気を取り巻く環境は良好であり、景気は今後も着実な改善を続ける可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.3%)
12月8日に内閣府から公表される2017年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.3%)と1次速報値の同+0.3%(同+1.4%)からわずかに下方修正される見込みである。
三菱総研+0.3%
(+1.1%)
2017年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.3%(年率+1.1%)と、1次速報値(同+0.3%(年率+1.4%))から小幅下方修正を予測する。

ということで、三菱系のシンクタンク2社を例外として、取り上げたすべての機関が2次QEでは1次QEから上方修正されると予想しています。ただ、下方修正の三菱系シンクタンク2社も含めて、2次QEですので修正幅は極めて小幅です。大雑把に+1%台半ばから後半の成長率であり、前期比年率で見て、取り上げた機関のレンジでは最低でも三菱総研の+1.1%であり、+2%近い成長率予想を示す機関もあります。ですから、少なくとも、我が国の潜在成長率は超えたまずまずの高成長と私は受け止めています。しかも、サンプルは少ないものの、足元の10~12月期以降も順調な我が国経済の回復・拡大を見込んでいます。世界経済の回復・拡大とともに輸出が増加を続けるでしょうし、耐久消費財買い替えサイクルの正常化から消費も緩やかに増加する気配を見せ始めていますし、さすがにそろそろ人手不足や企業収益を背景に設備投資も増加の勢いを増すんではないかと期待していますから、我が国の景気を取り巻く環境は引き続き改善を示していると考えるべきです。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。

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2017年12月 5日 (火)

SMBCコンサルティングによる今年2017年ヒット商品番付やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週木曜日の11月30日にSMBCコンサルティングから今年2017年ヒット商品番付が明らかにされています。

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上の番付画像は、SMBCコンサルティングのサイトから引用しています。
東西の横綱はSNSからのヒット商品であり、大関もゲーム機とスマホですから、まあ、それなりにハイテク製品といえます。小結もそうです。でも、さすがに前頭に入るとローテク製品も少なくなく、我が職場で一時的に流行ったハンドスピナーなどもそうかもしれません。青色食品の中に、スペインから輸入されている青ワインgikも含まれるような気がするんですが、なぜかスペイン語なのに「ジク」と読ませています。スペイン語であれば「ヒク」ではないかと思いますが、いずれにせよ、私はそれほどお酒はたしなまないですし、かなりお高いワインなので手が出ずにいます。私が飲むのは主として外交官として滞在したチリのワインです。私が駐在していたころから日本への輸出が始まったと記憶しています。そのころは高級品も試飲させていただきましたが、今飲むのはボトル1本で数百円ほどのワインが中心です。

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