2019年12月12日 (木)

4か月連続で前月を下回り基調判断が下方修正された機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から10月の機械受注が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲6.0%減の7988億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

機械受注6.0%減 10月、基調判断引き下げ
内閣府が12日発表した10月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.0%減の7988億円だった。製造業・非製造業ともに幅広い業種で投資需要が減少した。4カ月連続で前月を下回っていることから、内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に引き下げた。
受注額はQUICKがまとめた民間予測の中央値(0.9%増)を大幅に下回った。製造業は1.5%減で、10月まで3カ月連続で減少した。海外経済の減速に伴い外需の縮小が続き、生産や情報通信に使う機械の需要が減った。
非製造業は5.4%減で、2カ月ぶりに減少した。農林漁業では10月の消費税率引き上げ後にトラクターなど農林用機械への投資を減らす動きがみられ、需要が約3割減少した。情報サービス業や通信業からの受注減もマイナスに大きく寄与した。内閣府は「農林漁業は例外的な動きで、全体としては消費増税の影響で機械受注が落ち込んだことはない」とした。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、電力と船舶を除くコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比の中央値は+1.0%増であり、レンジでは▲5.0~+3.5%でしたから、わずかとはいえ、下限をさらに下回る大きな減少でした。しかも、4か月連続の前月割れですので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動き」を削除して、「足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正しています。また、上のグラフにも見られる通り、受注水準としてもコア機械受注の8000億円割れは2015年年央の7~8月以来の低水準となっています。加えて、10月統計ではコア機械受注のうちの製造業と非製造業(船舶と電力を除く)がともに前月比マイナスで、特に、米中間の貿易摩擦に起因する世界経済の停滞を受けて、製造業では3か月連続のマイナスを記録しています。先月統計の公表時に10~12月期のコア機械受注は季節調整済み系列の前期比で+3.5%増と見込まれていたんですが、とても厳しい四半期スタートとなっています。引用した記事の最後の方で、内閣府の公式見解として、消費増税で機械受注が落ちたわけではない旨の発言が収録されていますし、台風19号の影響もご同様で機械受注への影響はそれほどないものと私には見えるのですが、そうであれば、何ともいえないながら、世界経済の低迷を反映して、我が国経済も停滞の方向に向かっている可能性があるのかもしれません。

ただ、明るい話題、というわけでもないんでしょうが、今週月曜日の12月9日に公表された経済協力開発機構(OECD)の先行指標 CLI=Composite Leading Index を見ていると、あるいは、ひょっとしたら、何と申しましょうかで、中国については少し前から景気反転の兆しがあり、また、米国とOECD加盟国の先進国ではも2019年9月を底に10月から景気が反転し上昇に転じた可能性があるような気がしないでもありません。リポートの3ページ目のテーブルを基にしつつ、私個人の希望的観測を込めた楽観的な見方です。念のため。

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2019年12月11日 (水)

ようやくプラスに転じた企業物価(PPI)と大きくマイナスに落ち込んだ法人企業景気予測調査!

本日、日銀から11月の企業物価 (PPI) が、また、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.1%と、今年6月統計で前年同月比上昇率がマイナスに転じてから、6か月振りのプラスを記録しました。ただし、10月からの消費税率引上げの影響を除くベースでは▲1.5%の下落と試算されています。続いて、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は7~9月期+1.1の後、足元の10~12月期は▲6.2と、消費税率の引上げや台風の影響などからマイナスに転じたものの、来年2020年1~3月期には+2.0、さらに4~6月期は+1.1と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の企業物価指数、前年比0.1%上昇 消費税率引き上げで
日銀が11日発表した11月の企業物価指数(2015年平均=100)は102.2と、前年同月比で0.1%上昇した。上昇は6カ月ぶり。消費税率の引き上げが押し上げに寄与する一方、石油・石炭製品の下落などが響き、伸びは小幅にとどまった。前月比でみると、0.2%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸出物価は前年比で5.9%下落し、7カ月連続のマイナスだった。前月比は0.2%上昇した。輸入物価は前年同月比11.2%下落し、前月比は0.2%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。10月の消費増税の影響を除いたベースでの企業物価指数は前年同月比で1.5%下落した。6カ月連続で前年を下回った。前月比では0.1%上昇だった。
日銀の調査統計局は11月の企業物価について「消費税率引き上げの前後で企業の価格設定スタンスに大きな変化が生じていないことが改めて確認された」としている。
大企業景況感マイナスに 10-12月、米中摩擦など響く
内閣府と財務省が11日発表した10▲12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス6.2だった。マイナスは2四半期ぶり。自動車などで中国を中心とする海外需要が低調だったほか、小売業で消費税率の引き上げや台風の影響もあった。
BSIは前四半期と比べた景況判断で「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた値で、7▲9月期はプラス1.1だった。
今回の調査時点は11月15日。大企業のうち製造業はマイナス7.8となり、4四半期連続で「下降」の割合が大きかった。7▲9月期のマイナス0.2からマイナス幅も拡大した。米国との貿易戦争が続く中国で自動車部品や工作機械の需要が落ち込んでいる影響が大きい。10月の台風19号で工場が被災したといった声も聞かれた。
非製造業は2四半期ぶりに「下降」が上回り、マイナス5.3となった。卸売業で中国向けの機械出荷が減った。小売業では家電や百貨店で増税前の駆け込み需要の反動が出た。
全体として大企業の景況感の落ち込みは前回の消費増税後の2014年4▲6月期(マイナス14.6)よりは小幅にとどまった。内閣府と財務省は高水準の企業収益や堅調な設備投資などを理由に「内需を支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)はこれまで同様にしっかりしている。今回の結果は、緩やかに回復している経済全体の傾向を反映している」との見方を示した。
ただ、外需の縮小で製造業を中心に逆風はなお続いている。先行きの20年1▲3月期に大企業の景況感はプラスへと回復する一方、中堅企業や中小企業はマイナス圏から脱せない見通しだ。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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先月10月統計の国内物価の前年同月比上昇率は消費税を含めても▲0.4%の下落、消費税の影響を除けば▲1.9%と、私は軽いショックを受けたんですが、さすがに、11月統計では消費税を含めればプラスに転じたものの、消費税を別にすればまだ▲1.5%の下落と大きなマイナスを続けていることに変わりはありません。特に、11月統計からは、いわゆる経過措置、すなわち、税率引上げ日の10月1日をまたぐ役務などの料金、例えば、旅客運賃、電気料金、請負工事などについての経過措置が縮小しますから、それだけでも物価押し上げ効果がある点は留意する必要があります。また、前年同月比上昇率を項目別に見ると、相変わらず、石油・石炭製品が▲8.3%の下落、非鉄金属が▲4.3%の下落、化学製品も▲3.5%の下落など、国際商品市況の動向や中国経済の停滞に起因する品目の下落が続いています。なお、先月のブログでも書きましたが、企業物価指数(PPI)のうちの輸入物価の円建て原油価格指数は、昨年2018年のピークが11月の142.5でしたから、本日公表された11月統計でPPI輸入物価に現れる原油価格の前年同月比への影響は底を打つ可能性が高いんではないか、と私は期待しています。来月の統計発表がチョッピリ楽しみです。

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続いて、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、企業物価(PPI)と同じで、景気後退期を示しています。消費税率が引き上げられたばかりの足元の10~12月期が大きく悪化しているのは、台風もありましたし、ある程度までは想定内の気がします。ただ、グラフはありませんが、私がやや気がかりなのは設備投資計画の下方修正です。すなわち、ソフトウェアを含み土地購入額を除くベースの今年度2019年度の設備投資計画が、前回調査の+8.3%増から+7.8%に下方修正されています。設備判断DIはまだ不足超ながら、その不足幅が徐々に縮小してきているのも事実で、明後日公表予定の日銀短観でも設備投資計画は確認したいと思います。

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2019年12月10日 (火)

今週金曜日12月13日公表予定の日銀短観では企業マインドはどこまで悪下するか?

今週金曜日12月13日の公表を控えて、シンクタンクから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画はもちろん今年度2019年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、いつもの通り、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+5
+21
<+2.4%>
n.a.
日本総研+3
+13
<+3.0%>
先行き(2020年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比+2%ポイントの改善を予想。海外情勢の先行き不透明感が残るものの、自然災害の影響が一巡するほか、世界的な半導体需要の持ち直しが業況見通しに反映され、製造業、非製造業ともに改善する見込み。
大和総研+2
+17
<+2.5%>
12月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+3%pt(最近からの変化幅: +1%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(先行き)は+16%pt(同: ▲1%pt)と予想する。大企業製造業では、2018年初から続いてきた悪化傾向が止まる見通しだ。ただし、最近の日銀短観において、先行きに慎重な結果が示されるという下方バイアスが見られる点に留意した。
本日(12月5日)閣議決定される財政支出額13兆円の経済対策や、台風被害からの復興・国土強靱化政策に伴う公共事業の活発化が見込まれることは、関連業種の業況を押し上げるだろう。さらに、世界的な半導体需要に明るさが見られ始めたこともプラス材料だ。一方で、世界経済の先行き不透明感の継続は、広範な業種の業況の押し下げに作用するだろう。
みずほ総研+3
+18
<+3.0%>
先行きの製造業・業況判断DIは横ばいを予測する。中国経済を中心とした海外経済の減速や米中交渉を巡る不確実性は残存している。加えて、ブレグジットを巡る英国議会選挙(2019年12月12日実施)の行方や香港情勢の緊迫化、中東における地政学的リスクの高まりなども懸念材料だ。グローバルなIT市場の持ち直しから電気機械業で先行きの景況感は改善が見込まれるが、海外経済の減速傾向が続くことから輸送機械業が横ばい、国際商品市況の軟化を受けて素材業種が悪化することから、全体として製造業の先行きの景況感は改善が見込みづらいだろう。
先行きの非製造業・業況判断DIについては横ばいを見込む。小売業や宿泊・飲食サービス業、対個人サービス業等は消費増税による反動減からの消費の持ち直し期待から先行きの景況感は改善するだろう。一方、幅広い業種について、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇が引き続き重石となることに加え、製造業の不振が非製造業へ波及することへの懸念から卸売業や対事業所サービス業等が下押しするとみている。
ニッセイ基礎研+2
+17
<+2.9%>
先行きの景況感は方向感が分かれそうだ。海外経済の回復は遅れているが、米中貿易摩擦に関して部分合意に向けた交渉が続いており、貿易摩擦緩和への期待が高まっている。また、ITサイクル持ち直しへの期待もあり、製造業では先行きにかけて景況感の持ち直しが示されそうだ。一方、非製造業では、前回消費増税後のように、増税後の内需回復の遅れが懸念されるほか、日韓関係改善に伴う韓国人訪日客の回復も見通せないことから、先行きにかけて景況感の低迷が見込まれる。
第一生命経済研+4
+16
<大企業製造業+9.3%>
1業況判断DIの悪化幅は、大企業・製造業で前回比▲1ポイント。非製造業で同▲5ポイントとなると予測する。果たして、12月会合における追加緩和の予想はどのように変わるだろうか。
三菱総研+2
+17
<+3.2%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は+2%ポイントと、業況は横ばいを予測する。非製造業は+18%ポイントと、小幅な業況改善を予測する。ただし、消費税増税後の消費の低迷長期化、米中貿易摩擦の一段の激化などによる海外経済の減速、金融市場の不安定化などには引き続き警戒が必要な局面である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+2
+17
<大企業全産業+5.0%>
日銀短観(2019年12月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2019年9月調査)から3ポイント悪化の2と、4四半期連続で悪化すると予測する。消費増税後の一時的な内需の落ち込みと自然災害が下押し要因となったとみられる。先行きについては、海外経済の不透明感は残る一方、増税の影響が剥落し、内需が堅調さを取り戻すことへの期待が反映され、1ポイント改善の3となろう。
大企業非製造業の業況判断DI(最近)は前回調査から4ポイント悪化の17になると予測する。消費増税に伴う一時的な需要の減少により、小売や宿泊・飲食サービスを中心に悪化するだろう。先行きについては、増税の影響は徐々に剥落するものの、すでにDIが高水準である業種を中心に先行きに慎重となる傾向があり、2ポイント悪化の15となると予測する。

当然ながら、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのうちの大企業製造業の業況判断DIの中央値である+3とほぼほぼ同じ結果となっています。ということは、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIはやや悪化するものの、日銀による9月調査の先行きと同じ+2近傍で何とかゼロに達する前で踏みとどまり、次の3月調査に相当する先行き業況判断DIは横ばいないし反転、との予想が多くなっています。私が見た範囲では、というのは上のテーブルにある限りのシンクタンクということなんですが、大企業製造業の先行きの業況判断DIが足元と横ばいなのはみずほ総研と三菱総研くらいなもので、ほかのシンクタンクは軒並み先行きは、統計のクセとして慎重な見方が示されるものの、改善を示すとの見方が多数派でした。ただ、大企業製造業とともに大企業非製造業でも先行き業況判断DIの横ばいを見込むのはみずほ総研だけで、三菱総研は大企業非製造業については先行きはプラスと予想しています。ですから、長期に渡って低下を続けた消費者マインドと違って、我が国企業マインドはかなり底堅いと私は受け止めています。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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2019年12月 9日 (月)

7-9月期GDP統計2次QEは駆込み需要でちょっとびっくりの高成長!

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.4%、年率では+1.8%と消費税率引上げ直前の駆込み需要込みながら、4四半期連続のプラス成長を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月期のGDP改定値、年率1.8%増 設備投資や個人消費伸びる
内閣府が9日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.8%増だった。速報値(前期比0.1%増、年率0.2%増)から上方修正された。法人企業統計など最近の統計結果を反映した。企業の設備投資や個人消費などの伸びが寄与した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.2%増、年率0.8%増と速報値からの上振れが見込まれていたが、これも上回った。生活実感に近い名目GDPは前期比0.6%増(速報値は0.3%増)、年率は2.4%増(同1.2%増)だった。
実質GDPの内訳を見ると上方修正が目立った。民間企業の設備投資は実質で1.8%増(同0.9%増)だった。2日発表の7~9月期の法人企業統計で、ソフトウエアを除く設備投資額(季節調整済み)が伸びたことが寄与した。自動車や通信機械向けの電子部品やオフィスビルなど不動産への投資が目立った。
携帯電話の通話料金などが上昇し、個人消費は前期比0.5%増(同0.4%増)だった。不動産仲介手数料が寄与し、住宅投資は1.6%増(同1.4%増)となった。また民間在庫の寄与度はマイナス0.2%(同マイナス0.3%)、公共投資は0.9%増(同0.8%増)と1次速報値から上方修正された。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がプラス0.6%(同プラス0.2%)に上振れした。輸出から輸入を引いた外需はマイナス0.2%と1次速報値から変わらなかった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス0.6%と1次速報値から変わらなかった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/7-92018/10-122019/1-32019/4-62019/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)▲0.6+0.3+0.6+0.5+0.1+0.4
民間消費▲0.2+0.2+0.2+0.6+0.4+0.5
民間住宅+0.4+1.1+1.1+0.5+1.4+1.6
民間設備▲3.4+3.0▲0.2+0.9+0.9+1.8
民間在庫 *(+0.3)(▲0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.3)(▲0.2)
公的需要▲0.3+0.3+0.1+1.6+0.6+0.7
内需寄与度 *(▲0.5)(+0.7)(+0.3)(+0.8)(+0.2)(+0.6)
外需寄与度 *(▲0.1)(▲0.4)(+0.4)(▲0.3)(▲0.2)(▲0.2)
輸出▲1.8+1.2▲2.1+0.5▲0.7▲0.6
輸入▲1.3+3.8▲4.1+2.1+0.2+0.3
国内総所得 (GDI)▲0.9+0.2+1.1+0.4+0.1+0.5
国民総所得 (GNI)▲1.0+0.3+0.9+0.5+0.1+0.5
名目GDP▲0.6▲0.0+1.3+0.6+0.3+0.6
雇用者報酬+0.3+0.4+0.5+0.9▲0.0▲0.1
GDPデフレータ▲0.3▲0.6+0.1+0.4+0.6+0.6
内需デフレータ+0.8+0.2+0.3+0.4+0.2+0.2

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期の最新データでは、前期比成長率がジワジワと縮小しつつもまだ十分なプラス成長を示し、需要項目別寄与度では、赤の消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がマイナスの寄与となっているのが見て取れます。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが中央値で前期比+0.2%、年率+0.7%でしたし、レンジでも年率+0.2~+1.2%でしたので、上限を突き抜けるような高成長、と見えますが、おそらく想定以上に消費税率引上げ直前の駆込み需要が大きかったのでしょうから、逆に、10月以降の反動減の大きさも気にかかるところです。でも、内需寄与度が+0.6%、外需が▲0.2%となっており、基本的には1次QE公表時と同じで、私は駆込み需要を考慮しても内需は底堅いと判断しています。ただ、幸か不幸か、駆込み需要が大きいだけに反動減も覚悟すべき、ということになります。いずれにせよ、10~12月期はマイナス成長が確実視されており、年率なら▲3%を超えるマイナス幅も考えられます。いずれにせよ、GDPの需要項目ほぼほぼすべてが上方改定されています。すなわち、上のテーブルに従って季節調整済みの前期比で見て、民間消費+0.4%増→+0.5%増、民間住宅+1.4%増→+1.6%増、民間設備の上方改定幅が特に大きく+0.9%増→+1.8%増、公的需要も+0.6%増→+0.7%増、などなどです。輸出入まで上方改定されていますが、純輸出の寄与度は相殺してか変化ありません。繰り返しになりますが、10~12月期は消費税率引上げによる消費の冷え込みに対して、世界経済がにわかに回復しているとも思えず、マイナス成長が確実です。12月5日に政府が閣議決定した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」は事業規模26.0兆円、財政支出13.2兆円に上っていますが、足元の10~12月期の成長率に及ぼす効果はほとんどありません。世界経済の低迷が続き、民間需要が消費税率引上げなどでダメージある間は政府が景気を下支えする必要があります。

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加えて、本日は、内閣府から11月の景気ウォッチャーが、また、財務省から10月の経常収支についても、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.7ポイント上昇の39.4を、先行き判断DIも+2.0ポイント上昇の45.7を、それぞれ記録しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8168億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。

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2019年12月 7日 (土)

米国雇用統計はちょっとびっくり+266千人増で利下げストップか?

日本時間の昨夜、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+2666千人増とちょっとびっくりするくらいの堅調振りで、失業率は先月からさらに▲0.1%ポイント低下して3.5%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の8パラを引用すると以下の通りです。

Economy added booming 266,000 jobs in November and the unemployment rate fell to 3.5%
Hiring picked up sharply in November as employers added a booming 266,000 jobs, underscoring a healthy economy despite trade jitters and sluggish global growth, and easing recession fears.
The gains far outpaced the 184,000 expected even after accounting for the return of striking General Motors workers.
The unemployment rate fell from 3.6% to 3.5%, matching a 50-year low, the Labor Department said Friday.
As the 2020 election draws closer, job creation under President Trump is likely to be scrutinized more closely. The federal tax cuts and spending increases he spearheaded spurred more hiring but his trade fights and immigration crackdown likely have offset much of the gains, leading economists say.
Also encouraging: Job gains for September and October were revised up by a total of 41,000. September's additions were raised from 180,000 to 193,000 and October's from 128,000 156,000.
A six-week GM strike held down employment by 46,000 in October and that dampening effect was expected to reverse last month since the factory workers were back on the job.
Other forces also may have skewed the numbers. Widespread worker shortages could have prompted employers to pull forward hiring or minimize layoffs -- a strategy that often occurs in November during tight labor markets, Goldman Sachs said.
At the same time, Midwest snowstorms likely reduced payroll growth by about 10,000, Goldman said. And the late Thanksgiving may have curtailed job gains in retail, the research firm said. Since Labor's survey is conducted mid-month, it may have missed holiday workers added shortly before Black Friday.
More generally, average monthly job growth has downshifted to about 170,000 this year from 223,000 in 2018, though the latter figure has tentatively been revised down. Many economists expect gains of only about 100,000 next year because of both a slowing economy and a low jobless rate that's making it harder for businesses to find qualified workers.
Consumer spending, which accounts for about 70% of economic activity, has remained on solid footing. But business investment and manufacturing have pulled back amid a sluggish global economy and uncertainty generated by President Trump's trade war with China.
Average hourly earnings increased 7 cents to $28.29, nudging the annual gain from 3% to 3.1%.
Yearly pay increases shot past 3% last year as employers jostled for a limited supply of workers but they've slowed this year. That has helped keep a lid on inflation, allowing the Federal Reserve to cut interest rates three times this year without worrying the moves would rev up the economy and lead to a spike in consumer prices.

ついつい長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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今週半ばに、民間企業の給与計算などのバックオフィスのアウトソース先の企業であるADPから民間企業雇用の増加が11月はわずかに+67千人増、と明らかにされた際には、私も含めて多くのエコノミストが「こりゃ米国経済はヤバい」と感じたんではないかと思うんですが、何とびっくりで、米国労働省の公式統計では11月は+266千人増という結果が飛び出しました。統計の信頼性に関する議論はともかくとして、失業率も3.5%まで低下していますし、米国の雇用は堅調そのものと考えるべきです。先月の今ブログで言及したGMのストライキの終結により、Motor vehicles and parts では+413千人増を記録していますし、製造業全体でも10月の前月差▲50千人のマイナスから11月は+44千人のプラスに転じています。非製造業でも、ブラック・フライデー以降のクリスマス商戦の好調ぶりが伝えられていますが、11月統計では、Wholesale trade が▲4.3千人減となったほか、Retail trade では+2.0千人増ですし、関連する Transportation and warehousing でも+15.5千人増と伸びを高めています。直近3か月の月平均も好調の目安とされる20万人を再び上回っています。ですから、連邦準備制度理事会(FED)では米中間の貿易摩擦に起因する景気不安を和らげるため、連邦公開市場委員会(FOMC)3会合連続で政策金利を引き下げてきましたが、こういった雇用の底堅さを受けて、また、下のグラフに見るように、11月の平均時給は前年同月比+3.1%増と、16か月連続で3%台の伸びを続けていて賃金にも上昇圧力が見られることなどから、今月12月10~11日のFOMCでは4会合ぶりに利下げを見送る見通しとの観測が広がっています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用の堅調振りに歩調を合わせて、賃金上昇率も3%台が続いており、11月も前年同月比で+3.1%の上昇と高い伸びを示しています。日本や欧州と違って、米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いている一方で、政権からの圧力もあって利下げが模索されていましたが、しばらく小休止なのかもしれません。ただ、左派エコノミストとして、私はトランプ政権の圧力は別と考えても、一般論ながら、金融緩和策や財政的な拡張政策は貧困解消を含めて国民の生活水準向上に役立つものと考えています。

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2019年12月 6日 (金)

大きく下降した景気動向指数を見て経済対策の必要性を感じる!!!

本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲0.1ポイント下降してで91.8を、CI一致指数も▲5.6ポイント下降して94.8を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月から「悪化」に引き下げられたまま据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気指数、6年半ぶり低水準に 消費増税と台風で
持ち直し、年明け以降との見方

国内景気に急ブレーキがかかっている。内閣府が6日発表した10月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が94.8と6年8カ月ぶりの低水準になった。消費税率の引き上げと大型の台風が重なり、生産や出荷などの指標が軒並み悪化した。同日発表の家計調査では10月の消費支出が前年同月比5.1%減。景気の持ち直しは年明け以降との見方が多く、停滞が長引く恐れがある。
景気の一致指数(2015年=100)の推移から機械的に決まる基調判断は3カ月連続で「悪化」となり、定義上は景気後退の可能性が高いことを示している。前月比のマイナス幅は5.6ポイントで東日本大震災のあった11年3月以来の大きさだ。前回14年4月の増税時(4.8ポイント低下)よりも落ち込みが激しい。
10月は一致指数のもとになる9項目の統計のうち発表済みの7項目すべてが指数の押し下げ要因となった。特に影響が大きかったのは小売販売額や投資財出荷、鉱工業生産などだ。
小売販売額は自動車やホームセンターなどで増税前の駆け込み需要の反動が出ている。台風で店舗を開けなかったり、客数が減ったりしたことも響いた。投資財出荷ではショベル系掘削機械が台風で部品調達に支障を来す事態などが起きた。鉱工業生産は米中貿易戦争を背景とした世界経済の減速も影を落としている。
指数による景気の基調判断は、最も低い「悪化」から当面抜け出せない公算が大きい。10月の指数が大幅に低下したことが、判断の基準となる3カ月平均や7カ月平均の値に響くからだ。悪化より1段階上の「下げ止まり」への上方修正は「早くて20年1月分」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏)との見方が強い。1月分の指数の発表は3月上旬だ。
10月の消費の落ち込みは総務省の家計調査でも鮮明になった。2人以上の世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べて5.1%減った。落ち込み幅は前回の消費増税後の14年4月(4.6%減)より大きい。
増税前の1年間の平均の消費支出を100とする指数で一時的なブレを除いて比べると、今年10月は95.6で前回増税時の14年4月は95.3とほぼ変わらない水準だった。今回は増税後に消費が急減しないようキャッシュレス決済でのポイント還元などを実施しているなかで、消費減少の要因分析が非常に重要になっている。
西村康稔経済財政・再生相は6日の閣議後の記者会見で、台風の影響に言及しつつ「全体として駆け込みの反動は前回ほどではない」と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭も同日の記者会見で「基調的な落ち込みと台風の影響が大きかったのではないか」と分析した。
14年は消費支出が増税2カ月目の5月も8.0%減と落ち込むなど、前年割れが増税後13カ月続いた。今回も足元の消費の基調自体が弱いとすると、持ち直しは遅れかねない。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面に関する注目が上がっているのか、まあ、うしろ半分以上は消費動向の記事なんですが、かなり長々と引用してしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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いつも論じているように、景気動向指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高いんですが、10月統計の一致指数のマイナス寄与が大きい順に採用系列を並べると、商業販売額(小売業)(前年同月比) ▲1.92、投資財出荷指数(除輸送機械) ▲1.11、商業販売額(卸売業)(前年同月比) ▲1.11、などとなり、4番目にようやく生産指数(鉱工業) ▲0.72 が来ます。やはり、10月からの消費税率引上げによる商業販売の落ち込みが大きいという印象です。さらに、引用した記事の後半の総務省統計局による家計調査に基づく記事では、やっぱり、今回の消費増税の反動減が前回2014年4月時よりも大きいという結果が示されていますが、2014年と違って今回は消費税に加えて台風19号という自然災害とが相まって景気の下押し圧力がもたらされています。ですから、消費税率引上げ付きの落ち込みが大きく見えるわけで、経済政策当局からすれば想定外・経済外の要因とはいえ、それだけに、何らかの経済対策が必要とされているのは十分理解できます。
ただ、経済対策については、従来型の公共事業に偏重するのは厳に避けるべきです。というのは、クラウディングアウトの恐れが大きくなっているからです。その昔の経済学では、政府支出が資金需要を増加させて金利上昇を招き民間投資が減少する、というタイプのクラウディングアウトを想定していましたが、日本経済の現状からすれば、クラウディングアウトを引き起こす供給制約は資金面や資金に起因する金利ではなく、むしろ人手不足とそれに起因するコストアップです。オリンピック・パラリンピックを前にそれなりの建設需要がある中で、またまた、公共事業に偏った経済対策となれば、民間需要と少ない人手を奪い合うことになり、人手不足の面から民間投資をクラウディングアウトすることにもなりかねません。この点は忘れるべきではありません。

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2019年12月 5日 (木)

来週月曜日公表予定の7-9月期GDP統計速報2次QE予想は上方改定か?

先週の法人企業統計の公表などを終えて、ほぼ必要な指標が利用可能となり、来週月曜日12月9日に7~9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定です。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。いつもの通り、可能な範囲で、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。今回は、消費税率引き上げ直前の実績成長率と直後の見通しということなんですが、いつもの通り、2次QE予想は法人企業統計のオマケの扱いのシンクタンクも少なくなく、その中で、みずほ総研だけは超長めに引用していて、ほかもそれなりに引用しています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.1%
(+0.2%)
n.a.
日本総研+0.2%
(+0.7%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が上方修正となる一方、民間在庫は下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+0.7%(前期比+0.2%)と、1次QE(前期比年率+0.2%、前期比+0.1%)から上方修正される見込み。
大和総研+0.3%
(+1.2%)

7-9月期GDP二次速報(12月9日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.2%と、一次速報(同+0.2%)から上方修正されると予想する。需要側統計の法人企業統計の結果を受けて、設備投資が前期比+2.0%に上方修正されることが主因である。
みずほ総研+0.2%
(+0.7%)
今後の日本経済は、10~12月期については消費増税の反動減の影響からマイナス成長は避けられないだろう。来年に入ってからも、消費・投資ともに力強さにかけ、日本経済は低い伸びに留まる見通しだ。
個人消費は、足元消費増税の反動減が下押し圧力として働いている。ただ反動減の影響が徐々にはく落していく来年に入ってからも、所得が伸び悩むなかで、消費の回復テンポは当面弱いとみている。足元の雇用環境をみると、雇用がひっ迫している状況は続いているものの、生産活動の停滞を受けて、製造業を中心に新規求人数が減少している。先行きについても生産の力強い回復が期待しにくいなかで、企業は新規雇用に慎重になるとみられ、雇用者数は当面伸び悩むだろう。また一人当たり賃金についても足元の企業収益が弱含むなか、当面横ばいで推移すると予想する。所得の伸び悩みを考えると、消費の伸びは当面弱いだろう。
設備投資は、省力化投資が下支えとなるものの、調整圧力の高まりから徐々に投資の伸びは鈍化していく見通しだ。米中対立の継続に伴い先行き不透明感が高いことも、投資の伸びを抑制する要因として働こう。
輸出はグローバルなIT需要が底打ちしたことから、徐々に回復していく見通しだ。ただし、世界経済が伸び悩む中ではけん引力に欠け、輸出の伸びは緩やかに留まるだろう。外需主導での日本経済の力強い回復は見込みがたいと考えられる。こうした中、生産活動も精彩を欠いた動きとなる見通しだ。
以上を踏まえると、当面の日本経済は潜在成長率を下回る弱い伸びになるだろう。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.9%)
19年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率0.9%)となり、1次速報の前期比0.1%(前期比年率0.2%)から上方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.3%
(+1.2%)
10-12月期の個人消費は大幅な減少が避けられない。前述のとおり設備投資に反動が生じる可能性があることも懸念材料だ。10-12月期の実質GDPについては、筆者は11月14日の段階で前期比年率▲2.8%を予想していたが、さらなる下振れも意識しておく必要があるように思われる。
伊藤忠総研+0.1%
(+0.6%)
7~9月期のGDP成長率は、最終需要が比較的堅調な拡大を維持する中で、輸出の落ち込みと企業の在庫抑制が下押しし、概ね横ばいにとどまることになり、日本経済は10月の消費増税を待たずに停滞していたという判断に変化はない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+1.0%)
2019年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.2%(年率換算+1.0%)と1次速報値の同+0.15(同+0.2%)から上方修正される見込みである。ただし、修正は小幅であり、今回の結果によって景気に対する評価が変わることはないであろう。
三菱総研+0.2%
(+0.9%)
2019年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.2%(年率+0.9%)と、1次速報値(同+0.1%(年率+0.2%))から上方修正を予測する。

ということで、各機関とも軒並み1次QEから上方改定され、ほぼ潜在成長率近傍のプラス成長と見込まれているんですが、その見方や解釈にはやや差があり、+1%弱というか、+0%台後半ながら、みずほ総研や伊藤忠総研ではかなり弱めに見ているようです。しかし、たとえ、7~9月期のGDP成長率が潜在成長率見合いのプラスであったとしても、10月には消費税率引上げがあったわけですから、明記していないシンクタンクを含めて、ほぼほぼすべてのシンクタンク、あるいは、エコノミストは足元の10~12月期はマイナス成長と考えています。ですから、もう焦点は来年1~3月期に移りつつあり、2四半期連続のマイナス成長でテクニカルな景気後退シグナルとなるのかどうか、という見方です。まさに、この2四半期連続のマイナス成長を回避するために政府で景気対策が検討されている訳であり、私は大いに期待していますし、テクニカルな景気後退シグナルは避けられるものと考えています。
下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。プラス成長とはいえ、徐々に成長率が低下しているのが見て取れると思います。

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2019年12月 4日 (水)

経済協力開発機構(OECD)による生徒の学習到達度調査(PISA2018)の結果やいかに?

昨日12月3日、経済協力開発機構(OECD)から昨年2018年に実施された生徒の学習到達度調査 (PISA2018) の結果が公表されています。PISAとは、Programme for International Student Assessment の略であり、15歳児を対象に読解力 reading、数学 mathematics、科学 science の3科目について、3年ごとに国際的に調査を実施し、結果は広く公表されており、データもかなり詳細に提供されています。2000年が初回の調査であり、昨年2018年のPISAは第7サイクルに当たり、79か国・地域の15歳の生徒約60万人が参加しています。以下、OECDの1次資料とともに、国立教育政策研究所のサイトにあるリポートなどをもとに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の棒グラフは、OECDのサイトから引用していて、たぶん、読解力 reading の得点でソートされているんではないかと思います。一番上の B-S-J-Z (China) とは、一番下の脚注にあるように、北京・上海・江蘇・浙江のことです。中国はOECD加盟国ではありませんが、かなり前からPISAから参加しているのではないか、と記憶しています。
上のグラフのソートの仕方を見ても判る通り、今回の焦点は読解力に当てられており、ほとんどの生徒がコンピュータを使って回答しています。そして、我が日本は焦点の読解力で世界における順位を下げ続けています。すなわち、2012年調査では4位を占めていたにもかかわらず、2015年調査では8位、そして、今回2018年調査では15位まで後退しました。もっとも、これは首位から4位までの中国各都市やシンガポールといったOECD非加盟国を含めてのお話ですので、OECD非加盟国を加盟国の中では11位ということになります。報道などを見ると、パソコンを使ったコンピューター形式のテスト形式に不慣れなことや、記述式の問題を苦手としていることなどが要因として考えられる一方で、当然ながら、本や新聞などをよく読む生徒の方が平均点は高く、読解力低下の結果には読書量の減少も影響しているのではないか、という見方が示されています。15年前のPISA2003の結果でも、読解力は大きく順位を下げて「PISAショック」というバズワードも出てきたりし、いわゆる「ゆとり教育」を見直すきっかけのひとつとなりました。
ただ、いつも楽観的な見方を示す私としては、いくつか別の観点を示しておきたいと思います。まず、上の画像の一番下にも見られる通り、読解力のOECD平均スコアは487であり、日本の501はこれをまだ何とか上回っています。また、焦点となった読解力は順位を落としている一方で、数学は全79カ国・地域の中では6位なものの、OECD加盟国としては韓国を押さえてトップですし、科学も全79カ国・地域の中で5位、OECD加盟国の中でもエストニアとわずかに1点差の2位につけており、両国スコアの間に統計的に有意な差は見られません。まだまだ、日本の生徒や中等教育は優秀であるといえます。次回の第8サイクル2021年実施のPISAでは数学にスポットが当てられる予定ですので、「ヤッパリ、日本の生徒は優秀」という論調が戻るような気がしないでもありません。

最後に、こういった学習結果の基礎をもとに考えると、現場の技術者は優秀で先進国トップクラスだが、経営者は先進国の中でも平均レベル、という一般的な日本に対する見方を強く支持している、といえそうな気がします。

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2019年12月 3日 (火)

SMBCコンサルティングによる「2019年ヒット商品番付」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週11月27日にSMBCコンサルティングから「2019年ヒット商品番付」が明らかにされています。SMBCコンサルティングのサイトから引用した下のテーブルの通りです。

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東西の横綱はこの通りなんでしょう。でも、大関について、プロスポーツ選手はともかく、ノーベル賞受賞の先生を「商品番付」に置くのは異論ありそうな気がしないでもありませんが、エコノミストはすべてを商品化しかねませんから、いいとしておきます。続く三役級ではサブスクやタピオカは当然でしょう。私が注目したのは前頭2枚目のこども関連のヒット商品です。弘文堂の『こども六法』は子どもの時から「やってはいけない」ことをきちんと教える重要性を改めて世間に知らしめる結果となりました。プログラミング教育も未来につながるスキルなんでしょう。消費者の嗜好の関係では、私はウィスキーはたしなみがなく、ここで知るまで和製ウィスキーは知りませんでした。
師走に入って、そろそろ1年を振り返る季節を感じます。

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2019年12月 2日 (月)

ほぼ3年ぶりに減収減益となった法人企業統計をどう見るか?

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高はほぼ3年ぶりの減収で前年同期比▲2.6%減の349兆4974億円、経常利益は2四半期連続の減益で▲5.3%減の17兆3232億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで+7.1%増の12兆826億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比+1.5%増となっています。なお、設備投資については、前回からソフトウェアを含むベースに変更されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。


設備投資7.1%増 7-9月法人企業統計、売上高は減
財務省が2日発表した2019年7~9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の売上高は前年同期比2.6%減の349兆4974億円と、12四半期ぶりの減収となった。米中貿易摩擦やそれに起因した中国経済の減速などを背景に、半導体関連製品などの売り上げが落ち込んだ。
製造業の売上高は1.5%減だった。中国向けなどが振るわず、スマートフォン向け部品など「情報通信機械」が18.9%減、半導体製造機械など「金属製品」が15.4%減となった。
非製造業の売上高は3.1%減と、12四半期ぶりの減収となった。消費増税を控えた耐久消費財への駆け込み需要で小売業は増収だったが、原油安を背景とした石油製品などの価格下落で卸売業が減収となったため「卸売業、小売業」は4.0%減となった。賃貸住宅の建設減や前年の大型案件の反動減から「建設業」は8.6%減だった。
全産業の設備投資は前年同期比7.1%増の12兆826億円で、12四半期連続の増加となった。
製造業の設備投資は6.4%増だった。次世代通信規格の5G関連技術や自動車・通信機械向けの電子部品への投資が活発だった「情報通信機械」が18.9%増となった。新工場の増設のあった「生産用機械」は18.6%増だった。
非製造業の設備投資は7.6%増だった。都市部を中心にオフィスビルの取得が多かった「不動産業」や、物流施設の新設が目立った「卸売業」の増加が寄与した。財務省の担当者は「増税前に設備投資に影響が出たとは考えていない」と説明した。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額は、前年同期比で7.7%増、季節調整した前期比で1.2%増だった。
全産業ベースの経常利益は5.3%減の17兆3232億円と2四半期連続の減益となった。海外での建設機械・半導体製造業の落ち込みを受けて製造業が15.1%減となったことが影響した。非製造業は0.5%増だった。
財務省は「緩やかに回復している景気の動向を反映している」と説明した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計した。今回の19年7~9月期の結果は、内閣府が9日発表する同期間のGDP改定値に反映される。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフを見る限り、足元の我が国企業の動向は、かなりの程度に最近のマクロ経済動向とも一致して、製造業を中心に停滞色を強めています。季節調整していない原系列の前年同期比で見て、売上高こそ、非製造業の▲3.1%減の方が製造業の▲1.5%減よりも大きな落ち込みを見せましたが、営業利益と経常利益では非製造業が前年同期比プラスでしのいでいるのに対して、製造業はいずれもマイナスに落ち込んでいます。経常利益に至っては、製造業は統計の分類11業種すべてで前年比マイナスとなっています。ただ、設備投資については製造業・非製造業とも増加を続けています。特に、7~9月期には資本金10億円以上の大企業が前年同期比+10.0%と2桁のプラスを記録しています。業況が伸びない中で人手不足などに対応した合理化投資・省力化投資が下支えしているものと私は想像しています。ただ、後に見るように、ストックの利益剰余金こそ積み上がっているものの、フローの企業収益がかなり悪化しているので、設備投資の先行きについては楽観すべきではないと考えています。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。ソフトウェアを含むベースに今回から再計算しています。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、相変わらず、太線のトレンドで見て労働分配率は60%前後で底這い状態から脱することなく低空飛行を続けています。他方、設備投資のキャッシュフロー比率はじわじわと上昇して60%台半ばに達しています。もちろん、一番元気よく右肩上がりの上昇を続けているのは利益剰余金です。ストックですから、積み上がる傾向にあるとはいえ、これを賃金や設備投資にもっと回すような政策はないものでしょうか?

本日の法人企業統計を受けて、来週月曜日の12月9日に7~9月期GDP統計2次QEが公表される予定となっています。基本的に、上方改定されるものと私は考えていますが、日を改めて2次QE予想として取り上げたいと思います。

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